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ゼレンスキー大統領、米国の軍事支援強化を求める 米 CBS インタビュー ウクライナのゼレンスキー大統領は 10 日に放送された米 CBS のインタビューで、「我々が生き延びられるかは、米国からどれだけ早く支援を受けられるかにかかっている」と述べ、米国による軍事支援の強化を求めた。 ゼレンスキー氏は、以前からバイデン米大統領に対し、武器などの装備を求めてきたと説明。 「我々が必要なすべてのものを受け取れるかについて、残念ながら自信がない」と語った。 各国に対して、ロシアへの制裁強化も求めた。 ロシア軍は、首都キーウ近郊から撤退している。 「キーウでの戦闘に勝利したか」と問われると、ゼレンスキー氏は「そう思うが、最終的な勝利ではない」とした。 ウクライナ東部や南部では、今後、ロシア軍が増強されるとの見方も示した。 インタビューはキーウで 6 日に行われた。 (asahi = 4-11-22) ウクライナの GDP 45% 減の見通し 世界銀行は 10 日、ロシアの侵攻を受けるウクライナの 2022 年の実質国内総生産 (GDP) が前年より 45.1% 減るとする推計を発表した。 米欧などから厳しい経済制裁を受けるロシアについても、「すでに深刻な景気後退に陥っている」として、同 11.2% 減を予想した。 (asahi = 4-11-22) ロシアの責任転嫁にほころび = 犠牲判明で「ウクライナの仕業」 親ロシア派との戦闘が続くウクライナ東部ドネツク州で、政府軍が支配するクラマトルスクの鉄道駅に 8 日、弾道ミサイルが撃ち込まれた。 民間人に多数の犠牲者が出たと分かると、ロシアのメディアは「ウクライナ軍のミサイル」と報道。 ただ、主張には早くもほころびが見える。 ロシア軍は首都キーウ(キエフ)を含む北部の制圧に失敗。 プーチン政権が重視する 5 月 9 日の旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日までに一定の「成果」を得るべく、南東部を近く総攻撃する可能性がある。 ウクライナ政府は「逃げられない恐れがある」と住民に即時避難を訴えていた。 ウクライナ側の発表によると、クラマトルスクの駅は女性や子供など避難民約 4,000 人で混雑。 そこに短距離弾道ミサイルが着弾した。 現地からの映像や写真によると、人々は倒れ、大きな荷物が散乱していた。 ミサイルの残骸にはウクライナ語ではなくロシア語で「子供たちのために」と書かれていた。 「ウクライナ軍が集結しているクラマトルスクの駅を 10 分前に攻撃した。」 着弾当初、複数の親ロシア派ニュースは通信アプリ「テレグラム」でこぞって戦果として伝えた。 しかし、避難民に死傷者が出ているのが判明し、不自然な形で削除。 ロシアのメディアはウクライナ軍の仕業であると宣伝し始めた。 地元記者の間では、2014 年にドネツク州の親ロシア派支配地域上空でマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員 298 人が死亡した事件との類似性を指摘する声が上がる。 この時、旅客機と判明するまで、親ロシア派幹部は「ウクライナ軍機を撃墜した」と誇り、これが間違いだと分かると、ウクライナ側への責任転嫁を図った。 (jiji = 4-11-22) 欧州首脳、続々キーウへ「自由のため支援」 各地へミサイル攻撃続く ロシア軍の侵攻が続くウクライナの首都キーウ(キエフ)を 9 日、英国のジョンソン首相が訪れ、装甲車やミサイルなどの追加支援を発表した。 スロバキアの首相や欧州連合 (EU) の行政トップも 8 日にキーウを訪れるなど、欧米諸国のウクライナ支援の動きが活発化している。 一方でウクライナでは 10 日にかけても戦闘が続き、民間人の犠牲者も増え続けている。 キーウでウクライナのゼレンスキー大統領と会談したジョンソン首相は「英国はこの悲劇を終わらせ、ウクライナが自由で主権ある国家として存続して繁栄するために、軍事支援と経済支援を強化する」との声明を出した。 英は「ハープーン」提供へ 英国は 8 日に対空ミサイルや対戦車ミサイルの提供を含め、1 億ポンド(約 160 億円)に相当する軍事支援を発表。 さらに 9 日の会談で、装甲車両 120 台や対艦ミサイルシステムなどの追加支援を打ち出した。 英紙ガーディアンによると、対艦ミサイル「ハープーン」はロシアの艦艇に打撃を与えることができ、黒海に展開するロシア海軍に対処するために使われる可能性があるという。 ゼレンスキー氏は 9 日夜のビデオ演説で「彼の我が国への訪問は、自由のためには何らの障害もないことを明確に示した」などと述べ、ジョンソン氏と英国に感謝の念を示した。 欧州からは、スロバキアのヘゲル首相も 8 日にキーウを訪問し、旧ソ連時代に開発された地対空ミサイル「S300」の提供などを明らかにした。 同じく 8 日にキーウを訪れた EU の行政トップ、フォンデアライエン欧州委員長は「EU 諸国はかつてない規模で軍備品を提供している。 スロバキアはその輝かしい例だ」と強調。 「勇敢なウクライナの兵士たちを支援し、ウクライナの自由、すべての人の自由のための戦いを支援する」と述べた。 一方、ウクライナでは 10 日かけて、東部や南部で地上での攻防戦が続いた。 ウクライナ軍参謀本部は 10 日の発表で、ロシア軍が東部イジューム付近での防衛線の突破と、南東部マリウポリの完全な制圧を試みていると説明した。 ミサイルによる攻撃もやんでいない。 8 日朝に鉄道駅が攻撃されて 50 人を超える犠牲者が出たドネツク州では、9 日も各地への砲撃が続いた。 州当局によると 5 人が死亡したという。 中部の工業都市ドニプロの周辺部でも 9 日夜にミサイル攻撃があり、地元の当局によるとインフラなどに被害が出ている。 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) は 9 日、ロシアの侵攻開始以来、民間人の死者は少なくとも 1,766 人、けが人は少なくとも 2,383 人にのぼると発表。 「実際には、これより格段に多いとみられる」としている。 ウクライナ検察当局は 10 日、子どもの死者が 177 人、けが人が 336 人にのぼったと明らかにした。 (パリ = 金成隆一、西村宏治、asahi = 4-10-22) ロシアが司令官任命 態勢立て直しか 米 CNN は 9 日、ロシアのプーチン大統領がウクライナの全戦域を統括する司令官にアレクサンドル・ドゥボルニコフ南部軍管区司令官 (60) を任命したと、欧米当局者の話をもとに報じた。 欧米メディアは、これまでロシア軍の各部隊間の調整が不十分だったことが背景にあり、厳しい戦況下で態勢の立て直しを迫られていると指摘している。 英 BBC によると、ウクライナに侵攻しているロシア軍の各部隊はそれぞれが所属する軍管区の指示で動いており、互いの調整がうまくいっていなかったという。 BBC はドゥボルニコフ氏がウクライナに展開する部隊間の調整を試み、作戦の指揮機能を立て直そうとしていると報じた。 (asahi = 4-10-22) ロシア軍、マリウポリ郊外の地下通路に多数の遺体搬送、隠蔽か ウクライナ紙ウクラインスカ・プラウダは 9 日、ロシア軍の包囲が続く南東部の港湾都市マリウポリの郊外で、ロシア軍が地下通路などに多数の市民の遺体を運んでいると報じた。 露軍が民間人の殺害を隠蔽しようとしている可能性があるという。 マリウポリ市議会が通信アプリ「テレグラム」に投稿した内容に基づき、同紙が報じた。 投稿によると、数百人の遺体が露軍の特別部隊によって地下通路や倉庫に運ばれており、ロシア軍が秘密裏に遺体を焼却したり、集団墓地に埋葬したりする可能性がある。 マリウポリ市のボイチェンコ市長は 6 日時点で、市内で 210 人の子供を含む約 5,000 人が死亡したと明らかにしている。 (エルサレム = 三木幸治、mainichi = 4-10-22) 英ジョンソン首相がキーウを電撃訪問、ゼレンスキー大統領と会談 英ジョンソン首相は 9 日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を始めた。 ウクライナ大統領府のシビガ副長官が SNS に投稿して明らかにした。 シビガ副長官は投稿で、「英国はウクライナ防衛支援のリーダーであり、反戦連合と対ロ制裁のリーダーである」と称賛した。 ウクライナのウニアン通信によると、ジョンソン首相の訪問は事前に発表されていなかった。 ジョンソン氏は会談に先立ち 8 日、ウクライナに追加的に 1 億ポンド(約 160 億円)の軍事支援を行うと表明していた。 (asahi = 4-9-22) ドネツク州で市民 215 人が死亡、マリウポリの被害はまだ分からず ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は 9 日、ロシア軍の侵攻が始まって以来、同州で計 215 人の市民が死亡したと SNS に投稿した。 ただ、ロシア軍の包囲でインフラが破壊され、人道危機が伝えられている同州マリウポリの被害者数は現時点で明らかになっていないとしており、実際の死者数は格段に多いとみられる。 キリレンコ知事は 8 日夜には、同州クラマトルスクの鉄道駅へのミサイル攻撃による犠牲者の数が 52 人に増えたと明らかにした。 また、同州アウディーイウカで、ある 4 人家族の全員がロシア軍に殺害されたと発表。 「殺人者たちが罰せられるまで私たちは歩みを止めない」と述べた。 (asahi = 4-9-22) ゼレンスキー大統領、鉄道駅へのミサイル攻撃は「ロシアの新たな戦争犯罪」 ウクライナのゼレンスキー大統領は 8 日のビデオ演説で、50 人の犠牲者を出した東部クラマトルスクの鉄道駅に対するミサイル攻撃について「ロシアの新たな戦争犯罪であり、関わった全員が責任を問われる」と非難した。 国際社会に対しても、断固とした対応を求めた。 この日、欧州連合 (EU) の行政トップ、フォンデアライエン欧州委員長らと首都キーウ(キエフ)で会談したゼレンスキー氏は、EU 側に対して「現在の制裁では不十分だ」と伝えたといい、石油やガスの全面禁輸などさらなる強い措置が必要だと訴えた。 「私たちは、誰が決定を遅らせているのかを知っている。 これらの政治家や国々が立場を変えると確信している。」と述べた。 また EU 加盟に向けても「長年の目標の実現にようやく近づいている。 ウクライナは、欧州のなかで対等な存在になる。 平和で主権があり、再建された国家になる。」と展望を語った。 (asahi = 4-9-22) ロシア国債の一部をデフォルト認定 米 S & P、直後に格付け撤回 米格付け会社 S & P グローバル・レーティングは 8 日、外貨建てロシア国債の格付けを部分的な債務不履行(デフォルト)を意味する「選択的デフォルト」に引き下げた後、すべての格付けを撤回すると発表した。 ロシア政府が 4 日に償還期限を迎えたドル建て国債をルーブルで払ったことを契約違反と認定した。 格付けの撤回は、ロシアの政府や企業による欧州での資金調達を難しくするため、欧州連合 (EU) が対ロ制裁の一環で求めていたもので、それに従った。 4 日期限のロシア国債は、30 日間の支払い猶予の期間中だが、S & P は声明で、「投資家が、ルーブルを本来支払われるべきドル相当額に換えられたり、ロシア政府が猶予期間中にドルの支払いに切り替えたりすることは期待できない」と指摘。 特定の債務の不履行などを意味する「選択的デフォルト」にあたるとみなした。 そのうえで、同社はその格付けも含め、外貨建てのロシア国債の格付けはすべて撤回するとした。 S & P と並ぶ大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスやフィッチ・レーティングスもすでに、EU の求めに応じて格付けを撤回している。 外貨建てのロシア国債は格付けが事実上定まらない状況になる可能性があり、ロシア政府が国債発行で外貨を調達することは、より難しい状況になるとみられる。 (江口英佑、asahi = 4-9-22) 在日ロシアの外交官ら 8 人を国外追放へ 外務省、ウクライナ侵攻受け 外務省は 8 日、在日ロシア大使館の外交官と在日ロシア通商代表部の職員計 8 人を国外退去処分にすると発表した。 人名や退去期限は明らかにしていない。 小野日子・外務報道官が臨時会見で明らかにした。 同省によると、外務省の森健良事務次官が 8 日、ガルージン駐日ロシア大使を呼び出し、ロシア軍のウクライナにおける民間人殺害について「多数の無辜(むこ)の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪だ」と非難。 「民間人殺害を否定し、ウクライナと西側によるフェイクというロシアのプロパガンダはまったく受け入れられない」として、外交官らの国外退去を求めた。 外務省は人名などは明らかにしていないが、対象者について「総合的に判断した」と説明している。 欧州では 3 月以降、ロシアの外交官の国外追放が続いていた。 日本政府がロシア外交官 8 人を国外退去処分としたことについて、ロシア外務省は 8 日、対抗措置をとると発表した。ロシア国営のタス通信が報じた。 (asahi = 4-8-22) 石炭やウォッカ、ロシアからの輸入禁止へ 首相が追加の制裁を発表 岸田文雄首相は 8 日午後 6 時から、首相官邸で記者会見した。 ロシアのウクライナ侵攻で、キーウ近郊ブチャなどで多数の民間人の犠牲が判明したことについて、首相は「残虐で非人道的な行為」と批判。 「ロシアはこれまでも民間人の人の殺害や原子力発電所に対する攻撃など重大な国際人道法違反を繰り返してきた。 断じて許されない戦争犯罪だ。」と非難した。 首相はロシアへの追加制裁として次の 5 項目を発表した。 ▽ ロシアからの石炭の輸入を禁止。 段階的に輸入を削減してエネルギー分野でのロシアへの依存を低減させる、▽ 機械、木材、ウォッカなどのロシアからの輸入を禁止する措置を来週導入、▽ ロシアへの新規投資を禁止する措置を導入、▽ 金融制裁の強化。ロシア最大手の政府系銀行ズベルバンクと最大の民間銀行アルファバンクの資産を凍結する、▽ 資産凍結の対象を 400 人近くのロシア軍関係者や議員、国有企業を含む約 20 の軍事関連団体に拡大する。 また、在日ロシア大使館の外交官と在日ロシア通商代表部の職員計 8 人を国外に退去するよう求めたことも明らかにした。 ウクライナ支援では、周辺国へ調査団を派遣して、現地のニーズを把握し、保健・医療分野などで貢献するという。 また、ウクライナから避難してきた人々が 8 日、政府が借り上げたポーランドとの直行便の座席を利用して出発することを明らかにした。 これらの民間機の座席を、自力で帰国手段が確保できないウクライナ在留邦人も利用できるようにするという。 原油価格や物価の高騰について首相は、国民生活への影響に対応するための「総合緊急対策」を、4 月中にとりまとめると述べた。そのうえで「非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場だ」と述べ、国民に理解と協力を呼び掛けた。 (asahi = 4-8-22) ロシア大統領報道官「多大な損失、大いなる悲劇」 自軍の苦戦認める ウクライナに侵攻しているロシアのペスコフ大統領報道官は 7 日夜、英テレビ局スカイニュースのインタビューに「ロシア軍は多大な損失を被った。 我々にとって大いなる悲劇だ。」と語った。 ロシア側が自軍の苦戦を認めるのは珍しい。 ロシア国防省は 3 月 25 日時点で 1,351 人のロシア兵が死亡したとしている。 一方、ウクライナ軍参謀本部は今月 8 日の発表で 1 万 9 千人のロシア兵を殺害したと主張している。 ロイター通信によると、英国防省は、ロシア軍がウクライナ北部からベラルーシやロシアに完全に撤退したとの見方を発表した。 北東部のスーミ州知事も、同州がロシア軍から解放されたと表明した。 ウクライナ東部ではミサイル攻撃 ウクライナのゼレンスキー大統領は 8 日、ロシア国境付近の東部クラマトルスクの鉄道駅がミサイル攻撃を受けたと明らかにした。 地元市長によると、当時、駅には鉄道で避難しようとしていた約 4 千人の市民が集まっていた。 多くは女性や高齢者、子どもたちだったという。 この攻撃で約 30 人が死亡、約 100 人が負傷したという。 ロシア国営ノーボスチ通信によると、ロシア国防省は「ウクライナ側の挑発だ」として関与を否定し、攻撃に使われたミサイルが「ウクライナ軍のみが使用する種類のものだ」と主張した。 ロシア軍が撤退したキーウ近郊のブチャやホストメル、ボロジャンカなどでは民間人の犠牲が引き続き明らかになっている。 ホストメルでは警察当局が民家で 11 人の市民の遺体を発見した。 ゼレンスキー大統領は 7 日の声明で、ボロジャンカの状況はブチャより更に深刻だと述べた。 停戦交渉は進んでいない。 ロシアのラブロフ外相は 7 日、ウクライナ側が提示した新たな案が、3 月 29 日にトルコで開かれた前回協議での提案からかけ離れていると主張し、「ウクライナの真意は交渉を長引かせることだ」と批判した。 ウクライナのウニアン通信によると、同国のポドリャク大統領府長官顧問は、交渉をオンラインで続けているとした一方、「ブチャでの出来事以来、雰囲気が変化した」と交渉の難航を示唆した。 (根本晃、パリ = 西村宏治、asahi = 4-8-22) ロシアの孤立狙った、国連人権理の資格停止 棄権 58 カ国で温度差も ウクライナで「重大かつ組織的な人権侵害」を行ったとして、ロシアは 7 日、国連人権理事会の理事国としての資格を失った。 国連総会(193 カ国)が同日、決議を賛成 93 カ国、反対 24 カ国で採択して決めた。 ただ、棄権も 58 カ国に上り、各国の温度差も目立った。 「棄権は本当にどうでもいい。 (ロシアの追放で)人権理の質が向上するだろう。 カタルシス(浄化)のようなもので、結果に非常に満足している。」 ウクライナのキスリツァ国連大使は決議の採択後、報道陣にそう語った。 今回の決議は総会が「緊急特別会合」を再開させて採択された。 3 月 2 日と 24 日に、ウクライナ危機をめぐる対ロシア決議をそれぞれ 141 カ国、140 カ国の賛成で通した場だ。 いずれも、反対はロシアを含めて 5 カ国だけだった。 ロシアを孤立を際立たせる「第 3 の矢」 ロシアの孤立を際立たせる「第 3 の矢」。 それが人権理理事国としての資格停止だった。 主導した米国のトーマスグリーンフィールド国連大使が方針を公表したのは 4 日のこと。 ウクライナ首都郊外のブチャで、ロシア軍による虐殺があったことを疑わせる映像が広く報じられた直後だった。 それからわずか 3 日で今回の決議採択にこぎつけた。 理事国の資格停止は、賛成と反対を足した票数のうち、3 分の 2 以上が賛成であれば可能になる。 棄権や無投票はカウントされないため、欧米諸国や日韓豪の票を固めれば、採択は比較的たやすかった。 バイデン米大統領は採択後、「プーチンの戦争がいかにロシアを国際的なのけ者にしたか。 国際社会がさらにそれを示し、意義深い一歩になった。 国際舞台で、ロシアを孤立させ続ける。」との声明を出した。 一方、ロシアのクズミン国連次席大使は「人権の保護と促進に対するロシアの責任」を理由に、人権理を離脱することを表明した。 任期は来年末まで残っており、総会の判断によっては復帰する道も残されていたが、それを自ら絶った。 人権理は 47 カ国で構成され、ジュネーブに設置されている。 決定に法的拘束力はないが、世界の人権状況を監視し、人権と基本的自由の促進、擁護を担う。 先月はウクライナにおけるロシアの人権侵害疑惑について緊急討議を開き、調査委員会の設置を決めていた。 7 日の国連総会の会合では、▽ 「調査委の作業を先取りするものだ(セネガル = 棄権)」、▽ 「適切なタイミングで出されたとは思えない(エジプト = 棄権)」などと、調査が完了していないことに懸念を示す国が相次いだ。 ハードルが高かった賛成票 人権理の理事国資格停止は過去、2011 年のリビアに適用された例があるだけだった。 また、ロシアは採決に先立ち、棄権や無投票を「非友好的な姿勢」とみなし、「結果が伴う」と脅すような書簡を一部の国に送っている。 欧米諸国以外にとって、「重大かつ組織的な人権侵害」の認定を意味する賛成票は、相当ハードルが高かった。 前回と前々回は棄権票を投じ、今回は反対した中国の張軍国連大使は「資格を奪うような重要な問題は、事実と真実に基づき、冷静に、客観的に、合理的に扱われなければならない」と主張した。 また、決議案について「危険な前例を作り、人権分野の対立をさらに激化させ、国連の統治システムに大きな影響をもたらす」と訴えた。 シンクタンク「国際危機グループ」の国連担当、リチャード・ゴーワン氏は「ロシアにとっては、象徴的に重要な戒めとなった。 ただ、プーチン大統領の計算を変えるほど政治的に重要かというと、そうは思わない。」と語る。 ゴーワン氏は、賛成票が大幅に減った理由の一つとして「欧米諸国以外の国々の一部が、国連で頻繁にロシアを非難することに神経質になっている」と指摘。 「多くの国は、戦争が食料供給に与える影響など、他の話題に焦点を当てることを望んでいる」と話した。 実際、食料の高騰の影響を特に大きく受けているアフリカ 54 カ国のうち、賛成は 10 カ国だけだった。 反対は 9 カ国、棄権は 24 カ国にも上った。 ゴーワン氏は「ウクライナや同盟国は、地球規模の食料安全保障問題に早急に焦点を当てて、西側諸国以外の国々が抱くウクライナ危機の影響のおそれを理解していると示すべきだ」と述べた。 (ニューヨーク = 藤原学思、asahi = 4-8-22) 「重大な局面だ」 NATO 外相会議、ウクライナに高性能兵器提供へ 6、7 日にブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構 (NATO) の外相会議は、ロシアのウクライナ侵攻の激化や長期化を見すえた対応を探った。 ロシア軍は首都キーウ(キエフ)やウクライナ北部から撤収したとされるが、NATO はむしろ、東部への攻撃が強まる「重大な局面だ(ストルテンベルグ事務総長)」とみており、ウクライナへの軍事支援強化を確認する。 ストルテンベルグ氏は「プーチン・ロシア大統領がウクライナ全土をコントロールする狙いを変えた兆候はみられない」と指摘しており、「戦争は即座に終わらせねばならないが、現実を直視すれば、何カ月も、何年も続くかもしれない」とみる。 7 日朝、外相会議に招いたウクライナのクレバ外相とともに記者団の質問に答え、「さらなる支援が緊急の課題だ」とし、要望を直接聞いたうえで、兵器供与の強化を確認すると表明した。 クレバ氏は「私のテーマは 3 つある。 兵器、兵器、兵器だ。 戦いには勝つが、十分な兵器の供給がなければ甚大な犠牲が出る。 供給が早ければ早いほど、数多くの命が救える。」と語り、戦闘機も含めた強力な兵器が必要だと訴えた。 NATO は、ロシアを厳しく批判しながらも、軍事衝突の当事者となってロシアとの全面戦争を招かない対応をとっている。 ウクライナに派兵したり、ロシア機を撃ち落とすことにもつながる飛行禁止区域を設定したりしないジレンマを抱える。 このため、戦況にあわせたクライナ支援が欠かせないと判断。 外相会議で具体化をはかる。 NATO 各国はかねて、携行型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や防空システムなどを提供してきた。 これらに加えて米国は、ウクライナが従来は使っていなかった自爆型ドローン「スイッチブレード」を 100 機提供したことを明らかにした。 戦車や軍用車両に自ら突っ込んで破壊する仕組みで、ウクライナ兵に操作技術の訓練もしているという。 戦闘の長期化を視野にいれた強力な兵器の提供だ。 また、中欧のチェコは、ウクライナ軍が操縦に習熟している旧ソ連製の戦車十数台を提供したと伝えられている。 軍事侵攻が始まって以降、国外からの戦車の提供は初めてとみられる。 外相会議では、高性能で強力な兵器の提供についても確認。 ロシアが化学・生物兵器を使用する事態も想定して、防護用の装備なども届ける方針だ。 欧州諸国には、ロシアを刺激するのを避けるべきだとの考えもあるが、キーウ近郊ブチャなどでの多数の民間人殺害に衝撃が広がった。 「ロシアを神経質にしてはならないと議論しても、彼らは、そんなことにはかまわない(リトアニアのシモニテ首相)」との声もあり、ウクライナ支援を加速させる。 (ブリュッセル = 青田秀樹、ワシントン = 高野遼、asahi = 4-7-22) 米、EU と足並みそろえ追加制裁へ ロシア最大手銀行なども対象か バイデン米政権は 6 日、ウクライナの首都キーウ近郊ブチャなどで多数の民間人の犠牲が判明したことを受け、ロシアへの追加経済制裁の検討に入った。 米メディアによると、ロシア最大手ズベルバンクにも制裁を科す見通し。 ロシアからの石炭の禁輸に踏み切る欧州連合 (EU) などと足並みをそろえ、最大級の圧力をかける。 米ホワイトハウスのサキ報道官は 5 日、「ロシアに深刻かつ直接的な経済上の打撃を与える」と述べ、政府関係者やその家族、金融機関、国有企業などへの追加制裁を科す考えを示した。 ロシアへの新たな投資も禁止する方向だ。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは 5 日、バイデン政権がロシア最大手の政府系銀行ズベルバンクに制裁を科す検討に入ったと報じた。 米国は独自制裁として同行にドル決済を禁じたほか、幹部にも制裁を科したが、より厳しい制裁に踏み込む可能性がある。 ロシア最大の民間銀行アルファバンクが制裁対象になる見通しも伝えた。 米英や EU は対ロシア制裁の一環として、国際決済システム「国際銀行間通信協会 (SWIFT)」からロシアの金融機関を排除する際、欧州のエネルギー取引で関係が深いズベルバンクを除いた。 欧州経済への波及を懸念する声が強かったためだ。 だが、ウクライナで多数の民間人が犠牲になったことが明らかとなり、米欧などを中心に国際社会のロシアへの批判が強まっている。 EU は 5 日、年間 40 億ユーロ(約 5,400 億円)に相当するロシアからの石炭の輸入禁止を含む追加制裁を発表。 EU や主要先進 7 カ国 (G7) との連携を通じて対ロシア制裁の効果を上げる戦略をとってきた米国としても、一段強い措置が必要になったと判断したとみられる。 バイデン大統領も 4 日、「彼(プーチン大統領)は戦争犯罪人だ」と改めて述べ、追加制裁を科す考えを表明していた。 (ワシントン = 榊原謙、asahi = 4-6-22) ゼレンスキー氏「国連を解体する覚悟はあるか」 国際社会に行動迫る ウクライナのゼレンスキー大統領が 5 日昼、国連安全保障理事会でオンライン演説をした。 首都近郊のブチャの惨状を語りつつ、「第 2 次世界大戦以来、最も凶悪な戦争犯罪」とロシア軍を強く非難。 さらに、「国連を解体する覚悟はあるか」と語り、国際社会に行動を迫った。 「ロシア軍が行っていない犯罪は一つもなかった。 彼らは、私たちの国に奉仕してきた人であれば誰でも、探しだし、意図的に殺したのだ。」 カーキ色のシャツを着て、ひげの生えたゼレンスキー氏は、前日に視察したブチャの様子から演説を始めた。首都近郊のその町では、市民の遺体が多数発見されたと伝えられている。 ゼレンスキー氏は、演説をしめくくった後、「あと 1 分、時間をください」と述べ、会場のモニターには映像が流れました。 どんな内容だったのでしょうか。 ゼレンスキー氏は、「ロシア軍の喜びのために」被害にあった市民を代表し、発言をすると訴えた。 拷問の末に後頭部を打たれた市民。 アパートや自宅で殺された市民。手投げ弾で吹き飛ばされた市民。 戦車に押しつぶされた市民。 手足を切り落とされた、のどを切られた、舌を抜かれた市民。 子どもの前でレイプされた市民 …。 過激派組織「イスラム国 (IS)」のテロリストと変わらない - -。 ゼレンスキー氏はそう訴え、しかもそれが、世界の平和と安全の維持を担う安保理の常任理事国によってなされたことを嘆いた。
ブチャでの「大虐殺」は、「多くの事例の一つにすぎない。 世界が全容を知らない都市が、まだたくさんある。」という。 国連については「効果的に機能できていない」と言葉を選ばずに批判した。 ロシアには拒否権がある。 そのため安保理は 1 月末以降、15 回に及んだ会合で、なんらの成果物も出せていない。 「我々が対処しているのは、拒否権を(人びとを)死なせる権利に変えようとしている国家だ。」 そしてゼレンスキー氏は議論ではなく、行動を迫る。 「国際法の時代は終わったと考えているのか。 答えが『ノー』なら、すぐに行動する必要がある。」 モルドバ・トランスニストリア地域における一方的な「分離独立宣言」、クリミア併合、対ジョージア戦争。ゼレンスキー氏はロシアによる過去の行いについて「世界は見ていた。 ただ、そのどれも見たくはなかった。」と言及した。 また、今後そうしたことを起こさないようにするために「ロシア軍、彼らに命令を下した者たちを、戦争犯罪として裁くこと」が必要になると訴えた。
演説はそう締めくくった。 ただ、「あと 1 分、時間をください」と言う。その後、安保理議場モニターに、ウクライナの現地の状況だという映像が流れた。 傷ついた体を井戸の中で丸め、動かない男性。 真っ黒に焼け、年齢も性別も判別できない遺体。 背中の後ろで手足を縛られた人たち。 そんな様子がうつり、すすり泣く市民の声が後ろで流れる。
映像は、そんな文字が映し出されて終わった。 一方、ロシアのネベンジャ大使はウクライナの主張を「偽情報」などとし、欧米諸国については「反ロシアのヒステリーをあおっている」と話した。 映像については「適切な場所で、適切な人によって撮影されたものではない」として、ロシア兵による犯行との疑惑を否定した。 (ニューヨーク = 藤原学思、asahi = 4-6-22) ロシア軍兵士 1,600 人以上のリスト公表 ウクライナ国防省「戦争犯罪に直接関与」 ウクライナ国防省は、首都キーウ近郊のブチャで「戦争犯罪に直接関与した」とするロシア軍兵士のリストを公表しました。 ウクライナ国防省の諜報機関は、4 日、ホームページで、ブチャでの「戦争犯罪に直接関与した」として、ブチャに駐留していたロシアの部隊の名前(第 64 自動車化狙撃旅団)を明らかにした上で、所属兵士リストを公開しました。 あわせて 1,600 人以上、兵士の名前や生年月日、階級、パスポートナンバーなどが掲載されています。 ウクライナ国防省は「すべての戦争犯罪者が、ウクライナ市民に対して犯した罪のために裁判にかけられる」と非難しました。 ブチャでは、多くの市民の遺体が路上で見つかり、ゼレンスキー大統領が「大量虐殺だ」と非難し、国際社会からも批判の声が高まっています。 (FNN = 4-5-22) EU 内でロシア外交官の追放が相次ぐ ドイツ、フランスが先駆け ブチャでの民間人殺害に批判強まる ![]() 【パリ = 谷悠己】 ドイツとフランスは 4 日、両国内の大使館などに勤務するロシア外交官を追放すると発表した。 ウクライナの首都キーウ近郊ブチャでロシア軍撤退後に多数の民間人殺害が確認されたことへの国際的批判が高まる中、欧州連合 (EU) が準備している追加制裁に先駆けて対応した形だ。 両大国の判断に続いて、EU 内でロシア外交官追放の動きが拡大している。 欧州委員会は 5 日、フォンデアライエン委員長とボレル外交安全保障上級代表が週内にキーウでウクライナのゼレンスキー大統領と面会する予定だと明らかにした。 EU は 6 日にも大使級会合を開き、ロシアへの追加制裁内容を決定する。 ベーアボック独外相はロシア外交官が「独国内で保護を求める人たちへの脅威となっている」と指摘。 仏外務省はスパイ行為や偽情報の流布などを念頭に「仏国益に相反する活動をしている」と説明した。 AFP 通信によると、追放人数はドイツが 40 人、フランスが 35 人。 ロシアは対抗措置を取ると表明した。 イタリアとデンマークも 5 日、それぞれ 30 人と 15 人のロシア外交官追放を発表。 既に大使館職員らを追放していたリトアニアは 4 日、ロシア大使も追放すると発表。 ランズベルギス外相は「恐ろしい虐殺が起きたブチャを含むウクライナ諸都市でのロシア軍による残虐行為を受けた措置だ」と明言した。 仏紙ルモンドによると、EU 内では軍事侵攻以降、バルト 3 国とブルガリア、ポーランド、ベルギー、オランダ、アイルランド、スロバキア、チェコがロシア外交官を追放していた。 5 日付同紙は、侵攻後もロシアのプーチン大統領との電話会談を続ける独仏両国が外交官追放に踏み切ったことで「(この動きが拡大する)分岐点となった」と指摘した。 (東京新聞 = 4-5-22) ウクライナ避難者へ 700 件の支援申し出 企業などが仕事や住居提供 ウクライナの戦火を逃れた 20 人が 5 日、はるか遠い日本に政府専用機で到着した。 20 人の中には日本に親族や知人がいない人も含まれる。 全国各地の自治体や民間企業などからは、700 件近い支援の声が上がっている。 政府は 1 日、身寄りのない人を想定した支援パッケージを先行して公表した。 一時滞在先としてホテルを提供したうえで、個人や家庭ごとのニーズに応じ、就労先や住居の提供を申し出た計 679 件(4 日現在)の民間企業や自治体などとのマッチングを進める。 金額は検討中だが、国として当面 6 カ月をめどに生活費や医療費も支給。 通訳や翻訳機の提供のほか、日本語教育や職業訓練、子どもの教育も支援する。 日本には 3 日までにいずれも身寄りがある 404 人が避難した。 出入国在留管理庁は、知人らがいても切実な支援を必要とする場合は、身寄りがない人と同じ支援策の適用を検討するという。 兵庫県姫路市の文化施設「アクリエひめじ」はウクライナ国旗をイメージした青と黄色の夜間ライトアップを続けている。 同市は避難者受け入れの「全面協力」をいち早く表明し、事態の早期収束への思いを込めた。 同市にはかつて国内初の難民支援施設「姫路定住促進センター」があった。 ベトナム戦争後の混乱を逃れた 2,640 人のインドシナ難民を受け入れ、日本語教育や職業訓練が行われた。 今回は実際にどの程度の避難者が来るか分からないが、3 月下旬にプロジェクトチームを作り、市営住宅の提供や、市内の学校の協力を得た教育機会の確保などの準備を進めている。 昨年 5 月には駐日ウクライナ大使が同市を表敬訪問し、姫路城など双方の世界遺産を通じた交流を深めてきた縁もあった。 同市の福永理人・文化国際課長は「インドシナ難民を受け入れた歴史もある。 市として隣人を助けるという思いで、できることは積極的に支援していきたい。」と話した。 全国で「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナル HD は 100 世帯の受け入れを発表し、就業訓練や生活面のサポートを検討している。 担当者は「インバウンドで多くの海外客に利用してもらい、外国籍の従業員も多く抱えている。人道支援としてできることを考えた」と語った。 (田内康介、asahi = 4-5-22) ロシア国債、年内最大の支払い期限が 4 日に デフォルト回避へ奇策も 債務不履行(デフォルト)の懸念が出ているロシア国債をめぐり、4 日に期限を迎える元利払いが注目されている。 これまでの利払いに比べ、今回は元本償還もあり、返済額が大きいからだ。 ロシア政府は対象の国債を事前にルーブルで買い取るという奇策で、デフォルト回避に動いている。 だが、専門家には今回は乗り切れても、当面はデフォルト懸念が続くとの見方も出ている。 ロイター通信によると、ロシア国債は 3 月、5 回の利払い期限を迎えたが、いずれも支払われ、デフォルトを回避している。 ただ、米金融大手 JP モルガンによると 4 日の支払いは元本の償還と利払いがあり、総額は 21.29 億ドル(約 2,600 億円)にのぼる。 ロシア国債関連の支払額としては、年内最大規模という。 そこで、ロシア政府が 3 月末に打ち出したのが、ルーブルによる事前買い取り策だ。 ロイター通信によると、ロシア財務省はすでに国債約 20 億ドルのうち 7 割をルーブルを使って買い戻したという。 主にロシア国内の投資家が応じたとみられる。 残りの 5 億ドル(約 600 億円)超はドルで支払う方針とみられ、デフォルトは回避される可能性が出てきている。 ただ、今回の節目を乗り切れたとしても、デフォルトのおそれがなくなるわけではないとの指摘もある。 野村総合研究所の木内登英氏は「4 日かどうかはわからないが、どこかで限界が来るだろう」とみる。 木内氏によると、次のデフォルトリスクが高まるのは、5 月 27 日の利払い(1 億ドル分)期限日。 米財務省は 5 月 25 日まで、ロシア国債の償還や利払いに関する取引を一連の制裁の対象外にしているが、この例外措置を延長しない可能性があるからだ。 延長されなければ、各国の金融機関は利払いを受ける手続き自体ができなくなる。 一方で、通常デフォルトかどうかを判断する国際的な格付け会社はすでに、欧州連合 (EU) の制裁に従い、ロシア国債の格付けをやめる方針を示している。 そのため、デフォルト状態でもデフォルトが宣告されない可能性もあり、木内氏は「正式にデフォルトが確定しないため、ロシア政府と債権者との間で極めてあいまいで混乱した状況が続くのではないか」と話している。 (江口英佑、asahi = 4-4-22) ゼレンスキー氏、ロシア軍の行為は「ジェノサイド」、「人々を消滅」 ウクライナのゼレンスキー大統領は、3 日に放送さた米 CBS のインタビューで、ロシア軍がウクライナ東部や首都近郊ブチャなどで多くの民間人を殺害したとされることについて「ジェノサイド(集団殺害)だ。 これは国とすべての(ウクライナの)人々を消滅させる行為だ。」などと述べた。 「これはジェノサイドか」との質問に答えた。 ゼレンスキー氏は「私たちはウクライナの市民であり、ロシアの政策に従属したくはない。 それゆえに、私たちは破壊され、絶滅させられようとしているのだ。」との見方も示した。 また、事態の打開に向けて、プーチン大統領に首脳会談を改めて呼びかけた。 (ワシントン = 望月洋嗣、asahi = 4-4-22) 「見渡す限り遺体が散乱」 キーウ近郊の街、多くの民間人が犠牲に ウクライナ国防省のハンナ・マリャル次官は 2 日、首都キーウ(キエフ)の州全体が「占領者から解放された」と発表した。 ロシア軍が撤退した近郊の町に入った欧米メディアの記者からは、多くの民間人が犠牲となった悲惨な状況が明らかにされつつある。 キーウ郊外のブチャに取材に入った AFP 通信の記者は、「静かな並木道には、見渡す限り遺体が散乱していた」と伝えた。 通りでは少なくとも 20 人の遺体が見つかり、全員が民間人の服装をしていたという。 配信された現場写真には、両手を白い布で後ろに縛られていたり、自転車に乗ったまま倒れていたりする遺体が写されていた。 建物は砲弾によって穴が開き、通りには潰れた車が散乱。 スーパーマーケットやカフェ、教会や住宅などが軒並み焼けたり破壊されたりしていて、遺体は駅の外や道ばたにも無造作に置かれていたという。 地元の市長は AFP 通信の取材に「これらの人たちは後頭部を撃たれて殺された」と語った。 市長によると、さらに 280 人の遺体が集団墓地に埋葬されているほか、車の中で殺されてそのままになっている人もいるという。 ブチャはキーウ中心部の北西約 25 キロに位置し、キーウの包囲を狙ったロシア軍と抵抗するウクライナ軍の激しい戦闘が繰り広げられた。 住民によると、町は約 1 カ月にわたり交戦下にあったが、3 月 29 日に 70 台以上のロシア軍の装甲車が町から出てキーウと反対方向に向かった。 同 31 日には砲撃も止まったという。 米紙ワシントン・ポストもブチャで撮影された映像を報じた。 4 月 2 日に SNS に投稿された映像では、通りを走る車から、少なくとも 9 人の遺体が路上に横たわっている様子が確認できた。 英 BBC は 1 日、キーウから西に 30 キロほどの幹線道路沿いの地点で、約 200 メートルほどの区間に 13 人の遺体を確認したと報じた。 ウクライナ軍がこの地域を奪還した直後に現地入りしたという。 路上には銃弾を受けた乗用車や、殺害された民間人の遺体が残されていた。 遺体のうち 3 人はウクライナ軍の軍服を着ており、残りは民間人とみられたという。 遺体には燃やされた跡があり、取材に同行したウクライナ兵は「ロシアはわざと燃やした。自分たちのしたことを隠すために」と述べた。 ロシア軍が急いで撤退したためか、道路脇には食事をした跡やビール瓶なども散乱。 ウクライナ側の攻撃を受けて破壊された軍用車両も残されていた。 また、米紙ニューヨーク・タイムズは 2 日、キーウ西郊の街、ドミトリフカの様子を伝えた。 ウクライナ軍部隊の案内で街に入ったところ、市民の車が高速道路沿いで燃えて放置されていたり、銃弾の痕が残っていたりしたという。 案内した隊員によると、砲弾を受けた車の中で、夫婦と子どもが亡くなっていたという。 戦闘に参加したウクライナ軍の隊員によると、ロシア軍は北へ向かって撤退。 ウクライナ軍はその後方部隊に戦車戦で打撃を与えたという。 この隊員は「ロシア軍の撤退は包括的であるため、キーウ地域に戻ってくるとは思えない」と語ったという。 (ワシントン = 高野遼、合田禄、asahi = 4-3-22) ロシア軍撤退後のキーウ近郊の凄惨な状況が明らかに ロシア軍が一時制圧していたウクライナの首都キーウ近郊の凄惨な状況が明らかになってきました。 首都キーウ近郊のイルピンでは 1 日、ロシア軍の撤退後、初めて赤十字国際委員会が現地に入りました。 街中に人影はなく、住宅や商業施設など大半の建物がロシア軍の攻撃で破壊されています。 赤十字国際委員会によりますと、現地には住民 3,500 人が残っているとみられ、負傷者の応急処置を行ったほか、支援物資を届けたということです。 また、ロイター通信によりますと、同じくキーウ近郊のブチャでは、路上に民間人とみられる数多くの遺体が放置されていて、市長は「住民 300 人以上がロシア軍に殺害された」と話しています。 ウクライナ政府がキーウ州全域の奪還を発表するなど、北部でウクライナ軍の反転攻勢が続く一方、ロシア軍の侵攻による現地の凄惨な状況が明らかになっています。 (テレ朝 = 4-3-22) |