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トヨタ、新型ミライ発売 「走るほど空気を清浄化」

トヨタ自動車は 9 日、水素で走る燃料電池車 (FCV) の新型「ミライ」を発売した。 世界初の市販 FCV を発売した 2014 年以来、初のフルモデルチェンジとなる。 価格は税込み 710万 - 805 万円。 「究極のエコカー」といわれる FCV が普及するか、本格的に試される。 「ミライ」の燃料は水素で、空気中の酸素との化学反応でつくった電気で走る。 排出するのは水と空気だけで、二酸化炭素 (CO2) は出さない。 新型は初代に比べ、走行性能が大きくアップ。 水素の搭載量は 4.6 キロから 5.6 キロに増え、航続距離は 650 キロから約 3 割増の約 850 キロに伸びた。 東京から広島まで水素の補給なしで走行できるほどの距離だ。

「走るほど空気をきれいにする」のも売りの一つ。 大気から吸い込む空気に含まれるホコリや化学物質を 2 種類のフィルターで取り除き、吸い込む前よりきれいな空気にして排出する。 走行中にどれだけ空気を浄化したか車内モニターで確認できる機能もつけた。 新型の最大の課題は、販売台数を増やすことだ。 初代の累計販売台数は全世界で約 1 万 1 千台。うち国内は約 3,700 台で、政府が掲げる「20 年までに 4 万台程度」の目標の 10 分の 1 以下だった。 水素の補給施設も約 140 カ所と少ない。

普及のネックの一つが価格の高さ。 初代は約 741 万円だった。 新型の価格は、装備や内装によって 5 段階あり、最安値は 710 万円で初代より 30 万円ほど安い。 しかし、標準的な装備は 735 万円で、最上位クラスは 805 万円だ。 FCV は「とんでもない技術のかたまり(担当者)」のため、開発や生産のコストがかさみ、価格を下げにくい事情がある。 国の補助金が 1 台につき約 117 万円出るが、それでもトヨタの高級車「クラウン」の標準的な価格を超える。 開発を担当した田中義和・チーフエンジニアは「水素搭載量もふやして、航続距離も伸ばし、パワーも増やした。 初代よりも車の魅力は増している。」と話した。

2050 年に温室効果ガス排出「実質ゼロ」を目指す政府にとっても FCV の普及は欠かせない。 トヨタの技術部門トップの前田昌彦・執行役員は「新型ミライは、本格的な水素普及の出発点としての使命を担った車だ」と話す。 (千葉卓朗、三浦惇平、asahi = 12-9-20)


トヨタ、タイとインドネシアで EV 発売、東南アジア初

トヨタ自動車は、インドネシアとタイで東南アジア初となる電気自動車 (EV) 「レクサス UX300e」を発売した。 日本で生産した完成車を輸出する。 東南アジアの主要市場で電動車の選択肢を増やす。 高級車ブランドのレクサスのスポーツ用多目的車 (SUV) 「UX」がベースで、航続距離は満充電で 367 キロ。 販売価格は、タイでは約 1,200 万円、インドネシアでは約 920 万円。 公共の充電施設の整備が進んでいないインドネシアでは、購入者に家庭用の充電スタンドを無料で提供するという。 (asahi = 11-30-20)


トヨタ、10 月の世界販売が過去最高 国内は 37% 増

トヨタ自動車が 27 日発表した 10 月の世界販売台数は、前年同月比 8.3% 増の 84 万 7,713 台となった。 単月の販売台数は 2 カ月連続で前年を上回り、10 月として過去最高となった。 日本でも販売台数は 13 カ月ぶりに前年を超え、「前年並み」としていた同社の想定を上回る回復を示している。 日本の販売台数は、同 37.4% 増の 14 万 4,348 台と大幅に前年を上回った。 「ハリアー」、「ヤリスクロス」などの新型車が好調だった。 前年に消費増税で需要が落ち込んだ影響も大きいが、一昨年の 10月と比べても、9.0% 増えた。

主要市場の米国や中国でも回復は続いている。 米国は、前年同月比 8.8% 増の 20 万 5,349 台で、10 月として過去最高となった。 「タコマ」などのピックアップトラックや、高級ブランドのレクサス車が好調だという。 3 - 5月に工場の稼働を停止したことで在庫の品薄状態が続いていたが、生産体制は徐々に回復。 需要に応える供給ができるようになり、販売は 9 月から前年を上回るようになった。

中国も同 33.3% 増の 17 万 5,631 台で、7 カ月連続で前年を上回った。 コロナの感染拡大前から、中国では故障しにくく下取り価格が比較的高い日本車の評価が高まっていた。 そのなかでも知名度の高いトヨタ車は人気で、富裕層を中心にレクサス車や「カローラ」が売れているという。 東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「コロナ禍の中でも、スポーツカーや高級車が売れている。 富裕層が旅行に行けない分、車の購入に流れていることも販売の好調につながっている。」とみる。 (三浦惇平、asahi = 11-27-20)


トヨタ、純利益予想を 1.4 兆円に上方修正 販売が回復

トヨタ自動車は 6 日、今年度(2021 年 3 月期)の業績予想(国際会計基準)を上方修正し、最終的なもうけを示す純利益が 1 兆 4,200 億円になりそうだと発表した。 前年比 30.3% 減の水準だが、新型コロナウイルスの影響で急減した世界販売が中国や米国を中心に想定以上のペースで回復。 従来予想を 6,900 億円引き上げ、1 兆円台の黒字確保の見通しとなった。 売上高は 12.9% 減の 26 兆円、本業のもうけを示す営業利益は 45.8% 減の 1 兆 3 千億円となる見通しで、従来予想をそれぞれ 2 兆円、8 千億円引き上げた。 グループの世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車を含む)の見通しは 910 万台から 942 万台(前年比 103 万台減)とした。

同日発表した 20 年 9 月中間決算は、売上高が前年同期比 25.9% 減の 11 兆 3,752 億円。 営業利益が 62.8% 減の 5,199 億円、純利益が 45.3% 減の 6,293 億円。 トヨタの世界販売台数は新型コロナの影響が直撃した 4 月はほぼ半減したが、5 月以降は想定を上回るペースで回復。 いち早く経済が再開した中国は春先から前年超えの水準が続き、夏以降は米国や日本など主要市場でも回復ペースが加速。 9 月は前年を上回った。 「RAV4」や「カローラ」などの売れ行きが好調だ。 (asahi = 11-6-20)


豊田通商、アフリカでトヨタ小型車販売 スズキが生産

豊田通商は 1 日、トヨタ自動車の新型小型車「スターレット」をアフリカ向けに発売すると発表した。 トヨタと資本提携するスズキから、インド製の小型車の OEM (相手先ブランドによる生産)供給を受け、販売する。 南アフリカで 9 月中旬に発売し、47 カ国で順次販売する。 スターレットは全長約 4 メートルの小型で、価格は約 130 万円から。 年間販売目標は 1 万台とした。 豊田通商によると、2018 年のアフリカの小型車の年間販売台数は約 38 万台。 将来的には 80 万台規模に拡大すると予測されている。

トヨタ車の 19 年のアフリカでの販売は約 21 万台だったが、大半が各国政府や企業向けの中大型車で、一般向けの小型車販売は約 2 万台にとどまる。 アフリカ最大市場の南アフリカでは中大型車販売のシェアが約 35% なのに対し、小型車は約 15% と小さく、欧州勢や韓国勢に差をつけられている。 スターレットの投入で小型車のテコ入れを図る。 豊田通商は昨年 1 月にトヨタのアフリカの営業事業の全面移管を受けた。 さらに同年 3 月、トヨタとスズキが新たな協業に合意し、スズキがインドでつくる小型車をアフリカ市場向けに OEM 供給することを決めていた。 今後、アフリカ向けに小型車をさらに 3 種投入する方針だ。 (千葉卓朗、asahi = 9-1-20)


トヨタ、世界販売回復基調 7 月は前年比 9 割の水準

トヨタ自動車が 28 日発表した 7 月の世界販売台数は、前年同月比 12.0% 減の 74 万 7,300 台だった。 トヨタは 7 - 9 月に前年同期比「約 15% 減(4 - 6 月実績は 31% 減)」まで戻す想定だったが、「想定を上回るペースで回復している」としている。 地域別では、中国の販売台数は前年同月比 19.1% 増の 16 万 5,641 台。 4 カ月連続で前年を上回り、回復を牽引している。 RAV4 やカムリなどが好調。 地方モーターショーや、営業時間延長など店頭強化活動の効果が出ているという。

主要市場の米国は 19.0% 減だったものの、回復は続いている。 需要は高いとみており、今後の回復に備え、7 月は休日も工場を稼働させ、生産台数は 19.0% 増やした。 国内の販売台数は 17.0% 減で、22.7% 減だった 6 月よりも下げ幅は縮まった。 新型ハリアーに加え、ヤリスやライズが好調だという。 一方、生産台数は、前年を上回った中国や米国に対し、22.0% 減で回復がやや遅れている。 トヨタ広報は「国内生産は、前年同月に、北米向けのカローラの生産が多かったため、反動が出た」と説明している。 トヨタは国内で 300 万台の生産を死守するとしてきたが、新型コロナの影響を受け、2021 年 3 月期は 280 万台とする見通しを示している。 (三浦惇平、asahi = 8-29-20)


トヨタ、小型車ヤリス米国から撤退へ SUV などに集中

トヨタ自動車は、米国で販売している小型車「ヤリス」の販売を秋ごろに終了する。 今後は、米国で人気の高いスポーツ用多目的車 (SUV) やピックアップトラックなどの大型車に経営資源を集中させる方針だ。 トヨタが米国で販売しているヤリスは、資本提携を結ぶマツダがメキシコ工場(グアナファト州)で生産し、トヨタに供給していた。 ただ 6 月には生産を終えたという。 トヨタは 2019 年、米国で小型車「アクア」の販売をやめている。 米国では大型車志向が強く、小型車は苦戦が続いていた。 主力セダン「カローラ」の販売は続ける一方、大型車の販売を強化する。

一方、マツダのメキシコ工場の 19 年の生産台数は約 11 万 6 千台。 そのうちトヨタ向けは約 2 万 4 千台だった。 メキシコ工場は、北米や中南米などへの輸出拠点として、14 年に稼働を開始。 年間の生産能力は 25 万台ある。 ただ、同工場で生産するセダンのマツダ 3 が米国市場で販売が苦戦するなど、稼働率が低迷している。 トヨタ向けの生産がなくなるため、稼働率をどう高めていくかが、いっそう課題となる。 (三浦惇平、asahi = 8-20-20)


トヨタの世界販売、4 - 6 月は 31% 減 想定以上の回復

トヨタ自動車は 30 日、6 月の世界販売台数が前年同月比 16.0% 減の 70 万 6,555 台だったと発表した。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需要が最も落ち込む「底」としていた 4 - 6 月でみると前年同期比31.0% 減で、「4 割減」との想定より回復ペースが速まっている。 地域別では、中国の好調さが際立った。 6 月の販売台数は前年同月比 22.8% 増の 17 万 2,941 台で、3 カ月連続で前年を上回った。 日本では販売していないレビンなど新型車が好調だったほか、地方モーターショーやオンラインイベントなどの販売促進策の効果も出ているという。

販売低迷が続いていた欧州は 11.・5% 減の 8 万 8,076 台で、50.9% 減だった 5 月から大幅に回復した。 特に 4、5 月は 9 割以上減だった英国は、6 月に販売店が再開し、前年並みまで急回復した。 フランスは政府による補助金の効果もあり、19.8% 増となった。 米国は 26.7% 減。 5 月とほぼ同じ水準で、回復ペースは頭打ちとなった。 米国ではコロナ感染が再拡大しているが、トヨタ広報は「今のところ販売台数に影響は出ていない。 ただ感染状況は注視している。」としている。

トヨタは 5 月、新型コロナによる販売減少の見通しを公表。 世界販売台数は 4 - 6 月が前年同期比 4 割減で最も落ち込み、その後徐々に回復すると予想。 2021 年 3 月期の営業利益を 5 千億円とする通期見通しを示している。 4 - 6 月の世界販売の想定以上の回復は、業績の底上げにつながる。 (三浦惇平、asahi = 7-30-20)


トヨタが PHV の RAV4 発売 プリウスに続き 2 車種目

トヨタ自動車は8日、スポーツ用多目的車(SUV)の「RAV4」で、外部電源から充電ができるプラグインハイブリッド車(PHV)を国内で発売した。世界各地で環境規制が厳しくなるなか、欧州や北米でも夏以降に販売する予定だ。新型コロナウイルスで車の需要は落ち込むが、人気のSUVにPHVモデルを加え、新車販売に少しでも弾みをつけたい考えだ。 「RAV4 PHV」は、新たに開発したリチウムイオン電池を搭載。 2.5 リットルエンジンと電気モーターを組みあわせ、最大 306 馬力を生み出す。 フル充電すると、ガソリンを消費せず、電気モーターだけで 95 キロ走れる。 停止状態から 6 秒で時速 100 キロに達する加速力も特徴だという。

RAV4 は昨年 4 月、国内では 3 年ぶりに販売が再開されると、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。 世界全体では約 180 カ国・地域で約 96 万台を販売した。 PHV の世界戦略車としては、プリウスの PHV (2012 年発売)に続き 2 車種目となる。

環境規制・市場変化に「全方位」対応

今回の PHV 投入の背景には、車の電動化を促す環境規制がある。 欧州では、車の走行距離 1 キロあたりの二酸化炭素の排出量を、一段と抑えることを求める規制が 2021 年までに始まり、規制をクリアできなければメーカーに罰金が科せられる。 さらに 30 年までにいっそう規制が強化される予定だ。 国をあげて EV (電気自動車)の普及やメーカーの育成を急ぐ中国や、米国の一部の州でも、EV や PHV など、次世代のエコカーの生産をメーカーに義務づける。 とはいえ EV は、電池の値段や寿命、航続距離、充電インフラの整備といった課題がある。

そこでトヨタは、強みの HV だけでなく、HV と EV の中間に位置する PHV も強化。 EV を含め、開発で先行する燃料電池車 (FCV) までを含めた「全方位」で、環境規制や市場の変化に対応しようとしている。 HV を含めたトヨタの電動車の世界販売は昨年、約 190 万台だった。 これを 25 年までに 550 万台以上に増やす計画だ。 開発責任者の佐伯禎一氏は「環境規制が強まる中、グローバル市場で戦っていくために RAV4 の PHV を投入した。 環境に優しいだけでなく、運転して楽しい車を追求した。」と語る。

新型コロナウイルスの感染拡大で車の需要が落ち込むなか、販売を盛り上げる役割も担う。 販売担当者は「国内外からの期待の大きさを感じている」と話す。 「RAV4 PHV」は消費税込み 469 万 - 539 万円。 国内では月 300 台の販売を目指す。 (石塚大樹、asahi = 6-8-20)


トヨタのサブスク「KINTO」が急拡大、顧客は誰だ?
KINTO・小寺信也社長インタビュー

- - 自動車の定額利用サービス(サブスクリプション)「KINTO (キント)」の累計契約数が 2020 年 3 月時点で 3,150 件と 19 年 12 月時点と比べて約 3 倍です。

「1 月になって急に大きく伸び始めたが、考えられるのは 1 月で車種をほぼフルラインアップに拡充したことだろう。 19 年 7 月のサービスの本格的な立ち上げ以降、訴求活動が浸透し始め、キントが認知されるようになってきた。」

- - 具体的に取り組んだ点は。

「販売店にスタッフを常駐させ、日々のお客さまとのやりとりを見ながら、販売促進ツールを作ったり、勉強会をしたり、地に足をつけた活動をしてきた。 ウェブで見に来てくれたお客さまからはさまざまな反響があり、それに合わせて中身を作り替えてきた。」

- - 今後の展開は。他社もサブスクリプションに参入しています。

「(5 月下旬開始予定の) 5 年、7 年プランは期間を長くし、よりお買い求めいただきやすい価格設定にした。 他社との差別化以前にこうしたサービスが各社から出てきてうれしい。 まずはこうした買い方があることを知ってもらうのが大事だ。」

- - 全車種併売が始まった販売店の収益拡大にキントはどう貢献できますか。

「結局フタをあけてみないとわからない。 驚いたのは、申し込みの全体の 3 分の 2 がウェブから入ってくる。 その前保有車をみると他社の車が多かったり、車自体を持っていなかったり、販売店が捕まえられなかった領域だ。 それ自体が収益にプラスになる。 (サービス用に購入した車の契約期間が終わる) 3 年たって販売店に返した時に、販売店の小売り力にもよるが、中古車として『おいしい』と感じる販売店もいる。」

- - ウェブ経由で注文した顧客データを販売店に提供するデータビジネスの可能性は。

「データ売りではあまりビジネスになると思っていない。 データを使い今までと違う車の売り方を考える。 最も知りたいのは、引っ越して車が必要になった、子どもができて今の車では小さいなど、お客さまが車を買いたい状況かどうかだ。 販売店などにこうしたデータはない。 当社はインターネットを活用し、より焦点を絞ったマーケティングができるのではないか。」

【記者の目/手軽さ追求、短期間の需要も】

キントは車離れが指摘される若い世代などの新たな需要開拓が期待されている。 多様化するニーズに対応していくには、きめ細かく幅広いサービスの構築が重要になる。 価格を抑えるなどの手軽さの追求は欠かせない。 試験的に取り組んでいる中古車でのサービスは解の一つになるだろう。 契約期間については、1 年未満などの短期間のプランも需要はありそうだ。 (名古屋・山岸渉、NewSwitch = 5-17-20)

◇ ◇ ◇

トヨタの車サブスク苦戦、申込数 1 日 6 件 遠い事業化

トヨタ自動車が今年から始めた定額制(サブスクリプション)サービス「KINTO (キント)」が苦戦している。 4,800 超の全国販売店とウェブサイトで展開しているが、1 日平均での申し込みは 6 件足らず。 トヨタは年明け以降のテコ入れ策を 16 日に公表したが、課題はなお多い。

KINTO は、車両代のほか任意保険や自動車税などを含む毎月定額の料金(税込み)を払えば新車に 3 年間乗れるサービスで、現在は 15 車種から 1 車種を選べる。 最も安い小型 SUV (スポーツ用多目的車)ライズで月 3 万 9,820 円から、最も高い高級車クラウンは 9 万 5,700 円から。 今年 3 月から東京都の販売店で実験的に始め、7 月から全国に広げている。 KINTO の申込件数をこの日、初めて公表した。 3 - 11 月の累計件数は 951 件。 7 月以降は 868 件だった。 1 日平均だと約 5.7 件。 会見した運営会社の小寺信也社長は「手応えを感じている」としつつ、「いまの状況では事業化を語れるレベルではない。 もう 1 段、2 段と申込件数を増やすことが早急に必要。」と述べた。

強化策もあわせて公表。 来年 1 月以降に新たに 16 車種を投入し、最安料金を小型車パッソの月 3 万 2,780 円に下げる。 月 1 万 - 2 万円台とさらに安い「中古車版」も群馬県の販売店で実験的に始める。 トヨタが世界各地で展開するカーシェアやライドシェア(乗り合い)のサービスの名称については KINTO ブランドに統一し、知名度アップをめざす。 課題は多い。 定額制が浸透する音楽配信サービスは「好きな曲を好きなだけ」聴ける聴き放題が定着しているが、KINTO では、1 車種で 3 年契約するので乗り換えが難しい。 小寺社長は「さまざまな契約の年数を検討し、導入の準備を進めている」と話した。

KINTO は、利用者が 3 年間乗った新車を中古車市場で販売して、もうけを確保するビジネスモデル。 「乗り換え放題」にするとその市場に出回る車が増えすぎて値崩れして、収益が保てないリスクもある。 若い世代の車離れに歯止めをかけることも狙うが、18 - 29 歳の申込件数は全体の 2 割。 ネックは利用料金に含まれていない駐車場代だ。 都心では月数万円かかるため負担が重く、若者が車を持たない一因となっている。 小寺社長は「課題と認識しているが、解決策はいまのところない」と話した。 (千葉卓朗、asahi = 12-16-19)

初 報 (11-10-18)


トヨタ減産拡大 旗印「国内生産 300 万台」の行方は

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、トヨタ自動車が、5 月の国内生産を当初計画から半減させる見通しになった。 世界的な車需要の低迷が長引くとみて、国内の減産を拡大する。 ものづくりの基盤を維持するとしてトヨタが掲げてきた「年間生産 300 万台」にも影を落とし始めている。 その数字が意味するものとは。

5 月 1 日、トヨタの国内全 15 工場が操業を停止した。 当初から予定していた大型連休をはさみ、11 日も操業を停止。 12 日以降もハイブリッド車のプリウスなどをつくる堤工場(愛知県豊田市)を含めて 5 工場 9 ラインで最長 5 日間(稼働日ベース)操業を停止するなど生産調整が続く見通しだ。 部品メーカーには、5 月の生産は当初計画から半減、6 月は約 4 割減と伝わっている。 4 月 30 日にあったトヨタ系部品メーカーの決算では、「コロナ前の水準に回復するにはかなりの時間が想定される(デンソーの有馬浩二社長)」など、次々に厳しい現状認識が語られた。

自動車は裾野が広く、他の産業以上に及ぼす影響が大きい。 日本自動車工業会など関連 4 団体が 4 月 10 日に開いたネットでの記者会見。 自工会の豊田章男会長(トヨタ社長)は、「自動車には他の産業へ波及する力がある。 踏ん張って経済を回し続け、雇用を守っていくことが(経済の)崩壊を食い止める大きな力になる。」と述べ、こう続けた。 「リーマン・ショックとその後の東日本大震災。苦しかった当時、私は国内生産に強くこだわった。 日本にものづくりを残すと決意し、それは間違いではなかった。」 コロナ禍からの復興時には、自動車産業が経済の牽引役を担っていく決意も強調した。

トヨタを筆頭に、自動車は空洞化が進んできた国内製造業の最後のとりでともいえる存在だ。 とはいえ、国内の新車市場は 1990 年をピークに縮小。 若者の車離れや人口減など市場の先行きは厳しい。 自動車各社は伸びしろがあるうえ、為替に左右されにくい海外シフトを進めてきた。 最大手のトヨタといえど事情は同じで、リーマン・ショック前の 2007 年に約 422 万台だった国内生産は、円高などを受けて縮小。 一方で、車が売れる地域での生産や部品調達を進め、海外生産は 07 年からの 5 年間で 90 万台超増えた。 19 年は、世界販売の拡大によって、そこからさらに約 40 万台増えた水準にまで増えている。

それでも、死守してきたのが「国内生産 300 万台」だ。 リーマン・ショック後の 279 万台(09 年)や東日本大震災時の 276 万台(11 年)をのぞき、苦境のなかでも「300 万台」を守り続けてきた。 この戦略は、大規模な金融緩和によって円安となり、好業績を後押した。 4 月 28 日に発表された 19 年度の国内生産は 330 万台だった。 ところが現在、新型コロナによる世界的な需要減を受け、トヨタは国内工場の稼働を一部停止するなど生産調整を続けている。

300 万台「石にかじりついてでも」

もともと今年の生産計画を約 324 万台としていたが、公表している減産分だけでも約 12 万台にのぼる。主力の輸出先の米国をはじめ、新型コロナの収束や経済活動の本格化は不透明で、トヨタや部品メーカー幹部らは「先行きは見通せない」と口をそろえる。 減産幅がさらに大きくなるのは必至で、11 年以来、9 年ぶりに「300 万台」の大台を割る可能性がある。 それはどんな影響をもたらすのか。

創業家出身の豊田社長はとりわけ、日本の製造業や雇用に対する思い入れが強い。 曽祖父でトヨタグループ創始者・豊田佐吉の遺訓をまとめた豊田綱領を引き合いに、「産業報国の精神こそトヨタの原点。 どんなに時代が変わっても変えてはならない。(昨年の春闘)」と述べた。 大規模な減産を余儀なくされた東日本大震災後には、「トヨタのものづくりは日本で育ててもらってきた。 石にかじりついてでも国内生産 300 万台を守る。」と執念を燃やしてきた。

雇用などを維持するだけでない。 ものづくりの基盤が揺らげば、新しい技術や新製品、生産の競争力などが国内からどんどん失われかねないとの考えだ。 連なる部品メーカーや雇用、地域経済を守っていくための、いわば最低ライン。 世界販売がグループで年間 1 千万台を超えてもなお、競争力を保っていくための旗印となっている。

「300 万台」の意味合いについて、あるアナリストは「労務費の上昇や電動化対応など、固定費や研究開発費の負担が重くなるなか、300 万台を割れば、収益的に厳しくなる部品メーカーが出てくる。」 1 次下請け幹部は「国内を事業基盤とする、会社の規模が小さい 2 次、3 次、4 次といった車づくりを支えている中小・零細の下請けの経営が厳しくなる。 廃業も出てくると思う。」とも語る。

「300 万台」は強固な国内販売に支えられているという側面もある。 大手部品メーカーの関係者は「国内需要をしっかり守っていこう、というメッセージも含まれている」と解説する。 実際、トヨタは国内での年間販売で 150 万 - 160 万台規模、シェア 5 割ほどを保ち続けており、国内生産の半分をまかなう。 関連の産業で働く人は約 550 万人と、国内の就業人口の 1 割近くに達し、裾野の広い産業がいま、揺さぶられている。

決算会見の注目点

自動車関連 4 団体の会見では、経営の厳しい中小・零細企業の資金繰りを業界横断で支援するファンドの結成を表明した。 工場停止の長期化で深刻な雇用危機に発展する恐れもあるなか、連携して業界の基盤を守る考えを示した。 豊田氏は「自動車業界の基盤は、中小零細企業も含めて成り立っている」、「未来に向け失ってはいけない技術を持った人材がおり、流失したり途絶えたりすれば、収束後の復活にも時間がかかる」と強調した。

「(コロナ禍からの)復興時に牽引役になりたい」とも豊田社長は話している。 業界最大手で国内最大の製造業企業として、大きな期待を背負いながらも、前例のない危機に、耐える局面が続いている。 5 月 12 日に予定されているトヨタの 3 月期決算の記者会見。 業績のみならず、国内での「ものづくり」や展望に対して、豊田社長が改めてどう語るか。 多くの関係者が注目している。 (近藤郷平、石塚大樹、asahi = 5-3-20)


トヨタが VW 抜き世界販売首位に、暦年と年度で逆転したワケ
1 - 3 月期は VW が新型コロナの影響大きく

トヨタ自動車の 2019 年度の世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車含む)が 1,045 万 6,593 台で着地し、同期間で独フォルクスワーゲン (VW) を抜いて世界首位となった。 19 年(暦年)は VW がトヨタを約 20 万台上回り、4 年連続で首位を堅持していた。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う 20 年 1 - 3 月の需要減や生産休止の影響が、明暗を分けた格好だ。

VW が公表した資料をもとに、19 年度の世界販売台数を算出したところ、1,037 万 5,136 台だった VW をトヨタが約 8 万台上回った。 トヨタの 19 年度実績は前期比 1.4% 減と 4 年ぶりに前年割れとなったものの、3 月の中国販売で減少幅が改善したことなどが奏功した。 一方の VW は新型コロナの影響で最大市場の中国販売が 20 年 1 - 3 月期で大幅に落ち込んだほか、欧州でも需要減少が大きかった。 (NewSwtch = 4-29-20)


「ハリアー」 7 年ぶり全面改良 あのエンブレム廃止へ

トヨタ自動車は SUV (スポーツ多目的車)「ハリアー」を 7 年ぶりに全面改良し、6 月ごろに発売する。 1997 年の初代から 4 代目で、トレードマークだったタカのエンブレムを廃止する。 あおり運転などが社会問題となるなか、走行中の前後方向を録画する「デジタルインナーミラー」をトヨタ車で初めて取り入れる。 価格は改めて発表する。

ハイブリッド車(排気量 2.5 リットル)、ガソリン車(同 2 リットル)とも二輪駆動、四輪駆動を選べる。 調光ガラスを使った電動シェード付きの天井窓を採用し、車内に柔らかい光を取り入れられるようにした。 歩行者や自転車を検知する最新の安全装置も装備する。 トヨタは 5 月、四つの系列販売店で売る車を共通化する予定で、これまでトヨペット店などでしか買えなかったハリアーも他の店で買えるようになる。 こうしたタイミングに合わせ、ハリアー独自のタカのエンブレムを廃止し、他の車と同じトヨタのマークに変える。 「トヨタブランドとしての統一感を図るのが狙い」(広報)という。 (石塚大樹、asahi = 4-21-20)


ダカールでトヨタ車体が 7 連覇 市販車部門 1、2 位独占

「世界一過酷なラリー」と言われる「ダカールラリー」が 5 - 17 日にサウジアラビアで開かれ、トヨタ自動車子会社のトヨタ車体(愛知県刈谷市)が、最低限の改造しか認められない市販車部門でチーム初の 7 連覇を達成した。 トヨタ車体は「ランドクルーザー 200 シリーズ」のオートマチック仕様 2 台で参戦。 クリスチャン・ラヴィエル選手がドライバーを務めた 1 号車が優勝し、社員ドライバー三浦昂選手の 2 号車が 2 位だった。 三浦選手は「チームの最大目標だった 7 連覇をワン・ツーフィニッシュで達成でき、苦労のすべてが喜びに変わるのを実感している」とコメントした。 (asahi = 1-18-20)


トヨタ社長の直轄、異例の 4 人が EV 巻き返しへ結集

トヨタ自動車が、電気自動車 (EV) の開発を担う組織「EV 事業企画室」を設けたのは、2016 年 12 月のことだった。 豊田章男社長直轄でメンバーは 4 人。 室長には豊島浩二氏が就いた。 前年 12 月発売のハイブリッド車 (HV)、4 代目プリウスの開発責任者だ。 ほかの 3 人はデンソーなど部品メーカー 3 社から加わる異例の構成だった。 「ベンチャー企業のように 1 年 1 年、生き延びろ。」 豊田社長は説いた。 1997 年の初代プリウス発売以降、HV をエコカー戦略の中心に据えてきたトヨタが、EV 開発にアクセルを踏んだ瞬間だった。

EV 事業企画室は昨秋、「トヨタ ZEV ファクトリー」に衣替えした。 ZEV は「排ガスゼロ車」のことだ。 この夏には、水素で走る燃料電池車 (FCV) のチームも加わった。 EV 関係の人員は約 300 人。半数はトヨタ以外の出身で、スバルやスズキなどからもメンバーが集まる。 トヨタはもともと、FCV を「究極のエコカー」と位置づけ、EV には消極的とされてきた。 EV は 1 回の充電で走れる「航続距離」が短く、充電時間が長い。そのうえ価格も高く、消費者に受け入れられにくいとみていた。 14 年には FCV のミライを発売。当面は HV を中心に据えつつ、FCV 普及をめざすという道筋を描いた。 内山田竹志会長は 17 年、米メディアに対し「我々は EV の急速な普及に懐疑的だ」とも述べた。

世の波に押され

同じころ世間では「EV シフト」が叫ばれていた。 起業家イーロン・マスク氏が育てた EV メーカーの米テスラは 16 年、量販型の EV を発表し、事前予約は数十万台に。 日産自動車は 17 年、EV の 2 代目リーフを売り出し、航続距離は初代の 2 倍に伸びた。 独フォルクスワーゲンは 15 年に発覚したディーゼル車の排ガス不正問題を機に、EV にかじを切った。 16 年に「25 年までにグループで 30 車種以上の EV を発売する」と発表。 今年 3 月、「28 年までに約 70 車種を発売、30 年までに世界販売の少なくとも 4 割を EV にする」と上積みした。

背景にあるのは、各国の環境規制強化だ。 世界最大の自動車市場の中国では、19 年から車メーカーが生産・輸入する乗用車の一定割合を EV や FCV などの「NEV(新エネルギー車)」にすることが義務づけられた。 米カリフォルニア州でも 17 年秋から ZEV 規制が強化された。 いずれも、トヨタが得意な HV は対象から外された。 こうした中、「規制をクリアするために EV を出さざるを得ない(トヨタ幹部)」との判断に傾いた。 17 年には、EV を 20 年以降中国で売り出し、20 年代前半には世界で 10 車種以上を投入する計画を発表した。

HV の蓄積活用

それでも、「トヨタは EV で出遅れている」との指摘がつきまとう。 寺師茂樹副社長は 6 月、EV の中核部品の電池は HV にも使われていることを挙げ、「HV 開発で蓄積した技術は EV にも活用できる」と優位性を訴えた。 このときトヨタは、HV や EV など「電動車」の世界販売が 25 年に 550 万台以上になるとの見通しも示した。 17 年末の目標から 5 年、前倒しした。 18 年の実績が 163 万台なので、7 年で 3 倍超に増える計算だ。 ただ、このうち大半は HV になりそうだ。

電池の安定調達のため、仲間づくりも進める。 協力関係にあるパナソニックのほか、7 月には中国の車載用電池最大手との提携を発表し、電池も手がける中国 EV 大手メーカーとは、車両の共同開発に乗り出す。 関係者によると、航続距離やコストの課題は電池の開発が進んだことで、少しずつ改善しているという。 トヨタはより高性能な全固体電池を開発し、20 年代前半の実用化をめざす。 ただ、「EV の本格的な普及には電池のさらなる技術革新が必要(幹部)」との見方もある。

同時に、充電などの周辺サービスや電池の再利用といった EV 関連のビジネスモデル構築も課題となる。 「トヨタは電動化のフルラインアップメーカーだ」と豊田社長が話すとおり、エコカー開発は全方位だ。 HV は欧州などで強まる燃費規制の対応では依然有効だとみるうえ、EV がどれほど普及するかは専門家の見方も分かれる。 この全方位戦略は何が主流になっても対応できるが、一点突破の戦略と比べて投資負担が重くなるリスクも背負う。 HV で築いた地位を保てるのか。トヨタは正念場を迎えている。

電動化をめぐるトヨタの動き
1997 年HV の「プリウス」発売
2009 年3 代目「プリウス」がヒット
12 年PHV の「プリウス PHV」発売
14 年FCV の「ミライ」発売
16 年「EV 事業企画室」を設置
17 年「30 年に電動車 550 万台以上」の目標発表 19 年、5 年前倒し表明
19 年中国の電池大手と提携
20 年中国で EV の「C-HR」発売予定
   

EV 時代、探るケイレツ

エンジン部品をつくる愛三工業(愛知県大府市)。 トヨタ自動車系の部品メーカーでは、中堅どころとされる。 過去にはトヨタの大番頭と言われた故・石田退三氏も社長を務め、昨年、創立 80 周年を迎えた。 主力製品は、世界シェア 2 割の燃料ポンプモジュールなど。 「エンジンをど真ん中に置いた会社(野村得之社長)」だ。 ある証券会社は「電気自動車 (EV) 化で不要になる部品に売上高の 90% を依存している」と、3 年前のリポートで指摘した。 トヨタ出身の野村氏は、2017 年春に愛三工業に移った。 「EV シフト」が叫ばれていたころで、前年末にはトヨタも EV 事業企画室を設けた。

野村氏は社内を観察し、電動化関連の技術が足りていないと気づいた。 「トヨタとの仕事をやっていれば大丈夫、という前提があり、環境変化への感度が鈍い。 このままではいかん。」 自ら、技術者にお題を出した。 「勉強のために、ドローンをつくってみろ。」 一つ条件をつけた。 エンジンとモーターで動くハイブリッドのシステムを積むことだ。 技術者たちは、電池や発電機などこれまで縁がなかった部品も含め、ほぼすべてを自前で手がけた。 故障を乗り越えて最近、ようやく試作機ができた。 野村氏は「電動化の難しさが体感できた。 次のステップは、こちらが電動車をつくる車メーカーにどんな提案ができるかについて、考えることだ。」と話す。

昨年 6 月に社長に就任してすぐ、電動化などの将来事業を担う「未来づくり推進部」をつくった。 一方でエンジン部品事業の競争力を高めるため、トヨタ系の最大手デンソーから重なる事業を譲り受ける方向で協議している。 強みを磨きながら、将来の変化に備える戦略だ。 野村氏は「電動化は間違いなくやってくるが、当面はハイブリッド車 (HV) が主力でエンジンは残る」としたうえで、「この 10 年間で弾込めして、違う製品を出せるようにしなければ」と気を引き締める。

東海地方の別のエンジン部品メーカーでは近年、就職志望者が減り、若手の離職者が増えているという。 ある中堅社員は「エンジン部品はなくなってしまう、という不安があるのではないか」とみる。 「ドローンや航空機産業といった成長分野に乗り出そうにも、人材がいなければできない。 技術者の育成が課題だ。」 幅広い部品を手がける大手でも危機感は募る。

アイシン精機の主力は、EV には不要となる変速機。 エンジン部品も手がける。 2 年前、当時の社長は「EV 化になれば、売上高 3.5 兆円のうち 2 兆円近くがなくなる」と述べた。 昨年 6 月に後を継いだトヨタ出身の伊勢清貴社長は就任時、「EV が世間で言われるほど早く来るかは疑問だが、来ることは来る。 我々には不都合な真実であっても、事実だ。」と話し、構造改革の加速を訴えた。 創業期を支えたミシン事業をやめ、電動化をはじめ、次世代技術の投資に振り向けることを決めた。 豊田自動織機は、電動フォークリフトで実績のある電池技術をいかして、EV 向け電池への参入を探る。 「トヨタと前向きに検討している(幹部)」という。

部品事業再編も

自動車産業は、完成車メーカーを頂点に多くの部品メーカーが連なる産業ピラミッドを築いてきた。 特にトヨタ系では強固な「ケイレツ」が残るとされる。 だが、EV を含む電動化が進めば、産業構造は垂直統合型から水平分業型に変わっていく。 中核部品である電池では、パナソニックや中国勢が存在感を強めている。 今後は部品メーカーの再編も避けられない。 トヨタはグループ内で重なる事業を競争力の高い会社に集約するつもりで、来春にトヨタの電子部品事業をデンソーに移すことが決まっている。

トヨタの豊田章男社長は 2 月、名古屋市に部品メーカーの経営者らを集めて会合を開き、「『リアルの世界』を生き抜いてきた私たちの底力を見せてやりましょう」と訴えた。 トヨタと二人三脚で歩んできた部品メーカーも、変革を迫られている。 (竹山栄太郎、asahi = 11-11-19)

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