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ロシアの 3 飛行場攻撃 ウクライナ東部で 7 人死亡

【キーウ】 ウクライナ軍などは 4 日夜から 5 日朝にかけて、ロシア領内の 3 カ所の飛行場を無人機で攻撃し、ロシア側の 11 人が死亡した。 複数の軍用機を損傷させた。 ウクライナ情報筋が共同通信に明らかにした。 情報筋によると、軍と国防省情報総局の共同作戦という。 ロシア南部クラスノダール地方エイスクの飛行場への攻撃では 4 人が死亡し、2 機のスホイ 25 攻撃機を損傷させた。 南部サラトフ州エンゲリスでは 7 人が死亡し、3 機の長距離戦略爆撃機ツポレフ 95 を損傷させた。 西部クルスク州の飛行場にも攻撃を加え、結果を確認している。 (kyodo = 4-6-24)


ウクライナ東部で戦闘激化、ロシア軍がじりじりと前進

[キーウ(キエフ)] ウクライナ東部の拠点であるドネツク州チャソフヤール近郊で 5 日、ウクライナ軍とロシア軍が激しい戦闘を繰り広げた。 ウクライナ側はロシア軍が同市に接近したことを否定している。 ロシア軍は、2 月にドネツク州の要衝アブデーフカを占領後、東部でじりじりと前進している。 ウクライナ軍は砲弾の長期的な不足に直面しながらも何とか食い止めを図っている。 ロシア通信 (RIA) は当局者の発言として、チャソフヤール郊外にロシア軍が入ったと報じた。 一方、ウクライナ東部軍司令部の報道官は、この報道は事実ではなく、戦闘は続いていると述べた。 ただ、状況は「緊迫している」と語った。 (Tom Balmforth、Pavel Polityuk、Reuters = 4-6-24)


ロシア空軍 6 機を破壊 = ウクライナがドローン攻撃

ウクライナのメディアによると、同国保安局 (SBU) は 5 日、ロシア南部ロストフ州のモロゾフスク空軍基地に対し同日未明にドローン攻撃を実施し、少なくとも軍用機 6 機を破壊したと明らかにした。 さらに 8 機に損傷を与えるとともに、ロシア軍の 20 人を死傷させたと主張した。 この空軍基地は、スホイ 34 戦闘爆撃機などが駐留。 ウクライナ東・南部 4 州の占領地に近い地域への攻撃拠点に使われているという。

軍用機の破壊が事実なら、2022 年 12 月にロシア中部サラトフ州のエンゲリス空軍基地で TU95 爆撃機 2 機が損壊したのに匹敵するドローン攻撃となる。 ロストフ州のゴルベフ知事は 5 日、通信アプリ「テレグラム」で、大規模な攻撃を受けたと認めるとともに「防空システムがドローン 40 機以上を迎撃した」と説明。 停電や建物損傷などの影響を被ったと明らかにしたが、空軍基地への被害には言及しなかった。 (jiji = 4-5-24)


ロシア軍、ウクライナの発電所への攻撃強化 … ドネツク州など 6 州で計画停電

ロシア軍がウクライナの発電所を標的にした攻撃を増やしている。 停電を引き起こして国民の生活に大きな影響を与えると同時に、ウクライナの防空能力を弱体化させる狙いがあるとみられる。 ロイター通信によると、露軍は 4 日、ウクライナ東部ハルキウ州の火力発電所などを無人機で攻撃した。 民間人 4 人が死亡し、広範囲で発生した停電で約 35 万人が影響を受けた。 3 日には東部ドニプロペトロウシク州の太陽光発電所が攻撃を受け、火災が発生した。

一部地域では電力供給の制限を余儀なくされている。 国営電力会社ウクルエネルゴは 4 日夜、同州や東部ドネツク州、南部ザポリージャ州など 6 州で約 4 時間、計画停電を行った。 3 月下旬から続く露軍の攻撃の影響で、ウクライナの発電能力は低下している。 国内最大の民間エネルギー企業 DTEK では、稼働していた火力発電所 6 か所のうち 5 か所が大きな損害を受け、発電能力の 80% が失われた。 東部ドニプロの水力発電所もミサイル攻撃を受け、発電能力が 2 割低下したとされる。

米政策研究機関「戦争研究所」は露軍の狙いについて、ウクライナ軍が前線に配備した防空システムを後方に移転させようとしていると分析する。 ウクライナ軍の前線の防空能力を弱め、戦闘を優位に展開する狙いがあるとみられる。 (yomiuri = 4-5-24)


16 兆円規模のウクライナ軍事支援策 NATO、協議開始で合意

北大西洋条約機構 (NATO) は 3 日、ブリュッセルで外相会合を開き、5 年間で約 1,000 億ユーロ(約 16 兆 4,300 億円)規模の新たなウクライナ軍事支援策について協議を開始することで合意した。 ストルテンベルグ事務総長は会合後の記者会見で、「ウクライナに対し、長期にわたる安定的で予測可能な安全保障の支援が必要だ」と述べた。

新たな軍事支援策は、11 月の米大統領選でウクライナ支援に消極的な共和党のトランプ前大統領が勝利し、米国の支援が縮小した場合に備え、ストルテンベルグ氏が提案した。 約 1,000 億ユーロの支援額は公表されていないが、複数の外交関係者がロイター通信などに明かした。 現在、米国が行っている西側諸国約 50 カ国からの武器や弾薬、装備などの供給の調整を、NATO が引き継ぐことなどを想定している。 7 月にワシントンで開かれる NATO 首脳会議までの最終決定を目指す。 ストルテンベルグ氏は会合後の会見で、「どのような形態の支援にするかは未定だが、計画の協議を開始することでは一致した」と述べた。

ただ、NATO の軍事支援への関与が強化される内容となるため、最終決定に必要な加盟全 32 カ国の賛成が得られるかは不透明だ。 支援の内容によっては、ロシアのプーチン政権に近いとされるハンガリーのオルバン政権などの反対が予想される。 ハンガリー政府の報道官は X (ツイッター)に、「ハンガリー外相はウクライナへの武器提供や軍の訓練における NATO の調整的役割の拡大に反対し、この計画、実行、資金調達への参加を拒否した」と投稿した。

またロイター通信によると、スペインのアルバレス外相は、現在加盟国がウクライナと 2 国間で実施している支援や欧州連合 (EU) による支援との機能の重複を懸念し、イタリアのタヤーニ外相は、「支援がどのように実施されるのか、また各国の負担の配分などを検討する必要がある」と述べた。 ロシア軍との前線に展開するウクライナ軍は現在、弾薬不足が深刻化しており、ウクライナ政府は安定的な武器供給の継続を西側諸国に求めている。 一方、ロシア外務省のザハロワ情報局長は 3 日、NATO について「今日、ロシアとの関係において、冷戦期の状況に戻った」とけん制した。 (ブリュッセル・宮川裕章、mainichi = 4-4-24)


ロシア、ウクライナとの対話準備を協議と主張 仏側は否定

ロシア国防省は 3 日、セルゲイ・ショイグ国防相がフランスのセバスチャン・ルコルニュ国防相と電話会談し、ウクライナとの紛争をめぐる将来の交渉の可能性について協議したと発表した。 しかし、フランス側はこれを直ちに否定、食い違いを見せている。 ロシア国防省は声明で、電話会談はフランス側からの申し出に基づいて行われたと主張。 「ウクライナをめぐる対話へ向けた準備について留意された。 それは『イスタンブール和平イニシアチブ』に基づき開始され得る」とした。 具体的な内容については説明していない。

これを受け、ルコルニュ氏の関係筋は AFP に対し、「フランスはこうしたことに同意しておらず、提案もしていない」と述べた。 仏外務省は両者がウクライナについて話し合ったことは認めたが、ルコルニュ氏は「ロシアがウクライナに仕掛けた侵略戦争を留保なしに非難した」としている。 トルコは先月、ロシア、ウクライナの和平交渉を改めて仲介する用意があると表明した。 トルコは、2022 年 2 月にロシアがウクライナ侵攻を開始した数週間後、イスタンブールで停戦交渉を仲介した経緯がある。 (AFP/時事 = 4-4-24)


米国のウクライナ追加支援が実現へ前進 潤沢な砲弾や対空兵器で劣勢打開に期待

半年にわたって米国の対ウクライナ追加支援予算案の採決を妨げてきたマイク・ジョンソン米下院議長は、ロシアの侵略に対するウクライナの自衛戦争を強力に支援するよう求める大半の米有権者からの巨大な圧力についに屈した。 そう、米国からウクライナへの新たな援助が、ようやく実現する公算が大きくなった。 それも大量の援助だ。

ルイジアナ州出身の宗教右派でロシアを利してきたジョンソンは、下院の歳出法案を月内にも採決にかける意向を示している。 詳細はまだ明らかにしていないが、数カ月前に上院を通過した歳出法案と同様の内容になる可能性が高い。 上院案ではウクライナ向けに 600 億ドル(約 9 兆 1,000 億円)の予算が計上され、うち 340 億ドル(約 5 兆 2,000 億円)はウクライナ向け兵器の調達に充てられる予定だ。 残りはウクライナ軍の人員の訓練のほか、人道支援など軍事以外の支援に振り向けられる。

340 億ドルでどれくらいの規模の兵器を購入できるだろうか。 参考になりそうな数字を挙げよう。 ロシアがウクライナに全面侵攻した 2022 年 2 月から今月 1 月までの 1 年 11 カ月の間に、米国がウクライナ向け兵器に充当した予算額はおよそ 450 億ドル(約 6 兆 8,000 億円)だった。 このうち半分ほどは、米国防総省がウクライナのために企業側と結んだ契約の代金支払いに充てられた。 残り半分は、米国が米軍の在庫から古い兵器をウクライナに無償供与したあと、米軍向けに新しい兵器を調達するために使われた。

これらを踏まえると、ジョー・バイデン米大統領と上下両院の民主党議員、無数の一般の米国人が半年間強く求め続けてきた新たな支援によって、ウクライナはさらに 1 年以上戦うのに十分な兵器を手にできるはずだ。 具体的には、レーダーやジャマー(電波妨害装置)、ドローン(無人機)、ボート、装甲車両、工兵装備を多数取得できるだろう。 とりわけ期待されるのは、大砲とその砲弾、防空システムとそのミサイルの追加供与だ。

ウクライナは米国から以前、155mm 榴弾砲をおよそ 200 門、高機動ロケット砲システム (HIMARS) を 39 基、パトリオット地対空ミサイルシステムを 1 基、NASAMS 地対空ミサイルシステムを 12 基供与されていた。 これらの兵器も補充できそうだ。 ウクライナ向けの砲弾を生産するために米陸軍がテキサス州に新設した工場からは、155mm 砲弾が少なくとも 100 万発出荷される見通しだ。 この工場を含め、米国内で弾薬生産のために新増設された生産設備は、米政府の追加支援予算に依存しているため、昨年 10 月に一部の共和党議員の手で支援が阻まれて以来、財政面で手詰まりになっている。

新たな財源が確保されれば、テキサス州のこの工場とペンシルベニア州の似たような 2 つの工場は、おそらく数カ月以内に、砲弾を合計で月に 6 万発生産できるようになる。 また、9 カ月以内には月間生産数を 10 万発まで増やせそうだ。 ペンシルベニア州の 2 工場の砲弾生産数は、ロシアがウクライナに全面侵攻する 1 カ前の 2022 年 1 月時点では月に計 1 万 5,000 発程度にとどまっていた。

米政府 ウクライナに 440 億円の新たな軍事支援

3 工場で月に計 6 万 - 10 万発生産される砲弾の主な出荷先は、もちろんウクライナになるに違いない。 米国から届く大量の砲弾は、ウクライナが向こう数週間ないし数カ月後に欧州連合 (EU) から受け取る数十万発の砲弾、それとは別にチェコ主導のグループから得る 100 万発規模の砲弾に加わることになる。 今年 2 月時点で、ウクライナ軍の 1 日の砲弾発射数はわずか 2,000 発まで減っていた。 ロシア側は 5 倍の 1 万発を発射している。 ウクライナ側がこのところ後退を強いられ、ロシア側が相変わらず多大な損害を出しながらも前進しているのは、この砲兵火力の差が主な理由のひとつだ。

ウクライナ軍は今後年末にかけて米国、EU、チェコグループから少なくとも 250 万発届くと見込まれる弾薬を使って、ロシア側に匹敵する 1 日 1 万発の砲弾を発射できるようになるだろう。 ウクライナ軍の砲兵のほうが概してロシア軍の砲兵よりも砲撃の精度が高い点も考え合わせれば、これはウクライナ側が近く、1 年ぶりに砲兵火力で優位に立てることを意味する。

この火力優位がウクライナの命運をどれほど大きく好転させるかは、いくら強調してもしすぎることはないだろう。 防空システムとそのミサイルの追加供与によって、ウクライナがどれほど大きな恩恵を受けるかについても同様だ。 射程が 145km ほどあるパトリオットはウクライナ軍が保有する最高の防空システムだが、現状ではたった 3 基しかない。 米国から 1 基以外の 2 基は、ドイツが無償供与した。 3 基はいずれも、発射機が当初 12 基前後あったもようだ。

ウクライナ空軍はパトリオット 3 基のうち、1 基を首都キーウ、もう 1 基を南部の港湾都市オデーサに配備し、両大都市をロシア軍のミサイルやドローンによる攻撃から守ってきた。 もう 1 基は機動防空部隊に配備し、前線を移動しながらロシア軍機を待ち伏せ攻撃するのに用いてきた。 この部隊はロシア空軍に大損害を与えたが、最近、貴重な発射機 2 基とその要員を失っている。

ウクライナ空軍はパトリオットをもっと必要としている。 できれば、さらに 1 基や 2 基でなく、もっと多くのパトリオットが必要だ。 製造元の一社である米ロッキード・マーティンやそのパートナー企業は、需要の急増を見越してレーダーや発射機、ミサイルの生産を拡大しているので、もし半年前にバイデンが追加支援案を提示した時点で共和党側が賛成していれば、ウクライナは今ごろすでに追加の発射機やミサイルを受け取っていただろう。

とはいえ、実現が遅れても何も起こらないよりはましだ。 パトリオットがあと 3 基あれば、ウクライナ空軍は 1 基を戦場での損失の補充、1 基をハルキウとドニプロの防衛、1 基を 2 個目の機動部隊への配備に割り当てることができる。 規模を拡大し、ミサイルを数百発供与されたパトリオット部隊は、ウクライナの大都市に対するミサイルやドローンの脅威を終わらせると同時に、前線でもロシア軍の航空戦力の圧倒的な優位性を減じることができるかもしれない。

ジョンソンが約束どおりにウクライナ支援法案を月内に採決にかければ、巨額の資金が流れ始め、ウクライナという国家を滅亡させようとするロシアの残忍な戦争の前線に、ウクライナ側が死活的に必要とする兵器が多数届き出すだろう。 ウクライナは数週間後には、今より格段に強力になっているかもしれない。 (David Axe、Forbes = 4-3-24)


ロシア軍の記録的な戦車大損害はなぜ起きたか にじむ焦りと侮れない「底力」

ウクライナ東部ドネツク州のウクライナ側の防御拠点だったアウジーウカ市の廃墟をロシア軍が占領し、さらに西へと進撃するなか、ロシア側では重要な部隊が待機していた。 ロシア軍第 90 親衛戦車師団の作戦予備である第 6 親衛戦車連隊である。 第 6 戦車連隊は、いわば「突破部隊」だ。 アウジーウカの西方でウクライナ側の防御に探りを入れている自軍部隊が脆弱な箇所を見つければ、そこを突いてウクライナ側の後方に一気に攻め込み、大きな打撃を与えるのがその任務だった。

それなのに、第 90戦車師団はなぜ 3 月 30 日、第 6 戦車連隊を、アウジーウカ西方のトネニケ村のすぐ西にあり、ウクライナ軍の精鋭部隊である空中強襲軍隷下の第 25 独立空挺旅団が配置されている、穴のない防御陣地に対する直接攻撃に向かわせたのか。 白昼に行われたこの突撃は、ロシアがウクライナで拡大して 25 カ月あまりたつ戦争で、戦車による過去最大級の強襲だった。 ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター (CDS) の 4 月 1 日の戦況評価によると、第 6 戦車連隊は当初「(トネニケ)村の北西へわずかに前進した。」

だが、この進撃は長く続かなかった。 第 6 戦車連隊の T-90 戦車 36 両と BMP 歩兵戦闘車 12 両は地雷原に突っ込む。 そこにウクライナ軍の空挺兵らが扱いに長けた対戦車ミサイルを撃ち込み、さらに爆薬を積んだ FPV (一人称視点)ドローンも襲いかかった。 乗員や歩兵数百人が乗り込んだ装甲車両 48 両による突撃は、こうして破滅的な結末を迎えた。

ウクライナ側は「この最初の大規模な強襲を撃退した」と CDS は報告している。 第 6 戦車連隊は退却し、あとには大破した戦車 12 両と歩兵戦闘車 8 両、それにロシア兵の遺体多数が残された。 遺体は数十体にのぼったかもしれない。 ウクライナの調査分析グループであるフロンテリジェンス・インサイトは、今回の攻撃からは重要な点が 2 つ観察できると解説している。

「まず、この方面のロシア軍は、大隊レベル以上の作戦を実施する能力や十分なリソースを失っていない。 これは懸念すべきことである。 (ロシア軍が)アウジーウカ(方面)で、1 個師団、あるいは定数が充足されていない 1 個軍団の全滅に相当するほどの大きな損害を出しながら、増強された戦車大隊をなお集結できるというのは、ウクライナ軍の防御にとって脅威になるからだ。」

しかも、ウクライナ軍は戦線で人員や装備の不足に苦しんでいる。 新たに数十万人の動員を可能にする法律は成立するめどが立たず、米国からの軍事援助も何カ月も停止しているためだ。 他方、フロンテリジェンス・インサイトが見て取ったもうひとつの事情は、ウクライナ側にとってより希望の持てるものだ。 「伝えられるところでは、第 6 (戦車)連隊は防御の隙を突き、ウクライナの領土にさらに前進する任務を与えられていた」とフロンテリジェンス・インサイトは記し、こう続けている。

「これはウクライナにとって朗報である。 なぜなら、弱点を利用する部隊を使って突破口を切り開こうとしているのは、ロシア軍が大きな困難に直面し、窮余の策をとっているということだと考えられるからだ。」

第 90 戦車師団は、想定どおりには前進できそうにないと気づき、焦ったあまり、拙劣なこと、つまり防御の弱い箇所を把握したり、防御をあらかじめ崩したりする前の段階で、突破部隊を投入したのかもしれない。 その結果、無防備な後方まで突き抜けて暴れ回るはずだった第 6 戦車連隊は、ウクライナ軍の地雷、ドローン、そして血に飢えた対戦車ミサイル砲手にまみえることになった。 (David Axe、Forbes = 4-3-24)

◇ ◇ ◇

ロシア軍、大規模な突撃で戦車 12 両を一気に失う 過去最大級の損害

ロシア軍がウクライナ東部アウジーウカの西方で 3 月 30 日に行った突撃は、ロシアがウクライナで拡大して 25 カ月あまりたつ戦争で、戦車を用いた攻撃としては過去最大級だった可能性がある。 その結果、ロシア軍は自軍の戦車に過去最大級の損害を出した。 煙が晴れると、ロシア軍が投入した戦車の 3 分の 1 が道路に残されていた。 ロシア側が大損害を被ったこの攻撃は、3 年目に入ったこの戦争の互いにぶつかり合う 2 つの動向を浮き彫りにした。

2 月半ばにアウジーウカを占領してから今回の攻撃までの数週間、ロシア軍の連隊や旅団は、廃墟と化している同市の西にある村々を攻撃するのに、徒歩で移動する歩兵を主に用いていた。 アウジーウカの攻略に向けた数カ月にわたる攻撃で戦車や歩兵戦闘車などを何百両と失い、車両不足に陥っていたためとみられる。

それがここ数日で変わった。 これがひとつ目の動向だ。 ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター (CDS) は 3 月 29 日の戦況評価で「アウジーウカ方面では、敵(ロシア軍)は戦車を含む装甲車両を再び使用し始めた」と指摘している。 その翌日、ロシア軍の 1 個ないし 2 個大隊分の装甲車両がアウジーウカ西方の村トネニケ近辺に突っ込み、多数が遺棄される結果になった。

他方、こうした大規模で重武装のロシア軍部隊をウクライナ側が撃退できたことは、もうひとつの動向を示している。 ウクライナ軍の旅団は主要な弾薬の供給不足に苦しみながらも、なお苛烈な防衛ができるということだ。 こうした防衛は地雷や大砲、対戦車ミサイル、そして爆薬を搭載した FPV (一人称視点)ドローン(無人機)を組み合わせて行われることが多い。

トネニケの西であった攻撃について、ウクライナ空中強襲軍(空挺軍)第 25 独立空挺旅団は「小さなプトラー(編集注 : プーチンとヒトラーをかけ合わせた侮蔑語)の野心のために、束になって死んでいく肉どもの愚かさ、無分別さ加減は、時に驚きあきれるほどだ」とテレグラムに投稿している。 攻撃ではロシア軍の第 6 親衛戦車連隊(第 90 親衛戦車師団隷下)の戦車 36 両とBMP 歩兵戦闘車 12 両が、ロシア側の占領下にあるトネニケから、西へ 3km ほどのウクライナ側の村ウマンシケへ伸びる道路上を進撃した。

ウクライナ軍の第 25 旅団がそれを発見し、激しい攻撃を加えた。 ウクライナ海兵隊第 36 独立海兵旅団のドローン操縦士のアカウント「Kriegsforscher(@OSINTua)」は、車両 48 両のうち「戦車 12 両とBMP 8 両が破壊された。 狂気の沙汰だ。」と X (旧ツイッター)に書き込んでいる。 ロシア軍は車両 20 両とおそらく兵士数十人を犠牲にしていくらかの土地を獲得したのだとしても、それはごくわずかだった。 CDS は 3 月 31 日の戦況評価で、トネニケ方面の戦闘について「情勢の変化が少ない」、つまり双方とも大きな前進を遂げていないと分析している。

第 25 旅団がロシア側の過去最大級の戦車縦隊をどのように撃退したのかは、戦闘後の視覚的な形跡からはつまびらかでない。 とはいえ、推測するのは難しくない。 ウクライナ軍による最近の防衛では、ドローンでロシア軍の突撃部隊の位置を特定し、狙いすました一斉砲撃を加えるという戦術を採るのが普通だ。 大砲によってロシア側の車両は散り散りになる。 生き残った車両や兵士は FPV ドローンの格好の目標になり、ひとつひとつ潰される。 地雷や対戦車ミサイルが突撃の出端をくじいたり、被害に追い打ちをかけたりすることもある。

この戦術は、米議会のロシアに融和的な共和党議員たちが昨年 10 月から米国の対ウクライナ支援を妨害し出し、ウクライナ軍の主だった重弾薬が不足するようになった事態を受けて、必要に迫られて編み出されたものだ。 アウジーウカの守備隊がついに撤退に追い込まれたのも、そもそも砲弾不足が一因だった。 米共和党のひどい裏切りのあと、ウクライナの欧州の支援諸国がウクライナ向け弾薬の供給体制を立て直すには数カ月を要した。 2 月半ば以降の目まぐるしい 6 週間で、チェコ主導のグループはウクライナ向けに砲弾を少なくとも 100 万発かき集め、その購入資金 10 億ドル(約 1,510 億円)超も手当てした。

これらの砲弾の最初分は数週間後にはウクライナに到着し、それによってウクライナ軍の砲兵火力はある程度回復するはずだ。 一方で、数カ月にわたる砲弾不足はウクライナがFPV ドローンの生産を大幅に拡充する契機にもなった。 国内の小規模な工房から成るネットワークは、いまでは FPV ドローンを月に 5 万機以上も生産している。 ウクライナ軍の砲兵部隊は、以前は砲弾を 10 発発射してロシア軍の突撃部隊を撃破していたかもしれないが、現在はわずか 5 発でそうしている。 近くにいるドローン運用部隊と連携し、最後の仕留め役を果たしてもらっているからだ。

新たな弾薬がウクライナに届き出しても、こうした戦術が引き続き戦場を形づくることになりそうだ。 少なくとも向こう数週間から数カ月間、ウクライナ軍は基本的に榴弾砲とドローンを連携させた戦い方で、ロシア側の突撃部隊に対する防衛を続ける公算が大きい。 榴弾砲とドローンの組み合わせではすでに、数カ月ぶりに榴弾砲の比重が高まってきているかもしれない。 ウクライナ軍での大砲の復活は、自由なウクライナの味方にとっても歓迎すべき動きだ。 ロシア軍の突撃部隊はより大規模で、重装備になりつつある可能性がある。 それを止めるには、ウクライナ側により多くの火力が必要になる。 (David Axe、Forbes = 4-2-24)


ウクライナのドローン、国境から 1 千キロ以上のロシア西部を攻撃か

ロシア西部タタールスタン共和国のミンニハノフ首長は 2 日、同国内の 2 カ所がドローン(無人機)による攻撃を受けたと発表した。 ウクライナ側はドローン工場を破壊したとしている。 ウクライナとの国境からは 1 千キロ離れており、ウクライナによるロシア領への攻撃では、最も遠い地域とみられる。 攻撃を受けたのはエラブガとニジネカムスク。 ウクライナとの国境からは約 1 千キロ、ウクライナ侵攻の前線からは約 1,200 キロの距離だ。 エラブガの経済特区にある、労働者と学生のための宿泊施設などが被害を受け、学生 13 人が負傷したという。 ニジネカムスクでは製油所が攻撃されたが、いずれも深刻な被害はなかったとしている。 (asahi = 4-2-24)


ロシア軍が猛攻、脆弱な防衛線押し込む ウクライナ東部

ウクライナ軍にとって重要な同国東部戦線の防衛ラインが、過去 1 週間で部分的にロシア軍の手に落ちたとみられることがわかった。 英国の国防情報機関や軍事ブロガーが現地情報筋を引用して明らかにした。 英国防情報部は 3 月 30 日、東部の要衝アウジーイウカ近郊で戦うウクライナ側の命運について、いつになく否定的な評価を下した。 同市は 2 月半ば、ロシア軍に制圧された。

X (旧ツイッター)で共有された英国の声明によると、ロシアはアウジーイウカの西側で段階的な前進を継続。 3 月下旬にはほぼ確実にトネンケとオルリウカの村落 2 カ所を掌握したとみられる。 現在も周辺地域の複数の村落に対して引き続き攻勢をかけているという。 同局はその上で、ロシア軍がこの地域における兵員と弾薬でウクライナ軍を著しく上回っていると指摘。 月に 3 万人の兵力を補充できていると付け加えた。

これらの村落自体に戦略的な重要性はないものの、それらはウクライナ軍の防衛ラインの一部を形成。 同軍はアウジーイウカ撤退以降、厳しい戦いを繰り広げながらこのラインを守ってきた。 ロシアとの戦争におけるウクライナ側の展望が一段と暗くなる中、今回の英国による声明はウクライナの命運にとってとりわけ悲観的な分析となっている。 同国のゼレンスキー大統領は 3 月 29 日、米紙ワシントン・ポストの取材に答え、米国からの支援が得られなければ、ウクライナ軍は徐々に退却することを余儀なくされると訴えた。

前線のウクライナ軍兵士は、緊急に弾薬を補給し、ロシア軍による直近の集中砲火に対抗する必要に迫られている。 米議会ではウクライナ向けの支援に関する議論が膠着状態に陥っており、欧州連合 (EU) でもウクライナへの軍事支援を巡っては内部での見解の不一致を解消しなくてはならない状況にある。 ウクライナ軍の参謀本部は英国の評価に直接コメントしなかったが、4 月 1 日に発表した更新情報ではウマンスケと呼ばれる村落を巡る戦闘について説明した。 ウマンスケは前出のトネンケからウクライナ領へ約4キロ西に入った地点に位置する。

CNN からの質問に対し、ウクライナ軍は現在トネンケを制圧しているのがどちらの軍なのか答えるのを控えた。 ウクライナ国防省との強いパイプを持つジャーナリスト、ユーリイ・ブトゥソフ氏は、ソーシャルメディアにトネンケの西での戦闘だとする動画を投稿した。 ブトゥソフ氏は 1 日、CNN の電話取材に答え、「ここしばらくは」ロシア軍がトネンケを抑えていると述べた。 その上で、「この地域の前線が破られたとは断言できないが、現状押し込まれており、徐々に後退している。 ロシア軍にとって成功と言える戦況になっている」と分析した。

ウクライナ軍の参謀本部は、前線の複数の村落周辺でロシア軍の攻撃を撃退したとも発表したが、CNNが前線の兵士に取材したところ、自軍守備隊の陣地と兵員、弾薬の不足を懸念する声が聞かれた。 (CNN = 4-2-24)


ウクライナ、ようやく数百万発の砲弾入手か 大砲の修理急ぐ

ウクライナが長らく陥っていた弾薬不足から徐々に回復している中、ウクライナ軍の大砲はいま、かなり静かだ。 砲弾を欠く事態は大方、米共和党のロシア寄りの議員らが原因だ。 だが、ようやく砲弾がウクライナに届く。 しかも大量にだ。 そしてウクライナは大砲の再稼働に向けて準備を整えつつある。 まず取りかかるのは、大半が米国から供与された数十門のけん引式榴弾(りゅうだん)砲 M777 の修理だ。 ウクライナはようやく M777 を国産の部品を使って自国で修理ができるようになった。

ウクライナ軍の総司令官に就任したばかりのオレクサンドル・シルスキーは「これらの部品の一部をここウクライナで生産する体制を確立した」、「特に、この榴弾砲の各装置を修理する際には、ウクライナ軍の必要に応じて国内企業が製造した部品やスペアパーツの 40% が使用される」と語った。 これは重要なことだ。 損傷した外国製の兵器を修理のために他国に送ると、その兵器がウクライナに戻ってくるには時間を要し、場合によっては何カ月もかかる。 例を挙げると、ウクライナ軍の旅団にレオパルト 2 戦車が足りないのは、外国の車両基地で修理に手間取っているためだ。

M777 を国外に送ったり、外国製部品の到着を待ったりするのではなくに、さらに悪いことに損傷した複数の M777 から部品を取り出して別の破損した M777 を修理するのではなく、国産の部品を使って国内で修理することで、ウクライナ軍はより多くの M777 をより長く使えるようにしている。

ウクライナは、米国を含む同盟国から少なくとも 190 門の M777 を手に入れた。 砲員 5 人で操作する重量 5 トンの M777 は、2023 年までにウクライナ軍が運用する大砲で最良かつ最も重要なものとなった。 M777 は重さ 45kg の 155mm 砲をロケットモーターの助けを借りずに約 29km 先に打ち込むことができる。 同軍のある砲手は米国支援の放送局ラジオ・フリー・ヨーロッパに「(最良なものである)理由は正確さだ。」と語った。

2 年 1 カ月におよぶ激戦で、ロシア軍は主にドローン(無人機)と対砲兵射撃でウクライナ軍の M777 を 44 門を破壊し、38 門を損傷させた。 その結果、ウクライナ軍が前線に配備している M777 の数はほぼ半減した。 榴弾砲の不足はウクライナ軍の砲兵隊が直面する最大の問題ではない。 最も悩ましいのは、ウクライナへの米国の追加支援を昨年 10 月から妨害している米下院のロシア寄りの共和党議員らだ。 ウクライナ軍の大砲は以前、1 日に 1 万発発射していたが、米国から砲弾が届かなくなったことでその数はわずか 2,000 発になった。

だが共和党は、権威主義的なロシアより民主主義のウクライナを支持すべきという強い圧力についに屈しつつあるかもしれない。 マイク・ジョンソン下院議長は、ウクライナへの追加支援案を 4 月に採決にかけることを約束した。 採決が行われれば、もしかすると米政府が数十万発にのぼる砲弾をウクライナに緊急に出荷する可能性がある。 チェコ主導のコンソーシアムがウクライナのために購入した少なくとも 100 万発の砲弾が同国に到着するのと同じ頃に米国の砲弾も届き始めるかもしれない。 ウクライナはまた、欧州連合 (EU) が昨年供与を約束した 100 万発の砲弾のうち、残る数十万発を手に入れつつある。

つまり、ウクライナは間もなく砲弾が潤沢になる可能性があるということだ。 そうなればウクライナ軍の砲兵部隊は、安全に使えるすべての大砲を再配備したいはずだ。 そこには損傷し、まだ大半が修理されていない 38 門の M777 も含まれる。 だからこそ、ウクライナが M777 を国産部品を使って国内で修理し始めたことは、非常に大きな意味を持つのだ。 (David Axe, Forbes = 3-31-24)


高官更迭続くウクライナ、政権内不和か 「ロシアと変わらぬ」危惧も

ロシアから侵攻されているウクライナでは、軍や政権の高官が相次いで更迭されている。 2 月にザルジニー軍総司令官が交代させられたことに続き、3 月 26 日、ダニロフ国家安全保障国防会議書記も解任された。 度重なる要職の交代は、政権内部の結束にほころびが生じている可能性も示す。 ダニロフ氏は、ゼレンスキー大統領が議長を務め、主要閣僚が参加する国家安保国防会議を統括。 大統領側近と位置づけられながらも、欧米諸国を相手にして歯にきぬ着せぬ物言いを続けてきた。

2 月下旬に毎日新聞の取材に応じた際にも「西側諸国はロシアを恐れ過ぎている」と発言。 解任理由は明かされていないが、一連の発言が問題視されたともみられている。 近く駐ノルウェー大使に転出するとも報じられている。 今回の解任劇に先立ち、ゼレンスキー氏がザルジニー氏を更迭した背景には、その人気を脅威に感じていたとの指摘もある。 2023 年 12 月の世論調査で、ザルジニー氏の支持率は 88% を記録し、ゼレンスキー氏の 62% を上回った。

2 割弱の領土がロシアに占拠されている事態を踏まえ、ゼレンスキー政権は当初 3 月末に予定されていた大統領選を延期させた。 今後、どこかの段階で選挙を実施する場合、ザルジニー氏が競争相手になるとの観測が消えていない。 この点を考慮したのか、解任された後のザルジニー氏は駐英大使に任じられて、国内から遠ざけられる形となった。  ザルジニー氏の解任を巡っては、戦況についてのメディアへの情報発信などで意見の相違があった可能性もある。

ザルジニー氏は 23 年 11 月の英誌エコノミストのインタビューで、「戦況が行き詰まった」と発言したが、ゼレンスキー氏がすぐに否定。 両者の不和が明るみに出た。 英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) は同年 12 月、大統領府や軍関係者の証言を基に、国内への投資や支援を呼び込むために報道統制を強めて楽観的な戦況を伝えようとする大統領府と、より現実に即した情報発信を主張する軍との間に溝が生まれていると指摘していた。

ゼレンスキー氏への権力の集中を懸念する声も出ている。 ウクライナ最高会議(議会)野党のホンチャレンコ議員は 23 年 12 月の独有力誌シュピーゲルに「ウクライナではゼレンスキー氏とイエルマク大統領府長官の 2 人がすべてを決めている」と証言。 首都キーウ(キエフ)のクリチコ市長は「私たちはいずれ、1 人の男性の機嫌にすべてが左右されるようになり、もはやロシアと変わらなくなるだろう」と危惧した。

国力で劣るウクライナがロシアへの抵抗を続けてこられた理由の一つには、国内が結束してきた点が挙げられている。 一方でロシアによる侵攻開始以来、ウクライナ政府はテレビ局を統制下に置き、政権批判が生まれにくい状況となっている。 (ブリュッセル・宮川裕章、mainichi = 3-31-24)


ウクライナ大統領、ロシア製油所に無人機攻撃継続方針 - 米不満も

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの製油所を標的とした攻撃について、米国は不満を示しているものの、これを継続する考えを示した。 追加の軍事支援がなければ、ウクライナ軍は「徐々に」後退を余儀なくされる恐れがあるとも警告した。 米紙ワシントン・ポスト (WP) のデービッド・イグナティウス氏はコラムで、キーウで 28 日行われたゼレンスキー大統領とのインタビューを引用し、一連の無人機攻撃はロシアによるウクライナのエネルギー網への攻撃に対する報復であり、ロシア側にこれをやめさせる取り組みの一環だと指摘した。

ウクライナ軍はここ 1 カ月、爆発物を搭載した無人機でロシア国内の複数の製油所を攻撃し、燃料生産に打撃を与えた。 しかし、ウクライナの支援国で、選挙イヤーに国内の燃料価格が上昇することを懸念する米国にはいら立ちもあると、英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) は事情に詳しい関係者の話として先に報じた。 「この件に関して米国の反応は肯定的ではなかった」とゼレンスキー氏は WP に語り、「われわれはわれわれの無人機を使った。 それはできないと誰も言うことはできない」と述べた。

ゼレンスキー大統領は、停滞している 600 億ドル(約 9 兆 800 億円)超の対ウクライナ支援法案について、米下院での早期可決を改めて要請。 そうしなければ、ウクライナはロシアの軍事標的や重要インフラへの攻撃を強化せざるを得なくなるとした。 ゼレンスキー氏はジョンソン米下院議長との先の会談後、X (旧ツイッター)への投稿で、「下院内で手続きの進め方について意見が分かれていることは認識しているが、重要なのはウクライナに対する支援問題を団結させる要素として維持することだ」と記した。

支援なければ徐々に後退

ゼレンスキー大統領はWPとのインタビューで、米国に対し、長距離ミサイルの提供を求めた。それがあれば、ロシアが実効支配するクリミア半島の飛行場などの標的への攻撃を強化できるとし、「ATACM−300がその答えになる」と述べた。 「米国の支援がなければ、防空もパトリオットミサイルも電子戦用妨害装置も155ミリ砲弾もないということだ」とした上で、「これは、われわれが一歩ずつ徐々に後退していくということを意味する」とも語った。

また、ゼレンスキー氏はこの2日間で、数十年にわたりビジネスパートナーも務めてきたシェフィール大統領首席補佐官ら当局者8人を解任した。ニキフォロフ大統領報道官はブルームバーグ・ニュースへのテキストメッセージで、「大統領府人事の最適化」の一環だと説明。同様の措置が他の政府機関でも見込まれると付け加えた。 ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入る中、ゼレンスキー大統領はここ数週間で、軍や政府当局者ポストの入れ替えを加速している。 (Volodymyr Verbianyi、Bloomberg = 3-31-24)

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