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南部インフラにミサイル攻撃 ロシア軍、2 週間で死亡 900 人 【キーウ】 ウクライナ軍は 5 日、ロシア軍が南部オデッサ州のインフラ施設をミサイル攻撃し、建物が損壊したと明らかにした。 職員 3 人が負傷し、周囲の家屋に被害が出た。 ウクライナメディアが報じた。 一方、米シンクタンク、戦争研究所は 4 日、ロシア独立系メディアなどのデータを基に過去 2 週間で 900 人超のロシア兵が戦死したと発表した。 ウクライナメディアは 5 日、ロシア軍が過去 24 時間で、50 発以上の爆弾を使って南部ヘルソン州を 9 回空爆したと報じた。教育機関が被害を受けた。 英国防省は 5 日、冬を迎えると、ウクライナに展開するロシア兵士の士気が下がるとの分析を発表した。 (kyodo = 11-6-23) 欧米各国がウクライナに和平交渉持ちかけ 米メディア報道 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、アメリカやヨーロッパ各国がウクライナ政府に、和平交渉の可能性について、密かに協議を持ちかけたと、アメリカメディアが報じた。 アメリカの NBC テレビは 3 日、アメリカ政府高官らの話として、アメリカやヨーロッパ各国がウクライナ政府に、ロシアとの和平交渉の可能性について密かに協議を持ちかけ、10 月に行われたウクライナ支援の国際会合の場で協議が行われたと報じた。 ウクライナでの戦線の膠着や、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘によって、欧米各国からの追加援助の確保が困難になる懸念などが背景にあるとしている。 協議では年末から 2024 年初頭までの和平交渉の開始を視野に、ウクライナ側が何を放棄する必要があるのかなどが話し合われたほか、NATO = 北大西洋条約機構がウクライナの安全保障に関与することで、ロシアによる再侵攻を抑止する案も浮上しているとされる。 (FNN = 11-5-23) ウクライナ政権と軍に不協和音 大統領、求心力低下を警戒 【キーウ】 ロシアの侵攻を受けるウクライナの政権と軍の間で、対外発信や幹部人事に関して不協和音が生じている。 十分な意思疎通を欠いていることがうかがわれ、失態が続けば政権の求心力低下につながる恐れもある。 ゼレンスキー大統領は神経をとがらせているとみられる。 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は英誌エコノミストへの 1 日の寄稿で「戦争は新たな段階に入りつつある。 第 1 次世界大戦のような、変化の少ない消耗戦だ。」と述べ、ロシアに有利な状況が生まれていると指摘した。 この発言について、大統領府高官はウクライナメディアに「私が軍にいたら、前線で起きていることや今後の選択肢について報道機関に話したりしない」とけん制。 軍最高司令官を兼ねるゼレンスキー氏も 4 日の記者会見で「膠着状態ではない」と述べ、ザルジニー氏の戦況分析を否定する形となった。 ゼレンスキー氏が 3 日発表した特殊作戦軍の司令官人事では、交代となった前司令官が「理由が分からない。 報道で(交代を)知った。」と暴露した。 (kyodo = 11-5-23) クリミアの造船所攻撃 ウクライナ軍 【キーウ】 ウクライナ軍は 4 日、ロシアが併合した南部クリミア半島のザリフ造船所を攻撃したと表明した。 ロシアが創設した「クリミア共和国」のアクショーノフ首長は、ロシア軍がミサイルを迎撃し、破片が造船所の周辺に落ちたと述べた。 ウクライナはクリミアのロシア軍施設への攻撃を続けている。 ザリフ造船所は半島東部に位置し、ロシア軍の艦船を建造していた。 英国防省は 4 日の戦況分析で、ロシア軍が東部ドネツク州アブデーフカで過去 3 週間に軍用車両約 200 台を失った可能性が高いと指摘した。 歩兵による無謀な作戦に変更し、人的損失が拡大しているもようだ。 (kyodo = 11-5-23) ウクライナ海兵隊、装甲が薄い仏製偵察車両をすぐに損失 40 両を追加入手か ウクライナは追加で 40 両の偵察車両である AMX-10RC をフランスから入手すると報じられている。 驚く人もいるかもしれない。 ウクライナ軍は始まって 4 カ月になる反攻作戦の初期に、装甲は薄いがしっかり武装が施されている AMX-10RC の使い方を完全に誤った。 これらの偵察車両を戦車として使い、すぐさま多くを失ったのだ。 ウクライナ側が追加で40両求めたというのは、反攻作戦の最初の週から得た手痛い教訓を真に吸収し、AMX-10RC に適切な役割を振ったことを示しているのかもしれない。 フランス政府が 1 月に、ロシアと戦うウクライナに AMX-10RC を 40 両供与すると発表したとき、期待は高まった。 そして AMX-10RC の第 1 弾は 4 月にウクライナに到着した。 AMX-10RC は重量が 15 トンある 6 輪車で、走行スピードが速い。 105mm の主砲と昼夜使える照準装置を搭載しており、当時ウクライナ国防相だったオレクシー・レズニコフは同車両に試乗した後「高速で走る狙撃銃だ」と絶賛した。 レズニコフの称賛は何ら驚くことではなかった。 フランスの防衛企業 GIAT はまさにレズニコフが指摘したような特性を持たせようと AMX-10RC を特別に設計した。 その特性とは戦闘範囲、状況認識そしてスピードだ。 頑丈な車輪や燃費の良い 280 馬力のディーゼルエンジン、信頼できるサスペンションを備えた AMX-10RC は、道路であれば最速時速約 85km で走ることができる。 搭載している F2 ライフル砲は安定性に欠けているもののかなり正確だ。 もちろん、静止した状態で発射した場合だ。 GIAT は AMX-10RC を敵の砲火に耐えられるようには設計しなかった。 わずか 15 トンの車体は薄いアルミニウム製だ。 AMX-10RC の乗員 4 人は敵に向かってスピードを上げ、アリ塚を蹴ったときのような反応を引き出すために数発発射する。 そして敵の位置を把握し、反撃が激しくなる前にスピードを上げて逃げる。 ウクライナ国防省は当初、AMX-10RC の特性を高く評価していたようだ。 結局、陸軍ではなく、海兵隊に AMX-10RC を配備した。 ウクライナの海兵旅団は急襲や川沿いでの襲撃のために訓練を行い、編成している。 こうした任務は、防衛を犠牲にしてでもスピードと荒々しい行為が要求される。 同旅団が 6 月 5 日にヴェリカ・ノボシルカでロシア軍の陣地を攻撃した際、将校らは AMX-10RC を突撃隊の先頭に配置し、ロシア軍の要塞への直接攻撃を試みた。 本来なら、海兵隊の T-80 戦車だけに任せるべき役割だった。 そしてまずい事態になった。 完全に予測できたことだった。 少なくとも 2 両、おそらく 5 両の AMX-10RC が動けなくなったか破壊された。 ロシア軍は動けなくなったもののうち 1 両を鹵獲(ろかく)した。 海兵隊の少佐が AFP 通信に語ったところによると、AMX-10RC の乗員のうち少なくとも 1 人が死亡した。 「砲撃があり、砲弾が車両の近くで爆発した。 破片が装甲を突き破り、搭載していた弾薬一式が爆発した」と少佐は説明している。 名誉のためにいうと、海兵隊は自分たちの誤りをすぐに理解したようだ。 少佐は AMX-10RC について「砲はいいものだし、偵察のための装置も非常に優れている」と語り「だが残念なことに装甲が薄く、前線での攻撃でこれらの車両を使用するのは非現実的だ」と指摘した。 海兵隊がついにヴェリカ・ノボシルカを突破し、戦いながら狭いモクリ・ヤリー川渓谷に沿って南下したとき(この作戦は 4 か月後も続いている)、T-80 と英米製の装甲車が先頭に立ち、AMX-10RC は後方に回った。 そして、第 37 海兵旅団が損傷を免れた AMX-10RC をどう使っていたかは、すぐに明らかになった。 移動式の火力支援として使用していた。 9 月中旬にネットで公開された映像には、AMX-10RC の小隊が白昼に平野から安定していない主砲を撃っている様子が映っている。 AMX-10RC 内部を撮った別の映像では乗員はまったく慌てていない様子だ。 反撃を受けた際、AMX-10RC がそれほど危険な状況に置かれていなかったことは明らかだ。 AMX-10RC はロシア軍から十分に、おそらく数kmほど離れていたため、撃ち返される前に撃って走り去ることができただろう。 昼夜対応の精度の高い照準装置と信頼できる主砲の組み合わせにより、AMX-10RC の乗員は 1.6km 以上先の標的を確実に攻撃できる。 しかも、それは砲を水平にしながらだ。 砲に角度をつけて撃てば、射程は最大約 7.2km になる。 ウクライナ軍の AMX-10RC の乗員は、弾道射撃操作のための計算にタブレット端末にインストールされた特殊なソフトウエアを使っているようだ。 もちろん、最大射程で撃つ時に同じ精度を期待してはいけない。 目視できる範囲を超えたところから発射する AMX-10RC は、ドローンや前方を見張っている兵士によって登録された目標座標を狙う、生存可能性が高い即席のりゅう弾砲として機能する。 追加で 40 両の AMX-10RC を入手することで、ウクライナ海兵隊はこの特殊な火力支援能力を倍以上に増強することができるかもしれない。 あるいは、乗員を失うという 6 月初旬の失敗を繰り返し、AMX-10RC を戦車として使おうとすることもあり得る。 (David Axe、Forbes = 11-5-23) ウクライナ全域にイラン製の自爆型無人機でインフラ施設攻撃、西部リビウも標的に ウクライナ軍当局によると、ロシア軍は 3 日未明、ウクライナ全域で無人機攻撃などを行った。 イラン製自爆型無人機「シャヘド」約 40 機やミサイルが使われ、ウクライナ西部リビウも標的になった。 負傷者は報告されていないが、インフラ施設などに被害が出た。 攻撃は首都キーウや南部オデーサ州、ザポリージャ州でもあった。 東部ハルキウ州では大規模な火災が発生し、住宅や教育施設、給油所も被害を受けた。 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は無人機の半数以上を撃墜したと明らかにし、「冬が近づくにつれ、ロシアのテロリストはさらに被害を与えようとするだろう。 我々は反撃する。」と SNS に投稿した。 露占領下にあるウクライナ南部ヘルソン州では、ウクライナ側のミサイル攻撃で 7 人が死亡したと露側が明らかにした。 (yomiuri = 11-4-23) ゼレンスキー氏、「疲れ切り西側に失望」 会見の米誌報道 米週刊誌「タイム」は 4 日までに、ウクライナのゼレンスキー大統領と会見し、同大統領は支援国のウクライナに対する信頼をつなぎとめる絶え間ない努力を注いでいるため、疲れ切っているなどと報じた。 ゼレンスキー氏は「誰も私のようには我々の勝利を信じていない。 誰もがだ。」とし、「支援国にその信念をしみこませるためには私の全てのエネルギーが必要だ」と明かした。 同誌は「大統領は疲れている。 時には短気になる。 支援国の援助がしぼむことを心配している。」とも伝えた。 ウクライナでの戦闘への「疲労感は波のように寄せている。 米国や欧州でこれを見ることができる」と指摘したという。 ゼレンスキー大統領は勝利にこだわっており、休戦や交渉は支持しないとも述べたとした。 イスラム組織「ハマス」とイスラエル軍との交戦に関連し、「当然、ウクライナの問題への関心は中東での事態のため薄れている」とも認めた。 タイム誌はゼレンスキー大統領の側近の話として、「大統領は西側の支援国に裏切られたとも感じている」とも伝えた。 支援国は戦争の勝利に必要な手段を与えず、ただ事態を切り抜けるための手段を提供しているとの思いを抱いているとした。 長射程の米戦術ミサイル「エイタクムス」の供与決定に時間がかかり、ウクライナ側が切望していた F16 型戦闘機の到着が早くても来春になるなど速度感に欠ける支援のあり方は、ロシアを利するだけとの不満につながっている。 (CNN = 11-4-23) 米国がウクライナに 630 億円の追加軍事支援 予算は払底危機に 米国防総省は 3 日、ロシアの侵攻を受けるウクライナの自衛を支えるため、最大 4 億 2,500 万ドル(約 630 億円)相当の追加の軍事支援をすると発表した。 議会の混乱でウクライナ支援資金は底をつきかけており、バイデン政権は迅速な追加予算の承認を求めている。 今回の支援の 1 億 2,500 万ドル分は米軍の在庫から提供され、直近の戦闘に使われる見通しだ。 地対空ミサイルシステム「NASAMS (ネイサムス)」用のミサイルや高機動ロケット砲システム「HIMARS (ハイマース)」用の砲弾、大砲の砲弾や対戦車兵器などが含まれる。 残りの 3 億ドルは、無人航空機(ドローン)に対抗するレーザー誘導弾の調達に充てる。 こちらは今後企業と新たに契約するため、納入までには時間がかかるとみられている。 (asahi = 11-4-23) 航空優勢の確保強調 … 露軍は攻勢強め製油所が炎上 ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は 1 日、英誌エコノミストへの寄稿で、ロシア軍との現在の戦況は「膠着状態にある」と認め、一進一退の消耗戦に移行しているとの認識を示した。 最も必要なのは航空優勢の確保だと強調した。 ザルジニー氏は、現状打破へ、ロシアが敷設した地雷の突破や、電子戦能力の強化などが必要と指摘した。 戦争の長期化は「あらゆる手段で軍事力を再編成・増強しようとするロシアに有益だ」とし、ウクライナに脅威になると強調した。 露軍は犠牲をいとわず東部ドネツク州アウディーイウカへの攻勢を続ける構えだ。 米政策研究機関「戦争研究所」は 1 日、露軍が歩兵主導の地上攻撃を再び仕掛ける準備をしていると指摘した。 受刑者らを中心とする部隊が正面から突撃する可能性があるという。 露軍はウクライナ全域への攻勢も強めている。 ウクライナのイゴール・クリメンコ内相は 1 日、SNS で、露軍がこの 24 時間で「10 地域の 118 集落を攻撃した」とし、今年に入り最大規模だと指摘した。 中部ポルタワ州クレメンチュクでは攻撃を受けた製油所が炎上し、送電線も被害を受け、停電が発生した。 また、ウクライナ軍によると、ロシアの侵略開始以来、地雷や爆発物で民間人 260 人以上が死亡した。 農作業中に被害に遭うケースも多く、事故の 4 分の 1 は農地で発生したという。 (yomiuri = 11-3-23) ロシア軍、24 時間でウクライナの 118 集落を攻撃 … 無人機の波状攻撃も ウクライナのクリメンコ内相は 1 日、ロシア軍が 24 時間以内にウクライナ国内 10 地域で 118 の集落を攻撃したと SNS で明らかにした。 今年に入ってから攻撃を受けた集落の数として、最大だったという。 クリメンコ氏によると、露軍の攻撃で東部のハルキウ州やドネツク州などで死者やけが人が出た。 南部ヘルソン州では夜通しの砲撃があった。 ロイター通信は露軍が中部ポルタワ州に無人機を使った波状攻撃を仕掛けたと報じており、同州クレメンチュクの製油所が攻撃で炎上した。 また、ウクライナ軍によると、ロシアの侵略が始まって以来、残された地雷や爆発物で民間人 260 人以上が死亡、少なくとも 571 人が負傷した。 事故の 4 分の 1 は農地で発生した。 依然として国土の約 3 分の 1 の地域に地雷が残っている可能性があるという。 (yomiuri = 11-2-23) ウクライナ戦争の停止、露国民 7 割が支持 露世論調査 「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止を決めた場合、その決定を支持するか」とロシア国民に尋ねたところ、70% が「決定を支持する」と回答したことが、露独立系機関「レバダ・センター」の 10 月の世論調査で分かった。 プーチン政権は従来、「国民の大多数がウクライナでの軍事作戦を支持している」と主張してきたが、今回の調査結果は露国民内での厭戦機運の高まりを示唆した。 レバダ・センターは 10 月 19 - 25 日、18 歳以上の露国民約 1,600 人を対象に世論調査を実施。 結果を 31 日に公表した。 それによると、冒頭の質問に対し、37% が「完全に支持する」と回答。 「おおむね支持する」とした 33% を合わせると計 70% が戦争停止を支持した。 一方、「あまり支持しない」は 9%、「全く支持しない」は 12% で、9% は「回答困難」とした。 レバダ・センターは同時に「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止と、併合したウクライナ領土の返還を決めた場合、その決定を支持するか」との質問でも世論調査を実施。 この質問形式の場合、「完全に支持する」、「おおむね支持する」とした回答者の割合は計 34% まで低下した。 反対に「あまり支持しない」、「全く支持しない」との回答は計 57% に上った。 残りは「回答困難」だった。 半数超の露国民が領土の返還を条件とした戦争の停止は支持できないと考えていることが明らかになった形だ。 (sankei = 11-2-23) ロシア「GPS 妨害装置」をウクライナが「GPS 誘導爆弾」で破壊する皮肉 ウクライナ南部に展開するロシア軍は、GPS 誘導爆弾やドローンを誘導するための信号を妨害するように設計された強力な装置を設置した。 ウクライナ軍は先週、GPS 誘導爆弾でロシア軍のその装置を爆破した。 妨害電波を発信する電子戦システム Pole-21 だ。 独立調査機関コンフリクト・インテリジェンス・チーム (CIT) はこの皮肉を理解した。 「電子戦システムは攻撃を受けたとき、稼働していなかったと推定できる」との見方を示した。 Pole-21 システムはアンテナと強力な電波信号発生器から成る。 発せられる電波信号は、ドローンや巡航ミサイル、そして米国の統合直接攻撃弾 (JDAM) のような誘導をGPS に頼っている精密誘導爆弾と、GPS 衛星との間の電波回線を妨害することができる。 Pole-21 がカバーする範囲は 24km ほどだ。 米陸軍は Pole-21 について「戦略兵器とインフラを守るよう設計されている」と説明している。 ウクライナ南部ザポリージャ州に設置された Pole-21 が、どの兵器を守っていたのか正確にはわからない。だが、同州では 4 カ月におよぶウクライナ軍の反攻が展開されており、ロシアが Pole-21 を明らかに集中させていることは注目に値する。 ロシア軍は長い間、北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国のドローンや精密兵器の優位性を鈍らせる手段として電子戦、特に電波妨害を優先してきた。 エストニア国防省は2017 年の報告書で「ロシアは電子戦の在庫を新しいものと入れ替えて近代化を進めている」と指摘。 「このような変化の影響は、ロシアのウクライナ侵略に表れており、電子戦がロシアの動的・非動的作戦の一部となっている」とも説明している。 ウクライナ軍が無人航空機 (UAV) や西側式の軍需品を採用するにつれ、ロシア軍は占領地で電子戦インフラを増やしている。 米シンクタンクの戦争研究所 (ISW) は、ロシア軍が 10 月 10 日にウクライナ東部のアウジーイウカ周辺で開始した反撃は大規模な電波妨害から始まったと述べている。 アウジーイウカ周辺などでの電波妨害の展開は「ロシア軍がウクライナ南部での作戦から得た教訓を戦線の他の場所に生かしていることを示唆している」と ISW は指摘した。 ウクライナ軍が GPS に頼れば頼るほど、ロシア軍は GPS を妨害しようとし、そしてウクライナ軍は一層、電波妨害装置を標的にする。 ロシアがウクライナに侵攻してから 1 年 8 カ月の間に、ウクライナ軍は少なくとも 50 近くのロシア軍の電波妨害システムを破壊した。 各システムは数千万ドル(数十億円)するかもしれない。 ウクライナ軍の Pole-21 排除作戦は、ウクライナ情報機関の特殊部隊ホワイトウルブスによるドローンでの偵察から始まったようだ。 ドローンが Pole-21 の特徴的なアンテナ配置を確認した後、ウクライナ空軍の戦闘機(スホーイSu-27 かミコヤン MiG-29)が JDAM をシステムに落としたようだ。 この攻撃に使われたウクライナ軍のドローンも爆弾も GPS を利用している。 空爆を完了し、Pole-21 を破壊できたということは、攻撃時に Pole-21 が稼働していなかったことを強く示唆している。 これは珍しいことではない。 Pole-21 が抱える大きな問題は、敵味方を問わず、すべての電波信号を妨害することだ。 米陸軍は「この妨害装置の影響がおよぶ範囲内にいるすべての(無線周波数)スペクトラムの利用者が同一チャンネル干渉を受けるリスクが高い」と警告している。 そのため、Pole-21 を扱う兵士は、衛星誘導を必要とする自軍の部隊が近くにいないときだけスイッチを入れるなど、妨害装置の使用を慎重に判断しなければならない。 「ロシアの電子戦は往々にして敵の装備だけでなく、自軍の装備も無力化するため、これらのシステムのスイッチは時に切られることもある」と CIT は説明した。 ウクライナ軍は運が良かったか、あるいは偵察と爆撃のタイミングを Pole-21 のスイッチがオフになっており、まさに妨害するように設計されていた GPS 誘導爆弾から自らをを守ることができない時間帯に合わせたかのどちらかのようだ。 (David Axe、Forbes = 11-2-23) 北朝鮮、ロシアに砲弾を 100 万発以上輸送か 韓国の情報機関・国家情報院は 1 日の国会で、北朝鮮がロシアに対し、8 月初旬から約 10 回にわたり、ロシアの船舶や輸送機をつかって兵器を輸送したことを把握したと報告した。 出席議員が記者団に語った。 船舶での輸送は、ロシアとの国境付近の北朝鮮の羅津(ラジン)港からロシア極東を経由。 その後、列車でウクライナに隣接するクラスノダール地方のチホレツク近郊の弾薬庫に到達したと把握したという。 砲弾は 100 万発以上で、ウクライナ侵攻で約 2 カ月間使用できる量だと分析している。 また、ロシアに使用法を伝えるため、10 月に北朝鮮の放射砲の専門家らがロシアに派遣されたとの情報もあるという。 (asahi = 11-1-23) ウクライナ軍ドローンが、「奪還」したドニプロ川東岸でロシア軍を蹂躙 <一度はロシアに奪われた東岸への渡河作戦を成功させ、拠点を築きつつあるウクライナ軍の姿とみられる> ウクライナ軍が、攻撃型ドローンでロシアの複数の装甲兵員輸送車 (APC) を破壊する様子を捉えたとする新たな動画が浮上した。 戦火に引き裂かれたウクライナの中で、ロシアが併合を宣言したヘルソン州南部で撮影されたという。 この X の動画は、YouTube 画像の一部で、ウクライナ軍がロシア軍の複数の APC を標的にしている。撮影場所は、ロシアが実効支配するドニプロ川東岸にあるクリンキー村の近くとされている。 もしそうだとすれば、ウクライナ軍が今まさにロシアから奪還しようとしている戦場だ。 攻撃型ドローンを駆使する航空偵察部隊「マジャールの鳥」を率いるロベルト・ブロブディ(コールサイン「マジャール」)が 10 月 29 日に YouTube に投稿した動画では、さらに多くのロシア軍車両が、ウクライナのドローンの餌食になっているように見える。 ウクライナが反転攻勢を開始して以降の数カ月、激戦地はおおむね、同国東部ドネツク州および南部ザポリージャ州に集中している。 ロシアは 2022 年 9 月、ドネツクとザポリージャ、ルハンシク、ヘルソンの 4 州を公式に「併合」したが、ウクライナ南部および東部に位置するこれらの地域を完全に掌握しているわけではない。 なかでも最近になって注目が集まっているのがヘルソン州だ。 アメリカのシンクタンク、戦争研究所 (ISW) は 10 月 28 日付のレポートで、ドニプロ川東岸の河岸から約 2 キロのクリンキ村にウクライナ軍が「拠点を維持している」と述べた。 ISW によれば、ウクライナ軍は 10 月中旬にロシア側が支配する東岸への渡河作戦を行った。 難しいと言われた渡河が成功した上、対岸に拠点を築きつつあるようだ。 ウクライナ南部ではドニプロ川が、現在の戦闘の最前線だ。 ロシア側は川の東側を支配しているが、それも 2022 年 11 月にここまで撤退させられた結果だ。 ウクライナ軍は、東岸地域に対する渡河作戦を複数回実施したと考えられている。 ロシアが実効支配する村々に、より確実な足がかりを得ることを目指した行動だ。 10 月 20 日付のニューヨーク・タイムズが伝えたところによると、ウクライナ軍が取り返したヘルソン市当局の広報を担当するオレクサンドル・トロコニコウは、ウクライナ軍部隊は、東岸に「海兵隊員などの兵員を上陸させるべく、絶え間なく努力を続けている」と述べたという。 ロシアの軍事ブロガーも、ウクライナが橋頭堡をドニプロ川東岸に築いたことを認めていると、戦争研究所は 29 日の報告で指摘していた。 (エリー・クック、NewsWeek = 10-31-23) ウクライナ軍、ドニプロ川対岸に「橋頭堡」設置 進軍の足掛かりに ウクライナ南部ヘルソン州にあるクリンキは、ロシアが占領しているドニプロ川左岸に位置する小さな集落だ。 6 月 6 日、ロシアの工作員の犯行とみられるカホフカダム爆破が起きたとき、下流にあるクリンキはすぐさま水浸しになり、住民のほとんどは高台に逃げた。 それがクリンキの災難の始まりだった。 4 カ月半後の 10月 19 日、ウクライナ軍の第 38 海兵旅団がドニプロ川を渡り、クリンキに進軍した。 ウクライナ軍は、昨年後半にドニプロ川右岸のヘルソン州北部を解放して以来、ドニプロ川左岸に対して何度も小規模な襲撃を仕掛けている。 通常は、ロシア兵数人を殺害したり捕まえたりし、いくらかの損害を与えた後、ロシア軍による大砲やドローンでの攻撃が始まるとともに撤退する。 だが 10 月 19 日の作戦は違った。 ウクライナ軍の部隊は、襲撃した場所に駐留。 以来、4.8km ほど横長に広がるクリンキに沿って支配を拡大している。 ロシア軍の第 810 親衛海軍歩兵旅団の兵士は、同旅団が置かれた状況を「非常に困難」と言い表した。 「(ウクライナ軍は)絶えず大砲で攻撃し、クラスター弾も使っている。 何より、擲弾(てきだん)を搭載した多くの FPV (1 人称視点)ドローンや無人航空機 (UAV) を四六時中飛ばして、負傷者の退避や弾薬の運搬を妨げている。」 クリンキは、軍が対岸の敵陣を攻める際に、その足掛かりとして設置する「橋頭堡(きょうとうほ)」と呼ばれる拠点だ。重装備のウクライナ軍兵士が大勢でドニプロ川を渡り、4 カ月前に始まった南部での反転攻勢を拡大するための拠点となっている。 ただ、橋頭堡は脆弱だ。大規模な重装備部隊が川を渡って陣地を広げ、防衛のための火力を追加するまでは、砲撃や空爆、そして戦車などを用いた機甲部隊による攻撃に弱い。第38旅団の歩兵部隊はドニプロ川を渡ったが、装甲車両や防空・工兵装備を持ち込んだ形跡はまだない。 独立調査機関コンフリクト・インテリジェンス・チーム (CiT) は「特に敵が装甲車両を容易に展開できる環境では、装甲車両の支援なしでの大きな前進の試みは成功しない可能性が高い」と指摘した。 つまり、ロシア軍にはまだ、ウクライナ軍の橋頭堡が拡大する前にそれをつぶす時間がある。 ウクライナ軍が多数の兵士にドニプロ川を渡らせ、クリンキやその周辺へ向かわせる理由は明白だ。 クリンキから南下すれば、河口周辺に展開するロシア軍の数個の連隊を孤立させ、ロシアが占領するクリミア半島の玄関口をおさえることができる。 だが、渡河は危険を伴う。ロシア軍は、それを昨年 5 月に体験済みだ。 ウクライナ東部を流れるドネツ川を浮桟橋(ポンツーン)で渡ろうとしたが、川岸でウクライナ軍のドローンと大砲の攻撃に遭った。 結果、80 両近くの装甲車両が破壊され、兵士約 500 人が死亡した。 ウクライナ軍が首尾よく浮桟橋を建設し、戦車や戦闘車両などの重装備をドニプロ川対岸の橋頭堡に運ぶことができたら、それはクリンキ周辺に展開するロシア軍が現時点でかなり小規模で、大きな補強部隊が送られないからかもしれない。 ウクライナにいるロシア軍はあちこちで手薄になっている。 同軍の旅団や連隊はウクライナ南部と東部でいくつかの軸に沿って仕掛けられているウクライナ軍の反攻に対する防衛戦を戦っているだけでなく、アウジーイウカ周辺やクレミンナの森など東部で攻勢をかけてもいる。 特にアウジーイウカへの攻撃では、ロシア軍の損失が非常に大きくなっている。 ウクライナ軍の第 110 機械化旅団と、共に戦う部隊は、数百人ものロシア兵を殺害し、数多くの装甲車両を破壊。わずか 3 週間で 1 個旅団に相当する戦力を消滅させた。 ロシア軍はアウジーイウカ周辺での戦いで失っているのは、兵士や装備だけではない。 ここで失った兵力を、クリンキの橋頭堡破壊など他の作戦に投入するチャンスも逃している。 ロシア軍がクリンキでの勝利を期待できる最大の理由は、ウクライナ軍もまた大きな負荷にさらされていることにあるだろう。 ウクライナ側は、アウジーイウカの防衛と反攻の継続を両立するのに苦戦している。 ロシアがウクライナに侵攻して 1 年 8 カ月が過ぎたが、「双方の戦力はほぼ互角だ」と CIT は指摘。 「どちらも本格的な突破口を開き、それを利用するだけのリソースを持っていない」と分析している。 だが、ウクライナ軍がクリンキやその他の攻撃作戦よりアウジーイウカの防衛を優先する気がないのは明らかだ。 アウジーイウカはロシアが占領しているドネツクの北西に位置しており、この地域ではロシア側の兵たんが強固だ。 ロシア軍が大隊を次から次へとアウジーイウカに投入し続けているにもかかわらず、ウクライナ軍は同市を守る第 110 旅団などの部隊にわずかな援軍しか送っていない。 米シンクタンクの戦争研究所はロシア軍のアウジーイウカへの攻撃が始まった翌日の時点で、「ウクライナ当局はすでに、ロシア軍のアウジーイウカへの攻撃は戦力引き付け作戦だと認識しており、この軸に兵力を過度に投入することはないだろう」と指摘した。 もし第 38 海兵旅団がクリンキの橋頭堡を保持・拡大できれば、それはウクライナ軍がアウジーイウカに回す戦力を節約したことと、廃虚と化したアウジーイウカをあえて危険にさらす判断をしたことが功を奏した形となるだろう。 (David Axe、Forbes = 10-31-23) バフムトでロシア軍攻勢 ウクライナ「厳しい情勢」 【キーウ】 ウクライナのシルスキー陸軍司令官は、東部ドネツク州バフムトでロシア軍が部隊を大幅に増強し、防衛から転じて攻勢を強めているとの見方を示した。 「依然として厳しい情勢が続いている」と訴えた。 インタファクス・ウクライナ通信が 30 日、インタビューを伝えた。 シルスキー氏は、ロシア軍が空挺部隊を投入し、失地を取り戻そうとしていると指摘した。 目標に突っ込んで自爆する「カミカゼ・ドローン」の増加にも警戒感を示した。 ウクライナ南部ヘルソン州当局者は 30 日、州内を走るバスにロシア軍の砲撃があり、男女 7 人がけがをしたと明らかにした。 (kyodo = 10-31-23) ウクライナ軍、クリミアでロシア軍の防空システム「攻撃成功」 ウクライナ軍は 30 日、ロシアが併合したクリミア半島に設置されているロシア軍の防空システムの一部への「攻撃に成功した」と発表した。 ウクライナ軍は、黒海に面した同半島への攻撃を強めている。 同軍の戦略的コミュニケーション部門はソーシャルメディアに、「軍は占領下のクリミア西岸で、戦略的目標の一つである防空システムへの攻撃に成功した」と投稿。 ただし、これ以上の詳細には言及しなかった。 ロシア側からも公式なコメントはないが、ロシア軍系のテレグラムチャンネル「リバル」は、ウクライナ軍によるクリミアへの「複合的攻撃」があったと伝えた。 同チャンネルによると、ウクライナ軍は米国から供与された長距離地対地ミサイル「エータクムス」 2 発を発射。 クリミア西岸部にあるオレニウカに着弾したものの、深刻な損害はないという。 (AFP/時事 = 10-30-23) ロシア軍兵士、ウクライナ東部で相次ぎ投降 … 「犠牲いとわない攻撃」で士気低下か ウクライナメディアによると、ウクライナ軍報道官は 29 日、ロシア軍が攻勢を続けるウクライナ東部アウディーイウカで、露軍兵士の投降が相次いでいると明らかにした。 報道官は「露軍の司令官は、威圧や暴力で兵士を無理やり戦わせている」と指摘した。 アウディーイウカでは、露軍が犠牲をいとわない攻撃を展開し、今月 10 日以降だけで推計で 5,000 人を超す死傷者が出ている。 露軍では戦闘を拒否する兵士が続出し、報道官は「前日だけで約 10 人のロシア兵が投降した」と述べた。 戦況を知らされないまま戦場に送り込まれている露軍兵士が多数いるという。 米国家安全保障会議 (NSC) のジョン・カービー戦略広報調整官も 26 日の記者会見で、露軍がアウディーイウカなどで「命令に従わない兵士を処刑しているという情報がある」と述べた。 兵士たちは適切な装備や物資を与えられず、士気が低下しているという。 在米露大使館は SNS への投稿で、カービー氏の発言について「とんでもないウソだ」と反発した。 (yomiuri = 10-30-23) 東部でロシア軍機撃墜と表明 製油所もドローン攻撃 【キーウ】ロシアの侵攻を受けるウクライナの国境警備隊は 29 日、激戦が続く東部ドネツク州アブデーフカ周辺で、ロシア軍機を対空ミサイルで撃墜したと表明した。 スホイ 25 攻撃機の可能性があるという。 ウクライナ保安局当局者は 29 日、地元メディアに、ロシア南部クラスノダール地方の製油所を 2 機のドローンで攻撃したと明らかにした。 製油所では昨 年 700 万トン以上の航空燃料が製造され、軍用機に使用されていたとしている。 ロシア国防省は無人機を迎撃したと発表した。 またニューヨーク・タイムズは 28 日、ウクライナが米国と、現有のソ連製兵器と欧米供与兵器を組み合わせた防空システムの構築を進めていると報じた。 (kyodo = 10-30-23) ウクライナ提唱の和平案協議 = 東部アウディイウカで攻防続く 【ワシントン】 地中海の島国マルタで 28 日、ウクライナが提唱する和平案「平和の公式」について議論する各国政府高官による国際会議が開かれた。 ウクライナのゼレンスキー大統領によれば、66 カ国が参加した。 ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、将来の和平協議に向けウクライナ側の主張への理解を広める狙いがある。 ゼレンスキー氏は 28 日の国民向けビデオ演説で、「昨年私が初めて平和の公式を紹介した時、世界はまだ(和平実現に向けて)さまざまなビジョンや異なるアプローチを議論していた」と述懐。 「世界の多数が、共有された公正なビジョンを軸に徐々に団結しつつある」と会議の成果を強調した。 日本からは秋葉剛男国家安全保障局長が出席した。 平和の公式は、ロシア軍の撤退や領土の回復など 10 項目で構成。 会議では、このうち食料供給や核・原子力の安全の確保などを重点的に議論した。 ロシアは平和の公式を「実現不可能だ(ラブロフ外相)」として拒否している。 一方、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地アウディイウカ周辺では両軍の攻防が続いている。 ウクライナ軍参謀本部は 28 日も「敵(ロシア軍)は突撃を試みたが、失敗した」と主張した。 英国防省は「ロシア軍は恐らく最大 8 個旅団をこの地域に投入している」と分析。 しかし、死傷者が非常に多く、ロシア国内でも軍の戦術を批判する声が上がっていると指摘した。 その上で、政治指導者の要求に軍が応えられていないとし、「ロシアの軍事的・政治的課題は戦争を通じて何も変わっていない」と述べた。 (jiji = 10-29-23) 積み重なるロシア兵の屍、「孤塁」アウジーイウカを守る第 110 旅団の死闘 10 月 10 日、ウクライナ東部ドネツク市のすぐ北西にあるウクライナ軍の要衝アウジーイウカ周辺に対して、ロシア軍の 3 個旅団が攻撃を仕かけた。 激しい砲撃に続いて行われたこの攻撃は、明らかに「固定(フィクシング)作戦」だった。 ロシア軍はこの攻撃を通じて、ほかの前線で戦っているウクライナ軍の旅団を引き剥がし、こちらに張り付けることを目論んだのだ。 だが、これまでロシア側の狙いどおりにはなっていない。 「ウクライナ当局は、アウジーイウカへの攻勢はロシア側による固定作戦だと認識しており、この軸に過剰な兵力を投入する公算は小さい」ワシントン D.C. にある戦争研究所(ISW)は早くも 11 日時点でそう分析している。 現に、ウクライナ軍によるアウジーイウカへの比較的大きな増援は、確認できるものでは第 47 独立機械化旅団の 1 個もしくは 2 個大隊だけだ。 第 47 旅団は最近まで、南部ザポリージャ州のメリトポリに向かう軸の反転攻勢を主導していた部隊である。 つまり、アウジーイウカにいるウクライナ軍の数個旅団は現存の兵力で、より大きな兵力のロシア軍部隊による連続攻撃に持ちこたえねばならなかった。 この町の北面に配置された第 110 独立機械化旅団は、そうした旅団の 1 つだった。 2,000 人規模の第 110 旅団はウクライナ軍で最も経験豊富な部隊というわけでもなければ、最も装備の充実した部隊でもない。 だが、この旅団は現時点で、ウクライナの戦争努力において最も過酷で最も重要な仕事をしていると言っても過言ではない。 1,000km 近くにおよぶウクライナの前線からほかの旅団を引き離させずにアウジーイウカを死守することで、ウクライナ軍が南部と東部で始めて 5 カ月近くたつ反転攻勢を停止せずに済むようにしているからだ。 「第 110 機械化旅団の英雄的な戦いぶりは言葉では言い表せない。」 ウクライナのジャーナリスト、ユーリー・ブトゥーソウはそう記している。 塹壕に配された第 110 旅団の兵士たちは、対戦車ミサイルや対空ミサイルを撃ち込んだり、24 時間運用しているドローン(無人機)から爆弾を落としたり、あるいは近傍の第 55 独立砲兵旅団から支援射撃を受けたりしながら、ブトゥーソウによると 13 日間でロシア軍の装甲車両を 200 両以上破壊し、兵士 800 人以上を殺害した。 「途方もない数だ。 何百もの死体が農地や野原に転がっている」とブトゥーソウは書いている。 しかも、第 110 旅団はそれほど新しい装備が配備されているわけでもない。 この旅団が主に使っている車両は旧ソ連やチェコ、オランダ製のもので、むしろかなり老朽化している。 具体的に言えば、オランダから供与された防護の薄い YPR-765 装甲兵員輸送車、旧ソ連軍から引き継いだやはり軽装の BMP-1 歩兵戦闘車、チェコから剰余分を譲渡されたダナ自走榴弾砲や RM-70 自走多連装ロケット砲などだ。 こうした可もなく不可もなくといった程度の車両を、第 110 旅団は独創的に用いてきた。 3 月に撮影された動画には、泥だらけの場所を第 110 旅団のYPR が前進しては反転し、そしてまた前進するという一見奇妙な動きをしながら、近くのロシア軍陣地に向けて重機関砲で射撃している様子が映っていた。 YPR のダンスは、敵が照準を合わせるのを難しくし、装甲の薄いこの車両を守るのに役立ったかもしれない。 とはいえ、第 110 旅団が持ちこたえてきたことは装備や戦術だけでは説明できない。 これほど激しい戦闘では、装備や戦術以上に士気が重要になる。 「この旅団は 1 年半にわたって、まったく交代せずにアウジーイウカを防御してきた」とブトゥーソウは驚嘆している。 「かなりの数の部隊が、あらゆる種類の兵器による攻撃にさらされているアウジーイウカから一歩も出ないで、ずっとそれぞれの陣地で生活している。」 「想像するのですら難しい」とブトゥーソウは続ける。 「これらの鋼鉄の男たちは、世界のほかのどんな軍隊も耐えられないであろう状況で戦っている。 ロシア軍ならあっさり逃げ出しているだろう。」 壕に潜み、ロシア軍が最も好みそうな攻撃ラインで待ち構える第 110 旅団はおそらく、ここを放棄しない限り敗北することはないだろう。 「わたしたちの兵士たちは長い戦闘で疲弊している」ともブトゥーソウは伝えている。 ロシア兵たちも、ウクライナ側が自分たちを殺すのに飽きてくれることを望んでいる。」 (David Axe、Forbes = 10-29-23) ウクライナ軍、今月 10 日以降で「ロシア軍の死傷者 5 千人」 … 装甲車 400 台破壊 ウクライナ国防省系メディアによると、ウクライナ軍報道官は 26 日、ウクライナ東部アウディーイウカとドネツク近郊で 10 月 10 日以後、「ロシア軍の死傷者が 5,000 人に達する」と述べた。 装甲車は約 400 台が破壊されたとしている。 報道官によると、露軍は攻撃ヘリ「Ka52」や戦闘機「Su25」などの航空戦力を投入し、アウディーイウカの包囲を試みている。 米政策研究機関「戦争研究所」も 26 日、衛星写真の分析などから、露軍が 10 月 10 - 20 日に装甲車や戦車など少なくとも 109 台を破壊されたと発表した。 露軍はアウディーイウカに追加の兵力を投入しているが、「装甲車など兵器の損耗を埋めるのに苦労する」と指摘した。 長期的に、露軍の作戦能力の弱体化につながる可能性もあるとしている。 一方、英国防省は 26 日、北朝鮮の弾薬がロシア西部に到着したのはほぼ確実だとする分析を発表した。 ここ数週間でコンテナ 1,000 個以上が運び込まれており、規模と頻度が維持された場合、「北朝鮮はイランやベラルーシと並ぶ最も重要な武器供給国の一つになる」と指摘した。 インターファクス通信によるとドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は 26 日、「北朝鮮は隣国で、あらゆる分野での緊密な関係を続けていく」と述べた。 (yomiuri = 10-28-23) |
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