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パナソニック、中国で水素事業へ 政府の脱炭素方針に照準、強化 【北京、上海】 パナソニックは 6 日、中国で水素エネルギー事業を展開する事業戦略を発表した。 上海で開催中の「中国国際輸入博覧会」で、水素燃料電池などを披露した。 脱炭素社会を目指す中国政府の方針に照準を合わせ、トヨタ自動車などの日系企業も環境事業を強化する。 パナソニックは現地のコンテナ大手のグループ企業と提携し、水素燃料電池を使ったコンパクトな発電システムを開発する。 工場やオフィスビル向けに販売し、将来は輸出も検討する。 パナソニックの中国・北東アジア総代表、本間哲朗氏は現地で、従来の健康や高齢者向け事業に加え、環境分野を拡大すると表明した。 (kyodo = 11-6-21) ◇ ◇ ◇ パナソニックが挑む、「中国」巨大介護市場 中国の人口政策が大転換期を迎えている。 1979 年から始まった「計画生育」は、当時危惧されていた人口の爆発的な増加を抑えることには成功した。 しかし、長期にわたる人口抑制策が招いた人口構造のゆがみは、中国経済に暗い影を落とし始めている。 2016 年 1 月 1 日、中国で 30 年以上続いた「一人っ子政策」に終止符が打たれ、「二人っ子政策(二胎政策)」が全面的に実施された。 しかし中国国家統計局によると、出生数は初年度の 2016 年でこそ前年比で 131 万増と大幅に増加し 1,786 万人に達したものの、その後は右肩下がりを続け、2020 年には 1,200 万人まで減少している。 出生数激減の背景にあるのが、出産コストの高さである。 中国では都市部を中心に、子育てに関わる費用が高騰を続けており、出産に慎重な家庭が増えている。 出産をためらわせる「不動産」と「教育」費用 出産コストが高まっている主な要因が「不動産」と「教育」だ。 中国では一般的に、結婚前に男性側の方で住宅を準備する慣習がある。 10 年ほど前に、「家や車、指輪、お金など何もない状況で、披露宴も挙げず登録するだけの簡素な結婚」を指す「裸婚」という言葉が流行したが、最近はめっきり聞かなくなった。 「裸婚」に関する公式統計はないが、私が勤務する大学の卒業生などに話を聞くと、結婚前の住宅購入は、少なくとも大卒者の間では共通認識となっているようだ。 北京などの都市部では不動産価格が高止まりしており、結婚前の若者たちからは「プレッシャーはかなり大きい」という声しか聞かれない。 何とか住宅を購入して結婚した後も、子供の成長に合わせて引っ越しを余儀なくされるケースも少なくない。 名門小中学校の学区内に住所を移し、子供により質の高い教育を受けさせるためだ。 このような住居は「学区房」と呼ばれ、一般のマンションより値段は高い。 北京の学区内のローカル団地の壁に、子供の小学校入学に伴う「学区房」購入希望の張り紙があったが、築 20 年以上の中古マンションに市場外取引でも 830 万元(約 1 億 4,000 万円)の値が付いていた。 不動産業者を仲介すれば価格はさらに高くなる。 それでも子供の時から少しでも質の高い教育を受けさせ、将来少しでもレベルの高い重点大学に合格をさせようと、大金を惜しまずこの「学区房」を購入する家庭も少なくない。 直接的な教育出費も高まっている。 「スタート地点で負けられない」という合言葉の下、大多数の家庭が、子供を幼少時から学習塾や習い事教室などに通わせている。 例えば、北京人のある友人は、小学校 3 年生の息子に「国語、数学、英語以外に、テコンドーやヒップホップなどのスポーツも習わせていて、ひと月で 1 万元(約 17 万円)ほど使う」という。 この他にも数人に聞いてみたが、すべての家庭において子供を何らかの学外スクールに通わせており、小学生だと少なくとも数千元程度は教育費に使っているようだ。 中国政府も手をこまねいているわけではない。 今年正式に発表された『第 14 次 5 カ年計画および 2035 年長期目標綱要』では「出産、養育、教育の家庭負担を軽減する」としており、最近関連政策が矢継ぎ早に打ち出されている。 5 月には、産児制限をさらに緩和して第 3 子の出産を認める方針が明らかとなり、出産奨励策を出す地方政府も現れ始めた。 例えば、北京市は育児休暇を拡充すると発表しており、四川省攀枝花市も 2 人目と 3 人目の子供が 3 歳になるまで手当を支給する支援策を明らかにしている。 7 月には、校外教育に規制のメスが入った。 学科に関する研修機関を非営利組織とし新規上場を禁止するなど、教育による「金もうけ」を禁止する内容が盛り込まれた。 家庭における経済的負担を軽減し、少子化に歯止めをかけたい考えだ。 ここからも中国政府の本気度が見て取れるが、将来的には、教育・学区改革などを通じた「学区房」対策もありえよう。 産児制限の緩和や教育費負担の軽減を受けて、出生数は改善するかもしれない。 しかし、その効果は未知数だ。 たとえ出生数が増加傾向に転じたとしても、「計画生育」が招いた人口構造の歪みを解消するには長い歳月を要するだろう。 そのような中、もう一つの大きな問題「高齢化」が中国社会に着々と迫っている。 急激に加速する高齢化 中国では 10 年に 1 度人口センサスが実施される。 2020 年 11 月 1 日時点における調査結果が今年 5 月に発表され、この 10 年間における人口動態の変化が明らかとなった。 中国の総人口は 10 年間で 7,206 万人増え、14 億 1,178 万人となり、年平均の増加率は 0.53% だった。 今後については、人口増加トレンドは減退し、最新の予測では 2025 年から 2030 年の間にピークに達するとみられる(北京大学人口研究所・陳功所長)。 年齢構成比をみると、60 歳以上の人口は 2 億 6,402 万人となり、総人口に占める割合は 18.7% に達した。 2010 年の人口センサス結果と比較すると、0 - 14 歳人口が 14.5% 増加したのに対し、60 歳以上人口は 48.6% も増えた。 ここからも、出生数が伸び悩む中で、非常に速いスピードで高齢化が進んでいることが分かる。 今後についても、高齢化は加速していくとみられている。 2020 年の詳細データは発表されていないので、19 年の年齢別人口構成比をみてみると、50 - 59 歳年齢が全体の 15.3% を占める。 「一人っ子政策」が始まる前の 60 年代に生まれたこのベビーブーマー世代が退職期を迎えるのだ。 2030 年における高齢人口の割合は 25% 前後になるとの推計もある。 高齢化社会で成長が期待されるのが「養老」、すなわち介護ビジネスだ。 中国政府も急速に迫りくる高齢化に対し危機感をつのらせており、『第 14 次 5 カ年計画および 2035 年長期目標綱要』においても、介護産業の発展を推進していく方針が示されている。 しかし、過去に、詐欺事件や老人虐待、環境不衛生問題などが話題になったこともあり、中国人の老人ホームや介護施設に対するイメージは決して良くない。 介護問題に直面している友人たちに話を聞いても、「公立の施設は汚くてサービスが悪い。 親世代の多くが行きたがらない。」との声が多い。 また、「子供が親の面倒を看るのが当たり前」という観念が依然として根強く、メンツを重んじる中国では、「親戚や周りの目も気になる」という声も聞く。 どうしても自宅で親の面倒が看られない場合は家政婦を雇うのが一般的だが、サービスの質や相性などの問題もあり、何度も担当者を変更するケースもある。 このような中国における介護ビジネスで必要なのが発想の転換だ。 つまり、親からは「住みたい」と思われ、周囲からは「親孝行だ」と思わせる施設があればいい。 この巨大市場に挑む日本企業がある。 パナソニックだ。 今年 7 月、中国江蘇省宜興市に、観光事業などを手掛ける雅達国際ホールディングスと共同で、「雅達・松下社区」と呼ばれる「養老都市」を開業した。 合計 1,170 戸を計画する高齢者向け住宅に、パナソニックの独自技術を採用した最新設備が導入される。 テーマは「健康」。 例えば、座ったままで尿や血圧などの健康状態を測定できる高級トイレや、寝室の明るさを自動で調整してくれる照明システムなどが採用されている。 快適な暮らしの中で、自然と体調管理ができ病気のリスクを減らす。 高額だが人気は高く、先行して販売した一部の物件はすでに完売している。 パナソニックの事例は高齢者向け住宅だが、老人ホームやデイサービス、訪問介護など、世界に先駆けて高齢化が進んでいる日本の介護産業には、多くの技術やサービス運営のノウハウが蓄積されている。 これは当然、中国でも活かせるはずだ。 日本に対する好感度の高さも追い風となる。 ジェトロが 2018 年に中国で実施した国別のイメージ調査では、「安全・安心」、「サービスが良い」、「礼儀正しい」の項目で日本が 1 位となっている。 いずれも介護ビジネスを展開する上で求められるブランドイメージだろう。 急速に高齢化が進む中国。 歴史と実績を兼ね備える質の高い日本の介護技術やサービスに対する期待は極めて高い。 (西村友作、Foresight = 9-10-21) ソニーに中国当局が罰金 盧溝橋事件の日に新製品発表会は「違法」 中国当局は 18 日までに、ソニーグループの中国法人に対し、広告法違反で 100 万元(約 1,780 万円)の罰金を科したと発表した。 ソニーが盧溝橋事件が起きた日の 7 月 7 日に新製品の発表会を予定していると発表したことが、国家の尊厳や利益を損なった、とした。 北京市朝陽区の市場監督管理局が 12 日、インターネット上で処分を発表した。 発表によると、6 月 30 日にソニーがインターネット上で予告した新製品の発表会の日付が 7 月 7 日午後 10 時になっており、ネット上では日中戦争の発端となった盧溝橋事件と同じ日時だと批判が殺到。 ソニーは同月 1 日に広告を削除し、謝罪に追い込まれていた。 (北京 = 西山明宏、asahi = 10-18-21) ◇ ◇ ◇ 中国の発表日不適切とソニー謝罪 盧溝橋事件同日に新製品 【ウルムチ】 ソニーの中国法人は 2 日までに、盧溝橋事件から 84 年となる 7 日夜に新製品の発表を予定していたのは不適切だったとして謝罪した。 事件は日中戦争の発端となっており、事前の告知に対して中国のインターネット上で批判の声が殺到していた。 ソニー中国は北京時間の 7 日午後 10 時からイベントを開き、新しいカメラを発表する予定だった。 批判を受け、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で 1 日に「日付の選択で誤解と混乱を招いた」と謝罪した。 カメラの発表は日本や欧米と同時に行われる見通しだったが、ソニーは「中国でのイベントは中止する」としている。 (kyodo = 7-2-21) ローソン、中国・上海に省エネ・省 CO2 化を目指す環境配慮モデル店舗 ローソンとパナソニックは 4 月 28 日、中国・上海市に省エネ・省 CO2 化を目指す環境配慮モデル店舗「ローソン七●(草冠に辛)路 1010号」をオープンする。 売場の冷蔵商品ケースの室外機への GWP (地球温暖化係数)の低い冷媒 R448A/R449A を使用した冷凍機を導入。 高効率 LED 照明、セルフサービスの新型電子レンジ、省エネ実行支援システムなどを採用することで、電気使用量と CO2 排出量ともに約 2 割の削減(2015 年度の標準的な店舗対比)を目指す。 また、店内に設置する、パナソニックの独自技術「ナノイー」発生器を設置した業務用エアコン、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」で店内の脱臭・除菌を行い、クリーンな空気質を提供する。 さらに、パナソニックとローソンは、同日から中国において、リファービッシュリースの新事業も開始する。 中国では、店舗の土地の不動産契約が日本に比べて 5 年と短く、移転する際に、店舗の要冷機器や什器を廃棄することがあった。 この事業では、中国のローソン店舗で使用済みとなった要冷機器、什器をパナソニックが回収・メンテナンスを行い、中国国内の店舗向けに再リースするもの。 この事業により、新しい機器、什器を購入するよりコストを抑えられ、店舗の新規オープンの際の投資費用削減と資源ロスの削減にもつながるという。 (流通ニュース = 4-27-21)
半導体めぐる米中対立、日本企業の経営にも影響 世界最大の半導体製造装置メーカー、米アプライドマテリアルズによる日本企業の買収計画が、中国当局の承認が得られず破談になった。 米中で経済・軍事両面で重要性を増す半導体の供給網の切り離し(デカップリング)の動きが広がるなか、間に挟まれる日本企業の経営にも影響を及ぼしている。 アプライド社は 29 日、米投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) 傘下で旧日立製作所系の同業「KOKUSAI ELECTRIC (本社・東京)」の買収を断念したと発表した。 アプライド社は 2019 年 7 月、KKR から KOKUSAI 社の全株を 22 億ドル(約 2,400 億円)で買い取ると発表。 市場シェアが上がるため各国の承認が必要だったが、1 年半以上かかっても中国の承認が得られず、破談になった。 KOKUSAI 社は今後について「株式の上場も選択肢の一つとして検討する」としている。 中国の判断の背景には、米中の対立があるとみられる。 米国は昨年、中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)などに高性能半導体をつくるのに必要な製造装置の輸出を禁じた。 半導体は経済的にも軍事的にも重要な分野で、高性能半導体の国産化を目指す中国の動きを阻むねらいだ。 中国政府にとっては、仮に今回の買収を承認して KOKUSAI 社が米国企業であるアプライド社の傘下に入れば、製造装置の入手がより難しくなる懸念があったとみられる。 また、世界最大手のアプライド社が買収でさらに大きくなれば、最先端品をめぐる技術面での差が開くことを危惧した可能性もある。 半導体業界では、米クアルコムも 16 年 10 月、オランダの同業大手 NXP セミコンダクターズを 5 兆円超で買収すると発表したが、18 年 7 月に中国当局の承認が得られず断念していた。 (ニューヨーク = 真海喬生、asahi = 3-30-21) ホンダ系足回り部品メーカー、中国・武漢工場の生産能力を引き上げるぞ! エフテックは自動車用足回り部品の安定供給に向け、中国・武漢工場で塗装ラインの生産能力を約 10% 引き上げる。 塗装ラインの設備を一部改造し、製造ピッチを上げる。 能力増強による投資規模は数千万円とみられる。 8 月に新設備を稼働する。 中国ではコロナ禍後の急回復により完成車の生産が急増している。 既存設備の改造で部品の安定供給を目指す。 武漢工場ではサスペンションなどの車用足回り部品を生産している。 塗装ラインの一部を改造して生産能力を増強する。 主に製造ピッチの速度改善に取り組む。 電着工程で整流器の能力アップと陽極モジュールの本数を増やす。 乾燥工程で乾燥炉の温度を高くして乾燥循環排気風速を速める。 工事は工場の生産活動に影響が出ないように、春節に合わせた生産休止期間の 2 月 10 - 21 日に終える。 試験や品質確認などを行い 8 月に稼働する計画。 武漢工場ではプレス、溶接、塗装、組み立てなどの各工程でラインを敷いている。 コロナ禍後の車需要の急増に伴う仕事量に対し、塗装ラインの生産能力が追いつかない可能性があった。 (NewSwitch = 2-18-21) 帝人、車向け部材の中国企業を子会社化 EV 市場開拓 帝人は 15 日、自動車向けの樹脂部材を製造する中国企業を子会社化すると発表した。 出資比率を現在の 5 割弱から 100% に引き上げる。 投資額は約 50 億円。 帝人グループの持つ様々な素材技術を共有し、成長が見込める中国の電気自動車 (EV) 市場で事業の拡大を狙う。 子会社化するのは中国の CSP ビクトール。 自動車向け樹脂部材を製造する帝人の米国子会社コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス (CSP) が株式の 49.4%、中国で鉄道向けに部品を製造するビクトールが株式の 50.6% を保有している。 帝人は同社の中国法人を通じて、ビクトールが持つ全株式を約 50 億円で 12 月末に取得する予定だ。 CSP ビクトールは主に中国市場向けに、ガラス繊維強化樹脂 (GFRP) などの軽量複合素材を使った自動車の外装部品を販売している。 子会社化により、米 CSP が中心となって開発していた EV 向けのバッテリーボックスの販売を中国でも拡大する。 また、CSP ビクトールに対し、生産を効率化するデジタル技術の導入を強化する。 (nikkei = 12-15-20) ダイキン工業、空気清浄機の生産を一部中国から国内生産へ 空調設備大手の「ダイキン工業」は、新型コロナウイルスの影響で需要が高まっている空気清浄機の生産を、一部、中国から日本に移すことを決めました。 ダイキンが空気清浄機を国内で生産するのは、2008 年以来となります。 「ダイキン工業」は住宅向けの空気清浄機を、現在はすべて中国で生産しています。 昨年度、2019 年度は国内でおよそ 30 万台を販売しましたが、新型コロナウイルスの影響で国内需要が高まっていて、今年度は、およそ 55 万台の販売を見込んでいて、生産の一部を中国から日本に移すことを決めました。 国内での生産を始める具体的な時期や場所は未定としていますが、滋賀県草津市にある「滋賀製作所」を候補に検討を進めています。 ダイキンが空気清浄機の生産で国内に回帰するのは、2008 年以来となります。 空気清浄機は海外でも需要が高まっているため、中国以外にマレーシアでも、ことし 12 月に生産を始める計画で、今年度は世界全体で、昨年度の 2 倍にあたる 78 万台の販売を見込んでいます。 ダイキン工業の十河政則社長は「今後の成長の鍵になるのは空気・換気分野だと思う。 日本は空気清浄機の販売の割合も高いので、製造場所に選んだ。」と話しています。 (NHK = 10-5-20) 日系企業 1,700 社が中国から移転へ 日本政府の支援策受け 日系企業が「中国離れ」を加速させる理由とは 今年 7 月末現在、中国からの移転を決めた日系企業が約 1,700 社に達していたことが明らかになった。 米国政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア (RFA)」が報じた。 新型コロナウイルスの大流行によって、中国内の日本企業などでの生産が滞り、日本に物品が届かなくなる "サプライチェーン(流通網)の寸断" が発生。 これを受けて、日本政府は今年 4 月、中国進出日系企業のなかで、中国からの移転を決めた企業に補助金を出すことを決め、移転補助金の申請を受け付けていた。 申請は 2 期に分けて行われており、6 月末までの第 1 期期間中に移転補助金を申請した企業は 87 社で、政府は総額 574 億円を承認している。 第 2 期分の締め切りは 7 月末で、合計 1,670 社から申請が出され、総額では 165 億 7,000 万ドル(約 1 兆 8,000 億円)に達した。 日本政府は当初、約 2,400 億円の予算を計上していたが、今後、予算を増額するとみられる。 中国メディアは日本政府のサプライチェーン強化策について、「日本企業が中国から離れるのは短期的には現実的ではない」と伝えていた。 しかし、一方で山東大学金融学部の司令本教授は、「新型コロナウイルスの流行で、日本企業は中国にサプライチェーンを集中するのはデメリットが多いと同時に、中国における人件費の上昇や貿易障壁など多くの不確実性があることに改めて気が付き、その結果、中国離れが加速していったのではないか」と指摘している。 帝国データバンクによると、中国に進出している日本企業は約 1 万 3,600 社だが、今回の中国からの移転を決めた企業は 1,757 社で、中国進出企業全体の約 13% となる。 また、日本貿易振興機構 (JETRO) が 2019 年に実施した日本企業の調査では、中国での製造コストは日本を 100 とすると 80 だが、ベトナムは 74、カンボジアは 65、ミャンマーは 60 となっており、中国の製造コスト高は否めない。 これについて、RFA は専門家の話として、中国ではこの 10 年間で、人件費が大幅に上昇するなど、日系企業は中国での投資コスト高で苦しんでおり、このような状況下で年初から中国で新型コロナウイルスが大流行し、日本政府が中国からの移転を促進する政策を打ち出したことで、「渡りに船」とばかりに中国からの移転を決めた日系企業が多くなってきたのではないか、と報じている。 (News Post/Seven = 9-27-20) ニトリ、珠海市に中国 34 店舗目オープン ニトリホールディングスは 10 月 1 日、中国・珠海市香洲区に中国 34 店舗目となる店舗をグランドオープンする。 グループ全体として 623 店舗目となる。 世界の人々の暮らしを豊かにするという同社のロマンを実現するため、今後も積極的に海外展開していくという。 (流通ニュース = 9-23-20)
コロナ後の中国市場「健康な空気」で開拓 パナソニック パナソニックは 19 日、2021 年度の中国での空調関連事業の売上高を 19 年度の 2 倍にすると表明した。 中国では新型コロナウイルスの流行で「空気の質」への関心が高まっている。 関連製品の普及が急速に進むとみて、工場を新設して攻勢を強める。 この日、中国・重慶市で展示会があり、中国事業を担う社内カンパニー「中国・北東アジア社」の本間哲朗社長が明らかにした。 中国では空間除菌脱臭機「ジアイーノ」の生産を始め、菌やウイルスを抑える効果があるとする「ナノイー」の発生機能を他社製品にも搭載を働きかける。 こうした製品の生産強化のため、広東省仏山市に 2.2 億元(約 33 億円)を投じて工場を建て、21 年度内に稼働させる。 4 - 6 月期の空調製品の売れ行きは前年同期比 10% ほど伸びており、通期でもプラスを達成する見込み。 中国全体の消費も回復しつつあり、中国・北東アジア社全体の売り上げも前年を上回りそうだという。 本間氏は「健康な空気の提供で役立ちたい」と期待を語った。 ただ、「米中対立の先鋭化で輸出産業の稼働率が下がり、失業率が上がって、消費が弱くなることを憂慮している」と慎重な見方も示した。 パナソニックは米国が制裁を強める中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に電子部品や生産設備を納めている。 本間氏によると、輸出制限の対象となる半導体製品は納入していないという。 ただ、「(輸出規制の)発表で華為がどう生産を変えるかで、私たちへの影響が決まる」と、間接的影響を注視する姿勢を示した。 (重慶 = 福田直之、asahi = 8-20-20) 日本企業のサプライチェーン再構築、中国離れの恩恵は東南アジア
新型コロナウイルス時代に中国に偏った企業のサプライチェーン(供給網)見直しを促す日本政府の取り組みは、東南アジア諸国に恩恵をもたらす可能性がある。 日本政府は、新型コロナの感染拡大や米中関係の悪化を踏まえ、サプライチェーン強靱化プログラムの第 1 弾として、東南アジアで生産を増強する企業 30 社に計約 120 億円の補助金を出す。 日本は中国など一国へのサプライチェーンの依存低下を目指しており、こうした補助金によって中国からより生産コストの安いベトナムやタイなど近隣諸国への移転が加速する可能性がある。 半導体製造装置用の部品などを製造するフジキン(大阪市)は、今回の支援で恩恵を受ける企業の 1 社だ。 同社は中国からべトナムへ生産を一部移転するコストの 3 分の 2 相当の補助を受け取る。 フジキンの野島新也社長は 3 日、「補助金制度が出る前から増強は考えていた。 タイミングよく、ぴったり支援制度が合致した。」と語った。 今年に入り新型コロナ感染拡大の影響でフジキンの中国の外部協力工場が操業を停止した際、部品の出荷を巡り顧客に不安が広がった。 移行を考え出したのは今年。 「中国からの調達はありませんか、納期は大丈夫ですか」という問い合わせが顧客からあったという野島氏は、米中摩擦を含めてリスクが高まる可能性を踏まえ、「ベトナムでも作れるようにしておこう」と考えたと説明した。 中国拠点の見直し 新型コロナの感染拡大、そしてロックダウン(都市封鎖)と続き、世界中の企業経営者や政府当局者は、生産拠点としての中国への依存を減らすためにサプライチェーンの見直しを迫られた。 日本は新型コロナ感染症が拡大する前から、人口が若く増加している東南アジアの幾つかの国で既に主要なプレーヤーとなっている。 過去 10 年の日本によるベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイの 5 カ国への投資は、対中投資のほぼ 2 倍のペースで増加した。 投資の大部分はインフラ開発で、日本はインドネシアやフィリピン、ベトナムなどでは鉄道や病院の建設で中国企業と競争している。 米中貿易戦争や東南アジアにおける中国のプレゼンスの拡大を巡る懸念も、日本と東南アジア諸国との経済関係の強化を促している。 シンガポールの ISEAS・ユソフ・イサーク研究所が 1 月公表した年次調査によると、東南アジア諸国において日本は最も信頼のおける主要国と評価されている。 5 つの専門分野にわたる 1,308 人のうち 61.2% が、日本は公共の利益のために「正しい行動を取る」と信頼していると回答した。 こうした双方の信頼関係の下、日本からベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンへの過去 10 年間の純投資額は 1,390 億ドル(約 14 兆 7,000 億円)に上った。 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部アジア大洋州課の北嶋誠士課長代理によると、「今回のコロナ、米中貿易摩擦が起きる前から中国からの生産移管、いわゆる『チャイナ・プラスワン』という動きはあった」という。 ベトナムは中国に隣接していること、人件費と電力コストが比較的低いこと、外国からの投資に開放的であることから、多くの製造業者の大本命の移転先として浮上してきた。 過去 9 年にわたって両国間のビジネス促進に携わってきた北嶋氏は、リーマンショック後の 2009 年を底に日本の対ベトナム直接投資はきれいに右肩上がり、基本的には投資件数は増えていると語った。 ベトナムブーム フジキンの野島氏によると、ベトナムの賃金は日本の 10 分の 1 で、中国よりも低い。 北嶋氏によれば、多くの企業がベトナムの若さと急成長する国内市場にも注目して移転している。 投資家も安定した政治や新型コロナ感染を封じ込める能力が高いベトナムを信頼している。 海外サプライチェーン多元化支援の対象となった 30 社のうち半分は、ベトナムへの投資に補助金を活用することを計画している。 そのうちの 1 社が、25 年にわたりベトナムで婦人服縫製加工などを行っている昭和インターナショナル(東京)だ。 新型コロナ感染拡大の影響で医療用ガウンやマスクの需要が高まる中、同社の西澤和男社長は月に最大 15 万着のガウンの生産が可能になるとみている。 「まだまだガウンもマスクも足りない」と言う西澤氏は、世界中で需要が高まる中で「まず日本に安定したものを供給するという使命がある」と語った。 サプライチェーン強靱化支援の第 1 弾では、生産拠点の国内整備へ 57 社に計 574 億円、海外での生産増強へ 30 社に計約 120 億円を補助する。 インドネシア投資 東南アジア最大の経済規模で、世界で 4 番目に人口が多いインドネシアも、ジャカルタ初の地下鉄網整備など日本からの投資拡大で恩恵を受けている。 インドネシア当局は 6 月、外国企業 7 社が中国からインドネシアに工場を移転し、総投資額は 8 億 5,000 万ドル相当になると発表した。 そのうち 3 社は日本企業で、パナソニックとデンソーが含まれている。 インドネシア投資調整庁のユリオット副長官は、「日本からの直接投資は高水準を維持、あるいは一段と増加している。 特にジャカルタ都市高速鉄道の第 2 期プロジェクトが近く始まることが大きい」と説明。 他の理由としては「日本企業が工場を中国からインドネシアへ移すトレンドがある」と語った。 日本国内ではサプライチェーンの確保で圧力が高まりつつある。 安倍晋三首相の盟友である自民党の甘利明税制調査会長は先月のブルームバーグとのインタビューで、「従来は経済合理性で突き詰めていく。 コロナ禍の下では経済安全保障の視点からリスク分散をするという考え方に代わってきている。」との認識を示した。 (竹生悠子、Michelle Jamrisko、Bloomberg = 8-7-20) 企業に秋波送る中国、戸惑う日本 攻める欧米 「松下幸之助は経営の大家であるだけでなく、イノベーションの大家でもあった。」 習近平(シー・ジンピン)国家主席は 7月 21 日、国内外の企業経営者を集めた会合で、発明家のエジソンらと並べてパナソニックの創業者を褒め上げた。 米中対立が貿易摩擦とハイテク分野の覇権争いから、南シナ海での軍事的な緊張などに先鋭化する中で開かれた会合。 発言を許された 7 社のうち 1 社がパナソニックで、同社を重視する習指導部の姿勢が際立つ格好となった。 「日本に行ったらトヨタ自動車を視察することを勧める。 継続して技術革新を実現し、品質水準を高め続けているからだ。」 習氏の会合から 2 日後には中国の産業政策を担当する工業情報化省の辛国斌次官が記者会見でトヨタを礼賛した。 習指導部の日本企業への秋波が止まらない。 その狙いは何か。 習指導部が米中対立の中で最も重視しているのは「米国に阻害されにくい中国独自のサプライチェーンの構築だ」と工業情報化省関係者は話す。 地方政府幹部も「ものづくりに強い日本企業との協力は欠かせない」と強調する。 日本企業からは戸惑いの声が聞かれる。 北京駐在の幹部が言う。 「新型コロナウイルスからいち早く回復した中国は稼ぎ頭。 中国なしで成長戦略は描けない。 かといって米国から敵視されるのは避けたい。」 別の企業幹部も「米中から踏み絵を踏まされても、目立つ行動を控えてやり過ごしたい」と漏らす。 日本企業の戸惑いをよそに欧米企業は市場開拓を着々と進める。 米電気自動車 (EV) メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) は習氏側近の上海市トップ、李強同市党委書記とのビデオ会談で、「上海での投資を拡大していく」と約束。 複数のメディアによると、米インテル・キャピタルは 5 月、中国の半導体や製薬関連の 3 社に投資、米クアルコムの投資会社も 6 月、通信など 3 社に投資した。 クアルコムは 7 月末には華為技術(ファーウェイ)との特許紛争で和解している。 欧州企業も動く。 独ダイムラーのオラ・ケレニウス社長とスイス ABB のピーター・ボーザー会長はそれぞれ、習氏側近の北京市トップ、蔡奇同市党委書記とビデオ会議。 ダイムラーは 7 月に車載電池中堅に出資すると発表した。 政治的な対立をものともせず中国投資に走る米企業を批判する声はある。 「中国共産党に協力し過ぎている。」 米国のバー司法長官は 7 月、米国のハイテク企業などに苦言を呈した。 それでも米企業の中国法人幹部は「我々が最も重視するのは株主。 安全保障に関係する製品・サービスを避けるなど政治的なリスクを踏まえながら、米中双方で稼ぐことを目指す」と強調する。 欧州企業の中国法人幹部も「米ソ冷戦時代も双方と取引をしてきた経験がある。 法律や規則を順守したうえで、自社の収益の最大化のために是々非々の実利主義を貫く。」と説明する。 経済安全保障時代を見据えしたたかに動く欧米企業。 日本企業も戦略性を持って持ち味を出す時だろう。 (中国総局・多部田俊輔、nikkei = 8-2-20) 現地社長が半年不在 駐在員、中国への高すぎるハードル 新型コロナウイルスが最初に広がった中国から日本に一時帰国し、任地に帰れなかった日系企業の駐在員らが徐々に中国へ戻り始めている。 海外に進出する日系企業の 4 割超(約 3 万 3 千社)が中国に集中しており、企業の経営を懸念した現地の日本商工会などが臨時便をチャーターする動きも出ている。 ただ、人の往来を元に戻すためには、PCR 検査体制の充実や国内の流行抑制など、越えるべきハードルは多い。 現地商工会が臨時便をチャーター 7 月 10 日午前、がらんとした成田空港第 2 ターミナル。 土産物売り場やレストランは新型コロナの影響で臨時休業し、出発便を告げる電光掲示板には「欠航」の赤い文字が並んでいた。 そんな中で唯一、日本航空のカウンター前には、スーツケースや段ボールを手押しカートに山積みにした乗客が列を作っていた。 中国の広州日本商工会がチャーターした臨時便「JL8875 便」に搭乗する日本企業の中国駐在員やその家族らだ。 同便は、コロナ禍以降、日本の航空会社が初めて駐在員を中国に戻すために飛ばす臨時便という。 同商工会によると、搭乗したのは広東省に合弁工場がある日産自動車など日本企業 50 社以上の 159 人。 多くが 1 月の春節にあわせて日本に一時帰国したものの、中国での流行を受け、戻れなくなった人たちだ。 小さい子供を連れ、「2 月初旬に戻る予定が、半年近くも戻れなかった」と話す母親が何人もいた。 4 月 1 日付で広州に赴任するはずだった記者も、3 カ月余り遅れて現地に向かうためこの便に乗った。 ビジネスに深刻な悪影響 中国では 2 月以降、武漢を中心に流行が広がった。 中国外務省は 3 月 26 日、「現在有効なビザや居留許可で、中国に入境するのを 3 月 28 日から暫定的に停止する」との通知を出した。 この結果、春節(旧正月)の休暇や感染を避けるために日本に一時帰国していた人は、新たにビザを取り直さない限り中国に戻れなくなっていた。 日本貿易振興会 (JETRO) が 4 月上旬、日産やホンダといった大企業も進出する広東省など華南地域の日系 361 社に聞き取ったところ、一時帰国した駐在員の 60% 以上が任地に戻れていなかった。 上海や江蘇省、浙江省などの日本商工団体でつくる「華東地域日商倶楽部懇談会」が 6 月中旬に行った調査でも、回答した会員企業 1,208 社のうち、駐在員が復帰できていない企業が 42% あり、新たに駐在員を赴任させられない企業も 33% あった。 3 月 28 日以降にビザが取れた駐在員のいる企業は 8% だけで、駐在員の家族のビザが新たに出た企業は 1% にとどまった。 中国の駐在員がすぐにでも呼び寄せたいと答えた家族は計 1,700 人にのぼっており、多くの駐在員が家族と離れて単身赴任を強いられていた。 また、懇談会の調査には、会員企業から「総経理(社長)が半年間不在になり、組織運営に影響が出ている」、「工場と設備の建設をしているが、立ち上げメンバーが出張できないので大幅に遅れ、資金が尽きそう」、「技術や品質指導のため派遣すべき者が中国に行けず、不良品が多発している」などといった切実の声も寄せられていたという。 航空便制限も一因 駐在員らが日本に足止めされた理由には、中国当局によるビザの発給制限とともに、日中間を往復する航空便が減ったことも挙げられる。 中国の航空当局は 3 月末以降、日中間の旅客便の運航を厳しく制限している。 現在、全日空が運航できるのは日曜日の成田 - 上海の 1 往復だけだ。 中国本土に週 168 往復運航していたコロナ前と比べ、7 月は 99.4% の減便になっている。 成田 - 大連便のみを運航する日本航空は、7 月から週 2 便が認められたが、コロナ前と比較すると 98% 減だ。 このため、数少ない便に予約が殺到しており、今月 19 日時点で全日空の 8 月 2、9 日の上海行きはエコノミー席だけで約 800 人が空席待ちをしている。 広州日本商工会がチャーター便を飛ばしたのも、こうした事態を踏まえた結果だった。 五十嵐武・事務局長(日本航空の広州支店長)によると、6 月上旬に広東省の日系企業の一部に聞き取り調査したところ、少なくとも約 300 人の日本人が中国に戻れず困っていた。 日本と広州を結ぶ直航便は日中の航空会社すべてで欠航しており、日本航空本社は「広東省には自動車や部品産業が多く進出しており、広東省や広州市と協議して産業の復興という枠組みを使った」とチャーター便運航の舞台裏を説明した。 中国の報道によると、中国の航空会社も日系企業の技術者ら駐在員を中国に戻すため、日本の企業や団体がチャーターした臨時便を運航している。 5 月 27 日には、中国南方航空が関西空港 - 武漢線を 2 機飛ばし、日産やホンダの関連会社の技術者ら約 140 人が中国に戻った。 別の臨時便では韓国から約 570 人が武漢に戻るなど、中国当局も経済復興のため外国の企業関係者の入国許可を出し始めているようだ。 防疫体制の壁 ただ、一気に中国への入国者が増えるかは見通せない。 中国側の防疫体制にも限界があるためだ。 7 月 10 日に飛んだ臨時便に対しては、中国の防疫当局や航空会社が広州空港で特別態勢を組んでいた。 空港で待ち受けた職員は、防護服とフェースシールド、ゴーグルを身につけて乗客を出迎えた。 乗客は、特設カウンターで座席番号や過去 2 週間の行動履歴、中国での連絡先などを専用アプリで登録した後、別の場所で PCR 検査や体温検査を受け、税関申告などを行う。 その後、専用バスで隔離先のホテルに向かうまで、一連の手続きに 7 時間近くを要した。 また、入国後も 2 週間の隔離を求められる。 この便の乗客は全員が検査結果で陰性だったが、隔離中はホテルの部屋から出られない。 食事は防護服を着た職員が部屋まで運んでくる。 滞在費用は全額、乗客の自己負担だ。 中国は 6 月から、韓国など一部の国と企業関係者や技術者の入国を認め合う「ファストトラック(迅速審査)」の制度を始めた。 中国に向けて出国する前に PCR 検査を受けて陰性証明書を用意し、中国に入国後にも PCR 検査を受けて再度陰性となれば、2 週間の隔離が免除される仕組みになっている。 日本政府も、ビジネス関係者の往来再開に向け、中韓との間の出入国緩和を検討しているとされる。 ただ、日本がこの仕組みを進めるためには、まず国内の新型コロナの感染を抑えることが大前提であるうえ、出国前に PC R検査を受けて陰性証明を受け取れる仕組みをつくる必要がある。 さらに、中韓などから日本を訪れる人たちに対し、空港で PCR 検査を行わねばならず、そのための人員や場所、予算の確保も必要になる。 入国後に検査結果が出るまでの移動手段や滞在先、入国者の追跡方法など、整えなければならない仕組みは少なくない。 (広州 = 奥寺淳、asahi = 7-25-20) 雑貨の「ロフト」 海外初の直営店を上海にオープン 生活雑貨販売店の「ロフト」は 24 日、中国・上海に海外で初めてとなる直営店をオープンしました。 新型コロナウイルスの影響で低迷する消費の追い風となるのか、注目されています。 雑貨販売店ロフトの直営店は上海でも屈指の人気ショッピングモールにあり、化粧品や文具など 1 万 3,000 種類が並べられています。 ロフトは海外ではタイでフランチャイズ展開していますが、直営店は上海が初めてです。 当初は中国の四川省成都市に1号店を出店する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響などで計画がずれ込み、上海の店舗が先にオープンしました。
ロフトは中国を有望なマーケットと見込み、2023 年までに 6 店舗の出店を目指すとしていて、新型コロナの影響で低迷する消費を刺激できるのか注目されています。 (TBS = 7-24-20) 日本電産、中国に EV モーター開発拠点 日本級の規模 日本電産は中国に駆動モーターの開発拠点を新設する。 成長の柱と位置づける電気自動車 (EV) 用が中心で、2021 年に稼働させる計画。 人員規模は約 1 千人と日本の中核拠点と同規模になる見通し。 米国との政治対立や新型コロナウイルスの感染問題で中国展開に慎重な企業も増えるなか、日本電産は中国を重要市場と位置づけている。 米国も含めた複数の拠点整備で、現地の需要を取り込む。 中国東北部の遼寧省大連市で約 1 千億円を投じて建設中の工場内に設ける。 EV 用の駆動モーターに加え、家電製品などに使うモーターの開発にあたる。 人員規模は滋賀県の開発センターと同程度になる。 このうち、300 - 400 人程度が EV 用駆動モーター専任となる予定。 中国に設置済みの 2 拠点でも増員し、EV 関連の技術者は現状の約 100 人から数年後に 650 人に増やす。 (nikkei = 6-4-20) 大日光・エンジ、中国事業強化 住商グループと合弁 電子機器製造の大日光・エンジニアリングは中国で事業を強化する。 すでに拠点を持つ江蘇省無錫市で住友商事グループと車載向けの電子基板事業などを手掛ける合弁会社を 6 月に設立する。 中国では今後も自動車関連メーカーなどの根強いニーズがあるとみて事業基盤を拡充する。 新会社は蘇拓電子公司(無錫市)で、資本金は 4,500 万元(約 6 億 8,000 万円)。 出資比率は、同商事グループで電子機器の製造受託サービスをするスミトロニクスの子会社、住商電子公司(上海市)が 86%、大日光の子会社で車載関連の電子基板事業を手掛ける賽斯電子公司(無錫市)が 14%。 新会社を設立する無錫市は中国を代表する電子情報産業の集積地。 大日光グループは車載関連電子機器の開発・受託生産に重点的に取り組んでおり、同市にある賽斯電子公司は 2004 年の生産開始以来、積極的な設備投資や人材育成で受注拡大を進めてきた。 新会社はノウハウを持つ賽斯電子公司と連携し、業容拡大を目指す。 (nikkei = 5-26-20) 中国進出の外資企業が今まさに困っていること 新型コロナウイルスの流行は中国国内では相対的に落ち着いたものの、海外ではまだ収束の見通しが立っていない。 そんななか、中国で活動する外資系企業が直面する課題も変化している。 「海外での新型コロナの大流行が、中国の外国資本誘致や外資系企業の業務再開にマイナスの影響を与えている。」 中国商務省外国投資管理局の宗長青局長は、4 月 3 日にオンラインで開いた記者会見でそう述べた。 宗局長によれば、新型コロナが主に中国で流行していた時期には、外資系企業の大きな課題は業務再開のために国内の人手をどう確保するかだった。 それが現在は(外国人の入国停止の影響で)外国籍の管理職やエンジニアの復帰困難が問題になっている。 外資系企業の 3 割が支援策「知らない」 物流面のボトルネックも中国から海外に移動した。 欧州や北米で多くの港が閉鎖され、航空貨物の輸送力も半減。 国際貨物運賃は大幅に上昇している。 製造業のサプライチェーンは、中国国内では急速に修復されつつある。 ところが欧州、アメリカ、日本、韓国などで多数の工場が操業停止に追い込まれ、中国国内の外資系企業が必要とするハイテク部品や新素材の調達に滞りが生じている。 中国政府は新型コロナの影響を緩和するため、企業に対するさまざまな支援策を打ち出している。 統計によれば外資系企業の 9 割以上は中小零細企業であり、政府の中小企業向け支援策の対象になる。 輸出入業務を手がけている約 8 万 4,000 社の外資系企業は、貿易安定化が目的の支援策も利用できる。 だが、商務省が実施したアンケート調査によれば、これらの支援策を知らない外資系企業が 3 割近くもあった。 また、2 割近くの外資系企業が(地方政府の担当部局などから)「支援の対象ではないと言われた」と回答した。 これを受けて宗局長は、商務省が関連部局や地方政府と連携して知恵を絞り、新型コロナ関連の企業支援策をしっかり実施すると述べた。 また、外資系企業を国内企業と平等に扱うと表明した。 (張娯/財新、東洋経済 = 4-8-20) |