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ロシア軍、ウクライナ東部で攻勢も甚大な損失

【キエフ】 ウクライナ軍の数カ月に及ぶ南部での反転攻勢に大きな進展が見られない中、ロシア軍は先週、ウクライナ東部の小都市アブデーフカの奪取という比較的小さな目標を掲げて大規模な攻撃を開始した。 だが、この攻撃は失敗したとの見方が大勢だ。

ウクライナ軍によれば、ロシア軍の戦車や装甲車数十両を破壊し、数百人の兵士を殺害する一方、領土はほとんど失わなかった。 ウクライナ当局が公開した動画には、砲弾に加え、ドローン(無人機)が投下した爆弾がロシアの車両に次々と命中し、路上で煙が上がる様子が映っていた。 この攻撃はロシア・ウクライナ戦争の転換点となるかもしれない。 ウクライナを専門とする戦争分析会社ロチャン・コンサルティングのディレクター、コンラート・ムジカ氏によると、ロシアはウクライナには南部前線を突破する能力はないと確信し、再び攻勢に出ようとしている。

だが、開戦から 1 年 8 カ月がたとうとしている中、ここ 1 年近くあまり変化していない前線を両軍のどちらかが大きく動かせるかは定かでない。 「夏の間はウクライナが主導権を握っていた」とムジカ氏は言う。 「今、主導権は徐々に移りつつある。 ロシアが攻勢に出る可能性は高い。」 アブデーフカを巡る攻防でロシア側に大きな損失が出たことは、大砲の射程内にある密集した地雷原の背後で塹壕(ざんごう)に潜む敵軍を相手に進軍することがいかに難しいかを物語っている。

ウクライナ軍は初夏以降、南部ザポロジエ地方のロシア軍戦線に向けて数千人の部隊を投入。 アゾフ海まで到達し、南部に展開するロシア部隊への補給線を寸断しようとした。 ウクライナ軍は当初、戦車や西側諸国の装甲車両で構成する独自の機甲部隊で前進した。 同部隊は春に訓練を受け、新たに旅団を編成していた。 しかし、6 月にこの車両の一部を失うと、ウクライナ軍は戦略を変え、より小規模な部隊で徒歩での進軍を開始した。 これにより 8 月にロシア軍の主要な防衛線を突破することに成功したが、それ以降はこの突破口を拡大するのに苦戦し、南部に大きく進軍するには至っていない。

ロシアはアブデーフカ周辺に多くの兵力を投入する際、自軍は南部でのウクライナ軍の反攻に耐えており、これまで蓄えてきた兵員を追加投入すれば攻勢に出られると計算していたようだ。 ドネツク州の小さな工業都市アブデーフカは、ロシアがウクライナ東部に分離主義派の統治者を置くために秘密裏に軍を派遣して以来、10 年近くにわたってロシアの最重要のターゲットとなっていた。 ロシアが支配する同州州都ドネツクからわずか数キロの距離にあるアブデーフカをウクライナ軍が押さえれば、この地域の物流・輸送拠点を脅かすことができるからだ。

ロシア軍は昨年 2 月の本格的な侵攻開始以降、アブデーフカに三方から迫り、同市の大部分を砲撃と空爆で破壊した。それでも、侵攻当初からウクライナが要塞を築いてきた同市自体を奪ったり、包囲したりすることはできなかった。 そして先週、ロシア軍数個大隊の装甲車列が空爆と砲撃の支援を受け、複数方向からアブデーフカへの攻撃を開始したと、ウクライナ軍当局者は話す。

ロシア軍はアブデーフカ郊外のウクライナ軍陣地をいくつか奪ったが、同市の封鎖という目標の達成にはまだほど遠い。 戦場の動画や衛星画像を綿密に調べ、前線の変化を調査・検証しているオープンソース(一般公開)情報のアナリストによれば、ロシア軍は最初の攻勢以降は進軍が鈍り、少なくとも 30 両を超える装甲車を失った。 アブデーフカへの進撃は、ロシア軍が大規模な機甲部隊を投入した作戦としては、ドネツク州ブフレダール村への進軍を試みた際にウクライナ軍に一掃された 2 月以来のことだった。

ウクライナ軍のオレクシー・ドミトラシキフスキー報道官は、ロシア軍のアブデーフカへの攻撃は 2 月の攻撃と全く同様に散々な結果に終わったと述べた。 同氏によると、ウクライナ軍のドローンと大砲が数十両の戦車・装甲車を破壊し、ロシア軍は攻撃初日の 10 日に 2,000 人の兵員(そのうち死者は 800 人)を失った。 アブデーフカ周辺でのロシア軍の攻撃も先週から減少しているが、同地域ではロシア軍が航空優勢を維持しているという。

「敵は正規軍部隊を投入している。 恐らく予備役として召集された部隊だろう。」とドミトラシキフスキー氏は述べた。 ロシア国防省にアブデーフカへの攻撃についてコメントを求めたが、回答は得られなかった。 ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は先週、ウクライナの反攻は終わり、ロシアが攻勢に出ていると主張した。 だが、15 日にアブデーフカについて質問を受けたロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自軍は前線全体で「積極的な防衛」を行っていると述べた。

米シンクタンクの戦争研究所は 15 日、「プーチン氏は、アブデーフカ周辺でロシアが大きく進軍するとの期待を抑えようとしているのかもしれない」との見解を示した。 「ロシア軍が短期間で大きな突破口を開いたり、アブデーフカのウクライナ軍部隊を孤立させたりする可能性は低い。大規模な進軍を成し遂げるには、兵員と物資の大量かつ長期的な投入が不可欠だろう」 (Ian Lovett、The Wall Street Journal = 10-18-23)


ロシア軍 ついに「70 年近く前の装甲車」前線へ投入!? あっさりウクライナ軍に撃破

ウクライナ国防省の報道機関である「ミリタルヌイ」は 2023 年 10 月 15 日、ウクライナ東部の町アウディイウカで、ロシア軍の水陸両用式装甲兵員輸送車である BTR-50 を初めて撃破したと報じました。 同車両は最新兵器という訳ではなく、最初の車両は 1954 年より当時のソ連地上軍に配備されたかなり旧式の車両です。

今回わざわざ、同車両の撃破を大きく報じた背景としては、ロシア軍の車両が不足していることを指摘する狙いがあるようです。 ロシア軍が BTR-50 を前線に輸送していたことは既に報じられており、「ミリタルヌイ」では「BTR-50 を使用しているのは、(ウクライナ)軍が与えた損失を早急に補う必要があるためである可能性が高い」と見解を示しています。 なお、BTR-50 が撃破された写真では隣に旧式戦車である T-64BV も破壊されている様子も収められています。 同戦車も 1966 年にソ連地上軍で採用されたかなり古い車両になります。 (乗りものニュース = 10-18-23)


ロシアが占領したウクライナの都市へ「鉄道新線」を建設中 その目的とは

兵站線の輸送を鉄道に依存するロシア軍

イギリス国防省は 2023 年 10 月 15 日(日)、ウクライナ紛争の戦況分析を更新。 ロシア軍がウクライナ南部ザポリージャ戦線で物資の移動時間を短縮するため、占領下に置いたウクライナ東部の港湾都市・マリウポリへの鉄道新線を建設していると発表しました。 ロシア軍は、兵站線(戦場で物資の供給などを行う物流連絡路)の輸送を鉄道に頼っており、弾薬や装甲車両、燃料、兵員などを本国からウクライナに運び込んでいます。

また、ロシア軍は、鉄道建設や保守、警備までを担う鉄道部隊も保有しています。 イギリス国防省は、ロシアが侵略を維持する上で、鉄道による輸送が重要な役割を担っているとしています。 イギリス国防省は、これまでの紛争で鉄道輸送を断つためには、空軍や地上軍による集中的・持続的な攻撃が必要だったと指摘。 ロシア軍の占領下にあるウクライナ国内の鉄道網は依然として機能しているものの、ウクライナ軍の砲撃やミサイル攻撃、妨害行為などに脆弱な状態になっていると分析しています。

ロシアはウクライナ国内の鉄道連絡線の維持・改善を継続しており、マリウポリへの鉄道建設では、民間の建設請負業者や設備を用いているそう。 これによってウクライナ軍の攻撃目標の選定を難しくさせ、軍用鉄道部隊の能力を温存することを狙っているとしています。 この鉄道新線は、ウクライナ軍の長距離精密攻撃システムの射程圏内となっているそうです。 (乗りものニュース = 10-17-23)


ウクライナ軍、ロシア掌握の飛行場に夜間攻撃成功と発表

ウクライナ軍は 17 日、ロシア軍が掌握するルガンスク市とベルジャンシク市近郊の飛行場とヘリコプターに対する夜間攻撃を成功させたと発表した。 一方、ロシア側当局者は、防空システムによりロケット弾を迎撃したとして、ベルジャンシクへの攻撃は成功していないと主張。 被害情報を確認しているという。 ベルジャンシクは黒海につながるアゾフ海の北岸に位置するザポロジエ州の港湾都市。 ロイターはこれらの情報を独自に確認できていない。 (Reuters = 10-17-23)


ロシア空軍に怪しい動き 爆撃機がウクライナへの攻撃を「中断」 要因を英国防省が分析

ロシア空軍の遠距離航空部隊が攻撃を休止

イギリス国防省は、2023 年 10 月 13 日(金)にウクライナ紛争の戦況分析を更新。 ロシア空軍の遠距離航空部隊が、2023 年 9 月 21 日以降の 21 日間にわたってウクライナに対する攻撃を行っていないと発表しました。 イギリス国防省によると、このような攻撃の中断は珍しいことではなく、過去には 2023 年 3 月 9 日から 4 月 28 日までの 51 日間にも、同様に攻撃の中断があったとのこと。 この時は、冬季にウクライナの重要な国家インフラを攻撃したことで、AS-23 (Kh-101)ミサイルの在庫をほぼ使い果たした可能性があると指摘しています。

イギリス国防省は、ロシア空軍が今回の攻撃休止期間に、AS-23 (Kh-101)ミサイルの既存在庫を温存し、冬季のウクライナに対するさらなる激しい攻撃に備えて使用可能な在庫を増やしている可能性が高いと分析しています。 また、ロシアがイラン製自爆ドローン「シャヘド」を使用して、ウクライナ南部全域の穀物関連施設に対する空爆も集中させているとしています。 この攻撃には、ルーマニア国境に近いドナウ川の港に対する攻撃も含まれ、高レベルの精度が必要になったと分析。 こうした目標にイラン製自爆ドローン「シャヘド」が使用されたのは、他の空中発射ミサイルよりも精度が優れているためとしています。 (乗りものニュース = 10-16-23)


ロシア黒海艦隊、戦力を移動 東方向、防御強化か

【キーウ】 英国防省は 14 日、ウクライナに侵攻するロシアの黒海艦隊が 8、9 月のウクライナの攻勢を受け、防御態勢を強化しているとみられるとの分析を発表した。 ミサイル艦や潜水艦などの戦力を、司令部があるクリミア半島セバストポリからロシア南部ノボロシースクなど東に移動させているという。

ウクライナは無人機(ドローン)やミサイルによる攻撃などで黒海の北西部では主導権を握ってきた。 英国防省は、黒海艦隊が巡航ミサイルでウクライナを攻撃しており、今後も黒海の東部からミサイル攻撃を継続するとみられると指摘した。 ウクライナは、ロシアの兵力供給の拠点となってきたクリミア半島への攻撃を拡大する構えだ。 ウクライナメディアによると、今月 13 日にはロシアのミサイル艦を水上ドローンで攻撃した。 11 1日にも哨戒艦を攻撃していた。 (kyodo = 10-15-23)


ロシア、ウクライナ東部アウジーイウカを攻撃 「激しい絶え間ない戦闘」

ロシア軍がウクライナ東部の都市アウジーイウカに大規模攻撃を仕掛け、現地の戦闘が激しさを増していることが分かった。 ただ、今のところロシア軍は大きな前進を遂げていない。 ウクライナの当局者やアナリストの話、位置情報を確認した SNS 上の映像から明らかになった。 アウジーイウカ市の軍政トップ、ビタリー・バラバシュ氏は 13 日、ウクライナ国営テレビの取材に「4 日間にわたって戦闘が続いている」と説明。 「激しい闘いが本当に絶え間なく続いている。 小火器による戦闘と砲撃戦の両方が行われている」と述べた。 バラバシュ氏によると、ロシアはウクライナの戦闘員を包囲するため「使用可能なあらゆる物を発射している」という。

「残念なことに、彼らは前線の集落だけでなく、遠く離れた後方の集落も攻撃している。」 「ロシア軍は正面攻撃ではなく、市の南と北からの側面攻撃に集中している。 こうした形で包囲計画の実行を試みている。(バラバシュ氏)」

SNS 上の定評あるオープンソース情報関係のアカウントに公開された映像には、ロシア軍の複数の車両がウクライナ軍から、火砲や肩撃ち式ミサイル「ジャベリン」、ドローン(無人機)を使用した攻撃を受ける様子が映っている。 CNN はこうした動画の真偽や内容について独自に検証できなかった。 ただ、ウクライナの当局者は、これまでロシア軍の攻勢をはね返しており、多数の車両を破壊したとしている。 バラバシュ氏は「非常に困難で緊迫した戦況だが、ウクライナ軍は 4 日間にわたって断固として陣地を堅持している」、「彼らが持ちこたえるものと確信している」などと述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、自国の軍がロシア軍を食い止めていることを称賛。 SNS テレグラムへの 12 日の投稿で「アウジーイウカ。 我々は持ちこたえている。」とし、「ウクライナの勇気と団結がこの戦争の終わり方を決めるだろう。 我々は全員、この点を覚えておく必要がある。」と表明した。

アウジーイウカはドネツク市の空港に非常に近い都市で、2014 年からウクライナ軍とロシアを後ろ盾とする分離主義勢力の戦闘の前線となってきた。 ここ 8 年の間に塹壕が構築されており、ウクライナ、ロシア両軍とも難攻不落の拠点とみなしている。 ー部のアナリストや当局者は、アウジーイウカをウクライナ南部マリウポリと比較し、たとえ包囲されても数週間はロシア軍を相手に持ちこたえられると示唆した。 (CNN = 10-14-23)<・p>


ウクライナ軍大砲、ロシア軍の弾薬輸送列車を爆破 補給線の遮断狙う

ウクライナ軍が 6 月初旬に反攻を開始する数カ月前、ウクライナの参謀らは明らかに少なくとも 1 つの大きな目標を据えていた。 その目標とは、ロシアが占領するウクライナ南部ザポリージャ州のトクマクを奪還するために、同州マラトクマチカから約 80km 南の占領されているメリトポリに向けて部隊を南下させることだ。 先日、ウクライナ軍の旅団はついにその目標を達成した。 10 月第 1 週目のどこかで、ウクライナ軍はおそらく米国製の高機動ロケット砲システム (HIMARS) を、トクマクを走るロシアの補給列車を射程に収められるところまで進めた。 8 日に目を奪うような映像がネット上に出回り、そこには炎に包まれた列車が映っている。

これは大き意味を持つ。 ウクライナ南部のロシア軍の兵站は現在、深刻な状況にある。 トクマクは道路と鉄道の要衝であり、ロシア軍にとっておそらくウクライナ南西部で最も重要な拠点だ。 トクマクを通る陸路の補給線を遮断すれば食料や燃料、弾薬、兵士や車両の補充でその補給線を頼っている部隊を瓦解させられる。 つまり、トクマクを大砲やロケット弾の射程圏内にとらえることは、南部のロシア軍を撃破し、占領されている地域を解放するというウクライナ軍の最終目標に向けた大きな一歩だ。 解放を目指す地域には 2014 年にロシアが一方的に併合したクリミア半島も含まれる。

この動きは 21 カ月にわたる戦争の終わりではない。 終わりの始まりですらない。 だがウクライナ側のこの戦争における主要な目標の一部を示す動きであり、戦争を長引かせ、占領地を維持するためのロシア側の意図をも示している。 ウクライナ軍がトクマクを通る補給路を標的にしている一方で、ロシア軍はさらに南に新たな補給線を確立するのに懸命になっている。  トラックや列車をトクマク経由にしなくてもいいようにできれば、ロシア軍はウクライナ軍の作戦を戦略的に無意味なものにすることで、メリトポリまで伸びる軸に沿ったウクライナ軍の反攻を部分的に打ち負かすことができるかもしれない。

ウクライナ軍がトクマク近郊でロシアの列車を攻撃できるようになったのはつい最近のことだ。 ストームシャドーといった地上攻撃ミサイル、対艦ミサイルのネプチューンやハープーン、S-200 地対空ミサイル、トーチカ弾道ミサイル、数種類のドローンなど、ウクライナ軍はさまざまな長距離兵器を保有しているが、これらの兵器は通常、動かない標的に対して最も効果を発揮する。 走っている列車を攻撃するのは至難の業だ。 ロシア軍はウクライナの重要な鉄道網への攻撃を試みているが、これまでのところウクライナ軍の補給を妨げることができていないのはそのためだ。

弾薬を輸送する列車を攻撃するのに、ウクライナ軍はドローンや現地の非正規軍から得られる有用な最新情報が必要だった。 同時に、最も迅速かつ正確な砲撃を行えるよう、物資を揃えなければならなかった。 GPSで誘導される砲弾エクスカリバーと多連装ロケット弾だ。 エクスカリバーは米国製の M777 榴弾砲から発射され、射程距離は約 30km だ。 HIMARSの発射機から発射される GPS 誘導の多連装ロケットシステム (GLMRS) は約 70km 先まで飛ぶ。

ロシア軍が対砲兵射撃をしにくくなるよう、ウクライナ軍は M777 榴弾砲を前線から数 km 離れたところに配備。 貴重な HIMARS はさらに遠くに置いている。 ウクライナ軍の精密な大砲がトクマクを通過する列車を仕留められるようにするには、おそらくトクマクの北約 19km に位置するロボティネあたりの戦況を安定させる必要がある。 最も装備の整った第 47 機械化旅団や第 82 空中強襲旅団といったウクライナ軍の強力な旅団はこの夏、多大な犠牲を払いながらロボティネまで前進し、8 月にようやくロボティネを解放した。 間を置かずして砲兵隊もその後に続き、トクマクにあるロシア軍の兵站拠点を標的にした作戦が本格的に始まった。

ウクライナは夏に開始した反攻を秋から冬にかけても継続しようとしており、今後数週間から数カ月の間に、トクマク周辺でロシアの列車や車列に対する精密攻撃がさらに行われることが予想される。 また、ロシア軍がそうした攻撃に適応する、あるいは少なくとも適応しようとすることも予想される。 ロシアはメリトポリから約 160km 東の黒海沿岸に位置する、占領下のマリウポリを通る新しい鉄道を建設しているようだ。この鉄道が完成すれば、ウクライナ南部を通っているロシア軍の陸上の補給線がトクマクから黒海沿岸近くへと移る可能性がある。

ロシア軍が状況に応じて兵站システムを迅速に変更することができれば、ウクライナ軍に目標の見直しを強いることができるかもしれない。 ロシア軍が補給線をもっと南へ移動させれば、ウクライナ軍はその補給線を確実に攻撃するために、さらに南へ進軍しなければならないだろう。 それはウクライナにとって不吉な展開となる。 トクマクを制圧するために、ウクライナ軍は多くの車両とおそらく何千人もの命を犠牲にした。 黒海沿岸地域を掌握するにはそれ以上の犠牲がともなう可能性がある。 (David Axe、Forbes = 10-13-23)

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ロシア軍「最凶車両」、ウクライナ軍の「ハイマース」で破壊される 南部ザポリージャ戦線

ウクライナ軍が「ハイマース」でロシア軍の「TOS-1」を破壊

ウクライナ国防省は 2023 年 10 月 8 日(日)、南部ザポリージャ州で、ロシア軍の車両「TOS-1」を破壊したとする動画を公表しました。 ウクライナ保安庁 (SSU) などと連携し、高機動ロケット砲システム「ハイマース」によって撃破したとしています。 「TOS-1」は、燃料気化爆薬(サーモバリック)弾頭ロケット弾の発射装置を T-72 戦車の車体に搭載した車両です。 サーモバリック弾頭は、固体の化合物を気化させ、粉塵と強燃ガスの混合気体を作り出す気体爆薬です。 「TOS」はロシア語で「重火力投射システム」を指し、凄まじい爆風と衝撃波、熱によって建物や人員などを制圧することを目的としています。 ロシア軍がこの「TOS-1」を何両保有しているかは不明ですが、配備は比較的少数にとどまっているとみられます。

「ハイマース」は、ロケット弾の発射装置を搭載した車両で、アメリカがウクライナに供与した兵器です。 ウクライナ軍はこの「ハイマース」でロシア軍の弾薬集積所や指揮所など兵站を攻撃し、戦況に影響を及ぼすほど絶大な効果をあげています。 ウクライナ国防省によると、ウクライナ保安庁 (SSU) が偵察中に「TOS-1」の位置を特定し、「ハイマース」で撃破したとしています。1 ウクライナ軍は、「TOS-1」が大爆発を起こして炎上する様子を撮影しており、被弾した際に搭載していた弾薬が誘爆したとみられます。 (乗りものニュース = 10-11-23)


ロシア軍が戦場に乗り捨てた軍用車の「異形」...後ろ半分は「まるで日曜大工」のお粗末さで、地雷原に沈む

ドネツク州でウクライナ軍に攻撃を仕掛けたロシア軍だったが、「手作り感」溢れる軍用車は地雷で破壊され、撤退していったという

10 月 10 日、ドネツク州南部でロシア軍がウクライナ軍に攻撃を仕掛けるもあえなく撤退したのだが、そこに残されたものが話題となっている。 ロシア軍部隊が置き去りにしていったのは、まるで「日曜大工」のような手作り感が溢れる軍用車両。 前半分は見るからに頑丈な装甲車なのだが、後ろ半分は薄い板や簡素な棒で「DIY」されたような、継ぎはぎの異様な姿だったのだ。

ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍の第 39 独立自動車化狙撃旅団がこの日、ウクライナ東部ドネツク州南部のノボミハイリフカに対して攻撃を仕掛けた。 ウクライナにおける軍事物資の使用・捕獲を追跡している X (旧ツイッター)アカウントの「ウクライナ・ウェポンズ・トラッカー」は、この攻撃が失敗に終わった後、ロシア軍は MT-LB 装甲けん引車をベースにした即席の人員運搬車とみられるものを置き去りにしていったと報告した。 車両はいずれも、「対戦車地雷の上を走行して破損」していたという。 ロシア軍兵士 1 人の遺体も、現場に残されていた。

MT-LB はソビエト時代に開発された水陸両用の装甲けん引車で、1970 年代から使用されている。 戦争中の兵器類の損失を集計するオランダのオープンソース調査会社 Oryx によれば、ロシアはウクライナとの戦争が始まって以降、486 台のMT-LBを失っている。

周囲を確認しやすいよう「改造」を施したか

ウクライナ・ウェポンズ・トラッカーの投稿には、置き去りにされた MT-LB の画像が添付されていた。 米フォーブス誌によればこれらの車両には 23 ミリ機関砲が後付けで搭載されており、兵員室は天井部分が取り外し可能なため、砲弾や爆発物を搭載したドローンによる直接攻撃の影響を受けやすい。 メッセージアプリ「テレグラム」のあるロシア人ユーザーは 4 月に行った投稿の中で、一連の改造は、兵士たちが MT-LB で移動中に立ち上がって周囲を確認できるようにするためだと説明。 「装甲車の後ろに乗っている歩兵たちは状況確認を行っている」と述べ、また一連の改造は「(装甲車からの)脱出や弾薬の積み込みをしやすくする」ためのものだと指摘した。

本誌はこの件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。 ウクライナ軍は国内南部の幅広い地域で、ロシア軍による占領地域を奪還すべく反転攻勢を続けている。 一方のロシア軍の各種連隊や旅団もまた、ドネツク州北部のアウディーイウカ周辺に攻撃を仕掛けている。

ウクライナ軍参謀本部は、ロシア連邦南部軍管区第 8 諸兵科連合軍の最大 3 つの大隊が、戦車や装甲車を動員し、アウディーイウカ近郊での攻勢を強化したと報告。 10 日と 11 日に撮影された地理的位置情報を含む映像からは、ロシア軍の複数の部隊がアウディーイウカ南西のシェベルネと北西のステポベに進軍した様子が確認された。 ロシアのブロガーたちはこの進軍を称賛。 米シンクタンクの戦争研究所 (ISW) は 11 日、ロシア軍は「ウクライナ南部での作戦から学んだ教訓」を前線のほかの区域にも活かしていると評したものの、一連の成功が「ロシア軍にとってより幅広い作戦上・戦略上の勝利につながる可能性は低い」とも指摘した。

ISW はまた、アウディーイウカはウクライナ軍にとって守備の重要拠点であり要塞化されていると述べ、ロシア軍が「接近または完全に制圧」するのは「難しいだろう」との見通しを示した。 (ブレンダン・コール、NewsWeek = 10-13-23)

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ゼレンスキー氏「我々は踏ん張っている」 東部ドネツク州アウジーイウカで抗戦

ウクライナのゼレンスキー大統領は 12 日、ウクライナが維持する東部ドネツク州アウジーイウカをロシア軍が激しく攻撃し、ウクライナ側が抗戦していると SNS で明らかにした。 ロイター通信が報じた。ロシア側はこの地域に相当数の兵力と物資を振り向けて数カ月間包囲した後、攻勢を強めている。 アウジーイウカはロシア側の拠点都市ドネツク近郊にある工業都市。 ゼレンスキー氏は戦場やウクライナ兵とみられる写真とともに、「アウジーイウカ。 我々は踏ん張っている。 ウクライナの勇気と団結こそが、この戦争の結末を決めるのだ。」と投稿した。 (asahi = 10-12-23)


ウクライナ大統領、冬の戦いに向け武器供給要請 NATO 本部で

[ブリュッセル] ウクライナのゼレンスキー大統領は 11 日、同国に侵攻したロシアが発電所などのインフラに対して攻撃するのに備え、冬を乗り切るための武器や防空設備を供給するよう北大西洋条約機構 (NATO) 同盟国に要請した。 ゼレンスキー氏は、2022 年のロシアによる侵攻後で初めて NATO 本部を訪問。 ロシアのプーチン大統領をパレスチナのイスラム組織ハマスになぞらえ、ロシアのウクライナ侵攻とハマスのイスラエル攻撃を同じ硬貨の表裏のようだと指摘し、西側の軍事支援が不可欠だと訴えた。

NATO加盟国と、非加盟国でウクライナを軍事支援する約 20 カ国の国防担当相が集まった会合で「この戦争がいつ終わるのか、ウクライナにとって正当に終わるのかという問いに対し、冬の防空戦が答えの重要な部分を握る」とし、「私たちはテロとの冬の戦いに勝たなければならないし、勝つことができる」と訴えた。 オースティン米国防長官は、必要なだけウクライナを支援するという西側諸国の誓約を改めて表明。 防空弾薬や、ロシアのドローン(無人機)に対抗するための武器を含む 2 億ドル相当の軍事支援を発表した。 NATO のストルテンベルグ事務総長は、プーチン氏がウクライナのエネルギーインフラを攻撃して「冬を戦争の武器として再び利用する準備をしている」と批判した。 (Marine Strauss、Andrew Gray、Idrees Ali、Reuters = 10-12-23)


ロシア軍のドローン 28 機を撃墜 ウクライナ空軍発表

ウクライナ空軍は 12 日、ロシア軍のドローン(無人航空機)計 28 機を撃墜したと SNS で明らかにした。 AFP 通信によると、ウクライナ側はドローン 33 機がロシア南部ベルゴロド州と、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島から飛来し、夜間にウクライナ領内を攻撃したと主張。 破壊した機種は「シャヘド 136」と「シャヘド 131」だとしている。 一方、ウクライナ南部を所管する国防当局は同日、ドローンによる一連の攻撃で南部オデーサの港湾施設や民間住宅が破壊され、1 人がけがを負ったと SNS で明らかにした。 (asahi = 10-12-23)


英、182 億円超の新支援策「支援は揺るぎないと約束」

英国防省は 11 日未明、ウクライナに対して、新たに 1 億ポンド(182 億円)以上の軍事支援を同日中に発表すると明らかにした。 地雷原の除去や車両の整備のほか、重要なインフラ施設を守るための防衛設備の強化を支えるという。 11 日はブリュッセルの北大西洋条約機構 (NATO) 本部で「NATO・ウクライナ理事会」が開かれる予定で、そこで詳細が発表される見通し。 シャップス国防相は「英国の支援は揺るぎないと、先日キーウを訪問した際にゼレンスキー大統領に約束した。 約束を実行していることを誇りに思う。」としている。 (asahi = 10-11-23)


ドイツ国防省が新たな軍事支援を発表

ドイツ国防省は 10 日、今冬に向けたウクライナへの新たな軍事支援を発表した。 10 億ユーロ(約 1,600 億円)を拠出する予定で、防空ミサイルシステムや主力戦車レオパルトのほか、追加の弾薬などが含まれる。 ピストリウス国防相は声明で、「この新しい『冬のパッケージ』で、今後数カ月間でウクライナ軍の作戦準備を強化する」と述べた。 ウクライナのゼレンスキー大統領は X (旧ツイッター)に、「ドイツの大規模な軍事支援に感謝している。 これは私たちが必要とするサポートだ。」と投稿した。 (asahi = 10-11-23)


ウクライナ軍、東部と南部で反攻進展と発表

ウクライナ軍は 9 日、東部と南部の両戦域で 4 カ月に及ぶ反攻が進展していると発表した。 反攻は 5 月にロシア軍に占領された東部の要衝バフムトを奪還するため、周辺地域の支配権を確保することを目的としている。 南部ではアゾフ海まで前進し、南部と東部のロシア占領地域を結ぶ陸橋を切断したい考えだ。 ウクライナ軍報道官によると、東部部隊は先月奪還したアンドリーフカ近郊で「部分的な成功」を収めた。 「バフムト地区で日々前進している。 しかし、具体的な目標の達成について語るには時期尚早だ。」という。

ウクライナ軍で南部部隊を指揮するタルナフスキー司令官は、テレグラムに「ベルボベの西で部分的な成功を収めた」と投稿。 これはウクライナが目標とする村々の一つを指している。 一方、ロシア側によれば、軍はバフムト近郊でウクライナ軍の攻撃を撃退し、郊外のウクライナ軍陣地への攻撃でかなりの人的被害を与えた。 (Reuters = 10-10-23)


ロシア軍の攻撃、ハルキウ州で女性 1 人死亡

ウクライナ北東部ハルキウ州のシネフボウ知事は 9 日、同州でロシア軍による砲撃があり、女性 1 人が死亡したと、SNS 「テレグラム」で発表した。 シネフボウ知事によると、ロシア軍は夜間に同州の地区チュフイウとクピャンスクを攻撃した。 チュフイウでは、砲撃によって二つの民家が深刻な損傷を受けて、民間人の 65 歳の女性が死亡したという。 (asahi = 10-9-23)


ヘルソン東部に砲撃、50 代男性が死亡

ウクライナ南部ヘルソン州のプロクジン知事は 8 日夜、州都ヘルソン東部がロシア軍の砲撃を受け、50 歳の男性が死亡したと SNS に投稿した。 状況を確認中という。 プロクジン氏はまた、同日未明の砲撃で負傷した 11 歳の少女が頭、胸などを負傷して意識不明となり、救命措置を受けていると伝えた。 ドニプロ川をはさんでヘルソンの対岸の集落の教会近くに着弾し、少女のほか 3 人の女性が負傷したという。 8 日のヘルソン州内への攻撃での負傷者は 16 人になった。 (asahi = 10-9-23)

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ヘルソンに砲撃、生後 8 カ月の女児ら 11 人負傷

ウクライナ南部ヘルソン州当局は 8 日、前夜から同日未明までに州都ヘルソンに砲撃が相次ぎ、赤十字社の医療関係者や 27 歳の母親、生後 8 カ月の女児など 11 人が負傷したと発表した。 負傷者のほか、50 代から 80 代の男性 2 人と女性 4 人が精神的ストレスのため病院に運ばれたという。 (asahi = 10-8-23)


砲弾だけでなくロシアに足りない "砲身" "共食い" で凌ぐロシア戦車部隊

長引くウクライナ戦争の中でロシア軍の軍事物資が不足していることが度々報じられてきた。 中でも今回は陸地戦の要、大砲、その "砲身" の話だ。

「ウクライナ軍はロシア軍の大砲を狙って攻撃」

ロシア軍兵器の残骸をとらえた写真がある。 ウクライナの国防省が公表したものだ。 そこに映し出された兵器は戦車に似ているが "自走砲" と呼ばれるものだ。 興味深いのは砲弾を発射する大砲の筒の部分 "砲身" が外部から破壊されたというよりも、内部から破裂したように見えることだ。 つまりウクライナ軍の攻撃で破壊されたのではなく、暴発もしくは消耗による破裂だろうと考えられる。 大砲の砲身は一般に 1 日 200 発撃った場合、2 週間程度で消耗するという。 しかしロシア軍は古い砲身を使い続けているらしい。

ロシアの軍事情報に精通するウクライナのアナリストに聞いた。

政治軍事アナリスト、オレキサンドル・コワレンコ氏

「ロシア軍はソ連時代の古典的な戦闘方法を採用していて 1 日の砲撃数が非常に多いのだが、当初使用していた兵器は消耗してしまった。 今すべての大砲の砲身が不足している。 砲身は弾薬並みに不足している。 (中略)ウクライナ軍はロシア軍の大砲を狙って攻撃し、砲身を修理できないほどの数破壊することによって戦地で砲身が足りなくなるようにしている。 特定の戦地で砲身や弾薬が足りなくなればロシア軍の攻撃が減るからだ …。」

大砲をピンポイントで狙う戦法は功を奏し、今年に入ってロシア軍の大砲は急激に消耗している。 しかしロシアではりゅう弾砲などの大砲が大規模生産されていない。

「寿命の尽きた兵器から取り外したモノ」

政治軍事アナリスト、オレキサンドル・コワレンコ氏

「この 1 年半でロシア軍は多くの砲身を失ったため、倉庫内に眠っていたソ連時代の砲身を蔵出しして使わざるを得なくなった。 倉庫にある兵器から砲身を取り外して、今使ってる車両にくっ付けるだけだ。 倉庫に保管されていた砲身は新品ではなく多くが寿命の尽きた兵器から取り外した物だ。 保管状態は良くなく、金属疲労もみられる。 寿命の尽きた砲身は破裂する可能性もあるし、砲身の内部で砲弾が暴発する可能性もある。」

実際に衛星からでロシア内の基地を写した写真を分析すると戦前に 152 ミリ自走砲が 298 両あった駐機場に今年 5 月は 155 両に減っていて、そのうち砲身が残っている車両はわずか 4 両だけになっている。

RUSI 日本特別代表、秋元千明氏

「自動小銃でも撃ち続ければ熱を持つので銃を交換しないと危ない。 運動エネルギーで発射する筒を持った兵器は定期的に交換しないと事故になる。 ということで、どんどん撃つロシアは頻繁に砲身を交換したので消耗した。 新しく作るのではなくすでにあるものを取り外して交換する "共食い" というやり方でやっている。 もうひとつの理由は戦術によるもの。 ウクライナが防衛線を突破するのにいちばん苦労したのは地雷で、これを撤去しないと進めない。 機械で処理することもあるんですが手作業でやらなきゃならないことが多い。 その時砲撃で邪魔してくるわけです。 従ってウクライナとしては前進するために大砲を潰す必要があって、集中的にロシアの大砲陣地を一つ一つ叩いた。 これが功を奏した…。」

「一番増産が難しいのは…、非常に高度な冶金技術が必要な砲身」

ウクライナ軍は先月だけで、これまでで最多の 900 以上のロシア軍の砲身を破壊した。

政治軍事アナリスト、オレキサンドル・コワレンコ氏

「ロシア軍の攻撃の質はすでに下がっている。 ウクライナ軍の平均射程 30km に対してロシア軍は射程 15km。 精度も違う。 ウクライナ軍はロシア軍より精度が高く、射程の長い兵器を使って対砲兵戦を始めている。」

兵器の消耗は止まらない。 一方で増産はできるものとできないものがあるという。

東京大学先端科学研究センター、小泉悠専任講師

「ロシアがこの 1 年半、"頑張るぞ" と言って増産できるものとできないものがある。 増産し易いのは大砲の弾。 ショイグ国防大臣が 8 倍って言ってるくらい比較的簡単であろうと …。 ロシアの軍需産業は戦時動員のための準備が義務付けられているので普段使わない工作機械も資材もある程度持ってる。 逆に一番増産が難しいのは西側の技術に頼るハイテク製品。 それと、非常に高度な冶金技術が必要な砲身なんかなんです。 (中略)ただあと 1 年くらいは予備を引っ張り出してくることでもつ。 ロシアの在庫の力は侮れない。 あと 1 年持たせれば、砲身の新しい生産ラインを作れるかもしれない。 なのでロシア軍がもの凄く苦しいことは間違いないが、これで瓦解寸前とは思わない …。」

ロシアにも 2 か所、砲身を作れる工場があるというが、冶金技術から見て質の高い砲身を作ることが可能かは甚だ疑問だと堤伸輔氏は言う。

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏

「砲身の寿命 1,500 発から 2,500 発というのは、(高度な冶金工学に基づく)精巧な金属で造られたモノであって、レベルの低い作り方では …。 でっかい鉄工所があればいいってものじゃなく、小さい溶鉱炉でいいから精度の高い金属を作らなきゃいけない。 つまり、精度の低い砲身では寿命はもっと短いかもしれない。 それを使わなければならないロシア兵は相当恐怖心を持って撃ってるんだろうなぁと …。」 (TBS = 10-9-23)


日本とウクライナ、G7 合意に基づく「安全の保証」協議開始

ウクライナと日本は 7 日、二国間の「安全の保証」に関する初めての会合をオンラインで開催した。 ウクライナ大統領府が同日、発表した。 ウクライナにとって、米国、英国、カナダに続いて 4 カ国目になるという。 発表によると、ウクライナ側の交渉団のトップを務めたジョウクワ大統領府副長官は「日本との二国間協議の開始は、戦略的パートナーシップの確認というだけでなく、ウクライナへのグローバルな支援を示すものだ」と語った。

この二国間協議は、7 月の北大西洋条約機構首脳会合(NATO サミット)の際に、主要 7 カ国 (G7) とウクライナの間で交わされた合意文書に基づく。 日本ではウクライナの復興に関する会議が予定されており、大統領府の発表では、そこでも安全保障や人道支援について話し合われる。 両国はさらに調整を進めることで合意したという。 日本外務省の発表では、日本からは中込正志欧州局長が出席した。 (asahi = 10-8-23)


ヘルソン州占領地でロシア与党地元幹部の車が爆発

ロシア国営ノーボスチ通信によると、ロシアの占領下にあるウクライナ南部ヘルソン州ノバカホウカで 7 日朝、ロシアのプーチン大統領の与党「統一ロシア」の地元書記をつとめる親ロシア派幹部の車が爆発し、幹部は重傷を負った。 病院で救命措置がとられているという。

ヘルソン州の親ロシア派トップ、サリド氏は爆発を「テロ」と呼び、「犯罪は間違いなく摘発され、犯人には刑事責任が科される」と SNS に投稿した。 ヘルソン州はロシアのプーチン大統領が昨年 9 月に一方的に併合を宣言したウクライナの 4 州のうちの一つ。 先月、ロシア統一地方選の投票が強行され、「統一ロシア」が圧勝したとする結果が発表された。 ノバカホウカは州内でロシア軍の占領地とウクライナ側の支配下にある地域を分けるドニプロ川沿いの都市で、6 月に決壊したカホウカ・ダムがある。 (asahi = 10-8-23)


ロシア軍がザポリージャ戦線に追加要塞、「ぬかるみ期」控え徹底抗戦か … イギリス分析

英国防省は 6 日、ウクライナ軍の大規模な反転攻勢の主戦場となっている南部「ザポリージャ戦線」の要衝トクマクなどで、ロシア軍が追加の 要塞ようさい を建設し、防衛線を強化しているとの分析を明らかにした。 ウクライナはまもなく、雨で路面が泥と化す「ぬかるみ期」を迎える。 長期戦に備えて徹底抗戦を図る狙いとみられる。

英国防省によると、トクマクでは、ウクライナ軍が 8 月末に集落を奪還したロボティネから南方に向かう経路で、追加の要塞が建設され、 塹壕がコンクリートで強化された。 オリヒウ近郊では、地下 2 層構成の防御陣地とトンネル、塹壕が建設された。 6 月に大規模な反転攻勢を始めたウクライナ軍は 8 月下旬頃、ザポリージャ戦線で最も強固な第 1 防衛線を突破。 第 2、第 3 防衛線は第 1 防衛線より 脆弱とされ、進軍の速度が上がるとみられたが、露軍の強化策で難航するとの見方が出ている。 (yomiuri = 10-7-23)

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