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ロシアの港で大規模火災 ウクライナの無人機が長距離化に成功か ロシア北西部レニングラード州の港で大規模な爆発がありました。 ウクライナの無人機による攻撃とみられ、無人機の長距離化がロシアの防空システムに与える影響が指摘されています。 レニングラード州知事は 21 日、サンクトペテルブルクの西約 130 キロに位置するウスチルガ港にある天然ガス大手「ノバテク」社のターミナルで火災が発生したと明らかにしました。 死傷者はいないとしています。 ロシアの独立系メディアによりますと、ガスを貯蔵している 17 のタンクのうち 2 つが燃えているということです。 知事は火災の原因を明らかにしていませんが、独立系メディアは近隣住民が無人機の飛行音を聞いたと報じています。 レニングラード州への無人機による攻撃は 18 日に初めて確認されていましたが、ウクライナ国境から約 900 キロと遠く離れていて、ウクライナの無人機が飛行の長距離化に成功しているとみられます。 ロシアメディアは、ウクライナがこうした長距離無人機の大量生産に成功した場合、ロシアの防空システムに深刻な課題をもたらすと指摘しています。 (テレ朝 = 1-21-24) ドネツク市場への砲撃で子ども含む 25 人以上死亡 親ロシア派が発表 ウクライナ東部ドネツク州の州都ドネツクの市場が 21 日、ウクライナ軍の砲撃を受け、少なくとも 25 人が死亡したと、同州の親ロシア派幹部が伝えた。 タス通信によると、うち 2 人が子どもだという。 20 人が負傷し、さらに死傷者数が増える可能性があるという。 ロシアメディアによると、現場は市場や多数の商店が並ぶ地区。 ロシアのテレグラムチャンネルに投稿された動画には、横たわる遺体や負傷者、壊れた建物や焦げた車が映っている。 同州の「知事」を名乗る親ロシア派幹部のプシリン氏は、最も混雑する日曜日が狙われたとして、「非道な攻撃」と SNS で批判。 ロシア下院のスルツキー国際問題委員長は「ロシア市民への犯罪的な(攻撃)命令は報復を受けるだろう」と、ウクライナ側への対抗措置を主張した。 (asahi = 1-21-24) ウクライナ軍、ロシア軍車両を次々撃破 アウジーイウカ北方の村 ウクライナ東部ドネツク州アウジーイウカのすぐ北に位置するステポべ村は、小さなレースコースのような道路に囲まれている。 ロシアがウクライナで続ける 1 年 11カ月にわたる戦争で、ここ最近起きた中では最も劇的な小競り合いの数々を捉えた映像をよく見てほしい。 その多くは、この道路に沿って行われている。 ロシア軍は、この道路を経由して戦車や戦闘車両をステポべに投入し、ウクライナ軍の待ち伏せを受けている。 2 両の米国製 M2 ブラッドレー歩兵戦闘車がロシア軍の T-90 戦車 1 両と相見え、機関砲で 25mm 弾を浴びせて T-90 を撃破。 その際、M2 はこの道路を前後に行ったり来たりし、T-90 の照準をかわした。 別の戦闘では、M2 が最北の東西に走る道路に沿って進撃し、ウクライナ軍第 109 領土防衛旅団が動けなくしたばかりのロシア軍の BMP 歩兵戦闘車 3 両を爆破した。 重量 30 トンの M2 が重量 16 トンの BMP に重さ 450g ある 25mm 徹甲弾を浴びせると、「くらえ!」と領土防衛旅団の兵士が叫んだ。 昨年 10 月以来、数区画ほどしかないこの場所で来る日も来る日も激戦が繰り広げられている様は、この戦争の状況を物語っている。 ロシア軍は攻撃をかけているが、ほとんど前進できていない。 言い換えると、戦いは陣地戦になっている。 陣地戦は、防衛に有利な場所を手にした側が優位に立つが、完全に一方的な戦いというわけではない。 少なくとも 1 両の M2 が、爆破されたロシア軍の BMP の残骸でほぼ埋め尽くされたステポべの北端の「車両の墓場」で撃破された。 ウクライナ軍の T-64 戦車もどうやら M2 をけん引しようとしていた最中に被弾したようだ。 だが、ステポべとアウジーイウカでは、ウク ライナ軍よりもロシア軍の方が装備と兵士を多く失っている。 独立系オープンソースインテリジェンス (OSINT) サイト「オリックス」のアナリストによると、昨年 10 月中旬以降、ロシア軍はこの地域で少なくとも 488 の戦車や戦闘車両、りゅう弾砲、トラック、その他の重装備を失ったか放棄したという。 これに対し、ウクライナ軍の損失は 37 だ。 もし兵士の犠牲が装備の損失に比例するとすれば(そうでないと信じる理由はない)、ステポべとアウジーイウカではウクライナ兵 1 人が死亡するごとに、13 人のロシア兵が死亡していることになる。 (David Axe、Forbes = 1-21-24) ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍 FPV ドローンが突入 ... 建物を内部から爆発させた攻撃成功の瞬間映像
ロシアとウクライナの両国が FPV (一人称視点)ドローンの開発を強化する中、ウクライナのドローンがロシアの前線の陣地に対する攻撃を成功させたとみられる新たな映像が公開された。 動画は 1 月 15 日、ウクライナの活動家で、同国のドローンの備蓄のための資金集めを行い、戦闘映像を公開しているセルヒー・ステルネンコが投稿した。 短い映像をつなぎ合わせたもので、ウクライナの FPV ドローンがロシア軍の潜伏場所を攻撃している様子だという。 映像では、少なくとも 1 機のウクライナの自爆ドローンが、ロシア兵が避難していた廃墟を攻撃し、建物を破壊している。 別の航空機がその瞬間を捉えたとみられる。 この攻撃はウクライナの第 80 独立空中強襲旅団が行ったとされているが、ステルネンコは撮影された日時や場所は明らかにしていない。 ネット上では、映像のドローンは、ウクライナが日常的に使用しているドローンよりも大型で破壊力のあるモデルではないかと推測する意見もある。 「数でロシアと勝負するのは難しい」 ロシアによるウクライナ侵攻の開始後、FPV ドローンは瞬く間にウクライナの無人航空機 (UAV) 戦略の象徴となった。 ドローンがロシア軍の車両に向かって急降下して爆発するといった劇的な戦闘映像を記録するために使用したり、砲撃を誘導するための偵察ツールとして配備したりすることもできる。 2023 年 10 月初めにロシアがドネツク州アウディーイウカに攻撃を開始して以来、ロシアもウクライナも、それらの前線で FPV ドローンを広範囲に使用してきた。 ウクライナ軍第 92 機械化旅団のドローン部門「アキレス」を指揮するユーリー・フェドレンコは昨年 12 月中旬、同国東部と南部の激戦地では、ウクライナ軍の FPV ドローン 1 機に対してロシア軍は 5 - 7 機の FPV ドローンを展開していると明らかにした。 米シンクタンク「海軍分析センター」のサミュエル・ベンデットによれば、ウクライナは FPV ドローンの生産で大幅にリードしていたが、その後ロシアがドローンの開発と増産に本腰を入れて前線に大量に送り込むようになっている。 ベンデットは、ロシアでは国の機関やその関連団体が総力を挙げてドローンの開発・増産を行っており、「その成果としてロシア軍に 1 カ月あたり何万機もの FPV ドローンを供給している可能性が高い」と本誌に語っている。 「技術自体は非常に簡単だが、まさに技術革命」 しかし、ウクライナは FPV ドローンの購入と改造に資金を注ぎ込んでおり、昨年は何千という機体を購入するために何度も資金集めを実施した。 ウクライナのデジタル変革相で、ロシアに対するドローン開発の指揮を執るミハイロ・フェドロフは、「数でロシアと勝負するのは難しい」と本誌に語った。 「FPV ドローンは、技術自体は非常に簡単だが、まさに技術革命だ。」 FPV ドローンはウクライナにとって「非常に効率的」なツールであり、「時には大砲よりも効率的に機能する」とフェドロフは言う。 ウクライナのドミトロ・クレバ外相は 1 月 11 日、「ウクライナは FPV を含むドローンの生産を拡大し、さらに共同生産を迅速に拡大するためにあらゆる方面と協力している」と述べた。 (エリー・クック、NewsWeek = 1-21-24) ロシアの 2 大都市に無人機到達 ウクライナ射程 5 割増、応酬激化 【キーウ】 ロシアの侵攻を受けるウクライナが特別作戦として発射した同国製無人機がロシア第 2 の都市、北西部サンクトペテルブルクに到達した。 航続距離は 5 割以上伸び、既に攻撃した首都モスクワに次いで射程に入った。 ロシアはイラン製シャヘドを改良してウクライナ各地への攻撃を続けており、無人機攻撃の応酬が激化している。 ウクライナ国防省情報総局は 18 日、サンクトペテルブルクの石油ターミナルに無人機攻撃を実施した。 無人機は迎撃されたとみられ、施設に破片が落下し火災が発生。 ウクライナ当局者は共同通信に「特別作戦が成功した」と説明し、同市やその周辺の軍事施設が攻撃範囲にあると認めた。 (kyodo = 1-20-24) ◇ ◇ ◇ ウクライナがロシアに無人機攻撃 プーチン大統領の別荘の上空飛行も ウクライナ軍はおよそ 1,000 キロメートル離れたロシア領内の石油施設に無人機攻撃を実施したと発表しました。 うち 1 機はプーチン大統領の別荘の上空を飛行したということです。 ウクライナメディアは 18 日、ウクライナの国防省情報総局がロシアの第 2 の都市、サンクトペテルブルクの石油貯蔵施設を無人機で攻撃したと報じました。 そのうち 1 機は、ロシアのプーチン大統領が所有するとされる別荘の上空を飛行したということです。 ウクライナのカミシン戦略産業相は、攻撃を認めたうえで「我々は、サンクトペテルブルクまで飛行する物を作ることができる。 無人機は 1,250km 飛行した」と述べ、長距離の標的もウクライナ軍の射程内にあることを誇示しました。 一方、ロシア国防省は 18 日、「モスクワ近郊とサンクトペテルブルクがあるレニングラード州の上空で、無人機 2 機を迎撃した」と述べ、攻撃は失敗したと主張しました。 (テレ朝 = 1-19-24) ウクライナ、「フランケン SAM」で初戦果 ソ連製と米欧製融合 ウクライナのカムイシン戦略産業相は 17 日、ソ連製の防空システムと米欧製のミサイルを組み合わせた「フランケン SAM」を実戦に投入し、ロシアが発射したイラン製の無人航空機(ドローン)を撃墜したと明らかにした。 フランケン SAM が戦果を上げたのは初めて。 ウクライナメディアが報じた。 報道によると、カムイシン氏はスイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のサイドイベントで、フランケン SAM を使用して「17 日に 9 キロ先のドローンを破壊した」と説明した。 フランケン SAM は 5 種類あり、いずれも実戦配備されているという。 ウクライナ軍の防空システムは、以前から保有するソ連製と新たに供与された米欧製が混在し、別々に運用されてきた。 しかし、ソ連製のシステムはミサイルが、米欧製のシステムは発射機がそれぞれ不足しているケースがあったという。 ウクライナ軍は効率性を高めるため、米軍と協力し、ソ連製のシステムで米欧製のミサイルを発射できるように改良を進めていた。 小説「フランケンシュタイン」で描かれた怪物と、地対空ミサイルを表す「SAM」を合わせて「フランケン SAM」とも呼ばれている。 (ワシントン・秋山信一、mainichi = 1-19-24) 戦車も屠るウクライナ軍最強の歩兵戦闘車、M2 ブラッドレーを徹底解剖 ウクライナ軍の米国製 M2A2 ブラッドレー歩兵戦闘車は、ロシアがウクライナで拡大して 23 カ月目になる戦争で、最強の歩兵戦闘車だ。 高い防護力、優れた光学機器、そして強力な火力が相まって無類の強さを誇っている。 防護 BAE システムズ(編集注 : 英 BAE システムズの米国子会社)が手がける M2 は重量 30t、乗員 3 人で、ほかに歩兵 7 人が乗り込める。 鋼鉄とアルミニウムのその装甲は、30mm 徹甲弾(貫通力の高い砲弾)を止めることができる。 爆発反応装甲(「ブラッドレー爆発反応装甲タイル = BRAT」と呼ばれる)を追加すれば、30mm サボ弾(装弾筒 = サボ = を付けて貫通力をさらに高めた砲弾)も防ぐことができる。 ロシア軍の歩兵戦闘車である BMP-2 や BMP-3 よりも高い防護力だ。 BMP-2 が耐えられるのは 23mm 徹甲弾までで、しかも砲塔正面に限られる。 BMP-3 は M2 と同様に 30mm 徹甲弾に耐えうるものの、やはり砲塔正面のみだ。 BRAT をまとえば、RPG-7 (携帯式の対戦車擲弾発射器)などから発射される成形炸薬弾や、弾頭に成形炸薬を用いた旧式の対戦車ミサイルに対する防護力も高まる。 M2 は地雷からの防護のため車体底部の前面に 9mm のプレートも装着されている。 また、地雷に接触した際に中の歩兵への衝撃を軽減するため、歩兵用の 7 つの座席は側面や天井に取り付けられている。 内部には、破片の飛び散りを抑えるスポールライナー(飛散防止の内張り)も施されている。 こうした手厚い防護を備えるため、M2 は優れた医療後送車両にもなっている。 1 年前に米国から約 200 両供与された M2 をウクライナ軍で独占的に運用する第 47 独立機械化旅団が、M2 を救急車両としても使っているという報告例はいくつもある。 機器 M2 は第 2 世代のサーマルビジョン(熱赤外線可視化)システム「SADA-II」を搭載する。 夜間や暗所で視界を得られる同じ暗視装置は、ウクライナ軍に供与された 31 両の米国製 M1A1 エイブラムス戦車にも採用されている。 SADA-II は 8km 先の目標を 1 インチあたり 1,316 ピクセル x 480 ピクセルの解像度で検知できる。 M2 にはさらにレーザー測距器やGPS (全地球測位システム)も搭載されている。 M2 の車長は砲手が見ているものを見て、自分で目標を攻撃することもできる。 ただし車長専用の暗視装置はなく、さらに言えば日中用の視覚装置ももたない。 車長が自分で外界をのぞく手段は、砲塔のハッチの周囲に 8 つ設けられた透明ブロックのペリスコープ(潜望鏡)に限られる。 ロシア軍は暗視装置のないBMP (BMP-1、旧型の BMP-2 と BMP-3)を使い続けている。 したがって M2 と BMP の戦いでは、M2 がたいてい先に、またどのような時間帯であっても BMP を見つけられる。 武装 M2 の主砲は M242 ブッシュマスター 25mm 機関砲で、徹甲弾とりゅう弾を発射できる。 射程は最大およそ 1,900m。 毎秒およそ 1,100m の砲口速度(初速)で毎分 200 発または 500 発の連射が可能だ。 M242 は完全に安定化されているため、M2 は移動しながら正確に射撃できる。 ウクライナ北東部アウジーイウカ郊外で最近あった小競り合いでは、M2 のペアが M242 によってロシア軍最高の戦車 T-90M を仕留めている。 T-90 のような重量級の目標に対しては、M2 は砲塔に搭載されたデュアルランチャー(2 連装発射機)から有線誘導の TOW (トウ)-2B 対戦車ミサイルを発射する選択肢もある。 再装填は車体後部のハッチから行うことができる。 TOW-2B は戦車の装甲の薄い上面をたたくトップアタック型ミサイルで、射程は 4,500m ほど。 目標に向けて降下していき、着弾すると 2 段階の炸薬弾頭が続けて爆発する。 ウクライナでは、M2 が 1 回の戦闘で TOW によってロシア軍の戦車 2 両を撃破した事例もある。 (David Axe、Forbes = 1-17-24) ロシア軍の指揮系統に大打撃 ウクライナ軍、早期警戒機など 2 機破壊 ウクライナ軍によるロシア軍の指揮統制機の破壊が公表された。 ロシア側とウクライナ側の情報源は、ロシア空軍のベリエフ A-50 早期警戒管制機とイリューシン Il-22 空中指揮機が 14 日、ウクライナ南部のアゾフ海上空でウクライナ側の防空システムによって攻撃され、被弾したことを認めた。 A-50 と Il-22 はロシア空軍で最も数が少なく、最も貴重な支援機だ。 ウクライナ空軍は A-50 と Il-22 が破壊されたと明らかにし「誰の仕業?」ととぼけてみせた。 答えは、ウクライナ空軍の射程 140km 強のパトリオット PAC-2 地対空ミサイルシステムではないかと思われる。 ジェット機の A-50 は、炎に包まれながらアゾフ海に墜落した。 搭乗員は全員死亡したとみられる。 高位の将校や高度な訓練を積んだレーダー専門家を含む 15 人が乗っていた可能性もある。 ロシア空軍で就役中の A-50 はわずか 9 機で、そのうちの貴重な 1 機が失われた。 プロペラ機の Il-22 は、アゾフ海の入り口付近にあるロシア南部クラスノダール地方の都市アナパにどうにか着陸した。 被弾して穴だらけになった機体で必死に基地に戻ろうとするなか、搭乗員は「救急車と消防隊員を至急要請する」と管制官に無線で連絡している。 着陸後に撮影された写真を見ると、Il-22 は垂直尾翼と胴体がずたずたになっており、相当大きな損傷を受けたもようだ。 全損になるかもしれない。 写真から、この機体の型式が Il-22M11 だということも判明した。 旧ソ連で 1950 年代に開発されたイリューシンのこのモデルは希少だ。 ロシア空軍が保有する Il-22M は、昨年 6 月、ロシア西部で反乱を起こした傭兵組織ワグネルによって 1 機を撃墜され、残り 12 機になっていたとみられる。 古いイリューシンの機体を改造して代わりの Il-22M をつくることは可能かもしれないが、おそらくすぐには不可能だろうし、安くもないだろう。 Il-22M や A-50 のコストは 1 機数億ドルかかるかもしれない。 ウクライナ軍がロシア軍の特殊機の数を削っていることは非常に重要である。 ロシアがウクライナで拡大して 23 カ月目になる戦争で、これらの航空機は作戦支援の面で重要な役割を果たしているからだ。 それは西側の観察者が普通思うような役割だけではない。 北大西洋条約機構 (NATO) 式の軍隊は、戦場の指揮を前線に近い師団や旅団に委ねる傾向にある。 ウクライナ軍もそれに倣うようになっている。 対してロシア軍のような旧ソ連式の軍隊は、諸兵科連合軍や軍管区などの司令部が上意下達で部隊を指揮することが依然として多く、これらの司令部は前線から何百 km も離れている場合もある。 また、西側の軍隊では、航空作戦や防空作戦は空戦に特化した指揮センターから指揮される。 対照的に、ロシア軍では航空・防空部隊は地上軍に従属しおり、この地上軍もやはり遠方の司令部から命令を受ける。 A-50 と Il-22M も、ロシア軍では主に中継プラットフォームとして機能している。 つまり、前線の部隊から生の情報や無線通信を受信し、遠方の司令部に送信し、さらに司令部からの指示を前線の部隊に送信している。 だが、指揮系統が長くなると、こうした「データのやり取りの速度は著しく遅くなる」と英王立防衛安全保障研究所 (RUSI) の 2022 年の研究でジャスティン・ブロンク、ニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは指摘している。 ロシア軍の集権的で遠隔からの戦場指揮はただでさえ効率が悪いが、空中での中継を失えばさらに効率が悪くなる。 だからこそ、ウクライナ軍はその破壊に優先的に取り組んだのだ。 ウクライナ軍は A-50 と Il-22M を撃墜ないし破壊することで、ロシア軍が情報収集やその情報の司令部への送信、その情報に基づく命令の前線への送信で頼りにしている航空機の 1 割を失わせた。 (David Axe、orbes = 1-16-24) ロシア機撃墜、味方の誤射の可能性 ロシア独立メディア「暗黒の日」 ウクライナ軍は 15 日、ロシア軍の早期警戒管制機「A50」と空中指揮機「IL22」を撃墜したと明らかにした。 これに対し、ロシアの独立系メディアは、空中指揮機は帰還したとしたうえで、ロシア軍の防空ミサイルによる誤射の可能性を伝えた。 撃墜が事実ならロシア軍にとって「新たな暗黒の日になる」との声も出ている。 ウクライナ軍トップのザルジニー司令官は 15 日、両機を撃墜したとテレグラムに投稿した。 「アゾフ海地域での完璧な計画と作戦の実行」としている。 ロシア国防省からは両機に関する公式な発表はない。 ただ、ロシアの独立系メディアは、帰還した IL22 とする、多くの損傷がみられる機体の写真を公開。 ウクライナ側の主張に誤りがあると伝えている。 独立系メディア「インサイダー」は情報筋の話として、A50 が撃墜され、乗員も死亡したと報じた一方、「ウクライナ軍が発射したミサイルをロシア軍が撃墜しようとしたが、目標を誤ったようだ」との軍事専門家の見方も紹介した。 ロシアの軍事情報チャンネル「リバリ」は、撃墜が事実なら「ロシア空軍と防空部隊には、新たな暗黒の日になる」と伝えた。 (asahi = 1-16-24) ウクライナ軍、ロシア空軍最高の指揮統制機 2 機を撃墜か ウクライナ空軍が 14 日、ロシア空軍のベリエフ A-50 早期警戒管制機とイリューシンIl-22 空中指揮機を撃墜したと報じられている。 A-50 と Il-22 はロシア空軍で最も貴重な指揮統制機だ。 ウクライナの RBC ラジオは、Il-22 の搭乗員から発せられた救難信号の音声記録とされるものを公開している。 搭乗員はロシア南部のアゾフ海近くの都市アナパにいるらしい管制官に対して「救急車と消防隊員(の手配)を至急求める」と要請している。 Il-22 は少なくとも損傷はしたもようだ。 オンライン紙のキーウ・インディペンデントは、14 日夜にアゾフ海沿岸で攻撃に遭ったと報じている。 Il-22 はエンジンを 4 機積んだプロペラ機で、最大 10 人を乗せ、無線信号を中継したり前線の作戦を調整したりする機能をもつ。 昨年 6 月、ロシアの傭兵組織ワグネルが反乱を起こした際にロシア西部で 1 機を撃墜し、残りわずか 30 機になっていた。 l-22 も貴重で高価な航空機だが、それよりも希少なのが A-50 だ。 エンジン 4 機搭載のジェット機である A-50 は、米軍のボーイング E-3 早期警戒管制機に対抗して開発された。 機体上部に取りつけられたレドームに全方位を監視する回転式レーダーを搭載し、400km 離れた航空機を探知できる。 15 人の搭乗員は敵機の追跡や味方機の飛行の調整にあたる。 ロシア空軍が保有する A-50 と改良版の A-50U は合計でたった 9 機だ。 うち 1 機は昨年 2 月、ベラルーシ国内の基地でウクライナ空軍もしくはそのベラルーシ人工作員によって損傷したとみられる。 キーウ・インディペンデントは、A-50 がウクライナ南部の「ザポリージャ州キリリウカ方面で任務に就いた直後」に撃墜されたとしている。 A-50 の撃墜はIl-22 が攻撃を受けたわずか 10 分後だったという。 2 機の撃墜が事実であれば、ロシアがウクライナで拡大して23 カ月目になる戦争で、ロシア空軍にとって最悪の日になったことになる。 昨年 12 月、ウクライナ南部でミサイルによる待ち伏せ攻撃を受け、スホーイ Su-34 戦闘爆撃機を3機失った日よりも大きな損害だ。 Il-22 と A-50 が撃墜されたとすれば、攻撃に何が使われたのかは問う価値がある。 ウクライナ軍が保有する最高の防空兵器である米国製パトリオット PAC-2 地対空ミサイルシステムは、最大で 140km 強離れた航空機を攻撃できるが、Il-22 や A-50 は通常ならこの射程のぎりぎり外を飛行するはずだ。 これに関して、ロシア空軍の指揮統制機が電波妨害(ジャミング)の克服に苦戦しているらしい点は注目に値する。 「ウクライナ軍は(A-50 が)電子攻撃によってかなり容易に弱体化できることを発見した」とジャスティン・ブロンク、ニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは英王立防衛安全保障研究所 (RUSI) の昨年の報告書で言及していた。 2 機は搭載するレーダーや無線機が電波妨害を乗り越えられるように、あえて通常以上に前線に近づいたのだろうか。 そうかもしれないが、それは推測の域を出ない。 現時点では、撃墜自体と同様、検証することはできない。 (David Axe、Fobes = 1-15-24) 制御不能で砲塔が ... ウクライナ軍の M2 ブラッドレー歩兵戦闘車が、ロシアの主力戦車 T-90M を撃破する瞬間
アメリカから提供された M2 ブラッドレー歩兵戦闘車 (IFV) を使用するウクライナ軍と、ロシア軍の最新式戦車 T-90M の交戦シーンとみられる動画が話題となっている。 ウクライナの第 47 独立機械化旅団とロシアの戦車が、アウディーイウカの北にあるステポべ付近で接近戦を繰り広げる様子を捉えたこのドローン映像。 テレグラム・チャンネルのウォー・アーカイブによると、この戦闘は先週木曜に起きたという。 独自に検証できていないため、本誌は土曜にロシア国防省にコメントを求めた。 ブラッドレー歩兵戦闘車は、バイデン政権が昨年発表した軍事支援パッケージの一部としてウクライナに供与された。 ブラッドレーには強力な 25mm 機関砲が搭載されており、製造元の BAE システムズは、「卓越した(乗員の)生存性、機動性、殺傷力」をアピールしている。 一方、ロシアのメディアは T-90M を「最新鋭の装甲車両」と呼んできた。 両軍が使用する T-72 戦車よりも強力なエンジンを搭載し、砲塔が改良され、生存性が向上している。 ウクライナ支持の X (旧ツイッター)アカウント、スペシャル・ヘルソン・キャット(@bayraktar_1love)が投稿した早送り動画には、手前のブラッドレーが接近したり離れたりしながら、村の真ん中にいるロシア軍戦車に向けて射撃する様子が映し出されている。 同アカウントは投稿に、「映像の最後には、乗員は砲塔の回転を制御できなくなっており、戦車が致命的な損傷を負ったことが分かる」と説明を添えた。 ブラッドレーは戦場でウクライナ軍に大きな違いをもたらしている。 ウクライナ軍第 47 機械化旅団のある司令官(通り名はカチ)は以前、本誌に対し、ロシアの兵士たちはブラッドレーに出くわすことを「恐れている」と語った。 (ブレンダン・コール、NewsWeek = 1-15-24) ウクライナ軍の電子戦能力「転換点の可能性」 米シンクタンク 米シンクタンク「戦争研究所 (ISW)」は 13 日、ウクライナ空軍がロシア軍のミサイル攻撃を「電子戦システム」で妨害したと発表したことについて、「ウクライナの電子戦の能力の転換点である可能性がある」との分析を発表した。 ウクライナ空軍は 13 日未明にあったロシア軍のミサイルやドローン(無人機)による攻撃について、20 発以上が「電子戦システムによる抵抗によって目標に達することができなかった」と発表している。 ISWは、「ウクライナの電子戦の能力は、今までロシア軍のドローンについては無力化できると評価されてきたが、ミサイルシステムを無力化できるとは評価されていなかった。電子戦の能力の転換点である可能性がある」と分析した。 (asahi = 1-14-24) ロシア軍、40 発以上のミサイル・ドローン攻撃 ウクライナ空軍によると、ロシア軍は 13 日未明、ウクライナ各地へ 40 発以上のミサイルやドローン(無人航空機)による攻撃を行った。 空軍はこのうち 20 発以上を撃墜できなかったことを認めたが、いずれも「電子戦システムによる抵抗によって目標に達することができなかった」とした。 ウクライナメディア「ウクライナ・インディペンデント」によると、中部ドニプロペトロウスク州のクリビーリフやキロボフラド州クロピウニツキーなどで爆発音が響いた。 中部ポルタワ州のクレメンチュクでは撃墜されたミサイルで建物が損傷したが、爆発はせず、死傷者はなかったという。 ミサイルは西部リビウ州にも接近し、首都キーウでも未明から朝にかけ、空襲警報が断続的に発令された。 ウクライナ空軍によると、ミサイルには戦闘機ミグ 31 から発射された極超音速ミサイル「キンジャル」 6 発も含まれていたという。 (asahi = 1-14-24) ロシア軍、ミサイルとドローンで大規模攻撃 ウクライナ北部や東部 キーウ : ウクライナ空軍によると、北部チェルニヒウや東部ドニプロで 13 日、ロシア軍のミサイルやドローン(無人機)による大規模な攻撃があった。 ロシア軍は昨年 12 月 29 日以降、ウクライナへの大規模攻撃を繰り返している。 13 日は巡航、弾道、対空誘導ミサイル、攻撃用ドローンなど計 40 の兵器が使われた。 ウクライナ側はこのうちミサイル 8 発を撃墜した。 また電子戦装置による対抗措置で、20 発以上の目標到達を阻止したとしている。 警察によると、チェルニヒウではミサイルの破片が住宅地に落下し、集合住宅が損壊した。 この地区は過去にも攻撃を受け、建物の中に住民は残っていなかったため、けが人は出なかった。 ドニプロのあるドニプロペトロウシク州のリサク知事は SNS 「テレグラム」に、被害状況を調べているが、住民は全員無事だと書き込んだ。 ロシア国防省は、13 日にウクライナ軍の産業施設を攻撃し、目標を達成したと発表した。 専門家らは最近のミサイル攻撃について、ウクライナの限られた防空体制を圧倒する狙いがあるとの見方を示す。 今月 7 日の攻撃では、ミサイル 59 発のうちウクライナ軍が撃墜できたのは 18 発にとどまった。 ロシア軍はイラン製ドローンの機体が夜空で目立たないよう黒く塗り、エンジンの排ガスを前方に移動して熱感知式の暗視装置のかく乱を図るなど、新たな戦術を採用している。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 12 日、スナク英首相との共同記者会見で、防空強化の必要性を訴えた。 (CNN = 1-14-24) 英国、ウクライナと二国間協定 G7 で初 4,600 億円の軍事支援も 英国のスナク首相は 12 日、事前予告なくキーウを訪れ、ウクライナのゼレンスキー大統領と二国間協定に署名した。 協定には 2024 年度に 25 億ポンド(4,600 億円)の軍事支援をする約束が含まれる。 過去 2 年間はともに 23 億ポンドで、24年度が最高額になる。 ウクライナとの協定は、昨年 7 月にリトアニアの首都ビリニュスで主要 7 カ国 (G7) が発表した共同宣言に基づく。 各国が協議を進めており、英国が最初の署名国となった。 協定は「今後 100 年間のパートナーシップ」に向けて、協力関係を深めると規定。 英国がウクライナの領土保全や経済の再建のために包括的な支援をしていくことや、ロシアの新たな侵略行為に対抗措置をとることが記された。 スナク氏はウクライナ議会で演説し、「我々は長い戦争に備えなければならない」と指摘しつつ、ウクライナが勝利することへの自信を強調した。 今回の 25 億ポンドは防空システムや長距離ミサイル、弾薬や砲弾の増強などに使われ、そのうち 2 億ポンドは、ドローン(無人機)の製造のためという。 22 年 2 月に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻で、英国の支援額は欧州ではドイツに次ぐ第 2 位。 一方、米国と欧州連合 (EU) のウクライナ支援は滞っている。 ゼレンスキー氏は 12 日夜のビデオ演説で「我々の国家の歴史に刻まれる日となった」とし、「英国とスナク氏のリーダーシップに感謝する」と述べた。 (ロンドン = 藤原学思、asahi = 1-13-24) ロシア黒海艦隊、ジョージア親ロ派地域に新拠点 ウクライナ攻撃受け ソ連構成国のジョージア北部で、親ロシア派の分離独立派が支配するアブハジアの「国家安全保障委員会幹部」が、2024 年中にもロシア海軍の拠点を同地域に設けると述べたと、ロシアの英字メディア「モスクワ・タイムズ」が 12 日、伝えた。 アブハジアは黒海に面しており、ウクライナ軍の攻撃で多数の艦船を失ったロシア黒海艦隊の艦船の避難先になるとみられる。 黒海艦隊は、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島で司令部があるセバストポリ、フェオドシヤ、ドヌズラフの 3 港と、ロシアのノボロシースク港を拠点とする。 だが、昨年 9 月にウクライナ軍のミサイル攻撃でセバストポリの司令部や艦船が被害を受けたほか、先月下旬にもフェオドシヤがウクライナ側の攻撃を受け、大型揚陸艦が爆発した。 モスクワ・タイムズによると、ウクライナ侵攻後の 2 年近くの間に、旗艦だった巡洋艦「モスクワ」なども含め、少なくとも 20 隻を失ったとしている。 ロシアはクリミアの「併合」後、巨額の投資を黒海艦隊の防衛などのためにかけてきたが、「もはやクリミアは安全ではない」との専門家の声を紹介している。 (asahi = 1-13-24) ウクライナ・ゼレンスキー大統領が窮状訴え 「西側の支援なしでは年金支払えない」 ウクライナのゼレンスキー大統領が「西側の支援がなければ国民に年金が支払えない事態に陥る」と窮状を訴えました。 ゼレンスキー大統領は 11 日、訪問先のラトビアで記者団に対し、西側諸国による財政支援がなければウクライナは 1,100 万人の年金受給者への支払いができなくなると述べました。 これに先立ち、スビリデンコ経済相は外国メディアのインタビューで、西側諸国からの援助がなければ年金に加えて 50 万人の公務員や 140 万人の教員の給与の支払いも遅らせる必要があると述べています。 (テレ朝 = 1-12-24) ウクライナ軍、ロシアが完成間近の鉄道橋を破壊 補給に新たな打撃 ウクライナ軍は先週末、アゾフ海の沿岸から北へ 40km、ロシアの占領下にあるウクライナ南東部の前線から南へ 80km ほどに位置する東部ドネツク州フラニトネ村の南で、ロシアの労働者が建設中だった鉄道橋を爆破したもようだ。 攻撃にはロケット砲が使われたとみられる。 兵站が鍵を握る持久戦になっているこの戦争の出来事としては、ここ数カ月で最も報道が不十分なものだ。 だが、ウクライナ軍は、この村を流れるカルミウス川に架けられつつあった未完成の橋を崩落させることで、被占領下のウクライナ南部クリミア半島やその周辺への補給線を改善しようとするロシア軍の取り組みを後退させた。 それをあざ笑うようなやり口でもあった。 「ウクライナはロシア軍の主要な兵站構想に穴を開け、ロシア側が半年近く本格的に取り組んできた補給計画を妨害した。」 地元紙キーウ・ポストの上級国防担当記者ステファン・コルシャはそう解説している。 ロシア軍が本土からウクライナ南部の部隊に大量の補給物資を運ぶ方法は主に、(1) クリミアへの海路、(2) ケルチ橋(クリミア大橋)経由でのクリミアへの道路と鉄路、(3) ウクライナ南東部への鉄路 - - という 3 つがある。 ロシアが 2022 年 2 月にウクライナに対する戦争を拡大して以来、ウクライナ軍はこれら 3 つの補給線をすべて攻撃してきた。 (1) については、ウクライナ軍はミサイルや水上ドローン(無人機)で、補給物資を運搬する黒海艦隊所属の揚陸艦の大半を損傷させるか撃沈し、残りの艦艇にとってもクリミアの港を非常に危険な場所に変えた。 (2) のケルチ橋も、爆弾やミサイルなどの攻撃で再三損傷させている。 (3) に関しても、陸上を走る主要な鉄道は前線方向に北へ何度か蛇行しているため、ウクライナ軍の榴弾砲の十分な射程圏内にある。 ウクライナ軍の砲兵が、通過する列車や路線自体を攻撃するのは造作ないということだ。 こうした攻撃にさらされてきたため、ロシアは第 4 の補給線として海岸沿いに鉄道を建設し始めた。 この鉄道路線もウクライナ軍のロケット砲や遠距離攻撃兵器の射程に入るものの、少なくとも榴弾砲による攻撃からは列車を逃がすことができる。 ただ、この鉄道路線はカルミウス川を越える必要がある。 カルミウス川はフラニトネを通って南へ流れ、戦争拡大の初期からロシア軍が占領するマリウポリでアゾフ海に注ぐ。 ロシアの労働者がフラニトネで橋の建設に本格的に取り掛かったのは昨年 9 月のことだった。 ウクライナ軍が攻撃した時には完成間近だったとみられる。 キーウ・ポストのコルシャの記事によれば、米国製の高機動ロケット砲システム (HIMARS) が使われた可能性が高い。 おそらく、射程 80km で GPS (全地球測位システム)誘導の M30/M31 弾が一斉射撃されたのだろう。 建設中だったこの橋を、ウクライナ軍がこれまで攻撃できなかった理由があったわけではない、とコルシャは指摘する。 「ロシア軍の意思決定を揶揄したい人ならおそらく誰でも(中略)、ウクライナ軍の精密誘導弾の射程に完全に入る川に鉄道橋を架けようとするロシア軍の大掛かりな土木作業を、なんとも愚かしい計画と考えるだろう」とコルシャは書いている。 さらに「クレムリンに批判的な向きは、橋の建設が始まってからまる 5 カ月たったあとでそれを破壊し、ロシアの橋建設業者の作業を降り出しに戻したという点に、(ウクライナ側の)ユーモアのセンスすら感じるかもしれない」と続けている。 既存のものであれロシア側が必死に構築中のものであれ、ウクライナ南部の補給線を攻撃されるたびに、ロシア軍の連隊や旅団は圧迫され、物資が不足する。 ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)で、ロシア軍が数千人以上の兵力を投入しながら、数百人規模のウクライナ海兵隊部隊が保持する橋頭堡をいまだに排除できていないのも、それが理由のひとつだ。 (David Axe、Forbes = 1-12-24) ロシアが「戦車不足」に陥る可能性をアナリストが指摘 最近公表された評価が正確であれば、ロシアは 2、3 年以内に歩兵戦闘車を使い果たす可能性がある。 同時期に戦車も尽きるかもしれない。 ある集計によると、2022 年 2 月のウクライナ侵攻開始時、ロシア軍は 2,987 両の戦車を運用していた。 その後、ロシア軍は 1 年 11 カ月にわたる激戦で少なくとも 2,619 両の戦車を失った。 この損失は独立アナリストが確認したものだ。 ロシア軍が運用する T-55、T-62、T-72、T-80、T-90 のうち、1,725 両が破壊され、145 両が損傷し、205 両が放棄され、544 両が鹵獲(ろかく)された。 もしロシアが損失を埋め合わせる手段を持っていなかったなら、ロシア軍の戦車はわずか 368 両となっているだろう。 ウクライナ軍の機甲部隊から防衛するには少なすぎる数だ。 一方のウクライナ軍の戦車は、戦前に運用していたものに修復したり供与されたりしたものを加え、そこから損失分を差し引くと 1,000 両程度になっている可能性がある。 しかし、ロシアには代替戦車の調達先がある。 ロシア南部にあるウラルバゴンザボードの工場は T-90M を生産しており、その他にも 4 つの工場が倉庫に放置されていた古い戦車の修理や近代化改修を行なっている。 これらの戦車の中には何十年も倉庫で眠っていたものもある。 どの外部アナリストも明確に答えていない大きな疑問がある。 それは、ウラルバゴンザボードは何両の戦車を生産できるのか、そして他の工場はどれくらいの戦車を修理できるのかということだ。 ロシアは、戦車の生産をおよそ 3 倍に増やす集中的な産業努力を行った結果、2023 年に合計 1,500 両の新しい戦車と近代化が施された戦車を受領したと主張している。 それが本当なら(かなり疑問だが)、ロシア軍が 2022 年に受け取った新しい戦車と改修された戦車は 500 両程度とみなすのが妥当だろう。 侵攻前に運用していた戦車 3,000 両から戦争で失った 2,600 両を引き、そこに代替戦車の 2,000 両を足すと 2,400 両となる。 ロシア軍は侵攻後に部隊を新設したため、それぞれの野戦軍や師団、旅団、連隊が保有する戦車は 2022 年以前より少ないだろう。 それでも 2,400 両という数は、おそらく十分だ。 つまり、戦争が「陣地戦」で、どちらの側も機甲部隊が敵陣の後方深くへと迅速に突破する戦略に賭けていない限り、十分なものだ。 だが、問題がある。 ロシア軍が現在運用している戦車は 2,400 両より少ないかもしれないのだ。 ずっと少ない可能性がある。 というのも、ロシアの産業界は政府が主張しているほど多くの戦車を生産しておらず、改修もできていないかもしれないからだ。 ウクライナの軍事サイト Militarnyi は、フランスのオープンソース・インテリジェンス (OSINT) の ARI の分析を丹念に調べ、驚くべき結論に達した。 それはロシアの侵略を擁護する人々にとって衝撃的なものだ。 「ARI によると、生産や改修のペースはロシアが宣伝しているよりかなり遅い」と Militarnyi は報告した。 総合的な評価によると、ロシアの産業界が生産している戦車は年間わずか 390 両。 つまり、2022 - 2023 年に生産・修復したのはわずか 780 両である可能性がある。 それが本当なら、ロシア軍が保有する戦車はたったの 1,180 両となる。 おそらく、ウクライナ軍が現在保有している戦車よりわずかに多い程度だ。 ロシアにとってさらに悪いことに、最近ロシア軍は自殺も同然の正面攻撃で多くの戦車を失っている。 その数は、最も楽観的な生産ペースで補てんできる数をはるかに上回っている。 つまり、ロシア軍は戦車を使い果たす可能性がある。 ロシアの目標が機甲部隊の突破であるなら、まず戦車部隊を再建する必要がある。 そして代替戦車を今以上に生産しなければ、それはまさに戦車の損失を抑制することを意味する。 そうした事態になれば「長期にわたる戦争の停滞」を招くと Militarnyi は説明した。 だが、ロシアは戦争を停滞させてはいない。 それどころか、約 1,000km にわたる戦線のいくつかの地点で雑な正面攻撃を始めた。 ロシア軍にとって意味のある前進につながったのは、東部バフムートの北側への攻撃だけだ。 そして全ての攻撃で、ロシアの野戦軍は許容を超える戦車を失った。 ロシアがウクライナに仕掛けた戦争が 3 年目に突入しようとしている今、そうした事態の意味するところは明らかだ。 長い消耗戦でウクライナとウクライナを支援する国々より長く持ち堪えようとするロシアの脅威は、中身を伴わないものになるかもしれない。 (David Axe、Forbes = 1-12-24) |
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