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ロシア「抵抗続ければ全滅」と警告 ウクライナ・マリウポリ

【リビウ】 ロシア国防省報道官は 17 日、ウクライナ南東部マリウポリの製鉄所に立てこもる同国部隊に対し「さらに抵抗を続ければ全滅させる」と警告した。 (kyodo = 4-17-22)


ロシア、マリウポリでの一時停戦提案 「武器捨てた兵士の命は保証」

ウクライナに侵攻するロシアの国防省は 16 日、南東部マリウポリで抵抗を続けるウクライナ軍の兵士らに対し、17 日午前 6 時(日本時間同日正午)からの一時的な停戦を提案すると発表した。 武器を捨てた兵士の命は保証するとして、投降を求めている。 ロシア国防省が発表した緊急声明によると、マリウポリの港湾部にある金属コンビナート「アゾフスターリ」で抵抗を続けるウクライナ兵に対し、モスクワ時間の 17 日午前 6 時 - 午後 1 時の間に停戦することを提案。 ウクライナ政府に対しても「無意味な抵抗をやめて武器を置くよう指示を出すべきだ」と求めた。

声明は、アゾフスターリに閉じ込められたウクライナ兵は食料や水もない状況に追い込まれていると主張。 すでに降伏した兵士らは、ロシア側から暴力や心理的な圧迫は受けておらず、親族との連絡が許可され、負傷した兵士も治療を受けているとしている。 マリウポリはすでに、大部分がロシア軍の支配下に入っているとみられる。 ロシア国防省は 16 日に「ウクライナ軍を市街地から完全に排除した」と発表していた。 (ワシントン = 高野遼、asahi = 4-17-22)


ロシア軍の海兵隊旅団、マリウポリで上陸作戦準備か

ウクライナ南東部マリウポリでの攻防をめぐり、ウクライナ軍参謀本部は 17 日、ロシア軍が海上からの上陸作戦を準備していると SNS で明らかにした。 ロシア軍は「市街地からウクライナ軍などを完全に排除した」と主張しており、制圧に向けて攻勢を強める動きの一環とみられる。 ウクライナ軍参謀本部の SNS によると、上陸作戦を準備しているのはロシア軍の海兵隊旅団だという。 ロシア軍はマリウポリに対し、航空機からの攻撃や、港湾部では突撃作戦も行ってきているという。 (asahi = 4-17-22)


マリウポリの兵士全滅なら停戦交渉打ち切り ゼレンスキー氏が示唆

ウクライナのゼレンスキー大統領は 16 日、複数のウクライナメディアと懇談し、ロシア軍に包囲された南東部マリウポリの情勢について「我々の兵士らが全滅させられれば、いかなる交渉も終止符が打たれるだろう」と述べた。 ロシア軍がマリウポリで最終的な強硬策に出れば停戦交渉を決裂させる考えとみられる。 ウクライナのネットメディア「リガネット」が伝えた。 ゼレンスキー氏は「我々は領土と国民については取引はしない」とも述べた。

停戦交渉は 3 月末にウクライナ側が軍事的中立化を受け入れると提案し、ロシア側もいったんは評価して首都キーウ(キエフ)周辺から撤退するなどした。 しかし、その後は難航が伝えられ、ロシアは 15 日、キーウへのミサイル攻撃を再開した。 (asahi = 4-16-22)


キーウ・リビウにミサイル攻撃 「反撃」主張するロシア、圧力強める

ロシア軍は 15、16 両日、ウクライナのキーウ(キエフ)をミサイルなどで攻撃し、1 人が死亡した。 西部リビウ州でもミサイル攻撃があった。 激戦が続く南東部マリウポリや北東部ハルキウなどに加えて、落ち着いていたはずの地域でも、再び犠牲が出始めている。

「安全な場所にとどまってほしい」

ロシア国防省は 15 日、国境近くの村がウクライナ軍に攻撃されたと主張して反撃する考えを示した。 キーウ周辺では同日、3 発のミサイル攻撃があり、地元メディアは軍需工場の一部が破壊されたと伝えた。 16 日朝には、キーウ郊外のダルニツキー地区も攻撃を受け、キーウのクリチコ市長によると 1 人が死亡し、複数人が負傷した。

ロシア軍は 3 月末、首都キーウ攻略の目的を修正して攻撃の縮小を表明。 ウクライナ側がその後、州全域を解放したと発表した。 避難していた人が自宅に戻る動きが広がっているが、クリチコ氏は「戻るのを控え安全な場所にとどまってほしい」と呼びかけた。 西部リビウ州でも 16 日、ミサイル攻撃があり、州知事の SNS の説明では 4 発を防空部隊が迎撃した。 ロシア機がベラルーシの空港から攻撃に来た、としている。

「復興を考える状況にはほど遠い」

一方、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は 15 日夜のビデオ演説で、ロシア軍から解放した 300 超の集落で人道支援の本部が活動を始め、地雷の撤去や電気、水道、ガスなどのインフラ回復に取り組んでいると説明したが、東部と南部については「いまなお、とても厳しい。 復興を考える状況にはほど遠い。」と語った。

ウクライナ国防省の報道官は 15 日、マリウポリでは製鉄工場の近くや港湾地区で、増強された部隊などによる攻撃が続き、長距離ミサイルが撃ち込まれたと説明した。 地元メディアによると、ロシア軍の爆撃などでハルキウで 7 カ月の乳児を含む 10 人が、南部ミコライウで 5 人が死亡した。 ウクライナ検察当局は 16 日、2 月 24 日にロシア軍の侵攻が始まって約 50 日で、少なくとも子ども 200 人が命を落とし、360 人が負傷したと発表した。 東部ドネツクやキーウの各州のほか、激戦地の北部チェルニヒウ、南部ヘルソンなどで戦闘に巻き込まれるケースが多いという。 (根本晃、パリ = 青田秀樹、asahi = 4-16-22)


「モスクワ」沈没は「大和」に匹敵 元海将補が見たロシア軍への打撃

ロシア国防省が、同国黒海艦隊のミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没したと発表しました。 首都の名を冠した黒海艦隊の旗艦が失われたことは、ロシア、ウクライナ双方の戦略にどんな影響を及ぼすのでしょうか。 自衛隊の元海将補で、在ロシア防衛駐在官も務めた佐々木孝博・広島大客員教授(ロシア安全保障政策)に聞きました。

- - そもそも黒海艦隊とはどんな存在なのでしょうか。 ロシアが 2014 年、一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島に母港を置いているようですね。 ロシア黒海艦隊旗艦の沈没は、太平洋戦争時の日本の巨大戦艦の沈没にも匹敵するという佐々木氏。 「モスクワ」が担っていたある役割が失われたことで、作戦行動にも影響が出ると言います。

そうです。 黒海艦隊はクリミア半島のセバストポリを母港とし、黒海や地中海などを管轄する艦隊です。 今回のウクライナ侵攻では黒海艦隊が海上作戦を一手に引き受け、太平洋艦隊や北海艦隊といったほかのロシア軍艦隊の支援は得ていないとみられます。

- - 黒海艦隊はウクライナ国内に対するミサイル攻撃や、兵員の輸送などを担っていたようです。 「モスクワ」は艦隊の中でどのような存在だったのでしょうか。

黒海艦隊の司令部があり、司令官または上級指揮官などが乗っていたとみられるのが「モスクワ」です。 侵攻に絡む海上作戦を担う艦隊の旗艦が沈み、その船には首都の名前もついていた。 単純には比較できませんが、旧日本海軍でいえば、連合艦隊の司令長官が乗っていた「戦艦大和」の沈没にもたとえられるほどの象徴的な意味合いがあります。 ロシア海軍にとっては大きな心理的なダメージになり、士気の低下につながる可能性があります。 旗艦が失われたことによる司令部機能の低下も無視できないでしょう。

- - 戦艦大和は全長 263メートルもありますが、「モスクワ」は全長 186 メートルです。 大和に比べて小さく見えますが、それでも旗艦として重要な存在感があるということでしょうか。

第 2 次世界大戦当時とは軍艦のあり方をめぐる思想も変わっています。 旗艦にとって大事なのは、高度な指揮通信能力を備えていることです。 必ずしも大きくなければいけないということではありません。

「沈没を隠し通せなかった」

- - 沈没の原因は、まだはっきりと特定されていません。 ロシア側は弾薬の爆発による火災、ウクライナ側はウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」による攻撃とそれぞれ主張しています。

ロシア側がいう弾薬の爆発が純粋に事故だったとすれば、ロシア軍にとっては間違いなく体裁の悪い話で、軍の能力が低下しているという評判につながりかねません。 それでも沈没を発表したのは、艦船の動向は他国からも人工衛星で監視されているため、隠し通せないと判断したのでしょう。

- - ネプチューンによる撃沈が事実だとすれば、ウクライナには高い兵器開発技術があるということになるのでしょうか。

ウクライナには旧ソ連時代からの航空宇宙産業の蓄積があり、高い軍事技術を持っています。 近年では西側諸国だけでなく、中国とも良好な関係を保っています。 これらの国から、何らかの技術的支援を得ている可能性も考えられます。

- - 確かに、旧ソ連の弾道ミサイルはウクライナで製造されていました。 ソ連崩壊後に中国に売り渡され、改造されて中国初の空母となった「ワリャーグ」もウクライナ製です。 ネプチューンによる攻撃が事実だとすると、なぜ「モスクワ」はそれを防げず、撃沈されてしまったのでしょうか。

「モスクワ」は対空ミサイルを備えているので、きちんと対応していればネプチューンを防げた可能性があります。 ウクライナ側の戦力に関する見立てを誤り、攻撃に対する準備が十分にできていなかったのかもしれません。 あるいは、ドローン(無人機)などほかの手段での攻撃に対処している隙に、ネプチューンの直撃を受けてしまったとの報道もあり、その可能性も考えられます。 「モスクワ」に対するほかの艦船による防護が不十分だった可能性もあります。

「ロシア、戦い方の見直し迫られる」

- - ネプチューンによる「モスクワ」撃沈が本当の話だとした場合、ロシア軍の作戦にはどのような影響が出そうでしょうか。

撃沈が事実だとすれば、ネプチューンの性能が証明されたことになります。 ロシア軍は南部の港湾都市オデーサへの上陸を狙っていた可能性がありますが、今後はネプチューンを警戒しなければならなくなります。 ウクライナ沿岸に簡単に近づけなくなり、上陸作戦がしにくくなるでしょう。

また、「モスクワ」は対空ミサイルに加えて高性能対空レーダーを備え、その高度な防空能力を活用することにより、ウクライナ南部のロシア軍部隊を援護していたとみられます。 ウクライナメディアの報道によると、南部のロシア軍制圧地域に対し、ウクライナ軍が空挺(くうてい)部隊を送り込むのを阻む役割を果たしていたようです。沈没により、こうした海上からの援護機能にも支障が出る可能性があります。ロシア軍の様々な海上作戦に大きな影響が出るとみられ、ロシア側は戦い方の見直しを迫られるでしょう。

- - 「モスクワ」沈没が戦況全体に与える影響についてはどうでしょうか。

ロシア軍全体の中で見れば、海軍の一つの艦船が沈んだだけと言うこともできます。 ロシア軍は、苦戦すれば化学兵器や戦術核兵器を使う可能性も指摘されています。 それだけ、徹底的に作戦を進める意思があるということです。 旗艦沈没だけをもって戦況が抜本的に変わるとは言いづらいのですが、少なくとも海上作戦に大きな影響が出ることは間違いありません。

- - 3 月下旬には、ウクライナ軍が同国南部ベルジャンスクの港で、ロシアの揚陸艦「サラトフ」を破壊したと発表しました。 このサラトフの破壊は、ロシア軍の作戦にどんな影響をもたらしたのでしょうか。

揚陸艦は港で破壊されたようなので、ウクライナ軍が爆弾や機雷を仕掛けるなどの工作活動をした可能性があります。 揚陸艦というのは兵士や軍用車両を運び、上陸作戦に使われる船です。 サラトフの破壊により、オデーサを含むウクライナ沿岸に上陸作戦を仕掛ける能力は低下したでしょう。 それだけでなく、兵士をウクライナ各地に運ぶ海上輸送の能力にも支障が出たと考えられます。

佐々木孝博(ささき・たかひろ) : 1986 年に防衛大学校を卒業後、海上自衛隊に入隊。 護衛艦ゆうべつ艦長、在ロシア防衛駐在官、防衛省情報本部分析部課長、第 8 護衛隊司令、統合幕僚監部サイバー企画調整官、下関基地隊司令などを経て 2018 年に防衛省を退職(海将補)。 博士(学術)〔広島大学〕。 著書に「近未来戦の核心サイバー戦 情報大国ロシアの全貌」などがある。(聞き手・佐藤達弥、asahi = 4-16-22)

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ロシア黒海旗艦「モスクワ」沈没 東部総攻撃前に打撃、士気低下も

【キーウ】 ロシア国防省は 14 日、黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワが沈没したと明らかにした。 タス通信などが伝えた。 ウクライナ軍は同艦を巡航ミサイルで攻撃したと発表していた。 ロシアは近く行う見込みのウクライナ東部への総攻撃を前に、主要艦隊の象徴で司令塔でもある旗艦を失い、大きな打撃となった。 軍事作戦への影響は必至で、ロシア軍の士気にもマイナスとなりそうだ。 バイデン米大統領は 14 日、首都キーウへの高官派遣を検討していると表明。 ウクライナ北東部スムイ州のジビツキー知事は 13 日時点で民間人 100 人以上の死亡を確認したと明らかにした。 (kyodo = 4-15-22)

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ロシア黒海艦隊のミサイル巡洋艦が爆発 ウクライナ側の攻撃か

ウクライナへの侵攻を続けるロシアですが、ロシア国防省は黒海艦隊のミサイル巡洋艦で爆発があり、船体が激しく損傷したと発表しました。 爆発が起きたのはロシア海軍のミサイル巡洋艦「モスクワ」で、黒海艦隊の旗艦です。 14 日、弾薬庫で爆発があり船体が激しく損傷しました。 ロシアのインタファクス通信によりますと、乗組員は全員、脱出したということです。 また、爆発の原因は調査中としています。 ロシア国防省は、「モスクワ」がどこで爆発したのかは発表していません。

ウクライナの当局者は「モスクワ」は 2 発のミサイル攻撃を受けたと発表しましたが、詳細は分かっていません。 一方、タス通信によりますと、ロシア国防省報道官は、マリウポリの貿易港をロシア軍が完全に制圧したと発表しました。 報道官は「ウクライナ側が拘束していた人質や船舶を解放した」と主張しています。 (テレ朝 = 4-14-22)


ロシアのヘリコプター部隊、ウクライナ東部に増強 米国防総省が確認

ロシアによるウクライナ侵攻で、米国防総省高官は 14 日、ロシア軍の追加のヘリコプター部隊がウクライナ東部に向かう動きが新たに確認されたと明らかにした。 ロシア軍は東部に兵力を集中させる動きを続けており、東部での地上戦や航空戦に向けた備えとみられる。 東部ドンバス地方と、南東部の要衝マリウポリではロシア軍が空爆を続けている。 マリウポリは陥落間際とされるが、同省高官は、制空権をめぐる戦いが続いており、陥落はしていないとの見方を示した。

ドンバス地方では、ロシア軍が数週間以内に攻撃を本格化させるとの見方が強まっている。 同省高官は、ロシア軍が「数週間以内に、ドンバス地方で具体的な目標を達成しようとするだろう」と述べた。 砲兵部隊や、指令や航空機の支援を担う部隊が東部に向かっているほか、追加のヘリコプター部隊が移動していることも 24 時間以内に確認された。 ただ、大規模な地上部隊の追加はまだ確認されていないという。

一方、ロシア側は、ウクライナ側から攻撃を受けたと主張している。 タス通信によると、ロシア南部ブリャンスク州の知事は 14 日、ウクライナ国境から約 10 キロにあるクリモボ地区の住宅がウクライナ軍の攻撃を受け、妊婦や子供ら 7 人が負傷、2 軒が全焼したと主張した。 (ワシントン = 清宮涼、パリ = 野島淳、asahi = 4-15-22)


ロシア側も熟知する「東部の地形」がカギに 欧米の軍事支援にも変化

ロシアの侵攻を受けるウクライナの東部地域での戦闘の本格化に備え、欧米各国がウクライナへの軍事支援を急いでいる。 米政府は 13 日、新たに 8 億ドル(約 1 千億円)の軍事支援を表明。 欧州連合 (EU) も同日、5 億ユーロ(約 680 億円)の拠出を決めた。 提供予定の兵器からは、戦闘パターンの変化を見据えた狙いがみえる。

新兵器投入に伴い、ウクライナ軍の訓練も

米政府からの軍事支援は、2 月の侵攻開始から 6 度目で総額 26 億ドル(約 3,200 億円)近くに達した。 昨年のウクライナの国防予算(42 億ドル)の 6 割を超える規模だ。 ウクライナ側からの具体的な要望に基づき、支援する武器の内容にも変化がみられる。 155 ミリ榴弾(りゅうだん)砲(18 門)や砲弾(4 万発)、敵の砲撃位置を特定する対砲兵レーダー、装甲兵員輸送車、ヘリコプターなど従来の支援より大型の兵器が目立つ。 米国防総省は「ウクライナ東部での戦闘に適した兵器だ」と説明した。

新しい兵器の投入に伴い、米軍はウクライナ軍の訓練にも乗り出す。 従来はウクライナ軍が使い慣れた旧ソ連製の兵器などを優先させてきたが、今回の支援では榴弾砲やレーダーシステムなどの使い方を訓練する。 欧州に駐留する米兵が「複数の地点」で少数のウクライナ兵を訓練し、この兵がウクライナに戻って兵器の使い方を教える方式が有力という。 序盤戦では首都キーウ(キエフ)などをめぐる都市防衛戦が中心だった。 公道を大規模な車列で迫るロシア軍に対し、ウクライナ軍は市街地や林などに隠れ、携行型の対戦車兵器「ジャベリン」などを使ってゲリラ的に攻撃を仕掛けることで、相手の進軍を足止めすることに成功した。

キーウ周辺から撤退したロシア軍は現在、東部ドンバス地方での戦いに向け戦力をシフトさせている。 準備が整い次第、本格的な戦闘が再開する見通しだ。 今後のカギを握るのは、ウクライナ東部の地形だ。 米国防総省のカービー報道官は「やや平坦で、少し開放的。 ロシア軍は歩兵部隊を投入する前に、戦車や砲撃によって目的を達成しようとする」と予想する。

「ウクライナ側も戦い方を変えなくては」

東部では 8 年前から両者の戦闘が続いており、ロシア軍も地理を熟知している。 平地を利用して砲撃や戦車で迫るロシア軍を迎え撃つため、ウクライナ側も戦い方を変えなくてはならない。 今回、米国が榴弾砲や対砲兵レーダーなどの提供に踏み切ったのはこうした背景がある。 またカービー氏によれば、国名は明かせないが少なくとも 2 カ国が旧ソ連製の T72 型戦車の提供に動いており、近くウクライナに到着する見込みだという。

ゼレンスキー大統領は 13 日のビデオ演説で「ロシア軍は武力でしか止められない」と強調。 重火器や戦車、戦闘機など具体的な兵器名を列挙し、「自由を守るために兵器の提供を」と訴えた。 直後にはバイデン米大統領とも電話協議し、要望を直接伝えた。 バイデン氏は同日、「継続的な兵器提供により、プーチンの最初の戦争目的を失敗させることができた。 いま休むわけにはいかない。」と声明を出し、支援を続ける意向を示した。 (ワシントン = 高野遼、asahi = 4-14-22)


ポーランド大統領「これは戦争ではない、テロだ」 … バルト 3 国大統領らとキーウ訪問

【ベルリン = 中西賢司】 ポーランドとバルト 3 国のエストニア、ラトビア、リトアニアの大統領が 13 日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。 4 か国の首脳はウクライナへの軍事支援強化などを表明した。

ポーランド通信などによると、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は共同記者会見で「これは戦争ではない。 兵士が民間人を殺害するために送られるなら、テロだ。」とロシアを批判し、ラトビアのエギルス・レビッツ大統領は「あらゆる種類の武器でウクライナを支援することが我々の義務」と訴えた。 ゼレンスキー氏は「偉大な指導者に感謝したい」と応じた。 4 人の大統領は、激しい戦闘があったキーウ近郊ボロジャンカなども訪れた。 今回の訪問を巡っては、ロシアに融和的とされたドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー大統領が訪問を拒否されたと明らかにしたが、ゼレンスキー大統領は 13 日、ドイツ側から「公式に打診されていなかった」と述べた。 (yomiuri = 4-14-22)


ウクライナがドイツ大統領のキーウ訪問を拒否 広がる波紋

【ベルリン・念佛明奈】 ウクライナの首都キーウ(キエフ)訪問を計画していたドイツのシュタインマイヤー大統領がウクライナ側から拒否され、計画を断念したことが国内で波紋を広げている。 ドイツがロシアとの関係を維持してきたことが一因とみられ、ウクライナへのさらなる軍事支援を求める声も上がっている。 ウクライナのゼレンスキー大統領と会談するため、ポーランドのドゥダ大統領とバルト 3 国の大統領は 13 日、キーウを訪れた。 同行する予定だったシュタインマイヤー氏は 12 日、自身の訪問が「望まれていなかったようだ」と述べ、ウクライナ側から訪問を拒まれたことを明らかにした。

同氏がメルケル政権の外相として、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン計画「ノルド・ストリーム 2」を推進してきたことが背景にあると見られる。 シュタインマイヤー氏は 4 日には「(パイプライン計画に)固執したことは明らかに間違いだった」と認めていた。 同氏やショルツ首相も所属する社会民主党が伝統的に旧ソ連・東欧共産圏との関係改善を進める「東方外交」を展開し、ロシアとの関係を重視してきたことも影響した可能性がある。 ショルツ氏は 13 日に地元ラジオのインタビューで、シュタインマイヤー氏の訪問が拒まれたことに「いささかいらだちを感じている」と述べた。

キーウ訪問を巡っては、3 月のポーランド首相らを皮切りに、4 月には欧州連合 (EU) のフォンデアライエン欧州委員長や英国のジョンソン首相ら、欧州首脳が相次いで実現させ、ウクライナとの連帯を示している。 こうした中、連立与党の緑の党や自由民主党からは、ウクライナに対する軍事支援を強化すべきだとの声も出ている。 緑の党のベーアボック外相は 11 日「ウクライナはさらなる軍事物資、とりわけ重火器を必要としている」と指摘した。 ドイツはこれまで、ウクライナに地対空ミサイルや対戦車砲などを提供してきたが、戦車や戦闘機を含む重火器はこれまで提供してこなかった。 ショルツ氏は立場を明確にしておらず、今後の判断が注目される。 (mainichi = 4-14-22)


ロシア軍、ウクライナ東部への集中続く 米高官は「士気低下」を指摘

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、ロシア軍が戦力を東部方面に集中させる動きを続けている。 砲兵などを増強させたことも確認されており、今後の東部方面での戦闘の激化に備えているとみられる。 米国防総省高官は 13 日、新たな砲兵やヘリコプターの部隊が東部ドンバス地方に向けて南下しているのが確認されたと明らかにした。 部隊が仮設の橋を川にかけようとする動きもあるという。 東部イジュームの北方には、補給車列が確認されている。 東部での戦闘に備え、ロシア国内から東部方面での戦力を増強する動きとみられる。

ロシア軍は首都キーウ(キエフ)の攻略に失敗し、キーウ近郊から撤退。 撤退した部隊は、ロシア国内などで燃料や物資の補給を受け、次の戦闘に備えているとみられていた。 ロシアは再配備を着々と進めている模様だ。 ロシア軍による空爆は、引き続きドンバス地方と、ロシアが東部作戦において重要視する南東部マリウポリに集中している。 マリウポリは陥落間際とみられているが、国防総省高官は、ウクライナ軍が抵抗を続けているとの見方を示した。 南部ミコライウでも戦闘が続くが、戦況に大きな変化はみられないという。

ロシアは 2 - 3 週間以内にも、東部での戦闘を激化させるとみられている。 だが米側は、ロシア軍の多くの部隊で、兵士の士気の低さや、部隊間の連携の問題が残っていると指摘する。 ロシア兵の半数以上が徴集兵で、適切に情報を得たり、訓練を受けたりしていないとみる。 ロシア軍は目立った戦果をあげられていない一方、大きな犠牲が出ている。 国防総省高官は、ロシア軍の士官レベルも「部隊の業績に不満を感じている」と指摘。 今後の東部での戦闘でも、物資の補給や部隊間の連携といった問題が引き続き課題になるとの見方を示した。 (ワシントン = 清宮涼、asahi = 4-14-22)


ロシア軍、ウクライナ東部に大規模侵入の構え 今後数週間が重大局面

ウクライナに侵攻したロシア軍は東部地域への兵力増強を続け、近く大規模な攻撃に踏み切る構えを見せている。 プーチン大統領は東部での侵攻拡大を続ける意欲を示しており、今後数週間が重大な局面となりそうだ。 南東部の要衝マリウポリへの攻撃も続き、陥落間際の状態にある。

プーチン氏は 12 日、訪問先の極東アムール州の宇宙基地で 2 月 24 日の侵攻開始後初めて記者会見し、「当初の目的を完全に達成するため作戦を続ける」と述べた。 ウクライナ側との停戦交渉が行き詰まったとも主張。 作戦続行は「最終的な合意ができるまで」とした。 ロシアが 2014 年に一方的に併合したクリミア半島の領有や東部での勢力拡大でウクライナ側が譲歩しない限り、東部の侵攻拡大を続けるとの見方が強い。

プーチン氏は 12 日の会見で、キーウ周辺からの撤退後に発覚したロシア軍による住民殺害をウクライナ側の「フェイク」だと主張。 「(停戦の)協議継続のため(キーウ撤退などの)行動を示したにもかかわらず、我々が見たのは挑発だ」などと述べ、ロシア批判に不満を爆発させた。 ウクライナ側の交渉担当者、ダビド・アルハミア氏は 12 日、「ウクライナの立場は変わっていない」と強調した。 ウクライナ側は領土の一体性を保つことが交渉の基本線だ。 これに対し、プーチン氏は会見で「ウクライナはクリミアや東部の(地位の)問題は協議の対象だと主張している」と強い不満を示した。

プーチン氏は侵攻の最大の理由を「東部住民の救済にある」と強調しており、交渉の停滞を理由に東部での侵攻拡大を正当化する狙いとみられる。 ウクライナ政府は 13 日、東部ハルキウなどでロシア軍による民間施設へのミサイル攻撃が続いており、マリウポリでは「アゾフスターリ金属コンビナートと港の近くで攻勢をかけている」と発表した。 ウクライナ軍の激しい抵抗で首都キーウ(キエフ)攻略に失敗したロシア軍は東部ドネツク、ルハンスク両州とマリウポリに攻撃を集中。 今後 2 - 3 週間で攻撃は一段と激化するとみられる。 大規模攻撃に備え、ロシア軍は東部に兵力を集める動きも進めている。

米宇宙企業マクサー・テクノロジーズは 12 日、ロシア国内にいたロシア軍の装甲車などを含む部隊が、ウクライナ東部に向かう衛星写真を公開した。 米国防総省もロシア軍の補給車列が、ウクライナ東部に向かっていると指摘。 車列は東部ドネツク州との境に近い東部イジュームの北 60 キロまで近づいたという。 イジューム方面に砲兵部隊を集める動きも確認されており、ここから南下して東部での支配地域を広げる狙いがありそうだ。

ロシア軍が東部作戦の重要拠点とみるマリウポリは、黒海に通じるアゾフ海に面する港湾都市。 ロシアが占領するクリミア半島とウクライナ東部をつなぐ位置にある。 マリウポリを制圧すれば、部隊が北上して東部に向かう拠点になるとみられている。 米戦争研究所 (ISW) などの分析では、マリウポリの大半の地域がロシア軍に占拠されて陥落間際にある。 ロシア国防省は 13 日、ウクライナ軍の「1,026 人が投降した」と発表したが、ウクライナ側の抵抗はまだ続いている模様だ。

マリウポリのボイチェンコ市長は 12 日、「2 万 1 千人の民間人が殺された」と述べた。 建物の 40%、8 万 4 千人分の家屋も完全に破壊されたという。 マリウポリがあるドネツク州のキリレンコ知事は米 CNN に 12 日、ロシア軍がマリウポリで移動式の遺体焼却施設を使ったり、倒壊家屋などから遺体を集めてロシアの支配地域に運び出したりしていると指摘。 「戦争犯罪とジェノサイド(集団殺害)の証拠が(キーウ郊外の)ブチャで明るみに出て以降、ロシア軍は遺体を隠している」と訴えた。

ロシアはウクライナの全戦域を統括する司令官に南部軍管区司令官のアレクサンドル・ドゥボルニコフ氏を任命したとされる。 同氏はロシアがシリア内戦に介入時、作戦指揮をとったとされる。 経験豊富な同氏の下で指揮系統を一元化して東部作戦を強化し、第 2 次世界大戦の対独戦勝記念日の 5 月 9 日までに戦果を得ようとしているようだ。 しかし、親ロシア派支配地域があるウクライナ東部には、ウクライナ軍側も精鋭部隊を配置してロシア軍の攻勢に備えており、ロシア軍の思惑通りに進むのかは不透明だ。

米国防総省は、ロシア軍の戦車やミサイルなどの戦闘力は、侵攻が始まった当初と比べて約 80% に低下したと分析する。 ロシア軍は燃料などの補給の問題を解決できておらず、士気の低さも指摘されている。 ウクライナ軍は 13 日、ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア軍の死者は 1 万 9,800 人に上ったと発表した。 (ワシントン = 清宮涼、パリ = 金成隆一、野島淳、asahi = 4-13-22)


バイデン大統領、ロシア軍の行為は「ジェノサイドだ」 … 初の明言「証拠が次々に」

【ワシントン = 田島大志】 米国のバイデン大統領は 12 日、訪問先の米アイオワ州で記者団に対し、ロシア軍のウクライナでの行為は「ジェノサイド(集団殺害)だ」と初めて明言した。 「先週と違い、露軍が行った恐ろしいことを示す証拠が次々に出てきている。 惨状は今後、ますます明らかになるだろう。」とも語った。 ジェノサイドは国際法で禁止されている。 バイデン氏は違反するかどうかは「国際的な法律の専門家に決めてもらう」と、国際機関に委ねる考えを示した。

米政府はこれまで、ウクライナで無差別攻撃や民間人を標的にした攻撃を行っているとして、ロシア軍の行為を「戦争犯罪だ」と指摘しつつ、「ジェノサイド」とは認定してこなかった。 首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで多数の民間人殺害が確認されたことを受け、バイデン氏が 4 月 4 日に記者団から「ジェノサイドか」と問われた際にも、「ノー」と否定し、「戦争犯罪だ」と強調していた。 (yomiuri = 4-13-22)


停戦協議、民間人殺害巡り対立続く … プーチン氏「行き詰まりの状態」

【ワシントン = 田島大志】 ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は 12 日、自らが担当するロシアとの停戦協議の見通しは「非常に困難だ」との認識を示した。 プーチン露大統領が 12 日に「行き詰まりの状態に戻った」とウクライナ側を非難した発言に反発したものだ。 首都キーウ(キエフ)周辺での民間人殺害を巡って双方の対立が深まる中、協議の早期進展は困難な情勢となっている。

プーチン氏は 12 日、露極東で開いた記者会見で、3 月 29 日にトルコで開かれた対面交渉で「一定レベルの合意に達したが、ウクライナ側が退いた」と主張した。 キーウ近郊ブチャでの民間人殺害についても「偽情報」、「挑発」だと改めて主張し、この問題を批判するウクライナ側が協議を停滞させているとの立場を強調した。 停戦協議は 2 月 28 日以降、計 4 度の対面交渉が行われ、ロシアが求めた「中立化」についてウクライナ側が提案を示すなど、一定の歩み寄りもみられた。 キーウ周辺での民間人殺害の実態が明らかになって以降、双方から協議の具体的な進展は伝えられていない。

ポドリャク氏は 12 日、ロイター通信に対し、プーチン氏の発言に「公の発言で協議に圧力をかけようとしている。 交渉は作業部会で続いている。」と反論した。 ウクライナ交渉団の別のメンバーも 12 日、ウクライナ側は「立場を変えていない」と、ロシアを非難した。 プーチン氏は 12 日、停戦協議で合意に達しない限りは軍事作戦を継続するとの考えも示した。 米国防総省高官は 12 日、南東部のマリウポリで、陥落を目指す露軍が集中的な空爆を加えていると分析した。 同省のジョン・カービー報道官は 12 日の記者会見で、露軍は、東部への攻撃の「戦略的立地」となるマリウポリへの攻撃を優先しているとの見方を示した。

一方、マリウポリ防衛にあたるウクライナの武装組織「アゾフ大隊」が主張する露軍による化学兵器使用については、カービー氏は「確認できない」としつつ「深刻にとらえており、分析のために最善を尽くしている」と強調した。 (yomiuri = 4-13-22)


「悲劇は選択肢なかった」プーチン大統領、ルカシェンコ大統領と会見

ロシアのプーチン大統領はウクライナとの停戦交渉について、ベラルーシが積極的な役割を果たすべきだと主張しました。

ロシア、プーチン大統領 : 「ウクライナ、ベラルーシ、ロシアは統一された民族だ。 ウクライナでは悲劇が起きているが、ルカシェンコ大統領が言ったように選択肢はなかった。」

ロシアのプーチン大統領はベラルーシのルカシェンコ大統領と会談後に共同で記者会見を行いました。 プーチン大統領はウクライナとの停戦協議について「ルカシェンコ大統領のおかげで始められた」と述べ、ベラルーシこそが協議の会場に最もふさわしいという認識を示しました。 プーチン大統領はまた、「ウクライナにおける特別軍事作戦は計画通り進んでいる」としたうえで、会談の中でロシアとベラルーシによる共通の防空体制の構築を議論したことを明らかにしました。 「我々の統合を強化することが重要だ」としていて、欧米諸国による経済制裁に対し両国が共同で対抗する方針を表明しています。 (テレ朝 = 4-13-22)


ゼレンスキー大統領「ロシアの化学兵器止める制裁を」

ウクライナのゼレンスキー大統領は 12 日未明に公開したビデオ演説で、ロシア側がウクライナ南東部マリウポリで化学兵器の使用を示唆していることに触れ、「私たちはこれを、このうえなく真剣に受け止めている」と危機感をあらわにした。 「ロシアによる化学兵器の使用は過去にも議論されてきた。 ロシアから大量破壊兵器についての発言が一言も出なくなるような制裁措置を科すべきときだ。」とも述べ、新たな制裁措置の実施や、ロシア産原油の禁輸措置の徹底を欧米諸国などに呼びかけた。 (asahi = 4-12-22)


ミサイル破壊とのロシア側の主張、米国防総省高官「証拠ない」

ウクライナ中部の工業都市ドニプロ近郊で 10 日にあったロシア軍の攻撃をめぐり、ウクライナの地対空ミサイル「S300」を破壊したとするロシア側の主張に対し、米国防総省高官は 11 日、「証拠はない」と反論した。 ドニプロ近郊では、ロシア軍の攻撃を受け、空港や周辺の施設が破壊された。 AP 通信によると、ロシアは、ウクライナ側の防空の要となっている「S300」を破壊したと主張していた。 S300 は旧ソ連時代に開発され、ウクライナは使い慣れていたことから、スロバキアからも提供を受けていた。 米国防総省高官は「インフラは破壊されたが、S300 という証拠はない。 スロバキアも否定している。」と説明した。 (asahi = 4-12-22)

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