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「ロシア軍の士気低下は深刻」 英・国防省が分析

イギリス国防省はウクライナのロシア軍について、依然として部隊の連携に欠陥があり、兵士の士気の低下も深刻だとの分析を明らかにしました。 イギリス国防省は 30 日、ウクライナに展開するロシア軍に関する最新の分析を発表しました。 このなかでロシア軍の問題として、部隊レベルで戦闘能力が不足していることや一貫性のない航空支援を挙げ、戦闘力を十分に活用できていないと指摘しました。

また、ウクライナ北東部の攻略に失敗し、消耗した複数の部隊を統合して再配置した結果、多くの部隊が士気の低下に悩まされているとみています。 こうしたなかで、ロシア軍が戦力の集中や補給路の短縮、指揮系統の簡素化を試みていると指摘しました。 (テレ朝 = 4-30-22)


ロシアのドンバス地方制圧作戦、予定より数日遅れ 米高官

米国防総省高官は 29 日、ロシアによるウクライナ東部ドンバス地方制圧作戦について、予定より数日遅れているとの見方を示した。 同高官は会見で、ウクライナ軍の激しい抵抗と首都キーウ制圧失敗の影響で、ドンバス地方のロシア軍の進撃速度は遅く、ばらつきがあると述べた。 さらに、ロシア軍は補給線から離れて前進することをやや警戒しているとして、「キーウの二の舞いを避けようとしている」と指摘。 ロシア軍は「予定より少なくとも数日は遅れている」との見解を明らかにした。

ロシア軍は短期目標としては、ハルキウとドネツクを結ぶ地図上の線よりも東側の地域の制圧を目指していると戦場アナリストはみている。 米国防総省によると、ロシア軍は現在、ウクライナの東部と南部に 92 の大隊戦術群を配備し、国境の自国側にさらに多くの部隊を集結させているが、2 か月に及ぶ紛争の初期に大きな失敗を重ねたため、必ずしも大隊戦術群としての戦力を維持しているわけではないという。

西側諸国は、ウクライナへの大型兵器の供与を進めているが、兵たん面の問題と、取り扱いについてウクライナ兵を訓練する必要性から、新たな装備の大半はまだ前線で活用されていない。 米国防総省高官は、ウクライナにさらに多くの兵器と訓練要員を送る上で、ロシア側と銃撃戦が起きる可能性もあると述べた。 (AFP/時事 = 4-30-22)


ロシア国債「ドルで償還実施」 デフォルト回避狙いか

ロシアがドル建て国債の元利払いを自国通貨ルーブルで実施したと主張していた問題で、ロシア財務省は 29 日、あらためてドルで支払ったと発表した。 契約と違う通貨の支払いで、国際的に債務不履行(デフォルト)と見なされるのを回避する狙いとみられる。 ロシア政府は 29 日に出した声明で、4 月 4 日が本来の期限だった 2 種類の国債の償還と利払いを「起債条件の通貨ドルで行った」とし、「これで起債時の条件を満たす形で、外国債発行に伴う義務はすべて満たされた」と述べた。

ロシア側が当初、ドルでの支払いをしなかったのは、米欧の経済制裁のために海外の銀行に預けたドル資産からの支払い手続きが進まないため。 仕方なくルーブルで支払ったと主張していたが、契約以外の通貨で支払われたことに対し、大手格付け会社の米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは 4 月中旬、「自社基準では、デフォルトにあたる可能性がある」との見解を発表していた。 世界の金融機関でつくる国際スワップデリバティブ協会 (ISDA) も、5 月 4 日までにドルでの支払いが確認できなければ、デフォルト扱いにするとの判断を下していた。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 4-30-22)


キーウで爆発、朝日新聞記者が黒煙を目撃 国連事務総長訪問の日に

28 日午後 8 時(日本時間 29 日午前 2 時)すぎ、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で大きな爆発があった。 爆発の理由や被害を受けた場所は明らかになっていない。 朝日新聞記者が市中心部の宿から確認すると、黒煙が 2 カ所から上がっていることが目視で確認できた。 市内の男性によると、午後 8 時すぎ、大きな爆発音が室内にいても聞こえたという。 同日のキーウには、国連のグテーレス事務総長が訪問しており、ゼレンスキー大統領、クレバ外相と会談した。 (asahi = 4-29-22)

◇ ◇ ◇

キーウの爆発「分析中」、米国防総省

米国防総省のカービー報道官は 28 日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で爆発が起きたことをめぐり、「何が起きたのか、何がどんな弾薬で攻撃されたのか、分析を続けている」と述べた。 米 CNN のインタビューに答えた。 カービー氏は、「最近、(ウクライナ)西部への攻撃が起きている。多くはウクライナの補給能力に影響を与えうる目標を攻撃しようとしているようだ」とも指摘した。 (asahi = 4-29-22)


カナダ、ウクライナへの軍事支援を強化 榴弾砲を提供し使い方教える

カナダのアナンド国防相は 28 日、米国防総省でオースティン国防長官とロシアのウクライナ侵攻への対応などをめぐって会談した。 会談後の会見でアナンド氏は、「重火器を含め、ウクライナへの支援をできるだけ早く行う」と述べ、軍事支援を加速させる姿勢を強調した。 ロシア軍がウクライナ東部への攻勢を強めるなか、欧米諸国は急ピッチで軍事支援を強化している。 オースティン氏は 26 日、ドイツの米軍基地でウクライナへの軍事支援をめぐる国際会議を主催したばかり。 カナダは会議で、ウクライナに装甲車 8 台を送る方針を明らかにしていた。 アナンド氏は 28 日の会見で、「ウクライナが戦い、勝利するために必要な装備の提供を続ける」と述べた。

カナダはロシアのウクライナ侵攻前から、ウクライナ兵の訓練をしてきた。 アナンド氏は、ウクライナに長距離砲である榴弾砲を提供し、使い方の訓練をしていることも明らかにした。 米国も今月から、ウクライナに榴弾砲を提供し、ウクライナ国外で使い方の訓練を始めている。 オースティン氏は、ウクライナ東部での今後の戦闘での勝敗をめぐり、「(榴弾砲など)長距離砲が決定的な役割を果たす」と指摘した。 また軍事支援について、「同盟国や友好国に、我々とともになるべく早く動くように勧めてきた」とも述べた。 (ワシントン = 清宮涼、asahi = 4-29-22)


米大統領、ウクライナ緊急支援を要求 - ロシア富裕層対応も

バイデン米大統領は 28 日、議会に対してウクライナへの軍事、経済、人道支援として総額 330 億ドル(約 4 兆 3,000 億円)の緊急資金を議会に要求した。 プーチン大統領に近いロシア富裕層の資産を差し押さえ、売却するための権限も求めた。

北大西洋条約機構 (NATO) のストルテンベルグ事務総長は NATO 加盟国がこれまでにウクライナに対して 80 億ドル強の軍事支援を公約・供与してきたと述べた。 ロシアのプーチン大統領とモスクワで今週会談したグテレス国連事務総長はウクライナの首都キーウ近郊に到着した。 ゼレンスキー大統領と会談する予定。 国連はウクライナ南東部マリウポリの製鉄所からの民間人退避を調整する国際チームを編成していると明らかにした。 AP 通信が伝えた。

ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止した後、欧州連合 (EU) の一部加盟国はロシア産ガスのルーブル払い要求に関して、EU の現在の勧告はあいまい過ぎるとして、より明確な指針を示すよう求めた。 一方、ドイツ政府はロシア産原油の輸入を段階的に禁止する措置を支持する用意がある。 事情に詳しい関係者が語った。

ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

日本政府、国連物資輸送で自衛隊機使用へ - ドバイ経由

日本政府は 28 日の閣議で、ウクライナ向けの人道支援策として、国連物資の輸送に自衛隊機を使うことを決めた。 当初はインド経由を計画していたが、インド政府が自衛隊機使用を拒否したため、アラブ首長国連邦 (UAE) のドバイ経由でウクライナ周辺国に輸送する。 朝日新聞などが報じた。

米下院、プーチン政権に近い個人・事業体の米資産接収促す法案可決

米下院は、ロシアのプーチン政権との結び付きで恩恵を受けている個人・事業体が持つ米資産(評価額 200 万ドル = 約 2 億 6.000 万円超)の接収を米政府に促す法案を可決した。 売却で得た資金をウクライナの復興支援に充てる。

欧州エネルギー企業、ガス代金決済でロシアの条件に応じる準備 - FT

欧州の一部エネルギー企業はロシアが求めている天然ガスの新たな代金決済システムに対応する準備を進めている。 英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) が事情に詳しい匿名の関係者を引用して報じた。 それによると、ドイツのウニパーやオーストリアの OMV のほかハンガリー、スロバキアのエネルギー企業がスイスのガスプロムバンクにルーブル建て口座を開設する準備を進めている。

ドネツクとルガンスクがロシア併合の是非問う住民投票実施も - 報道

親ロシア派武装勢力が非合法な独立を宣言したウクライナ東部ドネツク、ルガンスク 2 州は 5 月 14、15 両日にロシア併合の是非を問う住民投票を実施する可能性がある。 ロシアの独立系メディア、メドゥーサが同国大統領府に近い匿名の関係者 3 人を引用して伝えた。 日程は確定していないとした。 メドゥーサによると、同時に南部ヘルソンはドネツクなどと同じく、ウクライナから独立して人民共和国を創設する住民投票を実施する可能性がある。

国連、マリウポリの製鉄所からの民間人退避を調整するチームを編成

国連はウクライナ南東部マリウポリの製鉄所からの民間人退避を調整する国際チームを編成していると明らかにした。 AP 通信がハク事務総長副報道官を引用して報じた。

米国が供与公約した榴弾砲 90 基の半数余りがウクライナに到着

米国はウクライナに供与すると公約した 155 ミリ榴弾砲 90 基のうち半数強が既に同国に到着した。 米国防総省のカービー報道官が明らかにした。 ウクライナ軍の訓練の第 1 段階は今週完了したという。

一部加盟国、EU にルーブル払いに関する指針の明確化要求

EU の一部加盟国はロシア産ガスのルーブル払い要求に関して、EU の現在の勧告はあいまいすぎるとして、より明確な指針を示すよう求めた。 事情に詳しい複数の関係者によると、EU の行政執行機関である欧州委員会は 27 日の非公開会合で各国大使に対し、指針の文言を微調整すると伝えた。

伊 ENI、ガスプロムバンクに口座開設する準備中 - 関係者

イタリアのエネルギー会社 ENI はロシア国営ガス会社ガスプロム傘下のガスプロムバンクにルーブル口座を開設する準備を進めており、ロシア産天然ガスのルーブル払いが制裁違反と見なされない場合はロシアの要求に従う可能性がある。 事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ロシア、日本の外交官 8 人を国外追放

ロシア外務省は 27 日、同国駐在の日本人外交官 8 人を国外に追放すると発表した。 日本が駐日ロシア外交官ら 8 人を国外退去とした決定への報復措置。 読売新聞など日本の各メディアによると、在モスクワ日本大使館は「ロシアによるウクライナ侵略は明白な国際法違反であり、断じて許容できない」とする談話を発表し、「日ロ関係をこのような状態に追いやった責任は全面的にロシアにある」と抗議したことを明らかにしたという。

ドイツ提供の戦車、弾薬不足に直面

ドイツはウクライナに対空戦車 50 両を供与する計画だが、直ちに利用可能な弾薬がほとんどなく、計画がつまずく恐れが生じている。 独紙ビルトの報道によると、現時点で集中的な戦闘を約 20 分継続できる程度の弾薬しかなく、ドイツはブラジルやカタール、ヨルダンなどと不足分を補うため協議しているという。

ドイツ、ロシア産原油の段階的な禁輸を支持する用意

ドイツ政府はロシア産原油の輸入を段階的に禁止する措置を支持する用意がある。 EU 当局者間の協議に詳しい関係者によると、ドイツ政府はロシア産原油を対象とした措置について、価格上限や支払いメカニズムなどこれまで議論されてきた選択肢よりも、段階的なアプローチを支持するとみられる。

プーチン氏、西側が戦争に介入なら「電撃的な」報復警告

「ロシアにとって受け入れられない戦略的な性質の脅威」を及ぼす勢力には「電撃的な」対応をとると、プーチン大統領がサンクトペテルブルクで議員らに語った。 「このための手段をロシアは全て持っている。 誇張ではない。 必要ならば使用する。 全員がそれを覚悟してもらいたい。」と続けた。 ラブロフ外相は先週、ウクライナを巡り核戦争が勃発する「重大な」リスクがあると述べていた。

ガス供給停止の脅し、「ロシアは本気だ」 - 独経済相

ガス供給停止をちらつかせるロシアの脅しをドイツは深刻に捉えている。 ハーベック独経済相は 27 日、「ロシアは本気で行動する用意があることを示している」とベルリンで指摘。 「ロシアはガス供給を停止する用意がある。 われわれはこれを深刻に捉える必要がある。 それは他の欧州諸国にとっても言えることだ。」と述べた。 EU の行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、ロシアの要求に屈してガス購入代金をルーブルで支払う企業は制裁違反になると主張した。 (Bloomberg = 4-29-22)


プーチン氏が米欧威嚇「稲妻のような報復攻撃を」
核戦力を念頭か … 米側は「無責任だ」

【ワシントン = 田島大志】 ロシア大統領府によると、プーチン大統領は 27 日、露軍のウクライナへの侵攻を巡り、「外部が介入するならば、我々の報復攻撃は稲妻のように素早い」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強化する米欧を威嚇した。 核戦力を念頭に置いた発言との見方が広がり、米政府などが批判している。 プーチン氏は故郷の露西部サンクトペテルブルクで議員らを前に演説し、「我々に手段は全てそろっており、自慢するだけでなく、必要があれば使用する。 そのための決定はすでに行っている。」とも強調した。

プーチン氏は侵攻開始を宣言した 2 月 24 日の演説で「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」と述べ、3 日後に北大西洋条約機構 (NATO) に対抗するとして露軍「抑止力部隊」の特別態勢移行を国防相らに命じるなど、核戦力を念頭に置いたとされる発言や動きで米欧を威嚇した。

プーチン氏の今回の発言を受け、米国防総省のジョン・カービー報道官は 27 日の記者会見で「核兵器を巡って米露対立をあおるのは両国の安全保障にとって無益。 核保有国として、(核使用の)話題を持ち出すことは無責任。」と非難した。 米国は 24 日、国務、国防両長官がウクライナを訪問し、追加軍事支援の方針を表明。 26 日には、NATO 加盟国などが参加した米主催の会合で武器供与強化の方針も確認した。 プーチン氏の発言は、こうした動きへのけん制とみられる。

ロシアは米欧の武器供与を妨害するため、ウクライナの軍事拠点などへの攻撃も強化。 東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク州)では全域制圧を目指す露軍とウクライナ軍との激しい戦闘が続く。 また、ウクライナ国営通信によると、ドネツク州やハルキウ州では 27 日、少なくとも 2 人が死亡、10 人以上が負傷した。 一方、ロシア通信は、露軍が制圧を宣言した南部ヘルソン州の州都ヘルソンで 27 日、ウクライナ側の攻撃による爆発があったと伝えた。 真偽は不明。 露軍は 26 日に州知事や市長を解任して親露派の後任を一方的に任命しており、ヘルソンでは市民らの抗議活動が続くなど緊張が高まっている。 (yomiuri = 4-28-22)


ウクライナ、無人機で越境攻撃か 大統領府顧問示唆、補給線狙う

【リビウ(ウクライナ西部)】 ウクライナと接するロシア西部で弾薬庫や石油関連施設などの爆発が相次いでいる。 ウクライナ側は公式には認めていないが、ポドリャク大統領府長官顧問は 27 日、自国の攻撃であることを示唆。 ロシア軍の補給線に打撃を与えるため、無人機(ドローン)などで攻撃を強化しているとみられる。 米シンクタンク「戦争研究所」は 27 日、無人機かミサイルでウクライナ軍がロシア西部ベルゴロド、ボロネジ両州で補給拠点を攻撃したと分析し、今後、越境攻撃が拡大すると予測した。 ロシアが撃墜したと主張するトルコ製攻撃型無人機の画像もインターネット上で出回っている。 (kyodo = 4-28-22)


オランダ政府、ウクライナに自軍の超重量級自走砲を供与済みと公表

155mm 砲弾や装薬も一緒に提供

オランダ国防省は 2022 年 4 月 27 日、軍事支援の一環として PzH2000NL 自走榴弾砲をウクライナに供与したことを明らかにしました。 ウクライナに引き渡した数は明らかにされていないものの、すでに 4 月 19 日に実施済みだとのこと。 また砲弾や装薬などもドイツと協力してウクライナに提供しているといいます。 発表によると、ウクライナ兵に対するこの自走砲の教育訓練は、隣国ドイツで行われているそうで、準備や訓練にはしばらく時間がかかるとしています。

PzH2000NL 自走榴弾砲は、全長 11.7m (砲身含む)、車体長 7.91m、全幅 3.6m、全高 3.46m ある、履帯(いわゆるキャタピラ)駆動の砲塔型自走砲です。 重量は 55.5t あり、オランダ国防省によると、同国陸軍が保有する各種装備のなかで最も重い兵器だとのこと。 乗員数は 5 名、出力 986 馬力の V 型 8 気筒ターボ・ディーゼルにより最高速度 62km/h を出すことができます。主武装は 52 口径 155mm りゅう弾砲で最大射程は 40km、「エクスカリバー」誘導砲弾を用いた場合、その距離は最大 50km にもなるそうです。

なお、今回のウクライナへの供与に関連し、オランダのルッテ首相は 4 月 19 日に自身の公式ツイッターで「ウクライナに装甲車両を含む重装備を提供する予定」とコメントしていました。 (乗りものニュース = 4-28-22)


中国ドローン大手が露での事業停止 露軍が作戦に使用か

【北京 = 三塚聖平】 小型無人機(ドローン)世界最大手の中国企業「DJI」は 28 日までに、ロシアとウクライナでの事業を一時停止すると発表した。 同社は「さまざまな地域でのコンプライアンス(法令順守)を再評価する」ためだと説明。 ウクライナに侵攻したロシアが軍事作戦に同社製品を使っていると欧米メディアが報じており、それを受けた対応とみられる。

ウクライナ侵攻後、中国の大手企業がロシアで事業活動を停止するのは異例だ。 中国政府は「正常な貿易協力」の継続を表明して対露制裁に距離を置いており、他の中国企業に影響を与えるか注視される。 ロイター通信によると、DJI の広報担当者は「われわれのドローンが戦闘に使われることがないようにするため、これらの国での販売を一時的に停止する」と表明した。 ロシア軍がミサイル誘導に DJI の製品を使っているという情報が報じられていた。

DJI は中国南部の広東省深セン市に拠点を置き、ドローンの分野で世界シェアの 7 - 8 割を握っていると指摘される。 米政府は 2020 年、中国内外で大規模な人権抑圧につながる監視活動に使われているとして、同社への部品輸出を禁止している。 同社は、対露取引を続ける中国企業に制裁が及ぶ「二次的制裁」を受けることを警戒している可能性がある。 同社のドローンには米国製の部品も多く使われているという分析がある。 (sankei = 4-28-22)


ロシアから離れる外国企業 60 万人が休職・解雇の恐れ

ロシア国営タス通信は 28 日、プーチン政権与党「統一ロシア」の幹部の話として、ウクライナ侵攻による外国企業のロシア国内からの撤退で、約 60 万人が休職または解雇の恐れがあると伝えた。 ウクライナ侵攻をめぐり、スターバックスやイケア、ユニクロなどの外国企業がロシア国内での事業撤退や一時閉鎖を発表している。 (asahi = 4-28-22)


ドイツ、ウクライナに戦車提供へ 慎重だった政府を動かしたものは …

ドイツのランブレヒト国防相は 26 日、ウクライナの軍事支援を話し合う国際会議の場で、ウクライナに「ゲパルト対空戦車(自走式対空砲)」を提供することを明らかにした。 ドイツは重火器の提供には慎重な姿勢を続けていたが、また一歩、踏み出すことになった。 ドイツ国防省によると、ランブレヒト氏はこの日の声明で、前日に政府として対空戦車の提供を決めたことを明らかにし、「重要なのは緊密に連携すること。 プーチンに対抗する最強の武器は私たちの団結力だ。」と述べた。

提供に慎重だった政府

ランブレヒト氏は記者団に、防空システムを求めるウクライナに対し、同盟国と相談したうえで足並みをそろえて武器を提供するものだとして、「ドイツの一方的な行動ではない」と強調した。 対空戦車は飛行目標を攻撃する対空砲に自力で移動ができる車両を備えたもの。 ドイツメディアによると、ゲパルトは 1960 - 70 年代に開発されたが、約 10 年前からドイツ連邦軍では使っていなかった。

ドイツはこれまでも対戦車ミサイルや対空ミサイルをウクライナに提供してきたが、戦車などの重火器については慎重な姿勢を続けてきた。 攻撃的な武器を供与することで、自国がロシアとの戦いの「当事者」として前面に立ちかねないとの懸念があったためだ。 さらに、ドイツ連邦軍から提供できる武器の在庫も限られているとして、ウクライナが軍事企業から武器を買う際の費用をドイツが負担することを表明。 また、ウクライナ軍が使い慣れた旧ソ連製の武器の提供の方が優先度が高いとして、中東欧諸国がこうした武器を提供する際の穴埋めに、ドイツの同等の武器を中東欧に提供することにしていた。

ところが、ロシアがウクライナ東部に攻撃を集中させる方針を示した後、野党だけでなく連立与党内からも、重火器の提供に慎重な政府への批判が高まっていた。 オランダなど北大西洋条約機構 (NATO) の加盟国も重火器の提供を表明している。 今回、ゲパルトを提供しても、ドイツだけが突出しないとの判断があったものとみられる。 ランブレヒト氏はこの日、米国やオランダとともに、ウクライナ軍に対して榴弾砲の使用訓練もすることを明らかにした。

ドイツ政府はロシアの軍事侵攻が始まる前、「紛争地に殺傷能力のある武器は送らない」との従来の方針を貫き、5 千個のヘルメットを送るにとどまって国内外から批判を浴びた。 他国が持つ旧東ドイツの武器の輸送許可も出さなかった。 ところが、ロシアの侵攻が始まった後に方針を大きく転換。 対空ミサイルや弾薬などの提供に踏み切った。 4 月半ば以降は「ウクライナが必要とする装甲車両やその他の兵器に関してはタブーはない(ベアボック外相)」といった声が閣僚からも上がっていた。 (ベルリン = 野島淳、asahi = 4-27-22)


ロシア、天然ガスの供給停止を通告 ポーランドとブルガリアに

ポーランドの国営ガス石油会社 PGNiG は 26 日、ロシア国営ガス会社ガスプロムからポーランドへの天然ガス供給を 27 日に停止するとの通告を受けたと発表した。 ロシアは通貨防衛のため自国通貨ルーブルでのガス代支払いを求めていたが、ポーランドが応じなかったためとみられる。 ロイター通信によると、ブルガリアも同様に 27 日からのガス供給停止を通知された。 ロシアが欧州各国の主要エネルギーであるロシア産ガスの供給停止に踏み切れば、ウクライナ侵攻を巡る対立の激化は必至だ。

ポーランドはベラルーシ経由の「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインでガスプロムからガスを輸入してきた。 ポーランド政府は、一定のガス貯蔵量を確保しているほか、他国からの液化天然ガス (LNG) などの代替手段もあるため、国内供給は「安定している」としている。 ただ、これまでロシア産ガスは国内消費の約 5 割を占めており、今後、産業用などの利用制限が必要となってくる可能性もある。

ブルガリアのエネルギー省も 26 日、ロシアからのガス供給停止に対し「状況に対応するための措置を講じた」と主張したが、同国ではこれまでガス輸入の約 9 割をロシアに頼ってきた。 米欧による制裁で、ロシアのルーブルは急落。 その対策としてロシアは「非友好国」に指定した国や地域に対し、ロシア産ガスの購入代金をルーブルで支払うよう求めている。

欧州は天然ガス輸入の約 4 割をロシアに頼ってきた。 ウクライナ侵攻後、各国はエネルギー面でのロシア依存脱却を急ぐが、ドイツなど各国が脱炭素社会に向けた移行期エネルギーとして重視するガスについては、早期に代替手段を確保するのが困難だとされる。 欧州連合 (EU) は 8 日に発動した対露追加制裁に石炭禁輸を盛り込んだが、ガス禁輸についてはいまだ慎重論が強い。 ロシアがガス供給の停止を拡大すれば、欧州の経済や暮らしに大きな影響が出る恐れがある。 (ブリュッセル岩佐淳士、mainichi = 4-27-22)


拒否権行使国に「理由説明」を請求 国連総会が決議採択

国連総会は 26 日、安全保障理事会で常任理事国(5 カ国)が拒否権を行使した場合、理由を説明するよう求める決議を総会の総意として採択した。 ロシアのウクライナ侵攻に関する決議案がロシア自身の拒否権行使で否決されるなど、安保理の機能不全が浮き彫りになっている。 拒否権の行使について、国連に加盟する全 193 カ国が集まる総会の場で説明責任を果たすよう常任理事国に迫る。

今回の決議案は、リヒテンシュタインが主導して起草した。 常任理事国の米英仏のほか日本やドイツ、ウクライナなど 80 カ国以上が共同提案国に名を連ねた。 一方、中露などは加わらなかった。 投票を求める声は上がらず、総会の総意として採択された。 決議の内容は、国連総会議長に対し、常任理事国が拒否権を行使した場合は 10 日以内に公式会合を招集するよう義務付けると同時に、安保理には状況を報告する文書の提出を求めるもの。 ただ、拒否権の行使国に優先的な発言権が与えられるが、説明を義務付けてはいない。

リヒテンシュタインのウェナウェザー国連大使は採択前の演説で、「安保理が行動できない時には加盟国に発言権が与えられるべきだ」と強調。 「今ほど効果的な多国間主義が必要な時はない」と賛同を呼びかけた。 米国のミルズ国連次席大使は「拒否権を発動するのが米国であれば、喜んで(説明と議論に)参加する」とし、ウクライナ侵攻に関するロシアの拒否権行使を「安保理の役割と評価を低下させ、国連憲章を損ない、国連全体に泥を塗った」と批判した。

英国のウッドワード国連大使は「拒否権によって安保理の任務遂行が妨げられることがあってはならない。 だからこそ私たちは決議を支持する。」と語った。 一方、ロシアのクズミン国連次席大使は「批判されるべきは拒否権ではなく、安保理の一部のメンバーが他のメンバーの意見に耳を傾け、それを考慮する用意がないことだ」などと反論した。

常任理事国の拒否権は、国連憲章 27 条に基づくもので、法的拘束力がある安保理決議の採択を阻止できる。 しかし、安保理では 2 月 25 日、ウクライナ侵攻でロシアを非難し、軍の即時撤退を求める決議案にロシアが拒否権を行使。 人道状況の改善を訴える決議案も、ロシアの拒否権を背景に安保理での採決が見送られた。 侵略行為や人道危機に対し、安保理が身動きできない状態に批判が高まっている。

拒否権を制限するためには、国連憲章を改正する必要がある。 だが、全常任理事国を含む国連加盟国の 3 分の 2 の批准が必要という高いハードルがある。 このため、今回の決議は拒否権の制限には踏み込んでいない。 (ワシントン西田進一郎、ニューヨーク隅俊之、mainichi = 4-27-22)


「こたつ CIA」も活躍、一変したサイバー戦 露呈したロシアの弱点

ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、様々な情報やメッセージが飛び交っています。 なぜ、欧米諸国は戦況や機密情報を公開できるのか。 バイデン米大統領の激しい発言の背景は何か。 元海上自衛隊海将補で徳島文理大人間生活学部の高橋孝途教授(国際政治・安全保障論)に聞きました。

- 米国防総省などが連日、ウクライナの戦況を詳しく解説しています。

当局は通常、機密情報を公開したがりません。 情報ソースや分析能力を相手に知られてしまう恐れがあるからです。 ただ、科学技術と民間の情報ネットワークが発達し、昔は機密だった情報が機密でなくなっています。 例えば、一般市民がウクライナで起きた出来事を、スマホで撮影してリアルタイムで伝えています。 いわゆる「こたつ CIA(米中央情報局)」と呼ばれる活動です。 商業衛星の情報を使って、戦況分析や民間施設が攻撃された時期を割り出して発信している人もいます。

米国防総省は以前、ロシア軍がキーウ(キエフ)近郊で 60 キロの車列を作っていると発表しました。 30 年ほど前なら、考えられない情報提供です。 ロシア軍がウクライナ侵攻前に、「ベラルーシで演習を終えた戦車が列車に積まれて帰途についた」と発表しましたが、すぐにウソだと見破られました。 周辺の市民の目が常にあるからです。 米英などが公表している情報は、逆にみれば、こうした民間の情報でも検証できる範囲にとどまっていると考えることができます。 もちろん、CIA などは、更に精密で多様な情報を収集しているはずですが、そのような情報は表に出しません。

- ウクライナのゼレンスキー大統領の動画には、いつも背景が入っています。 場所の特定を恐れ、背景を消していたビンラディン容疑者の映像と対照的です。

ウクライナが最も警戒しているのは、ロシアによるゼレンスキー大統領の殺害、「斬首作戦」だと思います。 動画はリアルタイムで流すわけではなく、ある程度時間を置いてから発表しています。 それでも、室内であればある程度安全でしょうが、キーウ近郊のブチャでの視察など、外部での行動には勇気が要ります。 なぜ、あえてそのような危険を冒すのか。 おそらく、アフガニスタンのガニ元大統領のような失敗を繰り返さないためでしょう。 ガニ氏はイスラム主義勢力タリバンがカブールに迫ると、早々に逃亡したため、政権は崩壊しました。

ゼレンスキー氏は背景を見せることで「自分はウクライナにとどまっている」というメッセージを明確に伝え、市民に結束を呼びかけているのです。 ゼレンスキー大統領や政府要人が逃亡していれば、ウクライナがこれほど抗戦できなかったでしょう。 ゼレンスキー氏が外出する場合、狙撃などを防ぐ警護はウクライナ軍が、航空機やドローンなどの接近を警戒する広域の空域情報の提供は北大西洋条約機構 (NATO) 関係国が、それぞれ受け持っていると思います。

- 今回、バイデン米大統領の発言が事態を複雑にしているように見えます。

バイデン氏が、米国による軍事介入の可能性を早々に否定したため、ロシアのプーチン大統領が安心してウクライナ侵攻を決心したと言えるでしょう。 バイデン氏はアフガニスタンからの米軍撤退の期限も明言して、タリバンの侵攻を結果的に助ける失敗も犯しています。

「非難されるべきはプーチン、以上」 バイデン氏の物言い、招く反発

欧米諸国は 1990 年代後半から「戦略的コミュニケーション」という概念を活用し始めました。 世界情勢が複雑になり、情報を伝達する手段も増えたためです。 国益を守るために、相手が自分たちの望む方向で動くように、統一したメッセージを発信するという概念です。 これは、「誰(ターゲットオーディエンス)に向かって、どのような効果を得るのか」を明確にしつつ行うもので、単なる高官の発言にとどまらず、演習などを含む軍の動き、高官がどの国にどの順番で訪問するかなど、ターゲットオーディエンスがどのように受け止めるのかを評価しつつ実施します。

英国防省、米国務省などに戦略的コミュニケーションを統括する部署があります。 米国がロシアによるウクライナ侵攻を抑止できると考えていたとすれば、バイデン氏の発言は、戦略的コミュニケーションの観点から失敗だったといえます。

- バイデン氏は、プーチン氏を「虐殺者」とも呼んでいます。

これについては、バイデン氏が慎重な発言をしたとしても、プーチン氏が「明確な勝利だ」と主張できる果実を得るまで侵攻を継続するという構図は、基本的に変わらなかったと思います。 ただ、バイデン氏は「プーチンは職にとどまるべきではない」とも発言しました。 これを含め、一連のバイデン氏の発言で、プーチン氏がウクライナ侵攻をやめるための明確な勝利のハードルが上がった可能性はあると思います。

私の知人のなかには、もしかすると米国は、この機会にウクライナを支えて、ロシアを徹底的にたたこうという思惑があるのかもしれないと評価している人がいます。 少し、うがった見方のようにも思えます。 しかし、米国の本当の思惑はわかりませんが、結果的に米国の軍需産業が潤い、ウクライナの犠牲のもとにロシア軍が相当損耗しているのも事実です。 興味深い見方だと思います。

ロシア、得意のハイブリッド戦争で失敗の訳

- ロシアは今回、ハイブリッド戦争に失敗したという分析も出ています。

ロシアは 2008 年の南オセチア紛争、14 年のクリミア併合宣言、16 年の米大統領選介入などで成功したという意識が強く働いていたと思います。 ウクライナに対するハイブリッド戦争にも自信を持っていたでしょう。 しかし、ロシアが試みたのは、「偽旗作戦」でウクライナ侵攻の口実を作ったり、偽情報を流してウクライナ軍の士気を落とし、ロシアに有利な世論を作ろうとすることでした。

ハイブリッド戦争の一翼を担うサイバー戦に着目した場合、このような人間の認知領域に働きかけて、自分に有利な環境を整えることに注目しがちです。 しかし、物理的な破壊を伴う戦闘に踏み切る場合は、それを支援するという分野でもサイバー戦を活用する必要があります。 今後の検証を待つ必要がありますが、今回のロシアはそのような活動を行っていたように思えません。

例えば、ウクライナ軍の指揮通信機能や後方支援機能を潰すことはできていないように思われます。 それどころか、ゼレンスキー大統領は依然、自らの動画を配信していますし、欧米メディアがオンラインでウクライナ市民にインタビューもしています。 ロシアのハイブリッド戦争能力は、物理的破壊と有機的に連携するという点では案外低いのかもしれません。

中国がハイブリッド戦略を練り直すだろうという指摘も一部に出ています。 中国は「侵攻時は、サイバー戦と物理的破壊手段を有機的に組み合わせることが必要である」と再認識し、相手の指揮通信機能、後方支援の基本になる相手の社会インフラのまひなどについてさらに研究していると思いますが、戦略自体を見直すことはないでしょう。 (聞き手・牧野愛博、asahi = 1-26-22)


ロシア軍の 25% 超、現時点で「戦闘に耐えられない状態」 … 露側の誤算続くと英分析

【ロンドン = 池田慶太】 英国のベン・ウォレス国防相は 25 日の下院で、ウクライナ軍との戦闘によるロシア軍の戦死者が約 1 万 5,000 人に上るとの英政府の分析を明らかにした。 1,351 人が死亡したとする露側の発表を大きく上回る。 ウォレス氏は、露軍の装甲車両も 2,000 台超が破壊されたか、ウクライナ軍に奪われたと述べた。 内訳は戦車が少なくとも 530 両、歩兵戦闘車が 560 台など。 ヘリと戦闘機は計 60 機超を失ったとした。

2 月の侵攻開始当初、露軍は地上戦闘人員の約 65% を投入し、1,000 人近い兵士で構成する大隊戦術グループを 120 以上集結させたが、現時点で 25% 超が戦闘に耐えられない状態にあるといい、ウォレス氏は、露側の誤算が続いているとの認識を示した。 また、ウォレス氏は英国がウクライナに対し、対空ミサイルを搭載した装甲車「ストーマー」を複数台供与することも表明した。 (yomiuri = 4-26-22)


ウクライナ、「適切な装備」あれば勝てる 米国防長官

米国のロイド・オースティン国防長官は 25 日、ロシアを二度と侵攻できないよう「弱体化」させる必要があると述べるとともに、ウクライナは適切な装備があれば勝利を収められるとの認識を示した。 オースティン氏とアントニー・ブリンケン国務長官は 24 日、ウクライナの首都キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。 米閣僚のキーウ訪問は、ロシアによるウクライナ侵攻開始以来、初めて。

オースティン氏は帰国前に記者会見に臨み、「勝利の一歩は勝てると信じることだ。 彼ら(ウクライナ)は勝てると信じている。」と指摘。 「われわれも(ウクライナに)適切な装備と支援があれば勝てると信じている。」 オースティン氏とブリンケン氏は、米外交官を今週からウクライナに徐々に戻す方針を明らかにしたほか、7 億ドル(約 900 億円)超の直接・間接的な追加軍事支援を約束した。 オースティン氏はさらに「われわれは、ウクライナ侵攻のようなことを繰り返せない程度にロシアを弱体化させたい」と強調。 ロシアは「軍事力・兵力を既にかなり失っており、迅速に増強できないことを望んでいる」と述べた。 (AFP/時事 = 4-25-22)


ロシア軍、マリウポリ製鉄所突入に向け再攻撃 = ウクライナ軍

ウクライナ軍が立てこもるウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所をロシア軍が再び攻撃し、突入を試みていることが、ウクライナ軍当局者の話で明らかになった。 ロシアのプーチン大統領は先週、突入計画を中止した上で包囲は続けるよう命じていた。 ウクライナ軍部隊の指揮官は、ロシア軍がアゾフスターリの一帯で「攻撃作戦」を展開し、民間人のインフラを空爆しているとフェイスブックに投稿した。

同製鉄所に立てこもるウクライナ第 36 海兵隊のセルヒ・ボリナ指揮官は、24 日にユーチューブに投稿されたインタビュー動画で、ロシア軍が製鉄所に空爆や砲撃を行っていると述べ、多くの負傷者が出るなど「状況が急激に悪化している」と語った。 タス通信は、ロシア政府からマリウポリ市長に任命されたコンスタンチン・イワシェンコ氏の発言として、市内でいかなる戦闘も起きていないと伝えた。 ウクライナ側は同氏を市長として認めていない。

ウクライナ大統領府のアストビッチ顧問はビデオ演説で、ロシアにマリウポリで「特別」協議を開く提案をしていると明らかにした。 即時停戦と民間人退避のための人道回廊の複数日にわたる設置、製鉄所に閉じ込められているウクライナ兵士の解放あるいは交換について協議する狙いがあると述べた。 (Reuters = 4-25-22)


国連 5 大国の拒否権に説明責任 リヒテンシュタイン提案に賛同広がる

国連安全保障理事会で拒否権を使った常任理事国に、国連総会(193 カ国)での説明責任を求める決議案が 26 日、総会で採決にかけられる。 拒否権の行使をためらわせるほどの効果はないとみられるが、専門家は「道義的な圧力になりうる」と意義を語る。 この決議案は、▽ 拒否権行使から 10 日以内に総会を開く、▽ 行使国に優先的に演説させる、▽ 総会開催の 72 時間前までに安保理に拒否権行使についての「特別報告書」の提出を求める - - というもの。 ただ、実際に説明するかは行使国に委ねられ、義務ではない。

米国や日本も「共同提案国」に

決議案作りを主導したリヒテンシュタインのウェナウェザー国連大使によると、20 日までに 59 カ国が強い賛意を示す「共同提案国」になり、米国や日本も名を連ねた。 常任理事国では他に英仏も賛成票を投じる意向を示し、ウェナウェザー氏は採択に自信を見せる。 安保理では国連創設当初から、米英仏中ロの常任理事国 5 カ国 (P5) だけが拒否権を持つ。 英仏は 1989 年 12 月の行使が最後だが、90 年以降ではロシア 29 回、米国 19 回、中国 15 回、拒否権を使った。

近年では特に、2011 年から始まったシリア内戦をめぐり、ロシアと中国が拒否権を行使する例が目立つ。 ロシアはまた、昨年 12 月に気候危機についての初めての決議案に、今年 2 月にはウクライナ侵攻で自国を非難する決議案に、それぞれ拒否権を使った。 ウェナウェザー氏は、安保理において「非常に深刻な政治的分断」がみられると指摘。 「拒否権の行使について、考え方を変える一助にしたい」と話した。 また、一義的には安保理が担う「国際の平和と安全の維持」をめぐる問題に対し、「私たち全員の声を反映させることを促すものだ」と決議案の狙いを語る。

実効性は?

共同提案国に名を連ね、安保理非常任理事国でもあるノルウェーのジュール国連大使は「ウクライナや安保理の現況をふまえると、拒否権に関する取り組みはかつてないほど重要だ」と取材に回答した。 ジュール氏は、拒否権の行使やそれをちらつかせることが、安保理の不作為の一因になっていると指摘。 「拒否権の行使に関する透明性や説明責任、政治的コストを高めるためにできる限りのことをしなければならない」と訴えている。

ただ、安保理では決議案の採決前後に、各国が投票行動について説明する仕組みがある。 拒否権について抜本的に改革するためには国連憲章の改正が必要で、P5 の同意が必要となる。 シンクタンク「国際危機グループ」の国連担当、リチャード・ゴーワン氏は、「前向きな一歩だとは思うが、拒否権の行使に実質的な制限を加えるものではない。 特にロシアの外交官は、拒否権の行使に関する非難を気にしていない」と話す。 それでも、道義的な圧力になるほか、透明性を持たせるという意義があると指摘する。 (ニューヨーク = 藤原学思、asahi = 4-25-22)

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