1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10 - 11
(9)
ホンダ、中国・武漢工場の生産再開 行動規制緩和 【北京】 ホンダは 29 日、中国での新型コロナウイルス感染拡大の影響で28日から操業を一時停止していた湖北省武漢市の自動車工場について、30 日から生産を再開すると明らかにした。 行動規制が緩和され、操業に必要な人員を確保できるめどが立ったためという。 (jiji = 11-30-22) ◇ ◇ ◇ ホンダ、武漢工場を停止 = 従業員出社できず - 中国 【北京】 ホンダは 28 日、中国・湖北省武漢市にある自動車工場の稼働を同日から停止したと明らかにした。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う地区封鎖などで多くの従業員が出社できなくなったためだという。 武漢工場ではスポーツ用多目的車 (SUV) の「CR-V」やセダンの「シビック」を生産している。 29 日以降の操業は感染状況を踏まえ判断する方針だ。 (jiji = 11-29-22) 不景気はむしろ追い風 サイゼリヤ、コロナ禍の中国で一人勝ち リーズナブルな価格が魅力のレストランチェーン「サイゼリヤ」が、コロナ禍をはねのけるほどの底力を見せている。 10 月 12 日発表の 2022 年 8 月期(通期)決算(2021 年 9 月- 2022 年 8 月)では、売上高が前年比 14% 増の 1,442 億 7,500 万円となり、純利益は 56 億 6,000 万円と前年の 3.2 倍に増加した。 その好調を支えたのが中国市場だった。 決算報告書によると、現在サイゼリヤの店舗数は 1,547 店舗、全てアジアで展開している。 うち日本が 1069 店舗、中華圏に 449 店舗(中国本土 371 店舗、香港 58 店舗、台湾 20 店舗)となっている。 中国国家統計局のデータによると、中国の外食産業売上高は 2022 年 1 - 8 月に前年同期から 5% 減少した。 日本ブランドの味千ラーメンや吉野家、サイゼリヤと似たジャンルのピザハットやケンタッキーフライドチキンなども軒並み減収や赤字となった。 成長の中心地は中国三大都市 この 2 年ほどの間に、コロナ禍による赤字から黒字転換を果たしたサイゼリヤにとって、重要な役割を果たしたのが中国市場だ。 決算報告書によると、日本国内事業は 2022 年 8 月期に 21 億 100 万円の営業損失を計上しており(前年の営業損失は 72 億 1,000 万円)、新型コロナウイルス感染症流行に伴う客数の減少によるものと説明している。 アジアの他の地域では 22 2億 3,400 万円の営業利益を達成しており、その主戦力となったのが中国だ(日本とシンガポール 31 店舗を除いて、アジアの店舗は全て中華圏にある)。 中国本土市場では、北京、上海、広州に設立された 3 つの子会社がそれぞれのエリアの運営管理を担っており、店舗の大部分がこの 3 都市に集中している。 サイゼリヤはフードデリバリー業務を行っていないため、今年前半はロックダウンやレストラン営業停止の影響をまともに受けた。 しかし 2022 年通期の売上高を見ると、北京と上海がそれぞれ前年比 13.4% と 0.5% 減少したのに対し、広州は 28.9% 増加している。 サイゼリヤの中国市場の成長は、消費者の意識の変化と関わりがある。 例えば上海では、2003 年にサイゼリヤ 1 号店をオープンすると一躍大人気となり、2016 年までに 120 店舗を展開した。 しかし中国に消費アップグレードの波が押し寄せると、多くの新たなブランドが大きな市場を占めるようになったため、サイゼリヤの新規出店は大幅にペースダウンし、2016 年から 2020 年にかけての新規開店はわずか 23 店舗にとどまった。 そしてここ数年の新型コロナウイルス感染症の大流行を受けて、消費者が冷静に「コスパ」を見極めるようになったことで、サイゼリヤが再び注目を集めることとなった。 サイゼリヤが苦境のもとでも成長する底力を見せたのはこれが初めてではない。 日本のバブル経済が崩壊した 90 年代、多くのレストランが倒産するなか、サイゼリヤは低価格を武器に不景気をチャンスに変えて急成長を遂げた。 90 年代末には国内に 300 店舗近くを展開し、営業利益率は 20% 近くに達した。 「景気が悪くなっている時ほど市場はかえって成熟し、衣食住関連の消費もいっそう理性的になる」と、ある飲食店創業者は語る。 「サイゼリヤのような昔からある低価格のレストランは生き抜くことができる。 効果的なコストコントロールと高いコストパフォーマンスを実現できるうえ、常連客が多いことも相まって、安定した利益率を維持できるからだ。」 (36Kr = 11-19-22) 浙江省平湖市で日系大手が新工場着工へ 外資各社「自信変わらず」 【杭州】 中国浙江省平湖市で新工場の建設プロジェクトを進める日本のモーター大手、日本電産の中国現地法人、日本電産汽車馬達(浙江)の封静(ほう・せい)総経理はここ数日、今月下旬の着工に向け最後の標準審査に追われている。 新工場は電気自動車 (EV) 用トラクションモーターシステムの旗艦工場となり、年間生産能力はフル稼働時で 100 万台を予定する。 上海市に隣接する平湖市には、さまざまな業種の外資系企業 300 社余りが集積する。 同社は中でも比較的早い時期に進出し、主に自動車用電動モーターの開発などを手掛けてきた。 封氏は「新工場は 1 年後の稼働を目指す。 中国市場は企業に発展のチャンスと自信を常に与えてくれる。 特にここ数年は新エネルギー車 (NEV) の普及率が急速に伸びており、EV 用駆動モーター事業の見通しは明るい。」と話した。 日本のハウス食品グループ本社傘下の浙江好侍(ハウス)食品も平湖市内に工場を構える。 工場内では自動化された生産ラインがフル稼働し、毎分 200 個以上のカレー製品を生産。 現在は間近に迫った大型電子商取引 (EC) セールに向けた準備も進めている。 同社の蛯原武弘総経理は「ハウス食品は上海や大連にも工場がある。 中国の整ったサプライチェーン(供給網)システムや広大な市場、発達した EC、利便性の高い物流などが中国事業の成長につながっている。」と語った。 新型コロナウイルス感染症の発生以降、一部の外資系企業は厳しい局面に立たされたものの、平湖市内では各企業が生産能力を拡大するなど順調に回復が進んでいる。 平湖経済技術開発区管理委員会招商服務(企業誘致サービス)弁公室の毛方英(もう・ほうえい)副主任によると、2022 年第 1 - 3 四半期(1 - 9 月)の同開発区の外資契約額は前年同期比 99.6% 増の 2 億 9,600 万ドル(1 ドル = 約 148 円)で、うちハイテク産業の外資導入額(実行ベース)が 77.2% を占めた。 (呉帥帥、殷暁聖、中国・新華社 = 11-5-22) ゼロチャイナなら国内生産53兆円消失 中国分離の代償
ホンダは供給網の再編に向けた総点検を本格化した 米中対立の激化やウクライナ危機で世界のサプライチェーン(供給網)が分断されつつある。一体化していた供給網が民主主義と権威主義の国家間で引き裂かれ、機能不全が進む。 日米欧は中国を世界経済から切り離す動きを強めるが、中国を外せば、あらゆる製品のコストが大きく上がる。 世界に「ゼロチャイナ」への備えはあるのか。 今夏、ホンダで極秘のプロジェクトが本格化した。 中国製の部品を極力使わずに乗用車やバイクを造れないか探る供給網の大規模な再編計画だ。 中国は車などで世界最大の市場だ。 企業が収益力を高めるには中国での事業拡大が欠かせない。 だが、台湾海峡で有事が起これば中国で事業を続けるか選択を迫られる。 経営者は事業の継続性を常に考える必要がある。 事業継続見据え ホンダも車の世界販売に占める中国比率が 3 割強あり、今後も収益の柱にする方針は変わらない。 今すぐ脱中国を進めるわけではないが、中国リスクと正面から向き合うのも、いざという場合への備えを平時から練り上げておくためだ。 東南アジアなど他地域から調達した際のコストの試算などを急いでおり、逆に中国で造る車などの部品は中国内で調達する。 ホンダは「供給網のリスクヘッジについては常に様々な検討をしている」とコメントした。 果たしてゼロチャイナは可能なのか。 部品など中国から日本への輸入の 8 割(約 1 兆 4,000 億円)が 2 カ月間途絶すると、家電や車、樹脂はもちろん、衣料品や食品もつくれなくなる。 約 53 兆円分の生産額が消失する。 早稲田大学の戸堂康之教授らがスーパーコンピューターの「富岳」で試算した。 年間国内総生産 (GDP) の 1 割に匹敵する額が吹き飛ぶことになる。 冷戦の終結後、グローバリズムは旧共産圏を取り込み、経済面で相互依存を高めた。 特に日本は中国との結びつきが強い。 輸入総額の中で中国から輸入する比率は 2020 年で日本が 26% あり、米国 (19%) やドイツ (11%) よりも大きい。 中国での事業拡大は競争力の向上に不可欠だ。 コスト 14 兆円増 製品の価格も上がる。 供給網の調査会社、オウルズコンサルティンググループ(東京・港)によると、家電や車など主要 80 品目で中国からの輸入をやめ、国産化や他地域からの調達に切り替えた場合、年 13 兆 7,000 億円のコスト増になる。 東証プライムに上場する製造業の純利益の合計の 7 割にあたる規模だ。 個別の製品にコスト増を転嫁すると、パソコンの平均価格は 5 割上がり 18 万円に、スマホも 2 割高い約 9 万円になる。 ウクライナ危機などでインフレが進むが価格の上昇幅はその比ではない。 国家は中国を供給網から排除する動きを強める。 バイデン米政権は 5 月に日米やインドなど 14 カ国で「インド太平洋経済枠組み (IPEF)」を創設した。 有事に各国が重要物資の情報を共有し、在庫を融通し合う危機対応を想定する。 企業も平時は中国で事業を続けつつ、万が一のリスクに備える必要がある。 日本経済新聞が 9 月に実施した社長 100 人アンケートでは 96% が台湾有事を「懸念している」とし、実際の有事を想定した事業継続策を 82% が「ある」または「検討中」と答えた。 アップルも脱中国 かつての米中蜜月を前提に設計などは米国で、生産は中国でと「米中分業」で成長してきた米アップルも脱中国に動く。 アップルはこれまで「iPhone」などほぼ全製品を中国で生産してきたが、最新型の iPhone14 をインドで生産(一部)する。 調査会社によると、インドでの生産比率は 20 年の 1% から 22 年は最大 7% にまで高まる見通しだ。 市場も中国リスクには敏感だ。 QUICK・ファクトセットで世界の約 1 万 3 千社を中国の売上高比率ごとに分類し、平均株価の推移を 09 年末と比べた。 中国比率が 50 - 75% 未満の企業の株価は足元で 09 年末より約 1 割安い。 25% 未満が 6 割上昇したのとは対照的だ。 冷戦時は東西の供給網がつながっておらず脱ソ連、脱中国は容易だった。 現在は原料などの上流から製品組み立ての下流まで中国と密接に絡み合う。 平時は中国での事業を伸ばしながら有事に備えて中国に頼らない供給網も整える。 企業そして国家の覚悟が問われる。 供給網
円安で … 日本企業 "国内回帰" 加速「中国の 2 割安く作れる」 地域経済も活性化 急激な円安で、海外の生産拠点を日本に移す国内回帰の動きが加速しそうです。 中国産を国内産に替えて、コストを 2 割削減するというメーカーを取材しました。 ■ 国内回帰「中国より 2 割安く作れる」 22 日、埼玉県のとある工場へ向かいました。 "企業秘密" だらけの工場で、案内されたのは …。
大手生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」の工場。 そこにあったのは、4 つ並んだ巨大な金属の箱です。
金型とは、商品を製造する際に必要な "型" のこと。 この中に、プラスチックなど原材料を入れて固めることで、商品を大量に製造できます。 金型は、今月上旬に中国の工場から日本に輸送してきたばかり。 現在は、その金型のメンテナンス中で、来月中旬から収納グッズなど、およそ 50 品目を国内で生産します。 これまでは、コストを安くするため中国の工場で生産していましたが、金型を日本へ戻した理由、それは …。
中国のロックダウンや原油高。 マイナス要因が次々と浮上するなか、アイリスオーヤマは今年 6 月ごろから生産拠点を日本に戻す検討を始めていました。 そこに重なったのが、今回の円安です。
■ カーナビも "国内" に … 30 万台以上を生産予定 こうした企業による国内への回帰の動きは、他にも見られます。 音響機器メーカー「JVC ケンウッド」は、インドネシアなどで行っていた国内向けのカーナビの生産を長野にあるロボットを使った自動化生産の工場に全面移管を開始。 今年度は年間 30 万台以上の生産を予定し、来年度以降はおよそ 50 万台の生産規模を目指すとしています。 こうした企業の国内回帰で、地方にある変化が生まれ始めています。 ■ アパレル大手も国内に … 地域経済 "活性化" にも一役 岡山にあるアパレルブランド「ワールド」の工場。
中国やベトナムのロックダウンをきっかけに、生産の拠点を国内に戻しています。
この工場では、採用人数を増加。 通常 6 人ほどで行っていたライン作業を今は倍の 12 人にまで増やすなど、地域経済の活性化にも一役買っているといいます。
これまでは海外で作ったほうが安上りでしたが、今や円安に原油高と、日本国内で生産したほうが安く済むといいます。
アイリスオーヤマ、中国から国内工場に生産シフト 円安と燃料高騰で 生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)は、急激な円安の進行や燃料価格の高騰の影響で上昇している生産コストの軽減のため、中国工場で行っている日本向け製品の一部の生産を、国内の工場へ移管した。 6 月に方針を決めたもので、9 月に入って金型を国内工場に運び、生産の準備を進めている。 同社によると、対象は、大連など中国国内の四つの工場で生産していたプラスチック製の衣装ケースや園芸用品など計約 50 種類で、埼玉、滋賀、佐賀の 3 つの工場に生産を移す。 国内に生産を切り替えることによって、輸送コストなどを減らし、約 2 割のコストを削減できる見込みという。 同社は、今後対象商品を拡大することを検討しているといい、広報部の担当者は「世界情勢に対応し安定的な生産の確保に努めていきたい」としている。 (池田良、asahi = 9-15-22) 中国進出の日系企業、「7 割超が黒字経営」と健闘 中国市場に進出している日系企業は、現在の事業環境をどう見ているのだろうか。 在中国の日系企業の団体である中国日本商会が 7 月 29 日に発表した「中国経済と日本企業 2022 年白書」によれば、対中投資の縮小や事業の移転・撤退を検討している日系企業はごく少数に限られている。 白書では、日本企業の中国法人を対象に日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施したアンケート調査(有効回答企業数 685 社)の結果を引用。 それによれば、日系企業の 2021 年の業績は新型コロナウイルスが中国国内で大流行した 2020 年に比べて顕著に回復した。 同年の収支が黒字だった日系企業は全体の 72.2% と、前年比 8.7 ポイント増加した。 この数字は新型コロナの発生前の水準を上回っただけでなく、2007 年以降の最高記録だ。 一方、好調な業績にもかかわらず、日系企業の多くは中国での事業拡大に慎重姿勢をとっている。 白書によれば、今後 1 - 2 年の間に「事業規模を拡大する」と回答した企業は 40.9% にとどまり、新型コロナ流行前の 2019 年の 43.2% を下回った。 新型コロナ防疫対策の緩和を要望 とはいえ、中国事業の縮小や撤退を検討している企業は極めて少ない。 白書によれば、「事業を第三国に移転、または撤退する」と回答した企業は 0.4% と、2010 年の調査開始以降で最も低い水準だった。 「日系企業の多くは、中国への投資を続けたいとの強い意志を持っている。 日中両国の交流とビジネスが正常な軌道に沿って進むことを望む。」 中国日本商会の副会長を務める御子神大介氏は、白書発表の記者会見でそう語り、日系企業からの具体的な要望を次のように挙げた。 「新型コロナ対策の防疫措置を緩和し、ビジネスマンの(日中間の)往来を円滑化してもらいたい。 例えば、日本人が駐在員として中国に赴任する際や中国に出張する際の諸手続きの簡素化、(中国入国時の)隔離期間の短縮、隔離終了後に各地の都市が課している追加隔離措置の撤廃などを進めてほしい。」 (楊錦曦・財新/東洋経済 = 8-23-22) ロックダウン解除の上海、日系企業も活動再開 部品調達に不安の声も 中国・上海で約 2 カ月間続いた都市封鎖(ロックダウン)の解除を受け、日系企業に活動再開の動きが広がっている。 上海で作られる部品の供給が滞り、減産を強いられて影響を受けた自動車業界。 4 月の世界生産台数は前年同月を大きく下回り、トヨタ自動車は 9% 減の 69 万台、ホンダは 54% 減の 19 万台、日産自動車は 27% 減の 20 万 7 千台だった。 ロックダウンの解除で、トヨタは主力の元町工場(愛知県)など国内 10 工場で一部生産ラインを止めていたが 13 日以降に順次、稼働していく見込み。 ホンダも減産が続いた国内生産が 6 月上旬には通常稼働となる予定という。 日産は「部品の生産が回復していけば、徐々によくなるのではないか(広報)」と話す。 ただ、全面的な再開にはまだ時間がかかりそうだ。 安川電機は上海市内にインバーターなど三つの工場を抱える。 ロックダウンで一つは生産が停止、別の二つでは従業員が寝泊まりして生産を続けたが、途中から物流が途絶えて 2 - 3 割の水準にとどまった。 今後も、取引先から部品を調達できるか不安があるといい、現地法人の岡久学総経理は「供給元と密に連携しないといけない。 7 月 1 日には完全な正常化を目指したい。」と話す。 パナソニックは 4 月から電子レンジや洗濯機など、国内量販店からの受注を停止。 中国の工場再開は「行政の指示に従う(広報)」と答えるにとどめた。 ソニーグループもテレビなどを作る上海市の工場の稼働を徐々に再開しているが、フル稼働の見通しは立っていないという。 ロックダウンは中国での生産にリスクが伴う懸念も深まるきっかけとなった。 中国日本商会が 5 月 31 日に発表した日系企業へのアンケートでは、「チャイナリスクを再認識した」との指摘が続いた。 再び感染が広がれば、また厳しい移動や工場稼働の制限がとられるためだ。 ある大手自動車メーカーの担当者は「経営上のリスクはある。 今後は、うまく部品を調達できるように対策を考えないといけない。」と話す。 解除に伴う混乱を指摘する声も出ており、貿易会社関係者は「上海から米国への輸出が急増すれば、一昨年から停滞していた米国の港に荷物が押し寄せてパンクしかねない」と身構える。 欧米企業からは中国への投資を減らすとの声もあがる。 上海のロックダウンが終わっても、中国経済がすぐに回復するとの見方は少ない。 中国政府は今年の経済成長率について「5.5% 前後」との目標を掲げたが、市場予測では各社とも 3 - 4% 台に下方修正するなど、悲観的な見方が強まっている。 4 - 6月だけでみれば「前年比でマイナス成長もあり得る(日本人アナリスト)」との声もある。 ゼロコロナ政策が長期的な中国経済の成長の足かせになりつつある。 (神山純一、友田雄大、北京 = 西山明宏、asahi = 6-1-22) ◇ ◇ ◇ 封鎖 1 カ月でも 6 割が操業停止 上海の日系工場、再開なお遠く 中国・上海市に工場を持つ日系企業の約 6 割が、都市封鎖(ロックダウン)から 1 カ月たっても操業を停止したままであることが、日系企業でつくる上海日本商工クラブのアンケートでわかった。 稼働率が 3 割以下の企業も約3 割に上る。 生産再開への障害も多く、影響は長引きそうだ。 同クラブが 5 日に発表した。 アンケートは 4 月 27 - 30 日、会員企業など 125 社を対象に実施し、100 社が回答。 うち市内に工場を持つ 54 社の 63% が「全く稼働していない」とした。 稼働率 3 割以下の社も含めると、全体の約 9 割がまともに生産できていない実態が浮かんだ。 3 月下旬からのロックダウンで、市内は今も外出制限や物流の停滞が続いている。 稼働率の引き上げには、「物流の回復 (89%)」や「従業員の確保 (81%)」などが課題になるとの回答が目立った。 市政府は徐々に工場再開を促しているが、米電気自動車大手テスラなど、一部の認定企業にとどまる。 感染対策のため工場は外部との出入りを制限する必要があり、「工場に宿泊設備がないと、本格的な稼働再開は現実的に不可能」との声も寄せられた。 市内では 5 日に約 4,200 人の感染者が確認された。 1 日あたりの感染者は 3 日連続で 5 千人を下回り減少傾向だが、市政府は市民に対する厳しい外出制限を維持している。(上海 = 井上亮、asahi = 5-6-22) 中国の日系化学メーカーや商社、危険品物流管理に苦慮 中国の日系化学メーカーや商社が危険化学品の物流管理に苦慮している。 とくに日系企業の拠点が多い上海周辺では危険品の倉庫スペースが不足し、従来通りの原料輸出入や顧客工場への輸送が難しくなっている。 背景には、長江流域で毒性の高い化学品などの輸送を禁止する長江保護法の施行や、化学品管理・物流関連規制の運用強化がある。 国有企業が地方部で大規模な化学品物流拠点を新設したり、国内で用途開発や製品調達を拡大するなど対応を図る動きもみられるが、物流面の課題の抜本的解決にはなお時間を要する見通し。 (化学工業日報 = 3-24-22) キリン、中国の清涼飲料事業から撤退 華潤集団との合弁 キリンホールディングス (HD) は 16 日、中国の華潤集団と合弁で展開する清涼飲料事業からの撤退を発表した。 キリンが保有する合弁会社の全株式を中国の投資ファンドに約 1,150 億円で譲渡する。 キリンはミャンマーでのビール事業撤退を発表したばかりで、海外事業の見直しにより成長分野への投資を進める。 譲渡日は未定。 キリン HD は令和 4 年(2022 年) 12 月期連結決算で、売却益約 390 億円を計上する見込み。 華潤集団とは、知的財産権の使用や許諾などで業務提携を続ける。 合弁会社は華潤麒麟飲料で、キリン HD の持ち分は 4 割。 ミネラルウオーターが主力で、キリンビバレッジの「午後の紅茶」やコーヒー「FIRE (ファイア)」を販売している。 キリン HD は、2017 年にブラジルのビール事業、21 年にはオーストラリアの清涼飲料事業を売却。 今月 14 日には、ミャンマーのビール事業からの撤退方針を発表した。 (sankei = 2-16-22) ◇ ◇ ◇ キリン、中国飲料の合弁解消へ 1,000 億円で持ち分売却 キリンホールディングス (HD) が中国の飲料大手、華潤集団と現地で手掛ける清涼飲料の合弁事業を解消することが分かった。 合弁会社の持ち分 4 割すべてを 1,000 億円前後で中国系ファンドに売却する。 伸び悩んでいた現地の清涼飲料ビジネスを縮小し、海外はクラフトビールなど付加価値の高い事業に投資を振り向ける。 新興国市場の取り込みを狙ったキリンの海外事業が転機を迎えた。 中国の飲料合弁「華潤麒麟飲料」は 2011 年にキリン HD が 4 割、華潤が 6 割を出資して設立。 キリン HD の出資額は 330 億円で、キリンビバレッジの紅茶飲料「午後の紅茶」やコーヒー飲料「ファイア」を製造・販売していた。 キリン HD は早ければ 2 月にも持ち分を売却する。 中国系ファンドとは契約に向けて最終調整している。 22 年 12 月期の連結決算に売却益を計上する見込みだ。 中国では全額出資の麒麟●(= 口偏に卑)酒(珠海)公司などを通じて「一番搾り」を製造している。 華潤との合弁解消で清涼飲料の製造からは撤退することになる。 清涼飲料については今後、合弁会社へのライセンス供与を通じた自社ブランドの販売を模索していく方向だ。 キリン HD は日本経済新聞の取材に「常に事業構造の組み替えは検討している。 本件で決まっていることはなくコメントは控えたい。」とした。 キリン HD は 10 年前後に新興国での事業拡大を目指し、現地のビール会社や清涼飲料メーカーを相次ぎ買収したが苦戦。 11 年に現地のビールメーカーを約 3,000 億円で買収し、その後の競争激化で 17 年に 770 億円で売却したブラジルなど、ビジネスを縮小してきた。 アサヒグループホールディングスも 18 年に中国のビール大手、青島ビール株を売却するなど、日本の飲料大手が相次ぎ新興国ビジネスを見直している。 キリン HD は 21 年、オーストラリアの乳飲料事業を豪乳業大手のベガ・チーズに約 450 億円で売却した一方で、同国のクラフトビール大手、ファーメンタム・グループや米同業のベルズ・ブルワリーをそれぞれ約 400 億円で買収。 海外は先進国での付加価値の高い商品へのシフトを進めている。 キリン HD は中国の飲料合弁の解消で得た資金を活用し、新たな成長分野への投資に振り向ける方針だ。 (nikkei = 1-13-22) キヤノンの中国デジカメ工場撤退に賞賛の嵐 地元を大切にする企業 DNA とは? ● 中国から撤退する外資系企業、地方の役人の心情の変化 人件費の高騰、中国のライバル企業の台頭、IT 技術やAI 技術などの進歩、消費者意識の変化など、中国経済をめぐる環境が目まぐるしく変わっている。 こうした状況で、やむを得ず中国からの撤退に踏み切る外資系企業も多い。 撤退するのは製造業だけではない。 「21 世紀の市場」と称されるほど魅力が増し、重要視されている中国からあえて撤退する小売流通業の大手もある。 たとえば、長年、中国進出の成功例と見なされてきた仏資本の大型スーパー、カルフールだ。 20 年近く、日本企業の中国進出をいろいろな形で支援してきた私だが、この 10 年間は、むしろ日系企業の中国撤退関連の話がいつの間にか相当増えてきて、手伝っている。 外資企業の誘致実績が人事考課の評価になる中国の現場では、地方の役人は外資系企業の撤退を快く思わない。 ただ、近年になって撤退企業が増えたせいか、大きな流れに逆らえないと悟った地方の役人は、ようやく日常事務としてこうした撤退案件に処するようになった。 その姿勢も撤退に反対するという頑な態度から、何のトラブルも起こさずに速やかに撤退してほしいという方向へと切り替わった。 かと言って、撤退する外資系企業に心底から称賛の拍手を送る例は極めて少ない。 そんな状況下、1 月中旬に意外な事件が発生した。 ● 撤退するキヤノンに中国国内から称賛の嵐 春節(旧正月)が近づく 1 月 12 日、日本流に言えば、中国版師走にあたる慌ただしい時期に、キヤノンが広東省珠海市にあるコンパクトデジタルカメラの生産拠点を閉鎖することが、明らかになった。 信じられないことに、この撤退のニュースはあっという間に、中国の SNS ウィーチャットや微博、さらに動画系の SNS で、大きな話題になり、キヤノンを称賛する嵐が巻き起こった。 それには理由がある。 1990 年に設立された現地法人の「佳能珠海(キヤノン珠海)」は、最盛期に 1 万人以上の従業員を抱えた、キヤノンのコンパクトデジタルカメラ製造のメインの工場だった。 しかしスマートフォンの普及でコンパクトデジカメのシェアは下り坂を転げ落ちる一方だ。 撤退は逆らえない時代の流れだろう。 しかし、中国の労務関連の法律では、従業員を雇用側の都合で解雇する場合、その勤務年限に応じた補償金を従業員に支払う必要がある。 基本的な計算は、1 年勤務したら給与 1 カ月分など最大 12 カ月分を支払うべきだと定めている。 32 年間の歴史を持つキヤノン珠海はこうした上限を定めず、さらに 1 カ月分の月給を上乗せして補償金として支給すると決めた。 さらに、中国人ネットユーザーの心の琴線に触れたのは、春節の慰労金も全員に支払うということだ。 中国の法律の規定を大幅に上回る経済補償金と慰労金を支払うため、「これこそ、従業員を大切にする企業だ。 日本の企業文化を中国企業もしっかりと見習うべきだ。」という声が目立っているのだ。 日本のメディアも、「従業員に十分な補償ができるタイミングで撤退することが、14 億人規模の巨大市場を持つ中国でブランドイメージを守ることにつながる」という北京の日系企業幹部のコメントを取り上げ、好意的に報道している(西日本新聞)。 ● 地元に寄り添うキヤノン、18 年前に香港市民の心をつかんだ広告 キヤノンは消費者、進出先の住民に寄り添う形でブランドイメージを守る意識の高い企業だ。 18 年前の 2004 年 2 月、私が訪れた香港は、深刻な不景気に苦しんでいた。 香港の友人たちと食事に行ったら、愚痴をたくさん聞かされた。 そのしばらく前、私は「香港沈没」というテーマで香港経済を批判するリポートを書いたばかりだった。 友人たちは「頼むから香港人を励ますようなものを書いてくれ」と注文した。 そんな香港取材中のことだったが、中心街の中環(セントラル)にある議員事務所に行こうと拾ったタクシーの車体に、目を見張った。 キヤノンの広告が貼ってあり、「Canon、香港加油(香港、頑張れ)」とあった。 表現はいたってシンプルだが、ジンと来るものがあった。 友人たちにやんわりと批判された直後のせいか、このキャッチコピーにこめられたメッセージ、つまり、香港経済の厳しい現状に対する理解や励ましの温かい目線と心遣いをいや応なしに感じさせられた。 そして、香港と苦楽を共にしようというキヤノンの示した連帯意識に感動した。 普段香港を厳しく見ている私も、この広告には心を打たれて、ほのぼのとした気持ちになった。 香港には日本好きが多い。 日本製品もことのほか愛用されている。 その日本から励まされると香港市民もきっと感激するだろうと思い、当時、全国紙のコラムに、このキヤノンの広告を取り上げた。 多くの中国人の友人からも「いいキャッチコピーだ」という感想が送られてきた。 こう振り返ると、企業文化には、DNA のようなものがある。 04 年の香港の広告と今年の珠海撤退には、キヤノンのこの DNA が終始流れており、消費者や進出先の住民に寄り添う姿勢は一貫として保たれている。 ただ、このような姿勢を保つ企業は厳密に言えば、キヤノンだけではない。 ● 中国の従業員も大切にする日本企業を見習うべきだ 数年前のある日、C 社という大手企業の幹部 M 氏がお土産を抱えて近況報告という名目で私のところを訪れた。 上海の近くにある大都市 S 市に工場を持つ C 社は、やはり逆らえぬ時代の流れで、工場を閉めることに決めた。 M 氏はその陣頭指揮者として本社から現場に送り込まれた。 成田空港に到着して中国の現場に移動しようとしたその矢先に、ニュースが飛び込んだという。 同じ S 市に工場を持つある日本を代表する別の企業が工場閉鎖で従業員ともめ、工場解散の条件をのめなかった従業員たちは街に出て抗議デモを起こしたというのだ。 ニュースを聞いて、M 氏は相当、ショックを覚えた。 やはり既定の方針でやり抜こうと、自分で自分を鼓舞しながら中国へ飛ぶ飛行機に乗り込んだ。 結果から言うと、C 社は、従業員への補償金支給など工場閉鎖関連の一連の手続きを順調に済ませた。 閉鎖関連の情報が事前にまったく漏れていなかったため、工場では、かなり先のスケジュールやイベントが組み込まれていた。 なので、工場解散後も日本人工場長と解雇された中国人労働者たちは予定通り、一緒に和気あいあいと郊外の遠足に行き、労使関係がすでに解消されたはずの双方は交流と憩いのひと時を楽しんだ。 こうした光景があまりにも珍しかったので、地元の労働局は C 社に感謝状を出すほど評価した。 社命を円満に果たして、日本に帰国した M 氏も出社すると、すぐに社長室に呼ばれ、社長から激励された。 M 氏からこの話を聞いた私も非常にうれしかった。 「記事にでも取り上げようか。 他の日系企業にとっては参考にする価値があるから。」と提案した。 結局、C 社は検討した結果、マスメディアでの露出は遠慮するということになった。 しかし、数年後のいま、キヤノンは似たような手法で工場撤退に成功したのを見て、やはり C 社の事例も読者と共有すべきだと思い、あえてここに公開した。 日本企業は中国に進出したとき、入社した中国人社員に「愛社精神」を教え込んだ。 だから撤退するときには、会社を愛する精神で長年働いてきた社員に、自分の肉親とでも思う気持ちで処遇できるのか問われている。 夜逃げの形で中国を撤退した外資系の企業もある。 撤退の手続きが煩雑で地元の役人も積極的に協力しないといった問題もその背後にあっただろう。 しかし、なんといっても長年勤務してきた社員に苦汁を飲ませることは、企業の経営者としては失格だ。 日本語のことわざには、「飛ぶ鳥跡を濁さず」というのがある。 キヤノンと C 社の中国撤退は日本企業のあるべき風格を見せてくれた。 1 万個のいいね、をあげたい。 (莫邦富、Diamond = 1-28-22) セブンに罰金 270 万円 = 台湾を「国家」と表記 - 中国 【北京】 中国・北京市当局は 7 日までに、セブン-イレブン・ジャパンの中国現地法人に対し、地図管理条例違反で 15 万元(約 270 万円)の罰金を科したことを明らかにした。 ホームページ上の地図に、台湾を「独立国家」として表記したと非難している。 この現地法人は北京でコンビニエンスストアを展開する「セブン-イレブン北京」。市当局は台湾の表記のほか、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島や南シナ海の島々が地図に記載されていなかったなどとして訂正を命じた。 決定は昨年 12 月 21 日付。 (jiji = 1-7-22) |