... - 36 - 37 - 38 - 39 - 40 - 41 - 42 - 43 - 44 - 45 - 46 - ...

ロシア、ウクライナ軍の前進を否定 東部の前線

ウクライナ東部バフムートの最近の状況

ロシア国防省は 11 日、ウクライナ東部の前線にウクライナ兵が進んだとする、親ロシア派による報告を否定した。 ロシアの雇い兵会社「ワグネル」代表のエフゲニー・プリゴジン氏は、ロシア正規軍が東部バフムート周辺の拠点を放棄したと非難した。 ロシアの軍事ブロガーらは、いくつかの地域で 11 日、ウクライナ軍の前進や部隊の移動があったと伝えた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 10 日、反攻の開始は時期尚早だと、「ユーロヴィジョン・ニュース」加盟の BBC など公共放送局のインタビューで述べた。 ゼレンスキー氏は、「(手持ちの兵器でも)前進し成功できると思う」と説明。 「しかし多くの人を失うことになる。 それは受け入れられないと思う。 だから待つ必要がある。 まだもう少し時間が必要だ。」と話した。

予想されているウクライナの反転攻勢は、同国における戦争の行方を決する可能性がある。 ここ数カ月間、変化が見られない戦線を引き直すことも考えられる。 ウクライナは西側から兵器や装備を供与されており、それらが戦場で大きな成果を出せると証明できるかの重要な試金石にもなる。

ロシア国防省は声明で、「前線のいくつかの地点で『突破』があったと、テレグラムで個々に宣言されているが、現実と一致しない」と主張。 「特別軍事作戦実施区域の全般状況は、統制できている」と付け加えた。 一方、プリゴジン氏は、何カ月も激戦の中心となり破壊された都市バフムートについて、その「側面」での状況が「予想された最悪のシナリオに沿って進展している。」と説明。 「戦友の血と命を犠牲に、1 日に何十、何百メートルかを守りながら何カ月も制圧してきた領土が今、側面を守るべき人たちによって、実質的に戦いもせずに放棄されている」と述べた。

親ロシア派のロシア人戦場記者サーシャ・コッツ氏は、広く予想されてきたウクライナの反攻が始まったと伝えた。 同氏は「信頼できる」情報源の話として、ウクライナ軍の戦車がハルキウの環状道路をロシアとの国境に向けて進んでいるとした。 この報告は独立した検証ができていない。 コッツ氏はまた、「車列の中には西側の(戦車)モデルなどを積んだ低荷台運搬車がある」と説明。 「言い換えれば、ウクライナはアルチョモフスク(バフムート)の側面での攻撃開始と並行し、北部戦線の状況を悪化させることを決定した」とした。

別のロシア人戦場記者、アレクサンデル・シモノフ氏は、ウクライナ軍がバフムート近郊のボーダニフカ村の近くを突破し、「数平方キロメートル」の土地を確保したとテレグラムに書いた。 ウクライナの軍事アナリスト、オレクサンドル・ムシヴェンコ氏は、予想される反攻が必ずしも「すべての占領地で」ロシアを打ち負かすわけではないと、ウクライナは分かっていると述べた。 同氏はウクライナのラジオ NV で、戦争が来年まで続く可能性は十分にあるとし、次のように話した。 「すべては戦闘がどう展開するかにかかっている。 反攻がどう展開するかは保証できない。」

ウクライナ軍が地ならしの攻撃か

米軍幹部は CNN に対し、ウクライナ軍が大規模な反攻に備え、敵の武器庫や司令部、装甲・砲兵システムなどを攻撃し、前進部隊の地ならしをしていると話した。 ウクライナが昨年春に南部と北東部で実施した反転攻勢でも、戦場を「整える」ための空からの攻撃が先行した。 しかしそうした作戦は、計画されている攻勢の開始前に何日もかけて行われる可能性があると、CNN は米軍幹部の話として伝えた。 西側当局は、バフムートでのロシア部隊の死傷者を 2 万 - 3 万人と推定している。 ウクライナ軍も大きな犠牲を払っている。

ロシア国防省はまた、ロシア側が 11 日、ウクライナ軍のいくつかの攻撃を阻止したとした。 東部ドネツク州マリニフカ付近で続いている戦闘については、空軍と砲兵隊が関わっていると説明した。  昨年 2 月 24 日にロシアがウクライナに侵攻して以来、数千人の市民や戦闘員が死傷し、都市や町が戦闘で破壊されている。 ウクライナ人約 820 万人がヨーロッパで難民として登録され、うち 280 万人はロシアにいる。 (アントワネット・ラドフォード、BBC = 5-12-23)


ゼレンスキー氏、反転攻勢の開始「もう少し時間が必要」 … 米欧供与の装備を待つと説明

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 10 日、英 BBC とのインタビューで、侵略を続けるロシア軍に対する大規模な反転攻勢の開始には「もう少し時間が必要だ」と述べた。 兵士の犠牲を減らす準備を整えるため、当初は「4 月か 5 月(ウクライナ国防相)」としてきた反攻の時期がずれ込む可能性を示唆した。 ゼレンスキー氏は「今の状態でも我々は前進し、成功するだろう。 ただ、多くの兵士を失うのは受け入れられない。 待つ必要がある。」と述べた。 反攻に向けて編成した旅団は「用意ができている」と強調しつつ、「(米欧諸国が)供与を約束した装備の全てが届いていない」と指摘し、装甲車などの到着を待っていると説明した。

一方、プーチン露大統領は 10 日、軍事訓練のため予備役を招集する大統領令に署名した。 ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン政権は「志願」を前提にした契約軍人の獲得を急いでいる。 最長 2 か月の軍事訓練を毎年行っているが、SNS では、強引な勧誘を避けるため徴兵事務所に出頭しないよう呼びかける動きが出ている。 大統領令では例年通り招集規模や時期などを公表しなかった。 タス通信によると、徴兵事務所に出頭しない場合、行政罰の対象となる。 (yomiuri = 5-11-23)


東部バフムト、ロシア軍が後退 = 司令官「効果的な反撃」 - ウクライナ

ウクライナのシルスキー陸軍司令官は 11 日、ロシア軍との激戦が続く東部ドネツク州の要衝バフムトについて、ウクライナ軍が「効果的な反撃」を行い、一部地域でロシア軍を押し戻したと明らかにした。 通信アプリ「テレグラム」で声明を発表した。 シルスキー氏は「『ワグネル』の部隊が疲弊し、代わりに配置された訓練不足の正規軍部隊は戦闘に敗れて退却した」と指摘。 「敵は一部の前線で最大 2 キロ後退した」と述べた。 (jiji = 5-11-23)


「欧州最後の独裁者」ルカシェンコ氏に重病説 腕に包帯、演説できず

ロシアのウクライナ侵攻に加担する隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領 (68) をめぐり、健康状態を不安視する声が相次いでいる。 ルカシェンコ氏は 9 日にモスクワで催された対独戦勝記念パレードに出席。 その後の昼食会を、招待された首脳陣で唯一欠席したことなどから一部の識者は「重病」と指摘している。 この欠席について、ベラルーシの国営ベルタ通信は、ルカシェンコ氏がベラルーシの首都ミンスクに戻って自国の戦勝記念式典に出席したためと伝えた。

一方、ロイター通信や BBC ロシア語版は、ルカシェンコ氏がパレード出席中、右腕に包帯を巻いていたほか、プーチン氏やほかの首脳陣が徒歩で移動するなか、小型車に乗っていたと報じている。 ベラルーシの政治学者、ボルクネツ氏は、ルカシェンコ氏は重病で、包帯はルカシェンコ氏がカテーテルによる点滴治療を受けているためだと SNS に投稿。 また、ルカシェンコ氏が自国の戦勝記念式典で、1994 年の大統領就任後初めて演説を見送ったと指摘した。

パレードにはルカシェンコ氏を含む独立国家共同体 (CIS) の 7 カ国の首脳が出席したが、キルギスのジャパロフ大統領を除き、前日の 8 日まで出席が発表されていなかった。 ロシア政府が直前になって呼び寄せた可能性がある。 ロシアの独立系メディア「ブリーフ」は関係筋の情報として、ルカシェンコ氏はプーチン氏から個人的に要請を受けたため、重病を押して出席したと、SNS に投稿した。 ロシアのペスコフ大統領報道官は 10 日、ルカシェンコ氏の健康状態についてコメントを拒否した。

「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ氏は、ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナへの出撃拠点をロシアに提供するなどの形で協力している。 同氏の健康状態は今後の侵攻の行方に影響を与える可能性がある。 (asahi = 5-11-23)


ウクライナ反攻「ハリウッド映画ではない」 英外相、劇的展開を否定

米国のブリンケン国務長官は 9 日、英国のクレバリー外相と米ワシントンで会談した。 会談後の共同記者会見でブリンケン氏は、ウクライナが領土奪還に必要なものが整った、と述べた。 ウクライナがロシアから領土を取り返すために必要なものはそろっているかと問われ、ブリンケン氏は「私が見るところ、この 14 カ月間にロシアに武力で奪われた領土の奪還を成功させるために必要なものが、あらゆる次元で整っている」と答えた。 また「武器だけでなく、訓練や、我々が提供したものをウクライナが確実に維持管理できることも重要だ。 成功のための適切な計画をもつことも重要だ。」と語り、これらが全て整っているとの見方を示した。

クレバリー氏は会談に先立ち、シンクタンクのイベントに出席した。 近く予想されるウクライナの反攻について「ウクライナが成功することを期待している。 彼らはいつも予想を上回ってきた」と述べる一方、「我々は現実的にならないといけない。 これは現実の世界で、ハリウッド映画ではない。」とも語り、劇的な展開にはならないとの考えを示した。 戦争の終結に向け中国が果たしうる役割については、「習近平国家主席がプーチン大統領にかなりの影響力を持っていることは知っている。 もし彼の介入によりウクライナが主権を回復し、ロシア軍を撤退させられるなら、批判するつもりはない。」と語った。 (asahi = 5-10-23)


学び継続、就職、危険でも帰国 … 来日 1 年の春、ウクライナ学生の選択

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ウクライナの学生たちが日本の大学で学び始めて約 1 年。 学費や寮費を無料にして受け入れている大学側は、経費の一部を寄付に頼るなど工夫をしながら支援を続けている。

国際基督教大(東京)では昨秋、科目等履修生だった 5 人のウクライナ人学生全員が学内での選考に合格し、4 月から大学院生や学部生として学ぶ。 もう 1 人も 9 月から学部生になる。 学部 2 年に編入したクセニアさんはキリスト教概論と日本語、フランス語の授業などを受けている。 「4 月に日本人が多い寮に引っ越し、交流が増えたことがとてもうれしい。 サンバのサークルに入り、料理店でアルバイトもして友達も多くなった。」と日本語で話す。

来日は昨年 5 月。 家族はドイツに避難し、キーウ国立大で地理学を学んでいた自身は、憧れていた日本への留学を決意した。 「今は帰国は考えていない。 良い環境で勉強を続けたい。 日本で大学院に行くかもしれない。」と話した。 平和研究に関心があり、秋からは、アジア諸国が関わる国際関係の授業も取りたいという。

国際基督教大は昨年の侵攻後、学費や寮費を無料として受け入れを表明した。 ただ 5 人が卒業するまで少なくとも計 2,600 万円の経費がかかる。岩切正一郎学長は「大学として費用負担は大変だが、5 人の学位取得までしっかり支えたい。」と語る。 4 月に始めたクラウドファンディング (CF) は早々に目標の 500 万円に達し、合計 1 千万円に増やして 6 月末まで受け付けている。

東洋大(東京)では昨年 5 月、ウクライナの 3 大学から交換留学生 12 人を受け入れた。 今年 3 月末までの予定だったが、延長可能とし、4 人が同大で勉強を続ける。 残り 8 人のうち 7 人は帰国した。 3 月に取材に応じたオリガさん (21) はキーウ国立大の 4 年生で日本語を専攻する。 「日本留学は夢だったし理想的な暮らしだったけれど、卒業論文執筆のために戻る。 自分だけ安全な日本にいて『隣に両親がいれば』といつも思っていた。 戦争で予定が立たないけれど、いつかまた日本で学びたい。」と話した。 卒論や家族が心配という理由で帰国を選んだ学生はほかにもいたという。

東洋大ではウクライナの 3 大学との交換留学の協定を更新して来年夏までとし、秋に新たな学生を受け入れる。 担当者は「学生の希望を尊重して対応している。 費用は寄付ではまかないきれず、大学の予算からも支出する。 交換留学なので帰国して所属大学の卒業を目指す学生ばかりだが、日本で勉強を続けたい場合は支援する。」と話す。

国内の大学で最多の 68 人が学んだ日本経済大(福岡県)ではこの春、8 人が日本で就職し、24 人が国外へ、2 人が日本の別の大学へ移った。 残る 34 人は 4 月から、ウクライナの大学との正式な交換留学生として勉強を続けている。 授業料無償を続けるため 3 月に 2 回目の CF を実施した。 寮費は無料だったが、一部を学生に払ってもらうという。

支援団体、就活の情報提供も

事態の長期化を予想し、支援団体は自立に向けた情報提供も始めている。 大学などと連携し、ウクライナからの学生 108 人を受け入れてきた一般財団法人「パスウェイズ・ジャパン」は、来日した学生に日本での就職情報も伝えている。 3 月には各地で学ぶウクライナ人学生約 90 人と企業関係者を都内に招き、説明会を開いた。

折居徳正代表理事は学生に「まずは日本語の力をつけてほしい。 学習を支援するが、就職についても考えていく必要がある。 奨学金や就職の情報を今後も提供していく。」と話した。 取材に対しては「選択肢がないという理由で学生が帰国せざるを得ない事態は避けたい。 今後、大学側の受け入れ期限が来たり、日本語能力や専攻の都合で別の大学に移ったりという例も出てくるだろう。 相談に乗りながら、希望者が日本で学び、働けるようにしたい。」と語った。

文部科学省によると、日本の大学が受け入れているウクライナ人学生は、3 月 15 日時点で 387 人だったが、4 月 19 日時点では 352 人に減った。 担当者は「推測だが、帰国や日本での就職ではないか」と話す。 (上野創、渡辺純子、asahi = 5-10-23)


ワグネル創設者、ロシア軍がバフムート戦線離脱と非難

ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は 9 日、ロシア軍がウクライナ東部バフムート近郊の拠点から逃亡したと非難した。 プリゴジン氏は動画の中で「きょう、国防省の 1 部隊がわれわれの隣(の拠点)から逃げ、前線に穴を開けた」と述べ、ロシア軍が弾薬を供給しないのならばワグネルはバフムートから撤退すると再び警告した。

プリゴジン氏はまた「なぜ国家が自国を守れないのか」とロシアの防衛能力に疑義を呈し、ウクライナ側は国境近くのロシア領への攻撃を「成功」させていると主張した。 同氏はさらに、軍高官がウラジーミル・プーチン大統領を欺こうとしているとする批判を展開。 「もし全ての任務が、最高司令官(プーチン氏)を欺く狙いで実行されているのならば、敗戦に怒った彼(プーチン氏)もしくはロシア国民にたたきのめされるだろう。」と述べた。 (AFP/時事 = 5-9-23)


巡航ミサイルは命中せず自爆 オデーサにミサイル攻撃 8 発

オデーサ、ウクライナ : ロシア軍は、ウクライナ南部の港湾都市オデーサに対して、長距離爆撃機から "最大 8 発" の巡航ミサイルを発射した。 ウクライナ空軍報道官が 5 月 8 日朝のテレビ番組で公表した。 同報道官によると、旧ソ連時代に製造された巡航ミサイルのうち何発かは、目標に到達する前に自爆するか、海に落下したという。 ウクライナの南部作戦管区が 8 日、フェイスブックに投稿したところによると、この日は巡航ミサイルの他にドローンによる空襲もあり、食糧倉庫 1 棟と黒海沿岸の複数のリクリエーション施設が被弾・炎上したが、けが人などは報告されていない。 (AP = 5-9-23)


ヘルソン州の都市でロシアの多く部隊が撤退 ウクライナ軍が報告

ウクライナ軍参謀本部は 8 日夕の戦況報告で、ウクライナ南部ヘルソン州のスカドウスクで、現地を占領していたロシア側の部隊の多くが撤退したと伝えた。 兵士らは 6 日夜から 7 日未明にかけて書類やオフィス用具などを車両に積み込み、7 日朝に街を離れたという。 戦況報告では、ほかの複数の都市でも同様の動きが見られるとしている。 一方、ロシア国営タス通信は 8 日のテレグラムでの投稿で、スカドウスクを担当するロシア側の幹部が撤退を否定したと伝えた。 (asahi = 5-9-23)


キーウにドローン攻撃、5 人が負傷

ウクライナ空軍は 8 日、首都キーウで前夜から未明にかけ、ロシア軍によるドローン(無人航空機)を使った攻撃があり、飛来した 35 機をすべて撃墜したと発表した。 ただ、落下した残骸による被害が広範囲に広がり、キーウ市によると負傷者は 5 人にのぼった。 残骸は高層住宅にも落ち、窓枠や正面の外壁などが破損。 車は別々の地区でそれぞれ 7 - 15 台が被害を受け、一部が炎上した。 ほかに高圧ガス管が傷つき、ガス漏れが起きたケースもあった。 市当局によると、市内へのミサイルやドローンによる攻撃は、5 月に入って 4 度目という。 (asahi = 5-8-23)


ウクライナ・キーウやオデーサにドローン攻撃

ウクライナで 7 日夜から 8 日未明にかけて、首都キーウや南部の港湾都市オデーサに対し、ミサイルやドローン(無人機)による攻撃があった。  キーウ市当局によると、同市内の広い範囲で撃墜されたドローンの残骸が民家や駐車中の車、ガス貯蔵施設に落ち、数人が病院に運ばれた。

公共放送「ススピーリネ」によると、オデーサではミサイル「Kh22」が食品企業や海岸線のレクリエーションゾーンに着弾し、火災が広がった。 Kh22 は本来空母などを狙う空対艦ミサイルだが、ロシア軍は地上攻撃に転用している。 キーウでは 7 日午後 11 時半過ぎから 8 日午前 3 時過ぎまで空襲警報が発令された。 ほかでも、スーミ、ジトミール、ビンニツァなど北部、中・南部を中心に空襲警報が繰り返された。 (asahi = 5-8-23)


ロシア軍、住民避難のザポリージャ州で「私財を略奪」 ウクライナ参謀本部

ロシア軍の占領下にあるウクライナ中南部ザポリージャ州の前線に近い集落で 7 日、ロシア軍が自主避難した住民らの財産を略奪している、とウクライナ軍参謀本部が SNS に投稿した。 インタファクス・ウクライナ通信が伝えた。 ザポリージャ州をめぐっては 5 日、ロシア側がウクライナ軍の領土奪還作戦に備え、前線に近い集落の住民 7 万人の自主避難を発表している。 ウクライナ軍参謀本部は、「ロシア軍が民間人の避難を口実に、家々から私財を略奪し、盗難車で運び出している」と指摘。 大量の事務機器や車両などが盗まれているとも伝えた。 (asahi = 5-8-23)


ロシア軍、激戦地バフムートで「重火器の強度高めている」 ウクライナ軍司令官

激戦が続くウクライナ東部バフムートで 7 日、ウクライナ軍司令官が、ロシア軍が砲撃の勢いを強めて部隊を再編成している、と SNS への投稿で明らかにした。 ウクライナのメディア「ウクライナ・プラウダ」が報じた。 現地を訪れたウクライナ軍のシルスキー司令官は、「ロシア軍が重火器射撃の強度を高め、より高度な装備を使い始めた。 さらに部隊を再編成している」と指摘。 ロシア軍がバフムート制圧を諦めず、あらゆる手段を講じていると述べた。 ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍は過去 24 4時間で東部地域に 39 回の攻撃を実施した。 バフムートでは焼夷弾などを使用しているという。 インタファクス・ウクライナ通信が伝えた。 (asahi = 5-8-23)


ウクライナのロケット砲システム、反転攻勢を前に命中精度低下 … ロシアが妨害電波

米 CNN は 5 日、ウクライナ軍の高機動ロケット砲システム (HIMARS) が、ロシア軍の妨害工作により命中精度が低下していると報じた。 米欧から供与された主要兵器の一つであり、ウクライナは大規模な反転攻勢を前に対策を迫られている。 米国や英国、ウクライナ関係者の話として伝えた。 露軍は最近数か月、ロケット弾を誘導する全地球測位システム (GPS) に妨害電波で干渉する対策を集中的に行っているという。 ウクライナ軍の HIMARS は露軍の主要補給路などへの攻撃に効果を上げたとされ、昨秋には露軍に制圧された地域の奪還に大きく貢献した。

 

ウクライナ保安局 (SBU) は 5 日、東部ドネツク州の主要都市クラマトルスクで HIMARS の位置情報を探って露側に提供しようとしたとして、ドネツク、ハルキウ両州の住民 2 人を拘束したことを明らかにした。 モスクワに住む親族を通じ、露情報機関「連邦保安局 (FSB)」と連絡を取り合っていたという。 (yomiuri = 5-8-23)


露民間軍事会社ワグネル、ウクライナ東部要衝バフムトに大規模攻撃開始
「10 日に撤退」表明も短期間の制圧可能とみて

ロシアの民間軍事会社ワグネルは「10 日に撤退する」と表明しているウクライナ東部の要衝バフムトで、短期間での制圧が可能とみて、大規模な攻撃を開始しました。 ロシアメディアによりますと、民間軍事会社ワグネルは隣の町からバフムトにつながるウクライナ軍の補給路に対して、大規模な攻撃を開始したということです。 ワグネル創設者のプリゴジン氏は、ロシア軍からの弾薬の供給が止まっているとして、ショイグ国防相らを批判した上で、10 日にバフムトから撤退すると表明していました。

一方、6 日には新たなメッセージを投稿し、あとわずかで町全体を占領できる可能性があるとして、攻勢をかけていることを明らかにしました。 ワグネルが撤退した場合でも、ロシア・チェチェン共和国のカディロフ首長が率いる民兵が、戦闘を引き継ぐことを表明していますが、戦況にどのような影響が出るかが注目されます。 こうした動きに、ロシア国防省は反応していません。 しかし、5 日にはショイグ国防相が軍備施設を視察する動画を公開して「必要な武器と軍備を継続して供給するよう」指示しました。 9 日の「戦勝記念日」を前にした混乱を収める狙いがあるとみられます。 (日テレ = 5-7-23)


IAEA がザポリッジャ原発の安全性に懸念、近隣住民への避難命令受け

国際原子力機関 (IAEA) のラファエル・グロッシ事務局長は 6 日、ウクライナ南部にある欧州最大のザポリッジャ原子力発電所の安全性に懸念を示した。 原発を占領しているロシア軍が、近隣のエネルホダルから住民を避難させたため。 グロッシ事務局長は、ザポリッジャ原発の状況は「ますます予測不可能になり、危険になっている可能性もある」と述べた。 住民の避難は、近日中に予想されるウクライナ軍の反撃の前に実行された。 ただし、原発職員は現場にとどまっている。

IAEA は声明で、「職員は原発にとどまっている中、グロッシ事務局長は、彼らやその家族が置かれている緊張感とストレスの高まる困難な状況に深い懸念を示した」と述べた。 また、原発に駐在している IAEA 専門家が、「原発職員の大半が住んでいる近隣のエネルホダルで、あらかじめ発表されていた住民の避難が始まったとの情報を受け取った」と説明した。 BBC は、この避難の規模を検証できていない。 グロッシ氏は、「深刻な原発事故の脅威を防ぐために今、動かなくてはならない」と訴えた。

IAEA は先にも、ザポリッジャ原発の安全性について警告している。 その際には、爆撃によって設備に被害があったほか、一時的な停電が起きていた。 ただし、この時は放射性物質の流出には至らなかった。 今年 3 月には、同原発の電線がダメージを受けたため、ディーゼル発電機で冷却システムを動かしていると明かしている。 IAEA によると、同原発にある原子炉は 6 基すべてが停止モードになっているという。

また、同原発のユーリ・チェルニチュク所長の話として、現場職員は避難しておらず、原発の安全確保のために全力を尽くしているとした。 昨年 2 月にロシアが侵攻を開始して以降、ザポリッジャ原発の職員は減っているものの、「管理担当者は、安全な運用に十分な人員は残っている述べている」と、IAEA は説明している。 ロシアはザポリッジャ州の大半を占領しているが、ドニプロ貯水池の対岸、エネルホダルの北東に位置する州都ザポリッジャは掌握していない。

ロシアはエネルホダルのほか、前線に位置する 18 地域で住民に避難を命じている。 ロシアが任命した同州のエフゲニー・バリツキー知事は 5 日、「ここ数日、敵(ウクライナ軍)が前線近くの住宅地への爆撃を加速させている」、「そのため、子供たちとその親、高齢者、障害者、入院中の患者を最優先に避難を決定した」と述べた。 (BBC = 5-7-23)


ロシア、深刻な労働力不足か 予想より200万人多く減少 英国分析

英国防省は 7 日、ロシアがウクライナ侵攻が原因で、過去数十年で最も深刻な労働力不足に直面しているとの分析を公表した。 同省は、1 万 4 千人の被雇用者を対象にしたロシア中央銀行の調査をもとに、ロシアでは雇用可能な人の数が 1998 年以来、最低水準にあると指摘。 過去 3 年間に予想よりも 200 万人多く人口が減少したと伝えられていると明らかにした。 若い世代や価値の高い産業で働く高学歴層を含む最大 130 万人は、ウクライナ侵攻の始まった昨年にロシアを去ったという。 同省は、労働力の不足はロシアの経済の減速やインフレにつながる可能性が高いとしている。 (asahi = 5-7-23)


ウクライナ軍、ロシアの極超音速ミサイルを撃墜

ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は 6 日、ロシア軍の極超音速ミサイル「キンジャル」を撃墜したと、SNS で明らかにした。 ミサイルは 3 - 4 日にキーウ州であった攻撃に使われたもので、ロシア領内から発射されたという。 地元メディア「ウクライナ・プラウダ」によると、地上に落ちたミサイルの残骸を分析した別のメディアがキンジャルが迎撃された可能性を報じていたが、軍の広報官はミサイル迎撃を否定していた。 (asahi = 5-6-23)


バフムートの攻勢「ロシア国防省が優先していない」と分析

米国のシンクタンク「戦争研究所 (ISW)」は 5 日、ロシア国防省がウクライナ東部の激戦地バフムートでの攻勢を「優先していないようだ」とする分析を発表した。 バフムートにはロシアの民間軍事会社「ワグネル」に雇われた兵士が投入されているとみられ、ISW はワグネルとその創設者プリゴジン氏が「潜在的に困難な立場に置かれた」としている。

5 日には、プリゴジン氏が国防省からの弾薬の供給が不足していると激高する動画が公表された。 ISW はワグネルがバフムート市内に依然とどまっていることは、他の地域でロシア軍の攻勢が弱まっていることと矛盾していると指摘。 ロシア側はウクライナからの反撃に備えていると分析している。 (asahi = 5-6-23)


ウクライナの領土奪還作戦、「数時間後にも開始」 ザポリージャの親ロシア派

ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ中南部ザポリージャ州の親ロシア派トップ、バリツキー氏は 5 日、インターネットの番組に出演し、ウクライナ軍の領土奪還作戦について、「近く起こると理解している。 我々は前線から 150 キロ奥までの情報を把握している。 数日、あるいは数時間で始まるとみている。」と話した。 バリツキー氏は同日、州内の前線に近い集落に住む親子や高齢者ら約 7 万人の自主避難を発表した。 「敵は(目標を)選んで撃っていない。 学校や幼稚園も攻撃している。」と説明した。 (asahi = 5-6-23)


ワグネル創設者プリゴジン氏、激戦地バフムートからの撤退を表明

ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は 5 日、SNS に投稿した動画で、激戦が続くウクライナ東部バフムートから、10 日にワグネルの部隊を撤退させると明らかにした。 ウクライナ侵攻でロシア軍が失態を重ねる中、ワグネルは人海戦術で形勢を立て直したとされる。 近くウクライナ軍の領土奪還作戦が予想される中での撤退は、戦況を大きく左右する可能性もある。

動画はゲラシモフ参謀総長、ショイグ国防相、軍最高司令官のプーチン大統領、ロシア国民にあてたもので、プリゴジン氏の後ろにはずらりと戦闘員が並んだ。 10 日は対独戦勝記念日の翌日で、占領地はロシア軍に渡すという。 プリゴジン氏は「戦勝記念日までにバフムートを占領すべきだったが、官僚は我々に弾薬を供給せず、ワグネルは弾薬の 90% が不足している」と国防省などを批判。 「撤退するのは戦闘員が無駄死にするからだ」と撤退を正当化した。

「お前らが太るために死んでいく」

また、バフムートの大半を占領したとして、「弾薬を我々に与えないのはロシア人から勝利を奪うこと。 祖国が危機に陥れば、再び立ち上がる。」と述べた。 プリゴジン氏は国防省との対立が指摘され、最近も弾薬不足の批判を続けていた。 5 日公表した別の動画では、地面に横たわった遺体とみられる戦闘服姿の人物らを指さし、「こいつらは、お前らが高級木材でできたオフィスの中で太るために死んでいく」と激高。 「ショイグ! ゲラシモフ!」と呼び捨てにした。

撤退の表明は、国防省への「最後通告」とも言え、弾薬供給で妥協を引き出す狙いの可能性もある。 ただ、米政府は 2 月、ワグネル戦闘員の死傷者が 3 万人を超え、9 千人の死者の大半が刑務所で集めた受刑者だと推計した。 最近はモスクワなどでも募集しているが、犠牲を気にしない戦術に戦闘員の補充が追いつかないとも指摘される。 プリゴジン氏は 3 日、ウクライナ側の領土奪還作戦がすでに始まっているとの見方を示しており、攻撃が本格化する前に国防省に責任を押しつけて撤退を決断した可能性もある。

ロシア軍も兵士の死傷者が増え、自治体に職業軍人の採用ノルマを割り当てて「隠れ動員」をしている状況だ。 戦車やミサイルなどの不足も指摘されている。 ワグネルの撤退により、米欧の軍事支援を受けるウクライナとの戦いはさらに劣勢となる可能性もある。 (asahi = 5-5-23)


ドローンが石油加工施設を攻撃し火災 ロシア国営タス通信が伝える

ロシアの国営タス通信は 5 日、同国南部クラスノダール地方で、石油加工施設がドローン(無人航空機)の攻撃を受け、火災が発生したと伝えた。 緊急事態省によると、火災による負傷者はなく、すでに鎮火しているという。 インタファクス・ウクライナ通信によると、これに先立ち、同地方では3 日夜から 4 日にかけても 4 機のドローン攻撃で、石油貯蔵施設などが炎上したという。 (asahi = 5-5-23)


「ヘルソンへの攻撃、24 時間で 95 回」地元当局が投稿

ウクライナ南部ヘルソン州で 4 日、ロシア軍による攻撃が過去 24 時間で 95 回に達し、3 人が負傷したと地元当局者が SNS に投稿した。 インタファクス・ウクライナ通信が伝えた。  地元当局者は、「ロシア軍は 95 回の攻撃で、重砲や戦車、空爆など 538 発の砲弾を撃ち込んだ」と指摘。 州都ヘルソン市内も 5 回の砲撃を受け、工場や民間の建物が破壊されたという。 (asahi = 5-5-23)


モスクワ中心部で GPS に異常? ドローン対策か

ロシア国営タス通信は 4 日、モスクワの環状道路の内側で、人工衛星を使った位置情報サービス「GPS」に問題があり、車の位置が地図に正確に表示されない可能性があると伝えた。 同通信によると、カーシェアリング会社が「対独戦勝記念日の軍事パレードが開かれる 5 月 9 日までは他のルートを選ぶことを勧める」としているという。 ドローン(無人機)攻撃を警戒し、何らかの方法で位置情報を狂わせている可能性が示唆されている。

モスクワでは 3 日、大統領府があるクレムリンにドローン 2 機が飛来する事件が起き、ロシア側はウクライナがプーチン大統領の殺害を狙ったと批判している。 ロシアでは過去にも、プーチン氏が出席するイベントなどの際に、GPS の位置情報が誤った地点を示すことがあった。 (asahi = 5-4-23)


「大統領府への攻撃、ロシアの自作自演の可能性」 米研究所が分析

米シンクタンク「戦争研究所」は 3 日、ロシアが発表した「大統領府への攻撃」は自作自演の可能性が高いとの分析を公表した。 ロシアはモスクワを含め国内の防空能力を増強しており、2 機の無人機が防空網を突破することなどは「極めて困難だ」と指摘。 対独戦勝記念日(9 日)に近い時期にこうした演出をすることで国民の戦意を高め、幅広い動員の条件を整えようとしたと見ている。 (国本愛、mainichi = 5-4-23)

◇ ◇ ◇

ゼレンスキー氏「我々は攻撃していない」
クレムリンへの攻撃を全面否定も、ロシアによる "報復" の懸念広がる  ウクライナ

ロシア大統領府は 3 日未明、ウクライナがプーチン大統領を狙って執務室のあるクレムリンへのドローン攻撃を試みたと発表しましたが、ゼレンスキー大統領はこれを全面的に否定しました。

「我々はプーチンもモスクワも攻撃はしていない。(ウクライナ ゼレンスキー大統領)」

ロシア大統領府が主張している "ウクライナによる 3 日未明のドローンでのクレムリンへの攻撃"。 「ゼレンスキー政権によるテロ行為」としていますが、ゼレンスキー大統領は関与を否定。 "ウクライナは自国の領土を守る兵器も十分には持っていない" と訴えました。

アメリカは …、

「報道は把握していますが確認はできません。 単純にわからないのです。 ただ、ロシア政府から出てくる情報についてはとても大きな疑いを持って受け止めるようにしています。(アメリカ ブリンケン国務長官)」

ブリンケン国務長官はウクライナが、ロシア領内に攻撃をした場合の対応については「国を守るために何をするかはウクライナが判断すること」だと繰り返しています。

一方、東京大学先端科学技術研究センター講師 小泉悠さんは …、

「(ロシア)大統領府側からも『これはウクライナによるテロなのだ。 大統領を狙ったものなのだ』 という声明が出ている以上、これは何らかの厳しい対応をするんだと思いますね、ロシアとしては。」

専門家は今後について、ロシアにこれまでのような大規模攻撃を行うだけのミサイルなどが残っているかは分からないとしながらも、「様々な形で相当の報復措置を講じるのではないか」と指摘しました。 ウクライナメディアは一夜明けた 4 日、ウクライナの広い範囲で空襲警報が出ているほか、首都キーウや南部オデーサで爆発音が聞こえていると報じていて、専門家は、これについても「ロシアによる報復の初期段階なのではないか」と分析しています。 (TBS = 5-4-23)

◇ ◇ ◇

クレムリンにドローン攻撃か、敷地に墜落 けが人なしとロシア発表

ロシア大統領府は 3 日、プーチン大統領の邸宅への攻撃を試みたウクライナの 2 機のドローン(無人航空機)が、モスクワ中心部のクレムリンの敷地内に墜落した、と発表した。 当時、プーチン氏は不在で、けが人もいないとしている。 ロシアの心臓部であるクレムリンへのウクライナによる越境攻撃だとすれば、プーチン政権への大きな打撃となるほか、今後、ウクライナとの戦闘が激しさを増す可能性もある。

発表によると、ドローンが飛来したのは 3 日未明。 軍と特殊部隊が電波などを使い墜落させたという。 ペスコフ大統領報道官は「当時、プーチン氏は不在だった」と話し、予定通りの公務を続けているとした。 ロシア大統領府は「外国からの来賓もある 5 月 9 日の戦勝記念日のパレードを前に、大統領の暗殺を狙ったテロ行為だ」と批判。 「ロシアは、必要な時と場所に報復措置をする権利を保有している」とウクライナ側に大規模攻撃を実施する可能性を示唆した。

ロシアの独立系メディアは、クレムリン上空でドローンらしき物体が爆発する動画や、クレムリン付近で煙が上がる動画を SNS で伝えている。 モスクワでは 5 月 9 日の対独戦勝記念日に、クレムリンに隣接する赤の広場で、プーチン氏も出席する大規模な軍事パレードが予定されており、攻撃への警戒を強めていた。 (asahi = 5-3-23)


ロシア軍「最高司令官へのこだわり」で苦境に?
プーチン大統領の "頭の中" は - 「派閥争い」、「自己主張」で能力低下

ウクライナに投入された戦車の対策で防衛ラインを築いたり、軍事パレードを一部中止したりと、ロシア軍に「守り」の動きがみられます。 プーチン大統領が最高司令官であることにこだわった結果、現在の状況を招いたとの分析があります。 長期戦は続くのでしょうか。

ロシア軍で目立つ「守り」の動き

「ロシア軍がいっそうガタガタになっている印象です。(有働由美子キャスター)」

「今や、ロシアが守りに入っているという動きが目立っています。 ウクライナに高性能な戦車が続々投入され始めると、ロシアは戦車が突破してこないよう、実効支配する地域の外側に長さ 120 キロの防衛ラインを作りました。 ロシア軍の燃料タンクで爆発火災がありました。 ウクライナのドローン攻撃との見方もあります。 そのようなドローン攻撃を恐れ、ロシア各地で行う 9 日の戦勝記念日パレードを一部地域で中止する動きも出てきました。(小野高弘・日本テレビ解説委員)」

行き詰まりの原因はプーチン氏に?

「ロシア側はいつから行き詰まってきたのでしょうか? (有働由美子キャスター)」

「最初からこうなる運命にあったという見方があります。 アメリカの政策研究機関『戦争研究所』の分析によると事の始まりは、プーチン大統領が自分が最高司令官であることにこだわったこと。 勝利した際に自分の功績にして求心力を絶対的なものにしたいからです。 そのために自分以外に目立つような総司令官を置かず、置いてもコロコロと交代させました。 そのため軍内部で派閥争いが激しくなり、ワグネルのような民間軍事会社も多く出てきて自己主張するようになりました。 派閥争いと自己主張が起きた結果、指揮系統が乱れ、ウクライナでまとまった作戦を行う能力がすっかり低下しました。 そのためガタガタな状況は、当然の成り行きだといいます。(小野委員)」

「その分析通りだとすると、プーチン大統領は自ら首を絞めるようなことになっているのでは? (有働キャスター)」

「確かに。 今は、絶対に忠誠を尽くすゲラシモフ参謀総長が総司令官をしていますが、指揮系統はガタガタのままで、長期戦になるのではないかとみられています。(小野委員)」

長期化狙いか … 落合陽一さんに聞く

「そうは言っても資源が無限近くあるロシアなので、長期化して不利なのは、やはりウクライナの側だと思います。 例えばウクライナの停戦の条件は、ドンバス(地方)を含めたかつての領土を全て取り戻すことだと言っています。 つまり、ロシア側が現状の勢力図のままで戦争をやめますと言ったところで納得しないと思います。 そうなるとロシアとしては長期化させて兵糧攻めにするのがおそらく一番効果的なので、残念ながらプーチン(大統領)はウクライナが諦めるまでやり続けるというのが現状なのではと思います。(落合陽一・筑波大学准教授)」

「広島での G7 サミットが 19 日に迫っています。 それより前に、ウクライナの反転攻勢が始まるかもしれません。 そんな緊迫した状況で、日本が議論のリーダーとして何をまとめ上げるのか。 ここ数週間の動きに注目していこうと思います。(有働由美子キャスター)」 (日テレ = 5-3-23)

... - 36 - 37 - 38 - 39 - 40 - 41 - 42 - 43 - 44 - 45 - 46 - ...