... - 55 - 56 - 57 - 58 - 59 - 60 - 61 - 62 - 63 - 64 - 65 - ...

たしかに見えない … ウクライナ、兵士を敵の目から隠す「透明マント」開発 特殊作戦に効果発揮か

ウクライナ政府が主導する研究プログラムが、赤外線センサーから対象者を「隠す」マントを開発。 その性能の高さを示す動画を公開した。

高性能なカメラを搭載した多くのドローンが飛び交うウクライナの戦場では、夜間であっても兵士たちは常に敵から攻撃を受ける脅威にさらされている。 そうした状況を変える可能性をもった「透明マント」の量産準備が整ったと、ウクライナの開発チームが本誌に語った。 その魔法のようなマントの効果は、テストの様子を撮影した動画を見れば一目瞭然だ。 この「透明マント」は、ロシアの赤外線センサーからウクライナの兵士を隠すことを目的に開発されたもの。 すでに月間 150 枚の生産が可能な状態だという。

ウクライナ政府が主催する研究プログラム、ブレイブ 1 の下でマントを開発しているチームのマキシム・ボリアックは 10 月 4 日、戦場で使われている暗視装置に対応するため、すでにマントは改良段階に入っていると説明した。 「マントをテストした軍からは、肯定的なフィードバックとともに、助言や要望があった」とボリアックは振り返り、「私たちの科学研究が近い将来、改良版マントの成功によって報われることを願っている」と述べた。

10 月に入り、ブレイブ 1 がマントのテストの動画を公開すると、ウクライナの新技術担当副首相兼デジタルトランスフォーメーション (DX) 担当相ミハイロ・フェドロフは、「おとぎ話の透明マント」に例えてその性能を称賛した。

実際の完成度は動画で示されている以上に高い

ボリアックによれば、この技術の実際の完成度は動画で示されている以上に高いという。 「動画では人間の顔部分を認識することができるが、これは専用マスクで覆われていないためだ。 マントのキットにはフェイスマスクが含まれている」とボリアックは説明する。 「フェイスマスクと専用のサングラスを着ければ、赤外線カメラからは完全に見えなくなる。」 「現在、生産能力は月間 150 枚が限界だが、必要であれば増産も可能だ」とボリアックは述べる。 ウクライナ軍がこの技術を採用するか、採用する場合はいつになるかは不明だ。

「動画で紹介したサンプルは量産可能だ。 周囲に自然植生があれば、立っているとき、座っているとき、横たわっているときと、どのような姿勢でも幅広く使用できる。 開けた場所では、横たわっているときのみマントを使用できる。」

ボリアックによればこの技術は、隠密行動が必要な部隊をはじめ、さまざまな専門部隊を念頭に置いて設計されているという。 特殊作戦、偵察、破壊工作、工兵、狙撃、さらには、塹壕の監視所で見張りを行う兵士、軍事施設をパトロールする兵士などだ。 とはいえ、ウクライナ兵士による実戦での使用は限定的なものになるかもしれない。 「マントのマスキング特性は、マントを着用した人が非常にゆっくり動く限り、永続的に維持される。 例えば、起伏が多い場所を素早く移動するときなどと違い、体から余分な熱が放出されないためだ。」とボリアックは説明する。

「このマントは、ゆっくり体勢を整えることを前提に使用するもので、急激な動きには適していない。 体から余分な熱が放出され、マントの通気口からわずかに熱が漏れ出すためだ。」 ただし、着用者が周囲の植物に紛れていれば、危険な熱の漏れは多少隠すことができる、とボリアックは補足した。

戦争が急速なイノベーションを促している

ロシアによる本格的な侵攻は、技術と戦術の急速なイノベーションを促している。 また、西側の先進的な軍装備品が徐々に導入されていることで、さらにイノベーションに拍車が掛かっている。 今回の新しい熱対策技術はウクライナ軍に、夜間の戦場における優位性をもたらす可能性がある。 現在、さまざまな種類のドローンがほぼ常時監視活動をおこなっており、高度なカメラを搭載するものもある。 「『善』と『悪』は常に隣り合わせだ。 新しいタイプの兵器と、それを打ち負かし、無力化しようとする手段の戦いもそうだ。」とボリアックは話す。 「だからこそわれわれは、何かを達成したとしても、そこで立ち止まることはない。」

ボリアックによれば、現在の計画は「製品を改良し、開けた場所での素早い動きに対応させること」だという。 「ほかの科学者たちと協力し、その方向で研究を進めている。 年末までには、カムフラージュ効果を高めた新型マントの本格的なテストを実施する予定だ。」 「新型マントのマスキング特性をさらに拡大するには、この製品に使用される新素材のテストが終わるまで、少し待つ必要がある。」 (NewsWeek = 10-7-23)


ドイツ、ウクライナに地対空ミサイルを追加供与へ

ドイツのショルツ首相は 5 日、欧州各国の首脳らが集まる会合が開かれたスペイン南部グラナダで、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。 ショルツ氏は会談後、記者団に対し、ウクライナへの地対空ミサイル「パトリオット」の追加供与を伝えたことを明らかにした。 ショルツ氏は、ウクライナでロシアによるミサイルやドローン(無人機)による攻撃が続いていることを踏まえ、「高性能なシステムで防空を確かなものにすること、それが今もっとも必要とされていることだ」と述べた。

一方、ウクライナがドイツに求めていた長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与は見送った。 ショルツ氏は「我々は憲法に規定されていることや、行動にどんな選択肢があるのかを、常に考慮に入れなければならない」と説明。 「そこには戦争がエスカレートしないことや、ドイツが紛争の一部にならないようにしなければならないことが含まれている」と述べ、慎重な姿勢を示した。 ドイツではタウルスを供与してロシア領土の攻撃に使われることを警戒する見方が出ている。 (asahi = 10-6-23)


ロシア空軍の新鋭機「Su-35」ウクライナ侵攻で 5 機を喪失? 最前線にも投入

ロシア空軍が喪失した約 90 機のうち 5 機が「Su-35S」か?

イギリス国防省は 2023 年 10 月 4 日(水)、ウクライナ紛争の状況に関する分析を更新。 ロシア軍が、現在の最前線から約 20 km後方にあるトクマク上空で、自軍の Su-35S 戦闘機を誤射で撃墜した可能性が高いと発表しました。 イギリス国防省は、ロシア空軍がウクライナ侵攻で、既に約 90 機の固定翼機を喪失していると分析。 ただ、新鋭戦闘機である Su-35S の損失は、現時点で 5 機にとどまっているとしています。 Su-35S は、旧ソ連が開発した Su-27 を発展させた機体で、第 4++ 世代機に相当します。 空対空の制空任務のほか、対地攻撃も可能です。 ロシア空軍では、最新鋭の第 5 世代ステルス戦闘機である Su-57 の配備があまり進んでおらず、Su-35S は重要な役割を担っています。

ウクライナ侵攻では、Su-57 が最前線に姿を見せない一方、Su-35S は激戦が続くトクマク周辺の戦いに投入されるなど、広範に運用されているようです。 トクマクはウクライナ南部ザポリージャ州の要衝で、ウクライナ軍が奪還を目指している街です。 ただ、ロシア軍が要塞化を進めて指揮所などを設け、防空システムも展開させているといいます。 イギリス国防省によると、ウクライナ軍は前線後方への攻撃を継続しており、トクマクに展開するロシア軍の防空システムは、かなり高度な警戒体制を敷いているそう。 今回発生した誤射は、そうした状況の中で発生したとしています。

ちなみに、この Su-35S はウクライナだけでなく、日本にとっても注意を要する戦闘機です。 防衛省が公開している「防衛白書」によると、2018 年から北方領土の択捉島に進出が確認されたとしています。 (乗りものニュース = 10-6-23)


ロシアが東部攻撃、50 人超死亡 「残忍な犯罪」とゼレンスキー氏

【キーウ】 ウクライナのクリメンコ内相は 5 日、ロシア軍が東部ハリコフ州クピャンスク近郊の村を攻撃し、51 人が死亡したと明らかにした。 ゼレンスキー大統領は通信アプリへの投稿で、「残忍なロシアの犯罪だ」と非難した。 州知事によると、現場は市民が集うカフェなどの店舗があり、死者には 6 歳の子どもも含まれる。 救助活動が続いており、死傷者は増える可能性がある。 攻撃は午後 1 時過ぎにあった。 クリメンコ氏によると村は人口約 300 人。 故人の追悼行事で、参列者がカフェに集まっていた。 地元メディアが伝えた。

米シンクタンク、戦争研究所は 4 日、ロシア黒海艦隊が司令部を置くウクライナ南部クリミア半島の軍港セバストポリからロシア南部ノボロシースクの港に少なくとも 10 隻の軍艦を移動させたと分析した。 激化するウクライナの攻撃から防御するためだとしている。 1 - 3 日に公開された衛星画像を解析した。 一方、ロシアのシンクタンクは、移動は通常任務の一環だと指摘した。 (kyodo = 10-5-23)


ウクライナ軍、南部の反転攻勢で前進 東部でも抗戦

ウクライナ軍当局者は、南部の反転攻勢で一定の前進があったと明らかにした。 東部の前線でもロシア軍の攻撃に抵抗しているという。 南部部隊の報道官は「(ザポロジエ州)ロボティネの西で部分的な成功を収めた」とし、「一部地域では 100 - 600 メートル前進している」と述べた。 ウクライナ軍参謀本部はロシア軍が東部ドネツク州アンドリーフカ周辺を再び制圧しようと試みたが失敗したと明らかにした。 アンドリーフカはウクライナ軍が 9 月に奪還していた。 一方、ロシア国防省はアンドリーフカと近郊集落に近いウクライナ軍の陣地を攻撃したと発表した。

また、夜間にウクライナがロシア南部 3 州上空に飛ばしたドローン(無人機) 31 機を撃墜したと述べた。 死傷者や被害はなかったという。 ウクライナの治安当局筋は先に、同国軍がロシア西部ベルゴロド州に無人機攻撃を行い、「S400」防空施設とレーダーを攻撃したと述べていた。 (Reuters = 10-5-23)


ウクライナ特殊部隊がクリミア半島に上陸、任務完了後に撤退 … 複数の現地メディア

複数のウクライナメディアは 4 日、ロシアが一方的に併合したクリミア半島に特殊部隊が上陸し、露軍に大きな損害を与えたと報じた。  ウクライナ国防省情報総局が明らかにしたというが、作戦の詳細な場所や日時は伝えていない。 ウクライナ当局が公開した動画には、特殊部隊を乗せたとみられる複数のボートが浜辺に接近する様子が映っている。 任務完了後に部隊は撤退したが、損害も出たという。 タス通信によると、露国防省は 4 日、クリミア西部に到達しようとしたウクライナ軍の上陸を阻止したと明らかにした。

ウクライナ軍は最近、2014 年にロシアに一方的に併合されたクリミアへの攻撃を続けている。 9 月 13 日に南西部セバストポリの造船所へのミサイル攻撃で露軍の大型揚陸艦などを損傷させたほか、22 日にもミサイルで露軍黒海艦隊司令部を攻撃した。 クリミアは南部戦線への露軍の物資補給地となっているほか、ウクライナ各地に向けた長距離ミサイルの発射拠点でもある。 一連の攻撃は、露軍の戦闘能力の弱体化を狙ったものとみられる。 (yomiuri = 10-5-23)


ロシア黒海艦隊、60 年代の哨戒飛行艇を引っ張り出す ドローン潜水艇対策か

巡航ミサイルの標的となり、爆発物を積んだ水上ドローンに苦しめられ、ドローン潜水艇による攻撃も近く始まると予想される - - 窮地に立つロシア黒海艦隊は、保有するあらゆる海軍哨戒資産を動員している。 その中には、かなり老朽化したベリエフ Be- 12 対潜哨戒飛行艇も含まれている。 英国防省の 2 日の報告によると、黒海艦隊では「ウクライナ南部の戦線で同時多発する脅威への対処に苦慮する中、ここ数週間は、海軍航空部門が艦隊の作戦において特に重要な役割を担っている」その「主要任務」は「無人水上艇の早期発見」であり「作戦のカギを握る戦力は、1950 年代に設計された水陸両用機 Be-12 で、占領下のクリミアの基地から飛び立っている」という。

製造されて 50 年以上が経つ双発エンジンの哨戒飛行艇 3 機が、黒海周辺で哨戒や救難の任に就いている可能性があるというのだ。 ロシア海軍航空隊は、他の艦隊でも 3 機の Be-12 を運用しているとの情報もある。 Be-12 が目撃されることはまれだ。 そのため、2022 年 8 月 9 日にウクライナがクリミア半島西岸にあるサキ空軍基地を攻撃した数日後、同基地をとらえた商業衛星画像に特徴的なガルウイングの飛行艇が 1 機写っていたときは、ちょっとしたニュースになった。

このときのウクライナ軍の攻撃はドローンか弾道ミサイルによって行われ、基地に駐機していた複数のロシア海軍戦闘機が損傷するか破壊された。 だが、Be-12 は損害を免れたようだ。 空襲直後の衛星画像では、飛行艇は被害の大きかった駐機場から少し離れた護岸に駐機していた。 重量 32 トンの Be-12 は、1960 年代にソビエト連邦艦隊に就役した。 最大速力は時速およそ 530 キロ、積載量は 7 トン、着水可能で哨戒・救難任務をこなし、輸出でもそこそこの成功を収めた。

ウクライナ海軍は、1991 年のソ連崩壊時に 7 機の Be-12 を引き継ぎ、サキ基地を拠点に運用していた。 2014 年 2 月にロシアがクリミアに侵攻した際、脱出できた Be-12 は 1 機だけで、残りは鹵獲された。 奇妙なことに、ロシア軍はクリミアで鹵獲したウクライナ軍機の多くをウクライナに返還し、その中には Be-12 も 1 機含まれていた。 ウクライナ軍所属の 2 機の Be-12 は 2 年後、黒海で北大西洋条約機構 (NATO) が実施した多国籍軍事演習「シーブリーズ」に参加。 両機とも、少なくとも 2019 年までは運用されていた。 しかし、2021 年後半に撮影された 2 枚を含む直近の写真を見ると、機体は修理が行き届いていないようで、運用が中止された可能性が高い。

いまや黒海上空は、特にウクライナの航空機にとっては非常に危険な空域となっており、速度の出ない飛行艇ならなおさら危ないため、運用中止は理にかなっている。 ウクライナ海軍にはもはや大型戦艦はなく、陸上の対艦ミサイルや無人機、無人水上艇で戦うことがほとんどだ。 そこに間もなく無人潜水艇が加わるが、50 年前に製造された飛行艇の維持にかかる優先順位が低いのは間違いない。

黒海上空の制空権争いは、クリミアに残存する S-400 地対空ミサイルの援護を受けられるロシアがやや有利となっている。 もちろん、ウクライナがクリミアにあるロシアの防空施設を攻撃し続ければ、状況は変わるかもしれない。 昨年 8 月にサキ基地に駐機していた Be-12 が飛行可能な状態かを確認するすべはない。 だが、黒海艦隊に所属する 3 機の Be-12 のうち少なくとも一部が、クリミア沖で今も運用されているらしい証拠がある。

英情報機関の予測では、ロシアは年代物の Be-12 による偵察でドローン潜水艇の接近を発見しようとしている。Be-12 は機首に短距離水上探査レーダー、尾翼に APM シリーズ磁気探知機を搭載しているが、旧式のセンサー類はとっくに保守対象外の可能性が高い。 その場合、探索は目視に頼って行われることになるが、日中に限定される上、効果はほとんど期待できない。 いうまでもなく、潜水艇を肉眼で発見するのは至難の業だ。 残存艦艇を哨戒艦やヘリコプターで囲んだほうが役に立つかもしれない。

黒海艦隊はこれまでに巡洋艦 1 隻、揚陸艦 3 隻、潜水艦 1 隻、補給艦 1 隻、哨戒艇と上陸用舟艇数隻を失ったが、アドミラル・グリゴロビッチ級フリゲート艦 3 隻、キロ型潜水艦 5 隻、艦隊停泊地の近接防御を担うグリシャ III 型や 22160 型のコルベット艦各 4 隻を含む小型艦艇数十隻は、いまだ健在だ。 1,000 トン級のグリシャ III は、デュアルソナーを搭載した対潜艦。 1,700 トン級の22160 型は対艦・対地火器や巡航ミサイルで武装し、カモフ Ka-27 対潜ヘリコプター用の飛行甲板を備えている。 グリシャ III がドローン潜水艇を広範囲に探索し、22160 型が水上ドローンに警戒し、レーダーとソナーを装備したカモフが両者を支援できる。

ただ、老朽化した Be-12 については、日中限定で飛び回り、高速で接近するウクライナのドローンの機影を発見しようと乗員が目を皿のようにして窓から外を覗こうとも、大きな貢献は期待できないだろう。 (David Axe、Forbes = 10-5-23)


ロシア将校ら「混乱発生」と投稿 南部占領地域、住民ら避難か

【キーウ】ウクライナ南部ザポロジエ州メリトポリの市長は 4 日、ロシアが占領し、ウクライナが奪還を目指す市北東の要衝トクマクで、数日前からロシア軍の将校らが家族らの避難を急ぐなど「混乱が発生している」と通信アプリに投稿した。 学校などが立ち退きを始め、行政機関や商店、市場の 4 日の休業が発表されたとしている。 英国防省は 4 日、トクマク上空で 9 月下旬、ロシア軍の最新鋭戦闘機スホイ 35 が自軍の防空システムに撃墜された可能性が高いとの分析を公表した。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 3 日、激戦地となっている東部ハリコフ州クピャンスクの前線付近の旅団司令部を訪れ、兵士らを激励した。 (Kyodo = 10-4-23)


「クリミア決戦」への備え? ロシア軍がクリミア半島東部に新しく建設した「竜の歯」を映像で確認

クリミアでウクライナ軍を迎え撃つ事態が迫っているとロシア軍が考えた証拠が見つかった

ロシア軍が、クリミア半島東部で新たに対戦車防衛線を構築したことが、映像から判明した。 ウクライナ南部の戦闘の最前線からはかなり離れているが、もしウクライナ軍がクリミア半島を制圧する事態になった場合には脅かされかねないロシア本土国境に近い場所だ。 ウクライナ人と、クリミア半島に起源を持つ先住民族クリミア・タタール人からなる軍事パルチザン運動「アテシュ」が 10 月 4 日に公開した映像には、港湾都市フェオドシヤ付近に「竜の歯」の呼称でしられる防衛ラインとみられるものが映っている。

この町は、ロシアが一方的に併合したクリミア半島の東端に位置しており、クリミア半島をロシア本土を結ぶケルチ海峡の南西方向にある。 ロシア政府は、2014 年からクリミア半島を実効支配しており、2022 年 2 月に始まった本格的な侵攻の期間を通じて、ウクライナ攻撃の足がかりとしてこの半島を使ってきた。 これに対してウクライナ政府は、クリミア半島を必ず奪還すると繰り返し表明している。 現在ウクライナ軍は、やはりロシアに併合されたザポリージャとヘルソンの 2 州を徐々に攻略しながら南に進軍しているが、その最終目標もクリミア半島だ。

退却も想定?

「竜の歯」とは、戦車の前進を阻み、機械化歩兵の領地獲得を防ぐことを目的とした、鉄筋コンクリート製の障害物だ。 とくに新しいものではなく、適当な道具さえあれば撤去はそれほど難しくない。 だが、ウクライナ軍の南進のスピードを遅らせ、ウクライナ軍を一点に集中させる効果はある。 ロシア軍の動向を追うアナリスト、イアン・マトヴェイエフは 2023 年 4 月、ワシントン・ポストにこう語っている。 「ロシア軍はどうやら、近い将来にクリミア半島を防衛する必要が生じることを理解しているようだ。」

オランダにあるハーグ戦略研究センター所属の戦略アナリスト、フレデリック・メルテンスによると、フェオドシヤ北東部にある「竜の歯」は、町から約 16キロ離れたケルチ半島の最も狭い部分に設置されているという。 もし本当にウクライナがクリミアに進軍して勢力下に収めた場合、ここは、ウクライナ軍によるケルチ半島全体への侵攻を阻止するのに適した場所だ、とメルテンスは本誌に語った。 「北部から撤退するロシア軍にとっては、理にかなった退却ポジションだろう」とメルテンスは付け加えた。 「ここなら、攻撃を食い止めて、力を蓄えることもできる。」

だが、クリミア半島の東側に設けられた大規模な「竜の歯」が、緊急事態に向けたロシア軍の周到な防衛準備なのか、あるいは、「敗北主義的な」態度を示すものなのかは判断が難しい、とメルテンスは言う。 「後衛からあまりに離れた場所に防衛線を準備するのは、当然ながら、あまり自信が感じられる態度とは言えない。 一方で、優秀な司令官は、常に安全確保を頭に置き、最悪のシナリオについても計画を立てておくものだ。」

アテシュはまた、ロシアの長距離ミサイルシステム「S-300」が設置されている 7 つの地点を特定し、クリミア半島のグヴァルディスコエ空軍基地周辺で新たな要塞が築かれていることを確認したという。 ウクライナ軍とつながりがある同国の公的機関「国民レジスタンスセンター」も 10 月 1 日、ロシアは、クリミア半島内陸にある街シンフェロポリに防空装備を移送し、防衛のための構造物を強化していると報告している。 (NewsWeek = 10-4-23)


ウクライナへ提供する弾薬「枯渇寸前」 NATO 当局者らが警告

北大西洋条約機構 (NATO) と英国の当局者は 3 日、西側諸国がウクライナに提供する弾薬が枯渇しつつあり、増産する必要があると警告した。 NATO のロブ・バウアー軍事委員長は同日、ワルシャワ安全保障フォーラムでの討議の中で「弾薬の在庫が底を尽きつつある」と発言。 「防衛産業界が生産を大幅に増強する必要がある」と指摘した。 バウアー氏によると、ウクライナを支援する国々はロシアがウクライナに侵攻する前に予算を増額したが、生産能力は増強していない。 それにより、弾薬の価格は侵攻前に上昇していたという。

バウアー氏は「兵器や弾薬をウクライナに送ることはいいことだが、在庫が十分にある倉庫から提供しているわけではないという事実により、弾薬を取り巻く状況は悪化した。 欧州の兵器や弾薬の倉庫が半分かそれ以下の状態からウクライナに提供を始めたため、在庫が底を尽きつつある」と説明した。 バウアー氏とともに登壇した、英国のジェームズ・ヒーピー国防担当閣外相は「ぎりぎり」の生産モデルは「明日の戦闘に備える必要があるときに間違いなく機能しない」と警告。 また、ウクライナへの支援は継続すべきとの考えを示した。

ヒーピー氏は「在庫が少なくなっているからといって支援をやめることはできない」、「ウクライナが今夜、そして明日以降も戦えるようにしなければならない。 我々が供給をやめれば、ロシアのプーチン大統領が自動的に戦争をやめるわけではない。」と指摘。 「それはウクライナに日々供給し、我々の在庫も再構築することを意味する」と増産の必要性を訴えた。 (CNN = 10-4-23)


ウクライナ高官、費用対効果高い兵器求める 対ロシア無人機で

ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は 2 日、ウクライナに供給されている西側の対空システムを再評価する必要性を指摘し、ロシアが使用しているイラン製無人機「シャヘド」に対抗するには、よりシンプルで安価な兵器の方が費用対効果が高い可能性があるとの見解を示した。 シャヘドはほぼ日常的にロシアによる攻撃に使用されている。 ポドリャク氏は X (旧ツイッター)への投稿で、米国の「NASAMS」やドイツの「IRIS-T」といった西側のシステムはミサイルの迎撃に使用されているが、シャヘドに使用するには費用対効果が悪く、「同盟国の備蓄減少と長期的な弱体化につながる」と指摘。

「解決策は明白だ。 移動式の大口径機関銃に加え、シャヘドに対して有効であることが証明されている、よりシンプルで安価な対空システムが多くある。 ゲパルトやバンパイアなどだ。」と語った。 ゲパルトはドイツ製の対空戦車。 バンパイアは米国製の対無人機システム。 ポドリャク氏はこのような規模縮小により、ロシアの攻撃による影響を最小限に抑え、ウクライナ上空と近隣の北大西洋条約機構 (NATO) 諸国の長期的な安定を確保できるとした。 (Reuters = 10-3-23)


マスク氏、ゼレンスキー氏の軍事援助要請をやゆ ウクライナ反発

[キーウ] ウクライナ最高会議(議会)は 2 日、米実業家イーロン・マスク氏がゼレンスキー大統領について、ロシアの攻撃に対抗するため西側諸国に軍事援助を繰り返し求めているとやゆしたことに反発した。 マスク氏は 2 日、X (旧ツイッター)にゼレンスキー氏のミームを投稿。 同氏の画像に「5 分経っても 10 億ドルの援助を求めていないとき」というキャプションを添えた。

これに対し、ウクライナ議会のステファンチュク議長は「(マスク氏は)宇宙を征服しようとしたがうまくいかず、5 分後には困難に陥った」とXに投稿。 同氏率いる宇宙企業スペース X が 4 月に失敗したロケット打ち上げに言及したとみられる。 ウクライナ議会も X の公式ページで、マスク氏がロシアのプロパガンダを広めていると非難。 マスク氏の画像と「5 分経ってもロシアのプロパガンダを広めていないとき」というキャプションを付けたミームを投稿した。 (Reuters = 10-3-23)

〈編者注〉マスク氏は、X での PV 稼ぎの為の行為なのですから、ウクライナもそうむきになることはありません。


ウクライナ兵士、鹵獲した戦車の不調についてロシア製造元に「苦情」

ロシアがウクライナに侵攻してから 20 カ月の間に、ウクライナ軍はロシア軍の T-72B3 戦車を 200 両ほど鹵獲(ろかく)した。 ロシアの軍需企業ウラルヴァゴンザヴォートが同国スベルドロフスク州ニジニ・タギルで製造している T-72B3 はロシアの新型戦車の1つだ。 T-64BV や T-80U、T-72AMT などとは異なり、ウクライナの産業界にはこの種の戦車を扱った経験があまりない。 そのため、鹵獲したロシア軍の T-72B3 に問題が発生したとき、ウクライナ側ですぐに解決できず、「コチェフニク」というコールサインを持つウクライナ軍の戦車兵はウラルヴァゴンザヴォートの技術相談窓口に電話した。 そして信じられないことに、その電話相談サービスは実際に役に立った。 ウクライナの軍事サイト Militarnyi はコチェフニクが電話相談をする様子を映像に収めた。

コチェフニクはウクライナ東部のクラマトルスク周辺で戦うウクライナ軍第 54 機械化旅団に所属している。 同旅団は T-64 戦車や BMP 歩兵戦闘車など、主に旧ソ連時代の装備を運用し、また鹵獲したロシア軍の T-72B3 もいくらか所有している。 コチェフニクの電話はほぼ相手をからかうものだった。 だが、重量 45 トン、乗員 3 人の T-72B3 に対して本当に不満だった。 T-72B3 はオイルを垂れ流し、コンプレッサーは機能していなかった。 電動で回転するはずの砲塔は故障続きで、そのため乗員は手動で回転させなければならなかった。 どんな戦車でも動作が不安定なことはあるものだが、コチェフニクが対処していた故障の数々は、ウラルヴァゴンザボードの製品の品質に一貫性がないことを物語っているのかもしれない。

電話に出たアレクサンドル・アナトレビッチというロシア人は、コチェフニクがウクライナ軍の兵士であることに明らかに気づいていなかったが、ニジニ・タギルの設計局に問題を提起すると約束。 また、チェリャビンスクのエンジン製造会社にも連絡すると言った。 その後もコチェフニクのいたずらは続き、ウラルヴァゴンザボードのディレクター、アンドレイ・アバクモフとも話をした。 アバクモフはコチェフニクにメッセンジャーアプリの WhatsApp で戦車の問題を詳しく説明するよう頼んだ。 そのときになって、コチェフニクは自身がウクライナ人であり、自らが所属する軍隊が昨年末にウクライナ東部イジウム周辺で故障の多い T-72 を鹵獲したことを明かした。 そしてコチェフニクは笑いながら電話を切った。 (Divid Axe、Forbes = 10-3-23)


ロシア西部のミサイル工場を攻撃、「深刻な損害」 ウクライナ国防省

ウクライナ国防省情報総局は 2 日、ロシア西部スモレンスク州のミサイル工場を攻撃し、「生産能力に深刻な損害を与えた」と発表した。 1 日に 4 機のドローン(無人航空機)で工場を攻撃し、うち 3 機が直撃したとしている。 ロシア国防省は同日、同州に飛来したドローン 2 機を防空システムで撃墜したとしていた。 情報総局は、この工場ではロシア軍がウクライナの北東部から中部、南部にかけての地域を標的に行う空爆でしばしば使われる空対地ミサイル「Kh59」が生産されているとしている。 (asahi = 10-2-23)


南部ヘルソン州に 24 時間で 71 回の砲撃や空爆 1 人死亡

ウクライナ南部ヘルソン州のプロクジン知事は 2 日、同日午前 0 時までの 24 時間でロシア軍が同州内に 71 回の砲撃、空爆を行い、1 人が死亡、61 人が負傷し SNS に投稿した。 戦車や榴弾(りゅうだん)砲、多連装ロケット砲、ドローン(無人航空機)を使った攻撃で 392 発の弾が使われたという。 プロクジン氏は負傷者のうち 2 人は子供だとしている。 さらに 2 日午前 5 時ごろには州都ヘルソン中心部が砲撃され、火災が発生したという。 (asahi = 10-2-23)


ザポリージャ州の前線でロシア軍が反撃、塹壕の一部奪還か

米国のシンクタンク「戦争研究所 (ISW)」は1日、ウクライナの反転攻勢で焦点になっている同国中南部ザポリージャ州の前線でロシア軍が反撃し、以前にウクライナ側に奪われた塹壕の一部を奪還した可能性が高いとの分析を公表した。 反撃があったとみられるのは、ウクライナ軍が 8 月末に掌握を発表した同州西部ロボティネの南西約 1 キロの地点。

ウクライナ軍が塹壕周辺のロシア軍部隊を攻撃する 9 月 30 日撮影の映像が確認できたという。 この塹壕はロシア軍が反転攻勢に対する防衛戦の一部として築き、9 月 13 日にはウクライナ軍が支配下に置いていたことが確認されていた。 その後、ロシア軍に奪い返された可能性が高いという。 塹壕はロボティネから南西約 20 キロのロシア軍の拠点都市トクマクに向かう道路上にある。 ISW はロボティネからの南の戦況について「流動的だ」とした。 (asahi = 10-2-23)


「戦争の新たなステージ」 … ウクライナ、わずか 12 人のドローン部隊でロシア軍に大きな損害を与える

ウクライナの元実業家や映画製作者たちは、ロシアと戦うためにドローンのエリート部隊を編成している。 このチームのリーダーは、8,000万ドル相当のロシア軍の兵器を破壊したと AP 通信に語っている。 9 月 18 日からの一週間だけでも、205 ものロシア軍の兵器を破壊したという。 AP 通信によると、ウクライナの元ビジネスマンや企業幹部、エンジニア、映画製作者などで構成される小規模なグループが、ドローンのエリート戦闘部隊に変身し、戦場でロシアに大きな打撃を与えているという。

アスガルド・グループと呼ばれる 12 人のドローンチームのリーダーは、元は裕福なビジネスマンで、戦場では「ファーマシスト(薬剤師)」と呼ばれている。 ロシア軍に対するウクライナの反転攻勢が遅々として進まない中、ファーマシストは敵の大規模な兵器を手頃な価格の小さなドローンで狙うよう部隊に指示している。 そしてその方法は効果的であることが証明された。 70 万ドル(約 1 億円)の予算で編成されたアスガルド・グループは、ドローンを用いてすでに 8,000 万ドル(約 120 億円)相当のロシア軍装備を破壊したとファーマシストは推定している。

攻撃用ドローンは、通常の武器よりもはるかに安く作れるとファーマシストは説明する。 ファーマシストのような戦場のリーダーが行った戦略が成果を上げたことから、ウクライナ政府は 10 億ドル(約 1,500 億円)を投入してドローン戦闘能力の強化に取り掛かったと AP 通信が報じている。 (Natalie Musumeci、Business Insider = 10-2-23)


ウクライナ軍のレオパルト 2A6 戦車、白昼にロシア軍と接近戦

ウクライナはドイツから供与された、わずか 21 両の砲身の長いレオパルト 2A6 戦車すべてを第 47 機械化旅団に配備した。 同旅団は、南部ザポリージャ州のロボティネからトクマクを経てロシア占領下にある主要都市メリトポリに至る約 80km にわたる軸に沿って進められているウクライナ軍の反攻を率いている。 第 47 旅団は 6 月上旬に、マラトクマチカの南方に広がるロシア軍の第 1 防衛線への直接の攻撃で重量 69 トン、乗員 4 人の 2A6 を3両失った後、戦車を使った戦術を変えた。 それから 3 カ月間、55 口径 120mm 滑腔砲と昼夜使える高性能の照準装置を搭載した 2A6 はほぼ夜間に長距離砲を使って戦った。

だがそれは、百戦錬磨の第 47 旅団が運用する 2A6 が白昼にロシア軍の陣地に向かって突き進み、砲撃を加えることができないということではない。 まさにそうした白昼の戦闘が最近、メリトポリにのびる軸のどこかで行われた。 第 47 旅団が 9 月 29 日にネットに投稿した映像には、戦車と戦闘車両、歩兵によるウクライナ軍の連合部隊と、姿の見えないロシア軍部隊との間で昼間に行われた荒々しい接近戦が映っている。 第 47 旅団の部隊が砲火を浴びたのは、米国製 M2 ブラッドレー歩兵戦闘車が、レオパルト 2A6 と並んで平野を南下していたときだったようだ。 映像では、砲撃が爆発する様子が遠くに映り、またロシア軍が放った小火器の弾が撮影者の頭上を飛んでいる。

ロシア軍が樹林帯から機関銃を撃つと、M2 は後退してスロープを降ろし、乗り込んでいた歩兵 6 人が飛び出す。歩兵らは M16 自動小銃と対戦車ロケットで武装している。 「こっちっだ!」と 1 人の兵士が叫ぶと、他の兵士らはロシア軍の塹壕だったと思われるところに身を隠すために飛び込む。 ある兵士は、ロシア軍は白リン系の焼夷弾を撃っているのだろうと推測する。 M2 が後退する中、2A6 はロシア軍を抑えこもうと主砲で攻撃しながら前進する。 「耳を覆え!」とウクライナ軍の兵士が叫ぶと、砲身の長い主砲から 120mm の砲弾が発射される。

その後数秒間、2A6 のバランスの取れた設計がドラマチックに映し出される。 対戦車ミサイルから乗員を守るためだろうが、2A6 は後部に搭載されたエンジンをロシア軍に向けている。 そして砲撃を加える合間に前後に動く。おそらくロシア軍が狙えないようにするためだろう。 こうした機敏な動きは、主力戦車の T-72 を含め、旧ソ連が開発した戦車の多くはできない。 というのも、より機動性が優れている西側製の戦車に標準装備されている高速で後退するギアがソ連製戦車にはないためだ。

車両から降りたウクライナ軍の歩兵らは、自分たちが特別なものを目にしていることを知っている。 世界で最も優れた戦車の 1 つが、ドイツ防衛機器メーカーのクラウス・マッファイ・ウェグマンが設計したとおりに動いているのだ。 戦車の砲弾が、映像には映っていないロシア軍の陣地に打ち込まれると、歩兵たちは歓喜の声を上げる。 この接近戦が第 47 旅団の戦術に新たな変化をもたらすかどうかは何とも言えない。 確かに、同旅団がメリトポリ軸に沿って前進するにつれ、戦場は変化している。 地雷の密度は低くなっている。 ますます劣勢に立たされているロシア軍の砲兵隊の砲撃は減っている。

第 47 旅団に残された 18 両のレオパルト 2A6 にとって、ロシア軍の陣地に接近する方が安全なのかもしれない。 そして近いうちに、30 両を超える 2A6 より古いレオパルト 2A4V や、まだ破壊されていない 13 両の英国製チャレンジャー 2、今後到着する 31 両の米国製 M-1 エイブラムスといった優れた戦車も同じような戦い方をするかもしれない。 (David Axe、Forbes = 10-2-23)


ロシア空軍、戦争長期化で「機能不全」に? 既に約 90 機も喪失か 英国防省が分析

「機体の酷使」や「スペアパーツ不足」で弱体化か

イギリス国防省は 2023 年 9 月 28 日(木)、ウクライナ紛争の状況に関する分析を更新。 ロシア空軍がウクライナ侵攻を開始した 2022 年 2 月以降、戦闘で約 90 機の固定翼機を喪失したとの分析を明らかにしました。 同国防省は、ロシア空軍が一部のタイプの戦闘機を平時より集中的に飛行させていると指摘。 全ての航空機には、飛行時間で定められた寿命がありますが、ロシアは空軍の見込みよりも早く、機体の残存寿命を食いつぶしている可能性が高いとしています。

また、需要の増加や制裁によるスペアパーツ不足により、航空機のメンテナンスに支障をきたしているといいます。 同国防省によると、ロシア空軍は、占領下に置いたウクライナ上空への出撃回数を急増させる能力は依然として維持しているそう。 ただ、戦争がロシアの当初計画より長引いているため、長期的にロシア空軍が戦術航空戦力を維持できなくなる可能性が高まったと分析しています。 (乗りものニュース = 10-1-23)


ロシアのドローンがルーマニアの領空侵犯か

ルーマニア国防省は 30 日、ロシアのドローンがウクライナの民間施設を攻撃した際に、ルーマニアの領空を侵犯した可能性があることを同国の軍事レーダーが探知した、と発表した。 ロイター通信が報じた。 ウクライナとの国境付近におけるレーダーの探知結果を受けて、ルーマニア側は自国の周辺住民に対して警戒警報を出したという。 ルーマニアは北大西洋条約機構 (NATO) の加盟国。 ルーマニア領内ではこれまでに 3 回、ウクライナ南部ドナウ川沿いの河川港でロシア軍の攻撃があった後、ロシア軍のドローンの一部が発見されている。 ルーマニア国防省は今回、領空侵犯の可能性があるロシアのドローンの飛行に絡んで「現時点で領内に落下物は発見されていない」としている。 (asahi = 9-30-23)


ウクライナ東部の野を駆け回る「クズリ」歩兵戦闘車、初めて狩られる

ウクライナ軍による反転攻勢は、ひとつの大きな攻撃というものではない。 少なくとも 3 方面で進められており、うち 1 つは東部が戦場だ。 東部の反攻はドネツク州バフムートの北側と南側で進められている。 バフムートはこの戦争の象徴的な都市になっており、ロシア軍が 5 月、多数の人的損失を出しながら 1 年にわたって続けた作戦の末に占領した。 ウクライナ側はこの方面の反攻でも成功を収めているものの、高い代償も払わされている。

ウクライナ軍は今月 24 日ごろ、バフムート南端の集落クリシチーウカのすぐ南にある集落アンドリーウカのロシア軍陣地を強襲したが、失敗したもようだ。 ソーシャルメディアに投稿された動画によれば、歩兵戦闘車少なくとも 8 両を放棄している。 それには旧ソ連時代の古い BMP-2 を 5 両のほか、ポーランド製の新しい KTO ロソマク 3 両も含まれる。 これらの車両がどの旅団のものかははっきりしない。 もしかすると、再編された第 22 独立機械化旅団かもしれない。 この旅団はポーランドから供与されたPT-91、ウクライナ国産の T-72AMT、それに旧ソ連で開発された T-72 ウラルと、バラエティーに富む戦車を運用している部隊だ。

バフムート方面をめぐる戦略のダイナミクスは単純だ。 ロシア側はウクライナ軍が南部ザポリージャ州のロボティネからトクマク、メリトポリにいたる約 80km の軸で進めている反攻を鈍らせようと、東部の部隊を続々と南部に移動させている。 その結果、東部ではロシア軍の兵力が比較的手薄になっている。 そのためウクライナ側に、ロシアの全面侵攻開始から 1 年半の間に失った領土を取り戻すチャンスが生まれている。 ウクライナ軍は反攻に乗り出してから 15 週間で、バフムートの北側と南側で数 km 前進。 とくに南側でより前進できている。 これはバフムートの南方面に精鋭の第 3 独立強襲旅団を配置した効果もあるだろう。

ただ、ロシア軍部隊は壕に隠れており、ウクライナ軍部隊が進撃していくには、広く開けた土地を越えていく必要もある。 これには人員や装備に大きなリスクをともなう。 東部の反攻は第 3 旅団などの猛攻で戦果をあげることもあれば、アンドリーウカ周辺での今回の強襲のように失敗して損害を被ることもある。 ポーランド語で「クズリ」を意味するロソマクは今春、ポーランドからウクライナにやって来始めた。 第 22 旅団かその姉妹旅団が今回、アンドリーウカ周辺で失ったのはウクライナ軍にとって初の損失だ。

重量 25 トン・8 輪式のロソマクは俊敏で、500 馬力のディーゼルエンジンをうならせて最高時速 100km で駆け回る。 さらに米陸軍が欧州で運用するストライカー装甲車と同じ 30mm 機関砲も搭載しており、なかなか獰猛でもある。 ロソマクは乗員 3 人で、歩兵が 8 人乗り込める。 もし欠点があるとすれば、ポーランド軍がもともと水陸両用の仕様を求めた点かもしれない。 つまり、ロソマクはのそのそとではあるが、少しくらいなら水中を泳げるように軽量化されており、その分、装甲防護が犠牲になっている。

1 度の攻撃でロソマクを 3 両失うのはウクライナ軍にとって痛手に違いない。 ただ、ロソマクは今度どんどん届くことになっていて、それは多少の慰めになるかもしれない。 ポーランド政府は 4 月、ウクライナにロソマクを 200 両供与すると確約した。 米国がそれぞれ 200 両の供与を表明しているストライカーと装軌式の M2 ブラッドレーと並び、ウクライナ軍の保有する西側製歩兵戦闘車としては最も数が多くなる見通しとなっている。

ウクライナ側にとってもっと勇気づけられるのは、今回の攻撃は失敗したとしても、アンドリーウカも含めて、バフムート方面での戦争努力が全体としては成功していることかもしれない。 アンドリーウカのすぐ東には南北に鉄道路線が走り、バフムートの南のロシア軍陣地を支えている。このエリアの大半でロシア軍部隊はすでに鉄道路線まで後退しており、9 月 23 日にはウクライナ軍部隊がアンドリーウカで国旗を掲げている。 (David Axe、Forbes = 9-30-23)

... - 55 - 56 - 57 - 58 - 59 - 60 - 61 - 62 - 63 - 64 - 65 - ...