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ウクライナ、兵力でロシアに圧倒的劣勢 「選べる配属」で積極的動員

ウクライナではロシアとの戦闘により深刻な兵員不足に陥っている。 2022 年 2 月の侵攻開始当初は愛国心から志願者が殺到したものの、現在は徴兵忌避や海外脱出が増加。 募集センターの新設、民間のリクルーターによる募集活動に加え、愛国心に訴える宣伝動画を制作した旅団もある。 新兵は、自分のスキルに合った部隊や役割、兵役期間を選ぶことが可能だ。 (Reuters = 4-26-24)


射程 300 キロの地対地ミサイル、ウクライナに 3 月に初めて供与 … 米大統領補佐官が明かす

【ワシントン = 田島大志】 米国のウクライナに対する追加軍事支援をめぐり、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は 24 日の記者会見で、ウクライナ向けに射程 300km の地対地ミサイル「ATACMS」を 3 月に初めて供与していたと明らかにした。 米国はロシアを刺激する可能性があるとして、ウクライナに供与する ATACMS を射程 165km の旧式に制限していた。 射程の長い ATACMS の供与は、ウクライナ側が強く求めていた。

バイデン大統領は 24 日にウクライナへの約 610 億ドル(約 9 兆 5,000 億円)の支援を含む追加予算案に署名し、予算が成立した。 これを受け、米政府は昨年 12 月に財源が枯渇して以降に供与が滞っていた砲弾や弾薬、市街地などをミサイル攻撃から守る防空システムなどを中心に総額 10 億ドルの新たな軍事支援を発表した。 バイデン氏は署名後に行った演説で、「米国の世界でのリーダーシップを持続させる」と述べた。 (Yomiuri = 4-26-24)


ロシア「BUK-M1」が 1 発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間 … ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

航空機やミサイルなど空からの攻撃を撃退する BUK ミサイルシステムだが、1 発も発射することなく砲撃によって破壊されてしまった

ウクライナ軍は 4 月 25 日、ロシアの地対空ミサイルシステム BUK (ブーク)を破壊したとする映像を公開した。 動画の中でミサイルの発射準備のため方向を調整して位置についた BUK-M1 だったが、まさにミサイルを発射しようとするその時にウクライナ軍による砲撃を受けたと見られ、激しく炎を噴き上げて大爆発を起こしてしまう。 ウクライナ特殊作戦軍 (SOF) 報道部はテレグラムのチャンネルで、ロシアの BUK-M1 が「ミサイル発射の準備をしていた」ところを破壊したと明らかにした。 SOF の第 3 連隊が、「(戦闘が)最も激しい地域の 1 つで」偵察活動中に発見したという。

SOF が公開したドローンによる空撮映像は、人気のない野原で BUK が攻撃を受け、激しい爆発が起きて煙が立ち上る瞬間を捉えたものとされる。 本誌はこの映像が撮影された日時や場所を独自に確認できておらず、ロシア国防省にコメントを求めている。 SOF は、「われわれのオペレーターが敵の標的の座標を国防軍のロケット砲部隊に送信した。BUK-M1 はロケット弾を 1 発も発射する間もなく、即座に破壊された」と説明した。 ウクライナ国防省もこの映像を X (旧Twitter)で共有し、「ロシアの BUK-M1はミサイル発射の準備をしていたが、うまくいかなかった。 ウクライナの砲兵隊がそれをさせなかった。」と述べた。

ウクライナ軍は開戦以来 BUK を標的にし破壊してきた

軍事専門サイト「アーミーテクノロジー」によれば、BUK は敵の航空機、ヘリコプター、巡航ミサイル、戦術弾道ミサイル、航空機ミサイル、誘導爆弾に対して、敵の激しい反撃や電波妨害の状況下で展開できるように設計されている。 同システムの改良版である BUK-M2 は、2008 年からロシア軍が使用しており、最大 24 の標的を同時に攻撃することができる。 また、3 - 45 キロ離れた場所から空中の標的を攻撃することが可能だ。 ウクライナ軍は、2022 年 2 月にロシアによる侵攻で戦争が始まって以来、ロシアの BUK を複数破壊したと主張している。

SOF は 1 月、自軍が 1 週間で BUK 3 基を破壊したとする映像を公開した。 ウクライナ東部ドネツク地域付近で、「1 週間のうちに敵の防空システム『BUK』 3 基が攻撃された」と SOF 報道部は発表。 ロシア軍は、探知・照準ステーション 2 基を備えた、BUK 3 基を失ったと述べた。 「SOF の第 3 特殊部隊連隊のオペレーターが、ロシアの標的に対する国防軍のミサイルと砲兵部隊の砲撃を探知し、調整した。 火災損害の結果、ミサイルシステム 1 基が完全に破壊され、2 基が使用不能となり、復旧不能となった。」 同報道部は「敵の標的の追跡は続く」と述べている。 (イザベル・ファン・ブリューゲン、NewsWeek = 4-26-24)


ロシア夏季攻勢、予想外の場所になる可能性も = ウクライナ

ウクライナ国家警備隊司令官は 23 日、ロシア軍はウクライナでの夏季攻勢時に前線の予想外の地域を攻撃し、東部の都市ハリコフへの進撃を試みる可能性があると述べた。 同司令官は「われわれは準備を進めており、予想もしない地域への攻撃を受けたとしても敵が目的を達成することはない」と語った。 ウクライナ当局は、ロシア軍が春の終わりか初夏に攻撃を開始すると予想しており、対ナチスドイツ戦勝記念日である 5 月 9 日までに、ウクライナ東部の戦略上の重要拠点であるチャソフヤールを占領したいと考えているのではないかとみている。 (Reuters = 4-24-24)


ロシア軍が高さ 240m のテレビ塔攻撃、ゼレンスキー大統領は「パトリオット」追加供与を要求

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 22 日夜のビデオ演説で、同国第 2 の都市ハルキウのテレビ塔がロシア軍の攻撃を受けたと明らかにした。 ロイター通信によると、テレビ塔の高さは約 240 メートルで、塔の上部が折れて地上に落下した。 破片によって近隣の建物が損傷したが、負傷者はいなかったという。 ハルキウでは露軍によるインフラ設備や民間施設への攻撃が相次いでいる。

ゼレンスキー氏はテレビ塔への攻撃について「街全体に恐怖を感じさせ、通信や情報入手の手段を制限しようとする脅しだ」と述べ、ロシアを非難した。 ハルキウなどを防御するため、地対空ミサイルシステム「パトリオット」の追加供与を改めて求めた。 タス通信によると、露国防省は 22 日、露軍がウクライナ東部ドネツク州の集落を制圧したと発表した。 英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」によると、ウクライナ軍は露側の主張を否定している。 露軍はドネツク州で攻勢を強めており、露国防省は 21 日にも州内の別の集落を制圧したと発表している。 (yomiuri = 4-23-24)


ウクライナメディア 「世界最古の軍艦」を大破、ロシア軍は米国の追加支援到着前に攻勢か

ロシア国防省は 21 日、露軍のウクライナ侵略で当面の攻略目標とされるウクライナ東部ドネツク州チャシフヤールの東方約 5 km の村ボフダニウカを制圧したと発表した。 米国のウクライナへの追加支援が到着する前に攻勢を強めている可能性がある。 露軍は旧ソ連の対独戦勝記念日の 5 月 9 日までのチャシフヤール制圧を目指しているとされる。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 4 月 21 日の米 NBC のインタビューで米国の追加支援に期待感を示し、「今は砲弾が不足しているが、武器の到着は間に合う。 敵を撃退できると考えている。」と徹底抗戦の構えを示した。 「前線の兵士は、一刻も早い支援を必要としている」とも強調した。 米下院は 20 日、ウクライナ支援の追加予算として約 610 億ドル(約 9 兆 4,000 億円)を盛り込んだ法案を可決した。 上院でも法案が可決されれば、バイデン大統領の署名を経て成立する。

一方、ロイター通信によると、ウクライナ軍報道官は 21 日、ロシアが一方的に併合した南部クリミアのセバストポリで潜水艦救難艦「コムーナ」を大破させたと発表した。 同艦はロシア帝国下の 1913 年に進水し、ウクライナメディアは「世界最古の現役の軍艦」と報じている。 (yomiuri = 4-22-24)


米下院がウクライナ支援案を可決 行き詰まり打開、軍事支援を再開へ

米下院は 20 日、ウクライナ支援のための法案を超党派の賛成で可決した。 多数派を握る共和党内の反対により長く停滞していたが、支援を求める国内外からの圧力もあり合意に至った。 弾薬不足で苦戦するウクライナ軍にとって、待望だった米国からの軍事支援が再び動き出すことになる。 法案はウクライナへの軍事支援などに約 610 億ドル(約 9.4 兆円)を認めるもので、賛成 311 票、反対 112 票で可決された。 共和党では半数以上が反対したが、民主党の大半が賛成に回ったことで過半数に達した。

民主党のバイデン大統領はただちに法案に署名する意向を示しており、上院での可決を経て近く成立する見通しだ。 法案が成立すれば、「数日以内」(米国防総省)にウクライナへの支援搬入が可能となるという。 ウクライナのゼレンスキー大統領は「支援法案は戦争の拡大を防ぎ、数千人の命を救い、両国を一層強くするだろう」と歓迎した。 バイデン氏も「世界の舞台における米国のリーダーシップの力について明確なメッセージを発信した」と称賛した。

この日はウクライナ支援に加え、イスラエル支援やガザ地区への人道支援、インド太平洋地域への支援なども合わせて可決され、支援総額は約 950 億ドル(約 14.6 兆円)にのぼった。 一連の法案には、中国系企業が運営する動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」の全米での利用禁止につながる条項も含まれる。

ジョンソン議長、共和党内の反対を押し切って

今回のウクライナ支援法案に向けては、共和党のジョンソン議長が党内をまとめられず、民主党の協力を得て可決に持ち込む異例の展開となった。 今後は共和党内での反発も予想される。 下院で多数派を握る共和党では、対外支援より国内問題を重視する一部の議員が、強硬にウクライナ支援に反対してきた。 もし採決に持ち込めば、議長の解任に動くと圧力をかけており、2 月に上院を通過した支援法案も、下院では採決に至らなかった。

その間にウクライナの戦況は悪化し、米議会には早期の支援再開を求める声が強まった。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、米議会の支援がなければ「ウクライナは戦争に敗北する」と発言。 米中央情報局 (CIA) のバーンズ長官も「2024 年末までにウクライナが戦場で敗れる可能性がある」と警鐘を鳴らしていた。 こうした状況を踏まえてジョンソン議長は、党内の反対を押し切って法案を採決することを決断。

党派を超えた賛成を得るために、ウクライナへの経済援助は返済を求められる融資とするほか、凍結されたロシアの資産売却を可能とする条項も追加した。 またイスラエル支援に加えて、ガザ地区への人道支援も盛り込んだ。 党内の一部強硬派からは、ジョンソン議長に辞任を求める声が強まっている。 すでに解任動議を出しているマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和)は「ジョンソン氏による裏切りだ」と怒りをあらわにした。 だが解任に向けて、必要な賛成が集まるかどうかはわからない。

「米国第一」を掲げてウクライナ支援に消極的な姿勢をみせてきたトランプ前大統領は、今回の法案に反対はしていない。 今月に入ってジョンソン氏と共同会見をして同氏への支持を表明。 「ウクライナの存続と強さは、欧州にとって重要であるはずだが、我々にとっても重要だ」と SNS に投稿しており、方針転換の表れだとの見方も出ている。 (ワシントン・高野遼、asahi = 4-21-24)


ウクライナ、ロシアのエネルギー施設にドローン攻撃

ウクライナ当局の情報筋によると、ウクライナ軍は 20 日未明、ロシアの 8 州にある燃料庫や配電所などを長距離攻撃型ドローン(無人機)で攻撃した。 情報筋によると、ロシア国防省は西部のベルゴロド、ブリャンスク、クルスク、トゥーラ、スモレンスク、リャザン、カルーガ、さらにモスクワの各州にドローン数十機が飛来し、少なくとも配電所 3 カ所と燃料庫 1 カ所が損壊、出火したことを認めた。

作戦はウクライナ保安局 (SBU) と国防省情報総局、軍特殊部隊が共同で、ロシアの軍用、産業用施設にエネルギーを供給する施設を標的に実施したという。 SNS に投稿された映像には、スモレンスク州の燃料庫が炎上する場面が映っている。 同州のアノヒン知事は SNS 「テレグラム」への投稿で、午前 2 時ごろにウクライナのドローンがエネルギー施設への攻撃を図ったが、防空部隊が撃墜したと発表。 死傷者の情報を確認中だと述べた。

アノヒン氏は、無人機の破片が落下して燃料と潤滑油のタンクに火がつき、ロシア緊急事態省が出動していると主張した。 同氏はさらにこの日の昼前、防空部隊が州中心部に対する別のドローン攻撃を阻止したと投稿した。 ブリャンスク州のボゴマズ知事は 20 日、撃墜された無人機が原因でエネルギー施設が炎上したと発表。 消防、救急チームが現場に出動し、電力供給を維持していると述べた。

ウクライナ軍は最近、ロシア内部のインフラ施設に対し、高度な長距離ドローンを使った越境攻撃を強化している。 一方、ウクライナ東部の前線では戦況が悪化していると伝えられる。 米下院では 20 日、ウクライナへの追加軍事支援に向けた緊急予算案が可決された。 (CNN = 4-21-24)


ウクライナ軍、ATACMS でクリミアのロシア軍基地を集中攻撃 甚大な被害

米国のジョー・バイデン政権は 3 月 12 日、ウクライナへの 3 億ドル(約 460 億円)分の兵器供与を唐突に発表した。 業者との以前の契約を見直して資金を捻出したとされるこの兵器供与は、下院共和党の一部勢力によってウクライナへの新たな支援が阻まれ出す前に、議会で承認されていた資金を用いた最後の供与分だった。 5 週間後、ウクライナは供与された兵器を有効に使った。

少数が追加供与されたと伝えられていた ATACMS 弾道ミサイルの M39 型だ。 ウクライナ軍は 16 日から 17 日にかけての夜、その一部、もしかすると全部をロシア占領下のクリミアにあるジャンコイ航空基地に向けて発射した。 被害は甚大だった。 ウクライナの前線から南へ 160km ほどに位置する同基地を地上から撮影した画像から、ロシア軍の S-400 長距離地対空ミサイルシステムの発射機少なくとも 4 機が失われたことが確認できる。 ウクライナ軍参謀本部はさらに、S-400 の管制センターと貴重な防空レーダー 4 基も破壊されたと報告している。

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター (CDS) によると、ジャンコイ航空基地は 1 個ヘリコプター連隊と 3 個攻撃機飛行中隊の拠点となっている。 つまり数十機の航空機が発着している。 とはいえ、今回の攻撃でこれらの航空機が撃破されたり、損傷したりしたのかは不明だ。 ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア側は「被害を受けた航空機や人員の数を徹底的に隠している」からだ。

ウクライナ軍参謀本部が 18 日に公開した動画には、南部ヘルソン市の上空と思しき夜空を、7、8 発の M39 が飛んでいく様子が映っている。 射程 160km 強の M39 は全長約 4m の筐体内に擲弾サイズの子弾 950 個を内蔵する。 今回の攻撃では、最大 8,000 発近くの子弾がロシア軍の基地に降り注いだもようだ。

ウクライナ軍は M39 を発射可能な 2 種類のロケット砲をどちらも保有する。 装輪式の高機動ロケット砲システム (HIMARS) と装軌式の多連装ロケットシステム (MLRS) だ。 HIMARS からは重量 2t の M39 を 1 発、MLRS からは 2 発発射できる。 ウクライナ軍は HIMARS と MLRS をそれぞれ発射機 4 機の小隊で運用することが多いので、ジャンコイに対する攻撃では MLRS を使った可能性が高い。

機敏な HIMARS は、規模も予算も大きいロシア軍をウクライナ軍が技術面で凌駕できる数少ない高性能兵器の象徴として、メディアで注目度が高い。 今回は、いつもは影に隠れがちな、鈍重な MLRS が輝く機会になったようだ。 1990 年代に製造された古いタイプの ATACMS である M39 の最初の供与分は、昨年秋、米国の支援が滞り始める少し前にウクライナに届けられていた。 その時の数量も 20 発かそこらにすぎなかったから、3 月の小規模な追加援助での供与分はおそらくもっと少なかっただろう。 届いたのはせいぜい 8 発で、MLRS の小隊はそれを一気にすべて発射した可能性もある。

もしそうだったのだとしても、ウクライナ側が主張しているような大きな損害を与えられたのだとすれば、見合う結果になったと言えそうだ。 いずれにせよウクライナ側は、ATACMS をさらに追加で得られる公算が非常に大きくなって安心しているに違いない。 もしかすると ATACMS を大量に取得できるかもしれない。

ウクライナ向けの兵器やその他の援助に年末まで 610 億ドル(約 9 兆 4,000 億円)を支出するというバイデンの予算法案を、マイク・ジョンソン下院議長がようやく採決にかけるからだ。 長らく延期され、ロシアに融和的な共和党議員の一派がなお強硬に反対している採決は 20 日に行われ、賛成多数で可決される見込みだ。

法案のある条項ではバイデン政権側に、ウクライナに ATACMS を追加供与することも求めている。 米国には ATACMS の在庫が数百発あり、その固形燃料は期限切れが迫っている。 この週末の採決後、ホワイトハウスが在庫をすべてウクライナに送らない理由はない。 そして、ウクライナ軍が届いた ATACMS を、前線から 160km 内にあるロシア軍の基地に撃ち込まない理由もない。 (David Axe、Forbes = 4-21-24)


ロシア各地に無人機攻撃 国防省「50 機迎撃」

【キーウ】 ロシア国防省は20日、19日夜から20日未明にかけてロシア西部の各地に飛来したウクライナの無人機計50機を迎撃したと発表した。ウクライナ情報筋によると、同国の情報機関と軍による共同作戦だった。情報筋は、ロシアの軍需産業を支えるインフラを標的にした攻撃で、成功したと主張した。 ロシア国防省によると、26機をベルゴロド州、10機をブリャンスク州、8機をクルスク州で迎撃した。 ウクライナ国境のロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は20日、屋外にいた妊婦がウクライナ軍の攻撃で重傷を負い、搬送先で死亡したと通信アプリで明らかにした。胎児も助からなかった。 (kyodo = 4-21-24)


南部インフラ施設に攻撃 港湾やパイプライン損傷

【キーウ】 ウクライナ南部のオデッサ州とザポロジエ州で 20 日、工業インフラを狙ったロシア軍のミサイル攻撃があった。 ウクライナメディアが伝えた。 地元当局が被害を調べている。 19 日にはオデッサ州の港湾施設がミサイル攻撃を受け、1 人が負傷。 ヘルソン州でも砲撃で 1 人が死亡し、ガスのパイプラインが損傷した。 ゼレンスキー大統領は 19 日、東部ドニエプロペトロフスク州の州都ドニプロを訪れ、ロシア軍の攻撃を受けた現場を視察した。 多くの犠牲者に哀悼の意を表明し「パートナー国が保管している防空システムは、まさにここで命を守るために必要だ」と支援を訴えた。 (kyodo = 4-20-24)


NATO、ウクライナに防空システムを追加供与へ

北大西洋条約機構 (NATO) のイエンス・ストルテンベルグ事務総長は 19 日、ウクライナに先進防空システムを追加供与すると明らかにした。 ウクライナの要請と、ロシアによる攻撃を受けた対応だと述べている。 事務総長の発表に先立ち、NATO とウクライナはこの日、危機対応の首脳会議を開催した。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、都市を守るためには「パトリオット(地対空迎撃ミサイル)か同等の防空システムがあと 7 基必要だ」と述べていた。

同日には、ロシアのミサイル攻撃により、子ども 2 人を含む 7 人が殺されたと、ウクライナ当局は発表している。 ストルテンベルグ事務総長は首脳会議後、「NATO 加盟各国の防衛相は、防空システムをを含む軍事支援の拡大・追加供与で合意した」と述べた。 「同盟全体の既存の能力をあらためて特定し、ウクライナに提供できるシステムがあることを確認した。」 「ウクライナへの新たな防空能力の発表があるだろう。」

同氏は、ウクライナに提供可能なパトリオットやその他の先進的な防空システムが NATO 諸国に在庫されていると述べた。 ただし、具体的な詳細は明らかにしなかった。 ドイツは先週、自国の軍用在庫から 3 基目のアメリカ製パトリオットをウクライナに供給することを約束した。 ウクライナは現在、いくつかのパトリオット防空システムを保有しているが、ロシアの大規模攻撃から自国の都市を守るには十分ではない。

ゼレンスキー大統領はサミット後、「パトリオットや同様の防空システムがあと 7 基必要だ。 パトリオットは多くの命を救い、状況を一変させることができる。 あなた方 (NATO) はそのようなシステムを持っている。」と語った。 同大統領は、以前から強く要求している重要な優先事項をあらためて示した。 ロシアのウクライナ全面侵攻は 3 年目を迎えたが、第 2 次世界大戦以来の欧州で最大の地上戦がすぐに終結する兆しは今もない。 ウクライナが危機的な武器不足に直面するなか、ロシア軍は最近、ウクライナ東部でゆっくりとではあるが着実に前進を続けている。

ゼレンスキー氏は最近、ウクライナは劣勢に立たされ、西側の緊急軍事援助がなければ戦争に負ける可能性があると認めた。 ウクライナは、豊富な大砲弾薬を持つはるかに大きな軍事力を持つロシアと戦い続けるために、西側の同盟国、特にアメリカからの先進的な兵器供給に決定的に依存している。 ウクライナ当局は 19 日、中部ドニプロペトロウスク州にロシアのミサイル攻撃があり、少年少女 2 人を含む 7 人が死亡、30 人以上が負傷したと発表した。

今週初めには、北部チェルニヒウにも攻撃があり、18 人が殺され、数十人がけがをした。 一方ウクライナ空軍は、ウクライナ領内から 300 キロ離れた地点で、ロシアの戦略爆撃機「Tu-22M3」を撃墜したと発表した。 同機はウクライナへのミサイル攻撃を行った後、最終的にロシアのスタヴロポリ地方に墜落したという。 ウクライナの国防情報当局は、この撃墜は、今年 1 月に行われたロシアの偵察機「A-50」への攻撃と同様の特別作戦だと説明した。

ウクライナの国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長は BBC ウクライナに対し、「我々は長い間待ち続け、準備し、そしてついに成功した」と語った。 ウクライナの情報機関関係者は後に BBC に、ロシアの爆撃機は 19 日、アップデートされた旧ソ連時代の「S-200」防空システムを使って撃墜されたと語った。 未確認の映像では、炎上した飛行機が制御不能になり、地面に落下する様子が映し出されていた。

ロシアの国防省は、爆撃機が「戦闘任務」を遂行した後、技術的な不具合を起こしたと述べている。 スタブロポリの州知事は、パイロット 2 人は生存が確認されたものの、3 人目の乗組員は死亡、救助隊は 4 人目を探していると説明した。 (BBC = 4-20-24)


ウクライナ軍、ロシア長距離爆撃機 Tu-22M3 を撃墜 侵攻後初

ウクライナ軍は 19 日、ロシアの長距離爆撃機ツポレフ 22M3 を撃墜したと発表した。 ウクライナ全土に対して巡航ミサイルを撃ち込んでいた Tu-22M3 の撃墜は、侵攻開始以降で初めて。 ウクライナ軍は SNS への投稿で「国防情報部と協力し、空軍の対空ミサイル部隊が長距離戦略爆撃機 Tu-22M3 を初めて撃墜した」と明らかにした。

ロシア側は国営タス通信が国防省の発表を引用。 「ロシア軍の Tu-22M3 が戦闘任務を終えて基地飛行場へ帰還する途中、(南部)スタブロポリ地方に墜落した。 パイロットは脱出した。」と報じた。 同地方のウラジミール・ウラジミロフ知事はテレグラムへの投稿で、乗員 4 人のうち 1 人が死亡したと述べ、またパイロット 1 人の捜索が続いているとした。 ウクライナ国防省情報総局は「ウクライナから約 300 キロ離れた地点で撃墜した」結果、同機は「スタブロポリ地方まで飛行した後に墜落した」と報告した。 (AFP/時事 = 4-19-24)


ウクライナの軽飛行機型ドローン、ロシアに 1 基しかない巨大レーダーを狙う

ウクライナの軽量スポーツ機改造型の自爆ドローン(無人機)が狙っている 2 番目の目標は、かなりの大物だ。 ウクライナの戦線から約 600km 離れたロシア西部コビルキノに配備され、最大 3,000km の探知距離を誇る OTH (超水平線)レーダー「コンテナ(29B6コンテイネル)」だ。 ウクライナは先週、この巨大レーダーを攻撃するため長距離ドローンを出撃させたが、命中しなかったとされる。 そこで 17 日、再び攻撃を試み、今度は少なくとも、30m 以上あるアンテナ塔約 145 本が立ち並ぶ広大な施設の近くまで到達させた。

ロシアの民間人によって撮影したとみられる地上からの映像には、アエロプラクト A-22 軽量スポーツ機を改造したドローン 1 機がコンテナの施設に向かって飛行し、その後、爆発現場とみられる地点から煙が立ち上る様子が見える。

ウクライナ側がコンテナに繰り返しドローンを送り込まざるを得ないことは、ウクライナの戦線から数百km 離れ、敷地面積も広いレーダー施設に対する攻撃の難しさを物語っている。 コンテナが簡単に撃破されるとは考えないほうがいいだろう。 だが、ウクライナがこの唯一無二のレーダーへの攻撃を試み続けることは期待していい。 現在ロシアに、欧州の空域を監視するために西方向をカバーする OTH レーダーは、1 億 1,000 万ドル(約 170 億円)する新世代の OTH レーダーであるこのコンテナしかない。 ロシアのほかの OTH レーダーは北極圏に配備されていて、北方向をカバーしている。

OTH レーダーは、地球の大気の上層にある電離層に信号を跳ね返すことで、水平線の向こう側まで探知できるレーダーだ。 冷戦期には、核兵器に対する早期警戒を目的に核保有国が配備していた。 今日では、富裕な国々で、敵の航空機やミサイル、ドローンなどを遠距離から発見・追跡するのにも用いられている。

OTH レーダーは必ずしも通常のレーダーほど正確ではない。 ただ、通常のレーダーの場合、前線から数百km 以内に置く必要があり、敵のあらゆる火力にさらされやすい。 それに対して、探知距離の長い OTH レーダーは、基本的に長射程の攻撃兵器を除けば攻撃を受けずに済む。 長射程の攻撃兵器を保有する国は多くない。

ロシア軍の防空部隊の指揮官たちも、ロシアがウクライナで拡大して 2 年 3 カ月近くたつ戦争では、数カ月前まで、自軍で最も遠距離までカバーできるレーダーであるコンテナについては心配する必要がなかった。 ウクライナが保有する兵器では、まったく届かない地点にあると考えてよかったからだ。 だが、ウクライナは外国からの支援も受けつつ、最高のエンジニアと巨額の資金を投じてまったく新しいクラスの長距離攻撃ドローンを開発した。 この新型ドローンは今年に入り、ロシア領内に最長 1,000km ほども侵入し、航空基地や指揮拠点、石油関連施設、その他の戦略産業施設を次々に攻撃してきた。

今月 2 日、ロシア西部エラブガの施設を狙った攻撃は、これまでで最も遠距離のものの一つだった。 A-22 少なくとも 1 機がウクライナとの国境からおよそ 1,000km 先まで飛行し、イランで設計されたシャヘド自爆ドローンを製造する工場の敷地内に突っ込んだ。 工場自体か近くの従業員寮が損傷し、14 人が負傷したと伝えられている。 自律飛行するこのスポーツ機型ドローンは、ウクライナが保有する 15 種類かそこらの長距離ドローンのなかでも最高の部類に入る。 数百 kg の爆薬や長距離飛行用の燃料を十分積めるほど大きく、ベースとなる A-22 は 1 機 9 万ドル(約 1,400 万円)程度なのでコストも低い。

ウクライナの国産機である A-22 の改造ドローンは、生産を増やしていくことも可能だ。 ウクライナの調査分析グループであるコンフリクト・インテリジェンス・チーム (CIT) は、エラブガの攻撃を分析したうえで、シャヘドの工場などを狙った「攻撃は今後も試みられるだろう」と予想していた。 2 週間後、爆薬を積んだ A-22 改造ドローン少なくとも 1 機が、今度はコンテナに向けて出撃した。

17 日のドローン攻撃でコンテナに損害を与えたのかどうかや、損害の程度は現時点ではまだ判断できない。 仮にアンテナ塔を 1 基ないし数基倒したとしても、それだけではこのレーダーを永久的に使えなくすることはできないだろう。 ウクライナ側が今回の攻撃を賢く計画し、巧みに実行し、また運にも恵まれていれば、コンテナの管制センターを攻撃したかもしれない。 ここを破壊すればレーダーは使い物にならなくなる。

いずれにせよ、1 週間で 2 回も攻撃を仕掛けたということは、ウクライナ側がコンテナを撃破とまではいかなくても抑制することを狙っているのは確かだろう。 また、これらの攻撃は大きく見れば、飛来してくる攻撃ドローンに対するロシアの防空の「目潰し」をすると同時に、ウクライナの空域をウクライナ軍機にとってより安全にするという、大きな戦略の一部であることも明らかだ。 そのウクライナ軍機には、近く欧州諸国から届くことになっている F-16 戦闘機も含まれるはずだ。

ウクライナのこうした対レーダー戦略が最も劇的な形で成果を収めたのは、今年 1 月から 2 月にかけて、ロシア空軍の貴重なベリエフ A-50 早期警戒管制機 2 機を長射程の地対空ミサイルで相次いで撃墜したときだった。 ウクライナ軍はその後、ロシア南部ロストフ州タガンログにある A-50 の修理・生産工場もドローンで攻撃し、追い打ちをかけている。 ロシアが戦争拡大前に保有していた 9 機前後の A-50 の大半を実質的に排除したウクライナは、ますます能力を高めているドローンによってロシアの地上レーダーを狙い始めている。 (David Axe、Forbes = 4-19-24)


ウクライナ北部に攻撃 17 死亡、40 人入院  防空強化の議論加速

ウクライナ北部の都市チェルニヒウで 17 日朝、ロシア軍によるミサイル攻撃があった。 ロマコ市長代行によると、少なくとも 17 人が死亡し、78 人が病院に運ばれた。 ゼレンスキー大統領は、防空システムの供与を国際社会に呼びかけた。 チェルニヒウはロシアとの国境から約 80 キロしか離れていない。 ロマコ氏によると、3 発のミサイルが市内の建物に当たり、被害を受けた集合住宅は 20 棟以上に上る。 17 日夜時点で、40 人以上が入院しているという。

ゼレンスキー氏は 17 日昼、「もし、ウクライナに十分な防空装備があり、世界にロシアのテロに対抗するだけの十分な決意があったなら、こんなことは起きなかった」と SNS で指摘。  その後、北大西洋条約機構 (NATO) のストルテンベルグ事務総長と電話で協議し、防空能力を強化する必要性を改めて訴えた。 (asahi = 4-18-24)


ウクライナ侵攻でのロシア軍兵士「5 万人超死亡」 英 BBC 独自調査

英公共放送 BBC は 17 日、2022 年 2 月にロシアがウクライナへの全面侵攻を始めてから死亡したロシア兵が 5 万人を超えたと報じた。 同局ロシア語放送とロシアの独立系メディア「メディアゾナ」が、有志と協力して独自に調べた結果という。

報道によると、BBCとメディアゾナは侵攻開始以降、ロシア国内 70 カ所の軍人墓地にある墓を数えてきた。 また、航空写真や当局の発表、新聞やソーシャルメディアも確認し、侵攻 2 年目のロシア兵の死者数は「2 万 7,300 人以上」とした。 1 年目に比べて 25% 近く増えたという。 ロシア軍は激戦地で犠牲をいとわず多数の兵士を送り込む戦術を取っているとされる。 BBC は東部ドネツク州のバフムートやアウジーイウカでの戦闘を通じ、ロシア側の死者数が急増したと分析。 また、侵攻前は軍と無関係だった戦死者が 4 割に上るという。 (asahi = 4-18-24)


ウクライナ軍、クリミアでロシアの最先端防空システムを破壊

4 月 17 日の夜明けに行われた作戦で、ウクライナ軍はロシアが占領しているクリミアのジャンコイ軍用飛行場を攻撃し、その場所の防空システムに重大な損害を与えました。 この攻撃では、アメリカ製とされる ATACMS ミサイルが使用され、S-400 システムの複数の発射台とレーダー装置が破壊されました。 この攻撃はキーウ時間の 3 時 30 分に始まり、VIIRS/Suomi NPP によって捉えられた衛星画像が示すように、空を照らす激しい爆発を引き起こし、その破壊の程度を浮き彫りにしました。

ジャンコイは、ロシアの地域での軍事作戦にとって重要であり、多くの戦闘機と関連インフラを有しています。攻撃を受けて、ロシア当局は道路の閉鎖や空中パトロールの強化など、安全対策を強化し、残った人員と設備を保護することを目指しました。 現場からの新たな画像は、以前その飛行場を守っていた防空システムの焼け焦げた残骸を示しています。 これら重要なシステムの損失は、クリミアにおけるロシアの軍事プレゼンスにとって大きな打撃であり、ウクライナ軍が重要な脅威を中和する効果を強調しています。

S-400 トリウムフシステムは、NATO コードネーム SA-21 グロウラーで知られるロシア製の長距離防空システムです。 稼働中の最も先進的な対空ミサイルシステムの一つとされ、激しい電子戦の条件下および攻撃が集中する環境で広範囲の空中目標に対応するよう設計されています。

S-400 は、最大 400 キロメートルの距離と最大 30 キロメートルの高度で、航空機、ドローン、弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを撃墜する能力を持っています。 異なるバンドのレーダーを組み合わせて使用することで、最大 36 の目標を同時に追跡し、最大 72 発のミサイルで攻撃することが可能です。 この特徴が高い検出能力と精度を提供します。 (Redacao、Carro e Motos = 4-18-24)


ウクライナ戦争で急速に進化するドローン、その最新戦術とは

両陣営の多数のドローン(無人機)が前線で飛び交っている以上、敵機との鉢合わせは避けられない。 ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した 2022 年以来、操縦士が武器を搭載していないドローンを使って敵のドローンを追いやる「ドッグファイト(格闘戦)」が時折起きている。 だが現在は異なるパターンが見られる。 ドローン同士が予期せず対峙するのではなく、意図的な迎撃が行われており、小型のドローンが大型の爆撃ドローンを攻撃している。

これは第 1 次世界大戦で見られたパターンに似ている。 初期の複葉機が偵察機から軽攻撃機、そして戦闘機へと進化する中で、主な任務は攻撃してくる爆撃機を撃墜し、制空権を取ることだった。 そうしなければ敵機に攻撃されるため、不可欠なことだった。 それから約 100 年が経ち、ドローンが飛行する空域の制空権をめぐる争いの中で、同じような動きが小規模に繰り広げられている。

ロシア軍のドローン迎撃機

ウクライナ軍が爆撃機として使用する大型ドローン、バーバ・ヤガーは夜間に飛行する。 極めて正確に爆弾を投下して戦車やその他の車両を破壊し、ロシア軍部隊の間に恐怖を広げている。 このドローンの音は聞こえるが姿は見えない。 効果のある妨害電波を散発的に出す以外に、ロシア軍は重爆撃機を撃墜するための有効な方法を見つけられていない。 そして今、ロシア軍の一人称視点で操作するドローン (FPV) がバーバ・ヤガーを探し出して意図的に突っ込んでいる映像が出回っている。

これは偶然ではない。 ロシアのドローン専門家で、米シンクタンクの海軍分析センター (CNA) と新アメリカ安全保障センター (CNAS) の顧問であるサミュエル・ベンデットはロシア国営メディアのタス通信の記事に言及しつつ「特定の大隊ではいま、パイロット訓練コースにドローン同士の戦闘を組み込んだ公式訓練が行われている」と語った。 ドローンの操縦士は周囲の状況をほとんど把握できない。一般的に、視界は前方と下方に限られている。 そのため、ドローン奇襲を成功させるには通常、上方と後方から攻撃する。

FPV だけでなく、ロシア軍は標準的なクアッドコプターでもバーバ・ヤガーを狙っている。 この場合、バーバ・ヤガーのローターを破壊するために、武器を搭載していないドローンを上空からバーバ・ヤガーの上に落下させる戦術を取る。 攻撃側はドローンを失うことになるが、より大きなウクライナ軍のドローンの 1 機を道連れにできる。

ロシア軍はまた、ドローン同士の空中戦でより効率的に攻撃できるようドローンを改造している。 ロシアのあるグループは 3 月に「ラム (Ram)」と呼ばれる新型のドローンを披露した。 このクアッドコプターには、敵機のローターのブレードに難なくダメージを与えられるよう、金属製のスポークが取り付けられている。 この種の改造は、オランダで毎年開催されている、ドローン撃退を競うイベントに触発されたものかもしれない。 相手陣地の旗を奪うゲームに似たこの競技は、空中での戦闘で相手のドローンを排除する必要があり、ドローンには槍や鎖などの武器が搭載されている。

ウクライナ軍のドローン戦術

ウクライナ軍もロシアの攻撃ドローンに対して同様の戦術を用いている。 ウクライナの FPV がロシア軍の自爆ドローン、シャヘド 136 を迎撃している映像はまだない。 米国がウクライナに供与した、特定の目的を想定して作られた迎撃用ドローンがシャヘド 136 への攻撃に成功しているかもしれないが、安全上の理由から詳細は公表されていない。 ウクライナ軍のドローン操縦士がロシア軍の小型ドローンを撃墜した動画は数多くあり、有名な Birds of Magyar の映像や、ドニプロ川上空で双胴機のドローンを撃墜した映像などがある。

こうした迎撃が行われている理由は明白だ。 防空ミサイルは数十万ドル以上する希少かつ貴重なものであり、巡航ミサイルのような大きな脅威のために温存されている。 一方で数百ドル程度の FPV は潤沢にあり、これらを最大限用いることは理にかなっている。 ウクライナが現在使用しているものより大型で航続距離の長い FPV を開発すれば、これらも防空目的で使われるかもしれない。

ゼレンスキー大統領はこのほど、新型の自爆ドローン「ウクロランセット(Ukrolancet)」の性能について説明を受けた。 このドローンは地上の標的を攻撃するだけでなく、低速で飛ぶ機体、特にロシア軍のオルラン 10 やシャヘド 136 などの無人偵察機やドローンを標的とすることができる。

ドローン戦争

戦術は常に進化している。 ロシア軍がバーバ・ヤガーを迎撃し始め、ウクライナ軍はバーバ・ヤガーに護衛を付けている。 ウクライナ側の映像では、クアッドコプターがバーバ・ヤガーを守り、迎撃を試みるロシア軍のドローンを撃退しているように見える。 このドローン戦術は第 1 次世界大戦というより第 2 次世界大戦の様相をすでに呈している。

ベンデットは、バーバ・ヤガーが護衛の FPV 一団と行動を共にしているところが目撃されたというロシア側の指摘に言及している。 バッテリーの残量が少なくなったFPV はバッテリー交換のために操縦士の元に戻り、その間、他の FPV が任に当たることで護衛は継続される。 FPV は標的に接近する偵察機として機能するだけでなく、地上目標を攻撃し、敵のドローンから守る遮蔽物にもなる。

ドローン操縦を趣味とするウクライナの数人がクアッドコプターを使ってロシア軍の陣地を偵察していた 2 年前と比べると、事態は大きく進展している。 投入されるドローンの数が数百万機に増え、戦場をますます支配するようになるにつれて、同様の速度で事態は今後も進展し続けると予想される。 (David Hambling、Forbes = 4-18-24)

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