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中国、感染ピーク過ぎた? 発生源の湖北省、新たな感染者急減 200 人下回る 新型コロナウイルスの発生源とされる中国湖北省で新たな感染者が大幅に減少し、1 月以降初めて 200 人を下回った。 中国国家衛生健康委員会の 2 日の発表によると、1 日に確認された湖北省の新たな感染者は 196 人と、前日の 570 人から大きく減少し、1 月 24 日以来の少なさとなった。 武漢市の新たな感染者が 193 人と、1 月 26 日以降で最少となったことが寄与した。 中国本土全体の新たな感染者は 202 人で、こちらも 1 月 22 日以来の少なさとなった。 湖北省を除いた本土の新たな感染者は 6 人にとどまった。 中国本土の感染者は 1 日時点で累計 8 万 0,026 人、死者は前日から 42 人増えて計 2,912 人となった。 新たな死者は 42 人全員が湖北省で確認され、うち 32 人は武漢市の患者だった。 (Reuters = 3-2-20) ◇ ◇ ◇ 中国の新型コロナ感染 7 万 9,824 人に 退院も 4 万人超 新型コロナウイルスによる肺炎に関連し、中国の国家衛生健康委員会は 1 日、中国本土の死者が前日の集計から 35 人増えて計 2,870 人に達したと発表した。 感染者も 573 人増え、累計 7 万 9,824 人となった。 新たな感染者は、大規模な感染が始まった湖北省を除く地域では 3 人にとどまっている。 これまでに退院した患者は 4 万人を超え、初めて累計感染者数の半数を上回った。 感染者の大半が治療を終えて退院したことになる。 (北京 = 西村大輔、asahi = 3-1-20) ◇ ◇ ◇ 新型肺炎、中国で新たに 327 人感染 死者 2,788 人に 中国の国家衛生健康委員会は 28 日、中国本土の新型コロナウイルスの感染者が 27 日に 327 人増え、累計では 7 万 8,824 人に達したと発表した。 死者は 44 人増の計 2,788人となった。 新たに感染した人の数は 2 月上旬をピークに減少傾向にあるが、武漢市を省都とする湖北省は 27 日の感染者の 9 割超を占め、厳しい状況が継続している。 27 日に体調が回復して退院した人は 3,622 人で、累計では 3 万 6,117 人となった。 一方、韓国保健福祉省は 28 日、韓国国内での感染者が 2,022 人になったと発表した。 前日午後より 256 人増えた。 増加した感染者のうち約 9 割は、韓国政府が感染症の「特別管理地域」に指定した大邱とその周辺で確認されているが、ソウルでも 6 人増え 62 人となった。 (香港 = 益満雄一郎、ソウル = 神谷毅、asahi = 2-28-20) ◇ ◇ ◇ 新型肺炎、中国本土の死者 2,663人 感染者は 7 万 7,658 人 【上海 = 松田直樹】 中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、中国本土の死者数は 25 日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点で、2,663 人と、前日から 71 人増えた。 感染者は 508 人増え、累計の感染者数は 7 万 7,658 人となった。 治癒や死者などをのぞいた現時点での感染者は 4 万 7,672 人で、そのうち重症者は 9,126 人いる。 国家衛生健康委員会が 25 日発表した。 中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部は 24 日に全国人民代表大会(中国の国会に相当)の常務委員会で、3 月 5 日に開幕する予定だった全人代の延期を正式に決定した。 感染者が深刻な湖北省では収束の兆しが見えておらず、新たな開幕日を示すこともできなかった。 また同日に開かれた常務委員会では、新型肺炎の感染源の可能性が高いとされる野生動物を食べる習慣や、全面的な取引禁止も決めた。 (nikkei = 2-25-20) ◇ ◇ ◇ 新型肺炎、中国本土の死者 2,345 人 感染者は 7 万 6,288 人 【上海 = 松田直樹】 中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、中国本土の死者数は 22 日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点で、2,345 人と、前日から 109 人増えた。 感染者は 397 人増え、累計の感染者数は 7 万 6,288 人となった。 治癒や死者などをのぞいた現時点での感染者は 5 万 3,284 人で、そのうち重症者は 1 万 1,477 人いる。 国家衛生健康委員会が 22 日発表した。 当局が発表する感染者数の統計を巡っては混乱が続いている。 18 日に新型肺炎の治療方針を改定し、感染者の基準を改めた。 検査では陰性だが肺炎の症状のある患者を感染者から外したことで、新規の感染者数は大幅に減った。 だが湖北省政府は 21 日午後、「(大量の感染者が判明した)刑務所の感染者を数え漏れした」として既に公表していた 20 日の省内の感染者数を訂正した。さらに 21 日夜には、19 日の発表分にも誤りがあったとして、新規の感染者数を修正した。 度重なる感染基準の変更で現場が混乱しているとみられるが、中国のネット上では「統計を操作しているのでは」などと不信感が広がっている。 (nikkei = 2-22-20) これまでの、中国における「新型コロナウィルス」感染拡大の経緯は 手洗い呼びかける大量の動画 中国、衛生観念の現状は 新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中国で、衛生観念を向上させようとする動きが活発化しています。 中国版ツイッター「微博」では人々が手洗い方法を含め、公衆衛生の大事さを周知しあう動画や画像が大量に投稿され、関心の高さが伝わります。 そもそも、中国の人々は公衆衛生をどのように捉えているのでしょうか。 中国で長年活動する医師に聞きました。 「#洗手的正確方法(手洗いの正しい方法)。」 ニュースメディアの公式サイトや芸能人が、こうしたハッシュタグをつけて連日投稿しています。 ページ全体の閲覧数は 3,680 万を超えています。 「流水だけで手を洗っていた? ダメダメ、セッケンを使わなきゃ。」 「1 日 12 回は手を洗わないと」といった「指南」が目立ちます。 「摩天楼など建物が立ち並び、インフラが整っていても、人々の衛生観念はまだまだ向上しきれていません。」 上海に 25 年暮らす中国伝統医学医師の藤田康介さん (45) は、医師として中国で活動する立場から、新型肺炎の背景にある中国独自の課題について、こう指摘します。 藤田さんが暮らす上海でも、1980 年代末に A 型肝炎が大流行し、約 30 万人が感染した記録があるそうです。 空気感染する結核や衛生状態とも関係の深いコレラとも闘った歴史があります。 2003 年には SARS (重症急性呼吸器症候群)が流行しました。 「中国の歴史はつねに疫病との闘いで、伝統医学が発展したのも、伝染病に対峙するためでした。」 中国の人たちの衛生に対する意識の現状はどうなっているのでしょうか。 藤田さんは、広大な中国では地域差が激しい、と指摘します。 「SARS や五輪を経験し、北京や上海といった大都市では、かなり改善されました。 以前は街中で『カーッペ』とたんを吐いたり、車の窓をあけて手鼻をかんだり、といった行為をよく見ましたが、街がきれいになると、人々の意識も変わり、こうした行為を見ることは随分少なくなりました。」 ただ、「日常生活の中で、外から帰ったときに必ず手を洗わないといけない、とまでは気にするかというと、しない人もまだ多いです。」 中国特有の事情もあります。特に農村部では水不足が深刻な地域もあり「蛇口が設置されていても、そもそも水栓がしまっていて水が出なかったり、水道管が壊れていて誰も修理していなかったり、ということも多々あり、衛生状態全般に管理が行き届いていない」と藤田さんは言います。 いまだにトイレが「家の外」にある場合が多いのも背景にあるようです。 特に農村では共用トイレというところもあり、みなで使うことから「トイレは非日常の場所で、隅に追いやられる、地位の低い存在。 そこにお金をかけてきれいに保つという発想はないのでしょう。」 自分や家族だけが使うものではないので、清潔に保つ、という習慣が根付きにくかったのでは、と指摘します。 筆者は 90 年代から 2000 年代まで中国に計 10 年滞在し、今も家族が滞在する北京に年 1 - 2 回行きますが、よほどきれいなホテルなどをのぞけば、大きなレストランやショッピングモールなどでもトイレは「お粗末」なこともあります。 また、セッケンや液体ソープが置いてあることも少ない。「残念ながら、トイレットペーパーと同じで、備品を置くととられてしまうこともあり、公共のトイレの多くにセッケンはありませんね」と藤田さん。 「ポケットの、右はハンカチ、左はティッシュ」とセットのように「外から帰ったら手洗い、うがい」と学校で教わった記憶がある人も多いかもしれません。 ですが、武漢市出身の男性 (25) は「学校でも教わりますが、習慣づいているかは個人の家庭環境に大きく左右されます。 だから、親にそうした習慣や意識がなければ、自然と子どもも手を洗わないと思います。」と話します。 「それに、ご飯を食べる前とトイレから出た後は手を洗いなさいとは教わったけど、外から帰ったからと言って、手を洗うかどうかと聞かれれば … 微妙ですね」とも。 習近平国家主席は、2014 年 12 月に「トイレ革命」に初めて言及して以来、「トイレを良くすることは、農村の衛生条件の改善と市民の生活水準を高めるために重要なことだ」などと強調。 以後、何度も「トイレ革命」と称しては衛生改善の必要性を訴えています。 冒頭の「手洗いの正しい方法」の SNS のページには「水がもったいない」というコメントも多く、感染予防とはいえ、手洗いの習慣がすぐに中国全土に浸透するかは未知数です。 藤田さんは「人口が多い都市部では人が密集していて、至近距離で接近することも多く、どうしても感染リスクは高まります。 中国特有の事情はありますが、新型肺炎を機会に、中国の人たちの衛生観念が変わることを強く願います。」と話します。 (今村優莉、asahi = 2-21-20) 労働者 2 億人、現場に戻れず 企業も悲鳴「破産する」 新型コロナウイルスが拡大した中国で、春節休暇で地方に帰省した 2 億人を超える出稼ぎ労働者「農民工」が都市部へ戻らない状況が続いている。 農民工は製造や建設、飲食業などの現場で不可欠な存在で、政府は専用の列車やバスを用意して帰還を後押しする。 だが、流入による感染拡大を恐れ、受け入れに高いハードルを設ける都市もあり、態勢を整えられない企業もある。 北京市中心部から南東に約 20 キロ離れた通州区馬駒橋鎮。 全国有数の出稼ぎ労働者の街には今、ほとんど人影がない。 中心部の交差点は普段なら宅配や工場、建設現場での仕事を探す人と、派遣業者の双方が集まってにぎわうが、周辺の店もほとんどが閉じたままだ。 同鎮は約 15 万人の住民のうち、この街に戸籍がない「流動人口」が 10 万人余りを占める。 その多くが「農民工」で現場労働で首都の経済を支える。 だが、多くが春節で帰省したまま戻らず、街は空洞化している。 中央政府は経済の回復を急ぐ立場から、積極的に農民工の職場への帰還を促している。 交通運輸省は 15 日、都市部に戻っていない農民工が全国で約 2 億 2 千万人に上ると推計。 「2 月末までに 1 億 2 千万人、3 月に 1 億人を都市部へ戻す」とし、安全に農村などから都市部へ帰る手段として、特別バスや列車の手配を始めた。 各地で行き先の都市ごとに希望者をとりまとめて健康検査をし、用意した専用バスで工場へ直接送る手はずを整えるという。 にもかかわらず、農民工が戻らないのは、感染の拡大を恐れる地元政府が厳しい対策を講じているからだ。 北京市政府は市外から戻ったすべての人に 14 日間の「自宅隔離」を求めているが、「自宅」がない農民工は身を寄せる場所がない。 通州区政府は、受け入れ企業側にも対策を要求。 農民工向けの宿舎を用意している企業でも、一人部屋や厳しい衛生管理の態勢が整う臨時の隔離施設を設置することを操業再開の条件とした。 こうした状況に、企業や農民工からは悲痛な声が上がる。 馬駒橋鎮の派遣業者の一人は「雇用主、農民工の双方から問い合わせが殺到している。 飲食、製造、物流。 どの業界も人手が戻らず大変な状態だ。」と話す。 同鎮のすべての派遣業者は「防疫のため」として店舗の閉鎖を指示されたが、多くは店の軒先の貼り紙やホームページで「電話なら仕事の相談を受けられる」、「24 時間いつでも連絡を」と訴えている。 派遣業者によると、雇用主側からは「臨時の隔離施設など用意できない」、「仕事復帰までの隔離期間の賃金まで負担すれば立ちゆかない」との悲鳴があがる。 一方、「日銭」を求める農民工からは「一刻も早く仕事に戻らなければ食べていけない」との訴えがあるという。 別の派遣業者は「企業にとって一日一日が勝負。 この状態が少しでも長引けば、どんどん破産してしまう。」と頭を抱える。 農民工を都市に戻し、経済活動の再開を急ぐよう促す中央政府に対し、地方政府の対応はまちまちだ。 山東省済南市や天津市は北京と同様、帰還後 14 日間の自宅隔離を義務づけた。 天津市は建設会社に臨時隔離施設の設置も求める。 一方、四川省成都市は帰還後の隔離期間を設けず、市内の経済開発区には企業に代わって地元政府が臨時隔離施設を準備する。 重慶市も健康状態などを調べて感染の疑いがなければ、宿舎と工場の間の往復だけを条件に仕事への復帰を認めると通知。 世界有数の雑貨の卸売市場がある浙江省義烏市は、感染者が多く出た湖北省から仕事に戻る人らのために 4 万人分の隔離用のホテルを借り上げ、隔離期間中の食事も地元政府が負担するとした。 (北京 = 平井良和、asahi = 2-18-20) 武漢に乗り込んだ「おばあちゃん医師」 中国全土が注目 おばあちゃんはこう言った - -。 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が広がる中、中国で 72 歳の女性医師、李蘭娟(リーランチュワン)さんの発言に注目が集まっている。 感染予防の注意点など人々の疑問に答える一方、最も感染者の多い湖北省武漢市に乗り込んで治療を始めた。 一体、どんな人物なのか。 「家族はみんな心配するけど、私の体は結構調子がいいの。」新型ウイルスとの闘いの最前線となっている武漢市に入った李さんを密着取材した中国国営中央テレビの番組が 4 日、放送された。 毎日 3 時間しか寝ていないと聞いた記者が「もう少し休んで」と言うと、マスク姿の李さんは「今は感染検査キットの精度を上げるのがとても重要だから」と受け流した。 李さんは国の研究機関に所属する感染症の専門家。 急速な感染拡大が明らかになった 1 月下旬以降、人々の身近な疑問に答える李さんの姿が、毎日のようにメディアで取り上げられている。 「ウイルスは乾燥した環境では 48 時間生き続けるが、空気中での動きは 2 時間で鈍くなる」、「アルコールは消毒には効くが、お酒の飲み過ぎは健康にとって有害です。」 各メディアが配信する李さんの記事は 1 日約 50 本に上り、100 万回以上再生されたニュース動画もある。 発言への注目度は、「感染防止には恋愛が効く、と李先生が言った」というフェイクニュースが出回るほどだ。 ネット上では「高齢なのに一線で活躍していて尊敬する」とたたえる声のほか、中国南部のなまりで語る姿にも「親近感がある」、「かわいらしいおばあちゃん」と共感が集まる。 李さんは紹興酒の産地・浙江省紹興市で生まれ育った。 地元紙によると、高校卒業後は地元の中学校で講師をし、お金がなくて病院にかかれない農民の姿を目にして中国医学の道を志した。 知識人が厳しい弾圧を受けた文化大革命の時代、医者の待遇は講師より悪かったが、住民に寄り添う町医者になった。 その後、大学病院で本格的に感染症について研究を開始。 致死率 8 割と言われた肝炎に立ち向かった経験から人工肝臓の研究に携わり、鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群 (SARS) が発生した際にも前線で対応に当たった。 治療した患者からの手紙が宝ものだという李さん。 昨年、若い医者たちに向けて語った言葉がある。 「まだ人類が解決できていない難題はたくさんある。 個人や組織のためでなく、人々を病気の苦しみから遠ざけるために果敢に医学を探究しなければなりません。」 (北京、asahi = 2-9-20) マスク増産、中国総動員 1 日 10 億枚? 車・電機業界も 新型肺炎の広がりでマスク不足が深刻な中国が、マスク増産に向けた総動員態勢に入った。 電機メーカーや自動車メーカーまでマスク生産に参入しているが、億人単位の人々が連日新しいマスクを求めるという異常事態に、需要を満たすことはできるのか。 米アップルの iPhone を生産する鴻海精密工業は広東省深セン市の工場でマスク生産ラインを導入し、5 日に試作をした。 2 月末には 1 日当たり 200 万枚が生産できるようになる見込みだ。 まずは約 100 万人にのぼるというグループ従業員向けに使うとしつつも、状況を見て積極的に外部への支援に回すという。 自動車メーカーの BYD は 8 日、マスクと消毒液の生産を始めると表明した。 17 日前後には量産態勢に至るといい、2 月末には 1 日あたりマスク 500 万枚、消毒液5万瓶を製造する計画だ。 深セン市に主要拠点を置く両メーカーが自らマスク生産に乗り出す背景には、おひざ元での感染拡大が自社の生産を脅かしていることがありそうだ。 8 日に発表された広東省の累計感染者数は 1,075 人にのぼり、発生源となった武漢市のある湖北省に次いで多い。 うち、深セン市の感染者は広東省全体の 3 分の 1 となる 351 人を占める。 感染は南部の広東省のほか、アリババ集団など大手 IT 企業や製造業が本拠を置く東部の浙江省でも広がりを見せており、拡大阻止は早期の経済復興に向けても急務となる。 こうした異業種による参入で、中国のマスク不足は解消に向かうのか。 中国では感染防止のためマスク着用の必要性が叫ばれ、人が集まる場所での着用を義務づける地方政府もある。 仮に約 14 億人いる国民が 1 日 1 枚マスクを使うとすれば、着用が難しい小さな子どもを除いても 1 日当たり 10 億枚超のマスクが必要になる計算だ。 一方、中国工業情報化省によると、中国のマスクの生産能力は 1 日当たり 2 千万枚にとどまる。 同省の 2 日の記者会見によると、感染防止のため各地の移動制限があることも影響し、実際の生産は 6 割の 1,200 万枚程度にとどまっている。 このため各地では限られたマスクをめぐって市民同士の争いが勃発、値上げも数多く報道された。 さらに、地方政府がマスクを徴用してしまうといった問題も起きている。 中国政府は、マスクなど感染防止に使える物資の生産能力を増やした企業に対する税制優遇を打ち出すなどして生産拡大を奨励している。 だが、生産能力の拡充や他業種の企業の参入によって数百万枚単位でマスク生産が増えたとしても、「焼け石に水」の状況が続きそうだ。 (北京 = 福田直之、asahi = 2-8-20) いち早く肺炎を警告した医師の死 当局に処分された英雄 新型コロナウイルスが広がる中国湖北省の武漢市政府は 7 日、患者の治療中に感染した武漢市中心病院の眼科医の男性が亡くなったと発表した。 男性は新型肺炎が「原因不明」で公表前だった段階で友人らに危険性の周知を始め、「デマを流した」として警察当局に処分された。 感染の拡大後、「正しい情報を発信していた」として、その行動に称賛の声が広がっていた。 同病院や中国メディアによると、男性は李文亮さん (33)。 7 日未明に同病院で亡くなったという。 6 日夜に、現場からの情報として「亡くなった」との報道が出始めると、SNS 上で「英雄を失った」などと李さんの死を悼む声が爆発的に広がった。 しばらくして病院側が「治療中」と発信し、李さんの死についての投稿が閲覧できなくなるなどした。 当局側が情報を統制しようとした可能性がある。 7 日未明になり、病院が亡くなったことを認めた。 李さんは昨年 12 月 30 日、約 150 人が閲覧できる会員制の SNS で「7 人が重症急性呼吸器症候群 (SARS) にかかり、私たちの病院に隔離されている」などと、人から人へ感染するウイルスが広がっている可能性を伝える情報を発信。 武漢市当局は翌 31 日に「27 人に原因不明の肺炎の症状が出て 7 人が重体」と公表した。 1 月 1 日には国営中央テレビで「原因不明の肺炎についてのデマを流し、8 人が摘発された」と報じられ、李さんも病院内で事情聴取を受けて、3 日に警察に出向いて「違法問題」での訓戒の書面に署名したという。 李さんはその後も現場に立ち、1 月 12 日にウイルスに感染した疑いがあるとして入院。 2 月 1 日に自身の SNS で「感染が確認された」と明らかにし、呼吸器をつけた自身の画像を投稿するなどしていた。 中国メディアの取材にも応じ、当局が公表する前の注意喚起について「現場に立つ臨床医に予防の注意をしてほしかった」、「当時は患者は少なかったが、爆発的に広がることを恐れた」などと話していた。 新型肺炎をめぐっては、別の医師が中国メディアの取材に対し、原因不明の肺炎について医師の間で認知され始めた当初、「勝手に外部に話したり、メディアの取材を受けたりしてはいけないと言われていた」と口止めがなされていたことを証言しており、地元当局の初動の対応への市民の不満が高まっている。 感染が拡大し、その危険性が広く知れ渡るようになった 1 月下旬以降、李さんの行動は中国メディアに次々にとりあげられ、SNS 上では「勇敢な行動だった」、「真実を伝えようとしてくれた」などとの称賛の声が広がっていた。 (北京 = 平井良和、asahi = 2-7-20) 北京で "会食禁止" 飲食店「潰れる」と批判の声も 中国では新型コロナウイルスの感染がさらに広がり、首都・北京では人々が集まって食事をするのを禁止する「会食禁止令」が出ています。 最新情報ですが、台湾は 6 日から、中国本土から人が入ることを全面禁止しました。 一方、北京では地下鉄の駅の周辺は閑散としています。 中国では今週いっぱいまで企業の通常業務を禁止する地方がほとんどで、さらに北京市は人々が集まって一緒に食事をすることを禁止する事実上の「会食禁止令」を出しました。 福建省では武漢から来た男性が隔離措置に従わずに結婚式に参加し、参加者らに感染が広がりました。 この措置を受けて、北京の多くの飲食店はシャッターを閉めるなど、SNS 上では「店が潰れる」と批判の声が上がっています。 こうした渦巻く不満の声に政府は危機感を示しています。 湖北省に国営メディアの記者 300 人を派遣しました。 政府は世論の管理を強めていて、報道は医療関係者を称賛する、いわゆる感動的なストーリーがさらに増えるとみられます。(森林華子、テレ朝 = 2-6-20) 「武漢からじゃないだろうな!」 疑心暗鬼、街が次々封鎖 新型コロナウイルスの感染が広がる中国で、ウイルスの侵入を防ぐため、人の往来を厳しく制限する「自衛」に乗り出す村や街が増えている。 中には自宅に帰れなくなる人も。 春節休みの終わりが迫り、人の移動が激しくなるなか、緊張感が高まっている。 北京市の中心部から南東へ約 40 キロ離れた同市通州区には、のどかな農村が点在する。 だが、1 月 31 日に訪れると、どの村も道路が金網や盛り土で封鎖され、ものものしい雰囲気だった。 「武漢から来たんじゃないだろうな。」 ある村の入り口で男性に話しかけると、そう怒鳴られた。 村の共産党委員会に登録を済ませた人でなければ「入れない」という。 外部から北京に戻ってきた人の入村を禁じる立て看板や「新型コロナウイルス感染を予防せよ」と書かれた横断幕が張られた村もあった。 同区の隣の河北省香河県の市街地では団地に続く道が封鎖されていた。 「帰省した住民は登録を」との貼り紙があったが、人の往来を見張る男性は「よそから戻ったのなら、住民であってもしばらくは入れない。」 街中には「科学を信じろ デマを流すな」との横断幕が掲げられていた。 こうした「封鎖」は、新型肺炎の対策として武漢の交通機関が遮断された 23 日を機に、自主的な動きとして各地で広がった。 故郷から都市部へ大勢の人が戻ってくる春節休暇明けが 2 月 3 日に迫り、「ウイルス侵入」への警戒感はさらに高まっている。 北京郊外の東三旗地区。 出稼ぎ労働者など、互いを知らない人たちが行き交うことから「妖怪村」とも呼ばれる同地区も、春節明けを見据えて 1 月 29 日に大半の道路を金網で封鎖。 出入りのための検問所 2 カ所では、身分証や体温の検査をしていた。
昼食を食べに同地区内の自宅に戻ろうとしたという男性が、身分を証明できず、「防疫」と書かれた腕章をした見張り役と言い争いになっていた。 中国政府「侮辱は取り締まる」 社会に不安が広がる中、特に武漢や湖北省から戻った人々に対する差別や嫌がらせが問題になっている。 SNS 上には、武漢から戻った人を外に出さないためとして、鎖や鉄パイプで塞がれたドアの画像がいくつも投稿されている。 ある動画では、警察官らが団地の 1 室のドアに金具を打ち付けて「この家の人は武漢から戻った」と書いた紙を貼り、中の人が「何の根拠で閉じ込めるんだ」と叫ぶ様子が映っている。 北京紙「新京報」は、動画は江蘇省内で起きた事件で、メディアの報道後に地元当局が「行き過ぎた対応だった」として、金具を取り払ったと伝えている。 ネット上には、武漢から別の場所に行った人の名前や住所、電話番号を記したリストも出回る。 知らない人に電話でののしられたり、「武漢人は毒だ」とのメールが届いたりした、との声も報じられている。 政府は、疑心暗鬼が生む社会の混乱を鎮めようとやっきだ。 国営中央テレビは 1 月 27 日の番組で「武漢人への差別やあざけりをやめよう」と呼びかけた。 28 日には公安省が「悪意ある侮辱は取り締まる」、「勝手に検問を設けたり、道路を遮断したりすれば処罰する」と表明した。 一方で人々の行動を把握する動きも強めている。 河北省定興県は湖北省から来て地域に必要な登録をしていない人を通報した場合、1 千元(約 1 万 6 千円)の奨励金を出すとしており、各地でも同種の通知が次々に出ている。 国家衛生健康委員会の 31 日の記者会見では、地方などから北京に戻った人すべての登録と潜伏期間の外出禁止の方針が示された。 地区の担当者が毎日訪問して状況を確認するという。 中国が帰還支援、海外の湖北省住民 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、中国政府は 1 月 31 日、感染者の特に多い湖北省から日本やタイ、マレーシアに来ていた中国人の帰国のため、チャーター機を出した。 1 日までに計 310 人が同省に戻った。 中国メディアによると、日本向けの便は、東京周辺から帰国を希望した 111 人を乗せて羽田空港を出発し、1 日早朝に帰国した。 医師らが同乗して健康状態を確認した。 タイのバンコク、マレーシアのコタキナバルへもチャーター機が出され、計 199 人が帰国した。 武漢は外部との交通手段が遮断されて「封鎖」状態になっている。 同省政府は、帰還者全員を自宅まで送るという。 地元メディアでは、搭乗した観光客が「毎日、新型肺炎のニュースを見て、家族をとても心配していた」などの声が伝えられた。(河北省香河県、北京=平井良和、asahi = 2-2-20) マスクを求め、客が殴り合い デマ横行「マスクしか …」 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が全土に広がる中国で、マスク不足が深刻になっている。 買い占めやそれに伴うトラブルが続出。 工場は春節返上で稼働しているが、各地で敷かれる移動規制で作業員の確保も難しく、混乱は当面続きそうだ。 1 月 31 日、上海市松江区のマスク製造工場では、従業員が生産レーンから次々と運ばれるマスクの検品や袋詰め作業に追われていた。 工場内部を内外メディアに公開した上海市政府によると、市内に 17 あるマスク工場の多くが春節休暇を返上して生産を続けているという。 市担当者は「市民の最大の関心事はマスクの確保。 各社全力を注いでいる」とアピールする。 中国政府によると、中国は世界最大のマスク生産国で生産量は全世界の約半分を占める。 国内の全工場を合わせると 1 日約 2 千万枚の生産が可能だが、春節休暇や新型肺炎による住民の移動規制で生産態勢が整わない工場が多く、現在の生産量は 1 日約 800 万枚にとどまる。 生産が需要に追いつかない中、各地でマスクを巡るトラブルが相次いでいる。 上海市内の薬局では 28 日、マスクを求めて行列をつくっていた客同士による殴り合いのけんかが起きた。 河北省唐山市でも薬局の店主と客が口論となり、警察が出動した。 価格も高騰している。 天津市では 12 元(188 円)のマスクを定価の 10 倍以上の値段で販売したとして薬局店が行政処分を受けた。 北京市や黒竜江省、甘粛省などでも通常価格の 2 - 10 倍の高値でマスクを販売したとし、地元政府が薬局に行政処分を出した。 海外の高級ブランドのマスクの模倣品や粗悪品も出回り、広東省では逮捕者も出た。 マスク需要を押し上げるのは、ワクチンも治療薬もない新型ウイルスに住民が募らせる不安だ。 中国の SNS 上には「魚を食べると感染する」、「ドライヤーを 30 秒顔にあてると消毒される」、「アジア人は感染しやすい」など、根拠のない情報も連日数多く投稿されている。 上海市に住む 40 代の男性会社員は「何が真実か分からず結局マスクにすがるしかない。 今は『マスク買った?』があいさつの言葉になっている」と話す。 (上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 2-1-20) 中国国内線 2 割欠航 北京・上海でも 運航データ分析 新型肺炎の拡大で、中国の人・モノの流れが滞っている。 日本経済新聞が中国国内の航空データを分析したところ、28 日は国内線の欠航が 2 割弱になった。 封鎖状態の武漢だけではなく、北京や上海などの大動脈に運航停止が広がる。 トヨタ自動車やホンダは工場再開を 2 月 10 日以降に延期すると決めた。 新型肺炎の収束は見えず、春節(旧正月)休暇が終わる 3 日以降も中国経済への打撃は避けられない情勢だ。 航路を追跡するサイト「フライトレーダー 24」のデータを分析すると、28 日は国内線 1,878 便、国際線 43 便がキャンセルになった。 前日よりそれぞれ 760 便、7 便増えて、国内線は全体の 16% に相当する規模になった。 欠航は大都市に広がる。 28 日にキャンセルが最も多かったのは北京首都国際空港で前日の 79 便から 150 便に膨らんだ。 これに広州白雲国際空港の 124 便、西安咸陽国際空港の 93 便が続いた。 北京空港の欠航では上海行きが 19 便、深セン行きと広州行きが 14 便と、中国経済を支える大動脈の打撃は大きい。 29 日は午後 3 時時点で、国内線の欠航数は早くも前日と同水準となっている。 中国では 24 日から国内の団体旅行を停止し、27 日には対象を海外旅行に広げた。 これまで国際線の影響は軽微だったが、今後は人の流れが滞る可能性がある。 英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ (BA) は 29 日、北京、上海とロンドン間を結ぶ直行便の休止を発表した。 米ユナイテッド航空は米中の主要空港を結ぶ一部の便を運航中止にする。 英政府が中国本土への渡航中止を勧告するなど、感染防止のために人の移動を制限する流れが強まる。 香港政府は 28 日、中国本土からの個人旅行者の受け入れを全面的に停止すると発表した。 航空便は半減の見通しだ。 一方で日本行きの欠航は 28 日が 6 便と全体の約 2% にとどまる。 中国の 11 都市に就航している全日本空輸 (ANA) は武漢便を欠航したが、それ以外の 23 往復は運航を続ける。 日本人駐在員の家族の帰国や、日本での滞在を望む中国の個人観光客の需要がある。 中国政府は春節休暇を 2 月 2 日まで延長した。 上海市や広東省などは 2 月 9 日まで、武漢のある湖北省は 13 日まで企業に休業を求めている。 日本企業も対応を迫られる。 トヨタ自動車は中国での完成車工場の操業再開を当初の 2 月初旬から 10 日以降に延期する。 天津市なども含めて 4 カ所ある全工場を対象にする。 ホンダも 29 日、広州市の四輪車工場の稼働再開を 2 月 10 日以降に延期する方針を明らかにした。 明治は上海市と広州市にある菓子工場で稼働再開を 2 月 10 日に延ばす。 ある物流大手は「物流の回復時期が見えず、海外からの新規発送を見送る荷主が多い」と話す。 中国の交通運輸省は 28 日の旅客総数が 1,359 万人と旧暦の 1 年前に比べ 76% 減ったと発表した。 減少率は日を追うにつれて大きくなっている。 (上海 = 張勇祥、黄田和宏、久保田昌幸、NHK = 1-30-20) 生活・経済を寸断の新型肺炎 中国各地で移動規制広がる 新型コロナウイルスによる肺炎の猛威にさらされている中国で、感染拡大を防ごうと、生活を制限する動きが各地に広がっている。 長距離バスなどの交通機関の停止に加え、商業施設の営業停止も出ており、長引けば経済への悪影響が避けられそうにない。 北京市中心部にある、東北方面への大型バスが発着するバスターミナル。 普段は 1 日約 300 便が出発する拠点だが、26 日朝は建物や駐車場の入り口が封鎖され、人影がなかった。 北京で長距離バスの運行が止まるというニュースが出たのは 25 日の夜。 一夜明けると天津市、山東省、陝西省など各地で次々に同様の動きが発表された。 河南省は省内の街同士を結ぶ路線バスなどの一部を停止し、長江が流れる四川省は、省内の水上交通を停止するなどしている。 こうした規制がいつまで続くのかは、はっきりしない。 SNS 上には、新型肺炎の最初の発生地で事実上の封鎖状態となっている湖北省武漢市を念頭に「このまま封鎖に向かうのではないか」、「いずれは家に帰れなくなる」などと投稿が相次いだ。 26 日の記者会見で、交通運輸省の劉小明次官は「断つのは感染の道であって、市民の生活物資を運ぶ道を断つのではない」と強調。 北京市は中国メディアを通して「街を封鎖することはない」と表明した。 一度は「市外からの車の流入を止める」と発表した広東省スワトー市が数時間後には撤回するなど、当局側も混乱しているようだ。 生活を制約する動きは、交通規制だけではない。 広東省は 26 日、ホテルや美容院、商業施設などを訪れる時のマスクの着用を義務づけ、従わない場合は刑事罰を科すこともあるとした。 浙江省は、老人ホームへの家族の訪問を禁止。 青海省は寺の参拝など人が集まる宗教活動を禁じ、吉林省集安市は人が集まるインターネットカフェや映画館を営業停止にした。 感染拡大の終わりが見えないなか、疑心暗鬼も広がる。 北京市郊外では、感染への不安から村の入り口に土を盛ったり車を並べたりし、人の出入りを管理する村が増えている。 重慶市では 26 日、「新型肺炎の防疫のため、冠婚葬祭が禁止される」などとの話がかけめぐり、30 代の男が SNS 上にデマを流したとして拘束された。 (北京 = 平井良和) 春節経済に影響必至 中国国内で打ち出されている移動規制の対象は、まだ一部の都市だ。 しかし、人の移動や物流が滞れば、市民生活や経済に甚大な影響を与えるのは必至だ。 武漢など事実上封鎖された都市は物流網が遮断され、消費だけでなく生産にも影響が出そうだ。 事態は旧正月(春節)明けまで長引くとみられ、封鎖された都市に帰省していた人々は居住地に戻れず、出勤できなくなるかもしれない。 新型肺炎の広がりは、既に消費に打撃を与えている。 上海ディズニーランドや故宮博物院など、各地の娯楽施設や美術館は軒並み閉館。 例年の春節は多くの映画が封切られるが、中国メディア「新京報」によると、新作の上映中止や感染懸念による閉館から、旧正月元日の 25 日の全国の興行収入は 181 万元(2,851 万円)にとどまった。 昨年の元日の実績は 14.58 億元で、99.88% の減少だ。 中国国家統計局が 17 日に発表した 2019 年の国内総生産 (GDP) の実質成長率は 6.1% で、90 年以来の低水準だった。 15 日に署名された米中通商協議の「第 1 段階の合意」で下げ止まりが期待されていたが、結果的には今年 1 - 3 月期の成長率は大きく落ち込む可能性がある。 中国国内の悪影響だけでなく、外国を訪れる中国人の減少などで、世界経済にも暗い影を落としかねない。 (福田直之) 共産党に危機感 「党中央と全国人民に心配をかけ、うしろめたく自責の念を感じている。」 湖北省の王暁東省長は 26 日夜に会見を開き、感染拡大について謝罪した。 前日、習近平(シーチンピン)国家主席は最高指導部メンバーの会議を開き、「感染防止は現在、最も重要な任務だ」と号令をかけたばかり。 武漢市と湖北省の初動の遅れを挽回(ばんかい)しようとするかのように、ツアー旅行の禁止や国内各地の交通制限措置などを矢継ぎ早に打ち出した。 背景には、新型肺炎への対応が党の権威を揺るがしかねないという危機感がある。 武漢を中心に死者が出始めていた時期、湖北省トップら高官が出席して春節を祝う大宴会を開いたことなどをめぐりネットで不満が広がり、批判の矛先が中央政府に向きつつあった。 春節に会議を開いたのも、信頼回復を狙う意図が見える。 共産党関係者は「感染状況がひどすぎる。 党中央は感染状況への反応が鈍かった武漢市や湖北省に強い不満がある。 国民に党の誠実な姿を示す必要があった。」と明かす。 対外的なメッセージもありそうだ。 2003 年に SARS (重症急性呼吸器症候群)が蔓延した際、中国政府の対応は国際的な批判を受けており、党関係者は「この時の教訓から多くを学んだ」と話す。 (北京 = 西村大輔、asahi = 1-27-20) |