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中国「ゼロコロナ」政策、なぜ苦境 習指導部の「堅持」、リスクにも

新型コロナウイルスの抑え込みを徹底して図る中国の「ゼロコロナ」政策が、感染力の強いオミクロン株の出現で苦境に陥っている。 都市封鎖(ロックダウン)や厳しい行動制限が各地で続き、政策への不満は高まる。 それでも、「体制の優位性」によってコロナを封じ込めてきたと主張する共産党指導部は、今秋の党大会を控えて政策を堅持する構えだ。 「この勝利によって、『ウイルスとの共存』、『オミクロンには勝てない』といった誤った言論に力強く反撃した。」 中国東北部・吉林省政府の幹部は 14 日、隔離施設などコントロール下にある場所以外からは感染者が出なくなったと発表した会見で、批判も目立つようになったゼロコロナ政策の成果を強調した。

3 月に入り感染が拡大した中国で吉林省は特に感染者が多く、3 月 14 日に確認された中国本土の市中感染者(5,154 人)のうち 8 割近くにのぼった。 その後、省都・長春市のロックダウンや各地の厳しい行動制限を経て、4 月 15 日には中国本土の市中感染者(2 万 4,680 人)の約 3% となった。 だが、中国全体の感染者は 3 月より大きく増えている。 この日、全体の約 95% を占めたのが上海市の市中感染者だ。 3 月 28 日に始まったロックダウンはいまも広い範囲で続き、3 月からの累計の市中感染者数は 32 万人を超えた。 市政府は多数の仮設病院を整備したが、雨漏りでベッドが水浸しになる様子を映した動画が拡散するなど、場所によっては劣悪な環境に批判が出ている。

西安で再び

4 月に入り、15 日までに累計 43 人の市中感染者が確認された中部の陝西省西安市では、16 日から移動制限が始まった。 約 1,300 万人の市民に対し、19 日まで自宅の敷地内にとどまり不要な外出は控えるよう要請した。 飲食店はデリバリーや持ち帰りのみとし、商業施設やカラオケなどの娯楽施設は営業を停止する。 同市は昨年 12 月 23 日から約 1 カ月間、ロックダウンの状況に置かれたが、再び厳しい対策を迫られた。

米ブルームバーグなどによると、11 日時点で 45 の都市で全域か一部が封鎖されている。 あまりに厳格なゼロコロナ政策に対し、緩和を求める声は日に日に強まる。 だが、習近平(シーチンピン)国家主席が政策を変える様子は見えない。 習氏は 13 日、視察先の海南省で「コロナ感染は深刻であり、対策を緩めてはならない。 ゼロコロナを堅持し、油断や厭戦気分を克服していく必要がある。」と発破をかけた。 習指導部が政策変更に踏み切らないのは、「他国より封じ込めに成功している(衛生当局関係者)」ことが大きな理由だが、それだけではない。

なぜ政策を変えない?

習氏は 3 月 17 日、最高指導部メンバーである政治局常務委員を集めた会議で「わが国の感染対策は世界をリードする地位を保ち、中国共産党の指導と社会主義制度の顕著な優位性を十分に示している」と語った。 ゼロコロナ政策を政治制度の正統性アピールに利用してきた手前、否定や変更は難しい状況だ。 習氏は同じ会議で、「各級党幹部は積極的に役割を果たし、庶民の困難を解消せよ。 職責を果たさず感染を制御不能にするケースは、直ちに処分する」とも述べた。 実際、3 月以降に更迭などの処分を受けた地方政府や党の幹部は、120 人以上に達している。 習氏にとっての最重要課題は今秋の党大会だ。 3 期目の続投のためにもこれ以上の感染拡大は許されない。

党関係者は「すでに政治的に敏感な時期に入っている。 コロナ対策は、強化はあっても緩めることはない。」と言い切る。 その姿勢は、今後のリスクともなりうる。 中国の感染症の歴史に詳しい青山学院大の飯島渉教授(医療社会史)は「今後もゼロコロナ政策と相性の悪いウイルス変異が起こる可能性が高いので、対応はますます難しくなるだろう。 『体制の優位性』と感染抑制を関連づけて宣伝し、政策を変える自由度を自ら封じてしまっているだけに、これから襲来するかもしれない感染の波に対応しにくい社会になってしまっている」と話す。 (瀋陽 = 金順姫、上海 = 井上亮、北京 = 冨名腰隆、asahi = 4-17-22)


中国 3 億 7 千万人が制限下 都市封鎖で、全人口の 26%

【北京】 新型コロナウイルスが再流行する中国で、45 都市で何らかの都市封鎖(ロックダウン)が行われ、対象者が 3 億 7,300 万人に上るとみられることが分かった。 調査した野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)が 16 日までに明らかにした。 全人口の 26.4% が行動制限を受けている計算だ。 都市封鎖になると自宅や施設に隔離されたり、居住区から出られなくなったりする。 上海市を中心に感染の拡大傾向が続く一方、習近平国家主席は感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」継続を強調しており、行動の自由を奪われる人がさらに増える可能性がある。 (kyodo = 4-16-22)


上海市トップを「市民が批判」動画、拡散 最高指導部入りに響く?

ほぼ全域でロックダウン(都市封鎖)が続く中国の上海市で、市トップの李強・共産党委員会書記が住民から批判されたとされる動画が出回った。 多くは削除されたが、今秋の最高指導部入りの可能性もささやかれる李氏にとって、政治的ダメージとなりかねない。 中国メディアによると、李氏は 11 日、市内の住宅地を視察。 医療関係者や住民ボランティアらを激励して回ったという。 ただ、中国の SNS 上には、李氏が住民から「生活問題をどうにかして」などと抗議を受けた様子とされる動画が公開され、広く拡散された。 中国メディアはこうしたやり取りを伝えていない。

市内で 12 日に確認された市中感染者は 2 万 6,330 人。 2 日ぶりに過去最多を更新し、感染拡大が収まっていない。 特に、食料が手に入りにくい状態が続いていることから、SNS では不満の声があふれている。 李氏は現在、党序列で上位 25 人に含まれる政治局員を兼ねる。 習近平(シーチンピン)国家主席が浙江省党委書記だった 2000 年代半ば、同省秘書長として支えた最側近の一人だ。 次期党大会で最高指導部である政治局常務委員入りも有力視されるが、感染を抑え込めない状況に手腕を疑問視する声も出始めている。

5 年に 1 度の共産党大会を今秋に控え、習氏は異例の 3 期目入りをめざしているとされる。 上海の動向は国民の「党への信任」にも影響を与えかねず、習指導部は神経をとがらせている。 (上海 = 井上亮、asahi = 4-14-22)


感染者ない区域、段階的に封鎖解除へ ロックダウン続く中国・上海市

ほぼ全域でロックダウン(都市封鎖)が続く上海市の政府は 9 日、直近の 14 日間で感染者が出ていない区域は外出可能にする方針を示した。 だが、感染拡大が収まっておらず、当面多くの区域では封鎖が続くとみられる。 全面的な解除にはまだ時間がかかりそうだ。 発表によると、あと 1 回全市民を対象にしたPCR検査を行い、その結果で判断するとしている。 居住エリアごとに三つのグループに分けて、リスクの低い場所から解除を進める。 @ 直近の 14 日間で感染者が出ていない区域は外出可能、A 直近 7 日間で感染者が出ていない区域は、自宅敷地内のみ外出可能、B 直近 7 日間で感染者がいた区域は外出禁止、とする。

上海では 3 月末から、市域を東西に分けて 2 段階でロックダウンを始めた。 当初、東部は 1 日まで、西部は 5 日までの計画だったが、約 2,500 万人の全市民を対象にした PCR 検査で多くの感染者が見つかり、ほぼ全域で封鎖を延長している。 8 日に確認された市中感染者は 2 万 3 千人超となり、8 日連続で過去最多を更新した。 外出禁止は、長い人では 1 カ月近くになる。 料理や食材のデリバリーは、配達員の人手不足で注文しにくい状態が続いており、ネット上では「肉と野菜が尽き、米と水だけの生活だ」などという切実な訴えも出ている。

高まる食料不足への不満を受けて、市政府は各家庭に肉や野菜を無料で配給するほか、マンションや地区ごとにグループで購入できる準備を進めている。 高齢者が人工透析を受けられず亡くなる事例や、子どもを親と引き離して隔離する運用などにも批判が集中し、市政府は 9 日の記者会見で、「封鎖が長引き、基本的な生活のニーズは食品から、日用品や医薬品に広がってきている。 高齢者や乳幼児に対しては特別な供給態勢を整えた。」と説明した。 これまで封鎖の出口が見えなかった市民からは「もう少しの我慢だ」などと前向きに捉える声が出ている。 ただ、今後も当面の間封鎖が続く区域は残るため、しばらく生活や医療面で制限が出る状況は続きそうだ。 (上海 = 井上亮、asahi = 4-9-22)


PCR 検査拒否の女性を部屋から連れ出し … 行政処罰 感染者 1 万 3,000 人超、ロックダウン継続の上海

中国当局は 4 月 4 日、全市民を対象にした PCR 検査が実施されている上海で、検査を拒否した女性に行政処罰を下した。 中国メディアが報じた。 ほぼ全域で事実上のロックダウン状態が続く上海では 4 日、1 万 3,000 人を超える感染者(無症状を含む)が見つかっており、人民解放軍の医療部門が派遣されるなど対応が強化されている。

部屋から連れ出し、車に

上海市当局の発表によると、市内では 4 日、有症状 268 例、無症状 1 万 3,086 例の新型コロナウイルス感染者が見つかった。 上海市では東西に分けた事実上のロックダウン措置が 3 月末から 4 月初めにかけて開始された。 当初は両地域とも 4 日間の予定だったが、ほぼ全域で措置が続く。 市当局は 4 日夜、全市民を対象とした一斉 PCR 検査が完了したと発表した。 その上で、検査結果の分析などが終わるまで、封鎖措置を継続するとした。

国内最大の経済都市を対象にした封鎖措置では混乱も起きている。 東部エリアが封鎖されると発表された 3 月 27 日夜には、対象地区のスーパーマーケットなどの営業が深夜 0 時まで延長され、買い占め騒ぎが起きた。 ネット空間では地元政府に批判的な意見も上がり、一部の投稿は削除された。 また 3 月 31 日には市の東部で、マスクをつけず、封鎖エリアを出ようとした 46 歳の男性が行政処罰を受けた。 中国メディアによると、2 日には PCR 検査を拒否しようとした女性が、同じく行政処罰を言い渡された。 いずれも詳しい処罰の内容は明らかにされていない。

中国メディアは、防護服を着た当局者とみられる人たちが女性の部屋を訪れ、法律違反を犯したと通告したあと女性を連れ出し、車に乗せ連行する動画をアップしている。 上海には、天津市や江蘇省などの他地域に加え、人民解放軍の医療部門から医療従事者が派遣されるなど、対応が強化されている。 (Huffpost = 4-5-22)


中国の新型コロナ新規感染 1 万 3,000 人 = 都市封鎖の上海で 8,000 人超

【北京】 中国政府は 3 日、新型コロナウイルスの市中感染者を 2 日に 1 万 3,146 人(うち無症状 1 万 1,691 人)確認したと発表した。 中国の新規感染者が 1 日 1 万人を超えたのは、湖北省武漢市で感染爆発が起きていた 2020 年 2 月、診断基準を変更して約 1 万 5,000 人の新規感染を発表して以来。 無症状感染者数の公表を始めた 20 年 3 月末以降では最多を記録した。 ロックダウン(都市封鎖)が続く上海市では、2 日も過去最多の 8,226 人(うち無症状 7,788 人)の市中感染が確認された。 3 月 28 日に始まった市東部の封鎖は 4 月 1 日に解除予定だったが、ほとんどの地域が厳しい外出制限を継続。 1 日から封鎖が始まった市西部も、予定通り 5 日に解除されるかは今後の感染状況次第だ。 (jiji = 4-3-22)


3 月の新型コロナ市中感染 10 万人超 = 上海西部で都市封鎖開始 - 中国

【北京】 中国政府は 1 日の記者会見で、新型コロナウイルスの 3 月の市中感染者(無症状を含む)が 10 万 3,965 人に上ったことを明らかにした。 2020、21 の 2 年間の累計患者数をわずか1カ月で上回り、感染力の強いオミクロン株の広がりを示した。 感染者は 29 省・直轄市・自治区とほぼ中国全土に拡大。 吉林省では累計 4 万 4,000 人、上海市では同 3 万 6,000 人に達している。 上海では 1 日から、日本人が多く住む西部でロックダウン(都市封鎖)が始まった。 3 月 28 日 - 4 月 1 日には市東部でロックダウンが行われたが、この間も上海の新規市中感染者は 1 日 4,000 - 5,000 人台で高止まりしている。 (jiji = 4-1-22)


中国・上海市、2 分割し事実上のロックダウン

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中国・上海市は急きょ、市を 2 分割して、順次、大規模な封鎖を実施すると発表しました。 事実上の "ロックダウン" です。 上海市では 26 日に無症状を含めて 2,676 人の感染者が確認されるなど、今月に入って感染拡大が続いています。 そのため、上海市は、人口およそ 2,600 万人が住む市を東西の 2 つのブロックに分け、東側を 28 日午前 5 時から 4 日間、西側は来月 1 日午前 3 時から 4 日間封鎖すると発表しました。 封鎖期間中、住民の外出は禁止され、一斉の PCR 検査が行われます。

また、封鎖地域では、医療従事者や宅配業者など以外は出勤が禁止となり、地下鉄やバス、タクシーなど交通機関の運行も停止されます。 上海市当局はこれまで、「経済への影響が大きすぎるため、ロックダウンはしない」と説明し、感染者の見つかった団地やビルなど小規模な地区封鎖を繰り返してきました。 そのため市民からは、「結局、事実上のロックダウンじゃないか」、「自分の団地は、何度も封鎖されてきたのに、これからさらに本格的なロックダウンが始まるのか」と、市当局への不満が噴出しています。 (日テレ = 3-28-22)


中国でコロナ拡大 3 月の最多更新 5,600 人、ゼロコロナ政策は維持

中国政府は 26 日、前日に確認された中国本土の新型コロナウイルスの市中感染者が 5,600 人(うち無症状は 4,320 人)だったと発表した。 感染流行の初期に湖北省武漢市を中心に拡大して以来の勢いで、3 月の 1 日あたりの市中感染者としては最多となった。 当局は各地で大規模な PCR 検査を繰り返し、居住区の封鎖や市民の行動制限を続けている。 3 月に入って 31 省・自治区・直轄市のうち 28 で感染者が出ており、中国本土の 1 - 25 日の市中感染者は約 6 万 1 千人となった。 18 日には感染者 2 人の死亡が確認された。 死者が出たのは約 1 年 2 カ月ぶりだった。

東北部の吉林省長春市は 11 日から事実上の都市封鎖(ロックダウン)となり、解除の見通しは立っていない。 遼寧省瀋陽市でも全住民を対象にした PCR 検査が続き、感染者が出た居住区は封鎖されている。 中国政府の危機感は強い。習近平(シーチンピン)国家主席は 17 日、共産党指導部の会議を主宰。新華社通信によると、習氏は「堅持こそ勝利だ」と述べ、厳しい対策で感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策を今後も徹底するよう指示した。 (瀋陽 = 金順姫、asahi = 3-26-22)


中国・瀋陽もロックダウン、地下鉄やバスの運行停止 … 各地で感染再拡大

【北京 = 川瀬大介】 中国東北部の遼寧省瀋陽市は 24 日、新型コロナウイルス対策として、人口約 900 万人の市内全域で事実上のロックダウン(都市封鎖)を開始する。 これまでの住民の移動制限に加え、企業の操業や事業所・店舗の営業を制限し、地下鉄やバスの運行も停止する。 30 日までのロックダウン期間では、全住民を対象に PCR 検査を追加で 3 回実施する。 中国本土では各地で感染再拡大が続き、22 日の市中感染者は無症状を含めて計 4,937 人となった。 22 日からは人口約 770 万人の河北省唐山市も住民の外出制限を強化している。 (yomiuri = 3-23-22)


人通りまばら、邦人駐在員「出張全てキャンセル」 コロナ禍の上海

人口 2,400 万人を抱える中国・上海で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。 市政府は「ロックダウンはしない」と宣言しているが、3 日間で人口を超える数の PCR 検査を行い、感染者を徹底的にあぶり出す構えだ。 住宅やオフィスの封鎖など厳しい行動制限もかかる。 感染爆発か抑え込みか - -。 在留邦人の暮らしにも影響が出るなか、市当局は瀬戸際に立たされている。

記者のマンションでも …

「コロナの調査のため、無料の PCR 検査を一度受けてください。」 昨年春から上海に駐在する記者が住むマンションのエレベーターの中に、「緊急告知」が張り出されたのは 19 日だった。 翌 20 日に地域の文化施設に行き、市当局が実施する検査に協力するよう促す内容だ。 検査は午前 9 時から始まった。 記者は検査を早めに済ませようと開始直後には会場の文化施設に到着。 だが、現場には工事用のヘルメットをかぶった建設労働者らしきグループなどがすでに長蛇の列をなしていた。

施設では防護服を着た係員が 2 人 1 組、4 班態勢で検査に当たっていた。 検査を受ける人はスマホを取り出して個人情報の QR コードを示し、係員がそれを読み込む。 もう一人の係員が口に棒を入れ、のどの奥の粘膜をぬぐった。 ものの 10 秒ほどの検査で、並び始めてから 20 分ほどで終わった。 上海では、1 日からの累計の市中感染者は約 2,300 人に上る。 湖北省武漢市で新型肺炎が確認され、大混乱になった 2020 年初頭を超えるペースだ。 今回の特徴は、無症状の感染者が多い点で、19 日現在、感染者の約 9 割が無症状だ。 中国メディアによると、上海などで検出されているのは、オミクロン株の一種で感染力がより強いとされる「BA.2」。 軽症や無症状が多いという。

3 日で延べ 3 千万回

そのため、市政府は感染者を洗い出そうと、市内に広く網をかけて検査をすることを決めた。 潜在的な感染者が多いとみられる「重点区域」では、マンションや自治会ごとに 48 時間封鎖し、住民は全員 2 回の PCR 検査を受ける。 それ以外の区域では、記者のように指定された日時に検査を受けることになる。 感染者が見つかれば、マンションごと 14 日間の隔離措置がとられることがある。 基本的には外出が禁止になり、出前も係員が届けるなどの運用となっているようだ。

感染者が多く出ている区に住む男性 (62) は、48 時間の封鎖が終わった翌日、さらに 48 時間延長されたという。 「出られたと思ったらまた封鎖。 市から詳しい情報がなく、何が起きているのかわからない」と困惑していた。 SNS には情報不足を指摘する書き込みも少なくない。 市衛生当局の 21 日の記者会見によると、18 - 20 日に集中的に行った PCR 検査は、延べ 3 千万回を超えた。 3 日間で市の人口を上回る数の膨大な検査を行ったことになる。 各地で「封鎖 + PCR 検査」という対策が取られて 2 週間ほど経つので、一連の検査数は桁違いに多いとみられる。

「出張、すべてキャンセル」

影響は日本人コミュニティーも直撃した。 上海は 21 年 10 月時点で約 3 万 8 千人の在留邦人を抱え、世界の都市別で 4 番目に多い。 オフィスの閉鎖も相次ぎ、駐在員の多くは在宅勤務に切り替えて出勤を控えている状況だ。 通算で 6 年間上海に駐在する男性社員 (44) は、「この緊張感は、上海ではじめてコロナが拡大した 2 年前を思い出す」と話す。 メーカーの女性社員 (35) は「予定していた出張はすべてキャンセルになり、仕事が滞っている。 中国のお客さんは対面を重視するのに …。」という。 このほか、市内の小中学校はすべてオンライン授業に切り替わっている。 普段は混んでいる地下鉄や道路も、打って変わって人影は見えない。

いつもは混雑の繁華街も …

18 日、上海を代表する観光地・外灘を歩く人はまばらだった。 時々、家族連れが散歩していたり、ランナーが走っていたりする姿が見られるくらいだ。 自宅が封鎖されていなければ、外出は可能だ。 だが仕事も在宅勤務に切り替えている人が多く、買い物はネット上で済む。 そのためわざわざリスクを冒してまで外に出かける人は少ないようだ。

外灘のすぐそばにある繁華街・南京東路の歩行者天国。 いつもは観光客でごったがえすが、この日は人通りはほとんどなかった。 暇そうにスマートフォンをいじっていた土産物屋の女性店員に話を聞くと、「先週の頭ごろからどんどん人が減った。 こんな状態じゃ商売になるわけがない。」と投げやりに話した。 各地に目を転じても、吉林省長春市や広東省深セン市などで感染が急拡大。 事実上のロックダウンに追い込まれた。 全国の新規の市中感染は、この 1 週間は 1 日 2 千 - 5 千人という過去最多の水準で推移している。

どちらへ向かうか、対コロナ政策

こうしたなか、医療体制や PCR 検査能力の逼迫が指摘されている。 中国の衛生当局は、PCR 検査の補助的な位置づけとして、市民が自ら購入した抗原検査キットで自ら感染の有無を調べることも認めることにした。 また、当局はコロナ診療の基準を改定し、軽症者は隔離の際に入院しなくてもいいと運用を変えた。 厳しい対策で感染者を抑え込む「ゼロコロナ」を続けてきた中国。 今秋の党大会までは継続するとの見方が大勢だが、こうした政策変更を「ウィズコロナ」への転換の布石と見る向きもある。 なし崩し的にウィズコロナへと進むのか、あくまでもゼロコロナを堅持するのか、中国は岐路に立たされている。 (上海 = 井上亮、asahi = 3-22-22)


中国のコロナ新規感染者増加、上海で無症状感染が拡大

[上海] 中国本土で 20 日に確認された症状のある新規国内感染者は 1,947 人と、前日の 1,656 人から増加した。 国家衛生健康委員会が 21 日発表した。 無症状感染者も 2,384 人と、前日の 2,177 人から増加した。 上海では症状のある新規感染者が 24 人、無症状感染者が 734 人となった。 無症状感染者は 4 日連続で増加した。

同市の保健当局者は記者会見で「われわれが直面する感染抑制・防止の状況は非常に複雑かつ深刻であり、大きな試練だ」と述べた。 感染拡大を抑えるための「ダイナミック・クリアランス」戦略を堅持する方針も示した。 国内最大の鉄鋼生産地、河北省唐山では、19 日以降の国内感染者は 12 人にとどまっているものの、一部の道路で必要不可欠な車両のみに通行を制限している。 一方、南部の深センでは、全市民への 3 回にわたる検査実施後に新規感染者が減少したことを受け、大半の地域で企業活動や公共交通機関の再開を認めた。 (Reuters = 3-21-22)


上海ディズニー、臨時休園 = コロナ感染拡大で - 中国

【上海】 中国メディアによると、上海ディズニーランドは、新型コロナウイルスの市中感染拡大を受け、21 日から臨時休園すると発表した。 テーマパークに隣接するディズニータウンなども閉鎖される。 営業再開時期は未定で、当局と協議して決めるという。 コロナの流行に伴う上海ディズニーの本格的な休業は 2020 年 1 月以来 2 年 2 カ月ぶり。 当時は営業再開までに 3 カ月半を要した。 (jiji = 3-21-22)


新型コロナ感染者 2 人死亡 吉林市 中国で 1 年ぶり

【北京】 中国国家衛生健康委員会は 10 日、東北部の吉林省で新型コロナウイルス感染者 2 人が死亡したと発表した。 いずれも基礎疾患があり、直接の死因はコロナと判定されなかったが、国内で感染者の死亡が確認されたのは昨年 1 月以来、約 1 年 2 カ月ぶり。 吉林市によると、死亡したのは同市の 65 歳と 87 歳の男性で、死因はそれぞれ高カリウム血症や肺塞栓症などと診断された。 (jiji = 3-19-22)


新型コロナ、中国本土で新たに 1,317 人感染確認

【北京】 中国国家衛生健康委員会は 17 日、31 省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団から 16 日に報告を受けた新型コロナウイルスの新規感染者(無症状感染者除く)が 1,317 人だったと発表した。

市中感染症例は 1,226 人(吉林省 742 人、福建省 99 人、広東省 83 人、遼寧省 62 人、天津市 48 人、河北省 38 人、山東省 36 人、浙江省 27 人、陝西省 26 人、黒竜江省 16 人、甘粛省 12 人、上海市 8 人、広西チワン族自治区 7 人、江蘇省 5 人、雲南省 5 人、北京市 4 人、重慶市 4 人、貴州省 2 人、安徽省 1 人、江西省 1 人)で、残り 91 人は境外(外国と香港、マカオ、台湾地区)で感染したと思われる輸入症例(広東省 21 人、上海市 15 人、浙江省 11 人、天津市 10 人、北京市 8 人、山東省 6 人、江蘇省 5 人、広西チワン族自治区 5 人、遼寧省 4 人、福建省 2 人、四川省 2 人、雲南省 1 人、甘粛省 1 人)だった。 (中国・新華社 = 3-17-22)


中国・深センの iPhone 生産工場が操業停止 事実上のロックダウンで

アジアの「シリコンバレー」と呼ばれる中国・深センで事実上のロックダウンが始まったことを受けて、アップルのアイフォーンを生産する工場が操業を停止した。 新型コロナの感染が増加傾向にあるのを受け、広東省深セン市は 14 日から事実上のロックダウンを開始し、各企業にリモートワークや工場の操業停止などを求めている。

中国メディアによると、これを受けてアップルからアイフォーンの生産を請け負っている台湾のフォックスコンは、14 日、深センにある関連工場の操業を停止すると発表した。 また、アイフォーン基盤を納入しているユニマイクロンの子会社も工場の操業を停止した。 深センには他にも中国を代表する IT 大手のファーウェイやテンセントが本社を構えていて、ロックダウンは世界経済にも影響を及ぼしそうだ。 (ANN = 3-14-22)

◇ ◇ ◇

中国・深センで "ロックダウン" 開始 13 日の市中感染者 86 人

人口 1,700 万人の中国南部の大都市・広東省深セン市で、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、事実上のロックダウンが始まった。 深セン市では、14 日の午前 0 時から 20 日まで、事実上のロックダウンが始まった。 市民には、3 回の PCR 検査が義務づけられたほか、住宅地や工場は原則封鎖され、地下鉄やバスなどの公共交通機関も運休となった。 医療機関やスーパーなどは利用できるが、前日の夜には、食料品などを求めて、多くの人々が店につめかけた。

スーパー関係者「現在、深セン市では感染防止に全力で対応しているので、野菜や米が買えないことはありません。」

深セン市は、中国の通信機器大手「ファーウェイ」のほか、多くのハイテク企業が集中していて、世界経済にも影響が出るとみられる。 深セン市では 2 月中旬以降、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、13 日は 86 人の市中感染者が確認されている。 (FNN = 3-14-22)


中国でコロナ感染者急増 人口 900 万人の都市を封鎖

中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。 11 日には北東部の吉林省にある人口約 900 万人の長春で、ロックダウン(都市封鎖)命令が出された。 全国の感染者数は、ここ 2 年で最多の水準に上っている。 吉林省の省都で、主要工業都市の長春市は住民に対し在宅勤務を命じるとともに、「生活必需品」の買い物も 1 人につき 2 日に 1 回までに制限した。 集団検査も実施する予定。

また上海市も、学校を閉鎖しオンライン授業に切り替えるよう通達を出した。 中国でも感染力の強い変異株「オミクロン株」が検出されている。 全国の 1 日の新規感染者数は、3 週間前は 100 人未満だったが、今週には 1,000 人を超えた。 1,000 人を上回ったのは、2020 年の流行初期以降では初めて。 公式集計によると、11 日には 10 余りの省で計 1,369 人の感染が確認された。 中国の著名な専門家は、他国にならい、中国もウイルスとの共存を目指すべきだと提言している。 しかし、今回改めてロックダウンが講じられたことから、一人の感染も許さない「ゼロコロナ」方針が近く撤廃される可能性は依然低いとみられる。 (AFP/時事 = 3-12-22)


新型コロナ、中国本土で新たに 528 人感染確認

【北京】 中国国家衛生健康委員会は 10 日、31 省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団から 9 日に報告を受けた新型コロナウイルスの新規感染者(無症状感染者除く)が 528 人だったと発表した。

市中感染症例は 402 人(吉林省 165 人、山東省 66 人、甘粛省 66 人、陝西省 21 人、天津市 19 人、広東省 17 人、江蘇省 13 人、河北省 10 人、北京市 4 人、遼寧省 4 人、上海市 4 人、内モンゴル自治区 3 人、浙江省 3 人、雲南省 3 人、山西省 2 人、河南省 2 人)で、残り 126 人は境外(外国と香港、マカオ、台湾地区)で感染したと思われる輸入症例(上海市 42 人、広東省 33 人、北京市 14 人、広西チワン族自治区 12 人、河南省 7 人、四川省 4 人、甘粛省 4 人、黒竜江省 3 人、浙江省 3 人、雲南省 2 人、江蘇省 1 人、福建省 1 人)だった。 (中国・新華社 = 3-10-22)


北京パラと全人代開催のなか、再び中国でコロナ感染拡大

北京パラリンピックと全人代 = 全国人民代表大会が開催される中国で、再び新型コロナウイルスの感染が拡大しています。 中国では 7 日、北京や上海、山東省など全国 16 の省や直轄市で 505 人の感染者が確認され警戒が強まっています。 李克強首相は 5 日の全人代の開幕式で、コロナ対策について「局地的な流行に科学的に対処する」としたうえで「正常な生産活動や生活の秩序を保つ」と強調しました。 都市封鎖などの厳しい対応で経済活動や市民生活に多大な影響が出ていることを踏まえ、犠牲を最小限に留める考えを示した形です。 (テレ朝 = 3-8-22)


新型コロナ、中国本土で新たに 224 人感染確認

【北京】 中国国家衛生健康委員会は 25 日、31 省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団から 24 日に報告を受けた新型コロナウイルスの新規感染者(無症状感染者除く)が 224 人だったと発表した。

市中感染症例は 82 人(内モンゴル自治区 30 人、遼寧省 18 人、広東省 8 人、四川省 5 人、雲南省 5 人、広西チワン族自治区 4 人、山西省 3 人、北京市 2 人、江蘇省 2 人、湖北省 2 人、天津市 1 人、黒竜江省 1 人、山東省 1 人)で、残り 142 人は境外(外国と香港、マカオ、台湾地区)で感染したと思われる輸入症例(上海市 59 人、広東省 52 人、北京市 8 人、四川省 7 人、福建省 4 人、広西チワン族自治区 4 人、吉林省 2 人、江蘇省 2 人、黒竜江省 1 人、浙江省 1 人、山東省 1 人、湖北省 1 人)だった。 (北京・ 新華社 = 2-25-22)


中国のアルミ生産拠点、コロナで都市封鎖 世界市場に影響も

【北京・坂本信博】 ベトナムと国境を接する中国南部の広西チワン族自治区百色市(人口約 360 万人)で 7 日から、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)が続いている。 感染が広がった 5 日以降の感染者数(無症状含む)は 9 日までに計 192 人で日本や欧米に比べると大幅に少ないが、習近平指導部の「ゼロコロナ」政策で当局は市民に自宅待機を求め、多くの企業が活動を停止。 市は世界最大のアルミニウム生産国である中国でも有数の産地で、国内外でアルミ価格の高騰が懸念される。

中国メディアによると、春節(旧正月)中に広東省深セン市から百色市へ戻ってきた人からオミクロン株が検出され、6 日からは 1 日数十人のペースで感染者が増加した。 中国政府は北京冬季五輪期間中の感染拡大に警戒を強めており、市政府は学校の休校や公共交通機関の運行停止などのほか、大規模な PCR 検査と感染者の隔離で封じ込めを図っている。 今月末か 3 月上旬まで都市封鎖が続くとみられる。

百色市は、自動車や飲料の缶など多くの製品に欠かせないアルミの一大生産拠点。 厳格な防疫対策でアルミ工場の操業や貨物輸送に影響が出ており、中国ではアルミの市場価格が急騰し始めている。 ロンドン市場のアルミ価格も 8 日、4 カ月ぶりの高値を付けた。 中国では昨年暮れから 1 月下旬まで陝西省西安市で都市封鎖が実施され、市民に食料が行き渡らなかったり、妊婦が受診できずに死産したりする悲劇が起きている。 五輪で世界の注目が集まるさなかでもあり、官製メディアは百色市には食料や医療物資が豊富にあることを PR している。 (西日本新聞 = 2-11-22)


北京五輪、日本代表選手 1 人が中国での検査で陽性 出場可否は未定

日本オリンピック委員会 (JOC) は 2 日、北京五輪の日本代表団でスキーの選手 1 人が、新型コロナウイルスの PCR 検査で陽性判定となったと発表した。 今大会で日本選手の陽性が判明したのは初めて。 症状はないという。 JOC によると、この選手は渡航前の検査では陰性だったが、1 日に中国国内で行った検査で陽性判定が出た。 この選手は現在、現地で隔離措置がとられているという。 大会出場の可否は、国際オリンピック委員会や大会組織委員会が判断する。 昨夏に行われた東京五輪では、陽性判定が出た日本選手はいなかった。 (asahi = 2-2-22)


北京五輪直前、厳戒「バブル」突入 待っていたのは白い防護服の人々

少しかすんだ北京中心部を左手に眺めつつ、北京首都空港に到着した私を待ち受けていたのは、全身を白い防護服で覆った人たちだった - -。 2 月 4 日に開幕する北京冬季五輪に向け、大会を取材する朝日新聞記者が 1 月 26 日午後、東京から北京に入った。 滑走路からターミナルに向かう途中、窓外をのぞくと、地上職員までみんな防護服姿だった。 北京五輪では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、選手団や大会関係者、報道機関などを一般の社会と隔てる「バブル方式」を取っている。 バブルの外に出ることは許されない。 私の口元には医療用マスク。 もうここはバブルの中なのだ。 「これからどんな厳しい手続きが待っているのか」と緊張感が増した。

まず検査、綿棒を鼻と口に入れられ

飛行機を降りると、防護服の人たちが入国手続きや PCR 検査を順路に従って案内してくれた。 航空会社の地上スタッフという女性は「国際線ターミナルではみんな防護服を着ています。 これなら私たちも安心だし、2 日に 1 回の PCR 検査もあります。」 聞けば、彼女のようなスタッフも皆、これから 1 カ月間、バブル内のホテルで寝泊まりをし、外界との接触を断つという。 東京大会では、国内ボランティアなどバブル内で活動する人は、公共交通機関を利用してバブル外の自宅から通っていた。 これと比べて厳しいといえる。 女性はそれでも「新型コロナのことなので仕方ありません。 もちろん、皆さんのことを歓迎します。」と防護服の下から笑顔をのぞかせた。

搭乗した便の乗客は報道関係者ら 10 人。 同時間帯に他の到着便もなく、個別のブースが十数カ所並んだ PCR 検査場では、待ち時間なく検査が受けられた。 看護師の女性が「少し気持ち悪いかもしれません」と言いながら、検査の綿棒を口と鼻にさし入れ、最後に顔写真を撮った。 この PCR 検査の結果が陰性とわかれば、その日のうちにバブル内での行動が可能になる。 昨夏の東京五輪では、当時の日本政府の方針に準じ、選手以外には 3 日間の自主隔離が要請されていたので、それに比べると制約は少ない。

入国手続きでは「警察」という名札をつけた職員がパスポートをチェック。 その後、人さし指を少し下に曲げるしぐさを見せた。 どうやら顔写真の確認のため「マスクを下げて」という指示だったようだ。 確認を終えると、無言でパスポートを返された。 専用の動線を確保するために普段は使っていないスペースを使ったのか、手持ちの荷物を通した税関申告の検査機やパソコンは、ホコリをかぶって真っ白だった。

バス待ちスペース、鼻をつく塩素の匂い

手続きが終わると、ホテルへの直行バスを待つスペースに誘導された。 塩素の匂いが鼻をつく。 「ここは消毒済み」の大きな貼り紙が壁に貼られ、ほぼ 2 時間おきに刻まれた消毒時間と担当者のサインが添えられていた。 飛行機を降りてから、バスに乗り込むまで約 40 分。 「手続きが順調に終わった」とほっとすると同時に、ふとあることに気がついた。 到着時に提示を求められると言われ、出発前から手間と時間をかけて入力していたスマホアプリの「健康申告」を一度も使わなかったことだ。

出発日の 14 日前から毎日、アプリで体温や体調を申告。 ワクチンの接種証明を自治体から取得して画像をアップロードするほか、出発前 96 時間以内に PCR 検査を 2 回受けて陰性証明を提出する作業も必要だった。 五輪の記者証番号やパスポート番号と連動して管理されるため、問題がなければあえて提示も求めないのかもしれない。ただ、慣れないアプリ上で夜中まで作業し、スクリーンショットまで残して準備していた身としては、少々拍子抜けした。

車窓から見える日常、直接話はできないか

専用バスの車窓からは北京市内の人々の日常の様子が流れていった。 夕方の帰宅時間に向けて増える車、道ばたに並んだ自転車、上着のフードをかぶって歩く人たち - -。 こういった人たちと直接話ができないであろうことに、バブルの内と外を隔てる透明な壁の存在を実感した。 ホテルに着くと、エレベーターを降りたところにシャンプーや水がまとめて置かれ、廊下には長机が並んでいた。いずれも従業員と客が物をやりとりする際の接触を避けるための工夫だ。 部屋の中では「空気消毒浄化器」と書かれた機械がフル回転していた。

部屋のインターネット接続がうまくいかず、フロントに電話をかけた。 30 分ほどして部屋の電話が鳴り、別の男性が英語で言った。 「今、ホテルの従業員が入り口のドアの前に設定方法の説明書を届けました。 わからないことがあれば私に聞いてください。」 男性はホテルの従業員ではなく、五輪の翻訳ボランティアだという。 「とても行き届いていますね!」 思わず感謝の気持ちを伝えると、電話口の男性は照れ笑いしながら、「マイ・プレジャー(どういたしまして)」と言った。 ドアを開くと「五輪の通信規約とサービスガイド」と題した冊子に、インターネットの設定方法が書かれた紙が挟まれ、台に置かれていた。 (畑宗太郎、asahi = 1-27-22)


感染ゼロなのに全市民を検査、「びびり過ぎ」批判も 中国・ハルビン

人口約 1 千万の中国黒竜江省ハルビン市は 22 日、市内で全住民の新型コロナウイルスの PCR 検査を実施すると通知した。 中国では感染拡大中の街で全員検査をすることがあるが、ハルビン市では 1 カ月以上、市中感染者が確認されていない。 市政府は「全国各地でのオミクロン株の報告」などを理由としており、春節の帰省ラッシュや北京冬季五輪を前に異例の対応に出たようだ。

市政府の通知では、24 日朝から全員検査を始め、28 日までに終えるとされている。 実施の理由には「春節で人の移動が増えるため」とも記されている。 検査を終えていない人は、建物に入る時や公共交通機関を利用する際に提示するスマホのアプリで「問題がある」ことが示されるようになるという。 人口約 500 万人の同省チチハル市でも、ほぼ同時期に全員検査が実施されるという。

市中感染は両市だけでなく、同省内でも 1 カ月以上確認されていない。 その上、今は零下 25 度まで下がることもある寒さで、出歩く人は少ない。 SNS 上には「何で今やるんだ」、「外の気温を知っているのか」、「びびり過ぎだ」などと批判が渦巻いている。「市の金が余っているということでいいんだな」、「官僚様のご昇進をお祈りしています」などとの皮肉の声もみられる。

中国本土では 2 月 1 日に春節、4 日に冬季五輪の開幕が控える中、各地で新たな市中感染の報告が相次いでいる。 変異株「オミクロン株」とみられる一連の感染拡大も天津市や河南省などで約 800 人、広東省で約 40 人が確認されている。 1 月中旬には北京市でもオミクロン株の感染者が見つかった。 移動の時に陰性証明の提示を求めたり、春節の帰省を控えるよう呼びかけたりする地域が増えている。 (瀋陽 = 平井良和、asahi = 1-23-22)


五輪直前、北京でコロナの感染例相次ぐ 複数の経路で広がりか

冬季五輪の開幕を来月 4 日に控える北京で、新型コロナウイルスの感染例が相次いでいる。 北京市は 18 日、新たに計 3 人の感染者を確認したと発表した。 このうち 2 人は 15 日に変異株「オミクロン株」への感染が確認された女性の家族と同僚だが、別の 1 人はデルタ株であることが判明。 複数の経路で感染が起きている模様だ。 初のオミクロン株の市中感染が発覚した 15 日以降、北京で感染が判明したのは計 4 人。 コロナ流行を理由に、五輪の組織委は 17 日、従来の方針を転換し、観戦チケットを一般向けには販売しないことを表明した。

ただ、招待客は認める方針で、これ以上の感染拡大は五輪のさらなる混乱を招きかねない。 北京ではさらに厳しい防疫対策が取られる可能性がある。 五輪直前の 2 月 1 日には春節(旧正月)を迎えるが、北京市はすでに市民に実家には帰らず、市内で年を越すよう呼びかけている。 22 日から 3 月末までは、市外から北京に入った全員に 72 時間以内の PCR 検査を求める方針だ。 (北京 = 高田正幸、asahi = 1-18-21)

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北京でオミクロン株市中感染者 五輪 3 週間前、警戒高まる - 中国

【北京】 中国の北京市政府は 15 日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染者 1 人を確認したと発表した。 北京での同株への感染確認は初めて。 来月 4 日の北京冬季五輪開幕まで 3 週間を切る中、感染拡大への警戒が高まっている。 感染者は海淀区在住で、同区内で勤務。 最近 14 日間は北京を出ておらず、のどの痛みを覚え 14 日に自主的に PCR 検査を受けていた。 市当局は、感染者の住居と職場を直ちに封鎖。 感染者が 1 日以降立ち寄ったスーパーや劇場、スキー場などを公開し、接触した可能性のある市民に届け出るよう呼び掛けた。 (jiji = 1-15-22)

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