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トヨタ、エンジン車だけの車種ゼロへ 2025 年ごろ

トヨタ自動車は 18 日、電気で走る「電動車」を全車種で用意すると発表した。 2025 年ごろをめざし、エンジン車だけの車種はなくす。 電動車の一つ、電気自動車 (EV) を 20 年代前半に 10 車種以上投入することも併せて公表した。 世界的な環境規制の強化に対応し、EV での出遅れ感の払拭も狙う。

電動車には、電気だけで走る EV のほか、ガソリンも使うハイブリッド車 (HV) 、外部からの充電もできるプラグインハイブリッド車 (PHV)、水素を使い発電して走る燃料電池車 (FCV) も含む。 いずれかの電動車をトヨタとレクサスのブランドの全車種で設ける。 量産 EV は 20 年にまず中国で売り出し、日本、インド、米国、欧州に順次投入する。 HV や FCV も品ぞろえを増やす。

トヨタは電動車の世界販売台数の割合を 17 年見通しの 15% から 30 年に 50% 以上に引き上げる方針を発表済み。 年間約 150 万台から 550 万台以上に増やす想定。 エンジンだけで走る車の販売を 50 年までにほぼゼロにする長期目標を 2 年前に打ち出しており、そこへの中期の具体策となる。

トヨタは、電動車用の電池の開発と生産に 30 年までに 1.5 兆円ほど投じる方針も表明した。 HV 用電池で組むパナソニックとの連携を EV 用も含めて強化。 ほかの車メーカーにも協業を呼びかける。 電池を含む電動車関連の部品を広く外販することも新たに明らかにした。 EV をめぐっては、トヨタの量産車の発売予定は 20 年。 日産自動車より 10 年遅れる。 規制を強化しつつある中国や米カリフォルニア州などは優遇対象に EV を含め HV を外したため、トヨタの出遅れを指摘する声は多い。

一方、世界各地の規制は販売車全体での燃費の改善もメーカーに求めている。 トヨタは、その達成には普及で EV に先行する HV が有効とのスタンスだ。 ディーゼル車が強かった欧州で HV の販売を伸ばしている。 トヨタの寺師茂樹副社長は 18 日に東京都内で記者会見し、「客と世界の市場にマッチした電動車を提供し続ける」と述べた。 (竹山栄太郎、初見翔)

トヨタが電動車の販売目標を発表してから、わずか 5 日。電動化技術についての説明会は 11 月下旬にも開いている。 自動車調査会社フォーインの久保鉄男社長は「ライバルの EV シフトや EV 用電池のコスト低減がトヨタの想定より早く、EV の商品化が遅れたことに伴うマイナスイメージを恐れているのではないか」と指摘する。

トヨタが得意とする HV が燃費規制をクリアする上で有効だと認めた上で「HV も含めた電動車という概念を前面に押し出そうとしている」とみる。 一方、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏は、トヨタがこれまで慎重だった EV について「20 年代前半に 10 車種以上投入」と打ち出したことに注目する。 「EV に力を入れるメーカーは、さらに早い対応を求められるのではないか」と話す。 (asahi = 12-19-17)


新型センチュリーから見えた景色 降りようとして驚いた

トヨタ自動車は 25 日、東京モーターショーの報道公開で、3 代目となる新型センチュリーを初披露した。 1997 年以来の全面改良で、ハイブリッド車 (HV) へと生まれ変わった。 センチュリーは、皇室や政治家、財界トップ御用達として知られるトヨタブランドの最高級車。 VIP が乗る後部座席は、より快適に改善された。 実際に乗ってみると、足を楽に投げ出すことができる広さに驚く。 前輪と後輪のあいだの「ホイールベース」は 2 代目より 65 ミリ広がった。 100% ウールの素材を採用した座席は、柔らかく心地よい。

運転席と助手席の背もたれの間には、モニターやブルーレイディスクプレーヤーが取り付けられている。 さらに、後部座席中央のアームレストにはタッチパネルが埋め込まれ、オーディオの音量や空調を集中操作できるほか、頭や背中へのマッサージ機能も。 長時間の乗車でも、体への負担を和らげる配慮が徹底されている。 座席から降りようとして驚いたのが、窓ガラスにレースのカーテンがかかった状態では、ほとんど外の景色が見えないことだ。 本能的にドアを開けるのをためらってしまう。 「そうか、外から開けてもらうのが前提なのか」と合点がいった。

最新の衝突回避支援システム装備などで、安全性能も大きく向上している。 高級感のあるフロントグリルにはめこまれた鳳凰(ほうおう)の彫金。 実はこれも衝突回避に使うミリ波レーダーのセンサーを覆うカバーだ。 ハイブリッド化や専用チューニングのサスペンションで静粛性も追求。 高級感のある車体に、要人を守る機能が詰め込まれている。 (信原一貴、asahi = 10-30-17)


トヨタ、未来への原点回帰 22 年ぶり新型タクシー 燃費 2 倍 シニアも快適

トヨタ自動車は 23 日、22 年ぶりに投入する新型タクシーを公表した。 タクシー事業者と協力し、高齢化や訪日客の拡大といった環境変化に必要な機能を多く盛り込んだ。 月 1,000 台程度の販売を目指す。 2020 年の東京五輪までに普及させ「東京の景観を変える(豊田章男社長)」と意気込む。 新型「ジャパンタクシー」は全国のトヨタ店とトヨペット店を通じて発売した。 タクシー専用車は 1995 年発売の「コンフォート」以来 22 年ぶり。 価格は標準仕様の「和(なごみ)」で 327 万 7,800 円とした。

同日午後都内で記者会見したトヨタの豊田章男社長は「モデルチェンジは私自身の念願だった」と話した。 全国ハイヤー・タクシー連合会(東京・千代田)の川鍋一朗会長は「20 年までに東京のタクシー車両の 3 分の 1 に導入し、全国の人や訪日外国人を迎えたい」と述べた。 東京都内の大手タクシー業者などの要望を取り入れ、環境性能と利便性を向上させた。 新開発の液化石油ガス (LPG) ハイブリッドエンジンを採用し、燃費性能を約2倍に引き上げた。 自動ブレーキ機能も標準装備にした。

車体はコンパクトながら、車内空間を大幅に広げた。 シニアや障がい者、大柄な外国人観光客などの乗り降りや荷物の出し入れがしやすくなる。 大口のスライドドアで車いすでの乗降も可能となった。 (nikkei = 10-23-17)


トヨタ、レクサス「LS」を発売 自動ハンドル操作で危機回避も

トヨタ自動車は 19 日、11 年ぶりに全面改良した高級車ブランド「レクサス」の最上級セダン「LS」で、排気量 3.5 リットルのエンジンとモーターを搭載するハイブリッド車 (HV) 「LS500h」を発売した。 5 代目となる新型 LS には世界初の予防安全技術を採用し、車内の快適性に加え安全機能を向上させた。

新型 LS は、衝突の可能性が高まると自動でブレーキやハンドルの操作が行われて回避したり、前や横から接近してくる車両があると注意喚起したりする。 高級車としての乗り心地を保ったまま、スポーティーなデザインにしたのも特徴だ。 12 月 18 日には、排気量 3.5 リットルターボエンジンの「LS500」も発売する。 希望小売価格は 980 万 - 1,680 万円で、国内の月間販売目標は 600 台。 既に 7,600 台が事前受注されている。 米国では来年 2 ls500月に販売を始める。 (sankei = 10-19-17)

◇ ◇ ◇

レクサス、旗艦セダン LS 刷新 クーペスタイルに大変身

トヨタ自動車は 26 日、高級セダン「レクサス LS」の 5 代目となる新型を国内初披露した。 旗艦車種としては異例の 11 年ぶりとなる全面改良で、走行性能や予防安全性能を大幅に向上。 デザインもクーペ風に一新し、スポーティーな性格付けを狙う。

LS はレクサスブランドの最上級 4 ドアセダン。 国内では同ブランド導入以前の 3 代目までトヨタ・セルシオとして売られ人気を博した。 特に 1989 年に登場した初代は、バブル経済期ならではのぜいたくな造りで突出した静粛性を誇り、メルセデス・ベンツ 3 クラスなど欧州メーカーの独壇場だった高級大型セダン市場に国内メーカーが食い込む嚆矢となった。 しかし、レクサスが SUV (スポーツ用多目的車)や小型ハッチバックの投入などラインナップの拡充に努める一方で、2006 年に 4 代目となった LS は全面改良が見送られ続け、市場での埋没感が強まっていた。

新型は、今年 3 月に発売された 2 ドアクーペ「LC」で先行投入された低重心の新設計プラットフォームを採用。 また、初代以来の自然吸気 V8 エンジンを捨てて 3.5 リッター V6 ツインターボに置き換え、近年のトレンドであるダウンサイジングを実現した。 さらに、自動操舵(そうだ)で衝突回避する先進的な運転支援システムを備え、ライバルの欧州勢に後れを取っていた予防安全性能も進化させた。

なかでも、これまでのモデルと一線を画す大きな変化といえるのが、セダン離れしたスポーティーなスタイリング。 ファストバックのポルシェ・パナメーラを思わせる低く伸びやかなプロポーションに、中国市場を意識したと思われる彫りの深い造形を施した。 開発に際して、豊田章男社長からは「初代 LS の衝撃を超えるクルマを」という注文があったという。 旭利夫チーフエンジニアは「セダンやクーペというカテゴリーを超えた、唯一無二の存在感」と強調。 法人需要も多かった旧来のフォーマルなキャラクターから、積極的に運転を楽しめるパーソナルセダンへのイメージチェンジを狙う。

発売は今年秋以降を予定。 想定価格は未発表だが、安全装備の充実などで、800 万円台からの現行型よりも高くなるとみられる。 (北林慎也、asahi = 6-26-17)


AI が運転手を把握 トヨタ試作車、疲れたら自動運転も

トヨタ自動車は、人工知能 (AI) でドライバーの感情や好みを把握して運転などに生かす試作車を、今月下旬に始まる東京モーターショーに出品する。 マイカー用の 4 人乗りに加え、シェアサービスでの利用を想定した 1 人乗りと 2 人乗りも出すという。 これらの試作車は「コンセプト・アイ」と名付けたシリーズ。 カメラやマイクで集めたドライバーの表情や動作、声から、運転手の感情や好みを AI が推し量る。 運転手が好みそうなルートを提案したり、疲れた時に自動運転に切り替えたりする。

1 月に米ラスベガスであった家電・技術見本市「CES」に 4 人乗りを出していたが、今回、2 人乗りと 1 人乗りも出品する。 マイカー用の 4 人乗りで蓄積したドライバーごとのデータを、運転手が外出先などで 2 人乗りや 1 人乗りのシェアサービスを使う時にも生かす。 2 人乗りの「コンセプト・アイ ライド」は、フル充電での航続距離が 100 - 150 キロほどの小型の電気自動車 (EV) を想定した。 都市部でのシェアサービスでの利用をイメージしている。 左右のドアは上向きに跳ね上がる「ガルウィング」を採用し、お年寄りや車いすの人も乗りやすくした。

1 人で乗る時には助手席を格納し、運転席を車両中央に動かすこともできる。 ハンドルやアクセル、ブレーキはなく、ひじ掛けの先にあるジョイスティックで操作。 片手での運転も可能で、自動駐車機能なども備えるという内容だ。 1 人乗りの「コンセプト・アイ ウォーク」は 3 輪 EV。 航続距離は 10 - 20 キロほどで、観光地でのシェアサービスでの利用を想定した。 立ったまま、ジョイスティックで操作する。 お年寄りやスカートの女性でも乗りやすいよう、床を低くした。 シリーズのベースとなる 4 人乗り EV の航続距離は 300 キロほどを想定。 一部機能を載せた車両の実証実験を 2020 年ごろに日本国内で実施するという。 (山本知弘、asahi = 10-18-17)


トヨタ、新ブランド「GR」 プリウスをスポーツ仕様に

トヨタ自動車は 19 日、スポーツカーの新ブランド「GR」を発表した。 プリウス PHV やヴィッツなどをスポーツ仕様に改造して売り出した。 クルマ離れが進み、カーシェアも普及するなか、消費者の所有欲をくすぐり国内販売をテコ入れする。 第 1 弾で 19 日に発売したのはハリアー、マーク X、ヴォクシー、ノアを含む合計 6 車種。 価格は最も安いヴィッツで税込み 208 万 7,640 円から。 もとのクルマに比べ、足回りなどを強化した。 今後、86 やアクアなどの改造車も投入していく。

「GR」は世界ラリー選手権などに参戦しているトヨタのモータースポーツチーム「GAZOO Racing」の略。 レースで培った技術を新ブランドに反映させる。 トヨタはスポーツ向けの改造車ブランド、G Sports (通称 G's)を 2010 年に設けており、これを発展的に解消する。 トヨタの友山茂樹専務役員は「ガズーの根底は『トヨタの壁』を壊すチャレンジ精神だ。 低価格で高性能なスポーツカーを提供したい。」と話した。

三菱総合研究所の杉浦孝明主席研究員の話

2000 年代はミニバンなどファミリータイプの車に人気が集まった。 景気の停滞を背景に、1 台で通勤にもレジャーにも使える実用性の高さが重視されたのだろう。 メーカーもそうした車の開発に資源を集中させ、スポーツカーの新モデルを国内でほとんど発売しなかった。 しかし、2011 年末ごろから各社が新モデルを相次いで発売し、スポーツカーの人気に再び火がつき始めている。 独身の若者にも人気があるが、1980 年代のブームと違うのは、中高年の購入が多いことだ。

団塊の世代が、退職したり育ててきた子どもが独り立ちしたりして、自分の趣味にお金と時間を再び使えるようになっている。 カーシェアの普及などで進むとされる車のコモディティー(汎用品)化は、2000 年代からすでに進んでいた。 どの車にも同じ機能が備わり、車の個性が見えにくくなっている。 メーカーはデザインなど感性に訴える車づくりで違いを出す必要を迫られている。 (asahi = 9-19-17)


スズキやスバルにも参加要請へ トヨタの EV 開発

トヨタ自動車は、マツダと共同で進める電気自動車 (EV) の開発について、スバルなどの出資先や提携協議中のスズキに幅広く参加を要請していく方針だ。 複数の関係者が明らかにした。世界各地で強まる環境規制を踏まえ、関係の深いメーカーと連携し先行企業を追う。

トヨタは 4 日、マツダと資本提携し、EV を共同で開発すると発表した。 軽自動車から小型トラックまで使える EV の基本構造をつくる計画だ。 トヨタ関係者によると、ここに 100% 子会社のダイハツ工業が加わる。 さらに基本構造の応用や商品化の段階では、トヨタが 50% 余りを出資する日野自動車や 17% を出資するスバルのほか、業務提携に向け協議中のスズキにも参加を呼びかける方針という。 (竹山栄太郎、初見翔、asahi = 8-11-17)


トヨタとマツダ、資本提携へ EV 共同開発など取り組み

トヨタ自動車とマツダが資本提携することが 4 日、分かった。 トヨタがマツダに 5% 程度、マツダはトヨタに数 % 出資する方向で調整している。 環境規制の強化に対応するため、電気自動車 (EV) を共同で開発し、米国に新工場を建設することも検討している。 両社は同日の取締役会で資本提携を決め、午後に東京都内で会見する見通し。 自動車業界では EV や自動運転をめぐる主導権争いが激化しており、協力して開発を進め、効率を高める必要があると判断した。 トヨタにとっては自陣営の拡大につながる一方、マツダはトヨタの「後ろ盾」と技術協力を得るねらいがある。

提携を後押ししたのは、環境対策を加速させている諸外国の潮流だ。 米カリフォルニア州は、EV や燃料電池車 (FCV) の販売が少ない車メーカーに特別な負担を求める規制を今年後半から強める。 中国は 2018 年にも EV などの販売を義務づける。 フランスと英国は 40 年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針だ。 こうした流れを見据え、両社は EV の開発を加速させる。 異業種を巻き込んだ競争の続く自動運転の分野でも主導権を握りたい考えだ。 (asahi = 8-4-17)


トヨタ、マツダと提携し米国で新工場建設へ = 関係筋

[ワシントン/デトロイト] 関係者によると、トヨタ自動車とマツダは、合弁事業で提携し、米国に新たな組み立て工場を建設することを 4 日に発表する見通し。 日本経済新聞は 3 日、トヨタがマツダに約 5% 出資し、共同で電気自動車技術の開発、米国への工場新設にあたる計画だと報じた。 関係者が匿名を条件に語ったところでは、トヨタとマツダは米国に大規模工場を建設することを計画しており、電気自動車分野での提携も視野にある。 米工場の建設予定地は決まっていないもよう。 同関係者は、これ以上の詳細は語れないとした。 (Reuters = 8-4-17)


トヨタ、北米新本社オープン 「米国企業」の色強める

トヨタ自動車は 6 日(日本時間 7 日)、北米事業を統括する新本社を、米テキサス州ダラス近郊のプレイノに開いた。 米国進出から今年で 60 年。 意思決定を速めるため、全米に散らばっていた生産、販売などの本社機能を集約した。 これを機に、トランプ米政権との間合いも変化が出ている。 新本社は日本からも直行便が飛ぶダラス空港から車で 30 分ほどの高速道路沿いにある。 東京ドーム 8.5 個分の敷地にガラス張りのビル 7 棟が立ち並び、年内に社員だけで約 4 千人が働くことになる。

カリフォルニア州ロサンゼルス近郊やケンタッキー、ニューヨーク両州に散らばっていた販売、金融、生産などの本社機能を 1 カ所に集めた。 開所式で北米トヨタのレンツ最高経営責任者 (CEO) は「一つのトヨタになることで、革新のスピードを速め、顧客の求めに素早く対応する」と語った。 (山本知弘、米テキサス州プレイノ = 江渕崇、asahi = 7-7-17)


トヨタに押し寄せる 4 つの荒波 迫るグーグル、アップル

自動運転やシェアリング、コネクテッド、電気自動車 (EV) といった「4 つの荒波」が自動車産業に前例のない変化を迫っている。 トヨタ自動車は 4 年連続で世界販売 1,000 万台を達成したものの、2018 年 3 月期は 2 年連続の減収減益を予想。 14 日、トヨタの豊田章男社長は愛知県豊田市で開いた株主総会で「大きな転換期で、守りだけでなく攻めも必要」と危機感をにじませつつ、「M & A (合併・買収)も含め、あらゆる選択を考える」と挑戦への姿勢を鮮明に示し、未来の投資への理解を株主に求めた。

「手ごわいグーグル、アップルが自動車業界に参入。 トヨタにますます頑張ってほしい。」 「2 期連続の減収減益の見通し。 どのように立て直していくのか。」

この日、午前 10 時からトヨタ本社本館で始まった株主総会には過去最多の 5,227 人が出席した。 9 人の株主が質問に立ち、経営陣に対して課題を指摘したり、エールを投げかけたりした。 株主総会を「1 年で最も将来に向けたメッセージを発信でき、ヒントをもらえる場」と位置づけるなか、経営理念のほか、社内カンパニー制や新たな設計開発手法「TNGA」の導入、人工知能 (AI) への投資など、中長期の改革の説明に時間をかける光景が目立った。

足元の経営環境は厳しい。 18 年 3 月期の連結売上高は前期に比べて微減の 27 兆 5,000 億円、営業利益は 20% 減の 1 兆 6,000 億円となる見通し。 営業利益が 2 期連続で減ると 18 年ぶりとなる。 世界販売台数はほぼ横ばいの 1,025 万台。 東南アジアで販売が増える見込みだが、米国市場がピークを過ぎ、17 年 1 月には 05 年以来初めて、市場全体の在庫が 400 万台を超えた。 米ゼネラル・モーターズ (GM) などが 1 台当たり 40 万円超の販売奨励金を出すなか、収益環境は悪化している。

だが株主の本質的な関心は「10 年先、15 年先にどういう社会をみているのか(男性株主)」という質問に表れていた。 世界で 36 万人強の従業員を抱える巨大組織になったトヨタが、100 年に 1 度といわれる自動車業界の変化を乗り越えられるかどうかにある。 米国で 1,600 万頭いたとされる馬に代わり、移動の主役となった大量生産車「T 型フォード」の誕生から 110 年。 世界の新車市場は 16 年に 9,385 万台と直近 10 年間で 4 割増えた。 独フォルクスワーゲン (VW) とトヨタ、GM が 1,000 万台の生産規模で車の安全性や走行性能、燃費などのものづくりの山頂を競ってきた。

だが通信技術や AI が急速に進化し、自動運転を含めた移動中の体験サービスという全く別の競争の山ができつつある。 その頂を狙うグーグルやアップルの時価総額はトヨタの 4 倍前後で、研究開発費もトヨタを上回る。 カーシェア大手の米ウーバーはコンプライアンス問題で揺れるが、創業わずか 8 年で、世界 500 都市で 1 日 100 万人の利用者をつかんでいる。

トヨタが 10 年に資本提携し、16 年末までに全株式を売却した米テスラも EV で攻勢をかける。 先行投資で赤字が続くが、時価総額は今年 4 月に 510 億ドル(約 5 兆 6,000 億円)に達し、100 倍以上の販売台数がある GM を抜いた。 あるトヨタ役員は「テスラは車にみえるが、ビジネスモデルは iPhone に近い。 走るコンピューターで、既存の自動車産業のビジネスモデルを変えようとしている」と競争の軸の変化を感じている。

トヨタは設立 80 周年を迎える。 かつて自動車産業では GM や米フォードが先行するなか、後発ながら、使い勝手と低コストに向けた改善を続けて、世界首位グループになった。 株主総会で豊田社長はふたたび「予測できない時代。 80 年間きたえあげてきたビジネスは守り。 攻めも必要。」と強調した。 80 年前、トヨタの創業の自動織機事業の利益の大半を注ぎ、将来の基幹産業になると見据えた自動車事業に参入した。 資金や技術の不足からトヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎が辞任に追い込まれる経営危機に陥ったが、1953 年にトヨタ全体の 1 割だった自動車事業の売上高はわずか 7 年で 5 割まで高まり、今日の礎になった。

いま有利子負債を除いた資金は 7 兆円を超え、最先端技術を研究する施設も整う。 織機から自動車に変革したころに比べて一見、優位にみえるが、創業期に 4,000 人程度だった従業員は 100 倍に増えた。 日本だけで 3 万社の中小取引先、140 万人以上の雇用も抱える。 既存ビジネスを守る責任が大きく、ベンチャー精神は芽生えづらいことが最大のリスクとなる。

株主総会の締めくくりでの「チャレンジは始まったばかりで、うまくいかないことのほうが多い。 失敗しても必ず学び、1 歩でも前に進む。 スマートでないが、トヨタらしいやり方で未来に歩む。 理解、支援をお願いします。」といった豊田社長のあいさつに危機感がにじむ。(名古屋支社 工藤正晃、nikkei = 6-14-17)


トヨタらしくないクルマ「C-HR」 なぜ新車販売ランク 1 位に?

トヨタの「C-HR」が、2017 年 4 月の新車販売ランキング首位になりました。 あまりトヨタらしくないクルマですが、好調の理由はそれかもしれません。 どのあたりが「らしくない」のでしょうか。 販売ランキングのトップといえば、「プリウス」や「アクア」の指定席で、先だって日産の「ノート」が首位をとったときには、約 30 年ぶりの快挙とニュースになったほど。 そこに、エントリーカーでもなんでもないパーソナル色の強い SUV が座ったのですから、驚くなというのが無理なほどです。

「C-HR」の 1 位の理由は、「世界的な SUV ブームの後押し」、「プリウスやノートの不調」、「メディアの絶賛」など、いくつも考えられます。 そうした複数の要因があるからこそ、1 位が実現したのでしょう。 しかし、試乗やエンジニアへの取材を通して筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)が個人的に感じたことは、「『C-HR』はこれまでのトヨタ車とはまったく異なる、画期的なクルマである。」ということです。

名前もデザインも「らしくない」

まず、名前です。 「名は体を表す」というように、「C-HR」という名前が、これまでのトヨタ車とは違っています。 自動車業界の人間としては「CR なんとか」と聞いて思い浮かぶのはホンダです。 ホンダは「CR-V」や「CR-Z」、「HR-V」といったクルマを販売してきました。 そうした名前の中に「C-HR」があると非常に紛らわしいと感じるのが普通です。 最初に「C-HR」という車名を聞いたとき、「ホンダ車と勘違いされる可能性のある名前なんて、本当にこれでよいの?」と思ったものです。

ブレーキランプが特徴的な「C-HR」

そしてデザインも斬新です。 車体の後ろのブレーキランプは、リヤフェンダーから飛び出るようで、ギョッとするほど立体的です。 開発陣のデザイナーから「C-HR」のデザイン制作は「ここまで大胆だとさすがにダメだろうと思いつつ、上司にうかがいを立てると、次々と OK が出ました。 限界に挑戦するような作業でした。」という話も聞けました。

走りすら「らしくない」?

また、走りも完全な欧州テイストです。 速度の高いところでのコントロールのしやすさは、これまでの日本車とは完全にレベルが違います。 欧州のジャーナリストにも絶賛されたというのも納得です。 あまりに車体や足回りが良すぎるので、それに対してエンジンの出力が物足りなくなるほどです。 通常、「走行スピードが低い日本市場では必要ない」、「ユーザーがほしがらない」と判断されそうなものですが、「C-HR」はマニアックなまでに欧州テイストの走りを追及しています。

名前にはじまり、デザインも走りも従来のトヨタとは異なるのが「C-HR」の特徴です。 ある意味、こうした「脱トヨタ的な部分」をユーザーがしっかりと嗅ぎ取り、今までのトヨタにはない新しさがユーザーに受けたのも、販売ランキング 1 位獲得の理由ではないでしょうか。 (乗りものニュース = 5-27-17)

前 報 (12-15-16)


今夏発売! トヨタ新型カムリと現行モデルとの違い!

2017 年 1 月に米国で開催された『デトロイトモーターショー』で、世界初公開を果たしたトヨタ新型カムリ(米国仕様)の日本仕様が遂に公開されました。 日本での発売日は 2017 年夏頃を予定しています。 詳細なスペックや価格、燃費は現時点では不明ですが、新型と旧型のデザインの違いは歴然! 新型カムリハイブリッドと現行カムリの違いを比較します。

新型カムリには、新開発のエンジンである "Dynamic Force Engine" が初採用されます。 ガソリンモデルには直列 4 気筒 2.5 リッター直噴エンジンを搭載。 このガソリンモデルには、TNGA により全面刷新された新型トランスミッションの "Direct Shift-8AT" を採用。 世界トップレベルの伝達効率の実現だけでなく、多段化やロックアップ領域を拡大することで、ドライバーの意のままに反応する走りを実現しているとのことです。

また、ハイブリッドモデルでは、2.5 リッター用のトヨタハイブリッドシステム (THS II) を一新しました。 小型・軽量・低損失化技術を、高燃焼効率・高出力の新型エンジンと組み合わせることで、優れた動力性能・低燃費を実現しています。 フルモデルチェンジの変更点で最大のポイントは、フロントフェイスの変更です。 現行カムリは、カローラアクシオやカローラフィールダーと類似したデザインでしたが、新型カムリハイブリッドは、現行モデルの面影を一切残していません。 (CarView = 5-26-17)

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トヨタがついに決断! マーク X、SAI を廃止し、中型セダンを新型カムリに集約する理由

トヨタがマーク X と SAI (サイ)の生産を打ち切り、日本国内での中型セダンは今夏発売予定の新型カムリに集約。 日本が大型連休真っ只中の 5 月 5 日、トヨタの地元となる大手メディアがついに書いた。 この話は昨年の中頃から、ネットや個人ブログなどでは噂になっていた。 それが今回、連休中の記事露出をまるでトヨタ側が事前に承知していたかのように、中日新聞が書いたことで、三河地域の自動車業界関係者はこの話を "事実" として捉えた。

同記事にもあるように、日本国内市場は軽自動車とミニバンが主流となっており、過去 10 数年間でセダン市場は急速にしぼんでしまった。 そうした小さな市場に対して "ほぼ日本国内専用車" のガラパゴス車である、マーク X やサイを存続させる理由は、トヨタ社内やトヨタグループ内、そして株主や投資家など対外向けにも、特に見つからない。

製造台数と販売台数で世界ワンツーである、中国とアメリカと同じく、日本でも中型セダンをカムリに集約させることは経営戦略上、当然の決断である。 アメリカではすでに、2017 年モデルとして販売されている新型カムリは、長年に渡りアメリカ人にとっての "安全パイ" というイメージを刷新し、次世代を強く予感させるアグレッシブな風貌と内装、そして新開発の車体である TNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のよる鋭い走りへと大変革した。 (carView = 5-16-17)


米国も待ち望む日本車、トヨタ新型スープラが 15 年ぶりの表舞台へ登場間近

私は本稿を、アメリカ西海岸のサンノゼ市内で執筆している。 この周辺は、いわゆるシリコンバレーと呼ばれるIT産業の集積地であり、関連企業の従業員は高給取りが多く、路上では高級スポーツカーの姿を数多く見かける。 なかでも目立つのはテスラ「モデル S」だ。 バブル期に日本でブームとなったメルセデス 190E が「六本木のカローラ」と呼ばれたが、「モデル S」はいま「シリコンバレーのカローラ」のような存在になっている。 そんなシリコンバレーの住人たちが発売開始を待ち望んでいる日本車がある。 それがトヨタ新型スープラだ。

最近、日米の自動車メディアでスパイフォトが頻繁に掲載されている、新型「スープラ」。 今年 10 月開催の東京モーターショーの目玉として日本でも期待が高まっている。 スープラは 2002 年に生産と販売が終了しており、15 年ぶりに表舞台に帰ってくる。 トヨタとしては近年、『86』の投入でスポーツカー市場に本格復帰。 ユーザー参加型のレースやラリーなどを積極的に展開するなど、スポーツカーの王道であるフロントエンジン・リア駆動 (FR) の市場を再構築してきた。

そうした中、86 の兄貴分がそろそろ欲しい、という声がトヨタの社内外から高まってきたのは当然の流れである。 現状では、86 の上のスポーツカーは事実上、レクサス RC や新型 LC といった日本車としては超高級車の部類まで価格が一気に跳ね上がってしまい、庶民の感覚では手が出せないのだから。 (CarView = 5-10-17)



新生プリウス、脱エコカーに壁 新設計手法の狙いに狂いも

[東京] トヨタ自動車は新しい設計手法を採用した最初の車として新型プリウスを来月発売する。 ハイブリッド車 (HV) の先駆けとして 18 年前登場したプリウスだが、かつての先進性は薄れており、同社は新型車をエコカーとしてではなく、走りや感性に訴える車として一新したと自負する。 だが、新設計手法の狙い通り新たな魅力で客層を広げられるかは不透明だ。

新設計手法「TNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」では、複数の車種でプラットフォーム(車台)や部品を共通化し、設計から開発、生産、人員配置まで車づくりのプロセスすべてを刷新した。 低重心化を図り、操縦安定性や乗り心地を向上させ、走る、曲がる、止まるといった車の基本性能を高めた。

TNGA による新型プリウスは別の車種と共有する部品を採用したため、現行プリウスとの共通部品がほとんどなく、現行車に比べて原価は高い。 仮に現行車と同じ台数を売っても「もとは取れない(トヨタ幹部)」ため、新型車の販売台数を現行車より増やすか、新たな TNGA 車を継続投入して量を確保して利益を追求しなければならない。

同社幹部によれば、新型プリウスの生産は来年は月 4 万台、年 50 万台前後となる見込み。 現行プリウス発売翌年の販売ピーク時と同じ規模だ。 正式な価格は未発表で、オプション設定にもよるが、燃費や走行性能の改善、最新安全技術の搭載を反映し、全体では現行から 10 万 - 20 万円ほどの上乗せになりそうだ。

メジャーな車でなくてよい

「エコカーとしてではなく、TNGA で生まれ変わった車本来の価値で買ってもらいたい。」 開発責任者の豊島浩二氏は新型プリウスの狙いをそう語る。 車体のイメージカラーをこれまでのエコカー的な青色ではなく、「走りやエモーショナルさを感じられる」赤色に変えたのもそのためだ。 デザイン開発の過程では、奇抜なファッションで知られる歌手のレディー・ガガ、多機能性を内に秘めながらもデザイン性を極めたアップル製品やオーディオ機器のバング & オルフセンなどを参考にしたという。 カローラのような「メジャーな車」ではなく、特定の客層の心をつかむ車にしたいとの思いが透けて見える。

新型プリウスの燃費はガソリン 1 リットル当たり 40 キロと最高水準を実現したが、トヨタ幹部も自ら認めるように、従来のプリウスは燃費が良くても「走っていてつまらない」、「躍動感がない」などと酷評されてきた。 他社からも同様の HV が投入されている今、プリウスがデビュー当時に誇った先進的な存在感はモデルチェンジを重ねるごとに後退し、販売台数も頭打ちだ。

ユーザーの期待

ある国内販売店の話では、プリウス購入者の 7 割以上が残価設定クレジット(残クレ)を利用し、うち約 3 割が新車に買い替えており、今回も「その 3 割が買い替えてくれれば」と期待を寄せる。 事前予約も堅調で、「あとはプリウス以外のトヨタ車や他メーカーからの乗り換えをどこまで促せるかが勝負」と話す。

残クレとは新車価格の一部をあらかじめ残価(下取り価格)として設定し、たとえば 3 年のローンで新車と下取りの価格差を支払う方法で、顧客は 3 年後に所有車をそのまま購入するか売るか、新車に乗り換えるかの 3 択から選ぶ。 プリウスの場合、3 年前に設定した中古車価格は 3 年後高くなることが多く、新車に買い替える確度が高い。

ただ、ユーザーからは厳しい声も上がる。 「いかにもデザインしましたという感じ。 高齢者にはちょっと派手過ぎる。」 千葉県在住の渡辺正明さん (67) は新型車の印象をこう語り、「プリウスは安全性と燃費を追求してくれれば十分」と話す。 「初代プリウスを乗り続けて 10 年以上になるが、まだ乗れるので新型車は購入しない」という。

「前よりカッコいい。 シャープで早く走れそう。」 車好きを自認する東京都在住の渡辺弘一さん (35) は新型車に好印象を持つが、やはり購入はしないという。 都心の生活に車は不要と 2 年前に現行の 3 代目プリウスを手放した。 新型プリウスには関心があるものの、駐車場代など車を所有する金銭的な負担を上回る魅力があるとは考えていない。

独立系調査会社 TIW の高田悟シニアアナリストは「トヨタの狙いは空振りする恐れがある。 走りやデザインを求める客はもっと趣味の色が強い別の車を選ぶ。」と予想する。 「トヨタ車は長く乗っても壊れず、海外でも中古車価格は高い。 燃費や安全性に惹かれる堅実な客や既存ユーザーは取り込めるため、販売が苦戦するとは思わないが、新たな顧客獲得は難しいのでは。」とみている。

新型プリウスは来年、海外でも発売され、プラグインハイブリッドタイプも投入するが、ガソリン安の逆境下では HV も選好されにくく、どれだけ販売を伸ばせるかが課題だ。 「安全と燃費」だけから「走りとデザイン」への脱皮で、どこまで顧客をいい意味で裏切るのか。 トヨタの挑戦が吉と出るかどうかプリウスで初めて試される。 (白木真紀、Reuters = 11-18-15)

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