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中国のポリエステル繊維メーカーが破産申請、債務不履行の可能性 [上海] 中国浙江省を拠点とするポリエステル繊維メーカーが破産手続きの開始を申請したことが明らかとなり、7 月に予定される私募債の利払いが危ぶまれる状況となった。 同省安吉県人民法院(裁判所)のウェブサイトによると、浙江華特斯聚合物科技は 3 月初めに地裁に破産手続きの開始を申請。 同社は 2013 年 1 月に総額 6,000 万元(970 万ドル)の私募債を発行。 利回りは 11% に設定された。 次の利払いは 7 月 23 日に予定されており、償還は来年 1 月となっている。 中国ではここ数週間のうちに複数の債務不履行(デフォルト)が発生しており、信用リスク拡大に対する懸念が広がっている。 3 月初旬には、上海超日太陽能科技が社債の利払いを履行できず、国内社債市場で初めてのデフォルトとなった。 また、先月下旬には小規模な建材会社、徐州中森通浩新型板材が高利回り債に対して予定していた利払いを履行できず、高利回り私募債で初のデフォルトとなった。 (Reuters = 4-8-14) 中国経済の崩壊はいよいよ今年か、勢いづく万年弱気派 [シンガポール] 中国経済に対する弱気論者は 10 年以上も前から不動産バブルの崩壊や債務危機など、破滅的な事態を予言し続けてきた。 これまでは予想が裏切られることの連続だったが、今年は様相が違うとの声が挙がっている。 懸念をもたらしているのは、資金調達コストの上昇、人民元相場の不安定化、短期金融市場の流動性危機、社債のデフォルト(債務不履行)といった数多くの要因だ。 万年弱気派が「それみたことか」と言える日がついに訪れるのだろうか。 「巨大で歴史的な動きが起こる。 恐らくそれは今年だ。」と警告を発するのは、過去 15 年間、中国経済の崩壊を予想し続けてきた中国系米国人の法律家でコラムニストのゴードン・チャン氏だ。 エコノミストのアンディー・シー氏が行う講演は、中国の不動産と株式市場が崩壊すると予言する内容で人気を集める。 ただ、「聴衆はお金を払って聞きに来て、恐れをなすが、会場から出ればまた楽観的になる」と述べ、講演がホラー映画のような娯楽と化しているとシー氏は説明した。 <分岐点> 中国の景気が減速し、民間債務が国内総生産 (GDP) の 2 倍に膨らんだデータが示されたことで、今年は弱気派が勢いを増している。 習近平国家主席は投資主導から消費主導経済への転換を図る決意だが、それには急激な景気減速と債務デフォルトが避けられないため、中国は分岐点を迎えているのだ、と弱気派は言う。 チャン氏は、毛沢東氏の死去以降 30 年間の中国経済の近代化が深刻な支払い不能状態やデフレ、汚職を覆い隠してきたが、最終的には破綻を迎えると主張。 世界金融危機を受けて中国政府が 2008 年に実施した大規模な景気対策が無ければ、崩壊は既に起こっていたと言う。 著名投資家のジョージ・ソロス氏も中国経済について警鐘を鳴らす一人だ。 ソロス氏は最近、中国の「幾何級数的な債務増大」について記し、このような債務増大はあと数年しか持続できないと予告した。 モルガン・スタンレーのアナリストチームは中国経済について弱気論を繰り返し唱えており、先月は中国が「ミンスキー・モーメント」を迎えたと指摘した。 これは経済学者ハイマン・ミンスキー氏にちなんだ言葉で、投機的な借り入れに煽られた信用ブームが崩壊を迎える時点を示している。 <債務水準が限界に> 2008 年に中国株市場の暴落を繰り返し予言し、地元メディアに「米国のオウム」と名付けられたエコノミストのシー氏は今、不動産市場の暴落を予想している。 「1 年以内に人々は大混乱に陥るだろうが、彼らは今、そのことについて語りたがらない」という。 ブロガーとしても著名な北京大学・光華管理学院のマイケル・ペティス教授は、2022 年までの 10 年間に中国の経済成長率は平均 3 - 4% に急減速すると予想する。 教授は、これまで認識できなかった損失が今後は成長率に織り込まれ、正確な数字が算出されるようになるため、成長率はさらに低下すると説明した。 ペティス教授も、債務規模が金融市場に困難をきたす水準に達した途端、中国経済が急停止するリスクはあると認める。 と同時に、中国政府は景気をうまく減速に導き、債務が限界に達するのを避けることができるとも予想している。 (Vidya Ranganathan、Reuters = 4-3-14) 中国の建材会社がデフォルト、中小企業の私募債で = 現地紙 [上海] 中国で中小企業の資金繰りを緩和するため 2012 年 6 月に導入された私募債で、デフォルト(債務不履行)が発生した。 中国では 3 月、国内社債市場で初めて上海超日太陽能科技債が債務不履行となり、今回で 2 件目。 不動産市場を中心に同国の景気は減速しており、信用リスク拡大に対する懸念が広がっている。 中国経済紙の 21 世紀経済報道によると、小規模な建材会社、徐州中森通浩新型板材は、昨年発行した高利回り債の 1 億 8,000 万元(2,900 万ドル)相当の利払いを 3 月 28 日に予定していたが、期日に間に合わなかった。 トムソン・ロイターのデータによると債券の利回りは 10%。 同社は江蘇省を拠点とする。 コメントは得られていない。 中国では、不動産市場の減速を背景に鉄鋼や銅など建材の価格が下落している。 同紙が匿名筋の情報として伝えたところによると、債務不履行に陥った私募債は中海信達担保が保証していたが、中海信達は、支店が本店の許可を得ずに保証を決めたとして、支払いを拒否している。 同紙は、中海信達には十分な資金があると伝えている。 上海超日債のデフォルト後、李克強首相は、中国経済は困難な状況に直面しており、さらなるデフォルトを避けるのは難しいと発言。 政府による企業救済に難色を示した。 (Reuters = 4-1-14) 中国の悪臭漂う湖を浄化した LGFV、透明性の欠如が問題に 中国・湖南省岳陽市が下水道を整備してから、市内にある南湖の水はきれいになり、チェン・シュイリさんは湖で釣った魚を自分のレストランに出せるようになった。 土砂降りの雨の中、オートバイのヘルメットとダークグリーンのレインコートを身にまとったチェンさん (38) は湖のそばにたたずみ、もう一回漁をしようと考えていた。 「お客さんは本当においしいと言ってくれる」と語った。 「以前は表面にごみが浮くなど、湖はかなり汚かった。 悪臭がするため近づきたいとも思わなかった。」という。 岳陽市は、中国指導部が 2009 年の世界的なリセッション(景気後退)対策として実施した過去最大規模の与信促進策の恩恵を受けた。 新設されたインフラにより湖は浄化されたものの、そのプロジェクトを支えた資金調達については不透明だ。 米国であれば、そのようなインフラは投資家や格付け会社の精査の対象となる国債か地方債で賄われ、支出は議員やメディアの監視を受けていただろう。 一方、岳陽市のプロジェクトは地方政府の資金調達事業体 (LGFV) の資金で賄われた。 李克強首相は透明性の欠如や返済能力への懸念から、LGFV の規制に動いている。 中国の経済成長が減速する中、李首相にとっての課題は債務危機の防止に向け、新たな地方政府の資金調達システムを早急に打ち立てることだ。 シティグループの中国担当シニアエコノミスト、丁爽氏(香港在勤)は、債務が現在のペースで膨らみ続ければ、財政状況が悪化した全ての LGFV のために中国政府が負担を肩代わりするのは困難だろうと指摘。 「本来の地方債市場と現在の LGFV 債市場の大きな違いは、地方政府の本当の財政能力と債務への直接的な責任をめぐる透明性だ」と述べた。 (Bloomberg = 3-31-14) 香港の銀行、中国向け融資急増 不良債権化なら、業績に大きな打撃 [香港] 香港の銀行の中国企業向け融資の残高はこの数年でほぼゼロから 4,300 億ドルにまで膨らみ、わずかな不良債権化でも銀行の業績に甚大な影響を及ぼしかねない。 折しも投資家は中国の成長鈍化とデフォルト(債務不履行)発生に苛立ちを強めており、香港の銀行の本土向け融資をめぐる不安に拍車が掛かっている。 中国では今月初めに債券市場で初のデフォルトが発生。 先週は浙江省の不動産開発会社、浙江興潤置業投資など企業の破綻が伝わり、過去最高水準に達した企業債務に不良債権化の兆しが表れつつあるとの懸念が浮き彫りになった。 BNP パリバ(シンガポール)の外為・金利戦略ヘッドのミルザ・ベイグ氏は「香港の銀行の中国企業向け融資はこれまで質が検証されたことがない。 債権残高の急増の背後にこうした不安がある。」と述べた。 国際決済銀行 (BIS) のデータによると外国銀行の昨年の中国向け融資の残高は 1 兆ドルで、10 年前のほぼゼロから大幅に増えた。 アナリストの推計によると、香港からの融資が占める割合は最も高い。 香港金融管理局 (HKMA) によると、融資残高は 4,300 億ドルと香港の域内総生産 (GDP) の 165% に相当する。 HKMA のデータも域内銀行の本土向け融資の増加ぶりを裏付ける。 昨年末の融資残高総額のうち、中国向けは約 40%。 10 年にはゼロだった。 金融センターとして香港とライバル関係にあるシンガポールでも中国向け融資は急増しているが、金融当局の統計によると融資残高の GDP 比は 15% どまりだ。 香港とシンガポールの銀行は、金融危機後の低い調達金利、企業の強い借り入れ意欲、中国の高い成長率などをてこに、他の外銀に代わって中国向け融資で中心的な役割を担うようになった。 ガベカル・ドラゴノミクス(香港)のストラテジスト、キャシー・ホルコム氏は、香港の銀行は人民元のオフショアとオンショアの金利裁定取引に群がったと指摘した。 為替エクスポージャー 香港の銀行の中国企業向け融資の内訳ははっきりしない。 しかしムーディーズ・インベスターズ・サービスの金融機関担当マネジングディレクター、スティーブン・ロング氏は、かなりの部分が中国本土で事業を行っている香港の優良企業を対象とした貿易金融など、リスクの低い分野に回っているとみる。 しかし貿易金融は人民元高に賭ける投機資金流入の偽装に使われている可能性もある。 また今年に入ってからの人民元安で借り手の返済能力が低下しているかもしれない。 欧州系銀行のバンカーは「こうした融資の大半は担保を設定していても為替が完全にはヘッジされておらず、為替変動で銀行側が巨額の損失を被りかねない」と話す。 またアナリストは、こうした融資のかなりの部分が中国の不動産・金融セクターのほか、鉄鋼など余剰生産能力を抱えて当局が融資を規制しようとしている分野に向かったとみている。 確かに香港の銀行の資本バッファーは国際的な基準を大きく上回っており、中銀に相当する HKMA はこれまでのところ中国向け融資について警告を発していない。 しかし投資家は警戒感を強めており、香港の金融株指数は年初から先週末までに 13% 以上も下落した。 アナリストによると、融資残高に占める中国向けの比率が最も高いのは東亜銀行の 46% と中国銀行(香港)の 27%。 金利上昇と不良債権増加のリスク 香港の銀行の不良債権比率は現在 0.5% と過去最低水準にある。 だがバークレイズの試算によると、不良債権比率が長期平均の 3.5% に上がれば、4 月から始まる年度の域内銀行の税引き前利益の見通しは現在の水準から 20% 近く切り下がる。 スタンダード・チャータード銀行や HSBC など国際的に業務展開する大手はバランスシートが大きく、リスクは小さい。 バークレイズによると、一方で東亜銀行は不良債権比率が 3.5% に上昇するシナリオでは税引き前利益の 10% が失われ、大新銀行と永亨銀行は 6 分の 1 が消し飛ぶという。 中国の不良債権比率は公式統計では 1.0% だが、銀行筋は実際は 5% ないし 10% だとみている。 バークレイズの銀行アナリストのシャーニー・ウォン氏らは、欧米経済の回復などによって世界的に金利が上がり、不良債権比率は上昇すると見込んでいる。 つまり香港の銀行は債権絡みのリスクに備えて引当金の積み増しを迫られる見通しで、これらの銀行の不良債権比率や貸倒引当金を読み解くことが中国の信用市場の状態を探る手段になるということだ。 (Saikat Chatterjee、Reuters = 3-27-14) 中国経済リスク 「影の銀行」収束への険しい道 中国経済の足を引っ張る「シャドーバンキング(影の銀行)」の拡大を食い止め、混乱を回避すべきだ。 中国政府は難しい舵かじ取りを迫られる。 上海市の太陽光パネルメーカーが今月初め、経営に行き詰まって社債の金利を払えず、中国社債市場で初めて、債務不履行(デフォルト)に陥った。 李克強首相はこれに関連し、金融商品のデフォルトを一部容認する考えを示した。 政府の方針転換であり、その意味は重い。 中国当局は従来、危機に陥った企業や投資家を救済してきたが、市場のモラルハザード(倫理の欠如)を助長した面は否めない。 パネルメーカーのデフォルト容認は、場合によってはデフォルトもあり得ることを示し、投資家に警告するのが狙いだろう。 背景には、銀行を介さない金融取引であるシャドーバンキングが膨張し、中国経済を蝕むしばんでいることへの危機感がうかがえる。 投資家はノンバンクなどの高利回りの財テク商品に群がった。 地方政府傘下の投資会社がそれらを原資に不動産開発を進めたり、銀行から融資を受けにくい企業が社債を発行し、ノンバンクが引き受けたりする例が目立つ。 巨額債務を抱えた地方政府や企業が行き詰まると、投資家に被害が及ぶことが避けられない。 さらに厄介なのが、シャドーバンキングの不透明な実態である。 総額が国内総生産 (GDP) の半分に達するという推計もある中、膨張マネーに歯止めをかけようとする政策判断はもっともだ。 デフォルト容認方針とともに、中央銀行にあたる中国人民銀行の周小川総裁が、上限規制がある預金金利を 1 - 2 年以内に自由化する方針を示した点も重要だ。 金利自由化によって、低い預金金利を嫌って財テク商品に流入してきた資金の流れにブレーキをかけようとしているようだ。 シャドーバンキングを縮小させるための大胆な改革は欠かせない。 一方で、改革を急ぎすぎることによる副作用も懸念される。 信用収縮によって、地方政府や企業の資金繰りが相次いで行き詰まるような事態を招けば、悪影響が広がるだろう。 ニューヨーク、東京などの株式市場では、中国リスクが一因となり、株価の乱高下が続く。 バブル過熱を制御し、景気減速傾向が続く中国経済を 7.5% 程度の安定成長に軟着陸させられるか。 世界 2 位の経済大国・中国の綱渡りが続いている。 (読売新聞・社説 = 3-23-14) 影の銀行、デフォルトは不可避 中国首相、地位関係なく腐敗摘発 【北京】 中国の李克強首相は 13 日、全国人民代表大会(全人代 = 国会)閉幕後に北京で記者会見し、中国で問題となっている正規の銀行融資ではない「影の銀行(シャドーバンキング)」などの金融リスクについて、個別の金融商品のデフォルト(債務不履行)は「避けられない」と認め、監視を強める考えを強調した。 深刻化している官僚腐敗については「法と規律に違反した人間に対しては地位の高低にかかわらず厳しく取り締まる」と述べた。 汚職疑惑などにより当局の軟禁下に置かれているとされる最高指導部元メンバー、周永康・元共産党政治局常務委員についても追及を緩めない姿勢を示唆した。 (kyodo = 3-13-14) 中国 1 - 2 月鉱工業生産は 8.6% 増と予想下回る、成長鈍化鮮明 [北京] 中国国家統計局が発表した 1 - 2 月の主要経済統計は、固定資産投資、鉱工業生産、小売売上高の伸び率が軒並み予想を下回り、数年ぶりの低水準だった。 中国の成長鈍化への懸念があらためて高まりそうだ。 1 - 2 月の鉱工業生産は前年同期比 8.6% 増、予想の 9.5% 増に達しなかった。 伸び率は 2009年 4 月以来の低水準となった。 ANZ (上海)の中国担当エコノミスト、Hao Zhou 氏は「政策緩和が差し迫っている」と指摘。 一連の指標について、第 1・四半期の国内総生産 (GDP) 伸び率が、7.0% になることを示唆している、と述べた。 また、1 - 2 月の小売売上高は、前年同期比 11.8% 増加し、3 年ぶりの低い伸びにとどまった。 予想の 13.5% 増を下回った。 固定資産投資は減速がさらに顕著。 前年同期比 17.9% 増と、予想の 19.4% 増に届かず、伸び率は 11 年ぶりの低水準だった。 <成長鈍化は鮮明> 先週発表された中国貿易統計では、1 - 2 月の輸出が前年同期比 1.6% 減少、2 月単月では 18.1% 減少し、市場に動揺が走った。 アナリストの多くは、当局はあと数カ月分の指標が発表されるまでは一段の緩和は検討しない、と考えている。 ただ旧正月に絡む歪みを考慮したとしても、経済全体のトレンドの弱さははっきりとしている。 政府は先週、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕に際し、今年の GDP 伸び率目標を 7.5% に設定した。 ただ、成長率が想定よりも大幅、かつ急速に鈍化する兆しが見えるなか、中国は今年、数年ぶりに成長率目標を達成できない可能性がある、との声も聞かれる。 (Reuters = 3-13-14) 中国経済先行き不透明感 経済失速に現実味 連鎖デフォルト、混乱警戒 【北京 = 河崎真澄】 中国経済の先行きに対する不透明感が市場で一段と強まっている。 中国債券市場で 7 日起きた初の社債デフォルト(債務不履行)と、前年同月比で 18.1% 減少した 8 日発表の 2 月の中国輸出統計の影響が広がった。 銅を担保にした資金調達が減るとの思惑から上海先物取引所で週明けから銅相場が続落し、12 日は株式市場の上海総合指数も反落した。 13 日閉幕の全国人民代表大会(全人代 = 国会)で採択される経済改革案も「既得権益層など中国内の抵抗勢力の政治パワーで "骨抜き" にされる(市場関係者)」との懸念も強まっている。 丸紅経済研究所の鈴木貴元シニア・エコノミストは「中長期的な改革の方向性は間違っていない」とみるが、昨年の全人代後に一気に高まった李克強首相の経済政策「リコノミクス」への期待は、短期的な成果を求めがちな市場の間では急速にしぼみ始めている。 中国初の債券デフォルトは、リスク意識の甘さからモラルハザード(倫理の欠如)を起こしている中国の投資家への「警告」にはなったが、市場では連鎖デフォルトによる混乱や「影の銀行(シャドーバンキング)」関連の金融商品への飛び火を警戒している。 また、輸出低迷は人件費の高騰や人民元高による中国製品の国際競争力の低下を裏付けた。 李首相が全人代の「政府活動報告」で訴えた消費拡大はまだ効果を上げていない。 成長エンジンだった公共事業などの投資が抑制され輸出も伸びないとなると、「経済成長率で政府目標 7.5% を達成するのは困難(北京のエコノミスト)」な情勢だ。 外需も内需も伸び悩む中で、デフォルト問題へのコントロールがきかなくなれば、中国は成長減速のみならず、"成長失速" の黄信号すら点灯しかねない。 (sankei = 3-13-14) 中国、信用膨張再来の恐れ 持続可能なモデルに 2013 年の発足以来、中国の新政権は、同国の経済成長のスピードにあまり重点を置かず、経済成長の質をより強く重視すると主張してきた。 習近平国家主席と李克強首相はこれまで、安易な与信や、産業界の(設備)投資への依存度を下げて、国民の生活の質、例えば大気汚染レベルの低減に確実な道筋をつけるといったことに中国はもっと注意を払っていくべきだと強調してきた。 しかし先週、こうした宣言が初めて現実的に評価を受けることになると、中国政府の指導部には揺らぎがみえた。 習主席と李首相が前回の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、そろって現在のポストに就任してから 1 年。 先週の全人代で中国政府は今年の経済成長目標を年 7.5% とすると発表した。 これは 13 年と同じ数値目標で、同年の経済成長は 7.7% だった。 ■ 目標達成のための刺激策の可能性 中国において、経済成長目標はある意味、過去の遺産である。 ここ 10 年間、成長目標は実際には政策決定にはあまり意味をもたなかった。 というのも、中国経済は政府の計画を上回るスピードで成長してきたからだ。 しかし、成長が鈍化してくると、こうした指標は中国の今後の方向性を指し示す上で役に立つ。 中国政府は例えば 7% とか、7% 前後のように、目標を低くすることもできた。 そうすれば過熱する経済を抑制する余地が十分にとれた。 政府が強気の数値目標に固執したことは、持続可能な成長への移行に待ったがかかることを意味している。 中国政府にとっての懸念は、今年始めにはすでに経済成長が鈍っている兆しが見えていることだ。 2 月の HSBC 中国製造業購買担当者景気指数 (PMI) は 7 カ月ぶりの低水準を記録した。 貿易関連の統計でみると、1 月の輸出は堅調だったが 2 月は縮小するなど、はっきりとした傾向は読み取れない。 しかし、投資家たちはこうした指標には懐疑的な姿勢を崩さない。 中国企業の間で、資本取引規制から逃れる手段として、請求書を水増しする傾向が強まっているためだ。 全般的にみて懸念されているのは、2013 年の夏同様、中国指導部は遅かれ早かれ、設定した数値目標を達成するために景気刺激策を打ち出すだろうということだ。 中国人民銀行はすでに金融緩和に動いている兆候がみられる。 短期金融市場金利は昨年 12 月に急上昇した後、急降下している。 2009 年の金融刺激策により積み上がった借り入れの返済に苦しむ国有の大企業や地方政府は、金融市場への流動性供給で猶予を与えられる。 毎年、地方から都市部へ流入する数百万規模の人向けに企業は雇用を創出できるようになり、社会不安を抑えることになろう。 しかし新規の刺激策は貸し出しの伸び率の上昇に拍車をかけるだろう。 この傾向は今年 1 月、引き続き加速した。 過去 5 年で 2 倍近くに膨らみ、国民所得に対する比率が 130% から 210% に上昇している債務残高はさらに増すだろう。 ■ 市場に規律を持ち込む必要 こうした理由から中国政府はたとえ成長目標を達成できないにしても、新規の刺激策の導入は遅らせるべきだ。 その代わりにすべきことは、投資家が融資の焦げ付きの結果に直面するという警告を与える対策を打ち出すことだ。 太陽光パネル大手・上海超日太陽能科技術(上海市)を社債の利払い不履行(近年の中国では初のケースだった)に踏み切らせた決断は、いつも救済策があると甘んじてきた市場に、強く求められてきた規律を持ち込むことになろう。 中国はブレーキを強くかけるか(その結果、デフォルトの波が起こるかもしれない)、「信用中毒」を加速させ続けるか、そのバランスを取るという難しいかじ取りを迫られている。 しかし強気すぎる成長目標を追求することは正解ではない。 中国は結局、経済をより持続可能なモデルに調整し直す必要がでてくるだろう。 この方向に早く転換すればするほど、その過程におけるリスクを抑えられる。 (英フィナンシャル・タイムズ社説 = 3-11-14) 中国で「地方債」公認へ … 制度逃れ、負債総額すでに 183 兆円 全国政治協商会議委員を務める財政部財政科学研究所の賈康所長は 5 日、年内にも予算法が修正され、地方政府の公債発行が認められる可能性があると述べた。 地方政府の負債総額は 10 兆 8,859 億 1,700 万元(約 182 兆 8,500 万円)だ。 賈所長によると、大部分は隠れた形の「債券発行」によるという。 中国新聞社が報じた。 中国の現行予算法は、「法律および国務院(中央政府)が別途規則を定めた場合を除き、地方政府は地方政府債を発行してはならない」と定めている。 これまでに「地方債の試験」として発行が認められたのは、上海市、浙江省、広東省、深セン市(2011 年)、江蘇省、山東省(13 年)だった。 一方で、日本の会計監査院に相当する中国政府・審計署の発表によると、中国全国の地方政府の負債総額は 10 兆 8,859 億 1,700 万元(約 182 兆 8,500 万円)に上る。 賈所長によると、地方政府の「借金」の大部分は「隠れた形の債券発行」による。 債券発行は既成事実化しており、中央政府は「実態を陽光のもとにさらす」ため、地方債発行を制度化する必要があると判断した。 賈所長は、「地方債発行を開放してしまったばあい、地方政府の負債膨張を心配する必要はない」と説明。 発行の手順、債務に対する監督方法、債務の種類別の管理方法などを制度化することで対応するという。 これまで、地方政府の債務は制度逃れの "裏技" を使う場合が多く、予算との関係も不明瞭な場合が多かった。 賈所長は、「予算に組み込まれて管理されるようになれば、各方面から議論して状況を改善して弊害を除去したり、さらにはリスクを予防することができ、各界の地方債に対する心配も取り除くことができる」と主張した。 (サーチナ = 3-6-14)
中国・超日太陽が債務不履行へ、利払いが間に合わない見通し [上海] 中国の太陽光関連企業である上海超日太陽能科技は 5 日、7 日に予定されている社債の利払いが間に合わない見通しだと明らかにした。 債務不履行(デフォルト)の見込みとなっているのは、超日太陽が 2011 年に発行した「超日 - 11」債で、発行額は 10 億元。 5 日午後に深セン証券取引所のウェブサイトに掲載された声明によると、同社は 5 日に利息のうち 8,900 万元(1,450 万ドル)の預託を義務付けられていたにもかかわらず、400 万元しか支払えなかったという。 同社は声明で「当社は 7 日に予定されている超日 - 11 債の利息全額を支払うことはできない見通しだ」と説明した。 中国では、政府が債券バブルの崩壊とそれにより経済への悪影響が出ることを食い止めており、デフォルトが発生するのはまれ。 2013 年 1 月にも超日太陽はデフォルトに陥る危険があったが、上海の奉賢区政府が債権銀行に対し同社向け延滞融資の期限繰り延べを説得したため、期日通りに利払いを行うことができた経緯がある。 同社は、利払いを全額履行するため、資金調達を目指しているとしており、後日、利払いが実施される可能性は残されている。 <デフォルトは市場にプラスとの声も> 中国では先に、高利回りの資産運用商品「理財商品」で利払いができない事態が発生したが、社債市場ではこれまで、発行体の資金繰りが悪化しても、政府や国有企業が救済に動くとの見方が多く、信用力が低い企業でも低利で社債を発行できる環境となっていた。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(香港)の中国担当エコノミスト、ルー・ティン氏は「デフォルトは良いことだと考えている。 正常な経済にはデフォルトが必要で、デフォルトによって価格形成が改善する。」と指摘。 「今年は社債や信託ローンのデフォルトが大幅に増えるだろう。 政府は規律ある市場の確立には一定のデフォルトが必要だと自信を深めている。」と述べた。 オフショアの社債市場では過去に複数の中国企業がデフォルトに陥っている。 中国の太陽光パネル大手 LDK ソーラー は昨年、オフショア市場で発行したドル建て債の利払いが一部履行できなかった。 (Reuters 2= 3-5-14) 中国、高まる「影の銀行」連鎖破たんの危機〜インフラ投資バブル支えるマネー、逆流も 1 月 31 日に償還期限を迎えた信託商品のデフォルト(債務不履行)が、ぎりぎりで回避された。 デフォルトの危険が高まっていたのは、中誠信託(北京市)が 2011 年 2 月に組成した理財商品「誠至金開 1 号」。 中国工商銀行が顧客に 9.5 - 11% の利回りを提示して販売した高利回りの商品だ。 ハイリスク・ハイリターンの典型のような商品のため、リスクが表面化するのは時間の問題とみられていた。 中誠信託が中国工商銀行を通じて個人から集めた 30 億元(約 520 億円)は、山西省の民営石炭会社、振富能源集団に融資された。 同集団はこの資金を炭鉱開発に充てたが、石炭価格の下落や地元住民とのトラブルで資金繰りに行き詰まった。 損失の引き受けをめぐって投資家、銀行、信託会社が責任の押し付け合いを始め、デフォルトの足音がひたひたと忍び寄ってきた。 投資したのは工商銀行の富裕層顧客 700 人。 銀行の営業担当者の推薦で信託商品(理財商品)を買ったといわれているが、昨年 12 月 20 日、顧客は銀行から「期日に元利金が返済されないかもしれない」との連絡を受け、大騒ぎになった。 元本保証はもともとない商品だが、中国の銀行は工商銀行だけではなく、理財商品を預金類似商品として大々的に売ってきたため、投資家は銀行や信託会社が「暗黙の保証をした」と受け止めていた。 一度でも投資家たちを裏切れば、理財商品全体の信用が失墜することになり、新規の発行は絶望的になる。 ● インフラ投資を支える、シャドーバンキングのマネー 中国では石炭会社や不動産会社、地方の開発プロジェクトまで理財商品に資金を頼っているケースが多い。 新規発行ができなくなればインフラ投資を支えるマネーが目詰まりを起こす。 振富能源集団が本拠を置く山西省政府が救済する、と一部中国メディアは報じたが、同政府は「完全なデマ」とすぐさま否定した。 中国工商銀の姜健清・薫事長は米 CNBC とのインタビューで「返済責任は決して負わない」と言明したが、過去には同様の問題が起こった際に、事態を収拾するため信託会社が支払いを肩代わりしたケースがある。 昨年 8 月、陝西省国際信託が理財商品を通じて融資していた河南省の化学肥料会社が破綻し、顧客への元利払いが困難になった。 この時は信託会社が支払いを肩代わりした。 「誠至金開 1 号」の元本は 30 億元。 中誠信託には昨年末時点で純資産が約 100 億元あるといわれている。 負担できない金額ではないが、肩代わりが常態化するとやっかいな問題に発展する。 銀行や信託会社が信託商品に「信用保証をつけている」と監査法人が見なすと、貸借対照表に計上しなければならなくなるからだ。 巨額の理財商品を貸借対照表へ計上することを求められたら、銀行の不良債権比率が一気に跳ね上がり、銀行が軒並み破綻することになる。 こうした金融当局の目が届かないシャドーバンキング(影の銀行)の資金規模は、中国国内で 20 - 30 兆元(約 340 - 520 兆円)に上ると試算されている。 一つでも理財商品がデフォルトになると、巨額の連鎖が起こることになる。 ● 採炭業者や不動産開発会社の経営破たん続出 2 月 12 日付の上海の経済紙「上海証券報」によると、吉林省信託(吉林省長春市)が発行した「吉信・松花江 77 号」という理財商品が、期日までに元利金を返済できず、支払いが遅延しているという。 発行残高は 9 億 7,240 万元(約 165 億円)で、このうち期日が来た 7 億 6,340 万元(約 130 億円)が返済されていない。 投資先である山西省の採炭会社が、石炭価格の下落で債務の返済ができなくなっている。 「吉信・松花江 77 号」を購入しているのは個人投資家で、銀行は年 9.8% の予想利回りを提示して販売していた。 中国では、銀行からの借り入れができない採炭業者や不動産開発会社が高利の理財商品で資金調達して、経営に行き詰まるケースが多発している。 山西省は中国の三大産炭地の一つで採炭業者がいくつもあるが、石炭価格の下落で、いずれも経営破たんに近い状態だといわれている。 今後、採炭業者に投資した理財商品で支払いの遅延が相次ぐものとみられている。 焦点は山西省政府などが救済に動くかどうかだ。 1 月末にデフォルトが危ぶまれた「誠至金開 1 号」は、山西省政府の意向を受けたとみられている第三者が理財商品を買い取り、元本が返済されている。 理財商品ごとに地方政府の判断が異なると、混乱に拍車がかかる。 すべての理財商品の元本を政府や銀行が金額保証し返済することは不可能であるため、今後、デフォルトを起こす商品の選別が必要になってくる。 シャドーバンキングにおける理財商品のデフォルト問題は、政治問題の様相を呈しつつある。 (Business Journal = 2-26-14) 親会社襲撃、農民工の自殺テロ … 中国で債権回収が激化 経済先行き不安化で 1 月 5 日、中国建設最大手・中国中鉄の総裁が自宅マンションから飛び降り、自殺した。 『南方都市報』によると、総裁は自社が抱える巨額の負債や支社で従業員への賃金不払いに関し、ストレスを抱えており、うつ状態にあったという。 実は今、中国では借金や売掛金、未払い給与の取り立てが激化しており、債務者を悩ませている。 昨年 12 月末にも、広西チワン族自治区悟州市で売掛金の支払いを拒んだ建築会社に対し、下請け会社の社員たちが襲撃する事件があった。 双方合わせて 20 人以上の大乱闘に発展したという(『広西日報』)。 さらに『新安晩報』(11 月 29 日付)によると、安徽省合肥市で、家賃の支払いをめぐり大家が入居者を刺殺するという事件も起きた。 広州市で日本料理店を経営する松田尚さん(仮名・42 歳)も話す。 「大家による飲食店のロックアウトは日常茶飯事。特に昨年 11 月くらいから増えた。 みんな家賃を滞納してるんです。 先日も、近所のパチモンのスタバで、大家が雇った青年 3 - 4 人と角材を手に店主を追っかけていましたよ。」 こうしたなか、旧正月の前に、労働者による未払い賃金支払いを求める動きは活発化している。1月3日、甘粛省蘭州市の高層ビルの屋上で、6人の農民工が勤め先の建築会社に賃金支払いを求め、「拒否するなら飛び降りる」と自殺を宣言。この一件は会社側が折れて解決したが、同様の手段で未払い給与を回収しようとする労働者が全国で続出しているのだ。こうした背景について、ポータルサイト『新浪』の東京特派員・蔡成平氏は次のように話す。 「中国では、『支払いはどれだけ先延ばしするか』が経理担当者の腕の見せどころと言われてきた。 しかし、倒産件数の増加や経済の先行き不安から、『債権は早めに回収』という動きがそれ以上に強まり、回収する側も本気になってきた。 インフレ率が高く、タンス預金ではどんどん価値が目減りしてしまう中国では、企業や個人はみな、収入や貯蓄に見合わない金額を不動産や投資信託などに突っ込んでいる。 賃金や家賃の滞納が発生すると、とたんに経営や生活が苦しくなってしまうため、とにかく必死なんです。」 一方、上海市の PR 会社に勤める橋田慶太郎さん(仮名・43 歳)の身近にも、文字通り「貸し倒れ」となってしまった人がいる。 「彼は月収 7 万円のサラリーマンでありながら、オフィス用物件を 2 室も購入して貸し出し、ローン返済と給与でギリギリの生活をしていた。 ところが入居企業のひとつが倒産し、次の入居者が見つかるまで生活費にも事欠くように。 ついに先日、栄養失調になって病院に運ばれました。 しかし、手元に現金がないのは債務者側も同様だ。 仏山市で貿易業を営む林田岳男さん(仮名・49 歳)は話す。 「町工場を経営している知人は、給料日の直前になると、自分や会社名義のクレジットカードを知り合いの飲食店に持ち込み、架空の支払いをし、現金で返金してもらう『ショッピング枠の現金化』を行っている。 銀行が中小企業や個人に貸さない中国では、ありふれた資金調達方法なんだそうです。」 債権者から債務者までが自転車操業状態とは、中国経済の崩壊も近いのかもしれない ・・・。 (奥窪優木、日刊 Spa! = 2-23-14) 中国の実体経済に低迷の影、健全な調整との見方も [北京] 今年の中国経済の見通しについては見方が分かれているが、見極める鍵は実体経済にある。 電力消費量は減少し、鉄鋼価格が過去最安値に下落するなど、さまざまな指標からは投資や内需の低迷が中国経済を圧迫している状況がうかがえる。 エコノミストの中には早々に今年の国内総生産 (GDP) 見通しを引き下げる動きもあり、この時期としては異例だ。 金利上昇と政府による倹約令も、投資を少なくとも過去 10 年来の低水準に押し下げる要因となっている。 投資は昨年 7.7% だった中国の経済成長率の半分以上を占めており、この意味合いは大きい。 専門家は、成長率が今後数カ月で 7% に向けて鈍化する可能性も視野に入れているが、これは投資家のみならず政府関係者にも行き過ぎた景気減速に懸念を抱かせる数字だ。 HSBC (香港)のエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏は「景気が底を打つにはあと数カ月かかる。 状況の好転には政府のより積極的な措置が必要になるだろう。」と述べた。 長らく過去の中国の 2 桁成長に慣れていた金融市場は弱気に傾いており、これが今年に入ってからの新興国市場の下落要因にもなった。 PMI や貿易統計など中国の経済統計は強弱まちまちで、政府による消費・サービス部門主導の経済への移行策が功を奏しているかどうかの判断は難しい。 このため、今年の成長率見通しも 7% から 8% 超という幅広いレンジに及んでいる。 アナリストは、指標に見られる相反するシグナルは旧正月休みの影響で誇張されていると指摘する。 経済の実態把握には、3 月の経済統計が発表される 4 月まで待たなければならない。 しかし実体経済には下向きの兆候が表れている。 例えば電力消費量。 李克強首相は 2007 年に、中国経済の動向を把握するには、水増し疑惑がつきまとう「人為的な」 GDP より電力消費量の方が有効との見方を示している。 国家発展改革委員会 (NDRC) によると、1 月の 20 日までの電力消費量は前年同期比 2% 増にとどまった。 NDRC 当局者も「かなりの低水準」であることを認めたが、旧正月休みと比較的温暖な気候が影響した可能性があるとしている。 <健全な調整とも見方も> 電力消費量以外にも慎重になる理由はある。 建物や鉄道の建設に欠かせないセメントや鉄、鉄鉱石の価格は軒並み下落。 公共投資の縮小で需要が減退していることが背景だ。 アナリストは、需要後退は省や地方政府が巨額の負債を抱え、汚職や不要な支出をめぐり中央政府から締め付けを受けていることが原因とみている。 金利上昇も状況を悪化させている。 中国人民銀行は最近、リスクの高い貸し出しを抑制するため短期金利を高めに誘導している。 短期貸し出しの目安とされる 7 日物レポ金利は、12 月の 9% 付近からは低下したものの、4.4% と依然 1 年前を約 1ポイント上回る水準となっている。 景気減速の兆候を受け、クレディ・スイスの DongTao 氏をはじめ複数のアナリストは、第 1・四半期の GDP の見通しを前年比 7.7% 増から 7.3% 増に下方修正した。 これは世界的金融危機以降でもっとも低い伸びとなる。 2013 年第 4・四半期 GDP は 7.7% 増だった。 一方、キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のマーク・ウィリアムス氏は、景気減速の兆候は悪材料ではなく好材料とみている。 投資よりも消費拡大を優先する改革を進める過程で、秩序だった景気減速は中国にとって必要との見方だ。 同氏は「これは健全な調整で歓迎すべきだ」と述べた。 (Reuters = 2-17-14) |