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祖国と戦うロシア人志願兵部隊 ウクライナ軍創設、数百人規模に 【キーウ】 ウクライナ軍が、プーチン政権の打倒を目指して祖国を離れたロシア人志願兵を中心とする通称「シベリア部隊」を創設した。 24 日までに共同通信など一部メディアに訓練を公開した。 一部は既に激戦地に投入された。 今後数カ月のうちに数百人規模の部隊が訓練を終える見通しだ。 ウクライナでは、数万人規模の外国人がロシアとの戦闘に参加しているとされる。 欧米諸国に加え、日本を含むアジア、南米などからも義勇兵がウクライナ軍の指揮下で参戦している。 部隊の報道官によると、今年 6 月ごろからロシア人部隊の創設準備が始まった。 入隊に際しては、ロシアのスパイが潜り込む恐れを考慮して徹底的に身元調査を行い、うそ発見器を用いた面接を複数回繰り返して、入隊が許可されるという。 兵士の 95% はロシア国籍保有者で、モンゴル系などの少数民族が含まれる。 残りの 5% が中央アジアのキルギスやカザフスタンなどの出身者という。 多くが東欧などの第三国を経由してウクライナ入り。 30 人単位の小隊が既に訓練を終え、実戦に投入されている。 (kyodo = 12-24-23) 渡河作戦は「自殺任務」でなく「消耗戦」の一部 損害が大きいのはロシア側 「自殺任務だ。」 ウクライナ海兵隊が南部ヘルソン州のドニプロ川の対岸に橋頭堡を確保するため、2 カ月にわたり進めてきた作戦について、あるウクライナ海兵は米紙ニューヨーク・タイムズに匿名でそう語っている。 橋頭堡があるドニプロ川左岸(東岸)の集落、クリンキをめぐる作戦に参加したほかの複数のウクライナ兵も、地元メディアのキーウ・インディペンデントの取材で、第 35 独立海兵旅団の所属と思われるこの海兵と同様の見方を示している。 たとえば、あるドローン操縦士は「(ドニプロ)川を渡るのは不可能に近い」と述べている。現地での過酷な戦いでトラウマを負った生還者の話を主に取り上げたこれらの記事には、悲壮さが漂っている。 さらに言えば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がクリンキ一帯でのウクライナ軍の戦いについて語っていることとも、ほとんど合致する。 プーチンはこううそぶいた。 「彼ら(ウクライナ側)がなぜそれをやっているのかすらわからない。」 クリンキ戦に参加し、周りで戦友が次々に死んでいくのを見たかもしれない人たちは、軍事上あるいは戦略上の理由について意見を言うのは難しいだろう。 だが、ウクライナ軍がこの戦いをしている理由は明らかである。 ぬかるんだドニプロ川左岸の、避難した漁民の家屋が並ぶ細長い集落であるクリンキを解放し、保持することで、ウクライナ軍は、将来、この軸でより大きな攻勢に出る選択肢を残しているのだ。 ワシントン D.C. にある戦争研究所 (ISW) も、ウクライナ海兵隊の渡河作戦は「将来の作戦に向けた条件を整える取り組みとみられる」との見解を示している。 さらに、ロシアがウクライナで拡大した戦争が「膠着」あるいは「消耗」局面に入り、双方とも大きな前進は見込めず、互いに相手にできるだけ多くの損害を与えることに力を注ぐなかで、クリンキ方面の戦いはウクライナ側にとって、ロシア側の戦死者や車両損失を増やす機会にもなっている。 言い換えれば、クリンキはロシア軍を消耗させる「罠」になっている。 しかし、ウクライナ側はドニプロ川の渡河やクリンキの狭い廃墟での戦闘で、戦死者や重傷者を何百人も出した可能性がある。 また、クリンキから撤退しなければ、ロシア側による反撃や爆撃が続くなか、ウクライナ側の戦死者は今後数週間から数カ月でさらに増えるおそれもある。 誤解のないように言っておくと、クリンキからの撤退も可能性としてはあるだろう。 だが、ウクライナ軍の第 35 海兵旅団がクリンキで大きな損害を被る一方で、ロシア軍の第 810 海軍歩兵旅団や第 104 親衛空挺師団は第 35 旅団の海兵を排除しようとして、それよりも格段に大きな損害を出している。 そして、これまでのところ排除もできていない。 新たに編成された第 104 師団は「初の戦闘で桁外れに大きな損害を被り、目標の達成に失敗した可能性が非常に高い」と英国防省は先週指摘している。 クリンキ上空を哨戒するドローン部隊を率いるウクライナ軍の指揮官ロベルト・ブロウディは先週末、クリンキへの数少ないルート上で、自身の部隊がこれまでに損傷させるか撃破したとするロシア軍の車両数を明らかにしている。 「われわれは南部に滞在していた 2 カ月半足らずの間に、敵の車両を 450 両以上攻撃し、うち 153 両は燃えて灰になった。」とブロウディは動画で語っている。 ロシア軍は、月に 150 - 200 両くらいまでの車両損失なら、前線の兵力を縮小せずに耐えていくことができる。 だが、ウクライナ軍はこの数カ月、クリンキでの戦いや東部ドネツク州アウジーイウカでの粘り強い防衛によって、ロシア軍の装備に対して賄いきれる以上の損害を与えた。 そのため、ロシア軍はこの冬、大きな突破を達成するのに必要な余剰戦闘力の一部を奪われた。 ブロウディは、ウクライナの海兵がドニプロ川での作戦を「自殺」行為と記者に語るのは理解できるとも話す。 ブロウディはこの作戦の生存者たちを、家族を交通事故で亡くしたばかりの遺族になぞらえ、記者はなぜ「彼らの心情を尋ね、それを一般化して全世界に向けて伝え」ようとしたのだろうかと疑問を呈している。 留意すべきは、ブロウディが、ニューヨーク・タイムズの記者はクリンキの過酷な状況を適切な文脈で説明しないように感じたため、取材を断ったと明かしていることだ。 その文脈には、クリンキの橋頭堡周辺で戦うロシア側の話も含まれるかもしれない。 ロシア側のある観察者はこう述べている。 「クリンキ方面の状況は、われわれにとって悪くなる一方だ。」 (David Axe、Forbes = 12-23-23) ウクライナの M2 歩兵戦闘車、地下に隠れたロシア兵を踏みつぶす ロシア軍の人員訓練能力に過剰な負担をかけ、不十分な訓練による死傷者の増加という負のスパイラルを引き起こしてロシア軍を消耗させていくには、ウクライナ軍は 2024 年、ロシア軍に 10 万人の死者または重傷者を出させる必要があると、エストニア国防省は最近分析している。 ウクライナ軍の第 47 独立機械化旅団は東部ドネツク州アウジーイウカの北方面で、早くもその仕事に着手している。 第 47 旅団の米国製 M2 ブラッドレー歩兵戦闘車は、ロシア兵を何十人も殺害している。 発射速度の速い 25mm 機関砲でロシア兵を吹き飛ばしたり、地下の隠れ場に慌てて逃げ込んだロシア兵を 28t の巨体で押しつぶしたりもしている。 今週、ソーシャルメディアで共有されたウクライナ軍のドローン映像には、アウジーイウカの北郊にあり北方面の戦闘の中心地になっている集落ステポベで、第 47 旅団のブラッドレーがロシア軍の歩兵突撃部隊とまみえた様子が捉えられている。 ドローンは、廃墟と化しているステポベで、崩れ落ちた家屋の地下室の扉の奥に駆け込むロシア軍の歩兵チームの姿を発見している。 ドローンの操縦士はブラッドレー側に、特徴的な緑色のその扉のほうへ向かうよう指示する。 3 人乗りのブラッドレーは地下室の上まで突き進んでいき、その車体で入り口をぺしゃんこにする。 ブラッドレーはバックギアで後退していき、数発射撃し、発煙弾を放ったあと、向きを変えてウクライナ側の陣地へ戻っていく。 これは、アウジーイウカ周辺に攻め込んでくるロシア軍に対するウクライナ軍の新たな戦い方である。 目新しくはあるが効果的だ。 戦闘車両での歩兵の粉砕というのは、ロシア軍の作戦が 3 カ月目に入るなか、アウジーイウカ攻防戦の無慈悲さと、ロシア側に偏って大きな損害が出ている現状も物語る。 ロシア軍は 10 月 10 日、アウジーイウカに対する攻撃を開始した。 疲弊した第 110 独立機械化旅団を含むウクライナ軍守備隊を包囲し、補給路を断ち、軍需品などを欠乏させるのが目標だ。 攻撃は、ロシア軍が計 12 個前後の連隊や旅団を投入した最初の 1 カ月が最も強力だった。 数十両の戦車や歩兵戦闘車から成る縦隊がアウジーイウカの北方面と南方面に突撃を繰り返した。 だがロシア軍はすぐに、ウクライナ軍が今夏の機甲攻撃で学んだのと同じ教訓を学ぶはめになった。 周到に準備された防御、具体的に言えば地雷やドローン、火砲によるキルゾーン(撃破区域)を、戦車などで突破しようとするのはきわめて危険だという教訓である。 ロシア軍はウクライナ軍の攻撃で 211 両にのぼる車両を損失した。 1 個旅団分の重装備がまるまる失われたかたちだ。 24 時間体制で新しい戦車を生産し、冷戦時代にさかのぼる古い戦車の在庫が大量にあるロシアといえども、支えきれないほど高い損耗率だった。 そこで、ロシア軍の指揮官は 1 カ月後、戦術を変更する。 車両での攻撃から、下車した歩兵による攻撃に切り替えた。 これは基本的には悪くないアイデアだった。 というのも、ウクライナ軍も今夏の反転攻勢で、小規模な歩兵チームは敵の陣地を側面から攻撃したり、その後方に回り込んだりでき、装甲車では達成できないことをペースは遅いが達成できることを発見していたからだ。 だが、ウクライナ側はロシア側の徒歩による攻撃に対する用意ができていた。 ウクライナ軍の南部司令部は、第 47 旅団や第 1 独立戦車旅団をはじめ、隷下の最も装備の充実した部隊を、東部司令部に引き渡していた。 これらの旅団のブラッドレーやレオパルト 2 戦車、T-64 戦車がロシア軍の歩兵を迎え撃つことになった。 支援のない歩兵は言うにおよばず、支援の薄い歩兵は簡単に装甲車の餌食になる。 戦闘慣れした第 47 旅団のブラッドレーは 11 月、アウジーイウカの北方面で熟達ぶりを見せつけている。 米国が今年初め、ウクライナの戦争努力におよそ 200 両の供与を表明したブラッドレーは、第 47 旅団がもっぱら運用している。 ブラッドレーの主武装である 25mm 機関砲は、1 ポンド (0.45kg) 弾を毎分 200 発、毎秒 1,100m の速度で発射する。 高精細で夜間にも対応した光学機器、精確な射撃統制装置と組み合わされた 25mm 機関砲は、残酷なまでに効果的だ。 アウジーイウカ郊外でのある戦闘では、1 両のブラッドレーが、ものの 30 秒のうちにロシア軍の MT-LB 装甲牽引車 3 両を連続攻撃し、おそらくすべて撃破している。 ウクライナ軍のブラッドレーについて、軍事アナリストのトム・クーパーは「歩兵への火力支援で有効であることを証明した」と解説している。 いささか抽象的な言い方だが、要は攻撃してくるロシア兵をたくさん殺しているということだ。 ロシア兵は地下に隠れても、荒ぶるブラッドレーの前では助からないかもしれない。 ステポベで地下室に飛び込んだロシア兵たちはおそらく、命中すればひとたまりもない 25mm りゅう弾から逃れようと考えていたのだろう。 しかし、まさか地下室ごと自分たちを押しつぶしにくるとは思いもよらなかったのではないか。 アウジーイウカに対するロシア軍の歩兵攻撃は、10 月の機甲攻撃と同様に成功していない。 ロシア軍はアウジーイウカの南北で 1.5km かそこら前進したものの、アウジーイウカを包囲して補給路を遮断することはできていない。 一方で、少なくとも 1 万 3,000 人の死傷者を出している。 ロシア側にアウジーイウカでの勝利を望める理由があるとすれば、それは現時点でドローンと火砲の面で大きく優位に立っていることだろう。 そして、米議会のロシア寄りの共和党員らがおよそ 610 億ドル(約 8 兆 7,000 億円)の対ウクライナ支援を滞らせるなか、この優位性がさらに強まる可能性があることだろう。 ウクライナにとって状況をさらに厳しくしているのは、隣国ポーランドのトラック運転手や農家がウクライナの同業者に仕事の一部を奪われたと抗議して、いくつかの重要な国境検問所を封鎖していることだ。 ポーランドのドナルド・トゥスク新首相は封鎖を解くのに苦慮しており、ウクライナ軍へのドローンの運送にも数週間の遅れが生じている。 ウクライナ向けの資金支出や輸送が 1 日遅れるごとに、アウジーイウカの防衛は弱まり、攻撃側は勢いづいている。 (David Axe、Forbes = 12-23-23) ウクライナ空軍が 3 機のロシア製 Su-34 フルバック爆撃機を撃墜したと主張 ウクライナ空軍は、ロシアの Su-34 フルバック爆撃機 3 機を撃墜したと発表しました。 これが確認されれば、これは最近の時期におけるロシア空軍の最も重要な損失の1つとなります。 また、まだ確認されていないが、アメリカ製の地対空ミサイルパトリオットが機体の撃墜に使用された可能性があるとの噂もあります。 情報はウクライナ空軍の公式ソーシャルメディアアカウントを通じて公開され、Su-34M が南に向かって飛行中に撃墜されたと述べています。 ただし、この行動で使用された武器の詳細は指定されていません。 一方で、ロシア当局はこれらの損失をまだ確認しておらず、ウクライナの主張を独自に確認することができなかったという、The War Zone などの独立した情報源もあります。 同時に、ロシアの航空軍とのつながりで知られる Telegram の Fighterbomber チャンネルは、「少なくとも 1 機の "戦闘での損失"」が存在すると報告し、捜索および救助作業が進行中であると述べています。 さらに、ロシアの Telegram 情報源は、確たる証拠はないものの、これらの撃墜がウクライナの南部、特に現在の紛争地域であるKherson 地域で発生した可能性があると指摘しています。 (Redacao、Carro e Motos = 12-23-23) 陣地固めたロシア軍の戦闘「安定した膠着状態でない」 米シンクタンク 米シンクタンク「戦争研究所 (ISW)」は 21 日、ウクライナ軍と侵攻を続けるロシア軍の戦闘について「安定した膠着状態ではない」とする分析を公表した。 ロシア軍は陣地を固めているが、ウクライナ側を支援する西側諸国の決定次第で容易に状況が変化する可能性があるとしている。 ISW は、西側諸国の支援態勢が崩れれば、最終的にはウクライナ軍がロシア軍を退ける能力が失われる可能性が高いと指摘。 その上で「ウクライナ軍がロシア軍の攻撃を退け、より多くの領土を解放できるようにするために西側諸国が支援を続けることが、現時点では(ロシアの)プーチン大統領の目標達成を阻止するための唯一の行動指針だ」と指摘した。 (asahi = 12-22-23) ウクライナ空軍、ドローン 34 機を撃墜 ウクライナ空軍は 21 日、前夜から未明にかけて各地に飛来したロシア軍の自爆攻撃型ドローン(無人機) 35 機のうち 34 機を撃墜したと発表した。 ドローンはキーウ時間 20 日午後 8 時から 21 日午前 3 時半にかけて、ロシアが実効支配する南部クリミア半島やアゾフ海沿いのロシア・クラスノダール地方、ウクライナ北東部の国境に接するロシア南西部クルスク州の 3 カ所から数波に分けて発射されたという。 空軍によると、ウクライナ側ではキーウ、ドニプロペトロウスク州など中部やヘルソン、ミコライウ州など南部の各地で地対空ミサイルや高射砲などの防空システムが作動した。 (asahi = 12-21-23) ロシア人の 45%、来年の期待に「ウクライナ侵攻の終結」 世論調査 ロシア人の 45% が 2024 年にウクライナ侵攻が終結することを期待している - -。 こんな世論調査結果を、政府系の「全ロシア世論調査センター」が 21 日発表した。 一方、ロシアでウクライナ侵攻を指す「特別軍事作戦」を今年の重要ニュースに挙げた人は 22% と、昨年の 62% から 3 分の 1 に減り、侵攻への関心の低下傾向も示した。 調査によると、回答者の 45% が、来年への期待として、「特別軍事作戦の終結」を選んだ。 次いで、プーチン大統領の勝利が有力視される来年 3 月の「大統領選」が 26%、「経済成長と生活水準の向上」が 13% だった。 今年の重要ニュースで侵攻に続いて 2 位となったのは、経済成長やインフレ、制裁対策、利上げといった「経済関連」だった。 回答者の 63% は来年について、「ロシアにとってよい年になる」と確信。 一方で、懐疑的なのは 33% だった。 調査は 8 - 16 日に実施され、全国で 18 歳以上の 1,600 人が回答した。 (asahi = 12-21-23) ウクライナ、前線要塞化 英分析、長期戦見据え 【キーウ】 英国防省は 20 日、ロシアと戦うウクライナが防衛強化のため前線の要塞化を進めていると指摘した。 12 月中旬までにロシアを支援するベラルーシとの国境沿いに「竜の歯」と呼ばれる戦車阻止のための障害物や有刺鉄線、対戦車壕を設置したという。 夏に開始した反転攻勢が膠着し、長期戦を見据えていることが背景にある。 ゼレンスキー大統領は 11 月下旬以降、ロシア軍とにらみ合う東部や南部で要塞建設を急ぐよう呼びかけてきた。 ウクライナが頼みとする米欧の支援は先行きが不透明な状況だ。 米議会は今月 19 日、年内のウクライナ支援予算案可決を断念した。 (kyodo = 12-21-23) ロシアの滑空爆弾に手こずるウクライナ、近く入手の F-16 戦闘機で形勢逆転も 欧州諸国が使っていた F-16 戦闘機が、ロシアと戦うウクライナの支援でできることはたくさんあるが、これらの戦闘機がまず最初に何をすべきかが明確になってきている。 それは、滑空爆弾を投下するロシア軍機を撃ち落とすことだ。 ロシア軍のスホーイ戦闘爆撃機は約 965km に及ぶ戦線の大部分で、約 40km かそれ以上離れたところから精密誘導の滑空爆弾を投下し、ウクライナ軍の部隊や民間人をほぼ無分別に攻撃することができる。 ウクライナの軍人オレクサンドル・ソロニコによると、滑空爆弾はウクライナ兵の間で「最大の恐怖のひとつ」になっているという。 ウクライナ軍が現在保有する戦闘機では、滑空爆弾を投下する敵の爆撃機を制止できない。 一方、ウクライナ軍が将来入手する F-16 などの戦闘機は反撃できるはずだ。 戦争が始まってからの 1 年間、ロシア軍機は無誘導爆弾を投下したり無誘導ロケット弾を発射するために、前線の真上を超低空で飛行した。 このような攻撃はリスクを伴う。 その危険性は、ウクライナ軍が西側製の防空システムを獲得するにつれて増した。 最初の 1 年間で、ウクライナ軍はロシア軍機を約 70 機撃墜した。 そして今年初め、ロシア空軍は米空軍を手本にして戦闘爆撃機に翼付きの衛星誘導爆弾を装備し始めた。 この爆弾を何万フィートもの高度から投下した場合、約 40km 滑空させて、狙った地点から約100m以内に命中させることができる。 攻撃に滑空爆弾の UPAB-1500 と FAB-500 を用いることで、ロシア軍機はウクライナの地上に設置されている防空システムのほぼ射程圏外にとどまることができる。 こうした長距離攻撃により、ウクライナ空軍のスホーイ Su-27 やミコヤン MiG-29 といった戦闘機が、爆弾を投下させないようロシア軍機を迎撃することは、ほとんど不可能になっている。 ロシア軍が S-400 防空ミサイルシステムを展開しているため、ウクライナ空軍のパイロットは前線上空のウクライナ側にとどまらざるを得ず、そこから R-27 空対空ミサイルを発射してもロシア軍機には届かない。 「ウクライナ軍には、ロシア軍の戦闘機と対等に渡り合える新しい戦闘機が必要だ」と、英王立防衛安全保障研究所 (RUSI) のジャスティン・ブロンクとニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは 2022 年 11 月に指摘している。 その新しい戦闘機が、間もなくウクライナの手に渡る。 オランダ、デンマーク、ノルウェー、ベルギーはこの秋、余剰となった米ロッキード・マーチン製の F-16 を供与することをウクライナに約束した。 これらの国々は F-16 を新しい F-35 と交換する。 もしこの 4 カ国が、すでに余剰となっている、あるいは今後 1 年ほどで余剰となる可能性のある F-16A/B ミッドライフアップグレード (MLU) 型をすべて供与するとすれば、ウクライナは F-16 を 60 機以上手に入れる可能性がある。 ウクライナ軍のパイロットは、すでにルーマニアと米国の基地で -16 の訓練を受けている。 ウクライナは数週間以内に第 1 弾の F-16 を受け取る予定だ。 F-16 が 60 機もあれば、ウクライナは滑空爆弾を投下するロシア軍の爆撃機を追い返すことが十分できる。 ウクライナ空軍のセルヒー・ゴルブツォフ准将は今年、「全ての作戦を計画するには、少なくとも中隊 1 個、航空機 12 - 16 機について話して損はないと思う」と語っていた。 この発言内容はエストニア国防省の結論と一致する。 同省は「防衛的な対航空能力を獲得するには、ウクライナは 20 機必要だろう。 2 機同時出撃を 1 日に 2 回行うために中隊 2 個に 8 機ずつ配備し、そして 4 機を予備・交換用とする」と報告書で指摘した。 F-16 は Su-27 や MiG-29 よりも優れたセンサーや防御のための電子戦装備、武器を搭載している。 Su-27 のパイロットが約 96km 先の標的を探知し、射程約 72km の R-27R 空対空ミサイルで交戦しても、生き残れないかもしれない。 スホーイは搭載するレーダーのカバー範囲とミサイルの射程を伸ばすために高高度を飛行する必要があるが、その飛行高度では S-400 防空システムの格好の餌食となる。 ウクライナ軍の Su-27 はポッド状の電波妨害装置を常に搭載しているわけではないため、なおさら危険だ。 F-16 は高高度で約 130km 先の標的を探知し、AIM-120C 空対空ミサイルを使えば約 60km 離れたところから攻撃できる。 また、F-16 はポッド状の電波妨害装置ALQ-131 または ALQ-184 を搭載しており、S-400 に対してある程度の防御力を備えている。 前線のすぐ後ろを飛ぶ F-16 の中隊は、ロシア軍機が滑空爆弾を投下するのに十分なところまで接近する前に、ロシア軍機を撃ち落とすことができるはずだ。 だが、ロシア軍はすでに適応している。 ウクライナ軍の防空システムのパトリオットか S-300 が今月初め、南部オデーサの南約 130km の黒海西部上空でロシア軍のSu-24 爆撃機を撃墜した後、ロシア軍はより射程の長い滑空爆弾の開発を開始したと伝えられている。 (David Axe、Forbes = 12-21-23) ウクライナ、ドローン 100 万機以上の製造を計画 ウクライナのカムイシン戦略産業相は 20 日、同国が無人機(ドローン) 100 万機に加え、1 万 1 千機以上の中長距離ドローンを来年中に製造する計画だと、SNS の投稿で明らかにした。 ゼレンスキー大統領は 19 日、キーウで開かれた記者会見で 100 万機の無人機を来年中に生産すると明らかにしていた。 カムイシン氏の投稿によると、これに加え、ウクライナは航続距離が数百キロの機体を 1 万機、1 千キロの機体を 1 千機以上製造可能だという。 カムイシン氏は「生産設備は全て整っている。 来年の契約も始まっている。」と述べた。 (asahi = 12-20-23) アウジーイウカ守備隊の弾薬枯渇 逃げるロシア兵を苦渋の傍観 12 月 15 日、ウクライナ東部アウジーイウカの周辺には霧が立ち込めていた。 ロシア軍は好機とみて、市の南方面を防衛しているウクライナ軍部隊に急襲を仕掛けた。 攻撃は例によって失敗に終わった。 だが、攻撃に参加したロシア兵の多くが生き残った。 ウクライナ側の迫撃砲弾、擲弾、自爆型 FPV (一人称視点)ドローンが枯渇しているためだ。 「言っておかないといけないのは、われわれには弾薬が不足しているということだ」とウクライナ軍のあるドローン操縦士はソーシャルメディアで認めている。 ロシア側は今回、2 つのチームで攻撃してきた。 どちらも戦車 1 両と BMP 歩兵戦闘車 1 両のペアだった。 こうした小規模な部隊による攻撃は、ロシア軍による 2 カ月にわたるアウジーイウカ攻略戦の最近の傾向とも合致する。 軍事アナリストのトム・クーパーは 18 日、アウジーイウカ方面の先週の戦況について「ロシア軍の攻撃は継続しているが、強度は低下した」と評価している。 「(攻撃の)波は減っている。 波は以前は 15 - 20 人の兵士から成っていたが、現在は 6 人に減っている。」 霧がかかる中、ロシア軍部隊はさらに煙幕を張ったうえで、白昼、アウジーイウカに向けて突入してきた。 ウクライナ側は、予想される突撃ルートを上空からドローンで監視していた。 しかし、煙と霧のため、接近するロシア軍部隊はほとんど見えない状態だった。 だが、ウクライナ側に幸運が訪れる。先導していた戦車が地雷を踏んだのだ。 攻撃は頓挫した。 「ロシア軍部隊は退却し始めた」と前出のドローン操縦士は説明している。 「誰が最初に逃げ出したか。 ご想像のとおり、戦車の乗員だった。」 さらに、こちらもおそらく地雷が原因とみられるが、2 つ目のチームの戦車とBMP も立て続けに行動不能になった。 生き延びたロシア兵たちは、何もさえぎるものがない中を徒歩で急いで撤収した。 上空から監視していたウクライナ軍のドローンは、生き延びたロシア兵らの姿を克明に捉えていた。 通常なら、ウクライナ軍の 40mm 擲弾や FPV ドローンの格好の目標になっていたはずだった。 しかし「大隊の主要兵器である迫撃砲や Mk19 (擲弾発射器)用の弾薬がない」とドローン操縦士は嘆いている。 使える FPV ドローンもなかった。 「これがわれわれの砲兵の置かれている現状だ。 われわれはドローンも常に必要としている。」と訴えている。 ロシア軍が 10 月以来、アウジーイウカ周辺で出した 1 万 3,000 人の死傷者と異なり、これらのロシア兵は陣地に無事生還できたようだ。 「ロシア兵が罰を受けずに歩き去るのを見るのは虫酸が走る」とドローン操縦士は吐き捨てている。 米議会のロシア寄りの共和党議員らは、ジョー・バイデン米大統領がウクライナの戦争努力を支えるために提案している 610 億ドル(約 8 兆 8,000 億円)の援助を滞留させている。 交渉は続けられているものの、上院は休会期間に入っており、再開は 1 月上旬になる。 バイデン政権がこの予算を執行できないかぎり、ロシア兵たちはアウジーイウカ周辺で引き続き幸運に浴するかもしれない。 アウジーイウカをすぐに奪うことはできなくても、生き延びてそれを試み続けるかもしれない。 (David Axe、Forbes = 12-20-23) 軍事支援は年内にあと 1 回、それをもって資金「底をつく」 米国家安全保障会議のカービー戦略広報担当調整官は 18 日、ウクライナへの軍事支援について、年内にあと 1 回予定しているが、米軍の在庫から提供した分の装備品を補充する資金が、それをもって尽きることを記者団に明らかにした。 国防総省高官が議会側にその旨を通知したという。 カービー氏は「議会は遅滞なく行動を起こす必要がある」と述べた。 バイデン政権は予算権限を握る議会側に、ウクライナ支援を含む緊急予算の確保を要請している。 共和党は引き換えに国境対策の強化を主張し、妥協点は見つかっていない。 政権と上院の折衝が続いているが、年内に妥結する見通しは立っていない。 (asahi = 12-19-23) ウクライナにとって最悪の 1 週間、原因は米国と欧州 ウクライナは「溺れているのに、手を振っていると勘違いされる」問題を抱えつつある。 戦況がどれほどひどいのか明言できずに苦労している。 戦況が劣勢に向かっていると率直に公言すれば、結果として士気の低下や支援の先細りを招きかねないため、得策とは言えない。 オバマ大統領(当時)がアフガニスタンに増派した際には、戦争の行方について現実主義が欠如していたこともあり、年を追うごとに世論の支持が低下した。 ウクライナが自分たちの置かれている状況をここまで上手く伝えられないのは、同盟国の視野の狭さが主な原因だ。 米下院議会の一部で見られる理解の欠如は驚くべきものだ。 ある下院議員は先週、ウクライナは具体的な金額と明確かつ簡潔な目標を提示するべきだと発言した。 米国は 20 年間で 2 度も自ら戦争を招き、数兆ドルをも費やしたというのに、議会の物忘れの激しさと理解力の乏しさには唖然とする。 代わりにウクライナ政府は、ここまでの戦果と今後の目標を強調する。 昨年ロシアに奪われた領地の約半分を奪還し、黒海のロシア軍に戦略的ダメージを負わせた。 詳細は明かせないものの、2024 年に向けた計画も練っているとゼレンスキー大統領は発言した。 だが実際、ウクライナ政府にとって、最も有効な見出しは、前線が筆舌に尽くしがたいほど厳しい状況だというものだ。 どこを見てもほぼ暗鬱な知らせばかりだ。 ロシア軍は東部の都市アウジーイウカの一部に集結し、わずかな重要性しかないにもかかわらず、ロシア政府は大量の兵士を送り込んで満足しているようだ。 反転攻勢の中心だったザポリージャの前線では結局、遅々として戦果を挙げることができず、ロシア軍が盛り返し、ウクライナ側に多くの犠牲が出ている。 ウクライナは血気盛んに(あるいは無鉄砲に)ドニプロ川を渡り、わずかながらロシア側の戦線に進入した。 だが人的代償は大きく、補給線に問題を抱え、見通しは暗い。 現在首都キーウは毎晩のように巡航ミサイルの攻撃を浴びている。 ウクライナ政府当局によれば、大半は防空システムで迎撃しているという。 このまま守り切ることができれば、インフラも無傷な状態で春を迎えられるかもしれない。 だがバイデン政権によれば、米国の財政支援が枯渇すれば、真っ先に影響が出るのはおそらく防空システムだろう。 ゼレンスキー大統領にとってはさんざんな 1 週間だった。 大統領一行は欧州連合 (EU) 加盟交渉という象徴的勝利を声高に叫び、ゼレンスキー氏も「飽くことなく自由のために戦う人々が歴史を作った」証しだと述べた。 だが、実際に EU に加盟するには戦争を終わらせなければならない。 それもウクライナが国家として存続した形でだ。今のところ、どちらも実現する確証はない。 むしろゼレンスキー大統領は、4 日間で 2 度直面した緊急支援の危機にも強気の姿勢を見せなければならない状況だ。 EU ではハンガリーが 550 億ドル(約 7 兆 8,000 億円)の対ウクライナ支援に拒否権を発動すると決定した。 これに対して EU 当局は、1 月上旬には全会一致で賛成票が得られるとの見通しを示す。 だが、戦争犯罪の容疑で逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領を手放しで歓迎する右派ポピュリスト、ハンガリーのオルバン首相が欧州の不和のきっかけを作った。 西側の結束がここまで持ちこたえたこと自体が意外だった。 欧州各地で行われる選挙やその先に待ち受ける動揺次第では、戦争の終結方法を巡って外交努力や答えを求める声はますます高まるだろう。 (CNN = 12-18-23) 橋頭堡攻撃のロシア空挺師団「桁外れの大損害」 ウクライナは反攻の芽残す ロシア空挺軍の第 104 親衛空挺師団は、ウクライナ南部ドニプロ川左岸(東岸)でロシア側の作戦を救援するはずだった。 ところが、新たに編成されたこの師団は「初の戦闘で桁外れに大きな損害を被り、目標の達成に失敗した」可能性が非常に高いと英国防省は分析している。 2 カ月前、ウクライナ海兵隊の第 35 海兵旅団の海兵たちはドニプロ川をボートで渡り、砲兵やドローン(無人機)、そして周到な電波妨害による掩護を受けながら、左岸沿いの集落クリンキに橋頭堡を確保した。 クリンキ一帯以外、ドニプロ川左岸はロシア軍が支配している。 クリンキ方面はこの戦争の新たな前線になった。 ウクライナ側はロシア占領軍をウクライナ南部から押し出していくために、いずれここを有効に活用したいと考えている。 ロシア海軍歩兵隊の部隊は陸軍の自動車化連隊の増援を受けつつ、ウクライナの海兵部隊を駆逐しようとしたが、失敗した。 そこで投入されたのが第 104 師団だった。 第 104 師団は 9 - 10 月に急いで訓練されたあと、ウクライナ南部に配置され、クリンキ方面の戦いを主導することになった。 通常は 4 個師団体制のロシア空挺軍は、ロシアが拡大して 22 カ月目になる戦争の初期に大きな損害を出していた。 新編の第 104 師団はそれを埋め合わせるはずだった。 だが、2,000 人規模の第 104 師団もまた大きな損害を出し、消耗戦にさらに拍車をかける格好になった。 「第 104 師団は航空戦力や砲兵による支援を十分に受けられなかったと伝えられ、兵士の多くは未熟だった可能性が非常に高い」と英国防省は指摘している。 クリンキや周辺の森林に現在、ウクライナの海兵が何人くらいいるのかはよくわからない。 ロシア側の情報筋は、上陸部隊は 200 - 300 人規模ではないかと推測している。 これら数百人の海兵部隊は、ドローン部隊や砲兵部隊、電子戦部隊とともに、数千人のロシア軍部隊に対して持ちこたえてきた。 相手にしてきたのは、最初は第 810 海軍歩兵旅団の海兵、次に第 70 自動車化狙撃師団の兵士、そして第 104 師団の空挺兵である。 数で著しく劣り、地上と空から容赦のない砲撃や爆撃にさらされながら、橋頭堡のウクライナ軍部隊がどのように持ちこたえてきたのかは、もはや謎ではない。 海兵の渡河に先立って、ウクライナ軍の砲兵とドローン操縦士はドニプロ川左岸のロシア側の電波妨害(ジャミング)装置を破壊し、電子戦の専門兵はウクライナ側の電波妨害装置を設置したのだ。 その結果、クリンキ上空ではロシア側のドローンは飛べなくなり、ウクライナ側のドローンが自由に飛び回れるようになった。 ロシア軍の車両や歩兵は姿を見せると数分のうちに空から攻撃を受ける。 「クリンキ方面の状況はわれわれ側が悪化の一途をたどっている」とロシア側の観察者は嘆いている。 もっとも、ウクライナの海兵たちがクリンキを保持し、第 104 師団を打ち負かしているからといって、近いうちにヘルソン州南部で突破を成し遂げ、クリミアに向けて進撃しそうにはない。 ウクライナ軍は南部での反戦攻勢がピークに達してから数週間後、攻勢のための戦闘力を使い果たし、攻勢から守勢に転じた。 一方、ロシア側は攻勢に出ており、補給線が短い東部では、鉄道で人員や装備を何百 km も移動させなくてはならない南部より成功している。 それでも、ウクライナ側はクリンキを保持することで、ゆくゆくはこの橋頭堡から反攻を開始するという選択肢を確保している。 この選択肢がウクライナ軍参謀本部にとって非常に重要なのは明らかだ。 ウクライナ軍指導部は明らかに、保有する最高の電波妨害装置の多くや、爆薬を積んだドローンのかなりの数をクリンキ方面の戦いに投入している。 そのために、ロシア軍の猛攻を受けてきたドネツク州アウジーイウカをはじめ、東部戦域の防衛努力を犠牲にしている可能性もある。 (David Axe, Forbes = 12-18-23) ゼレンスキー大統領、ロシア軍のドローン 104 機を撃墜と発表 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍がこの 1 週間で 112 機のドローン攻撃を仕掛けたものの、約 93% にあたる 104 機を撃墜したと明らかにしました。 ゼレンスキー大統領は 16 日、一晩の間にロシア軍のイラン製ドローン 30 機を撃墜したと明らかにしました。 この 1 週間ではドローン 112 機のうち、約 93% にあたる 104 機を撃墜したというとこです。 また、弾道ミサイルも迎撃したと述べ、西側諸国から供与された防空システムが「完璧に作動している」と感謝の意を示しました。 本格的な冬を迎え、ロシア軍はインフラ施設への攻撃を強めていて、ゼレンスキー大統領は「防空能力をさらに強化していく」と述べ、各国に対し追加支援を呼びかけています。 (ABEMA = 12-17-23) ウクライナの M2 歩兵戦闘車、30 秒で装甲車 3 両を連続撃破 激戦地で戦闘再燃 ロシア軍がこの 2 カ月、ウクライナ東部アウジーイウカの攻略に向けて、多大な犠牲を出しながら続けてきた作戦は、新たな局面を迎えた兆しがある。 ウクライナ軍の重要な守備拠点であるアウジーイウカ周辺では、ロシア軍の地上攻撃が先週鈍化した一方で、ロシア軍のドローン(無人機)によるウクライナ軍の補給線に対する襲撃が増えていると報告されている。 もっとも、ロシア兵がアウジーイウカのために死ぬのをやめたというわけではない。 それどころか、ロシア軍が 12 日にアウジーイウカの北で行った地上攻撃は、これまでで最も激しいものの 1 つだった可能性がある。 攻撃を続けるロシア軍の部隊は、アウジーイウカ北郊の廃墟化した集落ステポベの周辺で、待ち構えたウクライナ軍の装甲車両にまみえている。 ウクライナ軍の戦車は、徒歩で攻撃してくる歩兵部隊に対して至近距離から射撃している。 ウクライナ軍の米国製 M2 ブラッドレー歩兵戦闘車 は、道路や樹林帯に向けて機関砲で高速連射している。 ロシア側の結果は悲惨だ。 ウクライナ軍の M2 について、軍事アナリストのトム・クーパーは「歩兵への火力支援で有効であることを証明した」と解説している。 いささか抽象的な言い方だが、要は攻撃してくるロシア兵をたくさん殺しているということだ。 重量 28t、乗員・兵員計 9 人で、25mm 機関砲や昼夜対応の光学機器、追加の爆発反応装甲を備えた M2 は、ウクライナ軍で運用されている最高の歩兵戦闘車と言っていいかもしれない。 もっとも、その称号に関しては、スウェーデンから供与された CV90 歩兵戦闘車も候補になるかもしれない。 最近、ソーシャルメディアで共有されたドローン映像では、M2 の状況認識能力と火力、防御力が組み合わさって圧倒的な破壊力を発揮するさまが捉えられている。 ロシア軍の装甲車両、おそらくは MT-LB 装甲牽引車が 3 両、夜間にステポベ周辺を走行している。 この集落に対する攻撃のため歩兵を運んでいたのかもしれない。 ウクライナ軍の M2 が 1 両、待ち構えていた。 ロシア軍の車列を発見すると、25mm 機関砲で射撃し始める。 200 発/分、初速 1,100m/s で撃ち出される 0.45kg 弾は、わずか 30 秒のうちに 3 両すべてに命中したようだ。 少なくとも 2 両は爆発を起こしている。 米陸軍の教義どおりの戦い方だった。 「IFV (歩兵戦闘車)は、何らかの掩蔽を確保できる開けた地かたちで、遠方から行う待ち伏せ攻撃に適している」と米陸軍のある野外教範は説明している。 ウクライナ軍の第 47 独立機械化旅団に配備されている M2 はこの 1 カ月あまり、アウジーイウカの北で防衛戦に携わってきた。 ステポベからロシア軍後方まで、ロシア兵の多数の死体が絨毯のように広がったのはその火力が一因だ。 ロシア側はステポベの外れまで 1.5km かそこら前進できたが、死傷者は推定で 1 万 3,000 人にのぼった。 ウクライナ側の損耗人数は 4 桁台前半とみられる。 第 47 旅団の M2 大隊も損害を出している。 同旅団は米国の在庫から供与された M2 を 190 両保有していたが、今夏の南部反攻とアウジーイウカ方面の作戦で約 30 両を失った。 ロシア軍は、ウクライナ軍がステポベ周辺で遺棄した M2 を 1 両鹵獲してもいる。 今後の展開は不透明だ。 ロシア軍はつい先週、アウジーイウカ方面の損害を抑え、歩兵による攻撃からドローンによる襲撃にシフトすることを決意したようだった。 だが、12 日の攻勢はそれと逆行するかたちになった。 ロシア軍は歩兵による集中攻撃を続けるかもしれないが、その場合、ウクライナ軍の M2 が反撃し続けることは予想できる。 (David Axe、orbes = 12-17-23) |
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