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まさに地獄! 潜入調査で見たユニクロ下請け工場の実態 伊藤和子
香港を拠点とする NGO・SACOM (Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour) は、東京に本拠を置く国際人権 NGO ヒューマンライツ・ナウ (HRN)、中国の労働問題に取り組む Labour Action China (中国労働透視)との共同調査プロジェクトの一環として、2014 年 7 月から 11 月にかけて、日本のブランド「ユニクロ」の下請け・素材工場への潜入調査を含む、事実調査を行った。 調査対象となったのは、ユニクロの下請企業の Dongguang Luenthai Garment Co. Ltd. (以下 Luenthai) の工場と素材提供先である Pacific Textiles Holding Ltd. (以下 Pacific) の工場であり、いずれの工場でも、労働法規への明らかな違反や労働者に対する極めて過酷な労働環境の実態が明らかとなった。 SACOM は調査報告書を今年 1 月に世界に向けて公表、日本でも大きな話題となった。 SACOM 調査で明らかになった問題点は以下のとおりである。 Pacific および Luenthai は基本給をそれぞれ月額 1,550 人民元及び 1,310 人民元としているが、これは最低賃金であり、平均的賃金レベルよりはるかに少なく、時間外労働によって生活賃金を稼ぐことが常態化している。 そして、両工場の時間外労働数は驚くほど長い。 時間外労働時間数は、 Pacific で月平均 134 時間、Luenthai で月平均 112 時間の時間外労働と推計されている。 中国労働法では 36 時間を超える時間外労働は認められておらず、明らかな法律違反である。 いずれの工場の労働環境も、大変劣悪・危険であり、労働者の健康と安全に深刻なリスクをもたらしている。 例えば、Pacific 工場では排水が作業現場の床全体にあふれている。 床が滑りやすいことにより、転倒し、身体不随になるような労働災害を引き起こす可能性があるし、機械の漏電のリスクも高い。 2014 年 5 月には機械からの漏電で労働者が死亡しているとの報告もあったという。 さらに、深刻なのは、工場内の異常な高温である。 工場の夏季の室内気温は約 38℃ にまで達しているが、エアコンはない。 そのため、男性の多くは上半身裸で作業をし、女性も汗だくだという。 聞き取り調査に答えた労働者は「あまりの暑さに夏には失神するものもいる」、状況は「まるで地獄だ」と話した。 染料部門では、染料タンクは運転時に非常に高温になるため、室温は 38 - 42℃ にまで達し、作業員は 100 - 135℃ となる染料タンクのそばに立って、タンクから重い生地を取り出さなければならないが、囲いやゲートはなく、労働災害による怪我のリスクが増加している。 さらに、染物部門では異臭を伴う有害な化学物質が使用され、労働者は強い臭気のなかで作業を余儀なくされている。 化学薬品は無造作に工場内に置かれ、換気の設備はなく、健康被害を防ぐための措置も講じられていない。 工場側は労働者にマスク、グローブ、専用スーツなどの防護キットを必要に応じて提供すると言うが、染色作業場の室温は 40 度という高温に達するため、これを使用することは事実上不可能である。 化学物質への曝露による労働者への健康影響が深刻に懸念される。 Pacific では、労働者を処罰するため、58 種類の規則が制定されており、そのうち 41 の規則は罰金制度を含んでいるという。 罰金制度は労働者と商品の質をコントロールする方法として頻繁に使われる。 たとえば、編物のフロアでは、製品の品質を管理維持するために、数々の罰金が用いられており、商品に品質上の欠陥が見つかったり、編み機によごれがあったりした場合は、その労働者に一日の生産ノルマを達成した際に出される割増金から罰金が差し引かれるという。 Luenthai でも、罰金制度は罰として利用されている。 しかし、中国の労働契約法上、このような処罰は認められていない。 2 つの調査対象となった工場には、労働者が、労働条件におけるさまざまな問題に関して要請したり、苦情を申し立てることができるような機関やメカニズムが何ら準備されていない。 Pacific では、組合の委員長は管理部門の人間が兼任しており、Luenthai においては、工場レベルにおいて労働組合は存在しない。 しかし、いずれも労働者が声をあげる場となり得てはいない。 以上の調査結果を踏まえ、SACOM および HRN は、製造業者および、(株)ファーストリテイリングに対し、以下のことを求めた。 製造業者 2 社に対する勧告 : ・中国労働法に基づき、最低でも週に 1 日以上の休日を労働者に与え、月の時間外労働時間数を 36 時間以内におさめること (株)ファーストリテイリングに対する勧告: ・製造業者に対して適切な援助をし、労働環境の改善を促すこと 経済のグローバル化のなかで、欧米や日本企業が人件費の安い海外に製造拠点を移し、アジアが生産工場となる動きが進んでいる。 こうしたなか、海外の労働現場で児童労働、過酷な搾取的労働が発覚する事例も後を絶たない。 特にファストファッションの低価格競争が激化した縫製産業では、2013 年のバングラデシュの「ラナプラザビル崩落事件」が象徴する通り、海外下請け工場での過酷な労働が問題となっている。 下請け企業を使ってビジネスをしている企業は、下請けを通じて利益を得ているのであり、下請け工場の人権問題に負の影響が起きた場合、何ら責任を負わないとはいえない。 「CSR と人権」が叫ばれているが、自社、そして下請け労働者の人権・特に労働法規の遵守は企業の人権に関わる義務の最も重いものである。 今回のユニクロの調査結果は、日本企業の海外進出に伴う生産拠点で人権侵害が起きることに警鐘を鳴らす結果となった。 これはファーストリテイリングの企業活動の結果発生した人権侵害事例であり、「下請けの問題」として無視することは許されない。 国連の人権理事会が 2011 年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」 によれば、企業には、サプライチェーンにさかのぼって人権侵害に関し相当の注意義務を負うという「デュー・ディリジェンス義務」が課され、さらに、「企業は、負の影響を引き起こしたこと、または負の影響を助長したことが明らかになる場合、正当なプロセスを通じてその是正の途を備えるか、それに協力」することが求められている。 ファーストリテイリングには、国連の指導原則に従って適正な解決を期待したい。 1 月 15 日、ファーストリテイリングは、SACOM 調査報告書で指摘された問題のいくつかが事実であることを認め、改善を進めるとの方針を公表した。 さらに NGO 側の申し入れを受けて、1 月 19 日、ファーストリテイリングと SACOM、HRN の協議が、来日中の SACOM 代表者の参加のもと、東京で実施された。 そこで NGO 側は、 とともに、再発防止のための実効的なモニタリング・システムの確立実施を求めた。 NGO 側は、今回の事態を受けて、ファーストリテイリング社が 2 工場に行う調査結果を公表するよう求めた。 また、ファーストリテイリング社が、中国におけるすべての生産拠点に対する調査も実施するとしている点は評価できるが、その結果についても公表してほしい、そして中国における生産拠点すべてを公開してほしいと要請した。 また、第三者機関による査察は、監査法人等への委託ではなく、NGO によるモニタリングを認めるよう求めている。 さらにこうした劣悪な労働環境の根本原因が、ファーストリテイリング側の発注価格の低さや厳格な納期要求等に基づく構造的な問題なのか否かを分析し、そうであれば取引のあり方そのものを見直し、安全で人間らしい労働環境を保障しうるだけの適正価格でのオーダーをすることも求めた。 日本を拠点とするグローバル企業の生産拠点での人権侵害が問われた本件について、ファーストリテイリングが、他の企業に範を示す改善を実現できるか否か、その行方をウォッチし、ダイアログを重ねていきたい。 (iRonna = 2-10-15) 「ユニクロ」パリに開発拠点 最先端ファッション取り入れへ 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、今年中に商品の研究開発センターを仏パリに開設することが分かった。 英ロンドンへの設置も検討している。 欧州の最先端ファッションをいち早く取り込んでブランド力を高め、「ZARA」、「H & M」など世界のアパレル大手に対抗する狙い。 3 日付の産経新聞が報じた。 パリセンターの開設は今年の春か秋になる見通し。 研究開発拠点は東京、中国・上海、米ニューヨークに続く 4 カ所目。 現地のデザイナーや、デザインを型紙に起こすパタンナーを中心に、20 人程度を採用、パリのファッション動向やライフスタイル、新素材の情報などを調査し、商品のコンセプト、デザインを決める。 開発した商品は、世界 16 の国・地域に展開する約 1,500 店での販売を視野に入れている。 ファストリは 2017 年 8 月期までに、売上高を現在の 2 倍にあたる 2 兆 5,000 億円まで伸ばす目標を掲げており、海外事業の競争力強化を急いでいる。 (zakzak = 2-3-15) ユニクロ、中国下請けで違法労働 月 300 時間、是正へ 衣料品大手ユニクロを展開するファーストリテイリングは 15 日、中国の二つの下請け工場で、月あたり約 300 時間の違法な長時間労働が行われていたことが分かり、うち一つの工場では生産計画を見直すと発表した。 潜入調査をした香港の労働団体「SACOM」が公表した指摘を一部認めた。 手ごろな価格の源泉である中国での「負の側面」が明らかになった。 違法な長時間労働が明らかになったのは、中国広東省にある生地工場と縫製工場の 2 カ所。 昨年 7 - 11 月の月あたりの平均的な労働時間は、両工場とも 300 時間前後に及んだ。 時間外労働はともに 100 時間を超え、上限の月 36 時間を大幅に上回っていた。 ファストリは違法性を認めており、労働時間を減らせるよう、縫製工場での生産計画を見直す。 ユニクロ全体の生産量に大きな影響はないという。 また、縫製工場では、労働時間の一部はコンピューターではなく手書きで記録されていた。 この点について SACOM は「監査を免れるため」と指摘し、ファストリは「調査中」としている。 SACOM は、製品に問題があった場合に、従業員から違法な罰金を取る制度が両工場にあったと指摘。 罰金の額は 50 - 500 0人民元(約 1 千 - 1 万円)という。 ファストリは「従業員にそのように受け止められる事例があった」として調べる。(北川慧一) ■ 国際企業、相次ぐ労働問題の表面化 「あまりの暑さに失神する者もいた。 まるで地獄のようだ、と聞いている。」 SACOM のプロジェクトオフィサーを務めるアレクサンドラ・チャン氏らは 15 日に都内で記者会見し、そう指摘した。 高温になる機械のそばで、過酷な作業を強いられている従業員がいたという。 ファストリの新田幸弘グループ執行役員は「問題点を早急に是正するよう、下請けの会社に強く要請する」とのコメントを発表した。 国際企業は、調達先で起きた社会問題も責任を負うべきだ、という流れが強まっている。 ファストリは 2004 年に調達先の労働実態について基準を設け、違法労働などをしないよう定期的に監視してきたが、今回の事態を防げなかった。 中国の労務問題に詳しい弁護士は「中国の労働環境は改善しつつあるが、下請けにとって大量発注の契約は奪い合い。 安く引き受けると、長時間労働や残業代未払いといった問題につながる。」と指摘する。 中国の生産現場ではすでに、労働問題が相次いで表面化している。 10 年には、米アップルなどから生産を請け負う台湾・鴻海精密工業傘下のフォックスコンの深セン市にある工場で 10 人以上が相次いで飛び降り自殺する事態が起きた。 同社は 12 年、多くの法令違反があることを米国の公正労働協会に指摘された。 昨年も、米マイクロソフトやヒューレット・パッカードや伊グッチといった有名企業の生産を請け負う工場で、過度な残業などの問題があったと相次いで報じられた。(平井恵美、北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-16-15) ◇ ◇ ◇ 【ユニクロ】 中国下請け工場で過酷労働、賃金の過少払いなど法令違反が指摘される 香港の労働団体の SACOM は 1 月 11 日、ファッションブランド「ユニクロ」の製造を請け負う中国企業 2 社の労働状況に関する報告書を発表した。 報告書によると、工場では労働時間や賃金について労働法に違反する実態が見られたうえ、異常に高い気温やフロア全体を流れる排水などで正常ではない作業環境となっていた。 報告書は、ユニクロを運営するファーストリテイリングに対し、製造業者を適切に援助し、労働環境の改善を促すことなどを勧告している。 この調査は、SACOM の調査員が 2014 年、ユニクロにニット生地とアパレル製品を供給する主要な下請企業の Pacific Textile Ltd.(以下、Pacific)と、Donguang Luenthai Garment Co. Ltd.(以下、Luenthai)の中国の工場に潜入。 一般労働者として働きながら工場の実態を中心に調査を行った。 日本を拠点に活動する国際人権 NGO のヒューマンライツ・ナウも調査に協力した。 報告書に掲載された主な内容は次の通り。 ■ 最低賃金で休みは月数日、賃金を少なく支払うなどの法令違反も Pacific と Luenthai の基本給は広東市と東莞市における最低賃金だった。 1 人あたりの 1 日の平均労働時間は 11 時間。 この状態で Pacific では月 28 日、Luenthai では 26 日、働いていた。 1 カ月を 30 日で計算すると、1 月あたりの休みは Pacific が 2 日、Luenthai では 4 日しか無いという状況だ。 労働法では時間外労働は月に 36 時間を超えてはならないと規定されているが、Pacific では 134 時間、Luenthai では 112 時間となっていた。 Pacific では「(わたしの)時間外労働時間は 119.5 時間です」と書かれた「時間外労働の任意申請書」に署名するよう、要求される労働者もいたという。 さらに Pacific では、休日労働時の時間外労働に対する残業代は正しく支払われていなかった。 中国の労働法で定められた休日労働時の時間外賃金は、基本給の 2 倍で計算されなければならないが、Pacific では 1.5 倍で計算されていた。 ■ 劣悪な作業環境 Pacific の織物工場のフロアでは、夏季の室内気温は約 38 度にまで達するが、エアコンはない。 聞き取り調査に答えた労働者は「あまりの暑さに夏には失神するものもいる」、状況は「まるで地獄だ」と話した。 企業からは 1 日 7 ドル、月に 100 - 150 ドルなどの高温手当てが支払われる場合もあるが、労働者は「実際無意味に等しい」と言う。 また、Pacific の染め部門では、作業場全体に排水があふれている。 生地を染めるために様々な種類の化学物質や溶剤、染料などが使われており、強い刺激臭が漂っている。工場側は労働者にマスクやグローブ、専用スーツなどの防護キットを提供しているが、実際に使用するかどうかは労働者に任される。 作業場の室温は 40 度という高温に達するため労働者は着用を選ばず、結果的にはこうした防護キットが全く使われていない。 さらに、染めに利用される化学物質などは整理整頓されておらず、毒性のある化学物質が保管されている部屋にも排水が流れ込んでいるという。 ■ 厳しい罰則システム 品質を満たさないような商品を生産した場合などは、労働者には罰金制度が課される。 Pacific では、商品に品質上の欠陥が見つかった場合のほか、織り機によごれがあったりした場合などにも罰金がある。 また、1 日の労働時間が長いにもかかわらず、食事休憩以外の機会に昼寝をとった場合にも、罰金となるという。 Luenthai では、労働者が 8 分遅刻した場合は、2 時間分の給料が差し引かれる。 また、品質検査のためにユニクロが工場を視察する場合もあるが、このとき何か少しでも問題があった場合は、ユニクロは製造責任者を追及するが、その製造責任者はすぐに労働者たちを責める。 その際にも罰金が差し引かれる。 ■ 機能しない労働組合。暴力団によるストライキの鎮圧も このような労働環境の改善は、本来ならば労働組合を通じ企業に改善を求めることができるが、2 つの工場には、労働者が企業側に意見を提出したり苦情を申し立てることができるような機関やメカニズムが用意されていない。 Pacific では労働組合の組合長を管理部門長が兼任しており、様々なレジャーや福利厚生を体系化するだけの組織に留まっている。 Luenthai においては、工場レベルで労働組合が存在しない。 Pacific では仕上げ工程部署の労働者たちが待遇改善を求めて小規模なストライキを行ったことがあった。 しかし、企業側側は暴力団を雇い、彼らに暴行を加えるなどしてストライキの動きを鎮圧させようとしたという。 ■ ファーストリテイリングの対応は? なお、ヒューマンライツ・ナウが 2014 年 12 月、この報告書をファーストリテイリング宛に送付し事実関係についての確認を求めたところ、2015 年 1 月 9 日、ファーストリテイリングからメールで回答があったという。 その内容についてヒューマンライツ・ナウは「同社は事実関係について、同年 1 月 9 日付電子メールにて『ごく一部ではありますが報告書の内容に誤解ではないかと思われる部分もございました』とするものの、それを越えて事実関係の訂正要請はありませんでした」と記載している。 ファーストリテイリングは 11 日、SACOM の報告書を受け、「中国のユニクロ取引先縫製工場および素材工場における労働環境に関する指摘について」とする文章を発表。 2014 年 12 月にヒューマンライツ・ウォッチから報告書の提供を受けて、すぐに当該 2 工場に対して独自の調査を実施したことを明かした。 調査の結果、労働時間については報告書のとおりであり、同社は直ちに下請け企業に対して是正を強く要請。 今後 1 カ月以内に改善状況の確認を行い、改善が認められない場合には、取引の見直しを含め厳正に対処するとしている。 一方で、報告書の中で「一部事実と認められなかった点」や、SACOM との間で「認識に相違がある点」もあるとしており、引き続き下請け企業と協力して調査をすすめるとともに、SACOM との早期の面会も考えているという。 ファーストリテイリングの広報担当者は 13 日、ハフポスト日本版の取材に対し、「年末から 1 月 9 日までに、ヒューマンライツ・ナウ側とも何度もメール等でやりとりをしたが、あいにく都合がつかず面会することはできなかった」と話し、1 月 9 日に一方的にメールを送ったわけではないとしている。 また、「報告書は重く受け止めた。 幅広い内容に当たるため、調査はまだ途中段階だ。 一つ一つクリアにして、分かり次第、報告したい。」と担当者は述べた。 (The Huffington Post = 1-13-15) ファストリ、円安は「晴れのち向かい風」 衣料品専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが 8 日の記者会見で、円安に関連する 2 つの見解を示し話題となっている。 1 つは「対ドルで 1 円円安になると連結営業利益が年間 10 億円程度押し上げられる」という円安メリットについて言及したもの、もう 1 つは「急激な円安による原価上昇などを受け、順次環境を見ながら商品を値上げしていかざるを得ない」という今後の負の影響について言及したものだ。 翌営業日は上場来高値こそ更新したものの、そこからは上値が重い展開。 ユニクロにとって円安はひとまずプラス面が顕在化しているが、長い目でみれば向かい風になるリスクも秘める。 8 日発表した 2014 年 9 - 11 月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比 64% 増の 688 億円だった。 アナリスト予想の平均(QUICK コンセンサス)を 50% 以上上回る好決算となったが、好サプライズを生んだ最大の要因は「円安の影響(JP モルガン証券の村田大郎シニアアナリスト)」と各関係者とも口をそろえる。 円安は海外のユニクロ事業にとって追い風だ。 中国や韓国は現地通貨ベースで既存店売上高が 2 ケタ伸び、そこからさらに円換算ベースの収益が膨らんだ。 海外ユニクロの営業利益は前年同期比 57% 増の 243 億円と国内ユニクロの営業利益の半分の規模に成長した。 会社の計画では数年内に海外売上高が国内を逆転する見通しだ。 会計上の利益も大きく押し上げられた。 海外店舗における商品仕入れに関連した立て替え金などの差益が約 60 億円発生したほか、営業取引以外の外貨建て資産の評価益も膨らんだ。 こうした影響を考慮し岡崎健最高財務責任者 (CFO) は「1 円円安で年間 10 億円程度押し上げ」という「為替感応度」を示した。 しかし、あくまで屋台骨である「国内ユニクロにはマイナス(岡崎 CFO)」という点は要注意だ。 衣料品など輸入商品の多い国内小売業において円安進行は原価上昇につながるとされる。 ファストリも中国や東南アジアの協力工場で衣料品を生産しており、ネガティブに働くのは同じ。 比較的長い期間で為替予約をしているため他社に比べれば急激なコスト増を抑えられるものの、将来的には原価上昇は避けられず「商品を値上げしていかざるを得ない(岡崎 CFO)」状況にある。 国内ユニクロは利益の半分以上を占める主力事業で、売上高営業利益率は 22% と海外ユニクロ (14%) に比べて高い。 もし値上げの実施で客数が落ち込み採算が取れなくなれば、会社業績も雲行きが怪しくなる。 現にファストリは今シーズンの秋冬商品から同社初の値上げに踏み切ったが、客数減が続いている。 人気商品に絞った販売戦略で値引き販売を抑制し、客単価を上昇させることで客数減の影響を補ってはいるものの、再度の値上げや景気動向により客離れがより顕著になれば不透明感は強まる。 会計上は円安メリットを享受できる体制に転換しつつあるが、為替差益は一過性のもので来期以降は見かけの増益幅も小さくなる公算が大きい。 他のアパレル各社と異なり「円安 = 即マイナス」とはならず、短期でみれば「円安 = プラス」だが、中長期でみれば国内ユニクロの成否次第といったところ。 外部環境の天気図はひとまず晴れ間だが、円安が逆風になる懸念は捨てきれない。 柳井正会長兼社長は「15 年も消費環境は厳しい」と語る。 国内ユニクロの月次販売動向で変調がないか、そして値上げについてより踏み込んだ発言がないか、今後も注視した方が良さそうだ。 (竹内宏介、nikkei = 1-15-15) ファストリ、円安で再値上げ検討 9 - 11 月は 64% 増益 ファーストリテイリングは 8 日、衣料品の値上げを検討することを明らかにした。 同社は 2014 年の秋冬商品から 5% 程度の値上げを実施したが、その後も販売は好調だ。 円安が進んで調達コストが上昇しており、もう一段の価格引き上げが必要と判断したとみられる。 同日に発表した 14 年 9 - 11 月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比 64% 増の 688 億円だった。 同社は中国や東南アジアで衣料品を生産しており、円安はコスト面で逆風となる。 岡崎健・最高財務責任者 (CFO) は記者会見で「ぎりぎりまで頑張りたいが、順次環境を見ながら商品を値上げしていかざるを得ない」と述べた。 昨年に値上げした後も客数に大きな落ち込みはなく「売れ残り商品をさばくための悪い値下げが減った(岡崎 CFO)」という。国内ユニクロ事業の既存店客単価は 10% 上昇した。 14 年 9 - 11 月期の売上高にあたる売上収益は 23% 増の 4,795 億円だった。 昨年は 9 月から気温が低下し、秋冬物販売の立ち上がりが早かった。 発熱保温肌着「ヒートテック」の生地に厚みを持たせて保温性を高めた新製品「エクストラウォーム(極暖)」のほか「ウルトラライトダウン」などが伸びた。 海外ユニクロ事業も好調だった。 中国や韓国では既存店売上高が前年同期比 2 ケタ増となり、計画を上回る増収増益だった。 海外ユニクロの営業利益は 57% 増の 243 億円と、国内ユニクロ(511 億円)の約半分まで育ってきた。 円安は業績を下支えする側面もある。 円換算した収益が膨らみ、海外子会社の外貨建て資産に関する為替差益も発生した。 「対ドルで 1 円の円安は営業利益を年間 10 億円程度押し上げる(岡崎 CFO)」という。 15 年 8 月期通期は純利益が 34% 増の 1,000 億円とする従来予想を据え置いた。 進捗率は第 1 四半期だけで約 70% と高いが「業績や為替がより明確になった時点で必要に応じて見直す」という。 (nikkei = 1-9-15) ユニクロ、全豪 OP の錦織モデル発売へ 自然をイメージ ![]() 衣料専門店のユニクロは、スポンサー契約を結ぶ男子テニスの錦織圭選手が来年 1 月の全豪オープンで着るウェアのモデルを、来年 1 月 19 日に発売する。 東京の 2 店と大阪、仙台、福岡の計 5 店舗のほか、オンラインストアで売り出す。 ユニクロが 17 日発表した。 新ウェアはオーストラリアの自然をイメージしたという緑色が特徴。 背中全体をメッシュにして、体温が上がりすぎないように工夫したという。 価格は 3,990 円(税別)で緑と白の 2 種類ある。 男子テニス世界 1 位のジョコビッチ選手や、車いすテニスの国枝慎吾選手の着用モデルも発売する。 (asahi = 12-17-14) ユニクロ、韓国進出 10 年でファッションブランド 1 位に 日本の製造・直売型衣類 (SPA) ブランド「ユニクロ」が THE NORTH FACE (ノースフェイス)や BEAN POLE (ビーンポール)などを抜いて韓国衣類業界で売上首位に立った。 2004 年に韓国法人を設立して韓国に進出してから 10 年でのことだ。 ユニクロの独走が続き、韓国産ファッションメーカーの危機感が大きくなっている。 ユニクロ韓国法人である FRL コリアはこの会計年度(2013 年 9 月 - 2014 年 8 月)に売上高 8,954 億ウォン(約 973 億円)、営業利益 1,077 億ウォンを記録したと 7 日、発表した。 売上高は 1 年前 6,937 億ウォンから 29%、営業利益は 768 億ウォンから 40.2% 増えた。 韓国内で年間売上が 8,000 億ウォンを越えるファッションブランドが登場したのは今回が初めてだ。 昨年売上高 1 位ブランドは YOUNGONE OUTDOOR のノースフェイス(7,168 億ウォン)だった。 だが、今年に入り同社の 7 - 9 月期までの売上高は 2% の増加にとどまり、今年大幅な成長は難しいと予想される。 韓国産ブランドのうち、トップを走る第一毛織のビーンポールも、昨年の売上高は 6,700 億ウォンだったが今年は 6% 程度の増加にとどまる見通しだ。 ユニクロは消費者から「コストパフォーマンスに優れている」との評価を受け、カジュアル、女性服、男性服、児童服など商品群を問わず国内ブランドの領域をものすごい速度で蚕食している。 FRL コリアのホン・ジョンウ広報チーム長は「手軽に着ることのできる普段着から有名デザイナーと提携してつくった個性的なデザインの製品まで、幅広い種類の衣類を競争力のある価格で販売していることが高成長の秘訣」と話した。 韓国内にはイーランドや第一毛織、LF、新世界インターナショナルなど年間売上 1 兆ウォンを越えるファッション企業が少なくないが、通常これらのブランド数は 10 - 30 種類に達する。 ユニクロはたった一つのブランドで年間 9,000 億ウォン近くを販売する強大な「ブランドパワー」を発しているのだ。 ユニクロは流行を追わないシンプルなデザインの製品が多い代わり、素材と機能性を強調している。 10 - 30 代の若者層だけでなく、40 - 60 代まで引き込んでいる秘訣だ。 冬季の主力商品である発熱下着「ヒートテック」は 2008 年の発売以降、韓国内だけで 2,000 万枚以上売れたという。 韓国メーカー等がユニクロの独走を防ぐためには「価格バブル」を取り除く根本的な革新を始めるべきだとの指摘が出ている。 ユニクロ突風以降、韓国内ファッションメーカー等も SPA 事業に飛び込んだものの格差を狭められずにいる。 昨年イーランド「SPAO」の売上高は 1,405 億ウォン、第一毛織「8seconds」は 1,300 億ウォンを記録した。 今年の売上高は昨年より増えたものの、2,000 億ウォンを上回ることができなかったとメーカー等は伝えた。 ユニクロの最近動きとしては、地方攻略を強化している点が目につく。 今年に入って大邱(テグ)、光州(クァンジュ)などの広域市と、全州(チョンジュ)、群山(クンサン)、木浦(モクポ)、儀旺(ウィワン)、金海(キムヘ)、江陵(カンヌン)などに次々と進出した。 ソウルと首都圏を中心に 130 余りの店舗を展開しているユニクロは、来年は地方中小都市中心に 30 カ所前後の店舗をさらにオープンする計画だと伝えられた。 来年は韓国衣類市場初の "売上高 1 兆ウォン" ブランドになるのではないかとの展望が出てきている。 (韓国経済新聞 = 12-8-14) ユニクロ正社員、4 時間勤務も可能に 女性を積極登用 衣料専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は 10 日、正社員に 1 日 4 時間程度の短時間勤務を認めたり、一つの店に複数の店長を置いたりする方針を明らかにした。 子育てや介護をしながら働く女性を幹部に多く登用する狙いだ。 朝日新聞のインタビューに応じた。 管理職に占める女性の割合は現在 1 割強。 柳井氏は、これを 2017 - 20 年に 3 割強に引き上げることをめざす。 執行役員も、現在の 1 割弱から 3 割強に増やす考えだ。 時短勤務でも店長などを経験しやすくし、女性の幹部登用につなげる狙いだ。 具体策としては、1 日の労働時間を 8 時間、6 時間、4 時間から選べるようにする。 現在、子育てや介護中の正社員に 6 時間勤務を認めているが、4 時間勤務を新たに認める。 長時間の勤務が難しくても店長ができるように、一つの店に複数の店長を置くことも検討している。 また、パートやアルバイトで雇っている販売員は正社員への切り替えを進め、社員教育を強化。 その多くが店長の代行を務められるようにする。 (北川慧一、asahi = 11-11-14) ユニクロに席巻された韓国ファッション 売上 1兆ウォン目標 この頃、新規オープンするショッピングモールが成功するためには、ユニクロのような SPA (Speciality store retailer of Private label Apparel) ブランドをテナントとして誘致することが必須だという。 SPA は商品企画から、デザイン、生産、流通、販売を一貫して行うアパレル会社のことで、大量生産と流通の簡素化によって値段を安く抑えているのが特徴だ。 SPA をファストファッションともいう。 ユニクロ、ZARA、H & M の 3 大海外 SPA は 2013 年、韓国で 1 兆 439 億ウォン(約 1,040 億円)の売上高を記録し、韓国ファッション市場の 8.5% を占めるほどに成長した。 近いうちに韓国ファッション市場の 3 分の 1 を海外 SPA ブランドが占めるようになるという予測もある。 韓国で最も売り上げが伸びている SPA はユニクロだ。 ユニクロの店舗は韓国内に 135 もある。 2013 年の売上高は 6,940 億ウォン(約 700 億円)。 2012 年の 5,049 億ウォン(約 505 億円)に比べて 37% 増えた。 営業利益率は 10% に達する。 2006 年に韓国に進出して以来、毎年平均 60% ずつ成長し、SPA のトップブランドになった。 ユニクロは 2014 年末までに韓国内店舗数を 150 に増やし、売上高 1 兆ウォン(約 1,000 億円)にすることを目指している。 20 - 50 代の男女 500 人を対象にアンケート調査したところ、3 大海外 SPA の中で最も知名度が高く、最も好きな SPA ブランドとしてユニクロが選ばれた。 「今後、韓国で最も人気を集める SPA は何か」を予想する問でも、「ユニクロ」との回答が首位だった。 3 大 SPA は 3 年で 3 倍に成長 2008 年に韓国に進出した ZARA の店舗数は 40 ほど。 2013 年の韓国内売上高は 2,273 億ウォン(約 227 億円)で、2012 年より 20% 以上増加した。 ZARA が 6 月に世界中の店舗で同時に上半期セールを行った時、ZARA コリアがセール期間中の売上高で 1 位を記録した。 H & M は 2010 年に韓国に進出。 2013 年の売り上げは 1,226 億ウォン(約 123 億円)だった。 ユニクロ、ZARA、H & M の 3 社の韓国内売上高は 2013 年に 1 兆ウォン(約 1,000 億円)を超えた。 2010 年は 3,441 億ウォン(約 344 億円)だったので、3 年で 3 倍近くに成長した。 韓国のショッピングモールやデパートにユニクロ、ZARA、H & M の中の一つは必ず入店している。 ソウル中心部のショッピングモールは、この 3 大 SPA に破格の待遇を提供している。 10% もしくは 1 ケタの入店手数料しか請求していないのだ。 韓国のファッションブランドには 20 - 30% の入店手数料を請求している。 これだけ事業を拡大しても、海外 SPA はまだ満足していない。 韓国市場でのシェアを伸ばすためオンライン販売を始めたり、セカンドブランドを韓国に進出させたり、必死になっている。 ユニクロの GU も韓国進出する。 ロッテはユニクロと ZARA の株主 海外 SPA が韓国で人気なのは「安物買いの銭失い」ではなく、「安くて品質も良い」と消費者が評価しているからだ。 韓国では素材のユニクロ、スタイルの ZARA、コラボレーションの H & M と言われる。 例えばユニクロのヒートテックは保温機能がありながら価格は 1 万 - 2 万ウォン(約 1,000 - 2,000 円)と安く、爆発的な人気を集めた。 海外 SPA はトレンドの変化にも敏感だ。 ZARA は 2 週間ごとに新商品を発売する。 H & M は高級ブランドの有名デザイナーがデザインした衣類を販売するのでファンが多い。 加えて、海外 SPA は資金力があるので、主なショッピングモールに大型店舗を構え、いち早く知名度を上げることができた。 韓国流通大手のロッテショッピングはユニクロと ZARA の韓国内販売会社の株主になっている。 このためユニクロと ZARA はロッテデパートやロッテマートなどに入店しやすい。 ユニクロの関係者は、「ユニクロが韓国で成功できたのはロッテの役割が大きい」と話した。 望まれる韓国 SPA の開発力と販促力 海外 SPA の実績が上がれば上がるほど、韓国のファッションブランドは居場所を失っている。 韓国ファッション協会によると、2013 年に 38 の韓国ファッションブランドが廃業した。 一方、SPA に参入する韓国のアパレル会社もある。 2009 年に登場した韓国第 1 号 SPA ブランド「SPAO」は、ユニクロより 10- 20% 安い価格を設定する戦略が功を奏し、2013 年は 40 店舗で 1,400 億ウォン(約 140 億円)の売り上げを記録した。 2014 年は 2,000 億ウォン(約 200 億円)を目標にしている。 しかし、すべての SPA が上手くいくわけではない。 赤字を出すブランドもある。 韓国のファション業界関係者は、「韓国のファッションブランドがグローバルブランドへと飛躍するためには、素材とデザインの開発に力を入れないといけない」と話す。 韓国ファッション協会のキム・キサン副会長は「韓国の SPA は価格競争力だけで勝負するのではなく、差別化した製品とマーケティング戦略で韓国 SPA ならではの強みを育てないといけない」と語った。 (キム・キョンミン、キム・ホンジュ、リュ・ジミン、韓国・毎経エコノミー = 11-4-14) 安く・軽く・暖かく、フリース発売 20 年 ユニクロ、新商品投入し攻勢 カジュアル衣料店「ユニクロ」がフリースを発売して 20 年。 安く、着ぶくれしない防寒具は秋冬ファッションを変え、さらに進化しようとしている。 一方で、人件費の安い中国での大量生産は、国内のアパレル産地にも変革を迫った。 15 日、東京・銀座のユニクロには、20 体のマネキンが色とりどりのフリースを着て並び、外国からの観光客が見入っていた。 ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はこの日の記者会見で「フリースは世界中で新たな需要をつくり、イノベーションを起こした」と話した。 ポリエステル素材でつくられ、柔らかい手触りのフリースは従来、1 万円以上する登山向けが中心だった。 ユニクロは 1994 年に 1,900 円で発売。 ブレークは 4 年後の 98 年だ。 東京都心部で初めてとなる原宿店を開いた際、店の 1 階すべてにフリースを並べた。 大々的な広告も評判になり、行列は店の外まで延びた。 ファッション全体がカジュアル化する流れに乗った。 この年に 200 万枚、翌 99 年に 850 万枚、00 年には 2,600 万枚を売った。 会社の売上高も 99 年 8 月期の約 1 千億円から 2 年間で 4 倍に。 急成長を支えた。 競合商品が増えたり消費者に飽きられたりしてブームは一巡したが、もう一度てこ入れする。 今季は、保温機能を高めた新素材や、風を通さない特殊なフィルムを使った新商品を投入。 色違いを含めて昨季より約 100 種類多い 319 種類を売る。 販売目標はピーク時より 1 千万枚多い 3,600 万枚だ。 ■ 国内産、技術力で対抗 ユニクロは今年 6 月から全商品の値上げに踏み切ったが、それでもフリースの新商品の中心は税別 1,990 円から。 人件費の安い中国の契約工場でつくり、輸入する仕組みを築いたからだ。 98 年にフリースを大ヒットさせたユニクロを追いかけるように、スーパーや専門店も安い輸入品を投入。 スペインの「ZARA」やスウェーデンの「H & M」など海外発の割安な「ファストファッション」も相次いで日本に進出した。 国産のセーターやジャケットは、「冬の主役」の座を奪われた。 日本ニット工業組合連合会によると、ニットの国内市場に占める国内生産の割合は 97 年には 3 割あったが、02 年には 1 割になり、13 年は 3% にまで落ち込んだ。 天然のウール生地はフリース生地より割高で、加工にも手間がかかる。 愛知県の津島毛織工業組合は「安くて保温性の高いフリースが世間に知られ、ウールが暴利をむさぼっているようにみられてしまった。」 産地では生き残りをかけて、大手の受注生産だけでなく、自主ブランドを始める動きも目立つ。 2000 年代半ばから海外市場に乗り出した新潟県の五泉ニット工業協同組合は「安い輸入品と価格面では勝負できない。 細やかな日本の技術で外国の富裕層にアピールしたい。」 (川慧一、宮崎健、asahi = 10-16-14) ユニクロ、大和ハウスと物流会社設立 即日配達も可能に 衣料専門店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングと大和ハウス工業は 14 日、ユニクロ向けの物流を担う共同出資会社を設立すると発表した。 東京・有明に物流倉庫を 2016 年 1 月から設置することで、ユニクロの商品をインターネットで注文すると、首都圏の一部では当日中に配達できるようになるという。 総事業費は約 650 億円。 両社は今後、全国 10 カ所程度に物流拠点を設け、当日配達できる地域を広げていく。 (asahi = 10-14-14) ユニクロ、買収の米ジーンズが不振 ファストリ増収減益 衣料専門店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが 9 日発表した 2014 年 8 月期決算は、営業利益が前年同期より 2.8% 少ない 1,304 億円、純利益が 28.7% 減の 745 億円だった。 12 年に買収した米 J ブランド社のジーンズ販売が不振。 営業権など資産の価値を見直し、193 億円の減損を計上した。 売上高は 21.0% 増の 1 兆 3,829 億円だった。 国内のユニクロの売上高は 4.7% 増。 既存店の客数は減ったものの、値上げや店舗の大型化で補った。 海外の売上高は大幅な新規出店で 64.7% 増と伸びた。 柳井正会長兼社長は買収企業の不振について「今回の損失は一過性で、数年で取り返せる」と話した。 (asahi = 10-9-14) |
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