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ウクライナ戦争、来年に目を向け始めた西側諸国

ロシア軍に占拠された領土を奪還するために現在展開されているウクライナの軍事作戦は、まだ何カ月も続く可能性がある。 しかし、西側諸国の軍事戦略家や政策立案者は既に来年春の攻撃態勢について考え始めている。 こうした変化は、局面が飛躍的に進展しない限り、侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていることを反映している。 今春にウクライナの反転攻勢が始まった際、楽観主義者たちはウクライナ軍がロシア軍を圧倒した昨年の成功が再現される可能性があると期待していた。 しかし、西側諸国から新たに供与された戦車や装甲車両を使い、防御を固めたロシアの戦線を突破しようという当初の試みは失速した。

それ以来、進展は遅く、痛みを伴うものとなり、小規模な部隊による戦術頼みとなっている。 新たな攻勢が近く行われる可能性はまだある。 しかし、軍指導者や政策立案者は既に、今後数カ月間に何を達成できるか、そして長期化する戦闘にどう備えるかという問題に取り組んでいる。 ウクライナ政府と西側諸国の政府は、政治家や有権者がウクライナの戦争を泥沼と見なし、同国を支持することに消極的になってしまうかもしれないという懸念につきまとわれている。 ウクライナを支持する西側諸国の決意が変わらなくても、過酷な戦いで武器弾薬や人的資源・持久力をウクライナ軍が消耗する中、時間はどんどん経過している。

全ての軍事作戦は、たとえ何年も続いた戦争であったとしても、ある時点で終わる。 それは戦術家が「限界点」と呼ぶ時点で、成功、障害や物資の不足を理由にそれ以上進軍できなくなる時を指す。 ウクライナの今の目標は、同国の国民や米国・ドイツなどの支援国に対してウクライナへの支援が間違っていなかったこと、そして、それがこれからも続くべきであることを示すのに十分な成果を得て、現在の攻撃を終えることだ。

ジョー・バイデン米大統領は先月リトアニアで開かれた北大西洋条約機構 (NATO) 首脳会合で、ウクライナの大統領と集まった群衆を前に、米国の支援が今後も揺るがないと述べて、歓声を浴びた。 米国、NATO と日本はウクライナの長期的な安全保障計画を立てることを約束した。 米国防総省はウクライナに対して先進的な兵器の供給を続けており、直近では殺傷力が高いクラスター弾を供給している。 同盟・友好国も空中発射巡航ミサイルなど、殺傷力がより高い兵器を供給している。

一方、軍の上層部は何カ月にもわたり、ウクライナが昨年迅速に成果を上げたものの、それを繰り返すのは容易でないとの警告を発している。 統合参謀本部議長を務めるマーク・ミリー陸軍大将は、ロシアがウクライナ南東部に持つ陸の回廊をウクライナが迅速に分断する、つまり、ロシアが 2014 年にウクライナから奪取したクリミア半島をウクライナが孤立させるとの見立てについて、冷や水を浴びせるような発言を繰り返している。

バラク・オバマ大統領(当時)の下で米国の駐 NATO 大使を務めたアイボ・ダールダー氏によれば、米政府内でも現在、同様の慎重な見方が以前よりも広がっているという。 同氏は、「ウクライナが近い将来すべての領土を取り戻すことはないとの認識が、米政府内にあると私は確信している」と語った。 米国と西側諸国の当局者らは、ウクライナの攻勢の大幅な進展によってロシア軍が大打撃を受ければ、早ければ今年冬にウラジーミル・プーチン大統領が何らかの解決策について真剣な交渉に臨む可能性があると期待していた。 しかし外交官らは、現時点でそうした展開になる見通しはほとんど立っていないと述べている。

実際にはそうした展開にはならず、ロシア側は、ウクライナ領内の占領地の防御陣地を固め、兵力を増強し、武器弾薬の生産を増やしている。 西側諸国も軍事産業にてこ入れしており、長期にわたり消耗戦が続くとの見通しが強まっている。 軍事専門家らによれば、ウクライナの戦場で昨年起きた素早い展開や、冷戦後の幾つかの短期紛争を目にした人々は、現代の戦争が迅速なものにならざるを得ないと信じるようになっていた可能性がある。 しかし軍事専門家らは、歴史的に見ると異なる現実が見えてくると指摘。 戦争の平均的な継続期間は 3 - 7 年に及び、その間に何度も攻勢が仕掛けられてきたと述べている。

米国防総省と関係を持つシンクタンク、海軍分析センター (CNA) のロシア問題専門家、ドミトリー・ゴレンバーグ氏は「この戦争は朝鮮戦争と似たような展開になる可能性がある。 それは、当初何カ月か前線で急速な展開が見られた後、相対的なこう着状態に陥るというものだ。 しかし、双方の紛争当事者がそれに気づくのは何年も後になってからだ。」と語った。 1950 年に始まった朝鮮戦争は未だ終戦に至っておらず、休戦協定が締結されているとはいえ、厳密には戦争が続いている状態だ。 強大な戦力が配備されている朝鮮半島は、緊迫した非武装地帯によって分断されている。

このほか、ウクライナの将来を考える上で戦略家が指摘している例には、中東(1948 年のユダヤ人国家イスラエルの建国以来、パレスチナ人やアラブ近隣諸国と対立が続く)や、北アイルランド(英国の支配に対する激しい反発が何世代も続いた)などがある。 だが、たとえ今年の夏に新たな局面を迎えなかったとしても、ウクライナには冬まで戦闘を続けられる力が十分にある。 雨や雪によって戦車などの重装備の動きが遅くなる可能性はあるが、ウクライナ軍はこれまで、小規模な部隊で、しかもその多くが軽装備で作戦を実行する時に最も力を発揮することを証明してきた。

米陸軍の退役少将で元 NATO 事務次長補のゴードン・"スキップ"・デービス氏は「ウクライナ軍の方がロシア軍よりも適応が早いという状況が続いている」と指摘する。 ウクライナはまだ、精鋭部隊の一部しか攻撃に投入しておらず、NATO 軍によって訓練された 6 万人以上のウクライナ軍のうち、いわゆる「諸兵科連合作戦」という複雑な戦術の訓練を受けているのは一部にとどまっている。 今後、西側の高度な訓練を受けたウクライナ軍兵士や指揮官の数は増えるだろう。

西側による訓練は、欧米製の最新装備を使いこなす能力を高めるのに役立つだろう。 ウクライナは最初、欧州の戦車や米軍の兵員輸送車を攻撃に使おうとしたが、うまくいかなかった。 だが、来年の春までに、ウクライナには西側製の装備と高度な運用技術を持った兵士の数が増えるだろう。 デービス氏は「時間が経てば、ウクライナはいずれ NATO の訓練と装備を受けた旅団をより多く配備できるようになる一方、ロシアは砲弾の使用量と前線の統一を維持するのに苦労するようになるだろう」との見方を示している。

来年半ばまでには、ウクライナは米製ジェット戦闘機「F16」を飛ばしている可能性がある。 デンマークやオランダなど、欧州の F16 運用国は供与に積極的な姿勢を見せている。 米政府には長距離地対地ミサイルシステム「ATACMS」の供与、ドイツには巡航ミサイル「タウルス」の提供を求める圧力が強まっている。 F16 に関する一つの大きな問題は、米国が F16 にどの武器の搭載を認めるかということだ。 ロシアは F16 を迎撃可能な対空システムを有しているため、米国では、ウクライナに供与された戦闘機は撃墜されるだけではないかという懸念が浮上している。 滑空式誘導弾「JSOW」や精密誘導弾「ペーブウェー」のような武器弾薬を装備すれば、F16 は前線から比較的に安全な距離を保つことが可能になる。 (Daniel Michaels、The Wall Street Journal = 8-15-23)


ロシアの攻撃 ザポリージャ・オデーサ・ヘルソン州

ウクライナ中南部ザポリージャ州の当局者は 14 日、ロシアのミサイル攻撃を受けて、州内の 77 歳の男性と 70 歳の女性が死亡した、と SNS に投稿した。

オデーサに一夜で 3 度の攻撃

ウクライナ南部オデーサ州のオレフ・キペル知事は 14 日、ロシア軍が夜間にオデーサに対して 3 度にわたり攻撃してきた、と SNS に投稿した。 計 15 機のドローン(無人航空機)と計 8 発の巡航ミサイル「カリブル」が使われたという。 キペル氏は、ウクライナ側がロシアの攻撃を全て撃墜したが、破片の落下で教育関連施設や住宅、商業店舗などが損壊し、店舗の従業員 3 人が負傷したとしている。 オデーサは黒海に面するウクライナの主要港湾都市。 トルコや国連の仲介で結ばれた食料輸出協定で、積み出し港として指定されていた。 ロシアは今年 7 月 17 日、協定への参加停止を発表した後、オデーサへの攻撃を繰り返している。

ヘルソン州に攻撃、2 人負傷

ウクライナの南部ヘルソン州当局は 13 日、同州がこの日で 2 回目のロシア軍の攻撃を受け、市民 2 人が負傷したと発表した。 現地メディア「キーウ・インディペンデント」が伝えた。 報道によると、州内の町が同日午後、攻撃された。 少なくとも 12 棟の住宅が損壊し、女性 (31) と男性が負傷したという。 これに先立って同州内では同日、二つの集落がロシア軍の砲撃を受け、生後 23 日の女児や 12 歳の男児を含む、市民7人が死亡していた。 (asahi = 8-14-23)


ウクライナ軍、南部で「部分的成功」

ウクライナは、南部ザポリージャ州の集落ロボティネ近郊で、「部分的成功」を収めたと明らかにした。 一方、ロシア軍は北東部のハルキウ州クピャンスク近郊で攻勢を仕掛けている。 ウクライナ当局者によれば、ウクライナ軍はアゾフ海へ向けて南下し、メリトポリやベルジャンスク方面へ向かっているが、南部方面の前線では激しい戦闘が続いている。 11 日に SNS に投稿された動画や画像には、ウクライナ軍がロボティネに入る様子が捉えられていた。 米シンクタンクの戦争研究所 (ISW) によれば、この地域でのウクライナ軍の前進はわずかなものであっても重要だという。

ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍は東部ドネツク州の集落ウロジャイネ近郊で陣地を奪還しようとしたものの失敗した。 ウクライナ軍によれば、北東部のハルキウ州では、ロシア軍がリマン・クピャンスク方面への攻撃を強化し、主導権を握って、ウクライナ軍の陣地に攻撃を行おうとしている。 ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍はクピャンスク近郊で攻撃を試みたものの、複数の集落で撃退された。 (CNN = 8-14-23)


ロシア海軍が黒海で貨物船に警告発砲、停船強制し検査 - 国防省

→ ロシアが穀物輸出合意から離脱して以来初の事例
→ パラオ船籍の貨物船はウクライナのイズマイル港に向かっていた

ロシア海軍は 13 日、黒海を航行していた貨物船に対し、停船させ検査するため警告発砲した。 ロシア国防省が明らかにした。 ロシアが 7 月に重要な穀物輸出合意から離脱して以来、こうした事例は初めて。 ウクライナのイズマイル港に向かっていたパラオ船籍の貨物船は 13 日早朝に南西海域でロシア海軍の警備船に遭遇。 ロシア海軍は臨検のため停船を命じたが貨物船側が応じなかったため、発砲したとロシア国防省は説明した。

貨物船がようやく停止すると、ロシアはヘリコプターで兵士団を送って乗り込ませ検査した。 その後、ウクライナへの航行を再開させたと同省は明かしたが、積み荷の中身などは詳述しなかった。 ロシアのプーチン大統領は 7 月、オデーサ近郊の港からウクライナ産の穀物など食糧を輸出する船舶の安全な運航を認める輸出合意から離脱した。 (Bloomberg = 8-14-23)


ウクライナ軍、ドニエプル川東岸に進出 露軍少佐を捕虜に

ウクライナ軍南部方面部隊のグメニュク報道官は 13 日、同国軍部隊がロシア軍の支配下にある南部ヘルソン州のドニエプル川東岸地域に進出し、露軍への攻撃作戦を実施していると明らかにした。 地元テレビでの発言をウクライナメディアが伝えた。 一方、露オンラインメディアは同日、同川東岸地域の集落カザチイ・ラーゲリで戦闘が起き、露軍の少佐がウクライナ軍の捕虜になったと伝えた。 米シンクタンク「戦争研究所」も 8 日以降、同川東岸にウクライナ軍が進出したとみられると分析していた。 戦争研究所は 12 日、ウクライナ軍が同川東岸に一定の陣地を確保したとみられるものの、現時点で同川東岸に本格的な拠点を確保したと評価するには時期尚早だと指摘した。

ヘルソン州では同川西岸をウクライナ軍が保持し、東岸を露軍が支配している。 ウクライナ軍は現在、反攻の主軸である南部ザポロジエ州で露軍の防衛線に直面。 前進が停滞する中、隣接するヘルソン州で同川東岸に進出し、露軍の戦力をザポロジエ州から分散させるための陽動作戦を展開している可能性がある。 また、露軍事ブロガーは 12 日、東部ドネツク州西部の集落ウラジャイノエから露軍が撤退したと報告した。 ウラジャイノエに隣接する集落スタロマイオルスコエはウクライナ軍が 7 月末に奪還を発表していた。 両集落はウクライナ軍が奪還を目指すアゾフ海沿岸地域の都市ベルジャンスクやマリウポリへの進出ルート上に位置しており、ウラジャイノエの奪還が事実であればウクライナ軍が一定の前進に成功した形となる。

また、マリウポリの露軍訓練基地で 13 日、爆発が起き、兵舎やトラック 3 台が破壊された。 ウクライナメディアは反露パルチザンが攻撃を認めたと伝えた。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 13 日のビデオ声明で、露軍が同日、ヘルソン州に少なくとも 17 回の砲撃を行い、生後 22 日の女児と 12 歳の少年、母親ら計 7 人が死亡したと発表。 哀悼の意を示すとともに、「露軍は正当な報復を受けるだろう」と表明した。 (sankei =8-14-23)


モスクワで相次ぐドローン攻撃  "見えない敵" 募る市民の不安

ウクライナで「特別軍事作戦」を続けるロシアは 8 月に入ってから、首都モスクワやその近郊でドローン(無人機)による攻撃を繰り返し受けるようになった。 危険が次第に身近に迫る中で、市民はどのような感情を抱いているのか。 現場で話に耳を傾けると、微妙な変化を感じた。 モスクワでは 5 月初旬、中心部の大統領府がウクライナ軍によるドローン攻撃を受けたと発表されるなど、飛来が始まった。 その後も首都周辺ではドローン攻撃が続いた。 しかし 7 月末、記者が墜落現場の近くで住民に話を聞いても「見せかけの攻撃だから怖くない(25 歳の男性)」などといった反応が少なくなかった。 攻撃はいずれも夜間に起こり、人がいない商業施設が狙われることも多かった。 市民の緊張感はさほど高くないと感じていた。

ところが 8 月 11 日にモスクワ西部で起きたドローン攻撃は平日の午前 10 時半に発生した。 ロシア軍はこれを防御し、森林に墜落させたと発表した。 死傷者はなかった。 記者は 11 日正午ごろ、現場に着いた。 ドローンが墜落した森林から遠くない場所に病院や集合住宅が建ち並ぶ。 近くに住む 35 歳の女性は当時の様子をこう語った。 「20 階の部屋からでも煙が上がっているのが確認できた。」 「怖くなかったのか」と尋ねると、女性は「予想していなかったから、墜落したときの音は怖かった」と表情を曇らせた。

女性のリュボービさん (92) は大きな音を聞き、近くにある自宅から現場に駆けつけた。 「怖くなったわけではないが、心配になったから見に来た」と複雑な心境を明かした。 近くにいた男性 2 人組に怖かったかどうかを聞くと「当然怖い」、「怖くはない」と答えは分かれた。 モスクワとその近郊では 8 月に入ってから、1、9、10、11 の各日にドローンの飛来が伝えられた。 ロシア国防省はいずれもウクライナ軍によるものだと断定。 全機を迎撃したり、制御不能にしたりして防ぎ、死傷者はなかったとしている。

ただ、住民の間には疑心暗鬼が広がる。 ウクライナ領からドローンでモスクワ一帯を狙う場合、700 キロ前後を飛ばす必要がある。 ウクライナ軍が長距離飛行用のドローンを開発したとの報道もあるものの、ウクライナ軍ではなく、何者かがロシア領内から攻撃しているのではないかと考える市民もいる。 モスクワの代表的な商業施設「モスクワシティー」では、8 月 1 日までの 3 日間で計 3 回のドローン攻撃を受けた。 ビルの管理に携わる男性は 1 日未明の攻撃直後、ビルの向かいに全地球測位システム (GPS) の受信機が落ちていたのを見つけ、撮影した。 ドローンに搭載されていたものであれば、飛行するうえで一定の負荷がかかる。 男性は写真を記者に見せ「遠いウクライナ領からドローンを飛ばせるわけはない」と話した。

真相が分からないと、かえって不安が募る。 モスクワ近郊では 8 月上旬以来、工場で爆発が起きたり、自動車整備施設や倉庫で火災が発生したりする事案も相次ぐ。 今月 24 日にはロシアが特別軍事作戦を始めてから 1 年半を迎える。 ウクライナの前線で戦闘が収束していない中で、モスクワやその近郊で不穏な事案が続き、市民の間にも危機感がじわりと広がっているのは間違いなさそうだ。 92 歳のリュボービさんは、10 代前半の頃に第二次世界大戦(1939 - 45 年)を体験した。 前世紀と今を比べてどう思うかを尋ねると、こんな答えが返ってきた。 「今世紀こそは、平和に暮らしたいと願っているのだが。」 (モスクワ・大前仁、mainichi = 8-14-23)


ロシア南部ベルゴロドの高層住宅にドローン攻撃か

ロシア国営ノーボスチ通信によると、ウクライナと国境を接するロシア南部ベルゴロド州のグラトコフ知事は 13 日、州都ベルゴロドの高層住宅で同日夕に爆発が起き、7 階から 13 階までの外壁の一部がはがれ落ちたと明らかにした。 地上の車 16 台も損傷したという。 負傷者はいないとしている。 地元メディアは、近くでドローン(無人航空機)の飛行が目撃された直後に大きな爆発音が響いたと伝えた。 グラトコフ氏によると、ベルゴロド州では 12 2日に 5 カ所で、13 日午前にもベルゴロドでドローンが撃墜されていた。 (asahi = 8-14-23)


ウクライナ軍、ドネツク州境で前進か 「集落に陣地築いた」

ウクライナ中南部ザポリージャ州の親ロシア派幹部ウラジーミル・ロゴフ氏は 13 日、同州との境界に近い東部ドネツク州西南部で、ロシア軍の支配下にある集落ウロジャイネの北部にウクライナ軍の部隊が進入し陣地を築いた、と SNS に投稿した。 集落の支配権をめぐる戦闘で「重苦しく、不安な状況になった」とした。 ウクライナ軍はウロジャイネと川をはさんで向かい合う集落スタロマイオルスクを 7 月末に掌握したが、ロシア軍が激しく抗戦してきた。 ロゴフ氏は両集落をめぐって過去 2 週間戦闘が続き、ウクライナ軍は地上戦のほかドローン(無人機)による空爆も多用しているとした。

ウクライナ国防省のハンナ・マリャル次官は 10 日、「厳しい状況だが、ウロジャイネやスタロマイオルスクの南や南東の方面で部分的な成功を収めた」と SNS に投稿していた。 ドネツク州西南部では、ウクライナ軍が 6 月初めから南に向けて徐々に集落奪還を進めている。 (asahi = 8-13-23)


クリミアのケルチ橋に複数のミサイル攻撃 = ロシア

ロシア国防省は 12 日、ロシアがウクライナから併合したクリミアと、ロシア本土を結ぶ主要交通路のケルチ大橋が、ウクライナのミサイル 2 発に攻撃されたと発表した。 ロシア国防省は、ウクライナが同日午後 1 時ごろ、S-200 ミサイル 2 機をケルチ橋へ向けて発射したものの、どちらも迎撃したため、橋に損傷はなかったとしている。 S-200 は冷戦時代にソヴィエト連邦で開発された誘導型長距離高高度防空ミサイルシステムで、ウクライナが地上戦用に改良したものとみられる。 ソーシャルメディアに投稿された動画では、ケルチ橋の近くで煙が上っている様子が見える。

ウクライナはこの件についてコメントしていない。 ロシア外務省は、「このような野蛮な行為には必ず対応する」と述べた。 ロシアがクリミア知事に任命したセルゲイ・アクショノフ氏は、ケルチ海峡で 3 発目のミサイルが撃墜されたと述べた。 アクショノフ知事の顧問は、橋の通行は一時停止されたと明らかにした。 立ち上った煙は、軍による意図的な「煙幕」だと話した。 これに先立ちロシアは同日、クリミア近くでウクライナのドローン(無人機) 20 機を撃墜したとしていた。

ウクライナは今回のケルチ橋攻撃や使用兵器について認めていないが、ウクライナが奪還を目指すクリミアをはじめウクライナ南部と、ロシア本土を結ぶ重要な輸送路なだけに、昨年から繰り返しケルチ橋を攻撃している。 ウクライナのニュースサイト「ユーロマイダン・プレス」は 7 月、改良型 S-200 ミサイルがケルチ橋のほか、ロシアのロストフ州とブリヤンスク州の軍事拠点を攻撃するために使用されたと伝えた。 7 月 12 日には橋で起きた爆発で 2 人が死亡し、1 人が負傷した。

ウクライナは当時、攻撃したことを認めなかったが、BBC ロシア語が取材したウクライナ治安当局の関係者は、攻撃は自分たちによるもので、水上ドローン(無人機)を使ったと話した。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 7 月 21 日、ケルチ大橋は正当な軍事標的だと主張した。 ゼレンスキー氏は米コロラド州アスペンで開かれた安全保障関連会議でオンライン演説し、「この戦争の弾薬を届けるのに毎日使われる」大橋を「無効」にする必要があると述べ、ウクライナ政府は大橋を「敵の施設」とみなしていると話していた。

昨年 10 月に起きた橋の爆発については、当事者はまだ判明していない。 当時の監視カメラ映像には、上向きに傾斜する橋の路面を複数の車両が通行する間に、その後ろの片側で巨大な火の玉が発生する様子が映っていた。この爆発の影響でケルチ橋は部分的に閉鎖され、今年 2月に全面通行が再開した。 ウクライナ軍は、ロシアが 2014 年に併合したクリミアをはじめ、2022 年 2 月からの侵攻で制圧した東部や南部の地域を奪還しようと、春から反転攻勢を続けている。 夏に入り、ケルチ橋周辺での軍事行動が歴然として頻度を増した。

ゼレンスキー大統領は 6 月下旬の時点で、反攻の進展が「望んだより遅い」と BBC に対して認めていた。 ロシア軍が 20 万平方キロメートルのウクライナ領土に地雷を仕掛けて守りを固めているため、進軍は容易ではないと、ゼレンスキー氏は話していた。 ロシア政府は、首都モスクワのクレムリン(大統領府)や政府省庁の入る高層ビル群への相次ぐドローン攻撃も、ウクライナによるものと非難している。

モスクワへのドローン攻撃についてウクライナは自分たちによるものと認めていないものの、最初の高層ビル攻撃をロシアが発表すると、ゼレンスキー大統領は「戦争は徐々にロシア領に戻りつつある。 ロシアにとって象徴的な中心地や軍の基地へ。 これは不可避で自然で、まったく公平なプロセスだ。」と発言している。 他方、ロシアはウクライナの民間施設への攻撃を続けている。 ウクライナによると、今月 5 日には北東部ハルキウ州の輸血センターを破壊。 南部ザポリッジャでも民間インフラの攻撃が続いているという。 (BBC = 8-13-23)


侵攻で亡くなった子ども、500 人に ウクライナが発表

ウクライナ検事総長室は 13 日、ロシアによるウクライナ侵攻で死亡した子どもが 500 人に上り、負傷した子どもは 1,097 人以上となった、と SNS で発表した。 (asahi = 8-13-23)


ウクライナ軍、南部で前進 = 徴兵責任者を汚職で解任

【ワシントン】 ウクライナ軍は 11 日も反転攻勢を継続し、南部戦線で前進した。 米シンクタンク戦争研究所は、ウクライナ軍が南部ザポロジエ州ロボティネの郊外まで進軍したと指摘。 ロボティネを占領するロシア軍に再配置を迫っているとし、「戦術的に重要な前進だ」と分析した。 ロボティネは南部の要衝トクマクの北方約 30 キロに位置する集落。 SNS に投稿された動画や画像に基づき、ウクライナ軍がロボティネにすでに入ったという見方もある。

一方、ゼレンスキー氏は 11 日の国民向け演説で、国内各地域の徴兵責任者の解任を公表した。 徴兵に関連して賄賂を受け取っていたことが判明したためで、「戦時下の賄賂の収受が反逆に相当すると理解している者が(徴兵制度を)担うべきだ」と強調した。 ゼレンスキー氏によると、33 人が汚職で刑事責任を問われる見通し。 後任には、戦場での経験があり、情報機関の審査を通過した人物を選ぶ意向を示した。 ゼレンスキー氏は 2019 年の大統領選で汚職撲滅を掲げて当選した。 ウクライナが加盟を目指す欧州連合 (EU) などからも、汚職対策を強く求められている。 (jiji = 8-12-23)


ロシア、ウクライナ北東部で戦況好転 国防省

ロシア国防省は 11 日、ウクライナ北東部クピャンスク市周辺で戦況を好転させたと発表した。 ハルキウ州では昨年 9 月、ウクライナ軍がクピャンスクと周辺地域を奪還。 しかしその後、ロシア側が押し返し、ウクライナ側は住民に避難命令を出している。 ロシア国防省は、ロシア軍の部隊は「広範囲にわたる前線で攻撃作戦を継続」し、クピャンスクの東に位置する Vilshana と Pershotravneve で「戦況を好転」させたと主張。

一方、ウクライナ軍「東部」作戦司令部のセルヒー・チェレバティー報道官は、敵の戦力を考えるとクピャンスク周辺の戦況は「厳しい」が、ウクライナ軍が「主導権を握っている」と述べた。 クピャンスク当局は 10 日、同市とロシア軍の前線の間にある 37 集落の住民に対し、約 90 キロ西にあるハルキウ市への避難を呼び掛けた。 そこからさらに安全な州に移る選択肢もあるという。 ロシアのクピャンスク進軍の狙いは、ウクライナの反転攻勢に参加する部隊を引き付けることにある。 (AP/時事 = 8-12-23)


モスクワで再びドローン攻撃 水力発電所近くで爆発

モスクワ市の水力発電所近くで爆発音が聞こえ、煙が上がりました。 当局はドローンによる攻撃があり、それを防いだと明らかにしています。 現地メディアによりますと、モスクワ市西部のクビンカでドローンが目撃され、11 日午前 9 時 40 分ごろ、モスクワ南部のブヌコボ空港が一時閉鎖されました。 その後、モスクワ北西部の水力発電所近くで爆発音が聞こえ、煙が上がっている映像が SNS に投稿されました。 ソビャーニン・モスクワ市長はドローンによるモスクワ市への攻撃を防いだと発表しました。 周囲に残骸が落下したものの、けが人はいなかったということです。 また、近くのクラスナゴルスクでも爆発音が聞こえたと住民が投稿しています。 (テレ朝 = 8-12-23)


ザポリージャのホテルにミサイル攻撃、1 人死亡 16 人負傷 … 直前まで子供向けイベント開催

ウクライナ国防省によると、ロシア軍は 10 日午後 7 時(日本時間 11 日午前 1 時)頃、ウクライナ南部ザポリージャ中心部のホテルをミサイルで攻撃し、1 人が死亡、16 人が負傷した。 ウクライナ国防省は SNS で、ホテルでは攻撃の約 1 時間前まで「サマー・アート・キャンプ」と銘打った子供向けのイベントが行われていたと指摘し、露軍が「子供を狙った」と非難した。 州知事によると、負傷者には子供 4 人が含まれている。 地元警察は SNS で攻撃には短距離弾道ミサイル「イスカンデル」が使われたことを明らかにした。 このホテルは、外国の報道関係者が好んで利用しているという。 露軍による 7 日の東部ドネツク州ポクロウシクへのミサイル攻撃でもホテルが被害を受けた。 (yomiuri = 8-11-23)


ロシア軍、ハリコフ州へ攻勢 ウクライナ、一部住民退避

ロシア国防省は 10 日、ウクライナ東部ハリコフ州クピャンスク方面で攻勢を続け、前線で優位を確保したと発表した。 タス通信によるとハリコフ州政府は同日、クピャンスク周辺計 37地区の住民を安全な場所に退避させる決定をした。 ロシアはウクライナ軍が大規模反攻を開始した前後からクピャンスクへの攻撃を強めている。 クピャンスクは州都ハリコフや同州イジュムにつながる幹線道路が集まる。 (kyodo = 8-11-23)


モスクワで爆発や火災続発、70 人以上が死傷 無人機攻撃も続く

ロシアの首都モスクワでは 9 日から 10 日にかけて、工場の爆発や幹線道路沿いの火災、無人機(ドローン)攻撃が相次いで伝えられた。 工場の爆発では 70 人以上が死傷する被害を出している。 爆発や火災が隣国ウクライナで続く「特別軍事作戦」と関係しているのかは不明だが、相次ぐドローン攻撃と合わせて、首都と近郊の生活に影を落としている。 モスクワ北郊の都市セルギエフ・ポサードにある工場では 9 日午前、大規模な爆発が発生した。 地元当局によると、1 人が死亡し、70 人以上が負傷、12 人が行方不明になった。 被害は工場の敷地にとどまらず、周辺の集合住宅や学校、スポーツ施設に及んだ。

爆発は花火が保管されていた工場の倉庫で起こり、捜査当局は安全管理義務違反の疑いで捜査を始めた。 ドローン攻撃を受けたとの見方も広がったが、当局は否定している。 タス通信によると、モスクワ南郊のドモジェドボ市でも 10 日未明、高速道路沿いにある自動車整備施設で火災が発生した。 人的被害は伝えられていないが、火災現場はモスクワの主要空港の一つ「ドモジェドボ空港」から約 10 キロの地点に位置している。 またモスクワのソビャーニン市長は 9、10 の両日、モスクワや近郊の州に相次いでドローンが飛来してきたことを明かした。 いずれも防空システムが迎撃したと説明されている。

モスクワでは 7 月末から今月初旬にかけて、商業地区の「モスクワシティー」にあるビルが相次いでドローンに突っ込まれ、一部が損壊した。 ロシア国防省はドローンに向けて電波を発信し、操縦できないようにしたと主張している。 ただし、ドローンに突っ込まれたビルの一つにロシア政府の省庁が入居していたことから、あらかじめ攻撃の標的にされていたともみられている。 (モスクワ・大前仁、mainichi = 8-10-23)


ウクライナ軍、全海兵旅団を 16km の狭範囲に集中投入

ウクライナ軍の海兵隊のほぼ全部隊が、ドネツク州南部の前線の 16km ほどのエリアに展開している。 4 個ある海兵旅団のすべてがモクリ・ヤリー川沿いに展開しており、その兵力は総勢ざっと 8,000 人だ。 ウクライナ軍がこの攻勢軸で大きな突破を成し遂げれば、決定的な戦力になるだろう。 だが、ウクライナ軍が南部方面で待望の反転攻勢を始めてから 2 カ月たつなか、精鋭の海兵旅団をすべて同時に展開させたことには、大きなリスクもともなう。

ウクライナ軍の戦闘序列において、海兵隊は、同じく独立した軍種である空中機動軍(空挺軍)や、最も経験豊富で装備も充実した数個の陸軍旅団と並び、最も強力な攻撃戦力に位置づけられる。 とはいえ、どんな旅団も、休養や装備の修理、兵士の補充のために短期の休暇を挟まなければ、戦い続けることはできない。 つまり、これらの海兵隊もいずれ接触線から引き下げる必要が出てくる。 そうなると、その空白をより戦闘力の低い部隊で埋めなくてはならなくなるかもしれない。 この入れ替えはロシア側にとって反撃の好機になる。

ウクライナ海兵隊は 5 月に、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の命令によって独立した軍種になった。 ゼレンスキーは海兵隊について「敵を壊滅させ、ウクライナの国土を解放し、最も困難な状況で最も困難な任務を遂行する強力な戦力だ。 わたしたちはこの戦力をもっと必要としている」と述べている。 ロシアがウクライナ侵攻を始めた 2014 年(まず南部クリミア半島を強奪し、次に東部ドンバス地方を攻撃した)以前には、ウクライナ軍に海兵旅団は 1 個しかなかった。 海軍に属していた第 37 海兵旅団である。

その後、戦争がエスカレートするなか、新たな海兵旅団が編制される。 2015 年に第 36 海兵旅団、2018 年に第 35 海兵旅団が設立され、今年春には最新の第 38 海兵旅団がつくられた。 第 38 海兵旅団は 7 月 25 日ごろ、南部前線到着のあいさつ代わりとばかりにロシア空軍の Ka-52 攻撃ヘリを撃墜し、鮮烈なデビューを飾っている。

軽装備ゆえの機動力が強み

各 2,000 人規模のウクライナの海兵旅団は、他国の海兵隊がするように強襲揚陸艦に搭乗して移動するわけではない。 ウクライナ海軍は古い揚陸艦を1隻保有するだけであり、この艦船は最近はドニプロ川の河口付近に隠されている。 ウクライナの海兵隊はもっぱら陸上で戦う。 彼らを海兵隊たらしめているのは、その編制や訓練、精神である。 海兵旅団は一般的な陸軍旅団よりも軽装備だ。 陸軍の旅団は通常、装軌(キャタピラ)式の歩兵戦闘車 ((IFV) 各 30 両を装備する 3 個大隊と、戦車 30 両を装備する 1 個完全大隊から成る。 これに対して海兵旅団は、装軌式 IFV と、それと同数かそれ以上の自走式 IFV (いずれも IFV でなく装甲トラックということもある)を装備するのが普通だ。

戦車について言えば、海兵旅団は装備数 10 両ほどの 1 個戦車中隊しか置かれていないこともあるし、あるいは戦車をまったく保有しない場合もある。 たとえば、ウクライナの第 37 海兵旅団の海兵隊員は米国製の M-ATV 装甲トラックやフランス製の AMX-10RC 偵察車に乗っている。 戦車はもたない。 この軽さがスピードを生む。 たしかにウクライナ軍は最近、多数の装軌式 IFV と大量の砲撃やロケット弾攻撃に支援された、ゆっくりとした歩兵先行の攻撃にシフトしている。 ウクライナ軍指導部はこうした戦い方によって、部隊が戦車や IFV を許容できないほど失うのを避けながら、ロシア軍の設けた地雷原や塹壕線を少しずつ突破していくことを期待しているのだろう。 それでも、海兵隊はやはり海兵隊らしい戦い方をしている。

海兵隊戦力の集中投入で大きな突破狙う

海兵隊は数両の戦車の支援を受けながらトラックの車列で電撃的に移動し、走行間射撃でロシア兵に衝撃を与える。 それから歩兵部隊を配置し、決定的な接近戦に臨む。 第 35 海兵旅団と第 37 海兵旅団はこうした戦術によってモクリ・ヤリー川沿いに南進し、スタロマイオルスケなど一連の集落を解放してきた。 第 35 海兵旅団と第 37 海兵旅団が同川の渓谷一帯を強襲する間、姉妹旅団である第 36 海兵旅団はそこから 16km ほど西のステポベ近辺で戦闘を続けている。 もうひとつの第 38 海兵旅団は先週、スタロマイオルスケの東に隣接するウロジャイネの外れでロシア軍の地上部隊と初めて交戦した。

海兵隊はこの攻勢軸で、陸軍がより西で進めている反攻よりも成功を収めている。 もちろん、これは地形の違いも一因である。 陸軍の作戦区域、とくにトクマク方面の軸に沿ったエリアは広く開けており、大半は平坦で樹木もあまり生えていない。 そして TM-62 対戦車地雷が大量に敷設されている。 一方、モクリ・ヤリー川渓谷周辺はもっと複雑な地形をしていて、広大で密集した地雷原も比較的少ない。 攻撃はこちらのほうが進めやすいと言えるだろう。

もっとも、これは海兵隊の機動性や規律、攻撃力が信用されていないということではない。 ウクライナ軍が海兵旅団をすべてこの軸に配置したのには理由がある。 反攻開始から 3 カ月目に入ろうとするなか、大きな突破を達成しようと必死になっているのは明らかだ。 軍の指導部は、いまこそ海兵隊の全戦力を投入すべき時と考えているようだ。 ただ、近いうちに突破できなければ、これら全海兵旅団に休養が必要になるかもしれない。 現在、戦闘を行っている 4 個旅団と入れ替わる 5 個目、6 個目、7 個目の海兵旅団は、ウクライナにまだ存在していない。 (Forbes = 8-10-23)


ドニプロ川を渡河の情報、ウクライナが否定

ウクライナ軍が南部ヘルソン州を流れるドニプロ川を渡河した可能性を指摘した米シンクタンク戦争研究所 (ISW) の分析をめぐり、ウクライナのマリャル国防次官は 9 日、「軍と参謀本部は現時点でこの情報を確認していない」と否定した。 インタファクス・ウクライナ通信が伝えた。 ウクライナのテレビ番組での発言を報じたものだ。 マリャル氏は「戦闘に関するどのような情報も、戦況に影響を与え得る」と述べ、当局の発表のみを信頼するよう国民に呼びかけたという。 戦争研究所は 8 日、ウクライナ軍がドニプロ川を渡河し、ロシア軍の支配する東岸地域に上陸したとみられるとする分析を発表。 ウクライナ軍がそれぞれ 6 - 7 人を乗せた 7 隻のボートで上陸し、ロシアの防衛線を突破したとする複数のロシアの軍事ブロガーの分析を紹介していた。 (asahi = 8-9-23)


ウクライナ、黒海でロシアに反撃へ 穀物輸送可能に = ゼレンスキー氏

[キーウ] ウクライナのゼレンスキー大統領は8日に公表したビデオで、穀物などの輸送を可能にするため、黒海でロシアに対し反撃すると表明した。 ゼレンスキー大統領は「ロシアが黒海を支配し続け、封鎖や砲撃を繰り返し、ウクライナの港にミサイルを打ち込めば、ウクライナも同様に対応する。 これは正当な防衛だ。」とし、ロシアに対しウクライナの港へのミサイルやドローン(小型無人機)による攻撃を止め、貿易を行えるようにするよう求めた。 (Reuters = 8-9-23)


ウクライナの巡航ミサイル爆撃機、ロシア軍が破壊試みも度々失敗

ウクライナ空軍の第 7 戦術航空旅団が運用する 40 年前のスホーイ Su-24 爆撃機は、北大西洋条約機構 (NATO) の支援により、強力な長距離攻撃システムとなった。 ロシア空軍がウクライナ西部スタロコスティアンティニウにある飛行場を拠点とする同旅団を壊滅させようと全力を尽くしているのはそのためだ。 だが同旅団は、1 年半にわたり戦い続け、ロシア軍の攻撃をかいくぐってきた。 ロシアが 2022 年 2 月 24 日にウクライナに本格侵攻したとき、同旅団は双発 2 人乗りの Su-24M 爆撃機と Su-24MR 偵察機を数十機保有していただけだった。

ロシア軍が侵攻直後に行ったウクライナ空軍基地へのミサイル攻撃は、大きな損害を生まなかった。 NATO の情報機関からの内報を受けたウクライナ空軍は、航空機や兵士を郊外の小さな飛行場や道路沿いの仮設滑走路に避難させていたのだ。 重力で落ちる無誘導の爆弾を通常積んでいる第 7 旅団の Su-24M は、直ちに戦闘任務を開始。 一部の Su-24M は、侵攻初日の 2 月 24 日、首都キーウ郊外のホストーメリ空港周辺に展開したロシア軍のパラシュート部隊に対し、低空飛行で爆弾を投下した。

侵攻後の最初の 1 年は同旅団にとって厳しいものだった。 17 機の Su-24 がロシア軍に破壊され、乗員数十人が犠牲になった。 だがウクライナ空軍は引退したパイロットやナビゲーターを呼び戻し、保管所で放置されていた多くの Su-24 の一部を復活させることで、同旅団の戦力をなんとか維持した。 そして今春、英国が供与したステルス能力を持つ巡航ミサイル「ストームシャドー」が、同旅団の運命を大きく変えた。 英国とウクライナの技術者らは、Su-24M と Su-24MR を改造し、ストームシャドーを 2 発搭載できるようにした。

重量 1.5 トン、GPS 誘導を備えたストームシャドーの射程は最長約 250km だ。 このミサイルを手にした第 7 旅団は、もはや厳重に防衛されている標的を攻撃するためにその上空を飛行しなくてもよくなった。 その代わり、ウクライナ側が支配する比較的安全な空域を飛行しながら攻撃を仕掛けることができる。 これにより同旅団の損失ペースは大幅に低下。 2022 年には平均して月に 1、2 機の爆撃機を失っていたのが、今年になってから損失はほぼ皆無だ。 ストームシャドーと、フランスがウクライナに供与した類似のミサイル「SCALP」は、目標を正確に攻撃可能で、ロシアの防空システムによる迎撃が非常に困難であることが証明された。

巡航ミサイルを搭載した Su-24 は、ロシア占領地域にある兵たん拠点や、ロシアが一方的に併合したクリミアにあるロシア軍の広大な戦闘車両の修理基地を攻撃。 そして今月 6 日には、クリミアとロシアが支配するウクライナ南部ヘルソン州を結ぶ4本の橋のうち 2 本を損壊させた。 第 7 旅団は、クリミアを孤立させ、最終的にウクライナ軍がクリミアを解放するための条件を徐々に整えるという困難な任務に当たっている。 そのため、同旅団の基地や爆撃機、乗員はロシア軍の長距離攻撃の最優先の標的となっている。

ロシア軍は 5 月 29 日、そして 7 月 26 日にも巡航ミサイルでスタロコスティアンティニウの飛行場を狙い攻撃を実施。 今月 6 日には、67 発のロケット弾や巡航ミサイル、爆発物を満載した自爆型ドローン(無人機)で大規模攻撃を仕掛けた。 この攻撃の主な標的は第 7 旅団だった。 ウクライナの防空部隊は、67 発のうち 57 発を迎撃。 10 発は撃ち落とせなかったが、昨年 2 月と同様、飛行場には重要なものは残されていなかった。 同旅団は、ウクライナや同盟国の情報機関からの警告を受け、爆撃機をスタロコスティアンティニウから安全な場所へと移動させていた。 Su-24 の乗員は間もなく業務に戻り、ロシア占領地の重要なインフラに向けてさらに巡航ミサイルを発射することだろう。 (David Axe、Forbes = 8-9-23)


ロシア "補給路大打撃" ウクライナ軍が攻撃、物流に大きな混乱も 米シンクタンク分析 英国供与の巡航ミサイル使用か

ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアに、大打撃となりそうだ。 ウクライナ軍が 6 日、ロシアが実効支配するクリミア半島と、ウクライナ南部のヘルソン州を結ぶチョンガル橋とゲニチェスク橋を攻撃したと発表した。 ロシアは通常よりも遠回りのルートに頼ることになる。 重要な補給路を使えなくなることで物流に大きな影響が出るとみられ、ロシア側の輸送に遅延が起きるとの分析もある。 米シンクタンク「戦争研究所」は「ウクライナ軍は 6 日、ロシアの地上連絡線 (GLOC) (GLOC) にある 2 つの主要な橋を攻撃した」と説明し、ロシア軍が、遠回りとなる半島西側からの別ルートを使った輸送に変更せざるを得なくなるとした。

ウクライナは 7 月、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ「クリミア橋」を攻撃するなど、ロシア側の補給路に狙いを定めている。 米戦争研究所は、今回の攻撃を受けてロシアが迂回ルートを取ることで、「物流に甚大な混乱をもたらし、遅延や交通渋滞が起きる可能性がある」と分析した。 ヘルソン州のロシア側行政府トップは、チョンガル橋の攻撃に、イギリスが供与した巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われたとし、穴が開いた路面写真を公開した。 (ZakZak = 8-8-23)

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