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ロシア軍に捕虜処刑されたウクライナ旅団、ロボティネ周辺で怒りの逆襲 ウクライナ南部ザポリージャ州の前線では、西にロボティネとノボプロコピウカ、東にステポベを望む 3 つの丘が、戦術上重要な場所になっている。 161 高地、162 高地、166 高地と呼ばれるこれらの丘は、ロシアがウクライナで拡大して 1 年 11 カ月目に入る戦争の初期以来、ロシア軍の連隊が支配してきた。 昨年 10 月、ウクライナ軍の反転攻勢をロシア軍が押しとどめられたのも、これらの高地を支配していたことが寄与した。 だが、ロボティネ南東のこれらの丘をめぐる戦いが終わったと思ってはいけない。 戦いは終わっていないのだ。 今週、ウクライナ空中強襲軍(空挺軍)の最強部隊である第 82 独立空中強襲旅団はこれらの丘周辺で逆襲した。 軍事アナリストのトム・クーパーによれば、第 82 旅団はロシア軍に最近奪われていた土地の大半を奪還し、「161 高地、162 高地、166 高地を結ぶ塹壕システムにくさびを打ち込んだ。」 この攻防戦はこの戦争の新たな局面の縮図にもなっている。 双方とも決定的な優位に立てず、ひたすら相手を消耗させようとする陣地戦・消耗戦という局面だ。 ウクライナ側は、もし当初 161 高地、162 高地、166 高地の軍事的な価値に気づいていなかったとしても、昨年の夏の終わりにはそれを理解し、懸念すら抱いたに違いない。 反転攻勢部隊が南進してロボティネを解放したあと、東のベルボベに向けて進軍した時、これらの丘に陣取るロシア軍の 5 個か 6 個の連隊と正面から対峙することになったからだ。 クーパーは当時すでに、ロシア側によるこれらの高地の支配がもつ意味合いを理解していた。 ウクライナ軍が「どうやれば 161、162、166 高地とベルボベの間を突き抜けられるのかはわからない」とニューズレターに記している。 実際、第 82 旅団とウクライナ地上軍(陸軍)の第 33、第 47、第 116 各独立機械化旅団を中心とする反攻部隊は、これらの丘の手前で停止した。 損耗し、疲弊した機械化旅団は休息や補充のために後退したのかもしれない。 いずれにせよ、第 47 旅団と第 116 師団は昨年 10 月から 11 月にかけて東部ドネツク州のアウジーイウカ方面に転用され、ロシア軍の恒例の冬季攻勢に対応している。 ロシア軍はウクライナ軍による昨夏の反攻の成果を帳消しにすべく、ロボティネ周辺でも攻勢に転じた。 その攻撃のひとつで、ロシア空挺軍第 76 親衛空挺師団に所属する空挺兵らは第 82 旅団のウクライナ兵 3 人を捕虜にし、即刻処刑した。 第 82 旅団は復讐した。 砲撃やドローン(無人機)の支援を受けながら、ドイツ製のマルダー歩兵戦闘車、米国製のストライカー装甲車、英国製のチャレンジャー 2 戦車で攻撃した第 82 旅団は、161、162、166 高地の間を遮断し、ロシア軍の塹壕の一区画を奪った。 とはいえ、第 82 旅団は 3 つの高地そのものを掌握したわけではない。 そして、この戦域を支配しているのは依然としてこれらの丘だ。 第 82 旅団は第 76 師団の攻勢を押し返したにすぎない。 「これもまた消耗戦のエピソードのひとつだ」とクーパーが述べているとおりだ。 こうした一進一退の攻防はこの戦争の現在の性格をよく表している。 ロシア軍は複数の戦域で攻勢をかけているものの、廃墟化している東部の都市バフムートの北にある戦線のごく一部を除き、大きな前進は遂げていない。 それ以外の戦域では、ロシア軍の攻撃はウクライナ側の堅い防御に阻まれるか、ウクライナ軍による局所的な逆襲を受けて後退を余儀なくされている。 ロシア軍が人員や戦車、大砲、砲弾の数でなおウクライナ軍を上回っているのは確かだ。 しかし、ウクライナ軍はドローンをより巧みに運用しており、ロボティネ周辺ではロシア軍による戦争犯罪を受けて怒りをたぎらせている。 (David Axe、Forbes = 1-11-24) ロシア本土攻撃を強化 = 「厭戦気分」へ心理戦 - ウクライナ ウクライナが国境付近などロシア本土への攻撃を強化している。 ゼレンスキー政権は占領地の奪還に向けた反転攻勢で成果を出せず、ウクライナに不利な戦況のまま停戦交渉に追い込まれる事態を恐れており、ロシア国民の厭戦気分を引き起こそうとする心理戦の側面もありそうだ。 ロシア西部クルスク州では 9 日、ウクライナから国境地帯の集落に砲撃があり、地元知事によると、住民 1 人が死亡した。クルスク原発付近には自爆ドローンが飛来し、防空兵器が阻止した。 昨年末にロシア軍の大規模空爆の報復としてウクライナ軍が激しい反撃を加えた西部の都市ベルゴロドは、年初からも連日のように攻撃を受け、民間人に死傷者が出た。 やはり西部オリョール州では 9 日、石油施設がドローンで攻撃され、黒煙が立ち上った。 中部サラトフ州でも 10 日、ドローンが迎撃され、独立系メディアは「(戦略爆撃機の拠点)エンゲリス空軍基地に落下した」と伝えた。 一方、ロシア国内で「破壊工作」が疑われる事件も相次いでいる。 現地メディアによれば、中部ニジニータギルの石油施設近くでは 8 日、貨物列車が爆発した。 中部チェリャビンスクのシャゴル空軍基地では年明けにスホイ 34 戦闘爆撃機を狙った放火事件があり、16 歳の少年が拘束されたと 7 日になって報じられた。 スホイ 34 に大きな被害はなかったとされるが、ロシア連邦保安局 (FSB) は「ウクライナ情報機関の指示による破壊工作の試み」と主張した。 ウクライナ国防省情報総局は「特殊作戦」で放火したと認めている。 ただ、少年に実際に指示があったかは不明で、徴兵や動員でくすぶる反戦ムードをウクライナが利用している面もありそうだ。 (jiji = 1-10-24) ロシア、ウクライナ各地に大規模ミサイル攻撃…パトリオット未配備地域に被害集中か ロシアがウクライナ各地への大規模なミサイル攻撃を続けている。 米欧のウクライナ支援が停滞する中、大量のミサイルを同時に撃ち込んで迎撃を困難にする「飽和攻撃」で防空能力を低下させる狙いがあるとみられる。 ウクライナ国営通信によると、ロシアは 8 日、ミサイル 51 発と無人機 8 機を発射した。 極超音速ミサイル「キンジャル」や飛行速度が速く迎撃が難しい空対艦ミサイル「Kh22」、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」などが含まれる。 ウクライナ軍は巡航ミサイル 18 発と無人機全機を撃墜したが、東部ハルキウや西部フメリニツキーなどで計 4 人が死亡し、各地で少なくとも計 45 人が負傷した。 崩落したショッピングセンターや民家の下敷きになった住民もおり、南部ザポリージャ州知事は「軍事目標は一つもなかった」と攻撃を批判した。 (yomiuri = 1-10-24) 「あいつを殺れ」ウクライナのドローンに戦友狙わせたロシア兵、死んだのは? ドローン(無人機)の下に、まるで月面のような光景が広がっている。 荒涼として、あちこちに陥没がある。 寒々しく、殺伐としている。 ウクライナのドローンはそこで、士気の低いロシア兵 2 人と交戦する。 その時に起きたこともまた、おそろしく殺伐としたものだった。 ロシアがウクライナで拡大して 3 年目に入り、おびただしい血が流されてきた戦争の縮図とも言えるような出来事でもあった。 恐怖、臆病、裏切り、冷酷、そして吹き飛ばされる頭 - - そんな話だ。 擲弾で武装したウクライナ国家警備隊のドローンは、ウクライナのおよそ 1,000km におよぶ前線のどこかで、ロシア兵 2 人が浅い穴ぼこにいるところを見つける。 国家警備隊が先ごろソーシャルメディアに投稿した映像(編集部注 : 鮮明な動画が含まれるため閲覧注意)を見るかぎり、兵士は 2 人きりだったようだ。 ロシア軍のほかの部隊の姿は見えない。 低空を飛行しているこのドローンに対処する防空兵器や電波妨害(ジャミング)装置もない。 2 人はドローンがいることに気づいている。 1 人は穴の斜面の下あたりで横向きに伏せ、怯えた様子で頭をかばっている。 もう 1 人の兵士は平然と座っていて、たばこを吹かしている。 そして、ドローンのカメラ越しにウクライナの操縦士に目で合図を送り、身を伏せている兵士のほうを指差す。
ドローン操縦士はひとまずそれに従う。 たばこの兵士がそばで見守るなか、ドローンは身を伏せた兵士の真上に擲弾を投下する。 爆発で兵士の頭部が吹き飛ばされる。 ドローンが持っていた擲弾は 1 個だけだったのかもしれない。 たばこの兵士は、擲弾が怯えた兵士に落とされれば、自分は助かると考えたのかもしれない。 あるいは、ドローンは擲弾を 2 個以上積んでいて、たばこの兵士は道義に反してでも、少しでも長く生き延びようと必死だったのかもしれない。 いずれにせよ、ウクライナの無慈悲なドローン操縦士はこの兵士も見逃さなかった。 同じドローン、あるいは任務を託された 2 機目のドローンが、たばこの兵士に対する攻撃態勢をとる。 兵士は片足を痛めているらしく、片足をかばうようにしてゆっくり立ち上がり、数歩進む。 そこにドローンから擲弾が落とされ、兵士の足元で爆発する。 映像にカットが入っているので少しばかり時間がたったあととみられるが、前回と同じドローンか予備のドローンがやって来て、動かなくなったこの兵士の上にさらにもう 1 発、擲弾を投下する。 彼が裏切った戦友が数分前に見舞われたのと同じように、この兵士も頭部を吹き飛ばされる。 ウクライナのドローン操縦士の心中は想像に難くない。 彼はまたは彼女は、ロシアが起こした無意味な戦争で、ロシア軍によって殺害された大勢の無辜の市民のことを思っていただろう。 それには高齢者や妊婦、怯えた子どたちも含まれる。 また、南部ザポリージャ州ロボティネの近くで最近、降伏しようとしてロシア軍に銃殺されたウクライナ兵たちのことも、脳裏をよぎっただろう。 ウクライナのドローン操縦士が無慈悲だったのは、ロシア軍が無慈悲だからだ。 家を次々に壊されているウクライナ人と違って、ロシア人はいつでもウクライナを去り、おぞましい戦争を終わらせることができるにもかかわらず、そうしないからだ。 (David Axe、Forbes = 1-10-24) ウクライナ全土にロシアの攻撃、弾道ミサイル多用で迎撃率低下 ロシア国防省はこの日、ウクライナの軍事産業目標を海と空から攻撃したと発表。 「ウクライナの軍産複合体の施設を標的に、極超音速弾道ミサイル『キンジャール』を含む高精度・長距離兵器による多重攻撃を行った」とした。 ウクライナは 51 発のミサイルのうち 18 発を防空ミサイルで迎撃したと発表。 迎撃できたミサイルの数が通常より少なくなっていることについて、放物線状の軌道を描いて着弾する弾道ミサイルをロシアが多用しているためと説明している。 一方、ロシア西部のベルゴロド州のグラドコフ知事は 8 日、ロシアの防空部隊がウクライナ国境近くのベルゴロド市に接近した複数の飛行物体を迎撃したと発表した。 砲撃で住民 3 人が負傷したほか、高層アパート 2 棟で窓が吹き飛ばされ、数台の車両が損傷したという。 (Dan Peleschuk、Pavel Polityuk、Reuters = 1-9-24) ◇ ◇ ◇ ロシア軍の攻撃で 4 人死亡 ウクライナ側、地対空ミサイルの不足で迎撃率低下 ロシア軍は 8 日、ウクライナ各地をミサイルなどで攻撃し 4 人が死亡しました。 ウクライナ側は、地対空ミサイルの不足により、迎撃率が通常より大幅に低かったとしています。 ウクライナ当局によりますと、8 日朝、ロシア軍のミサイル攻撃などで民間の住宅地や商業施設が被害を受けました。 ゼレンスキー大統領は 4 人が死亡、45 人がケガをしたとしています。 ウクライナメディアなどによりますと、51 発のミサイルのうち、迎撃できたのは 18 発で、迎撃率は通常よりも大幅に低かったということです。 ウクライナ軍は理由について、高い迎撃能力を持つアメリカ製の地対空ミサイル「パトリオット」の不足が原因だとしています。 一方、ロシア国防省は「ウクライナの軍事施設に対して攻撃を行った」と発表しています。 昨年末から続くロシア軍の大規模攻撃をめぐっては、様々なタイプのミサイルを発射し、ウクライナの防空能力を試す狙いがあるとも指摘されています。 (日テレ = 1-9-24) ウクライナ軍、ドローンで地雷敷設 ロシア側の後方脅かす ウクライナ軍はドローン(無人機)に新たな技能を習得させた。 地雷の敷設である。 ウクライナのドローン部隊はクワッドコプター(回転翼が 4 つのドローン)やヘクサコプター(同 6 つのドローン)、オクタコプター(同 8 つのドローン)といった比較的大型のドローンをどんどん飛ばし、道路などに地雷をまくようになっている。 以前は、兵士がたいていは夜の闇にまぎれてロシア側の陣地のほうへ忍び寄り、手ずから地雷をまいていた。 こうした細心の注意を要する任務を、いまではドローンが代わりにやるようになっている。 地雷の敷設は、その目標がロシア側の陣地と、近くにあるウクライナ側の陣地との間に地雷原を設けることである場合、危険な作業になる。 ロシア側の陣地の後方に地雷原を設けるのが目標だとすれば、それこそ自殺も同然の任務だ。 だが、ドローンの場合はそうではない。 「ドローンは現在、目標の識別や攻撃、空中からの偵察、擲弾の投下だけでなく、地雷の敷設にも使われている」と独立系の調査分析グループ、コンフリクト・インテリジェンス・チーム (CIT) は最近解説している。 「地上に落とされた弾薬は、衝撃で爆発するのではなく、そのまま残って地雷になる。」 CIT によれば、ウクライナ軍がドローンで設置している地雷は旧ソ連の古い PTM-3 対戦車地雷とされる。 PTM-3 は珍しいボックス型の筐体に 1.8kg の爆薬が詰め込まれている。 ウクライナ軍は PTM-3 のオリジナルの信管を「ジョニー」と呼ぶ特別な信管で換装しているという。 この信管は「ジャイロスコープや加速度計、磁気計を備え、地雷が踏まれたり動かされたりすると起爆させる」と CIT は説明している。 ジョニーは「装甲車両、あるいは武器を携行したり防弾服を着たりした兵士が近くを通った際にも作動する」という。 米掲示板サイトのレディットには、ウクライナ東部バフムート近郊で最近、ロシア兵がドローンから落とされた PTM-3 を拾い上げようとして起爆させてしまい、吹き飛ばされる様子を捉えた凄惨な動画が掲載されている。 ウクライナ東部ハルキウ州シンキウカを防御するウクライナ軍の旅団は先月、ロシア軍の機甲部隊による攻撃を立て続けに 7 回も受けたが、その合間に非常に重要な地雷原に地雷を補充していた。 これもドローンのなせるわざだったのかもしれない。 ウクライナ軍のドローンは、海兵隊が南部ヘルソン州でドニプロ川を渡って左岸(東岸)のクリンキに築いた薄い橋頭堡)と、ロシア軍の後方をつなぐ数少ない道路にも地雷を落としている。 ロシアの著名な戦争特派員であるアレクサンドル・スラドコフは、クリンキ方面の戦況に関して「わが軍が前線と後方地域の間を移動するのは困難で危険になっている」とソーシャルメディアで報告している。その一因として「夜間、大型の無人機がわが軍の通る小道や道路に地雷をまき、移動を妨げている」ことを挙げている。 奇襲という要素は決定的に重要である。CITは「ウクライナ側は、繰り返し使われている小道やわだち、地雷が除去されたばかりの区域など、ロシア側が安全と判断している場所に地雷をまけるようになっている」と指摘している。 ロシア軍の部隊はいつ、どこで地雷に出くわすかわからない。 安全を図るには、ドローンが飛行できる範囲、つまり接触線から 15km かそこらの範囲内にある道はすべて、地雷があるものと想定して行動しなくてはならない。 つまり、ロシア軍の部隊は、これらの道を通る際にはゆっくり進まないといけなくなる。 ウクライナ軍はロシア軍の後方にある道路の一部に地雷を仕掛けるだけで、後方のすべての道路でロシア軍側の動きを鈍らせることができるだろう。 もちろん、例によってロシア側も同じことをやっている。 ロシア軍の第 1 親衛戦車軍のドローン操縦士は先月、クワッドコプターを用いて PTM-3 や、POM、PMN-4 各対人地雷、PTM-4 対戦車地雷を敷設していることを明らかにしている。 とはいえ、いくつかの重要な戦域ではウクライナ軍の電波妨害(ジャミング)が非常に効いており、ロシア軍はドローンを使って地雷をまくことはおろか、ドローンを飛ばすことにすら苦慮しているのが実情だ。 (David Axe、Forbes = 1-9-24) ウクライナ 4 州に大規模攻撃、4 人死亡 防空強化の必要性浮き彫りに ウクライナの4州で 8 日午前、ロシア軍による大規模な攻撃があった。 ウクライナ空軍によると、自爆型ドローン(無人機) 8 機は全て撃墜したが、ミサイルは計 51 発のうち 18 発しか撃ち落とせず、現地時間正午時点の警察のまとめでは、少なくとも 4 人が死亡し、38 人が負傷した。 ゼレンスキー大統領は 7 日、スウェーデンで開かれた安全保障関連会議にオンラインで出席し、「前線でもウクライナの各都市でも、空の守りが足りていない。 ロシアは空の支配を失えば、前線でも力を失うことになる」と指摘。 防空能力強化の必要性を訴えていたが、改めてそのことが浮き彫りになった。 8 日の攻撃による被害が大きいとみられるのは、中部ドニプロペトロウスク州。 知事らによると、62 歳の女性が死亡したほか、28 人が負傷した。 ゼレンスキー大統領の故郷である州内の工業都市クリビーリフでは、ショッピングセンターと二十数軒の民家が被害を受けたという。 また、各州の知事らによると、中西部フメリニツキー州では 2 人が亡くなった。 インフラ施設も攻撃を受けたという。 北東部ハルキウ州では 50 歳の男性が死亡し、民家や倉庫、教育施設も損壊した。 中南部ザポリージャ州では 5 人が病院に運ばれ、1 人は重体という。 ウクライナでは昨年 12 月 29 日、ロシアの全面侵攻開始以来で最大規模となる空からの攻撃があり、各地で計 50 人以上が死亡した。 また、今年に入ってからもロシア軍による攻撃は続いており、1 月 2 日の攻撃では首都キーウやハルキウで少なくとも 5 人が亡くなり、6 日には東部ドネツク州への攻撃で 11 人が死亡した。 (ロンドン = 藤原学思、asahi = 1-8-24) ロシア軍、戦闘機など 2 機撃墜 東部中心に戦闘続く ロシア国防省は7日、侵攻を続けるウクライナ東部ドニエプロペトロフスク州内で、ウクライナ軍のスホイ 25 攻撃機とスホイ 27 戦闘機を対空ミサイルで撃墜したと発表した。 過去 24 時間の戦況説明で明らかにした。 一方、東部ドネツク州のロシア側支配地域「ドネツク人民共和国」や、国境にある西部ベルゴロド州には7日もウクライナの無人機攻撃や砲撃が続いた。 ロシア国防省は 6 - 7 日に巡航ミサイル「ネプチューン」 6 発のほか、計 14 の長距離砲弾を迎撃し、東部のハリコフ、ドネツク、ルガンスクと南部ザポロジエの各州上空に飛来した計 38 の無人機を撃墜したとしている。 (kyodo = 1-8-24) ウクライナが徹底的な電波妨害、ドローンを飛ばせないロシア軍に多数の死者 ウクライナ軍は同国南部へルソン州のドニプロ川左岸(東岸)で、ロシア軍のドローン(無人機)の電波を徹底的に妨害している。 この電波妨害のせいで、左岸に展開するロシア軍は、昨年 10 月中旬以来、漁村クリンキに張り付いているウクライナ海兵隊の小部隊を押し返せずにいる。 ウクライナ軍は「クリンキ近辺に無人航空機 (UAV) を大規模に投入している」と、ウクライナのシンクタンクの防衛戦略センターは説明する。 「電子戦部隊が敵の UAV 使用を妨害している。」 クリンキでの戦闘について、ウクライナと外国のメディアは昨年 12 月、ウクライナ軍第 35 旅団の海兵隊員にとって「自殺任務」のようなものだと報じた。 だが実際には、持ち堪えられないほどの死者を出しているのはロシア軍の方で、第 810 海兵旅団、第 104 親衛空挺師団、そして陸軍付属部隊の兵士が犠牲となっている。 爆薬を搭載したウクライナ軍のクアッドコプター(回転翼が 4 つの航空機)は、自爆型の一人称視点 (FPV) タイプと、夜間飛行する大型の「バーバ・ヤハ」などの繰り返し利用できる爆撃タイプがあり、クリンキ上空とその周辺では四六時中、あちこちに飛んでいる。 一方、ロシア軍のドローンは、ウクライナ軍の電波妨害のために、飛び立つことすらできないことが多い。 「ウクライナ軍の UAV は攻撃的で群れをなして活動している」と、ロシアの戦争特派員であるアレクサンドル・スラドコフはソーシャルメディアで説明。 「敵は FPV ドローンを使って、ロシア軍の車両や兵器、歩兵部隊を攻撃し、我々がいる側の道路や陣地を難なく大砲で狙うため、我々は前線や後方で身動きが取れず、危険だ」と書き込んだ。 「そして夜間には、大型のドローンが我々の進路や道路に地雷を投下し、部隊の動きを妨げている」とスラドコフ。 「我々は敵のドローンの射程圏内でウクライナ軍と空中戦を展開する用意ができているが、大規模な電子攻撃によって妨げられている。」 ウクライナ軍がクリンキ周辺に配備している電子戦システムの詳細ははっきりしないが、推測は可能だ。 ロシア軍が 2014 年にウクライナ東部ドンバス地方の上空で始めたドローン作戦を受けて、ウクライナ企業プロキシマスは「ブコベル AD」というトラック搭載型のジャマー(電波妨害装置)を新たに開発した。 この 5 万ドル(約 720 万円)のシステムは、周囲約 100km のドローンを探知することができ、50km 程度まで近づくとドローンと地上の操縦士をつなぐ無線にスクランブルをかける。 ウクライナ軍は 2021 年には数十基のブコベル AD を保有していたと報じられている。 ロシア軍の攻撃でそのうちのいくつかは破壊されたが、プロキシマスが代替システムの構築と全体的な戦力拡大に必死に取り組んでいるのは間違いない。 ウクライナは、外国の同盟国から入手した詳細不明のジャマーでブコベル AD を補強している。 もちろん、ロシア軍も独自のジャマーを保有している。 だが、ウクライナ軍は計画的に大型装置を標的にしている。 また、ロシア軍の乗員が戦車や戦闘車両に取り付けているバックパック型のRP-377のような小型の電子戦システムは、数十 m の範囲でしか機能しないようだ。 ソーシャルメディアには、ウクライナ軍の FPV ドローンが RP-377 を搭載した車両を攻撃するところをとらえた動画が多数出回っている。 少なくとも 1 つのケースでは、ドローンが車両に取り付けられた RP-377 そのものを直撃している。 防衛戦略センターによると、クリンキでの戦いが始まって 3 カ月近くが経過したいま、ウクライナ軍はドニプロ川左岸に張り付いているだけでなく、「橋頭堡(きょうとうほ)を着実に拡大」しているという。 (David Axe、Forbes = 1-8-24) F16 戦闘機、引き渡しは 4 - 6 月 = ウクライナに 19 機 - デンマーク 【ロンドン】 デンマーク国防省は 6 日、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援として供与を決めていた米国製 F16 戦闘機の引き渡しが、4 - 6 月になるとの見通しを明らかにした。 AFP 通信が伝えた。 国防省は、提供するのは 19 機で、ウクライナ軍に対する操縦などの訓練完了後になると説明。 「現在のスケジュールに基づくと、2024 年第 2 四半期(4 - 6 月)になるはずだ」と指摘した。 ウクライナ政府は性能が高い戦闘機の導入によって制空権を確保するため、北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国に F16 の供与を要請。 デンマークとオランダが昨年 8 月、応諾していた。 AFP によると、オランダは 42 機の引き渡しを予定。 ベルギーやノルウェーも提供を申し出ている。 (jiji = 1-7-24) ウクライナ支援 53 億円拠出 上川外相 地下シェルターで発表 上川外相は、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したが、これに先立つ共同発表は空襲警報を受け、急きょ地下のシェルターで行われた。 上川外相は、配管がむき出しになった地下のシェルターで、クレバ外相との記者発表に臨み、ドローンなどの無人機を検知するシステムの供与など、新たにおよそ 53 億円を拠出する方針を伝えた。 上川外相はその後、ゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナへの支援を継続、強化する方針を伝え、大統領からは感謝の意が示された。 (フジテレビ = 1-7-24) ウクライナ東部に攻撃、子ども 5 人含む 11 人死亡 「民間人を攻撃」 ウクライナ東部ドネツク州のフィラシキン知事は 6 日、同州ポクロウスクでロシア軍によるミサイル攻撃があり、11 人が死亡し、他に 10 人が負傷したと、テレグラムで明らかにした。 死者には 3 - 17 歳の子ども 5 人が含まれているという。 知事によると、ロシア軍は地対空ミサイル「S300」を用いて攻撃。 投稿では「敵は民間人を攻撃し、私たちにできるだけ多くの悲しみをもたらそうとしている」と非難した。 ゼレンスキー大統領は 6 日夜のビデオ演説で、救助活動が続いていると報告。 「ロシアの攻撃は集合住宅や民家を狙ったものだった」と指摘した。 その上で「我々の強さ、防衛力、政治的能力」をもって、ロシアに今回の攻撃の「結果」を感じさせなければならないと、報復を示唆した。 (asahi = 1-7-24) ロシアで 1500km 近くの潜入行 ウクライナ工作員、闇夜に Su-34 爆撃機燃やす ウクライナの工作員がロシアに潜入し、1450km ほど移動して中南部のチェリャビンスク空軍基地まで行き、雪に覆われた駐機場に夜の闇に紛れて忍び込み、ロシア空軍のスホーイ Su-34 戦闘爆撃機に火をつけた。 ウクライナの工作員によるロシア国内での破壊工作はこれが初めてではないが、そのなかでも最も大胆不敵なものだったかもしれない。 ロシア空軍は「絶滅危惧種」になりつつある Su- をまた 1 機失った可能性がある。 ウクライナ国防省情報総局 (GUR) は、この Su-34 は第 21 混成航空師団所属のものだとしている。 放火した様子とみられる動画を投稿し、「機体からなぜ出火したのか明らかになった」と皮肉っている。 ウクライナの工作員は直近では 2022 年 10 月にもロシア北西部プスコフの飛行場に潜入し、カモフ Ka-52 攻撃ヘリコプターを爆破していた。 プスコフはウクライナとの国境からおよそ 800km 離れている。 ちなみにチェリャビンスクはウラル山脈の東麓、カザフスタンのすぐ北にある都市だ。 ウクライナが何百 km も離れたロシアの航空基地を攻撃する手段はドローン(無人機)やミサイルなどほかにもあるが、直接の破壊工作はロシアにとって最もばつの悪いものかもしれない。 航空基地のセキュリティーはいったいどうなっているのだ? ロシアはいまが戦時中だということも知らないのか? ウクライナがチェリャビンスク空軍基地や Su-34 を攻撃目標に据えた理由は明らかだ。 双発複座の超音速機である Su-34 はロシア空軍で最高峰の戦闘爆撃機であり、ロシアがウクライナで拡大して 23 カ月目になる戦争の1,000km 近くにおよぶ戦線で、最も活発に行動しているロシア軍機の一つでもあるからだ。 Su-34 は連日のように出撃し、射程約 40km の衛星誘導の滑空爆弾をウクライナ軍の陣地に向けて投下している。 ウクライナの軍人オレクサンドル・ソロニコは、強力な滑空爆弾はウクライナ軍部隊に「最も大きな恐怖を与えるものの一つ」になっていると述べている。 ウクライナはロシア空軍の Su-34 を破壊するためにあらゆる手を尽くしている。 先月には、南部で長距離防空システムを機動的に運用して1 週間で 4 機の Su-34 を撃墜した。 もし今回火をつけられた機体が修復不能なら、戦争拡大前に 150 機超あったロシア空軍の Su-34 は 125 機ほどに減った可能性がある。 ウクライナの破壊工作作戦は有効だが危険をともなう。 これまでにウクライナの破壊工作員が何人も捕まり、殺害されている。 最も新しいとみられるケースでは昨年 8 月、ウクライナと国境を接するロシア南西部ブリャンスク州に密かに越境しようとしたウクライナの工作員チームがロシア軍に制止され、うち 2 人が殺害されたと伝えられる。 (David Axe、Forbes = 1-7-24) 飛来するロシア軍のドローン「シャヘド」の大群を、ウクライナ防空システムが次々に撃墜する映像
ロシアからウクライナ南部に飛来した大量のドローンを、ウクライナ軍の防空システムが撃墜する様子を捉えたとされる動画が公開された。 撃墜されたドローンはロシア軍が保有する自爆型ドローン「シャヘド」で、これまでにも繰り返しウクライナへの空爆に使用されてきたものだ。 ウクライナ空軍司令官のミコラ・オレシチュク中将が 1 月 2 日にインターネット上に投稿した短い動画は、ウクライナの防空システムが飛来するシャヘドを撃墜する様子を捉えたらしい複数の切り抜き映像で構成されている。 オレシチュクによれば、動画はウクライナ南部で撮影された(場所は非公表)ということだ。 ロシアは 2022 年 2 月にウクライナへの本格侵攻を開始して以降、イランが設計した自爆型ドローン「シャヘド」を使ってウクライナ国内の標的に対する容赦ない攻撃を行ってきた。 標的に接近して自爆するドローンは、ロシア軍にとってウクライナの各都市や主要なエネルギーインフラを攻撃する上での「安価かつ効果的」な手段だ。 ウクライナの防空システムはこれまでにも、こうしたドローンを高い成功率で撃墜してきたが、ドローンは検知されずに接近してくることも多い。 年末には年越しの一斉攻撃で 90 機が襲来 こうしたなか 1 月 2 日、ウクライナ軍は空軍の防空システムが夜間に 35 機のシャヘドを撃墜したと発表した。 これらのドローンは、ロシアの支配下にあるクリミア半島とロシア南部のクラスノダールから飛来したものだという。 この前日(1 日)にウクライナは、ロシア軍が年越しの一斉攻撃で「記録的な数」のシャヘドでウクライナを攻撃してきたと述べた。 ロシア側はロシア南部とクリミアの 4カ所から計 90 機のシャヘドを打ち上げ、さらに大量のミサイルも発射。 ウクライナ政府によれば、ウクライナ軍はこのうち 87 機のシャヘドを破壊した。 さらに 1 日、ウクライナ空軍の発表によれば、ロシア軍は現地時間の午後 2 時頃にもさらに 10 機のシャヘドを使った攻撃を仕掛けてきたという。 ロシア軍は 2023 年 12 月 31 日には 49 機のシャヘドを使った攻撃を仕掛け、ウクライナはこのうち 21 機を迎撃したとしている。 ドローンは主にウクライナ南部のヘルソン、ミコライウやザポリージャを標的としたが、ハルキウにも襲来したということだ。 ウクライナ軍は 2023 年 12 月、ロシアは「ウクライナを毎日、異なる方向から攻撃する」のに十分な数のシャヘドを保有していると警告していた。 検知されにくい「改造版シャヘド」も登場 イギリスの防衛関係者は 12 月半ば、ロシアが 5 カ所目のシャヘド発射場を有していることを確認したと述べた。 これまで確認されていたクリミア半島のチャウダ岬、ロシア国内のエイスク、クルスクとプリモルスコ・アフタルスクに加えて、クリミア半島の港湾都市セバストポリの南部にあるバラクラバにもシャヘドの発射場が設けられた。 ウクライナ軍の当局者らは 2023 年 11 月後半、ロシアがシャヘドの改造版をウクライナに送り込むようになっていると述べていた。 この改造版シャヘドは、ウクライナの防空システムに検知されにくいように、従来のシャヘドよりも黒っぽい色に塗られ、炭素繊維で作られているという。 ウクライナのドローンの第一人者であるミハイロ・フェドロフ副首相兼デジタル改革担当相は 2023 年 12 月に本誌に対して、ウクライナ政府は「シャヘド対策を開発中」だと述べた。 ウクライナは飛来するシャヘドを検知することに重点を置きつつ、独自の長距離ドローンの開発と生産を行っていると彼は述べ、さらにこうつけ加えた。 「昨年(2022 年)よりもずっと多い数を生産している。」 (エリー・クック、NewsWeek = 1-7-24) ウクライナ、クリミアの露軍基地を攻撃 空軍司令官が投稿 ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は 6 日朝、ロシアの実効支配下にあるウクライナ南部クリミア半島のサキ航空基地を攻撃し、「全目標を破壊した」と SNS (交流サイト)で報告した。 攻撃後のサキ航空基地だとする写真も投稿した。 露国防省はこれに先立つ 5 日夜 - 6 日未明、クリミアやクリミアに近い黒海上空でウクライナ軍のミサイル 4 発とドローン(無人機) 5 機を撃墜したと主張していた。 損害には言及しなかった。 ウクライナメディアによると、サキ航空基地には戦闘爆撃機スホイ 24 や戦闘機スホイ 30 が配備され、南部方面に展開する露軍部隊を航空支援している。 ウクライナは 4 日にもクリミアの露軍拠点を攻撃しており、クリミアの露軍戦力を低下させて南部での戦闘を有利にする狙いとみられる。 (sankei = 1-6-24) ロシアが一方的併合のクリミアで複数の爆発 … ウクライナ軍、ロシア軍司令部を攻撃と主張 ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」によると、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア南西部セバストポリと西部エフパトリアで 4 日、複数の爆発があった。 ウクライナ空軍は同日、セバストポリ付近にある露軍司令部に攻撃を加えたと SNS で明らかにした。 露軍から領土を奪還する反転攻勢を進められずにいるウクライナ軍は最近、クリミアへの攻撃を強めている。 ロシアのタス通信によると露国防省は 4 日、クリミア半島上空でウクライナのミサイル 10 発を撃墜し、「攻撃を防いだ」と発表した。 落下した残骸で1人が負傷したほか、住民約 100 人が避難したとしている。 露国防省は 5 日にもクリミアで無人機 36 機を撃墜したと発表した。 (yomiuri = 1-5-24) ロシア、ウクライナ中部を攻撃 クリミア上空でミサイル迎撃 [キーウ/モスクワ] ウクライナ当局は 4 日、中部キロボフラード州クロピブニツキーがロシア軍のミサイル攻撃を受け、少なくとも 1 人が死亡し、7 人が負傷したと明らかにした。 エネルギー関連施設 2 カ所が損傷したことで停電が発生し、鉄道の運行が停止しているという。 ウクライナ国営の送電会社ウクルエネルゴによると、主要な送電網に障害は出ていない。 エネルギー省は、攻撃を受け一般消費者と鉄道網に対する電力供給が遮断され、修復作業が続けられているとしている。 キロボフラード州のアンドリー・ライコビッチ知事は、ロシア軍は攻撃に「X59」ミサイルを使用したとの見方を示した。 ロシア軍がウクライナに対する攻撃を激化させる中、ロシア国防省はこの日、クリミア半島上空でウクライナのミサイル 10 発を迎撃し、クリミアにあるロシア関連施設に対する攻撃を阻止したと発表した。 ウクライナの誘導ミサイルを防空網で撃墜したとしている。 その後、ウクライナ空軍のミコラ・オレシュチュク司令官は、ロシア支配下にあるクリミアのイェウパトーリヤ付近のロシア軍部隊を攻撃したと表明した。 (Reuters = 1-5-23) 橋頭堡攻めあぐねるロシア軍、80 年前の特攻戦術「ジューコフ機動」命令 ロシア軍はこの 10 週間、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)の橋頭堡に張り付いている数百人のウクライナ海兵を排除しようと数万人規模の兵力を投入してきたが、これまで排除に失敗している。 ドニプロ川左岸は、橋頭堡がある川沿いの集落クリンキ一帯以外はロシア軍の支配下にある。 クリンキでの戦いについて、西側メディアはウクライナの海兵隊員にとって「自殺任務」のようなものだと伝えている。 だが、ぬかるんだこの漁村や隣接する森林の周囲に設けられた地雷原に無謀にも突っ込んでは、100 人単位で死んでいるのはロシア兵だ。 驚くべきことに、ウクライナ側は兵員数で劣りながら、火砲とドローン(無人機)に関しては局所的な優勢を確保している。 まず電波妨害(ジャミング)によってロシア側のドローンを飛べなくさせ、次に自分たちのドローンを飛ばし、敵のりゅう弾砲やロケットランチャーを探し出して破壊していく、という方法によってだ。 「ロシア軍はクリンキを引き続き激しく攻撃している。」 軍事アナリストのトム・クーパーが運営する 1 日 1 日のニューズレターで、同僚のドナルド・ヒルはそう解説。 「ある攻撃では森林を突き進み、クリンキに足場を築いた。 しかし、ウクライナ側はロシア側に占拠された家屋のがれきを砲撃で吹き飛ばし、防衛線をすべて取り戻した」と続けている。 ヒルが言及しているものと同じかもしれないが、最近のある攻撃はロシア軍の空挺部隊の軍事ブロガーから見ても特にひどいものだった。 「天候はわが軍に味方していたが、敵の砲兵はなお戦術的優位に立っていた」とこのブロガーは述べている。 そのうえで「80 年前と同じように、ジューコフ機動を敢行して敵を撃破せよとの命令が下された」と明かしている。 第 2 次世界大戦中、ソ連軍のゲオルギー・ジューコフ将軍は、自軍の兵士にドイツ軍の地雷原を徒歩で越えるように命じて切り開かせたとされ、悪名高い。 ヒルによれば、ウクライナ側は夜の闇に紛れてクリンキ周辺の地雷原を補充している。 「ウクライナのドローンは夜間、道路に地雷を投下し、トラックなどの車両を走行不能にしている。 朝になると、車両が回収される前に弾薬を投下してとどめを刺す」という。 前出のブロガーは、ロシア空挺軍の第 104 親衛空挺師団がジューコフ方式で地雷原の突破を図った結果、「かけがえのない専門兵たちを失った」一方で、「戦場の状況は変わらなかった」と記している。 ウクライナでの戦争が長期的な消耗戦に移りつつあるなか、攻撃が失敗するたびにロシア側の損耗は膨らみ、ウクライナ側は全体として優位になる。 ロシア軍はクリンキ周辺で昨年 10 月 14 日以降、戦車や装甲戦闘車両など各種装備を 143 失っている。 これに対して、ウクライナ軍の装備の損失数は 25 にとどまっている。 (David Axe、Forbes = 1-5-24) |
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