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「戦争はロシアに戻りつつある」とゼレンスキー氏 モスクワでのドローン攻撃後

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 30 日夜、戦争がロシアに到達するのは避けがたいと述べた。 これに先立ちロシア国防省は、モスクワが同日早朝にウクライナのドローン(無人機)による攻撃を受けたと発表していた。 ゼレンスキー大統領は訪問先のウクライナ西部イヴァノ・フランキフスクからのビデオ演説で、「ウクライナはますます強くなっている」と強調。 「今日はいわゆる『特別軍事作戦』の 522 日目だ。 ロシア指導部は数週間で終わると思っていたが」と述べ、「戦争は徐々にロシア領に戻りつつある。 ロシアにとって象徴的な中心地や軍の基地へ。これは不可避で自然で、まったく公平なプロセスだ」と主張した。

演説に先立ちロシア国防省は、モスクワが同日早朝にウクライナのドローン攻撃を受けたと発表。 モスクワ郊外西部オディンツォヴォでドローン 1 機を破壊したほか、2 機を墜落させたものの、この2機がモスクワ市内に落下し、オフィスビル 2 棟が被害を受けたとした。 モスクワ市南西にあるヴヌーコヴォ国際空港も一時的に閉鎖された。 モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は、オフィスビル 2 棟の外壁が軽く損傷したと述べた。 現場の写真からは、オフィスビルで複数の窓が破損し、破片が地上に散らばっている様子が見える。

「リヤ」と名乗った目撃者はロイター通信に、炎と煙を目にしたと話した。 「爆発の音が聞こえて、波みたいに押し寄せてきて、みんなびくっとした」とリヤさんは言い、「それから煙がすごくなって、何も見えなくなった。 火が出ているのが上から見えた。」と話した。

ロシア政府はこのところ、ウクライナによるドローン攻撃を相次いで受けたと主張している。 他方、ウクライナ側がロシア国内へのこうした攻撃を認めることはめったにない。 ウクライナ国境から約 500 キロ離れたモスクワは、昨年 2 月のウクライナ侵攻開始以来、ほとんど攻撃を受けていない。 しかしロシア政府は、今年 5 月にモスクワ中心部にある大統領府(クレムリン)がウクライナのドローンに攻撃されたと主張した。 ウクライナ側は、クレムリンやウラジーミル・プーチン大統領を狙った事実はないと反論した。

ロシア国民への圧力

今回のゼレンスキー大統領の演説は、ロシアへの攻撃を認めてこなかったウクライナ政府の従来の対応とは明確に異なる。 BBC のジェイムズ・ウォーターハウス・ウクライナ特派員は、ゼレンスキー氏が攻撃を明らかに認めたわけではないものの、ロシア政府だけでなくロシア国民にもこうして圧力をかけられるだけの自信を、ウクライナ大統領は抱いているようだと指摘する。 ロシア国民の多くは、自国のウクライナ侵攻は正当で、正義は自分たちの側にあると考えているようだという。

ゼレンスキー大統領が言うように、ロシア国内で起きる爆発がウクライナ国内の事態と関連していると、ロシア国民が認識するようになれば、ロシアのプーチン大統領が拡大を目指すウクライナ侵攻の正当化について、ロシア国内で世論に影響が出る可能性があると、特派員は話す。

クリミアへもドローン攻撃か

国営タス通信によると、ウクライナは 29 日深夜から 30 日未明にかけて、クリミアに対してもドローン攻撃を実施。 ロシア国防省は、ドローン 16 機を破壊し、さらに 9 機を落下させたとしている。 ロシアは 2014 年にウクライナ領クリミアを併合した。 ウクライナ側では 29 日に北東部スーミが砲撃され、1 人が死亡、5 人が負傷したという。 ウクライナ内務省が発表した。 内務省はメッセージアプリ「テレグラム」で、ロシアのミサイルが 29 日夜に教育施設を直撃したと明らかにした。 BBC はこの情報を検証できていない。 さらに南部ザポリッジャの現地当局によると、ミサイル攻撃で 2 人が死亡し 1 人が負傷。 「敵のミサイル」による衝撃波で集合住宅の窓が割れ、教育施設やスーパーが被害を受けたという。 (BBC = 7-31-23)


ロシアの新型高性能ミサイル、ウクライナ反攻の脅威に

ウクライナ軍がザポリージャ州で地雷原や対戦車塹壕、コンクリート製の障害物「竜の歯」を向こうに回して攻勢を強める中、ロシア軍は長距離攻撃が可能な新型高性能ミサイルを搭載した攻撃ヘリコプターで反撃している。 英国防省が7月27日に発表した最新の情報分析によると、ザポリージャ州の戦線で「最も効力を発揮しているロシアの兵器システムの一つ」が、攻撃ヘリコプター Ka52、通称ホーカムだ。 しかも、シリアでの戦闘経験を通じて開発された派生型の新機体、Ka52M が配備されているという。 Ka52M は、最新の電子工学照準タレット、先進的な通信システム、殺傷力の高いミサイルなどの新型兵器を搭載できる兵器管制システムを備えているとされる。

英国防省の分析は「Ka52 部隊のもう一つの重要な改良点は、新型対戦車ミサイルが統合されたことだ」と続く。 「射程およそ 15km の LMUR だ。 Ka52 の搭乗員はこの好機を逃さず、ウクライナ防空網の射程外からこの兵器で攻撃している。」 これはヘリコプターの能力が本質的に拡大していることを意味する。 Ka52 のようなロシア製ヘリコプターは対戦車用に設計されており、レーザー誘導方式の対戦車誘導ミサイル (ATGM) である Vikhr (ヴィーフリ)と ATAKA (アタカ)を搭載できる。 射程はそれぞれ約 10km と約 6km だが、いずれも標的に直接照準を合わせる必要があり、射線が限られる。

このため、米国から供与されたスティンガーや英国製のスターストリークといった携帯式地対空ミサイルを備えるウクライナ軍の防空網に、危険を冒してでも機体を接近させがちになる。 したがって、ロシア・ウクライナ両軍の攻撃ヘリの戦法の多くは、地上近くを飛行して敵陣営に接近し、急上昇しながら無誘導ロケット弾を連射したのち方向転換をするロケット・ロフティング攻撃に限られてきた。攻撃の精度は非常に低いが、この方法でロケット弾を撃ち込めば、機体が敵の砲火にさらされることはない。

LMUR は別格だ。 技術的には Izdeliye Product 305 (イズデリエ 305)として知られており、LMUR という名称は、Lyogkaya Mnogotselevaya Upravlayemaya Raketa(軽量多目的誘導ミサイル)の頭文字を取ったものだ。 2007 年に初めて公開され、2015 年から試験が行われ、2016 年以降に生産が開始された。 重量は 200 ポンド(約 90 キロ)以上で Vikhr の 2 倍、ATAKA の 6 倍もあり、「軽量」と呼ぶにはいささか語弊がある。

LMUR はレーザー誘導方式ではなく、赤外線画像と衛星航法を組み合わせて使用する。 直接射撃モードでは、オペレーターが赤外線探知装置で標的を捕捉して発射する。 米国製の携帯式対戦車ミサイル、ジャベリンと同様のシステムだ。 一方、標的との距離が開いている場合、オペレーターは敵の視界に入らない場所から指定した座標に向かってミサイルを発射し、ミサイルの赤外線カメラを介して標的を発見・ロックオンできる。

軍事情報分析を行う Oryx (オリックス)のシュテイン・ミッツァーが LMUR に関する記事で指摘しているように、このミサイルは昨年 6 月にウクライナで初めて目撃され、Mi28 ヘリコプターから発射されたとみられる 1 発が建物を攻撃した。 その後の攻撃も、高価値の標的とされた建物に限定して行われたようだ。 だが、ロシ ア側の標的の特定方法には疑問が残る。 ロシア国防省は高機動ロケット砲システム HIMARS (ハイマース) 2 基を格納した建物に LMUR が命中したと主張する動画を公開したが、ミサイルの照準は 2 階部分に合っており、ハイマースがどうやって 2 階に上がったかは説明していない。

Oryx によれば、ウクライナの反転攻勢が始まる前に、建物 43 棟、橋 6 本、トラック 2 台、装甲車 5 台が LMUR によって攻撃された。 現在、このミサイルは高性能の Ka52 攻撃ヘリコプターに搭載され、本来の対戦車用途で使用されている。 北大西洋条約機構 (NATO)、特に米陸軍は、冷戦時代に対戦車ヘリのコンセプトを開発した。機動性が高く、離れた距離から攻撃可能なため、装甲車両の迎撃には最適だ。 防衛線を突破されそうな場所に迅速に急行し、敵の攻勢を鈍らせることができる。 ウクライナでは、それが功を奏しているようだ。

ロシアが LMUR を搭載した新型 Ka52M を配備した事実は、ウクライナの反転攻勢を鈍らせるために全力を投じていることを示唆している。 1 発 22 万ドル(約 3,100 万円)以上する LMUR は供給不足で、複数の推計で 200 - 300発しか調達できていないとされる。 ウクライナに必要なのは、パトリオットのような射程の長い防空ミサイルか、F16 戦闘機やロシアの空軍基地を攻撃できる長距離兵器など、LMUR を搭載したロシアのヘリコプターの脅威に対処できる能力だ。 それがなければ、反攻は遅々として進まず、血まみれの展開となるだろう。 (David Hambling、Forbes = 7-31-23)


ウクライナ軍高官「まもなくクリミアに入る」 ゼレンスキー大統領はバフムトの前線を訪問

反転攻勢を進めるウクライナ軍が「まもなくクリミアに入る」とウクライナの高官が主張しました。 ウクライナメディアは 29 日、2014 年にロシアに侵攻されたクリミア半島について、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は「ウクライナ軍はまもなくクリミアに入るだろう」と述べたと報じました。 一方、ウクライナ軍の反転攻勢が遅れていると指摘する声も上がるなか、ゼレンスキー大統領は SNS で、東部ドネツク州のバフムトの前線を訪れたと明らかにしました。 バフムト周辺ではロシア軍との激しい戦闘が続いていて、ゼレンスキー大統領は地図を見ながら戦況を確認したほか、特殊部隊の兵士たち一人ひとりと握手をして激励しました。 (テレ朝 = 7-30-23)


「ロシアに平穏な場所はない」 ウクライナ空軍報道官

ウクライナ空軍のユーリー・イグナト報道官は 30 日、モスクワ中心部で同日未明にドローン(無人機)攻撃があったことについて、「ロシア政府が目を背けても、すべて撃墜したと言っても、(ロシアでは)何かが飛んでくる」とウクライナ軍の攻撃を示唆し、「もはやロシアの『平穏な離れた場所』を語る必要はない」と述べた。 ウクライナメディアが伝えた。 イグナト氏は「モスクワを含むロシアでは、いつも何かが飛んでいる。 戦争は『関係ない』という人がいるが、すでに『関係している』」と述べ、ロシアでドローン攻撃への懸念が強まっていると指摘した。 (asahi = 7-30-23)


モスクワに無人機攻撃 ビル被害、今月 4 度目

ロシア国防省は 30 日、モスクワで同日朝にウクライナによる無人機(ドローン)攻撃があったと発表した。 1 機は郊外で防空システムにより破壊、2 機は電波妨害で制御を失った後、ビルに突っ込んだ。 ソビャニン市長はビルが被害を受けたが負傷者はいないと主張した。 インターネットではビルが炎上する様子や、窓ガラスが割れた建物の画像が出回った。 モスクワへの無人機攻撃は 7 月に入って 4 度目と頻発。 24 日には無人機の破片が中心部の国防省近くで見つかった。 国防省は、ロシアが併合したクリミア半島に 30 日朝までにウクライナの無人機 25 機による攻撃の試みがあったと発表した。 (kyodo = 7-30-23)


ロシア領内、攻撃相次ぐ = ウクライナ東部にもミサイル

【ワシントン】ロシア国防省は 28 日、首都近郊のモスクワ州に飛来した無人機を撃墜したと発表した。 また、南部ロストフ州でも 2 発のミサイル攻撃があり、迎撃した際の残骸が港湾都市タガンログなどに落下したと主張した。 国防省はいずれもウクライナによる攻撃だと断定した。 ウクライナ側はロシア領内での攻撃に関して特に反応していない。 ただ、ポドリャク大統領府顧問は「タガンログを含め、ロシアで起きていることは全て、ロシアが始めた大規模な戦争の結果だ」と批判した。

ウクライナでも、東部ドニエプロペトロフスク州のドニプロに 28 日、ロシア軍によるミサイル攻撃があった。 集合住宅と治安機関庁舎が被害を受け、負傷者がいる。 ゼレンスキー大統領は「ロシアの侵略とテロ行為を罰するため、われわれはあらゆることを行う」と強調した。 (jiji = 7-29-23)


プーチンも青ざめた … クリミア大橋撃破で見せたアメリカの「マジな怒り」

多くの場合、国際紛争には、キーパーソンとなる第三国の政治家が登場するものだ。 実際のところは、「漁夫の利を狙うハイエナ」なのだが、ともかく紛争当事国の間で巧みに暗躍し、どちら側にもいい顔をしつつ、結局は「勝ち馬」の方に乗っていく - -。 昨年 2 月に「開戦」したウクライナ戦争で、そのような役割を果たしている政治家と言えば、トルコのレジェップ・エルドアン大統領(69 歳)をおいて、他にいないだろう。 5 月 28 日に行われた大統領選挙の決選投票で勝利し、すでに丸 20 年も続く「強権体制」を、さらに揺るぎないものとした。

そんな「トルコの独裁者」のことを、これまでロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、「私の友人」と呼んできた。 そのココロは、トルコを「NATO (北大西洋条約機構)の防波堤」にすることだった。 「全会一致の原則」を貫く NATO は、1 ヵ国でも反対すれば議決できないからだ。 トルコは、NATO が発足して 3 年後の 1952 年に、早々と加盟を果たしている。 2019 年、ロシアはトルコに対して、トルコが切望していたロシア製の地対空ミサイル防衛システム「S-400」を配備した。 最近でも、前述のトルコ大統領選で、エルドアン再選をバックアップし続けた。 具体的には、経済危機にあるトルコに十分なエネルギーや食糧を与え、選挙直前にはエルドアン大統領の求めに応じて、トルコとシリアの外相会談の仲介までした。

トルコの寝返り

それなのに、エルドアン大統領はここのところ、プーチン大統領に「恩を仇で返す」ことばかりし続けている。 例えば、トルコの攻撃用ドローン「バイラクタル TB2」をウクライナに供与し、ロシア軍は甚大な被害を被った。 ロシアが抗議すると、エルドアン大統領は、「あれはただの民間ビジネス」と、平然と言い放つ始末だ。 7 月 8 日には、停戦の時までトルコに停留させることを条件に、ロシアから預かっていたウクライナのアゾフ大隊の捕虜 5 人を、あっさりウクライナに帰還させてしまった。 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が直々に出迎え、ウクライナ軍は俄然、活気づいた。 この一件についても翌日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、トルコに猛烈な抗議の電話を入れたが馬耳東風だ。

その抗議電話の 2 日後の 7 月 11 日、エルドアン大統領は、リトアニアの首都ビリュニスで開かれた NATO 首脳会議に出席し、ジョー・バイデン米大統領と会談した。 そして再び、「アメリカとのビッグディール」が、ロシアを唖然とさせたのだった。 何とトルコは、それまでプーチン大統領の意を受けて、「断固反対」していたスウェーデンの NATO 加盟を、あっさりと承諾したのである。 その「見返り」は、長年切望していた「F-16 戦闘機」の供与だ。 これが実現すれば、トルコはアメリカ製「F-16」で攻撃し、ロシア製「S-400」で防衛することになる。 こんな国は、世界広しといえども他にない。 プーチン大統領も舐められたものだ。

アメリカからすれば、どちらかと言えば「アチラ側」の国だったトルコを、「コチラ側」に寝返らせた意味は大きい。 それによって、黒海沿岸の国々 - - 時計回りに北側からウクライナ、ジョージア、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、モルドバという 6 ヵ国を結集させ、「黒海ロシア包囲網」を築くことが可能となったからだ。

ロシア統合の象徴が

その究極的な目標は、黒海に浮かぶクリミア半島の「奪還」であろう。 東部戦線が膠着状態に入ったいま、アメリカとその「先兵」としてのウクライナ軍は、クリミア半島に改めて標的を定めた - -。 7 月 17 日、クリミア半島とロシア南部をつなぐクリミア大橋が、攻撃を受けて破壊された。 この全長 18.1km 大橋は、2014 年 3 月にロシアがクリミア半島を一方的に併合した後、プーチン大統領の「鶴の一声」で建設が決まった。 そして、ロシアへの統合を象徴するインフラとして、3 年の歳月をかけて完成した。

クリミア大橋は、昨年 10 月にも一度、ウクライナ軍によって破壊されたが、12 月に修復を終え、プーチン大統領自らが電撃訪問している。 もっとも、この時に訪れたのは「プーチンのダミー(影武者)」だったという説が有力だが。 ともあれ、そんなクリミア大橋が、再び攻撃を受けたのである。 プーチン大統領はすぐに、緊急のオンライン会議を招集し、画面に向かって吠えた。

「これはウクライナ側による新たなテロ行為だ。 無辜の市民を巻き込んで殺した残酷な犯罪だ。 今後は当然、ロシア側から報復を行っていく。 それにふさわしい案を、すでに国防省が準備している。」

「ふさわしい報復案」とはどうやら、「黒海制圧作戦」とでも言えるもののようだ。 ロシアはまず同日(17 日)、黒海を経由したウクライナ産穀物の輸出合意の一方的停止を発表した。 これは通称「黒海穀物イニシアチブ」と呼ばれるもので、昨年 7 月に国連の仲介で、ロシアとウクライナ、それにトルコが署名した。 ウクライナ産穀物を輸出する船舶の安全航行を確保することが目的だ。 有効期間は 120 日だったが、延長を重ね、今年 5 月に再度、60 日間延長した。

バイデンの目論見

このロシアの「黒海穀物イニシアチブ」停止宣言を受けて、ウクライナの黒海に面した南西部のオデッサ港に、穀物が滞留し始めた。 すると、ロシアは 7 月 19 日から連日、オデッサ港にミサイルの雨を降らせた。 23 日未明には、世界遺産となっているウクライナ正教会の大聖堂まで半壊させた。 これに対し、ゼレンスキー大統領は、怒りに満ちた表情で演説した。

「ロシアが 19 種類ものミサイルを、オデッサに撃ってきた。 それは都市や村落、人間を破壊し、ヨーロッパ文明そのものを標的にしている。」

ウクライナ側も、非難の声を強めているばかりではなかった。 翌 24 日未明には、クリミア半島の北部ジャンコイにあるロシア軍の弾薬庫を、大量のドローンで攻撃し、炎上させた。 前述のように、東部戦線はロシア軍が鉄壁の塹壕を掘り、戦況は膠着状態に陥っている。 そんな中、バイデン政権は、クリミア半島の奪取に全力を傾けるよう、ゼレンスキー政権に「知恵」をつけているように思える。 「クリミアを獲られプーチン青ざめる。」 - - これこそが、来年 3 月のロシア大統領選でプーチン大統領を失脚させる早道と、バイデン政権は捉えているのではないか。 (現代ビジネス = 7-29-23)


クリミアのロシア軍補修拠点をウクライナの Su-24 が巡航ミサイルで叩く

ロシアの占領下にあるウクライナ南部クリミア半島の北部ジャンコイから南へ 1.5 キロメートルほど下ったノボステプネという場所に、ロシア軍の車両置き場(車廠)がある。 ウクライナ南部で戦闘を行っているロシア軍部隊は、損傷した車両をここに送って修理している。 24 日、そこで爆発が起きた。 ロシアの複数の情報筋によると、ウクライナ空軍の Su-24 爆撃機から発射された 1 発の英国製巡航ミサイル「ストームシャドー」の仕業だった。 ウクライナ軍による攻撃を受けた際に、この車両置き場にどのくらいの数の車両があったのかは定かではない。 攻撃で何両が破壊されたのかも不明である。

想定される損害のうち、ウクライナ側にとって最良のケースは、巡航ミサイル 1 発で 100 両以上の車両を破壊したというものだろう。 この場合、ウクライナ軍南部司令部が 7 週間前にザポリージャ州やドネツク州で満を持して反転攻勢に出て以降、ロシア軍の車両に与えた全損害にほぼ匹敵する損害を、1 度の攻撃で加えたということになる。 他方、最悪のケースはロシア軍車両の損害が最小限にとどまった場合だが、それでもなおウクライナ側にとっては果報と言える。 というのも、この攻撃によってロシア側は少なくともウクライナ南部で兵站基盤の分散を強いられ、その結果、車両の補修作業に支障が出ると見込まれるからだ。

24 日の攻撃について、クリミアの住民はまず、立ち昇る煙や砂ぼこりで何かあったことに気づいたようだ。 ほどなくしてロシアの軍事ブロガーらがウクライナによる攻撃だと認めた。 「ウクライナ空軍の Su-24 がストームシャドー 4 発を発射した。」 通信アプリ「テレグラム」で人気軍事チャンネル「Rybar」を運営するロシア人ブロガー、ミハイル・セルゲービチ・ズビンチュクはそう説明している。 ズビンチュクによれば、うち 3 発はジャンコイの南 15 キロメートルほどに位置するビルネ付近の弾薬庫が攻撃目標だった。 そして、残り 1 発がノボステプネを狙ったものだった。 「4発とも目標に命中した」という。

この補修拠点に置かれている車両数は、ロシアが 2022 年 2 月にウクライナでの戦争を拡大してから現在までの間に変化してきたが、1 年ほど前には数百台集められていた。 2022 年 8 月に撮影された衛星画像には、戦車や戦闘車両、軍用トラックが所狭しと並べられている様子が写っている。 重量 1.5 トンのストームシャドーが戦車か戦闘車両に直撃すれば、その車両はまず間違いなく撃破されるだろうし、周囲数百メートルにある車両が最低でも激しく損傷するのは確実だろう。

実弾を搭載した車両があった場合、連鎖的な爆発が起きた可能性もある。 これがどれほど大きな損害をもたらしうるか、よくわかる実例を紹介しよう。 1991 年 7 月、クウェートにあった米陸軍の基地「キャンプ・ドーハ」の車両置き場で火災が偶然発生し、それによって弾薬が次々に爆発する事態になった。 その結果、M-1 戦車 4 両を含む車両およそ 100 両が破壊された。 ただ、ノボステプネに対する攻撃に関しては、独立系の調査機関「コンフリクト・インテリジェンス・チーム (CIT)」が二次爆発はなかったと報告しており、連鎖的な爆発は起きなかったのかもしれない。

いずれにせよ、今回の攻撃はロシア側にとっては不吉な兆候だ。 ウクライナ空軍はまだ Su-24 を数十機保有している可能性があり、ストームシャドーやそのフランス製版「スカルプ」についても、クリミアやほかの占領地にあるロシア軍補給拠点を継続的に攻撃していくのに十分な量を確保しているかもしれない。 車両置き場も安全ではない。 たとえ防空部隊に護られていてもだ。 ステルス性能をもつストームシャドー/スカルプは迎撃がきわめて難しいことがわかっている。 射程はウクライナに供与されたタイプでも最大 250 キロメートルに達する。

ロケット砲、ドローンそして巡航ミサイルと、ウクライナが深部に対する攻撃能力を急速に高めていることへの懸念から、ロシアはすでに昨年、補給拠点を前線からさらに離れた場所に移すようになっていた。 前出の CIT は、ウクライナ軍はそのため「より後方にある既知の補給拠点を目標にせざるを得なくなった」と解説している。 ノボステプネと前線からの距離は 150 キロメートル弱。 Su-24 がウクライナ側の安全な場所からストームシャドーを十分撃ち込める距離だ。

ウクライナ南部に展開しているロシア軍の野戦部隊は、大規模な補給拠点をクリミア南部などさらに奥に引っ込めることもできるだろう。 だが、それによってストームシャドーの脅威を減らせても、完全に取り除くことはできない。 ウクライナ空軍は昨年、南部の自由港オデーサの南約 130 キロメートルに浮かぶズミイヌイ(スネーク)島を占拠していたロシア軍部隊に継続的な爆撃を実施し、このエリアでの作戦行動能力を証明している。 このロシア軍守備隊は昨年 6 月末に撤退に追い込まれている。

ズミイヌイ島からクリミアへの距離は 160 キロメートルもない。 Su-24 は黒海西部の上空から、クリミアのあらゆる場所を巡航ミサイルの目標にできるということだ。 ロシア側は補修拠点をたんに移動させるのではなく、分散させることも可能だろう。 確かにそうすれば、ウクライナ側はより小さな目標をより多く目標に据えなくてはいけなくなるため、全体的なリスクは下がるかもしれない。 だが、兵站は規模がものをいう以上、分散すれば効率性が低下する。 言い換えれば、車両の修理ペースは落ちることになる。 つまり、どうやってもウクライナ有利・ロシア不利という関係は動かない。 ウクライナ軍の巡航ミサイルによって、ロシア軍がウクライナ南部で旅団に完全な装備をさせ続けることは一段と難しくなっている。 (David Axe、Forbes = 7-28-23)


ロシア軍の兵站拠点に大規模ロケット攻撃 ウクライナ南部

ロシアが任命したウクライナ南部ザポリージャ州当局幹部のウラジーミル・ロゴフ氏は 27 日、ロシアが占領している同州トクマクにある重要な兵站の拠点が激しいロケット攻撃を受けたと明らかにした。 ロゴフ氏によると、ウクライナ軍が多連装ロケット砲を使った「大規模な」攻撃を行った。 ロケット弾 3 発が爆発し、4 発目が近くの鉄道駅に落ちたが爆発しなかった、とロゴフ氏は SNS 「テレグラム」で明らかにした。 1 人が負傷したという。

ザポリージャ市の南に位置するトクマクにはロシア軍の兵站拠点が置かれており、ロシアが併合したクリミア半島とは鉄道でつながっている。 ウクライナ軍の前線からは約 20 - 25 キロ離れている。 トクマクは定期的に多連装ロケット砲などロケット弾やミサイルによるウクライナ軍の攻撃を受けているが、現在のところ大半の大砲システムの射程に入っていない。 ロシアと米国の当局者によると、ウクライナ軍は予備部隊を南部戦線に投入するなど、南部で反攻を強めているようだ。 ロゴフ氏は今週、ウクライナ軍がザポリージャ州内のロシア軍の第一防衛ラインの 3 カ所で「突破口を開いた」と認めていた。 (CNN = 7-28-23)


ウクライナ軍、東部ドネツク州の集落を奪還 大統領がビデオ公開

[キーウ] ウクライナのゼレンスキー大統領は 27 日、東部ドネツク州のスタロマイオルスケ村をロシア軍から奪還したと表明するウクライナ軍兵士のビデオを公開した。 ビデオではウクライナ軍兵士が「第 35 旅団と領土防衛部隊が任務を果たし、スタロマイオルスケ村を解放した」と語っている。 ロイターはこのビデオの位置情報を独自に確認できていない。 スタロマイオルスケ村は、ウクライナ南部と東部の一部を支配するロシア軍に対しウクライナが 6 月初めに開始した反転攻勢でウクライナが奪還した小規模な集落群の南に位置している。 ゼレンスキー大統領は前日、前線で「非常に良い結果」が得られていると述べ、近く詳細を公表する考えを示していた。 ロシアのプーチン大統領はこの日、南部でのウクライナ軍の攻撃が激化していると述べている。 (Reuters = 7-28-23)


ロシアがオデッサにまたミサイル = ウクライナ、反攻に大部隊投入か

【カイロ】 ウクライナ南部オデッサ州のキペル知事は 27 日、ロシア軍が 26 日夜から 27 日未明にかけて「オデッサの港湾インフラを標的にミサイル攻撃を開始した」と発表した。 ロシアは 17 日に黒海を経由したウクライナ産穀物の輸出合意の停止を発表。 輸出拠点オデッサへの攻撃を強めている。

キペル氏によると、空爆で警備員 1 人が死亡。 管理棟や車両 2 台が破壊されたほか、貨物ターミナルの設備が損傷した。 報道によれば、ミサイルは黒海から発射され、低空で飛行したため探知が難しかったという。 ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相は 26 日夜、この 9 日間だけで港湾施設 26 カ所と民間船舶 5 隻が攻撃を受けたと明らかにした。 一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は 26 日、ウクライナ軍が南部ザポロジエ州で反転攻勢の主要作戦を開始し、数千人規模の部隊を投入したと報じた。 大部分が西側諸国から装備の提供と訓練を受けた部隊とされる。

ウクライナ南部の占領地クリミア半島に通じるロシアの支配地域を分断する狙いで、まずは同州の要衝トクマクへの南進を目指す。 ウクライナ側は、新たな作戦には 1 - 3 週間が必要と説明しているという。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 26 日のビデオ演説で、クリミア半島に関して首脳級が話し合う「クリミア・プラットフォーム」の準備会議を開いたと表明。 8 月 23 日のプラットフォーム開催をにらみ、クリミア解放を巡る「包括的ステップ」のリストを作成中だと説明した。 ゼレンスキー氏は「われわれは速やかにクリミアをウクライナに再統合できる」と強調。 「占領者(ロシア軍)は、クリミア橋が機能しているうちにロシアへ戻らなければと考えているはずだ」と語った。 (jiji = 7-27-23)


ウクライナ軍、バフムートを半包囲 ロシア軍の補給線断絶へ

ロシアのために戦う民間軍事会社ワグネルの部隊は昨年 12 月、ウクライナ東部ドンバス地方バフムートの南約 16km に位置するクリシチウカを占領した。 それから 8 カ月たった今週、ウクライナ軍がこの町を奪還。 ロシア軍がバフムート南側に持つ同市への補給線を断つ好位置を確保した。 バフムートの戦いでは双方とも損失を被ったが、特にロシア側の損失は大きかった。 ほぼ 1 年にわたる激戦の末、ロシア軍は 5 月、廃虚と化したバフムートを制圧した。 バフムートとその周辺では、何千人ものワグネル戦闘員や正規のロシア軍兵士、親ロシア派武装勢力のメンバーが命を落とした。 バフムートに展開したウクライナ軍の防衛部隊はゆっくりと後退し、可能な限りの損害をロシア側に与えた。

バフムートはロシアにとって、ウクライナでの侵略戦争にまだ勝てることを証明する象徴的存在だった。 一方、ウクライナにとっては、ロシア軍に血で報いる機会であり、時間をかけて作戦を練った反転攻勢の決行を前にロシア軍の戦闘力を消耗させるものでもあった。 6 月 4 日に始まったウクライナ軍の反攻は、南部ザポリージャ州の他、バフムートのある東部ドネツク州でも行われている。 第 3・第 5 強襲旅団と第 22・第 28 機械化旅団などの部隊は、バフムートのすぐ南にある野原と樹林帯を越えて攻勢をかけた。 第 3 強襲旅団は 6 月下旬、ロシア軍の第 57 自動車化狙撃旅団を攻撃し、重要な防御陣地であるドネツドンバス運河を越えて東に後退させた。 第 5 旅団と第 22 旅団はここから、クリシチウカを西側から見下ろす峠へと進軍した。

あるロシア人ブロガーは「敵は隣接する別の高台を占拠し、対戦車システムや狙撃兵グループを組織してそこから前進する歩兵らを支援した」と戦況を報告。 「激しい戦闘が数日続いており、敵の偵察機と攻撃ドローンが局面に重要な影響を及ぼしている」とも書き込んだ。 一方、第 3 旅団と第 28 旅団は、数キロ南のアンドリーウカに向かって進んだ。  ウクライナ軍参謀本部のアンドリー・コバロフ報道官は 7 月 25 日、ロシア軍がアンドリーウカから撤退していると主張した。 その間、ウクライナ軍第 57 自動車化旅団は、北側からバフムート市内に入る幹線道路を目指してバフムートの反対側を前進していた。

こうして、ウクライナ軍はバフムートのロシア軍に対する半包囲網を狭めており、南側では同市に続く道路の 1 本を寸断した。 もう一つの大きな道路は、数 km 東にある。 長期化したバフムート防衛戦でウクライナ軍が身をもって知ったように、道路は命だ。 攻撃する側が補給路をすべて断ち切ってしまえば、その町での戦いは事実上終わる。 バフムートをめぐる戦いは 1 年以上続いている。 同市から撤退したばかりのウクライナ軍は現在、その奪還を試みており、この戦いはまだ続くだろう。 (David Axe、Forbes = 7-27-23)


ウクライナ軍が南部で前進、1,700 機の無人機が前線に = 高官

[キーウ] ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は 26 日、ウクライナ軍は南部で徐々に前進していると述べた。 マリャル国防次官は、ウクライナ軍はロシア軍が占拠している南部のメリトポリやベルジャンスクで前進しているほか、東部バフムトでも反転攻勢に成功していると指摘。 昨年奪還した東部リマンなどでもロシア軍の侵攻を引き続き撃退しているとした。 また、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は反攻支援に向け 1,700 機の無人機(ドローン)が前線に届けられるとした。 (Reuters = 7-27-23)


ロシア黒海艦隊、封鎖を強化か 英国防省「商業船を捕らえる態勢の一部」

英国防省は 26 日、ロシアがトルコ、国連仲介の食料輸出協定への参加を停止して以来、黒海艦隊が艦船の配置を換え、黒海封鎖を強化する準備を進めているとの分析を発表した。 同省の SNS によると、黒海艦隊はコルベット艦「セルゲイ・コトフ」を黒海南部に投入し、ウクライナ南部のオデーサ港と黒海の入り口にあたるボスポラス海峡との間をパトロールさせているという。 同省は「商業船を捕らえる態勢の一部とみるのが現実的だ。 黒海での暴力行為の範囲と強度が高まる可能性が強い。」との見方を示した。 (asahi = 7-26-23)


ロシア軍占領地から砲撃、住民 2 人死亡

ウクライナ南部ヘルソン州のプロクジン知事は 26 日、ウクライナ軍が維持する同州のドニプロ川西岸地域が 25 日、対岸のロシア軍占領地から砲撃などの攻撃を受け、住民 2 人が死亡し、3 人が負傷したと SNS に投稿した。 戦車や多連装砲を使った攻撃が一昼夜に 55 回あり、300 発の弾が撃ち込まれたという。 ニュースメディア「RBC ウクライナ」などによると、州都ヘルソンから北東 13 キロの村がロシア軍の砲撃を受け、72 歳の住民が死亡。 別のドニプロ川沿いのトカリウカ村でも女性住民が死亡した。 (asahi = 7-26-23)


米、ウクライナに 4 億ドルの追加支援

バイデン米政権は 25 日、ウクライナへの約 4 億ドル(約 560 億円)の追加の軍事支援を発表した。 地対空ミサイル「パトリオット」用の追加の弾薬や装甲車「ストライカー」、偵察ドローン「ホーネット」などを提供する。 ブリンケン国務長官は追加支援についての声明で、ロシアが黒海を通じたウクライナからの食料輸出の協定への参加を停止した後、「オデーサを含むウクライナの港やインフラへの攻撃を続けている」と指摘。 「米国と同盟国、友好国は必要な限り、ウクライナとともに立ち向かう」と述べ、ウクライナへの支援を続ける姿勢を強調した。 (asahi = 7-26-23)


ロシア、ドナウ川の穀物倉庫を攻撃 ルーマニアの対岸

ウクライナ南部のドナウ川沿いの港で 24 日、ロシアのドローン(無人機)による攻撃があり、穀物貯蔵施設が破壊された。 現地当局が発表した。 破壊された施設は、北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国のルーマニアから、ドナウ川を挟んだだけの至近距離にある。 当局によると、4 人が負傷し、うち 1 人は重傷だという。

ロシアは今月 17 日、ウクライナが黒海経由で小麦やトウモロコシなどを輸出できるようにする協定から離脱した。 そのため、ドナウ川はウクライナにとって重要な輸出ルートとなっている。 黒海の港湾都市オデーサも毎晩のように攻撃を受けており、穀物倉庫が破壊されている。 当局によると、この 1 週間で 6 万トン以上の穀物が被害を受けている。 穀物の世界市場では、ロシアが輸出協定から離脱してから 1 日のうちに、穀物価格が 8% 上昇した。 協定の破棄を受け、ロシアはウクライナの港湾に対する攻撃を再開させている。

オデーサ州のオレフ・キペル知事は、州内のドナウ川のレニ港とイズマイル港が、ロシアによって 4 時間にわたってイラン製ドローンで攻撃されたと、自らのテレグラムのチャンネルで明らかにした。 穀物の貯蔵施設が破壊されたという。 別の現地当局者らは、倉庫 3 棟が爆撃されたとしている。 キペル氏によると、攻撃してきたドローン約 15 機のうち 3 機を防空網で破壊したという。

ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は、同国に「非常に近い」場所で攻撃があったと、ツイッターで非難。 「最近の状況悪化は、黒海の安全保障に深刻なリスクをもたらす。 UA (ウクライナ)の穀物輸送と、ひいては世界の食料安全保障にも、さらなる影響を及ぼす。」とした。 ルーマニアのメディアは、ドナウ川の対岸で兵士らが明るい光を見たり、ドローンが接近する音や爆発音を聞いたりしたと報じた。 ジャーナリストの 1 人は、ウクライナでの戦争が始まって以来、ルーマニアに最も近い攻撃だったと伝えた。 レニは、ドナウ川を挟んでルーマニアから約 200 メートル、同国の港湾都市ガラツィからは約 10km の距離にある。

別ルートで輸出しているが

ロシアがウクライナを侵攻して以来、ドナウ川や、ウクライナからポーランドやルーマニアなど近隣各国に延びる道路や鉄路は、輸出ルートとして使われてきた。 川を通って輸出された穀物は昨年、200 万トンに上った。 前年は 60 万トンだった。 しかし、これらのルートで運べる量は、ウクライナの本来の輸出量のごく一部でしかない。 また、海上輸送に比べ、物流コストがはるかに高い。 東欧を経由する輸出は、近隣諸国の農家の怒りを買っている。 ウクライナの穀物が市場にあふれ、価格を引き下げているからだ。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナから穀物を輸入していたアフリカ諸国に対し、ロシアが「商業ベースでも無償ベースでもウクライナの穀物を代替できる」としている。 モスクワでは今週、ロシア・アフリカ首脳会議が予定されている。 ウクライナは世界 7 位の小麦輸出国で、欧州の穀倉地帯と呼ばれる。 国土の 71% を農地が占めている。 (BBC = 7-25-23)


ウクライナ軍が予備旅団を投入、直後に複数の戦車失う

ウクライナ軍は 6 月 4 日、南部ザポリージャ州と東部ドネツク州のいくつかの戦線でついに反転攻勢を開始した際、最も装備の整った旅団を数部隊投入しつつも、部隊の半分以上は予備として保持した。 すべては計画の一部だった。 米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は記者会見で、「ウクライナの強力な予備部隊は、同国が選ぶ最適な時と場所で出陣すべく待機している」と説明している。

当初の作戦は、先陣の旅団がロシア軍の防衛の隙を探り、後続の旅団がその隙を広げて突破できるようにすることだった。 だがここにきて、ザポリージャ州ではこれまで予備部隊だった旅団が戦闘に加わり、損害を被っているようだ。 第 22 機械化旅団は 7 月 9 日前後に南部で行われた攻撃で、T72 系の戦車 2 両(ポーランドが供与した PT91 とチェコが提供した T72EA)を放棄したとみられる。 第 22 機械化旅団は、ウクライナ軍で PT91 を運用していることが唯一確認されている部隊だ。 ただし、この旅団が行動を開始したとみられるからといって、ウクライナ軍が今月初めにロシア軍の防衛線に大きな穴を開けたわけではない。 むしろ、それを示す証拠はない。

ウクライナ軍の指揮官らが、延々と広がる危険な地雷原に遭遇した各旅団に対し、リスクの高い地雷原突破ではなく減速を命じたことは、周知の事実だ。 英国のベン・ウォレス国防相は米紙ニューヨーク・タイムズに「地雷原の中をロシア軍の陣地に向かって突き進むという、他の軍でもしなければならないことをウクライナ軍は行っている」と語った。 同時にウクライナ軍の指揮官たちは、新たに配備された欧米製大砲と、それが発射する米国製クラスター弾が、南部戦線沿いのロシア軍の大砲に勝っていることに気づいたようだ。 ウクライナ軍が榴弾砲を 1 門失うごとに、ロシア軍は榴弾砲を 4 門失っている。

攻撃側の軍は通常、防衛側よりもはるかに多くの犠牲を払うことになる。 防衛側は守りに徹することができる一方、攻撃側は無防備な地域を進軍しなければいけないためだ。 だがウクライナ軍の火力支援は急速に向上しており、攻勢に回るウクライナ軍の旅団が、守勢に回っているロシア軍の旅団や連隊に同じくらいの損失を与えられるようになっている。 そのため、ついにザポリージャ州に到着した第 22 機械化旅団が、ロシア軍の防衛線に開いた大きな穴に突入したとは限らず、ウクライナ側が続けている大砲を主とした持久戦に加わっただけだったかもしれない。 同旅団が今月初め、ザポリージャ州で戦車などの車両を失ったとみられることは、それが消耗戦の結果だったと考えれば筋が通る。

第 22 機械化旅団の大隊の 1 つが前進を試みた際、一部の戦車が地雷を踏んだ可能性がある。 ロシア軍の大砲による攻撃を受けたため、乗員は脱出。 その結果、ウクライナ軍で初となる PT91 戦車の損失が確認されたというシナリオだ。 これが最後の損失とはならないことは、ほぼ間違いないだろう。 (David Axe、Forbes = 7-25-23)

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