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ウクライナ軍、動員体制に見直し必要 = ゼレンスキー大統領 ウクライナのゼレンスキー大統領は 1 日、ロシアの侵攻に対抗する軍の体制を改善する総合的戦略の一環として、兵士動員の見直しが必要だと述べた。 定例のビデオ演説で同氏は、軍司令部の会議で 2024 年に具体的な戦果を出すためのシナリオについて議論したとし、「特に動員の問題に関連しており、ウクライナの誰もがこの分野で変革が必要だと理解している」と強調した。 その上で、単に数や対象だけではなく、兵役解除や新規動員の時間枠と条件が問題になっていると説明した。 一方、ロシア大統領府は 1 日、プーチン大統領が軍の最大兵員数を 17 万人増やす大統領令に署名したと発表した。 これにより軍の正規兵力は 132 万人となる。 ウクライナのレシチェンコ大統領府補佐官は今週、国営テレビで、前線に十分な人数を確保するために部隊のローテーション配備が必要と訴えた。 ウクライナの多くの旅団は 50 代の兵士で占められていると語った。 (Reuters = 12-2-23) 露軍、東部マリインカ制圧と主張 ウクライナ軍苦戦か ロシアによるウクライナ侵略で、露オンラインメディア「マッシュ」は 1 日、ウクライナ東部ドネツク州の州都ドネツク市近郊の小都市マリインカを制圧したと主張する露軍現場部隊のビデオ声明を交流サイト (SNS) に投稿した。 事実であれば、東部戦線でのウクライナ軍の苦戦を示唆することになる。 露軍はウクライナ軍が 6 月に開始した反攻で疲弊したとみて、秋ごろからマリインカや同じくドネツク市近郊の都市アブデーフカなどウクライナ軍拠点への攻勢を強化。 露軍の攻勢の背景には、実効支配するドネツク市の近郊からウクライナ軍を排除して同市の安全を高める狙いや、プーチン露大統領の出馬が確実視される来年 8 月の露大統領選に向けて「戦果」を国民に誇示する思惑などがあるとみられている。 これに先立つ 11 月 29 日には、露国防省はドネツク州バフムト方面の集落を制圧したと主張。 アブデーフカ攻防戦でも露軍は多大な損害を出しつつも徐々に前進しており、ウクライナ軍は東部で厳しい戦闘を強いられているとの観測が強い。 一方、プーチン氏は 1 日、露軍の定員を現行の約 115 万人から 17 万人増の約 132 万人とする大統領令に署名し、発効させた。 ウクライナでの軍事作戦や北大西洋条約機構 (NATO) からの「脅威」の増大に対応した措置だとしている。 (sankei = 12-2-23) 敵発見から破壊までわずか 80 秒 ウクライナのドローン、橋頭堡防御の要に 80 秒。 これは、ウクライナ軍のチームがロシア軍の戦闘車両をドローン(無人機)で発見し、2 機目のドローンを送って破壊するまでにかかった時間だ。 ウクライナの著名なドローン指揮官ロベルト・ブロブディによると、これはロシアがウクライナに対する戦争を拡大して以降、ドローンによるキルチェーン(目標の識別から破壊までの一連の処置)としては最速記録になったという。 この数字はまた、ある重要な戦場で、ウクライナ軍のドローンによるロシア軍の車両や歩兵に対する脅威が一段と高まっていることも物語る。 このドローン攻撃は最近、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)沿いにある集落、クリンキの東端であった。 ドニプロ川左岸は現在、ほとんどをロシアが支配している。 10 月上旬、ウクライナの海兵隊部隊は小型ボートでドニプロ川を渡り、一連の歩兵行動を敢行して初めて持続的な橋頭堡(きょうとうほ)を築いた。 海兵たちはこの橋頭堡を拡大すべく、左岸で戦闘を続けている。 ウクライナ側はクリンキ上空で局所的な航空優勢を確保している。 これは偶然の結果ではない。 ウクライナ軍の砲兵部隊やドローン部隊、電子戦部隊は秋口に、数週間かけてドニプロ川左岸のロシア側の防空システムや無線妨害装置をつぶしていった。 同時に、敵のドローンが飛べないようにする無線妨害装置を設置していった。 ロシア側の失態もあったらしい。 ロケット砲で自軍の第 144 自動車化狙撃旅団の妨害装置車両を近距離で誤射し、爆破してしまったという話がある。 ともあれ、入念な準備の結果、ウクライナ側のドローンが圧倒的に優勢な戦場ができ上がった。 クリンキにいる海兵隊部隊は 2、3 個程度の中隊か大隊だが、ロシア軍の旅団や連隊がこれまで、ウクライナ軍の小規模な部隊を押し戻せていないのは理由のないことではないのだ。 ロシア軍はヘルソン州南部でウクライナ軍の 10 倍程度の兵力を擁するとも考えられる。 だがクリンキ周辺では、どこへ進むにも多数のドローンによる攻撃を受けるという状況にある。 しかも即座に。 ブロブディのドローン運用チームは、最速記録を打ち立てたドローン攻撃を記録し、それをソーシャルメディアで共有した。 その内容は、ウクライナ軍のドローン操縦士がますます即応性を高めていることを示すものだった。 どの攻撃も、始まりになるのは監視ドローンだ。 クリンキの上空では、クワッドコプター(回転翼が 4 つのドローン)とみられるドローンが常時、接近してくるロシア軍部隊に目を光らせている。 監視ドローンの操縦士はロシア軍部隊を発見すると、爆薬を積んだ FPV (一人称視点)ドローンの操縦士に連絡する。 多くの FPV ドローン操縦士は VR ヘッドセットを介して操縦し、ドローンを誘導して目標に突っ込ませ、爆破する。 今回のドローン攻撃では、夜間に攻撃を仕掛けてきたロシア軍の BTR 装甲兵員輸送車が目標になった。 この装輪車両は「非常に素早く攻撃位置に入った」とブロブディは述べている。 ウクライナ軍の監視ドローンは、BTR が 30mm 機関砲で射撃するのを視界に捉えていた。 BTR の乗員にとって不運なことに、ブロブディのチームの「緊急ドローン(自爆する FPV ドローン)」がすでに上空で待機していた。 「待っててくれよ」と、ブロブディは当時の映像を見ながら地上部隊に向けて語りかける。 「あとちょっとでそこに行くからな。」 ただ、夜は更けつつあった。 大半の FPV ドローンは暗闇ではうまく機能しない。 そのうえ、BTR の乗員も危険を認識しているらしく、自軍の防衛線に急いで退却しようとしていた。 束の間、ロシア軍部隊は逃げおおせられそうに見えた。 が、BTR の乗員は不運に見舞われる。 射撃位置からバックした BTR は道路をはみ出し、泥の中に突っ込んで動けなくなってしまう。 「そうだ、虫けらめ、もっと深くはまるんだ。」 ブロブディはあわれな BTR の姿を眺めて含み笑いをする。 FPV ドローンの操縦士にとっては、BTR が立ち往生しただけでもう十分だった。 爆薬を搭載したドローンは、待機場所から目標に向かってぐんぐんスピードを上げていく。 ロシア兵 2 人が徒歩で逃げ出すなか、ドローンは泥地にはまったBTRに命中する。 「虫が走ってるぞ」とブロブディがつぶやく。 発見から破壊まで、攻撃全体に要した時間は 1 分 20 秒だった。 つまり、ウクライナ軍の橋頭堡を封じ込めるのに手こずっているロシア軍にとって、ウクライナ側の陣地に接近し、数発射撃して撤収するのに許された時間は、1 分ほどしかないかもしれないということだ。 それ以上長くとどまれば、ドローンによって見つけられてしまう恐れが出てくる。 (David Axe、Forbes = 12-2-23) ゼレンスキー大統領、反転攻勢で「期待通りの結果得られず」 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は 11 月 30 日、6 月に始めた反転攻勢について「期待通りの結果を得られなかった」と語った。 AP 通信のインタビューに答えた。 ゼレンスキー氏は、「要望した兵器の全て(の供与)を受けられなかった」と述べ、米欧の軍事支援が追いつかず、地上部隊が不利な状況に置かれたとの認識を示した。 反転攻勢は大きな戦果が見られず、戦争終結の見通しも立たない。 ゼレンスキー氏は「戦争は新たな局面に入っている」と語り、本格的な冬の到来を受けて、反転攻勢が一区切りを迎えたとの見方を示した。 一方で「諦めたり、降参したりする必要はない」とも強調した。 また、世論調査で米国人の半数近くがウクライナへの支援を「過剰」と回答したことについて問われると、「それは米国人の選択だ」と返答。 支援不足でウクライナが抗戦に失敗すれば、ロシアは北大西洋条約機構 (NATO) 諸国に侵攻すると主張し、「(将来に)米国の子供たちが戦うことになる」と語った。 (ベルリン・念佛明奈、mainichi = 12-1-23) 「5 分で一気に 5 機撃墜!」ウクライナ空軍報道官 パトリオットミサイルの重要性訴える 配備されているだけで効果あり!ウクライナ空軍のユリイ・イフナト報道官は 2023 年 11 月 27 日、アメリカやドイツから供与された地対空ミサイルシステム「パトリオット」の重要性について訴えました。 この件は、同軍の対空ミサイル部隊が、2023 年 5 月 13 日のロシアのブリャンスク州上空において敵機を撃墜した件の詳細を同国のメディアである「ノヴィナルニア」が聞いた際に、イフナト報道官が話した内容です。 イフナト報道官は、対空ミサイル部隊が 5 月の戦闘でパトリオットを用い、攻撃機の Su-34、マルチロール機の Su-35、電子戦ヘリコプターの Mi-8MTPR-1、Mi-8 輸送ヘリコプター 2 機の計 5 機を 5 分以内に撃墜したとを明らかとし、「空軍司令官主導による素晴らしい作戦だった」と評しました。 なお、この件に関しては、戦闘後にロシア側の報道でSu-34 と Su-35 が相次いで撃墜されたことが報じられており、ウクライナ側の誤認ではなく、事実の可能性が高いとみられています。 この戦闘後、パトリオットの脅威を恐れたロシア軍はしばらく同地や黒海上空での航空機での軍事行動を控えたということで、イフナト報道官は「彼らは撃墜される可能性があること理解し、しばらく飛行を控えました。 パトリオットシステムはそのような機会を提供しています。」と話しました。 ほかにもパトリオットはロシアが運用している極超音速ミサイルである「キンジャール」も撃墜したとウクライナ政府は発表しており、同国の防空において重要な兵器となっています。 ウクライナには 2023 年 11 月の時点で、アメリカ、ドイツ、オランダからの供与で計 3 基のパトリオットを保有していますが、これではウクライナ全域を守るには足りず、同国政府は最低でも 10 - 20 基必要と見解を述べています。 なお、既にパトリオットのさらなる供与を、アメリカ及び同対空ミサイルシステム保有国に呼びかけており、2024 年末までにさらに 5 基のパトリオットが新たにウクライナへ提供される予定となっています。 (乗りものニュース = 11-30-23) ウクライナ軍、レオパルト 1A5 戦車を早くも 1 両失う 使用法に教訓 ロシア軍の砲兵やドローンによって撃破される前にウクライナ軍の工兵が確保できれば、損傷したレオパルト 1A5 は回収して修理することも可能だろう。 第 44 旅団はこれまでに、1 個大隊分のレオパルト 1A5 を受け取っている可能性がある。 ドイツとオランダ、デンマークは共同でウクライナの戦争努力に 1980 年代製のこの戦車を 200 両ほど提供することを確約しており、そのうちの 20 - 30 数両ということだ。 第 44 旅団がいずれ戦車を失うのは避けられないことだった。 しかし、レオパルト 1A5 がウクライナの前線で戦闘に投入されたのはせいぜい 2 - 3 週間前だったとみられるから、初損失はかなり早かったということになる。 レオパルト 1A5 は装甲が最も厚い部分でも 70mm 程度しかなく、ロシアがウクライナで拡大して 1 年 9 カ月になる戦争で使われている戦車としては、最も防御力が低いものと言っていいかもしれない。 とはいえ、今回の損失の理由はおそらく装甲の薄さだけが理由ではないだろう。 どんな戦車も無限軌道の下や近くは地雷や砲撃に弱い。 米国製の M1 エイブラムス戦車やドイツ製のレオパルト 2A6 戦車といった防御力が最高峰の戦車であっても、無限軌道のそばで地雷や砲弾が爆発すれば無限軌道が外れて動けなくなる可能性がある。 被弾したレオパルト 1A5 がどうしてまた、開けた野を白昼横切っていったのかという点は、問う価値があるだろう。 ハイテク器材が使用される戦場で生き残るには、レオパルト 1A5 は本来、掩蔽部に隠れ、主砲の 105mm ライフル砲で遠距離(目標から 3.2km かそれ以上離れた場所)から射撃し、移動する場合は最新の注意を払い、できれば夜間を選ぶべきなのだ。 レオパルト 1A5 を運用している主要な軍隊のひとつであるブラジル軍は、装甲の薄いこの戦車は木々や丘の陰に隠すよう乗員を訓練している。 ブラジル軍のアドリアーノ・サンティアゴ・ガルシア大尉は 2020 年、米陸軍の戦車専門誌アーマーで「カモフラージュ(偽装)の活用」と「地形の適切な利用」が重要だと強調している。 最近の報道によると、第 44 旅団の戦車兵も、レオパルト 1A5 が大きなダメージに耐えられるようには設計されていないことを理解しているようだ。 ビタリーという乗員はレオパルト 1A5 の最も優れた点として、その光学機器で最大 5km ほど先の目標に照準を合わせられることを挙げている。 レオパルト 1A5 のライフル砲の射程は約 3.5km ある。 ロシア軍の戦車の技術では「わが軍と長射程の撃ち合いはできない」ともビタリーは述べている。 言うまでもなく、榴弾砲の射程は 3.5km を超える。 したがって、レオパルト 1A5 は戦車としては射程が長いといっても、榴弾砲などの集中砲撃を受ければ対抗しようがない。 レオパルト 1A5 が砲撃を生き延びる唯一の確実な方法は、砲手のために目標を探すドローンに見つからないようにして、砲撃を避けることだ。 もちろん、埋設された地雷を避けるのはもっと難しい。 今回、レオパルト 1A5 の乗員がなぜ戦車を砲撃にさらすような場に置いたのかは、当時の状況が完全にわからない限り判断しにくい。 とはいえ、仮に一時的だったとしても、レオパルト 1A5 の初めての損失は、この戦車の弱点をあらわにしたとは言えるだろうし、同時にその長所もあらためて明確になったと言えるだろう。 第 44 旅団をはじめ、レオパルト 1A5 を運用するウクライナ軍部隊は、この戦車を短期間にあまりに多く失ってしまわないように、隠蔽された場所で戦い、移動も地形を利用してうまく隠れるか、あるいはもっといいのは暗闇に紛れて行うようにすることが求められる。 (David Axe、Forbes = 11-30-23) ロシア、旧式戦車に大量の追加装甲 鈍足の T-62 がさらに鈍重に ウクライナとの戦争で毎月多数の戦車を失っているロシアは、戦力の補填に躍起になっているが、代替として前線に投入する戦車に初戦を生き延びるチャンスをどうにか与えようとあがいてもいるようだ。 60 年前に製造され長く保管されていた T-62 戦車を引っ張り出してきたかと思えば、その車体と砲塔に装甲を追加しはじめた。 この時代遅れの 4 人乗り戦車の乗員にとって問題なのは、エンジンが 620 馬力のままアップグレードされていない点だ。 フル装備の爆発反応装甲 (ERA) は重量 3 トンにもなる。 積み増した分だけ、ただでさえ鈍重な T-62 はいっそう取り回しが悪くなる。 26 日にインターネット上に出回った写真には、大幅に改造された T-62MV が写っていた。 T-62MV は 1960 年代の戦車を 1980 年代に改修した車両で、これに第三世代主力戦車 T-90 向けの追加装備と同型の ERA が搭載されている。 ロシア軍での T-62MV の運用は 2008 年以降ほとんど見られなくなっていた。 だが、ロシアは昨年、近代的な戦車の損失が 1,000 両を超えたことから、旧式の T-62 を戦線復帰させはじめた。 ERA に加え、115mm 主砲の砲手用照準器をより近代的な 1PN96MT-02 に換装したこの車両は、最も大幅にアップグレードされた T-62 かもしれない。 「T-62MV Obr.2023」とでも呼ぼうか。 問題は、T-62MV のディーゼルエンジンの出力が 620 馬力しかないことだ。 重さ 3 トンの ERA を追加装備した T-62MV の総重量は 45 トンを超え、出力重量比は 1 トンあたり 14 馬力を下回る。 T-90M は 26 馬力/トン、ウクライナ軍の米国製 M-1A1 は22馬力/トンである。 ERA がしっかり取り付けられていれば、被弾時に外側へ向かって爆発することで敵弾の威力を相殺し、一部の高火力弾に対する戦車の防御力は実質的に倍増する。 しかし、出力不足の T-62MV Obr.2023 の場合、防御力が強化される代わりに機動性が犠牲になる。 もともと T-62 は決してキビキビした足回りの戦車ではなかった。 今や、その敏捷性はさらに低下している。 これは重大なポイントだ。 ロシア軍もウクライナ軍も、小規模な装甲部隊による一撃離脱戦法を頻繁に使っている。 戦車小隊が敵陣に急接近して数発撃ち込み、敵のミサイルや砲弾が飛んでくるタイミングを見計らって高速離脱する作戦の事例は、両陣営とも枚挙にいとまがない。 ウクライナ軍が運用する M1 やレオパルド 2 といった西側製の戦車は、頑丈なトランスミッションを備え、高速での後進が可能なため、こうした急襲作戦に向いている。 方向転換に時間を食われることなくキルゾーン(敵の有効射程圏)から素早く脱出できるのだ。 対照的に、ほとんどの旧ソ連型戦車は後進速度が極端に遅く、一刻を争う急襲作戦で乗員が犠牲になりやすい。 M1 の後進最高速度が時速 40km なのに対し、T-62 は 3 トンの ERA を搭載していない状態ですら時速 8km 程度しか出せない。 ERA を追加装備した T-62MV Obr. 2023 は当然、それより鈍足だろう。 (David Axe、Forbes = 11-30-23) クリミア 100年に一度の嵐 ロシア軍 防衛設備損傷か ロシアが 2014 年に一方的に併合したクリミア半島が「過去 100 年で最大規模の嵐」に見舞われ、ロシア軍の防衛設備が損傷したとみられています。 クリミア半島では冬の嵐に見舞われ、およそ 50 万人が停電の被害に遭いました。 最大瞬間風速は 40 メートルを記録し、現地メディアは「過去 100 年で最大規模の嵐」と報じています。 ウクライナ内務省の顧問は、「ロシア軍が海岸に掘った塹壕(ざんごう)が嵐で流された」とロシア軍の防衛設備への影響を指摘しました。 冬の嵐はウクライナ全土を襲いましたが、ドネツクなど東部ではロシア軍との戦闘が続いたということです。 (テレ朝 = 11-28-23) ◇ ◇ ◇ クリミアやロシア南部などで停電 200 万人が被災か ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島や東部ドネツク州、ロシア南部クラスノダール地方などで 26 日から 27 日にかけて激しい暴風雨となり、送電線などが壊れた。 ロシアのエネルギー省などによると、約 200 万人が停電の被害を受けたとみられる。 ロシアの経済紙 RBC によると、各地で家屋や道路が浸水し、木が倒れるなどの被害が発生。 停電で水の供給が途絶えたり、空港が一時閉鎖されたりした地域もある。 停電の被災者数は、ドネツク州で 52 万 5 千人、クリミアで 50万人など。 また、クリミアで少なくとも 1 人、クラスノダール地方では同 2 人が死亡した。 (asahi = 11-27-23) ロシアに過去数カ月で最大規模のドローン攻撃、モスクワ含む複数地域 ロシアの複数の地域に対し、27 日夜から 26 日早朝にかけて、ここ数カ月で最大規模のドローン(無人機)攻撃があった。 ロシアは前日、ウクライナに対し、首都キーウを中心に最大規模の無人機攻撃を仕掛けていた。 ロシア国防省によれば、モスクワを含む少なくとも 4 つの地域で、26 日早朝にかけて 24 4機のドローンが撃墜された。 モスクワのソビャニン市長はテレグラムへの投稿で、複数のドローンがモスクワを標的としたとし、「大規模な攻撃」だったと述べた。 モスクワにある 3 つの空港は一時、飛行制限を課し、後に解除した。 (Bloomberg = 11-27-23) ◇ ◇ ◇ モスクワ中心部で GPS 誤作動、無人機攻撃に備えた妨害電波か … タクシー運転手「戦争中だからしょうがない」 モスクワ中心部にあるロシア大統領府周辺で、衛星を使った位置情報システムの障害が続いている。 無人機攻撃に備えた妨害電波が原因とみられ、カーナビの誤作動などで交通に混乱が生じている。 無人機が頻繁に飛来した今夏以降、範囲が広がった。 モスクワ中心部の「赤の広場」は最近、中国人観光客であふれている。 携帯電話でタクシー配車アプリを起動すると、車両の場所を示すアイコンが道を無視し、川の上を走るなど異様な動きを繰り返す。 手配後も頻繁に「問題発生」と表示され、動きが止まった。 大統領府周辺での位置情報システムの障害は昨年もあったが、今年 5 月に無人機の攻撃を受けて以降、範囲が広がった。 プーチン大統領が出席した 5 月 9 日の旧ソ連による対独戦勝記念日の式典前後はカーナビが全く使えなくなり、渋滞が起きたという。 タクシー運転手の男性 (50) は「戦争中だから、しょうがない」と語った。 モスクワでは、夏にビジネス街などへのウクライナ軍によるとみられる無人機攻撃が相次ぎ、最近も郊外で無人機が見つかった。 戦線から離れたモスクワ市民への心理的なゆさぶりが狙いとみられる。 30 歳代の女性は「夏以降、朝起きるたびに攻撃があったかどうか気になるようになった」と話した。 (yomiuri = 11-26-23) ◇ ◇ ◇ ロシア側「ウクライナのドローン 20 機撃墜」 ロシア国防省は 26 日、モスクワを含むロシア上空で、防空システムがウクライナのドローン(無人機)計 20 機を撃墜したと発表した。 ロイター通信が報じた。 同通信によると、モスクワのソビャーニン市長は、数機の無人機がモスクワに接近する際に破壊されたと明らかにした。 (asahi = 11-26-23) キーウ攻撃のドローン「探知がより難しい」 米シンクタンク「戦争研究所 (ISW)」は 25 日、ウクライナの首都キーウで同日未明にあったロシア軍による 70 機を超えるドローン(無人機)攻撃で、レーダー探知が難しい黒色の新しい自爆型ドローンが使用されたとするウクライナ空軍やロシアの軍事ブロガーの分析を紹介した。 ISW によると、ロシア軍が今回の攻撃に使用したドローンは新型で「黒色でレーダー信号を吸収する素材が使われ、探知がより難しい」と、ウクライナ空軍の報道官が報告したという。 また、ロシアの複数の軍事ブロガーも、ロシア軍が今回の攻撃で「夜空での探知がより難しい」黒色の自爆型ドローンを初めて使用した、と主張していると紹介した。 (asahi = 11-26-23) ウクライナ空軍、ドローン攻撃を警戒 ウクライナ空軍は 25 日夜、同国東部に対するドローン攻撃について警告を発した。 同日朝にあったロシアによる大規模なドローン攻撃を受けたものだという。 ウクライナメディア「キーウ・インディペンデント」が同日報じた。 同日朝には、中南部ザポリージャ州、中部ドニプロペトロウスク州、中部ポルタワ州などでドローンの飛来が確認された。 ウクライナ側は同日朝、ロシアのドローン(無人機) 75 機のうち、74 機を撃墜したと主張している。 (asahi = 11-26-23) キーウで侵攻後最大規模のドローン攻撃 70 機以上が飛来 5 人けが ウクライナの首都キーウで 25 日未明、ロシア軍による 70 機以上のドローン(無人機)攻撃があった。 空襲警報が 6 時間以上続き、5 人がけがを負った。 市当局によると、キーウに対するドローン攻撃として「ロシアの本格侵攻以来、最大規模」という。 キーウでは午前 2 時 37 分に空襲警報が発令された。 ウクライナ空軍によると同日未明、約 75 機の「記録的な数」のロシア軍によるドローンが、主にキーウ上空に向けて発射された。 うち 71 機を迎撃したという。 クリチコ市長によると、ドローンの破片が落下し、幼稚園などで火災が起きた。 また、11 歳の子どもを含む 5 人が負傷したが、命に別条はないという。 エネルギー省の SNS の投稿によると、この攻撃でキーウ中心部の 77 の住宅と 120 施設が停電した。 25 日は、1932 - 33 年、スターリン体制下のソ連で起きたウクライナの大飢饉「ホロドモール」の犠牲者を追悼する日。 ウクライナのゼレンスキー大統領は「ホロドモール記念日に、意図的なテロ行為だ」と批判した。 (藤原伸雄 = キーウ、河崎優子、asahi = 11-25-23) ロシア軍、長距離兵器の被害大 英分析、一度に数十人死亡 【キーウ】 英国防省は 24 日、ウクライナ軍の長距離兵器による攻撃でロシア軍が大きな被害を受けていると分析した。 10 日に南部ヘルソン州のドニエプル川東岸フラドキウカでロシア兵 70 人以上が死亡した可能性があると指摘。 19 日には東部ドネツク州クマチョボで式典会場が攻撃を受け、ウクライナ側はロシア兵 25 人が死亡したと主張している。 それぞれ前線や支配地域の境界から数十キロ離れた場所で、長距離兵器が使われたとみられる。 ロシアメディアによると、クマチョボでは兵士慰問のため訪れていた著名な俳優も死亡した。 ウクライナ側でも今月に入り、ロシア軍の攻撃で一度に 19 人の兵士が死亡した。 (kyodo = 11-25-23) 消えたロシア戦車の謎、200 両の T-90A は今どこに? ロシアのウクライナ侵攻は、歴史上最も詳細に記録されている戦争だ。 戦場で実際に起こっていることが高解像度の画像で捉えられ、オンライン上で分析されている。 分析の視点は非常に選択的で偏りがちだが、科学的な証拠に基づいて検証できる側面もある。 ロシア軍の戦車の損害を詳細に調査したところ、ある異常が明らかになった。 第三世代主力戦車である T-90A はほとんど破壊されておらず、ウクライナに広く配備されてもいないのだ。 近代的なこの戦車にいったい何が起きたのか。 そもそも実在しているのだろうか? ロシアの新旧戦車群 東西冷戦が終結してからというもの、ロシアは戦車群を刷新する資金に欠け、装甲部隊は大なり小なり近代化改修を施した各種旧式戦車と、T-90A を含む少数精鋭の第三世代戦車で構成されている。 [ロシアは多くの T-90 を保有していることになっている。 初期型の T-90 は 120 両、改良された T-90A は派生型を含めて 369 両あるはずだ」と、オープンソース分析を行うアナリストのリチャード・ベレカーは指摘する。 「しかし損失が確認された T-90A はわずかに 34 両で、そのうち 2023 年 3 月以降に失われたのは 3 両だけだ。残りはどこへ行ってしまったのか。」 軍事上、近代的という言葉は相対的な意味合いで使われる。 T-90A の生産時期は 2004〜11 年で、製造されて約 20 年になる車両もあるが、ロシア軍が現在ウクライナの前線に投入している T-80 や T-72、T-62 や T-55 といった旧式戦車よりは明らかに高性能だ。 現在のロシア軍はどうやら 2 番手、3 番手、4 番手の戦力で戦っているようだ。 ベレカーは、車両の消息が大方把握できて 50% 以上が破壊されたことがわかっている T-80U と、T-90A の数字を比較している。 損傷したロシア軍戦車の画像の中に T-90A が占める割合は、極端に低い。 それは、決して T-90A が不死身だからではない。 T-90A は現役の戦車の中で最新鋭とはいえないし、改良型の T-90M は 2022 年 4 月からウクライナの前線に投入されたものの、定期的に砲撃やミサイル攻撃、FPV (1 1人称視点)自爆型ドローンによって撃破されている。 T-90M の生産数は 200 両未満で、これまでにウクライナで 49 両(約 25%)が損失した。 一方、T-90M よりも防御力に劣る T-90A の損傷率は、たった 7% だ。 ベレカーは、ウクライナ侵攻における兵器の損失状況を画像で確認し記録しているウェブサイト「Warspotting (ウォー・スポッティング)」の数字を用いて、ロシア軍車両の種類別損失数を図表化している。 その数字は軍事情報サイト「Oryx (オリックス)」の分析結果とも相似する。 時間経過に伴う変化として、侵攻初期に動員された近代的な車両が徐々に姿を消し、より旧式の戦車や兵員輸送車の損失が中心となっていることがわかる。 消えた戦車の謎 だが、T-90A 数字はつじつまが合わない。 ベレカーによれば「初期型の T-90 のうち 50 両は保管庫にあることがわかっている」が、戦車の所在が掴めない理由となり得るすべてのことを考慮に入れて最も合理的な推計をしても、「まだ 217 両の T-90A が行方不明だ」という。 考えられる理由について、ベレカーは X (旧ツイッター)で投票を実施。 約 1,300 人のユーザーがこれに応じた。 回答者の約 14% は、行方不明の T-90A も保管庫にあるとの見解に票を投じた。 だがもしそうなら、なぜロシア政府は T-90A を保管しておく決定を下したのだろうか。ウクライナとの紛争が終結した後も小規模ながら近代的な戦車部隊を維持するための長期的な計画なのか。 それとも、戦闘準備が整っていないためだろうか。 行方不明の戦車は首都モスクワの守備に当たっていると考えた人は約 18% いた。 プーチン大統領がロシアの国土をウクライナの攻撃から守らなければならなくなった場合や、北大西洋条約機構 (NATO) との戦争が現実となった場合に備えて、緊急配備された予備戦力という位置づけだ。 (David Hambling、Forbes = 11-25-23) ウクライナ民間人死者 1 万人 … キーウで初の積雪、ロシアはエネルギー施設攻撃へミサイル温存か ロシアの侵略を受けるウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 22 日のビデオ演説で、露軍が攻勢に出ている東部のドネツク州アウディーイウカやハルキウ州クピャンスクなどで「特に困難な状況にある」と述べ、厳しい戦いになっていることを認めた。 東・南部とも、戦況はこう着状態が続いており、戦闘は 2 度目の越年が確実な情勢になっている。 ウクライナで活動する国連の人権監視団は 21 日、侵略開始以降、ウクライナの民間人の死者数が少なくとも 1 万人に達したと発表した。 うち 560 人以上が子供だという。 実際の死者数はさらに多いとみられる。 RBC ウクライナ通信によると、首都キーウでは 22 日、初の積雪が観測された。 両軍の戦闘が続く東部や南部では今月に入って、雪が降り始めた。 路面が凍結する厳冬期までは地面がぬかるんで、戦車など制圧地域の拡大に不可欠とされる戦闘車両の移動が困難となる。 英国防省は 21 日、露軍が約 2 か月、空中発射型の巡航ミサイルを使った攻撃を行っていないとの分析を明らかにした。 冷え込みが厳しくなってからウクライナのエネルギー施設を集中攻撃するため、ミサイルを温存しているとの見方が出ている。 (yomiuri = 11-24-23) ロシア、ウクライナ東部要衝に「人海戦術」 損失顧みず次々兵士投入 ロシア軍はウクライナ東部の要衝ドネツク州アウディーウカを奪取しようと人海戦術を仕掛け、多大な損失を被っているにもかかわらず、次々と兵士を投入している。 ウクライナ兵らが明らかにした。 くぼ地に位置するアウディーウカ、ほぼ 3 方をロシア軍に包囲されているが、双方が 1 年以上突破口を見いだせず消耗戦の象徴となっている。 しかし、ロシア軍は兵力と装備の消耗にもかかわらず、アウディーウカ奪取を諦める気配を見せていない。 第 47 機械化旅団のウクライナ人大隊の副官を務めるオレクサンドル氏は AFP の取材に対し、「戦場のそこかしこに遺体が散らばっている」、「ロシアは波状攻撃を仕掛け、われわれの防衛線を疲弊させようとしている」と語った。 膨大な数の兵士の投入は、アウディーウカ攻防戦におけるロシアの戦術変更を示している。 ロシアは 10 月、アウディーウカを包囲しようと数百台の装甲車を投入して大規模攻撃を仕掛けた。 「トラウマ」のコールサインで呼ばれる無人機操縦士は「戦車と装甲兵員輸送車が隊列を組んで進軍してきた」、「だが、地雷原にはまり、無人機と対戦車ミサイルによる攻撃を受けた」と語った。 西側当局者によると、ロシア軍はこの作戦に失敗。 装甲車 200 台以上を失った。 オレクサンドル氏は、ロシア軍は歩兵部隊を重視する戦術に転換し、「兵員を犠牲にただ進軍している」と話す。 トラウマは、ロシア兵は通常、5 - 7 人のグループで夜間に進軍し、早朝に攻撃を開始するとしている。 ウクライナ側は、米国に供与された歩兵戦闘車「ブラッドレー」から重火器の集中砲火で反撃している。 トラウマは「(ロシア兵の中には)死ぬ者もいれば、進み続ける者もいる。 まるでゾンビ映画だ。」と語った。 大勢の兵士を投入するという点で、ロシアのアウディーウカに対する直近の攻撃は、今年のバフムート攻防戦に類似している。 ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者の故エフゲニー・プリゴジン氏はバフムートを「肉ひき機」になぞらえていた。 ロシア軍はバフムートを奪取するまでに、2 万人以上の戦死者を出したという。 ウクライナ兵らによれば、アウディーウカで同様の事態が展開されている。 オレクサンドル氏は、「(ロシア側は)多くの遺体を見ているが、諦めない」と語った。 (Emmanuel Peuchot、AFP/時事 = 11-24-23) ウクライナ軍パイロット、F16 戦闘機の訓練進む ウクライナ・キーウ : かつて旧ソ連製の戦闘機「ミグ 29」の飛行中隊を指揮していた「ムーンフィッシュ」というコールサインを持つウクライナ軍パイロットは、F16 戦闘機について、すでにシミュレーションでの訓練を終え、実機のコクピットで訓練を受けていると述べた。 慣れるのには時間がかかったという。 安全上の理由から、ムーンフィッシュはコールサインを使うことを求めた。 「かなり窮屈なコクピットだ。(ムーンフィッシュ)」 人間工学はさておき、ムーンフィッシュによれば、機体は航空電子工学の点で進んでいるが、操縦やインターフェースの点では極めてシンプルだという。 「F16 は操作性に優れている。 攻撃的な飛行をしろと言わんばかりだ。(ムーンフィッシュ)」 仮に今ウクライナの手元に F16 があったなら、一番の任務はロシアのドローン(無人機)やミサイル攻撃の撃退になるだろうとムーンフィッシュは語った。 「(F16 に搭載されている)ソフトウェアは常時更新されている。 一方で(ソ連時代に設計された)ミグ 29 やスホイ 27 のソフトウェア(のシステム)は、機体が開発された 1980 年代のままだ。 当時ドローンは SF の世界にしか存在しなかった。 つまり、当時は誰もドローンが深刻な脅威になり、戦闘機に撃墜されることになるだろうとは考えていなかった。」 待ちわびた戦闘機の訓練兵を選抜する上で、主な基準は英語が堪能であること、それに経験と年齢だ。 戦争が進行中であることから、訓練内容も短期集中型だ。 F16 の操縦はムーンフィシュの長年の夢だった。 同じ戦場で戦った親友で、「ジュース」のコールサインで知られる伝説のパイロット、アンドリー・ピルシチコウさんの夢でもあった。 ピルシチコウさんは米国に F16 の供与を働きかける運動にも関わっていたが、8 月の戦闘任務中に戦闘機の衝突事故でこの世を去った。 友人の訃報を耳にした時、ムーンフィッシュは国外にいた。 葬儀に出席して別れを告げることはできなかったが、ピルシチコウさんや他の同胞のためにも F16 の訓練を続けていくと語った。 「アンドリーはアイデアマンで、今回の供与を実現させた原動力だった」とムーンフィッシュ。 「機体が到着するのを見届けるのが、彼に対する責任だと感じている。」 (CNN = 11-23-23) ロシア、アブデーフカで兵力投入削減 攻撃減少 = ウクライナ軍 ウクライナ当局者は 21 日、東部ドネツク州の州都ドネツクへの玄関口とされるアブデーフカの戦況を巡り、ロシア側の兵力や武器の投入が減少しているとの見方を示した。 ウクライナ軍報道官は、1 カ月以上にわたりロシア軍の攻撃を受けているアブデーフカについて、地上攻撃や空爆が減少していると指摘した。 ただ「侵略者はアブデーフカを包囲する計画を放棄していない」とも述べた。 現地の当局者は工業地帯で戦闘が行われているとした上で、ウクライナ軍が陣地を維持していると述べた。 ロシア国防省はアブデーフカの南側の集落を攻撃しているとしたが、詳細は明らかにしていない。 (Reuters = 11-22-23) アウジーイウカ突撃のロシア兵、守備部隊による「砲撃競争」の餌食に ウクライナが寒くてじめじめとした季節に入るなか、ロシア軍は何らかの「戦勝」を得ようと躍起になっている。 冬季の戦闘停止は長引きかねないので、本格的な冬が到来するまでに、たとえ結果と釣り合わないほど大きな犠牲を払ってでも、何らかのかたちの「勝利」を収めたいという魂胆のようだ。 ロシア軍が目標に据えたのが、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の防御拠点、アウジーイウカだった。 この町は、ロシア軍の占領下にある同州ドネツク市のすぐ北西に位置している。 しかし、アウジーイウカ周辺に展開しているロシア軍の第 2 諸兵科連合軍やその他の部隊には、ひとつ問題があった。 アウジーイウカで最も脆弱)な北面に対する攻撃の開始地点に入るには、ウクライナ軍のドローン(無人機)や大砲に狙われやすい数 km のキルゾーン(撃破地帯)を抜けていく必要があるのだ。 ウクライナ軍の有名な砲兵指揮官、コールサイン(無線通信時のニックネーム)「アーティ・グリーン」が、アウジーイウカの戦いを楽しんでいるらしいのはそのためだ。 ロシア軍は 6 週間前に始めたこの戦闘で、途方もない損害を出しながら、ごくわずかしか前進できていない。 アーティ・グリーンは最近のインタビューで、こんな「秘密」を明かしている。 「味方の旅団同士で競争をしているんです。 われわれがある目標に砲撃するとしましょう。 すると隣の旅団も砲撃を始める。 続いてまた別の旅団も。 アウジーイウカ方面では、百戦錬磨の第 110 独立機械化旅団や西側製のハイテク装備を誇る第 47 独立機械化旅団をはじめ、ウクライナ軍の 6 個旅団ほどが防衛している。 第 43 独立砲兵旅団と第 55 独立砲兵旅団が機械化歩兵部隊を支援しているもようだ。 アウジーイウカの北側では、廃棄物の山とステポベという集落がウクライナ軍の防衛上、重要な場所になっている。 これらの防御陣地に攻撃を仕掛けるには、ロシア軍部隊は道路を進み、開けた農地や平原を越えていく必要があるが、その際に激しい砲撃にさらされることになる。 「破滅的」と言っていいほどの激しさだ。 「この方向から前進してくるどの縦隊も、わが軍の数個旅団の射程内に入ります」とアーティ・グリーンは語っている。 ウクライナ軍の守備隊は近づいてくるロシア軍部隊のかなり近くにいるから、最も射程の短い火砲でも狙うことができる。 アーティ・グリーンによれば「迫撃砲や旅団レベルの戦術火砲の射程内に入る」という。 迫撃砲小隊、対戦車中隊、砲兵大隊、強力な独立砲兵旅団、そしてもちろんドローン運用部隊と、アウジーイウカのウクライナ軍守備隊の陣容を考えると、ウクライナ側はおそらく、近づいてくるロシア軍の大隊を数百の大砲やミサイル発射機、その他の兵器で狙えるだろう。 アウジーイウカ周辺でのロシア軍の攻撃では、ロシア軍の戦車やその他の戦闘車両 1 両につき、ウクライナ軍の間接射撃兵器が複数あるという関係になっている可能性がある。 こうした数量比に加え、第 43 旅団のドイツ製 PzH (パンツァーハウビッツェ) 2000 自走りゅう弾砲や第 55 旅団のフランス製カエサル自走榴弾砲など、ウクライナ軍最高峰のりゅう弾砲が米国から供与されたクラスター弾も発射していることも踏まえると、ロシア側は火力の面でさらに不利な状況にあると考えられる。 各クラスター弾からはりゅう弾サイズの子弾が 72 個ばらまかれ、ぬかるんだ農地や平原をロシア軍の 1 個小隊ないし中隊全体の墓場に変えてしまうかもしれない。 ウクライナ軍の旅団が競い合うように行っているというロシア軍部隊への砲撃は、アウジーイウカ攻防戦での損害がロシア側に極端に偏っていることの説明にもなっている。 もっとも、ロシア側の流血が拡大しているからといって、アウジーイウカが今後も自由を保てるとは限らない。 ロシアの指導部は、ウクライナ軍が撤退し、あとには廃墟とロシア兵の遺体しか残っていないような状態になるまで、旅団を次から次に投入し続けるかもしれない。 そうして「勝利」を宣言し、その陰で、自殺同然の攻撃でぼろぼろになった野戦軍の再建をひそかに進める腹積もりかもしれない。 「やつら(ロシア)が考えそうなことだ」とアーティ・グリーンも言っている。 (David Axe、Forbes = 11-22-23) |
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