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ゼレンスキー大統領演説、日本に合わせてマイルドに? 識者が解説

ロシアから侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は 23 日、日本の国会でリモート演説した。 「アジアで初めてロシアに圧力をかけたのは日本」と感謝した上で、ロシアへの継続した制裁の強化を訴えた。 これまで各国議会の演説で、その国ごとに琴線に触れるエピソードを披露し、国民の感情に訴えてきたゼレンスキー氏。 日本の演説はどうだったのか。 欧州政治に詳しい鶴岡路人・慶応大准教授(国際安全保障)に聞いた。

- - 演説を見て、どのように感じましたか。

どこまで日本向けにアレンジしたのか分かりませんが、他国での演説と比べても非常にソフトな内容でした。 あえて言えば無難だったかもしれません。 もう少しきつい言い回しなどがあるかと懸念しましたが、非常にマイルドで、日本のこれまでの役割に感謝するというトーンが強かった。 要求の部分では、各国での演説とほぼ一緒で、制裁の強化、禁輸、企業のロシアからの撤退。 この辺りの受け止め方は様々だと思いますが、中身は非常に穏当。 想像の範囲内でした。

議会で演説する目的は、国民の代表である議員を通じてその国の国民に訴えかけ、それぞれの国民のウクライナに対する「共感スイッチ」を押すことです。 日本での「共感スイッチ」は原発の話。 チェルノブイリの事故から話を始めて、かなり長めに触れていました。 福島への言及はあえてしなかったのだと思います。 「日本人は、原発事故は一緒に懸念してくれるよね」という前提だったのではないでしょうか。

- - 私も「無難」だと感じました。 日本にあまり期待していないのではないかとすら感じてしまいました。

それは違います。 日本の場合は、装備品の供与みたいなことは一切触れられていないので、求められているのは制裁の強化だけ。 目的も、「戦争に参加してくれ」というメッセージを込めた米英とは違う、ということだと思います。 日本の場合は制裁。 日本は大国ですから。 日本がしっかり制裁することは大事だと理解しています。

- - 国際機関の改革で、日本の存在感を求めるような内容もありました。

正直、それが要求の柱だったのかは判断しかねるところです。 「国連は機能していない」という一般的な話だったのかもしれませんが、戦後を見据えて日本のリーダーシップへの期待を表明したのは興味深いです。 ただし、この切羽詰まった状況で、何年かかるかわからない国際機関を改革することは、最優先課題ではないと思います。 前後を合わせたメッセージとしては、「アジアで最初にロシアに圧力をかけた」と言っていましたよね。 ここは勝手に行間を読むと、「アジアにおける対ロ包囲網の強化に関して日本に期待していますよ」ということなんでしょうが、明確にそこまでは言っていなかったですね。

- - 他国と比べてもマイルドな内容ですか。

これは意図的というか、しかるべきアドバイスがあったと考えるのが適切では。 日本人の国民性に結果としては配慮したのだと思います。 ドイツでは正反対のアプローチで、ロシアとの経済関係を深めることでこれまで戦費を稼がせ、結果としてウクライナとの間に壁を築いてきたと批判しました。 それは、ドイツ国内に、そういう批判の声があることをわかって言ったわけです。 日本人のメンタリティーに合わせた結果なのだと思います。

- - 今回、一番注目すべきポイントは。

制裁の強化を求めたというのは、中身としてはそうなのですが、総理以下、日本の国会議員がいる国会という舞台で演説が実現した、ということが、あえていうならポイントだと思います。 衆院議長、参院議長のあいさつもよかったです。 日本との連帯を示す場として、日本にとっても成功だったと思います。 (聞き手・牛尾梓、asahi = 3-23-22)


反転攻勢のウクライナ軍「キエフ西方の街を奪還」 南東部でも激戦

ロシア軍のウクライナ侵攻から 24 日で約 1 カ月となるのを前に、ウクライナ軍が反転攻勢を強めている。 地上侵攻に手間取るロシア軍は、長距離砲撃を多用。 巻き込まれた住宅地や民間施設で、市民の犠牲が増え続けている。 ウクライナ軍は 22日、ロシア軍に制圧されていたキエフ西方の街マカリフを、激しい戦闘の末に奪還したと、ウクライナのメディア「キエフ・インディペンデント」が伝えた。 キエフからこの街を通って西に延びる高速道路も、ウクライナ側が確保したという。

同様にロシア軍が制圧していた東部イジュームでも、ウクライナ軍が押し返していると、仏ルモンド紙が報じた。 同紙は、ロシア軍がチェルニヒウやマリウポリなどいくつかの都市を集中して攻撃していると指摘。 一方で、3 月初旬以降は大規模な攻勢がなくなった、との専門家の分析も紹介した。 米国防総省のカービー報道官は 22 日の記者会見で、ウクライナ軍が一部の地域で「攻勢に出ている兆しがある」との見解を示した。 「南部ヘルソン付近などで、適切な場所を守り、領土を取り返そうとしている」と分析。 「ウクライナ軍は数日前に反撃を予定していると言っていたが、その方向に向かっている兆候がみられる」と語った。

一方、ウクライナ東部を中心とした都市へのロシア軍のミサイル攻撃などは続く。 ウクライナ軍参謀本部は 22 日、ロシア軍が住宅地や学校、病院、民間企業などを攻撃していると非難。 地上でも略奪や暴行を繰り広げていると批判した。  ロシアのペスコフ大統領報道官は 22 日の米 CNN のインタビューで、ロシアが「存亡の危機」に直面すれば、核兵器使用は可能だとする考えを示した。 「プーチン大統領は核兵器を使用するか」と問われた報道官は、「もし我々の国が存亡の危機になれば、核兵器は使用できる」と述べ、ウクライナ侵攻をめぐる核兵器の使用の可能性を否定しなかった。 プーチン氏は 2 月下旬に核戦力を含む抑止力を「特別態勢」に移すように命じている。

また、米国防総省高官によると、激しい戦闘が続く南東部の港湾都市マリウポリでは、アゾフ海に展開したロシア軍艦艇が市内に砲撃している可能性が高い。 7 隻程度の軍艦が確認されている。 マリウポリ市内に侵入したロシア軍も多数みられ、ウクライナ側も都市陥落を防ぐため、激しく抵抗しているという。 マリウポリ市当局は SNS で、市内のインフラの 8 割が破壊されたと発表した。 拠点病院の一つでは 95 人いた医師が 9 人になり、ディーゼル発電機で光をともして手術や治療にあたっているという。 (ワシントン = 合田禄、リビウ = 国末憲人、asahi = 3-23-22)


マリウポリ、10 秒で 9 発 "爆撃の瞬間" … 市民 3,000 人超死亡か チェチェン部隊も参戦

ロシア軍の包囲が続く、ウクライナ南東部の都市・マリウポリ。 マリウポリではこれまで、市内にある住宅およそ 8 割が破壊され、3,000 人以上が死亡した可能性があるということです。 (テレ朝 = 3-23-22)

マリウポリ爆撃 … 死者 3,000 人超か

ウクライナ南東部のマリウポリで、激しく燃え上がる、炎と黒煙。 22 日、ウクライナ軍が公開した工業地帯を次々爆撃するロシア軍の映像です。 10 秒足らずの間に、9 回の爆発が確認できます。 マリウポリの街中で、ウクライナ軍が反撃する様子では、激しい銃撃戦が行われ、ロシア軍の車両を攻撃しています。 マリウポリの海をパトロールするロシア軍の船に、ウクライナ軍が砲撃する様子もあります。 攻防戦が続くなか、新たにロシア・チェチェン共和国の部隊が、この街に入ったといいます。 22 日、CNN の生中継に出演したマリウポリの副市長は、次のように話します。

マリウポリ副市長 : 「推定インフラの 9 割が破壊され、3 分の 1 はもはや補修ができません。 人道支援物資が受けられないし、食料も水も電気もエネルギーの供給も止まっています。 爆撃が継続的に 50 から 100 発、毎日ロシアが爆弾を投下しています。」

マリウポリの人口は、およそ 40 万人。 国際人権団体によると、これまでに 3,000 人以上の市民が死亡した可能性があり、人口のおよそ半数にあたる 20 万人が市内に残されているとしています。

マリウポリからの避難者 : 「私たちは、マリウポリからやってきました。 街はもう、90% くらいは破壊されています。 家も何も残っていません。」

キエフ周辺に "複数の大砲" … 避難へ

ウクライナ各地で戦闘が激化するなか、首都キエフに迫るロシア軍の様子が捉えられていました。 21 日、キエフ中心部から約 25 キロの距離にある空港周辺を撮影した衛星写真では、大砲とみられるものが複数並んでいるのが確認できます。 また、キエフ中心部から南東約 30 キロに位置し、国内最大の国際空港があるボリスピリでは、ロシア軍の攻撃が迫ってきているとして、市長が緊急避難を呼び掛けました。 首都キエフにある集合住宅。 窓ガラスはすべて割れた状態で、応急処置を施すしかありません。

住民 : 「ガスも暖房も電気もない。 水だけ。 お湯が出るか分からない。 全部破壊された。」

2 度目の外出禁止令 … 爆発音も

現在、キエフには、攻撃の恐れがあるとして、2 度目の外出禁止令が出されています。

フォトジャーナリスト クレ・カオルさん : 「先ほど、大きな爆発がありました。 車のブザーなども聞こえていると思います。 今、外出禁止が発令されていますから、外は歩けないんですけど、状況を確認します。」

閑散としている市街地に、サイレンの音が鳴り響いています。 上空に激しく黒煙が立ち上る様子も見られます。 外出禁止令が出されているなか、ロシア軍の攻撃は続いています。 キエフにとどまり、取材を続けているのが、香港のフォトジャーナリスト、クレ・カオルさんです。

クレ・カオルさん : 「街には誰もいません。 きょうも引き続き、ちょこちょこ爆撃音が聞こえてきます。 きのうはやっぱり、買い物をする人が多かったですね。 ショッピングモールが壊されて、市民たちはちょっと緊張感を持っていますね。」

21 日夜、爆撃されたキエフ市内のショッピングモール。 クレさんが現在滞在している建物の住民が、当時の様子を語りました。

クレさんと同じマンションの住民・イリーナさん : 「あまりにも音と衝撃が強かったので、その瞬間は、自分のマンションに命中したんじゃないかと思ったほどでした。 ショッピングモールは、近所の人々が集う憩いの場だったので、本当に胸が痛みます。」

商業施設爆撃 … SNS 投稿で男性拘束

一夜明け、クレさんは爆撃された現場を取材。 黒煙が上がり、建物は鉄筋がむき出しになるほど、破壊されています。 このショッピングモールへの攻撃を巡り、22 日にウクライナ保安庁は、付近の軍用車両の様子を SNS に投稿した男性を拘束しました。

軍の情報を投稿し拘束された男性 : 「自分の間違いを反省して、被害に遭った皆さんに謝罪したいです。 本当にすみません。」

当局によると、この男性が投稿した情報を利用して、ロシア軍が攻撃を行ったということです。 これを受け、ウクライナ政府は、市民に対して、軍の情報を SNS に投稿しないよう呼び掛けています。

ポーランド国境 避難者が抗議デモ

ウクライナから避難した人が 200 万人を超えた、隣国のポーランド。 ベラルーシに続く国境付近で、緊迫したデモが起きました。

トラック運転手 : 「いい加減にしろよ。 もう先週の月曜日から話し合ってきただろう。 このデモの責任者は誰なんだ!」

ウクライナから避難してきた人々が、ロシアと同盟関係を結ぶベラルーシへの物流を止めるため、トラックを通さないよう抗議デモを続けています。 暴れるトラック運転手の男性を警察官が制止させようとするも抵抗。 すると、催涙スプレーを掛け、地面に押さえ付け、そのまま拘束しました。

デモ参加者 : 「分かってほしいですが、トラック(商品)がベラルーシに入れば、そのお金がすべて私たち、ウクライナに不利になります。 すべて(死者を生み出す)血になるんです。 私自身は、最後までここに立ちます。 最後まで。」

"アナ雪" 少女 避難先で「国歌」

戦火が続くウクライナからポーランドに避難した人の中には、首都キエフの防空壕で、ディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌を歌っている動画が話題となった、7 歳のアメリア・アニソビッチちゃんがいます。 避難する人々を励ました歌声は、SNS で世界中に拡散されました。 そして、避難先のポーランドで開かれた、チャリティコンサート。 数千人の観衆を前に、ウクライナ国家をアカペラで熱唱。 会場に美しい歌声が響き渡ります。 会場中に歌声を届けたアメリアちゃんに、大きな拍手が巻き起こりました。

国営テレビ "拘束女性" 「私は愛国者」

世界中で反戦の動きが広がるなか、22 日、マリーナ・オフシャンニコワさんが、テレビ朝日の単独インタビューに応じました。

オフシャンニコワさん : 「テレビ局はきのう、私に裏切り行為があったとして非難した。 "イギリスのスパイだ" と、すごくショックを受けています。 だって、私は真の愛国者だから。」

ロシアの国営テレビで生放送中に反戦を訴え、一時拘束された女性スタッフです。

オフシャンニコワさん : 「いまだに信じられません。 まさか成功するとは思わなかった。 警備が厳しく、スタジオの入り口には警察官がいます。 キャスターのそばには誰も近付けないんです。 ディレクターに邪魔されないか心配だったけど、気が付かなかった。 そして、キャスターの後ろで、プラカードを掲げました。 その後、テレビ局の上層部がやってきました。 最初に言われたのが『君がやったのか?』と。 『そうです、私です』と答えました。」

オフシャンニコワさんは、すでに辞表を提出。 今後、刑事罰に問われる可能性もありますが、愛国者としてロシアにとどまり、今は裁判の準備を進めているといいます。

オフシャンニコワさん : 「ロシア国民の多くは、戦争に反対していますが、デモに行くのが怖い。 彼らは心の中で、この流血に反対しています。 これは一人の男の戦争です。 プーチンの戦争です。」


ウクライナ、ロシアの最後通告受け入れず 大統領表明 紛争激化

[マリウポリ/リビウ/キエフ] ウクライナのゼレンスキー大統領は 21 日、ロシアが南東部マリウポリのウクライナ軍に武器を捨てるよう要求したことに対し、ウクライナはロシアからの最後通告を受け入れないと表明した。 ロシア国家防衛管理センターのミジンツェフ所長はモスクワ時間 21 日午前 10 時(日本時間同午後 4 時)にマリウポリから東西に向けて民間人の人道回廊を設定すると表明。 モスクワ時間同日午前 5 時までにこの提案に回答し、武器を捨てるようウクライナ側に要求した。

これに対しゼレンスキー氏は、ウクライナはロシアの降伏要求に決して屈しないとし、首都キエフのほか、マリウポリやハリコフなどの都市がロシアに占領されることはないと表明。 「従えば戦争を終結させるという最後通告を突きつけられている。 こうした最後通告は受け入れられない。」と強調した。 また、戦争終結に向けたいかなる妥協案も、ウクライナの国民投票で決定される必要があると述べた。 ウクライナのメディアによると、ベレシュチュク副首相も「いかなる降伏も、武器を捨てることもあり得ない」とし、「ロシア側に既に伝えた」と述べた。

攻撃激化

マリウポリがロシア軍による攻撃の中心地となる中、21 日にはハリコフでも攻撃が激化していることが確認された。 ハリコフの市長によると、住宅を中心に数百棟の建物が破壊されたという。 「最悪の事態が過ぎ去ったとは言えない。 常に爆撃を受けている。」と述べた。 また、首都キエフでは 20 日夜、ショッピングセンターが爆撃を受け、少なくとも 8 人が死亡した。 ロシア軍の攻撃が続く中、キエフのクリチコ市長は 21 日、外出禁止令を強化し、市民に対し自宅またはシェルターにとどまるよう呼び掛けた。

ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は 21 日、「ショッピングセンター付近はロケット弾の保管や多連装ロケットランチャーの再装弾のための大型基地として使用されていた」と主張。 高精度の長距離ロケット弾がショッピングセンター内のウクライナ製多連装ロケットランチャーや弾薬庫を破壊したと述べた。 ウクライナ軍によると、南部ヘルソンでは親ウクライナ派の抗議集会を解散させるためにロシア軍が銃や音響閃光弾(スタングレネード)を使用したという。 ヘルソンはロシアのウクライナ侵攻開始後に初めて制圧された主要都市で、制圧後、住民グループはヘルソンの中心部で定期的に集会を開き、ロシア軍による占領に抗議している。

和平交渉再開

和平交渉は 21 日に再開され、ベレシュチュク副首相は 21 日、民間人を戦闘地域から安全に退避させる 8 つの「人道回廊」の設置についてロシア側と合意に達したと述べた。 ただ、その中にマリウポリは含まれていないとし、これ以上の詳細は明かさなかった。 バイデン米大統領は 21 日、独仏英伊の首脳と電話会談し、ウクライナにおけるロシアの「残忍な」戦術への協調対応を巡り協議した。 ホワイトハウスが明らかにした。

一方、欧州連合 'EU) 外相は 21 日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアの原油部門に対する制裁措置の導入について討議したものの、見解は一致しなかった。 EU の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ロシア軍によるウクライナ南東部のマリウポリに対する攻撃は「著しい戦争犯罪」と非難。 ロシアに対する圧力を高める必要があるとし、記者会見では EU は「ロシアを孤立させ続ける」としたが、具体的な決断はまだと述べた。 (Reuters = 3-22-22)


ロシア軍、軍事訓練場にミサイル攻撃「外国の傭兵ら 80 人以上殺害」

ロシア国防省は 21 日、ウクライナ北西部リウネ州の軍事訓練場に対し、ミサイルによる攻撃を実施したと発表した。 「外国の傭兵などの訓練施設を高精度の空中発射巡航ミサイルで攻撃し、傭兵ら 80 人以上を殺害した」と主張した。 リウネ州の軍事訓練場をめぐっては、同州の地元当局者も 21 日、ロシア軍のミサイル 2 発が着弾したと発表していた。 (asahi = 3-21-22)


ウクライナの国内外の避難民が 1 千万人に 人口の 4 人に 1 人に相当

ロシア軍によるウクライナ侵攻をめぐり、グランディ国連難民高等弁務官は 20 日、自身のツイッターで、ウクライナの国内外に避難した人が 1 千万人に達したと明らかにした。 グランディ氏は投稿で「ウクライナの戦争は壊滅的だ。 国内での移転や、国外への難民など 1 千万人が避難した。」と記した。 日本の外務省によると、クリミアを除いたウクライナの人口は計 4,159 万人で、4 人に 1 人が避難した計算となる。 (asahi = 3-20-22)


また避難所爆撃 … マリウポリに攻撃続く 「ロシアに連れ去り」情報も

ロシア軍の激しい攻撃を受けているウクライナ南東部の港湾都市マリウポリ市の当局は 20 日、住民 400 人が避難している芸術学校が 19 日にロシア軍に爆撃されたと SNS で発表した。

16 日に空爆された劇場と同様、多数の避難者ががれきの下敷きになっているという。 市当局はロシア軍が住民をロシアに強制的に連れ去ったとも主張している。 市当局によると、芸術学校に避難していたのは主に女性や子ども、老人で、被害の詳細は不明。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 20 日未明、SNS に公開した演説動画で「マリウポリ包囲は、戦争犯罪の責任の歴史に刻まれるだろう。 平和な都市に占領者たち(ロシア軍)が行ったことは数世紀にわたり記憶されるテロ行為だ。」と非難した。

ウクライナメディアによると、マリウポリを代表する金属コンビナート「アゾフスターリ」が 18 日に激しい空爆を受け、その後も攻防が続いている。 デニセンコ内務相顧問は 19 日のテレビ放送で「欧州でも有数の規模の工場が壊滅させられた」と話した。 アゾフスターリは、人口 43 万人のマリウポリで約 1 万人を雇用する。 ウクライナの国会議員レシア・ヴァシレンコ氏は 20 日、コンビナートが連続で爆撃され、複数の黒煙を上げる動画をツイッターに投稿。 「ウクライナの経済的な損失は巨大で、環境も破壊される」と憤った。

また、市当局は 19 日の SNS への投稿で、東部の住宅地のスポーツ施設に避難していた千人以上の住民の一部が、ロシア軍によってロシアに連れ去られたと伝えた。 住民らは選別のための収容施設に連れて行かれ、電話や身分証明書を調べられた後、一部がロシアに移送された。 住民はウクライナのパスポートを取り上げられているという。 ボイチェンコ市長は「21 世紀に人々が無理やりよその国に連行されるなど理解しがたい。 ロシア軍は私たちの平和なマリウポリを破壊するだけではなく、住民の追放も始めた。」と非難した。

こうした中、「人道回廊」を通じての避難も続いている。 ティモシェンコ大統領府副長官は 19 日、マリウポリから子ども 1,172 人を含む 4,128 人が人道回廊を通じて避難したと SNS に投稿。 マリウポリ市当局は 20 日、この 1 週間で 3 万 9 千人以上が自家用車で避難をしたと SNS で明らかにした。

一方、ロシア国営のノーボスチ通信によると、ロシアが 2014 年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア当局は「クリミアに入った 1 万 1 千人のうち大半がマリウポリからだ」と話した。 別のロシアメディアは、ウクライナ軍がマリウポリの住民を「人間の盾」にしたとの主張を伝えた。 ロシア軍が攻撃している事実を隠し、根拠のない「偽情報」を国内外に拡散する狙いがあるとみられる。

また、ロシア国防省は 20 日、ウクライナ南部ミコライウ州コンスタンチノフカの燃料貯蔵施設を極超音速ミサイル「キンジャル」などで破壊した、と発表した。 19 日には西部デリアティンの地下弾薬庫への攻撃にも使われており、事実と確認されれば 2 回目の使用となる。 同省によると、クリミア半島の上空から軍用機がキンジャルを発射し、カスピ海に展開する艦艇が巡航ミサイルで攻撃した。 この施設は、ウクライナ南部に展開するウクライナ軍への主要な燃料供給拠点だと説明している。

国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) は 19 日、ロシア軍の侵攻が始まった 2 月 24 日から 3 月 18 日までに、一般市民 847 人が死亡したと発表した。 負傷者は 1,399 人に上るという。 ただ、マリウポリなどの激戦地からの報告が遅れるなどしているため、OHCHR は「実際の数はかなり多い」とみている。 確認された一般市民の犠牲者のほとんどは、重火器や多連装ロケットシステムによる爆撃、ミサイル、空爆といった広範囲に影響を及ぼす爆発性兵器の使用によるものだという。 (松尾一郎、パリ = 遠藤雄司、asahi = 3-20-22)


ロシア軍兵士が約 1 万 4,400 人死亡 ウクライナ外務省

ウクライナ外務省はロシア軍兵士 1 万 4,400 人近くが死亡したと発表した。 ウクライナ外務省は 19 日、1 万 4,400 人近くのロシア軍兵士がウクライナで死亡したと公式 Twitter で発表した。 また、ロシアの航空機 95 機とヘリコプター 115 機、装甲車 1,470 台、大砲 213 台などを破壊したとしている。 一方、ロシア側から死傷者についての発表はほとんどなく、2 日に国防省が公表した兵士 498 人の死亡が最新の数字となっている。 CNN テレビはアメリカと NATO = 北大西洋条約機構の関係者の話として、ロシア軍の死者は 3,000 人から 1 万人の間だと報じている。 (テレ朝 = 3-20-22)


ロシア軍、最新鋭兵器「キンジャル」を初使用か 極超音速ミサイル

ロシア国防省は 19 日、ウクライナ西部イワノフランキフスク州デリアティンのウクライナ軍の地下弾薬庫を、航空機から発射する極超音速ミサイル「キンジャル」(両刃の短剣)で破壊した、と発表した。 確認されれば、ウクライナ侵攻でのキンジャルの使用は初めてとみられる。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所 (CSIS) などによると、キンジャルは射程 2 千キロで、時速 1 万キロを超える極超音速で飛ぶとされるロシア軍の最新鋭兵器で、核弾頭を搭載可能。 地上発射型の短距離弾道ミサイルから発展したものとみられている。 2018 年 5 月にモスクワであった軍事パレードでは、赤の広場上空を飛行する軍用機ミグ 31K の胴体下に取り付けられた状態で公開された。

また、ウクライナ侵攻直前の今年 2 月、プーチン大統領が指揮を執った軍事演習で、キンジャルの発射実験が行われたと報じられていた。 一方、地元メディア「ウクライナ・プラウダ」によると、軍当局者は「どういったミサイルが使われたかは確認できない」と話しているという。 また、弾薬庫があるとされる現地の詳しい被害状況もまだ明らかになっていない。 (松尾一郎、asahi = 3-19-22)


バイデン氏と習氏が互いに「警告」 ウクライナ・台湾巡り議論平行線

ロシアのウクライナ侵攻後初となった 18 日の米中首脳協議では、両首脳がこの問題をめぐる互いの主張をぶつけた。 バイデン米大統領は中国がロシアを支援すれば「結果」が伴うと警告し、習近平(シーチンピン)国家主席は「全方位的、無差別な制裁を実施しても苦しむのは庶民だ」と制裁による圧力に反対した。 議論は平行線をたどり、国際社会の分断を色濃く映し出す結果となった。

テレビ電話形式の協議は約 2 時間にわたり、米政権高官によると、ウクライナ問題が大半を占めた。 バイデン氏は習氏に対し、米国が北大西洋条約機構 (NATO) やインド太平洋地域の友好国と団結していると強調し、「中国がロシアに物質的な支援を行うことがもたらす影響と結果について明確に伝えた」という。 中国が経済制裁の対象になることを示唆するものだ。

米国が持つ警戒、中国がにじませた考え

米政権は、中国がロシアへの軍事・経済支援に踏み切る可能性が高いとみて警戒している。 ブリンケン米国務長官は 17 日、中国が対ロ支援を行えば「代償」を支払わせると明確に伝える、と語っていた。 政権高官は「影響と結果」の具体的な中身については言及を避けたが、首脳協議後の記者会見でサキ大統領報道官は「制裁も手段の一つだ」と話した。

一方、中国外務省によると習氏は「現在のウクライナ情勢は、中国も望まないものだ。 中国はずっと戦争に反対している。」と強調。 そのうえで「各国がロシアとウクライナの交渉を支持すべきだ。 米国と NATO もロシアと対話し、ロシア・ウクライナ双方の安全保障上の懸念を解消しなければならない。」と、NATO の東方拡大に反対するロシアへの配慮を求めた。 中国が平和交渉を仲介する可能性については、「カギを握るのは当事国が政治意思を示して解決方法を探し出すことだ。 その他の国は条件を作り出さねばならない。」とし、積極的には動かない考えをにじませた。

両首脳は、台湾問題についても議論した。 習氏は「米国の一部の者が『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送っており、非常に危険だ。 台湾問題をうまく処理しなければ、両国関係に破壊的な影響をもたらす。」と、逆に米側を警告。 米政権高官によると、バイデン氏は「一つの中国」政策は維持しているとしたものの、台湾海峡における中国の挑発的な行動に懸念を表明したという。 両首脳は対話の継続では一致したが、ウクライナ問題の解決へは「各自が努力する」とするなど、溝の深さが際立った。(北京=冨名腰隆、ワシントン=園田耕司、asahi = 3-19-22)


マリウポリ、人道危機 民間人 2,300 人犠牲・「電気も水もない」 ウクライナ侵攻

ロシア軍の包囲が続くウクライナ南東部マリウポリで、人道危機が深まっている。 水や電気を断たれ、食料も不足している模様だ。 住宅や病院への攻撃が連日伝えられ、民間人の犠牲は当局発表で 2,300 人を超えた。 ロシア軍の戦争犯罪を問う声が強まっている。 16 日夕、爆撃されたマリウポリの劇場は人口 43 万の港湾都市を象徴する建物だ。 旧市街に 1960 年代に建設され、周辺は市民の散策スポットだった。

ロシア軍は侵攻開始後まもなくマリウポリを包囲。 2 月 28 日からミサイルや砲弾で集中的な攻撃を始めた。 周辺部の市街地はほとんど破壊され、劇場に避難していたとされる約 1 千人には、こうした地域からの人もいる模様だ。 市当局は爆撃直後、中央部が崩れ落ち、黒煙を上げる劇場の写真を SNS に投稿した。 ウクライナのクレバ外相は「避難所だったことをロシア軍が知らなかったはずはない」とツイート。 市当局は SNS に「私たちは絶対に許さない」と書いた。

今月 9 日には、子どもを含む 4 人が死亡した市内の産科病院への爆撃が世界を揺るがせた。 一方、ドネツク州知事は 16 日、市内の別の州立救急病院で 400 人が「(ロシア軍に)人質にとられた」と SNS に書き込んだ。 周囲の高層住宅群が砲撃や爆撃で燃え上がり、多数の住民が病院に逃げ込んでいたという。 両国の合意により、マリウポリでは 5 日から計 20 万人の避難が始まるはずだった。 しかし攻撃はやまず、避難のため送られたバスも近づけない状態が続いた。 乗用車 160 台を連ねた第 1 陣が出発できたのは 14 日だった。 15 日には 4 千台で約 2 万人以上が避難した。

一方で、水や食料を積んだ救援物資のトラックは約 80 キロ離れた都市で足止めを強いられたまま。 16 日に市内から避難した女性は、英 BBC ラジオに「戦争が始まった直後に小麦粉を買いこんだが、その後、家では電気、ガスも水もなくなった」と語った。 ロシア軍は「民間施設を攻撃していない」とする。 しかし市内に残った AP 通信記者が撮影した映像は、ロシア軍の戦車が高層アパートに砲弾を浴びせる様子を伝えている。 攻撃で子供を失った女性は、AP の記者に「誰が子供を返してくれるの、誰が」と泣きながら語ったという。

市当局はこれまでに確認できた死者を約 2,300 人とする。 遺体は正式な埋葬ができず、市内の野原に掘られた「集団墓地」に並べて埋められている状態だ。 国際刑事裁判所 (ICC、オランダ・ハーグ)のカーン主任検察官は今月 2 日、ロシア軍のウクライナ侵攻について、戦争犯罪や人道に対する罪、集団殺害(ジェノサイド)の罪で捜査を開始したと発表した。

■ >b>「ロシア軍、降伏迫るため」 米研究所分析

マリウポリは、親ロシア派武装勢力が東部の一部地域を占拠した 2014 年春から、ロシアにとって戦略的に重要な地域だった。 東の親ロシア派支配地域との距離はわずか数十キロ。 さらにアゾフ海を西に進めば 14 年 3 月にロシアが併合したクリミア半島がある。 両者の「回廊」にあたるマリウポリを制圧すれば、ロシア系住民の多いウクライナ南東部を支配する拠点になるとみられたからだ。

ロシア軍による包囲は 3 月 1 日ごろから始まった。 米国防総省によると、ロシア軍は無理に地上侵攻を急がず、郊外から住宅街や民間施設への空爆、ミサイル攻撃を続けてきた。 衛星写真では住宅地から炎や煙が上がり、市街地の様子が確認できる。 米戦争研究所は 16 日、「ロシア軍は降伏を迫るために民間施設を標的に戦争犯罪を繰り返している」と分析。 ウクライナ側の弾薬や水の備蓄次第だが、近く制圧や降伏に追い込まれる可能性が高いと指摘する。 (ワシントン = 高野遼、asahi = 3-18-22)


バイデン大統領、武装ドローン 100 機をウクライナに提供へ - 関係者

米国がウクライナに追加提供する兵器には、地上から射出用のチューブを使って発射し標的を攻撃できる武装ドローン 100 機が含まれる。 計画に詳しい複数の関係者が明らかにした。 このドローンは米エアロバイロンメント製の「スイッチブレード」で、急降下して標的を爆撃する。 2010 年にタリバン掃討のためアフガニスタンに密かに派遣された米軍部隊に配備されていた。 長さ 24 インチ(61 センチメートル)弱、重さ 6 ポンド (2.7kg) 程度とリュックサックで携行可能なサイズで、コストはわずか 6,000 ドル(約 71 万円)。

米国防総省の高官 1 人はこのドローンについて、強い攻撃力を持つ武器だと説明しており、「空飛ぶショットガン」と呼ぶ軍当局者もいる。 バイデン米大統領は 16 日、軍事支援の一環としてウクライナにドローンを提供する意向を表明したが、詳細には触れなかった。 事情に詳しい複数の関係者は、提供されるドローンがスイッチブレードであることを確認した。 16 日の米株式市場で、エアロバイロンメントの株価は 9.8% 高の 81.47 ドルで終了。 終値ベースで昨年 11 月 29 日以来の高値を記録した。 (Anthony Capaccio、Roxana Tiron、Bloomberg = 3-17-22)


「数百人」避難の劇場に空爆 ウクライナ南部マリウポリ

ロシア軍に包囲されるウクライナ南部の港湾都市マリウポリの当局は 16 日、「数百人」の民間人が避難している劇場が、ロシア軍の空爆を受けたと発表した。 同市当局はメッセージアプリのテレグラム (Telegram) への投稿で、「数百人が避難している劇場をロシア軍が意図的に破壊した」と説明。 当局が投稿した写真には、劇場の中央部分が完全に破壊され、がれきから煙が立ち上る様子が写されている。

米宇宙技術会社マクサー・テクノロジーズが提供した今月 14 日撮影の衛星画像からは、劇場の両側の地面にロシア語で「子ども」と書かれたメッセージが確認できる。 市当局は現在、人的被害の確認を試みているが、周辺で続く砲撃に阻まれているという。 一方、ウクライナ当局によると、北部チェルニヒウでは同日、パンの配給を受け取るために並んでいた人々がロシア軍の攻撃を受け、10 人が死亡。 さらに集合住宅が砲撃を受け、がれきの中から子ども 3 人を含む 5 人の遺体が収容された。 (AFP/時事 = 3-17-22)


ウクライナ検察当局「子ども 108 人死亡」

ウクライナ検察当局は 17 日、ロシア軍のウクライナ侵攻で、同日朝までに子ども 108 人が殺害され、120 人以上が負傷した、と公式サイトで発表した。 発表によると、16 日にロシア軍の爆撃を受けた南東部マリウポリの劇場には「約 1 千人の民間人、ほとんどが女性と子ども」が避難していたといい、「砲撃が続いており、正確な犠牲者数は不明。 最初に判明した犠牲者には子どもが含まれている。」としている。 (asahi = 3-17-22)


中欧 3 首脳、戦火のキエフに異例の訪問 「対岸の火事」ではない危機

ポーランド、チェコ、スロベニアの各首脳が 15 日、ロシア軍の砲撃が続くウクライナの首都キエフを訪問し、ゼレンスキー大統領らと会談した。 戦火のただ中に外国トップが足を踏み入れるのは極めて異例だ。 3 首脳は欧州連合 (EU) を代表し、ウクライナへの支援と連帯を確認。 ロシアの侵攻が欧州にとって「ひとごとではない」との強いメッセージを打ち出した。

キエフではロシア軍の砲撃、空爆が続き、市民に多数の犠牲者が出ている。 3 首脳ら一行はウクライナ上空で同国とロシアの制空権争いが続く 15 日朝、ポーランドを列車で出発。夜に会談が始まった。 ゼレンスキー氏らウクライナ側と、ポーランドのモラビエツキ首相、チェコのフィアラ首相、スロベニアのヤンシャ首相らが、会議室に置かれた白い長テーブルを挟んで、向かい合って議論した。 ポーランドの与党「法と正義」党首で、ポーランドの最高実力者とされるカチンスキ副首相も同行した。

ゼレンスキー氏「勝利できると確信」

ウクライナ大統領府によると、会談では、ウクライナへの軍事面での支援やロシアへの制裁強化、ウクライナの EU 加盟の見通し、戦後の復興計画などが議論された。 ゼレンスキー氏は会談後、「ロシアの侵攻後、各国大使が退避するなかで、偉大な、勇気ある、正しい、友好的な一歩だ」と記者団に述べたという。 「このような友人、隣人、パートナーと、私たちは本当に勝利できると確信する。」

モラビエツキ氏は「戦場のここキエフで歴史がつくられようとしている。 自由が専制主義と戦っている。 私たち全員の未来がかかっているのはここなのだ。」とツイッターに投稿。 続けて「欧州は、ウクライナを失えば二度と同じ状態ではいられないことを理解しなければいけない。」とも記した。 フィアラ氏もツイッターに「あなた方はひとりではない。 私たちがついている。」と投稿。 ヤンシャ氏は「私たちは全力を尽くし、ウクライナの候補国の地位をできるだけ早く提供する」と述べ、EU 加盟を後押しする考えを示した。 カチンスキ氏は「ウクライナには、国際平和維持ミッションが必要だ」と述べた。

西欧各国に「強い措置」促す意味も

3 首脳はなぜ、危険を冒してキエフを訪れたのか。 冷戦下でソ連の影響下に置かれてきた中東欧諸国はロシアの脅威を身近に感じており、ウクライナ侵攻は「対岸の火事」ではないという強い危機意識がある。 ポーランドはかつてロシアに領土を分割、併合され、冷戦期はソ連に「衛星国」として支配された。 冷戦後、北大西洋条約機構 (NATO) と EU に加盟し、経済成長を続けた。 言語や文化が近いウクライナへの共感も強く、「西側」に引き入れる旗振り役を EU 内で務めてきた。

チェコもかつてのソ連衛星国で、1968 年の民主化運動「プラハの春」がソ連軍の侵攻によって弾圧された。 旧ユーゴスラビアのスロベニアは立場は異なるが、ヤンシャ氏は同国が 91 年に旧ユーゴの中で真っ先に独立宣言し、ユーゴ連邦軍の侵攻を受けた際の国防相だった。 ロシアへの経済制裁をめぐっては、ロシア産の資源の禁輸措置など、より強い制裁を求める中東欧諸国に対し、ドイツやイタリアなどは自国の経済への影響を懸念。 時間をかけてロシアへの資源依存を弱めようとしており、対応に差がある。

軍事面では、ウクライナが上空を「飛行禁止区域」にするよう求めているのに対し、NATO 側は否定的だ。 制空権を巡って、ロシアと NATO の全面対決になる恐れがあるためだ。 ポーランドは保有する旧ソ連製の戦闘機「ミグ 29」を NATO の総意としてウクライナに供与しようとしたが、実現しなかった。 3 国の訪問には、EU、NATO の中でもウクライナ支援に腰が重く見える西欧各国に対し、ロシアへのさらなる強い措置を促す意味合いもあるとみられる。 (ベルリン = 野島淳、asahi = 3-16-22)


患者や住民ら 400 人を人質に ロシア軍が病院を占拠>/p>

ウクライナ南東部マリウポリで、ロシア軍が病院を占拠し、患者や住民ら 400 人を人質にとっている。 ウクライナの副首相は、ロシア軍が 15 日、マリウポリの病院を占拠し、医師や患者らに加え、避難してきている近くの住民らおよそ 400 人を人質に取っていると明らかにした。 ロシア軍が、ウクライナの市民らを盾にとっているとして、批判している。 マリウポリでは、ロシア軍の激しい攻撃が続き、これまでに人口 50 万人のうち、ようやく 2 万人以上の市民が脱出したという。 (FNN = 3-16-22)

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米「中国が対ロ軍事協力の用意」と公電 FT 報道

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)は 14 日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、中国が軍備品提供などの面で協力する用意があるとする外交公電を、米国務省が欧州やアジアの同盟国に送っていたと報じた。 提供時期のメドや根拠などは明示されなかったという。 中国が実際にロシアへ軍事支援に動けば、米中のさらなる対立激化は必至だ。

FT によると、ロシアは中国に対して地対空ミサイル (SAM) や軍用ドローン、装甲車など 5 種類の軍備品の提供を要請していた。 戦力で圧倒的に勝るロシア軍がウクライナを攻めあぐねる一因として燃料や軍事品の補給不足が指摘されている。 中国の支援は戦況をロシア側に有利な情勢へと一気に変えうる一方、国際法を無視して侵攻するロシアを後押しすることは中国に対する国際社会からの批判を招く。 米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は 14 日にローマで中国の外交トップの楊潔チー共産党政治局員と会談した。 米高官による記者団への説明によるとサリバン氏は中ロ連携に対する深刻な懸念を楊氏に伝えた。 (nikkei = 3-15-22)


「NO WAR」 生放送中に反戦訴え ロシア国営テレビのスタッフ

ロシアの国営放送の生放送中、突然女性が現れ、ウクライナ侵攻に反対する紙を掲げる場面があった。 ロシアの国営テレビで、キャスターがロシアに対する経済制裁について伝えていたところ、突然、女性が紙を掲げて現れた。 紙には、「戦争をやめてください」、「プロパガンダを信じないでください」、「あなたはだまされている」などと書かれている。

その後、画面は別の映像に切り替わった。 海外メディアによると、女性は国営テレビのスタッフで、母親はロシア人、父親がウクライナ人だという。 女性はその後、拘束されたということだが、事前に撮影したとみられる動画で、「わたしは、テレビでうそを報道したことを恥ずかしく思う。 ロシア人がだまされていると知っていたのに、黙っていたことが恥ずかしい。」と話していた。 ロシア国民に反戦を呼びかけた女性の行動について、ネット上では称賛する声もあがっている。 (FNN = 3-15-22)

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