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ユニクロ、見えた「世界ブランド」化への秘策
「発展途上国から先進国までやっているブランドはわれわれ以外にほとんどない。 グローバルブランドとして確立されたんじゃないかなと思います。」 カジュアル衣料「ユニクロ」を傘下に持つファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、決算説明会でこう胸を張った。 同社は 10 月 11 日、前 2018 年 8 月期の決算を発表した。 売上高は 2 兆 1,300 億円(前期比 14.4% 増)、営業利益は 2,362 億円(同 33.9% 増)と、ともに過去最高を更新した。 原動力となったのが、ユニクロ事業の国内外での好調ぶりだ。 国内の既存店売上高はヒートテックやエアリズムなどの季節商材が牽引して前期比 6.2% 増を記録。 海外では積極出店を続ける中国と東南アジアが大きく伸び、海外ユニクロの売上高が国内を初めて突破した。 今 2019 年 8 月期には売上高・営業利益ともに海外ユニクロが国内を上回る見通しで、来秋にはインドやベトナムにも進出する予定だ。 世界首位「ZARA」の背中遠く 国内のアパレル企業では 2 位のしまむら(2017 年度売上高 5,660 億円)を大きく引き離し、圧倒的首位に君臨するファーストリテイリング。 ユニクロの国内店舗数がほぼ横ばいにある中、同社の今後の成長のカギを握るのは海外事業であり、柳井氏が見据える先は世界トップのアパレル企業だ。 だが今のところ、世界では「ZARA」を展開するスペインのインディテックスとスウェーデンの H & M に次ぐ 3 位にとどまっている。 H & M の 2017 年度売上高は 2,317 億スウェーデンクローナ(約 2.9 兆円)、営業利益は 205 億スウェーデンクローナ(約 2,550 億円)。一方、インディテックスの売上高は 253 億ユーロ(約 3.3 兆円)、営業利益は 43 億ユーロ(約 5,600 億円)と、トップの背中はまだ遠い。 現状、海外ユニクロの売り上げの 8 割はブランド認知が進んだアジアとオセアニアで稼いでいる。 トップを目指すうえでは、ZARA や H & M が地盤を置く欧米での業績拡大が欠かせない。 手ごろな価格でデザイン性の高いトレンド商品を高頻度で投入する ZARA に対し、ユニクロはベーシック商品が基本。 ヒートテックやエアリズム、ウルトラライトダウンなど、主力商品は防寒や軽量といった機能性をウリとする。 ファーストリテイリングは高機能な「未来の服」を作るに当たり、各分野の先端技術を持つトップ企業のノウハウを取り入れることを得意技としてきた。 もっとも、目に見えない機能性は、デザイン性と比べ価値を伝えづらい。 それもあってか、ここ最近は欧米での認知度拡大に向け、柳井氏本人の積極的な動きも目立ってきた。 昨年 10 月にはニューヨークで、商品開発で長年協業している素材メーカーの東レとユニクロの合同イベントを初開催。 柳井氏と東レの社長が現地に赴き、ヒートテックなどの機能性衣料を PR した。 今年 9 月にはパリでユニクロのニットに関する展覧会が開かれた。 会見にはニットの生産でパートナーシップを結ぶ島精機製作所の社長と柳井氏が臨み、島精機の縫製機械によって縫い目なくニットを編み上げる「ホールガーメント」の技術などを紹介した。 「世界中で自動倉庫を作る」 「世界最高のパートナーと一緒にパートナーシップを組み、最新の情報と技術を活用し、まったく新しい産業を作り出す。」 決算説明会の場で柳井氏はこう宣言し、あらゆる企業や個人と連携して世界中でユニクロブランドを強化していく方針を改めて強調した。 9 月には米グーグルと AI (人工知能)の活用で本格提携を発表したばかりだ。 さらに決算発表 2 日前の 10 月 9 日。 ユニクロは物流機器大手・ダイフクと戦略的パートナーシップの合意書を締結し、東京・有明にある同社のネット通販専用の物流倉庫を初めて報道陣に披露した。 最新鋭の装置の導入や、IC タグを活用した検品により、在庫情報の集約や省人化を実現。 今後はダイフクとの協業体制の下、海外を含めすべての物流拠点で同様の自動化を進めていく考えで、総投資額は 1,000 億円規模を見込むという。 「2 - 3 年くらいで世界中に自動倉庫を作りたい。(柳井氏)」 「服を変え、世界を変える」と、ことあるごとに強調する柳井氏。 素材、縫製機械、物流など、各分野のトップ企業をパートナーに取り込む独自戦略で、その野望を実現できるだろうか。 (真城愛弓、東洋経済 = 10-12-18) ファストリがダイフクを頼るワケ 世界の物流倉庫を完全無人化へ 「全世界の物流拠点(倉庫)の完全自動化を最短でやっていく。 期間は 2 - 3 年。 投じる金額は 1,000 億円。」 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは 10 月 9 日、同社の世界中の物流倉庫の完全自動化に向け、工場や倉庫向け搬送システム(マテリアルハンドリング)大手のダイフクと戦略的グローバルパートナーシップを結んだと発表した。 すでに有明本部(東京・江東)にある EC (電子商取引)向け配送センターで今月から本格稼働を始めている。 なぜダイフクか。 ファーストリテイリングは同社と組んだ理由を「業界最大手でありながら世界最先端の技術を積極的に取り入れている」ことを挙げた。 だが、本当の狙いはダイフクが自動車業界で培った無駄のない搬送ノウハウにあると考えられる。 ダイフクは 1937 年に創業した業界の老舗で、57年に日本で初めての自動車生産ラインを構築したことで知られる。 自動車メーカーのグローバル化とともに同社も成長を遂げ、2019 年 3 月期の売上高は 4,700 億円を見込む。 EC 向け配送センターにとって最も価値があるのが、ダイフクの持つ「いかにしてリードタイムを短縮するか」のノウハウだ。 リードタイムとは自動車などが部品から完成品に組み上げられるまでにかかる時間のこと。 EC の配送倉庫では、顧客がインターネットで発注してから作業者が必要なアイテムをピッキング(集荷)し、梱包して商品を出荷するまでにかかる時間がこれに当たる。 実際、ファーストリテイリングは新システムを導入後、このリードタイムを従来の 8 - 16 時間から 1 時間以内、最短で 15 分に短縮できたという。 ポイントはまず、これまで人手でやっていた検品や運搬の作業を自動検品装置やロボット、ベルトコンベヤなどを用いて自動化したことにある。 商品を受注すると、棚に積まれていた商品の中から必要なモノが選ばれ、自動で顧客別に並べ替えられてピッキング作業者の元に運ばれる。 これまでは作業者が台車などを転がして倉庫のあちこちに取りに行っていたが、この必要がなくなった。 自動車業界で培ったノウハウ こうした自動化は他社の倉庫でも見受けられる。 例えば、ニトリホールディングスの物流子会社、ホームロジスティクス(札幌市)の西日本通販発送センター(大阪府茨木市)で昨年から稼働している搬送システム。 ファーストリテイリングでは、商品は箱に入れられた状態でベルトコンベヤでピッキング作業者の元に運ばれる。 これに対し、ニトリでは小型の自動搬送ロボットが棚を下から持ち上げ、棚ごと運んで必要なモノを作業者の元に届ける。 アマゾンジャパン(東京・目黒)もニトリと同様の仕組みを 2016 年から導入している。 ただファーストリテイリングでは作業者の元にモノを届けるのに加え、よく出荷される商品とそうでない商品を別の場所で保管する工夫を凝らした。 すべて同じ場所で保管し、同じルートで作業者の元に運ぶと、よく出る商品がルート上に詰まって渋滞を起こす。 しかし、よく出る商品とそうでない商品を分けて保管し、別々のルートで作業者の元に運搬、さらに、よく出る商品のルートは運搬の処理能力(スピード)を上げることで、よく出る商品の搬送が滞らず、全体としてもスムーズに出荷できるというわけだ。 部品のサブアッセンブリーラインと完成車のメインアッセンブリーラインの流れるスピードをそれぞれ変えて最適化するのは自動車業界では常識。 自動車業界で実績を積んだダイフクならではの発想と言える。 ファーストリテイリングがダイフクを選んだ理由もここにあるのかもしれない。 (池松由香。日経ビジネス = 10-10-18) ユニクロ、東南アで欧州勢に先行 カジュアル衣料 3 強 カジュアル衣料専門店の世界 3 強が東南アジア市場の開拓を競っている。 世界 3 位でユニクロを手掛けるファーストリテイリングは 5 日、フィリピンに東南アジア最大の旗艦店を開いた。 2022 年までに域内の店舗数を倍増させる。 2 位のスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) と世界最大手のスペインのインディテックスが後を追う。 成熟市場の先進国と違い、東南アジアは成長の余地が広がっており、各社とも需要の取り込みを急ぐ。 マニラに域内最大店オープン フィリピンの首都マニラ中心部マカティ。 ファストリは 5 日午前、柳井正会長兼社長らが出席しユニクロのグローバル旗艦店の開店式を開いた。 商業施設の 1 階部分のほぼすべてと 2 階の半分のスペースを占め、延べ床面積は 4,100 平方メートルに上る。 世界で 2,000 店以上あるユニクロの店舗で 6 番目に大きく、商品数は 26 万点に及ぶ。 巨大店舗が開くとあって、開店前には約 600 人が行列をつくった。 ユニクロの開店時には大抵駆けつけるという男性 (35) は午前 1 時から先頭で並んでいたという。 「手ごろな値段で着心地がいい。 他のブランドも見には行くけれど、ユニクロでいつも買う」と話すのは大学生のカイル・ナテさん (21)。 定番のシャツやパンツなどは 1,000 ペソ(約 2,100 円)からと、昔ながらの市場に並ぶ商品よりは高いが、購入するには抵抗のない価格帯だ。 店舗数、22 年までに倍増 ファスリは地場小売り最大手の SM グループの出資を受けて現地子会社を設立し、12 年に 1 号店を開店。 過去 1 年間は月 1 店のペースで出店し、今回の新店は 53 店目だ。 09 年にシンガポールに進出して以降、タイ、インドネシアへ矢継ぎ早に展開。 店舗数もフィリピンでは H & M の 34 店(8 月末時点)、「ZARA」を展開するインディテックスの 20 店(1 月末時点)を大きくリード。 域内全体でも 187 店(8 月末時点)と 100 - 150 店規模の競合 2 社を上回り、22 年までに 400 店程度に倍増させる方針だ。 「アジアは生産基地と同時に販売基地でもあり、海外事業の大きな成長エンジンとなる。 東南アジアでは年 100 店増やすのが一番の理想だ」と柳井氏はかねて東南アジアの有望性を説いてきた。 人口約 6 億人を抱える東南アジアは経済成長に伴い中間層が厚みを増す。 安いだけの服で済ませていたのがデザインや質を求めるようになり、衣料市場は拡大が続く。 英調査会社ユーロモニターによると 17 年の東南アジア市場は 330 億ドル(約 3 兆 8 千億円)と 10 年前の 2 倍近くに増えた。 ファストリの果瀬聡グループ執行役員は「フリースが大ヒットした 1998 年の直前ぐらいの日本の状況に似ている」と語る。 東南アジアを、拡大が続く中国に次ぐ成長市場とする考えだ。 ユニクロは世界では「ZARA」を展開するインディテックスや H & M を追うが東南アジアでは先行する。 ユーロモニターの調べでは域内市場シェアのトップはユニクロの 2.1% で、H & M の 1.4%、インディテックスの 1.2% と続く。 H & M は本拠地の欧州ではインターネット通販に押されるなどで売り上げが伸び悩む。 不振店閉鎖に動き、8 月末にはドイツやオランダなどの店舗数が純減となった。 対照的に東南アジアでは積極出店しており、ユニクロが 19 年に進出を予定するベトナムには一足早く 17 年に 1 号店を開いた。 ユニクロと似た価格帯だが、ユニクロが定番のデザインを豊富にそろえビジネス向けのジャケットやパンツも扱うのに対し、H & M はトレンドを反映した、よりカジュアルな服が多いとのイメージが定着している。 インディテックスは都市部に集中出店する。 2 社より価格帯が高いこともあり直接の競合を避ける。 欧州などで成功した「プル & ベアー」、「ベルシュカ」といった他ブランドもマレーシアやタイに順次展開している。 競合より店舗数は少ないがネット販売に積極的。 店で商品を受け取れるようにするなどのネットとの融合も進めフィリピンやインドネシアではネット販売を始めていないユニクロの先を行く。 年 4% 拡大続く 東南アジアの衣料市場は今後も年率 4% 前後の成長が続く見通し。 パイは広がり続け「まだ顧客を奪い合うような競争の段階ではない(果瀬氏)」とユニクロはみる。 各社に共通する課題の一つが店の運営などにかかわる人材の確保・育成だ。 今後地方都市にも店舗網を広げる上で物流もネックだ。 特にフィリピンやインドネシアのような島国では、効率的な物流網構築が求められる。 (マニラ = 遠藤淳、東京 = 原欣宏、nikkei = 10-5-18) ユニクロ新アプリ「AI スタイリスト」めっちゃ感動! 自分に合った超理想的コーデ提案! 日本最大級のファストファッションブランドであるユニクロ。 運営元であるファーストリテイリングの 2018 年 8 月期第 3 四半期決算によれば、国内ユニクロ事業の売上収益は前年同期比 7.8% 増の 7,044 億円、営業利益は同 29.6% 増の 1,200 億円と、その業績に衰える気配はない。 そんなユニクロは以前より、商品の在庫確認やデジタルチラシの閲覧などができる「ユニクロアプリ」をスマートフォン向けにリリースしていたが、7 月 11 日、新たなオリジナル機能を追加した。 それは「UNIQLO IQ」と命名された、お買い物アシスタントサービス。 「LINE」のような無料対話アプリ感覚で AI (人工知能)とチャットしながら、自分に合ったコーディネートを見つけられるというものである。 これが、さながら "AI スタイリスト" だと話題になっているのだ。 昨年 9 月の段階で約 15 万人のユーザーを相手に試験運用を開始しており、今年の春には正式に公開する予定だったという。 しかし、AI のさらなる精度向上を目指し、7 月まで先延ばしになっていたとのことである。 UNIQLO IQ は誰でも無料で利用できるが、その満足度はどれほどのものなのか。 タレントのスタイリングや、ファッションコラムの執筆などを手がけている本職のスタイリスト・森田文菜氏に、UNIQLO IQ を実際に使ってみた感想を聞いた。 企業目線とユーザー目線、双方からレコメンド UNIQLO IQ は、ユニクロアプリのホーム画面の下部にある「IQ で探す」という箇所をタッチすることで起動する。 手始めにメニューから「おすすめコーデ」を選ぶと、性別を男性で登録していた筆者には、「涼しくて快適! 夏のショートパンツスタイル」が 9 種類リストアップされた。 まず、これらのコーディネートを森田氏はどうとらえたのか。 「UNIQLO IQ が提案するコーディネートは、当然ですがすべてユニクロの商品で構成されており、どのアイテムもベーシックです。 ですから、"ダサすぎずオシャレすぎない" コーディネートになっており、ハズレはないと感じました。 数も豊富で、これらはユニクロの公式サイトやアプリからもアクセス可能な『STYLING BOOK』というページから引用されています。 そのアイテムには何を組み合わせればいいか、関連するスタイリングの写真を見ながら検討できるわけです。 このような提案の仕方は、今回の UNIQLO IQ のリリースとあわせ、近年ユニクロが特に力を入れている部分だという印象です。 ほかには、『きれいめ』、『カジュアル』、『オフィス・出張』、『デート』といった具合にジャンル別のコーディネートを表示してくれるのも助かりますし、気になったアイテムがあれば、スマートフォンの位置情報を利用して近隣店舗の在庫を調べることもできます。 出先で暇になってしまったときなども、UNIQLO IQ で自分に合うアイテムを探してすぐに買いに行けますから、時間の有効活用になるのではないでしょうか。(森田氏) 」 では、与えられた選択肢ではなく、ユーザー独自のキーワードを UNIQLO IQ に伝えた場合の反応についてはどうだろうか。 「UNIQLO IQ は、ユニクロから一方的にコーディネートを提案するだけでなく、ユーザーの商品レビューも取り入れています。 これは一例ですが、UNIQLO IQ に『暑い』と話しかけたら『涼しい、とお客様コメントいただいている商品はいかがでしょう』と返ってきて、機能性インナーの『エアリズム』シリーズなどが紹介されました。 つまり UNIQLO IQ では、ユーザーの商品レビューがたまればたまるほど、自分が理想とするアイテムに出会いやすくなると期待できるのです。 操作のレスポンスも速いですし、現時点では、これといってケチをつけるところが思い当たりません。 むしろ、時間が経つにつれて機能が改良されていく一方になりそうです。(同) 」 これまでに蓄積された商品レビューは、ユニクロにとってもユーザーにとっても、貴重な財産となっているようである。 "A Iスタイリスト" のさらなる実力を測るべく、筆者が試しに「ぽっちゃり」と入力したところ、これを UNIQLO IQ は「体型をカバーできる」と置き換え、ゆったりめのトップスを推薦してきた。 たとえ生身の人間には相談しにくいようなファッションの悩みでも、UNIQLO IQ が相手なら気兼ねしなくて済むのは、非常に大きなメリットだといえそうだ。 ラッキーカラー占いなどの女性ウケしそうな機能も充実 UNIQLO IQ はグラフィック T シャツやジーンズ、ギフトに特化した検索機能なども備えており、これらは試験運用を経て新たに加わったものだが、森田氏いわく、ほかにも高く評価している新機能があるという。 「UNIQLO IQ には『今日のラッキーカラー』というユニークな機能があり、私が参加したメディア向けの発表会でも話題になっていました。 UNIQLO IQ が星座占いによってラッキーカラーを教えてくれ、そのカラーのアイテムをピックアップしてくれるのです。 男性はあまり関心がなかったとしても、女性のなかには占いが好きだという人もいるでしょう。 なお、これもどちらかというと女性向けの機能だと思うのですが、雑誌の名前を打ち込むと、その雑誌に 1 カ月以内に掲載されていたアイテムを教えてくれる機能もあります。 どの雑誌でどのような服が着られていたかを気にする人は多いですから、対応する雑誌がこれから増えていくと UNIQLO IQ はますます便利になりそうですね。(同)」 実用性はもちろん、占いのようなオマケ要素まで兼ね備えた UNIQLO IQ は「さすがユニクロ」というべき仕上がりなのだろう。 最後に、森田氏があえてリクエストするなら、UNIQLO IQ に何を望むかを聞いた。 「先ほども説明したように、あくまでもユニクロは、ベーシックなアイテムを取り揃えたブランドです。 ただ、それでもオシャレを楽しみたいというユーザーに対し、たとえばモード系の着こなしを UNIQLO IQ が提案してみるようなことがあってもいいのかもしれません。 また、48 時間以内の売上ランキングを表示する機能はすでに実装されていますが、よりリアルタイム性を高めてみるというのも一つの手かもしれませんね。 翌日の気候に適したコーディネートを提案してくれるようなことがあると、UNIQLO IQ は今まで以上に重宝されそうです。 ユニクロアプリには各ユーザーの購入履歴が記録されており、それに基づいたおすすめアイテムを UNIQLO IQ が紹介してくれます。 UNIQLO IQ はチャットのログが上限 10MB まで残りますし、そのときそのときの自分が、どういったアイテムを求めていたのか振り返れるのも面白いところ。 ユニクロのヘビーユーザーにこそ、嬉しいサービスだといえるでしょう。(同) 」 ユニクロは UNIQLO IQ のプレスリリースで「お客様にお使いいただくほど、賢くアップデートしていきます」と謳っており、AI という新技術を採用した意義はそこにあるはずだ。 この "AIスタイリスト" がユーザーたちの手により、どこまで進化を遂げることになるのか、この先も動向を追っていきたい。 (A4studio、Business Journal = 10-1-18) グーグルとファーストリテイリングが協業 - - 全社デジタル化を加速 米 Google 傘下の Google Cloud とファーストリテイリング(ファーストリ)は 9 月 19 日、人工知能 (AI) や機械学習などの先端技術の業務活用に向けて協業すると発表した。 ファーストリ 代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、「製品の企画、製造、流通、販売と顧客の声の全てをデジタルでつなぐことで、『情報製造小売企業』の実現を加速させていく」と語った。 Google Cloud はファーストリとの協業と併せて、AI のビジネス活用に向けた研究開発を顧客やパートナーと共同で推進する「Advanced Solutions Labs (ASL)」を東京に開設することも発表した。 ASL では同社の AI 技術者と顧客らが、実際のビジネスに関わるデータを用いてビジネス課題を解決するための機械学習モデルの開発や実装、トレーニングといった場を提供する。 ファーストリも ASL をベースに Google Cloud との協業を実行していくという。 ファーストリは、2017 年にデジタルを活用した全社規模の改革を目指す「有明プロジェクト」をスタートさせ、今回の Google Cloud との協業はその一環となる。 記者会見で柳井氏は、「顧客は情報を通じて商品を購入する。 われわれは商品とともに情報を提供してきた。 情報を通じて顧客と一緒に商品を作り上げる『情報製造小売企業』への転換を目指しており、デジタルによって全ての業務、プロセス、従業員が変革し、新しい価値創造の仕事に一丸で取り組めるようにしていく。」と説明。 デジタル変革のイメージについて「例えば、データ分析にリソースの 9 割を割き、残りの 1 割で本来の業務をしているようではいけない。 デジタルを活用してこの比率を逆転させ、本来の仕事に集中していくようなことだ。」と述べた。 Google Cloud 最高経営責任者 (CEO) の Diane Greene 氏は、「世界的に見ても(企業の基幹業務システムの)モダナイゼーションや AI、クラウドへの期待は日本市場が特に強い」とコメントし、日本市場における取り組みとして、Google Cloud Platform (GCP) の大阪リージョン設置による国内での災害対策 (DR) 体制の実現、セキュリティ対策、ASL 東京の開設といった実績を強調した。 グローバルアライアンス & インダストリープラットフォーム部門プレジデントの Tariq Shaukat 氏は、「AI やクラウドに関する技術文書や認定、トレーニングなどの日本語化を進めてきた。 ASL も日本語で利用でき、ASL では日本の技術者とユーザーが一緒に活動できる舞台になるだろう。」と話した。 Google との協業理由について柳井氏は、「われわれが期待する検索や AI、アナリティクスといった全てのテクノロジを持っていること。 また、正直さや美徳、真実といった人間の基本的な感性を備え、若い人の活躍とフラットな組織で変革するといったビジネスの感覚が合う。」と述べた。 また同社は、IT 基盤には Amazon Web Services (AWS) を採用している。 質疑応答でユーザーの立場から AWS と Google のクラウドに対する見解を問われた柳井氏は、「AWS も Google もそれぞれに良い。 どちらか一方が良いということではない。 ただ、常に最適な利用方法を検討しており、理想的には全てがつながることが大事だろう。」と答えた。 (國谷武史、ZDnet = 9-19-18) ユニクロ "縫い目のないウィメンズニット" 「3D KNIT」立体的なシルエット & 美しいドレープ ![]() ユニクロは、縫い目のない「3D KNIT」を 2018 年 9 月 3 日(月)よりユニクロ店舗及びオンラインストアで順次発売する。 ユニクロ、ユニクロ ユーをあわせ、ウィメンズからはワンピース 5 型、セーター 5 型の計 10 型が展開される。 「3D KNIT」は、無縫製で編み上げる日本発の最先端技術「ホールガーメント」の技術を駆使して生まれたウェア。 一着一着くるむように編み上げることで、立体的なシルエットや美しいドレープ感を生み出した。 また、肌にやさしく馴染むようにフィットするので、ストレスフリーで快適な着心地も叶えている。 立ち襟の「モックネックワンピース」は、バストの位置を高く見せてくれ女性らしいシルエットを演出。 特徴的な首元は、まるでネックレスをしているかのようなアイレット ディテールを施して、華やかさをプラスした。 フィット感にこだわった「リブワンピース」は、タートルネックが首元にきれいにフィットし、美しいネックラインを作り出してくれる。 ユニクロ ユーからは、クルーネックのリブセーターが登場。 コーディネートに取り入れやすいベーシックなスタイルで、カラーは選べる全 6 色での展開だ。 (FashionPress = 8-30-18) ◇ ◇ ◇ ファーストリテイリング・島精機製作所の戦略的パートナーシップについて
株式会社ファーストリテイリング(代表取締役会長兼社長 柳井 正)と株式会社島精機製作所(代表取締役社長 島 三博)は、以前より進めております両社の戦略的パートナーシップを強化し、中長期的で包括的なニット商品の開発と技術革新への取り組みを加速いたします。 (株式会社ファーストリテイリング = 7-13-18)
サンフランシスコ空港のユニクロベスト自販機、売り上げは月 100 万円を超えていた
サンフランシスコ国際空港には、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストの "非公式ユニフォーム" であるベストの自動販売機がある。 ツイッターはここしばらく、この話題で大いに盛り上がった。 だが同空港の担当者は、自動販売機の売り上げはジョークではないと我々に語った。 同空港の広報担当官 Doug Yakel 氏によると、ユニクロの自動販売機は月に平均して 1 万ドル(約 110 万円)を売り上げている。 1 着約 50 ドルとして、この自動販売機は月に約 200 着のベストを販売している計算になる。 このベストの自動販売機は、同空港にあるさまざまな自動販売機のうち、最も稼ぎの良い自動販売機のうちの 1 台と同氏は語った。 同空港とユニクロがどのような契約を結んでいるのかは分からない。 「自動販売機で販売される衣料品は初めて。 非常にユニークなものだと思う。」 「サンフランシスコ国際空港には、ベンチャーキャピタルを訪問する人たち向けのベストの自動販売機がある」と、シリアル・アントレプレナーのフランク・ルビエリ氏は、有名な自動販売機の写真をツイッターに投稿した。 ブルーボトルコーヒーのショップからサンドヒルロードにあるベンチャーキャピタルのオフィスまで、テック関係者が集まるところならどこにでも、ベストを着たベンチャーキャピタリストがいる。 サンフランシスコは冷夏で、気温は 15 - 20℃ 程度。 投資家がベイエリアにやって来て、起業家と会ったり、経営会議に参加したり、交渉したりする時に、ベストは欠かせない。 (Melia Robinson、BusinessInsider = 8-2-18) ファストリが「ルメール」の株 49% 取得、契約延長も ファーストリテイリングが、ユニクロのパリ R & D センターを率いるアーティスティックディレクタークリストフ・ルメール (Christophe Lemaire) とのパートナーシップ契約を 5 年間延長することを発表した。 同社は今回の契約の継続とともに、ルメールとサラ・リン・トラン (Sarah Linh Tran) によって設立された仏ブランド「ルメール (LEMAIRE)」の株式 49% を取得。 ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、「新しいレベルでのファーストリテイリングとの関係が、ルメールブランドのさらなる成長と発展にも役立つことを願っています」とコメントしている。 (FashionSnap = 7-24-18) ファーストリテ、9 - 5 月期は 32% 増益 海外寄与・中国事業に自信 [東京] ファーストリテイリングは 12 日、2017 年 9 月 - 18 年 5 月期(国際会計基準)の連結営業利益が前年同期比 32.3% 増の 2,388 億円になったと発表した。 海外ユニクロ事業が 65% 増益となり、全体の増益に大きく寄与した。 また、米中貿易摩擦の影響が懸念される中国事業についても、成長に自信を示した。 <営業利益、海外ユニクロが国内ユニクロに迫る> 海外ユニクロ事業の 9 - 5 月期の営業利益は 1,124 億円となり、国内ユニクロ事業の 1,200 億円に迫る水準となった。 海外ユニクロ事業の 3 - 5 月期は、計画を大きく上回る増収増益。 EC (電子商取引)を含む中国や韓国、東南アジア、オセアニアなどが軒並み好調に推移。 米国事業の赤字幅も縮小した。 岡崎健グループ上席執行役員・CFO (最高財務責任者)は会見で「米国事業は来期の黒字化を目指す」と述べた。 国内ユニクロ事業の 17 年 9 月 - 18 年 5 月期の累計既存店売上高は前年同期比 7.5% 増。 3 - 5 月期は 5.4% 増と伸びた。 ただ、直近をみると、5 月は 2.7% 減、6 月は 4.0% 減と 2 カ月連続でマイナスとなっている。 7 月も天候不順により、計画を下回るトレンドが継続しているという。 夏物を中心に値引率の拡大を見込むほか、秋物の早期立ち上げに伴う物流費増加、広告宣伝費の増加から、6 - 8 月期の国内ユニクロ事業は減益になる見通し。 ジーユー事業は苦戦が続いている。 3 - 5 月期の既存店売上高は計画を下回り減収減益となった。 売り上げが計画を下回ったことで、値引き販売で在庫処分を進めたため粗利益率が低下、経費比率が上昇した。 改善策として、増え過ぎた品番数の絞り込みやデジタル化の推進、マーケティングの強化などを進める方針。 18 年 8 月期の連結売上高は前年比 13.3% 増の 2 兆 1,100 億円、営業利益は同 27.5% 増の 2,250 億円の見通しを据え置いた。 トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト 14 人の営業利益予測の平均値は 2,287 億円となっている。 9 - 5 月期は営業収益、営業利益ともに計画を上回っているものの、ジーユー事業が計画を下回っていることや、国内ユニクロ事業で在庫処分を進めることなどから、通期の業績予想は据え置いた。 <米中貿易摩擦、サプライチェーンは対応可能> 激化の様相を見せている米中貿易摩擦の同社への影響について、岡崎 CFO は、サプライチェーンと中国市場という 2 つの視点があると指摘。 このうち、サプライチェーンについては「影響は限定的。 大きな問題にならない。」とし、仮に中国から米国が輸入するアパレルに高関税が課せられたとしても、「中国以外の生産量も能力も高まってきている。 仮にそういう問題が発生しても、一定の時間がかかるかもしれないが、対応していける。」と述べた。 また、中国の消費への影響については「中国の景気にどう影響するかは我々が決められない。 注視していく。」とした上で、「足元、中国市場は堅調だし自信を持っている。 浮き沈みはあっても中国市場に対して楽観的だし強気。 中国の人口、成長のポテンシャルを考えれば、まだまだ成長できる。」とした。 (Reuters = 7-12-18) テニス王者フェデラーがユニクロのウエアで登場 【ウィンブルドン = 岡部伸】 テニスのウィンブルドン選手権男子シングルスで最多 8 度優勝のロジャー・フェデラー(スイス)が 2 日、日本のカジュアル衣料品店「ユニクロ」のウエアを着てセンターコートで行われた 1 回戦に快勝、観客席から歓声が上がった。 フェデラーはユニクロを展開するファーストリテイリングと新たに「グローバルブランドアンバサダー」契約を締結。 これまで、米スポーツ用品のナイキのウエアで長年プレーしてきたため、選手の間でも「衝撃が走った(西岡良仁)」という。 フェデラーは、ファーストリテイリングを通じて、「この世界にポジティブなインパクトをもたらしたいという強い情熱を持っており、両者の創造性あふれるたゆまぬ努力が合わさり、実を結ぶことを楽しみにしています」との談話を発表した。 ユニクロは現在、錦織圭らにウエアを提供。 フェデラーとの契約年数は複数年のもよう。 契約額は不明だが、年 10 億円以上とされる。 フェデラーは四大大会で優勝を重ね、史上最高のテニスプレーヤーとの呼び声も高い。 (sankei = 7-2-18) ユニクロ、海外ブランドと組み好循環 課題の高級感を向上 「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが世界の有名ブランドやデザイナーとの「コラボ商品」を相次ぎ打ち出している。 ユニクロは課題のラグジュアリー感を打ち出すため外部の力を借りる一方、デザイナーにとっても世界で知名度を高めたユニクロと組む利点は大きい。 コラボ品頼りの懸念もあるが、顧客のすそ野を広げ悲願の「世界一」を狙う上で欠かせない商材になりつつある。 「一部商品はすでに品切れました。」 都内のユニクロ大型店で働く販売員は苦笑いする。 3 月末に発売したフィンランドの人気ブランド、マリメッコとのコラボ品は発売前から話題を呼んでいたが、実際の売れ行きも順調。 大胆で彩り鮮やかなデザイン柄のワンピースやかばんを求め消費者が殺到したのだ。 「日常生活をより豊かにする点を含め、同じ価値観を共有できる。 長年ユニクロのファンだった。」 マリメッコのティーナ・アルフフタ・カスコ最高経営責任者 (CEO) は、初めてユニクロと組んだ理由をそう語る。 ユニクロが海外デザイナーとの協業に乗り出すケースはここ 2 - 3 年で急増している。 5 月にイタリアの高級ブランド「ボッテガ・ヴェネタ」のクリエイティブ・ディレクターを務めるトーマス・マイヤー氏と組んだ商品を発売。 兄弟ブランドの GU (ジーユー)は 1 月までルイ・ヴィトンに在籍したキム・ジョーンズ氏と連携する。 訪日観光客のお土産で知られる T シャツコレクション「UT」も海外デザイナーやアニメとの新作が相次ぐ。 他ブランドやデザイナーとのコラボはスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) が先行していた。 2006 年にマドンナさんと組んだほか歌手のビヨンセさんや元サッカー選手のデービッド・ベッカムさんと協力した商品を打ち出した。 一方、かつてはブランド知名度や高級感で劣ったユニクロは協業を持ちかけても「門前払いされることが多かった(幹部)。」 しかし状況は変わりつつある。 ユニクロの海外店舗数は 17 年に約 1,100 店と 13 年から倍増。 地道なデザイン改善もあり、アジアでは「日本のおしゃれブランド(業界関係者)」との評価も広がる。 UBS 証券の分析によるとフェイスブックの「いいね」の数は 18 年 1 月時点で韓国やマレーシアで H & M やスペイン「ZARA」を上回った。 欧州では一度失敗したが、昨年 9 月に ZARA の本拠地スペインに進出し、今秋には H & M のスウェーデンに出るなど巻き返しを図る。 富裕層向けの商品を手掛ける有名デザイナーにとっても、世界の店舗で商品展開するユニクロの販売力とブランドは魅力。 ストリートカルチャーが最近のファッショントレンドになるなど、高級ブランドでも「非日常」だけでなく「日常」への意識が高い。 知名度の高いユニクロと組み日常のファッションに領域を広げたい思惑もある。 こうしたビジネス上の狙いに加え、デザイン上の親和性もコラボが相次ぐ理由だろう。 伊藤忠ファッションシステム(東京・港)の中村ゆい氏は「シンプルなユニクロの服であれば、デザイナーの世界観やブランドが毀損される可能性が少ない」と指摘する。 日ごろから辛口コメントが多いファストリの柳井正会長兼社長だが、18 年の社員向けメッセージで「私たちの時代が、ついに来ました」と述べた。 理念に掲げる「ライフウエア」への共感が広がっていることに自信を深めている印象を持つ。 もっとも全てのコラボ商品が成功するわけでない。 ジル・サンダー氏と組んだ「プラスジェイ (+J)」は約 2 年で終了。 昨年の秋冬から売り出した英ブランド「JW アンダーソン」などの商品の一部は、最終的に値引き販売を迫られた。 ユニクロの強みはシンプルなデザインや機能性を追求し、手ごろな価格で商品を提供すること。 コラボ商品でおしゃれ好きの消費を取り込む一方、独自商品が埋没する恐れもある。 セミオーダーや IC タグなど消費者の好みを商品開発に生かす取り組みも進めており、「コラボ + 独自商品」の両輪確立を急ぐ。 (原欣宏、nikkei = 4-14-18) |