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ロシアから奪還の町に「集団墓地」 銃撃、砲撃、地雷 … 400 人以上

ウクライナのゼレンスキー大統領は 15 日夜のビデオ演説で、ロシア軍が今月撤退した北東部ハルキウ州の要衝イジュームで、「集団墓地」が発見されたと明らかにした。 ウクライナのメディアによると、遺体は 400 体を超えるという。 ロシア軍が関与した疑いがあるとして、ウクライナの捜査機関が実態解明を進めている。 地元メディアによると、警察の責任者は、「撃ち殺された人もいれば、砲撃や地雷による負傷で亡くなった人もいる」と語った。 ロシア軍の占領以降、地元墓地に 440 人以上の墓ができたという。 多くは身元が確認できていないため、すべての遺体を掘り起こして死因を調べるという。

ロシア軍が 3 月半ばに占領したイジュームは、今月 10 日にウクライナ軍の反転攻勢で奪還。 14 日に現地を訪れたゼレンスキー氏は、その後のビデオ演説で、現地にウクライナ側や国際的なジャーナリストも入れて、実態解明に向けた必要な手続きをすでに始めていると説明。 「(市民が虐殺などで犠牲になった)ブチャやマリウポリに続いて、残念ながらこんどはイジューム。 ロシアは至る所に死を残している。 その占領下で何か起きたのか、世界に知ってもらいたい。」と語った。

一方、国際原子力機関 (IAEA) 理事会は 15 日、ウクライナ中南部のザポリージャ原発について、ロシア軍の占拠が「原子力事故のリスクを著しく高めている」として、原発からの撤退を求める決議を採択した。 ロイター通信によると、35 カ国が参加する理事会は非公開で、採決では 26 カ国が賛成。 ロシアと中国が反対し、アフリカや中東、アジアなどの 7 カ国が棄権したという。 決議は、ロシア軍による原発への執拗な暴力的行動に「遺憾」を表明。 ウクライナの他の施設も含め、全ての行動の即時停止を求めた。 (玉川透、asahi = 9-16-22)


南部でも要衝奪還か 「ロシアは敗北する」 ウクライナ大統領

【パリ】 ロシア軍が占拠するウクライナ南部ヘルソン州のサモイレンコ州議会議長は 14 日、州都ヘルソンから北西約 15 キロにある要衝キセリョフカをウクライナ軍が 13 日に奪還したと明らかにした。 同国メディアが報じた。 ウクライナ軍は今月に入り、北東部ハリコフ州からロシア軍をほぼ駆逐したとみられており、南部でも反撃に出ている。

これに先立ち、米シンクタンクの戦争研究所は 12 日の分析で、衛星画像により親ロシア派武装勢力の大半がキセリョフカから撤退したと確認したと説明。 「ヘルソン市の防衛能力が低下し、この地域のロシア軍に差し迫った脅威があることを示唆している」と分析していた。 ウクライナのゼレンスキー大統領は 15 日未明のビデオ声明で、ロシア軍が「軍事的価値のない標的を攻撃し、何十万人もの市民が攻撃を受けている」と指摘。 「ロシアは敗北する。 兵士が生き残る唯一の方法は降伏することだ。」と主張した。 (時事 = 9-15-22)


ロシア軍、クリミア半島に移動の兆候 ウクライナ軍が指摘

ウクライナ軍は 14 日、ロシア軍がウクライナ南部の一部地域からロシアの実効支配下にあるクリミア半島に移動している兆候が見られると明らかにした。 ウクライナ軍南部作戦管区の報道官は会見で、「我々は占領者がクリミアに逃げて再編を図っているのを目にしており、そう理解している」と説明。 軍の装備品が集まれば大きな攻撃目標になるため、今より対応は簡単になると指摘した。

これに先立ち、ウクライナ南部ザポリージャ州メリトポリのフェドロフ市長は13 日、ヘルソンからクリミアに入るチョンガルの検問所ではすでに軍装備品の列が確認されていると主張していた。 フェドロフ氏によると、ロシア兵は盗品をザポリージャ州からクリミアに運ぶため、車庫に侵入して民間人の車を盗んでいるという。

CNN はフェドロフ氏の主張や、ロシア軍がチョンガルを通って脱出しているとの情報について独自に検証できていない。 SNS ではそうした動きを捉えた動画は公開されていない。 親ロシア派の当局者は、ここ数日の間に南部でウクライナの進軍は起きていないと主張。 ロシア国防省は 14 日、南部で攻撃を試みたウクライナ軍が甚大な損失を被ったと述べた。 (CNN = 9-15-22)


ウクライナ軍、東部ハルキウで「広島県」相当の地域奪還…ゼレンスキー氏「全ての地域で国旗が戻る」

【キーウ = 梁田真樹子】 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 15 日、ビデオ演説し、東部ハルキウ州で 400 の集落をロシア軍から奪還し、15 万人を露軍の支配から解放したと明らかにした。 ゼレンスキー氏は「ハルキウ同様、全ての地域でウクライナ国旗が戻ってくることになる」と強調し、南部クリミア半島を含む全土の奪還に改めて意欲を示した。

ビデオ演説に先立ち、ゼレンスキー氏は 14 日、奪還した主要都市の一つであるイジュームを訪問し、被害状況を視察した。 大統領府の発表によると、ゼレンスキー氏は州知事から州内の 6% の地域が依然として露軍の占領下に置かれているとの説明を受けた。 ウクライナ国防次官によると、ウクライナ軍が反転攻勢を強めた 6 日以降、ハルキウ州内の 8,500 平方キロ・メートルの地域で露軍を撃退した。 面積は広島県に匹敵する規模となる。 露軍と対峙する前線は、東部から南部まで 2,500 キロ・メートルに及び、うち 1,300 キロ・メートルの範囲で激しい交戦が続いているという。

一方、ウクライナ大統領府副長官によると、露軍は 14 日、ゼレンスキー氏の出身地クリビー・リフを巡航ミサイル 8 発で攻撃した。 米紙ニューヨーク・タイムズは、ダムが破壊され、市内を流れるインフレツ川が氾濫する恐れがあると報じた。 一部地域では断水しているという。 露軍は 11 日にもハルキウ州で火力発電所などを攻撃したばかりで、市民生活に関わる重要インフラが狙われる懸念が高まっている。 (yomiuri = 9-15-22)


ウクライナ軍、東京都の 1.8 倍の広さの領土を奪還

ウクライナ軍の反撃が強まるなか、ゼレンスキー大統領はロシア側から奪還した領土がさらに拡がっていることを強調しました。 ゼレンスキー大統領は 13 日、ロシアから奪還した領土について、4,000 平方キロメートル以上を完全にウクライナ側の管理下に置いたと明らかにしました。 さらに同じ程度の広さの領土の奪還を進めているということです。 4,000 平方キロメートルは、東京都の面積のおよそ 1.8 倍に匹敵します。

一方、ロシア軍が撤退したウクライナ北東部イジュームの市議会議員は 12 日、およそ半年間にわたったロシア軍の占領によって、市民少なくとも 1,000 人が死亡したと明らかにしました。 また、ハルキウ州の村では拷問を受けた跡がある遺体が見つかっていて、ロシア側の戦争犯罪が指摘されています。 (テレ朝 = 9-14-22)


独首相、プーチン氏と 1 時間半に及ぶ電話会談 … 停戦と露軍撤退求めるも平行線か

【ベルリン = 中西賢司、キーウ = 梁田真樹子】 ロシアのプーチン大統領とドイツのショルツ首相は 13 日、電話会談し、ロシアのウクライナ侵略を巡って協議した。 ショルツ氏は会談で、戦闘の停止と露軍の完全撤退を改めて求めたが、プーチン氏は侵略を正当化し、協議は平行線に終わったとみられる。 独政府の発表によると、会談は約 1 時間半に及んだ。 ウクライナの南部と東部で、露軍の占領地域をロシアに併合するための住民投票が画策されていることなどについて、ショルツ氏は「認められない」と非難した。 露軍の占拠が続く南部ザポリージャ原子力発電所を巡っては、国際原子力機関 (IAEA) が求めた安全確保措置を取るよう要求した。

露大統領府の発表によると、プーチン氏は東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)やザポリージャ原発を攻撃しているのはウクライナ軍だと主張し、戦闘継続の責任をウクライナ側に転嫁する立場を崩さなかった。 一方、ザポリージャ原発に関して、IAEA は 13 日、近くの火力発電所と原発を結ぶ非常用の送電線 3 本のうち 3 本目も復旧したと発表した。 ラファエル・グロッシ事務局長は、原発周辺で最近数日は砲撃がないと指摘した上で、「原発の現状は依然として不安定だ」と懸念を示した。

ウクライナ軍は東部と南部で反攻を続けている。 露軍が 7 月上旬に制圧を宣言した東部ルハンスク州でも、同州の知事が 13 日、ドネツク州との州境に近いクレミンナを露軍が放棄したとの認識を示した。 ウクライナ軍が反転攻勢を強めたハルキウ州では今月、露軍が火力発電所などを攻撃し、大規模停電が発生していたが、ウクライナ大統領府の高官は 13 日、SNS で「電力供給は 100% 回復した」と説明した。 (yomiuri = 9-14-22)


ウクライナ北東部で退却、プーチン氏の次の一手は

[ロンドン] ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ北東部においてロシア軍が素早く部隊を退却させたことについて、まだ、公式にコメントしていない。 ただ、国内のナショナリスト勢力からは、戦争の主導権を奪い返せと迫られている。 西側情報当局者の話や公開情報の分析結果が正しいとすれば、プーチン氏に事態を早急に収拾できる方法は乏しい。 行使可能な手段のほとんどは、ロシア国内絡みや地政学的な側面でリスクを抱えている。

1999 年に権力の座についたプーチン氏がこれまで相手にした中で最も手ごわかったのは、チェチェンや北コーカサス地方のイスラム勢力だったが、これらの軍事作戦では部隊増強という道を選んだ。 ウクライナの戦争で同氏が持つ主な選択肢は、以下の通り。

戦線の安定化と部隊再編後に反撃

ロシアと西側の軍事専門家の意見が一致しているのは、ロシア側の立場で見ると、ロシア軍は早急に戦線を安定させてウクライナの進撃を食い止め、部隊を再編し、可能ならば反撃作戦を展開する必要があるという点だ。 しかし、西側諸国の間では、ロシアがこれまでのウクライナ軍との戦闘で多くの兵力を失い、遺棄ないし破壊された装備も多数に上る以上、果たして新たに投入する十分な地上兵力や兵器があるのか疑問視されている。

ポーランドのロチャン・コンサルティングのコンラッド・ムジカ所長は、ロシア軍のウクライナ北東部からの後退を受け「兵力は枯渇している。 志願兵部隊は戦力が低下し、募兵活動によっても想定された規模の人数を届けられていない。 入隊希望者が少なくなっているので、状況は悪化する一方だと思う。 もし、ロシアが兵力を増やしたいなら、総動員が不可欠だ」と話す。

国家総動員

ロシアは過去 5 年以内に軍務経験がある予備役兵約 200 万人を動員できるが、彼らを訓練して実戦配置するには時間がかかる。 大統領府は 13 日、「現時点で」国家総動員は議論されていないと明らかにした。 総動員はナショナリストの支持を得られるとしても、都市部で暮らす一般の成人男性には歓迎されないだろう。 彼らは戦争参加に消極的と伝えられている。

政府としても総動員となればウクライナ問題に関する公式メッセージを修正し、目的を限定した「特別軍事作戦」ではなく、全面戦争と呼ぶしかなくなる。 そうなると大半のロシア国民のウクライナ侵攻前の日常生活を確保するという政府の方針も、撤回しなければならない。 全面戦争に移行した場合、徴兵に対する世論の反発という国内政治の上でのリスクも生じる。 また、同じスラブ民族に全面戦争を仕掛けるというのも、プーチン政権の印象を悪くすることになる。

ロシア外務省に近いシンクタンク、RIAC を率いるアンドレイ・クルチュノフ氏は以前から、ロシア政府は総動員には消極的だとの考えを披露してきた。 同氏は「大都市では多くの国民が戦争に行きたがっておらず、総動員が人気を博する公算は乏しい。 しかも、今回の全事態を限定的な軍事作戦と説明することこそが、プーチン氏の利益になるのは明らかだと思う」と説明する。 英国の元駐ロシア大使、トニー・ブレントン氏は、総動員がロシア軍の戦力強化をもたらすには何カ月も必要になると発言している。

ロシアのエネルギー戦略で欧州が動揺することに期待

ロシア大統領府の考えに詳しい 2 人のロシア人関係者は先月ロイターに、プーチン氏の期待する展開を明かした。 それによると同氏は、この冬のエネルギー価格高騰と供給不足によって欧州諸国がウクライナに対してロシアに都合の良い条件での休戦を強く働きかけてくれるのを待ち望んでいる。 もっとも欧州の何人かの外交官は、ウクライナが最近何度か軍事的な成功を収めたことで、一部の欧州諸国がウクライナに譲歩を促す取り組みは意味が薄れたとみている。 また、ドイツなどはここ数週間でロシアに対する姿勢が一段と強硬になり、冬のエネルギー危機を乗り切る決意をより固めているようだ。

ミサイルの標的拡大

ウクライナ北東部で退却したロシア軍は、ウクライナの電力施設へのミサイル攻撃に移行している。 これにより主要都市・ハルキウや、その周辺のポルタバ、スミなどで一時的な停電が発生。 水道やモバイル通信ネットワークにも被害が出ている。 こうした作戦をロシアのナショナリスト勢力の一部は称賛し、彼らはロシア軍が巡航ミサイルでウクライナの各インフラをより恒久的に破壊するのを望むだろう。 ただ、それは国際的な非難を浴びかねない。 ロシアのナショナリスト勢力は、ウクライナの首都キーウ(キエフ)や各地の「意思決定」の中枢に攻撃をかけろとも長らく主張してきた。 実行されれば、重大な副次的被害を招くのは避けられない。

穀物輸出再開合意の破棄ないし縮小

プーチン氏は、国連とトルコの仲介で合意したウクライナの穀物輸出再開を巡り、ロシアと貧困国にとって公平さに欠ける内容だと不満を表明し続けている。 今週にはプーチン氏がこの合意の修正を議論するため、トルコのエルドアン大統領と会談する予定。 プーチン氏が直ちにウクライナに打撃を与えたいと考えるなら、合意を停止もしくは破棄するか、11 月の期限到来時に更新しないという選択肢がある。 西側諸国や中東・アフリカの貧困国はプーチン氏が世界的な食料不足を深刻化させたと非難するだろうが、プーチン氏はウクライナに責任を押しつけるとみられる。

和平協定

ロシア大統領府は、適切な時期がくれば何らかの和平協定締結に向けた条件をウクライナに通知する意向だ。 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、軍事力を駆使してロシアの制圧地を解放すると明言した。 ゼレンスキー氏が挙げる解放対象には、ロシアが 2014 年に強制編入したクリミア半島が含まれる。 ロシア側は、クリミア問題は永久に解決済みと繰り返している。

ロシアは、ウクライナ東部の親ロシア勢力の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を国家として正式に承認しており、これらの地域をウクライナに譲り渡すことも政治的には不可能に見受けられる。 ロシアがウクライナ侵攻で最初に「大義名分」に掲げたのが、この 2 つの地域で迫害されている親ロシア住民を全面的に「解放する」ことだったからだ。

もちろんロシアは、部分的に制圧しているウクライナ南部の返還も国内世論に受け入れさせるのは難しい。 南部ヘルソン州はクリミア北部と直接つながっている上に、クリミア半島に必要な水のほとんどを供給する要地。 また、ヘルソン州は、隣接するザポロジエ州とともにロシアがクリミア半島に物資を供給できる陸上回廊の役割も果たしている。

核兵器使用

複数のロシア政府高官は、ロシアがウクライナで戦術核を使うのではないかという西側の見方を否定した。 それでも西側には不安が残っている。 戦術核が投入された場合、大規模な被害が生じるだけでなく、事態がエスカレートして西側とロシアの直接戦争に発展しかねない。 ロシアの核ドクトリンは、ロシアが核兵器ないし他の種類の大量破壊兵器の先制攻撃を受けた場合、あるいは通常兵器によって国家の存亡につながる脅威がもたらされた場合、核兵器使用を認めている。

元駐ロシア英大使のブレントン氏は、プーチン氏が追い詰められ、面目を保てないほどの屈辱的敗北に直面したなら、核兵器を使う恐れがあると警告した。 ブレントン氏によると、ロシアが敗北、しかもひどい負け方をしてプーチン氏が失脚するか、それとも核兵器の威力を誇示してこうした事態を回避するかの選択を迫られるとすれば、プーチン政権が核兵器使用に踏み切らないと断言できないという。

米国の駐欧州陸軍司令官を務めたベン・ホッジス氏も、そのリスクはあると認めつつ、実際に核兵器が使われる確率は乏しいとの見方も示した。 「使っても実際に戦場で優位に立てるわけではなく、米国が座視して何の対応もしないのは不可能なので、プーチン氏ないし彼の側近が自滅的行動に走るとは思わない」という。 (Reuters = 9-14-22)


ウクライナ「6,000 平方キロ以上奪還」 露軍、南部で降伏交渉情報

ウクライナのゼレンスキー大統領は 12 日、ウクライナ軍が 9 月以降、ロシアから奪還した地域は 6,000 平方キロ以上に達したと表明した。 南部ヘルソン州に配置されたロシア軍の一部は、降伏交渉を始めたという情報もあり、ウクライナ軍が攻勢を強めている模様だ。 ゼレンスキー氏は 12 日夜、ビデオ演説で「我々の兵士はウクライナ東部と南部で 6,000 平方キロ以上を奪還した。 我が軍の進撃は続く。」と述べた。 ウクライナ軍の参謀本部は 11 日の時点で奪還した地域は 3,000 平方キロと説明していた。

ウクライナ軍は南部と東部で反撃に出ている。 南部ヘルソン州では 7 月中旬以降、ドニエプル川にかかる橋を攻撃し、ロシア軍の兵器や弾薬の補給路断絶を狙ってきた。 このため川沿いに配置されたロシア軍部隊は、兵站不足に陥っているとみられる。 東部では 10 日に要衝イジュームを解放するなど、ハリコフ州などを中心にして、広範な地域を奪還している。 ウクライナメディアによると、南部で作戦を展開しているウクライナ軍の広報担当者は 12 日、ヘルソン州の一部のロシア軍部隊について「国際人道法の規範の下で、武器を置く条件を交渉しようとしている」と語った。 (宮川裕章(ブリュッセル)、畠山哲郎、mainichi = 9-13-22)


ロシア軍の最精鋭部隊がハルキウ撤退 「戦力回復できず」英国防省

英国防省は 13 日、ウクライナの戦況をめぐり、北東部ハルキウ州から撤退したロシア軍のなかには最精鋭部隊が含まれていた、とする分析を公表した。 ウクライナ軍は 9 月上旬からハルキウ州で反転攻勢に成功し、ほぼ全域を奪還したとされる。 英国防省によると、ハルキウ州から撤退したのはロシアの西部軍管区に属する第一親衛戦車軍。 ロシア軍の誇る精鋭部隊の一つで、首都を防衛し、北大西洋条約機構 (NATO) 軍と交戦になった場合に反撃を指導する役割を担っていたという。

英国防省によると、第一親衛戦車軍は侵攻初期に大きな打撃を受け、ウクライナ軍の反攻の前に、十分に戦力を回復することができていなかった。 英国防省はこの部隊を含む西部軍管区の勢力が劣化したため、ロシア軍の対 NATO 戦力は著しく弱体化したと指摘。 「ロシアが戦力を再建するには何年もかかるだろう」と述べた。 (asahi = 9-13-22)


ハルキウ州の火力発電所にミサイル攻撃 ウクライナ軍攻勢への報復か

ウクライナでは 11 日夜、北東部ハルキウ州の火力発電所などインフラ施設へのミサイル攻撃があった。 地元メディア「ウクライナ・プラウダ」によると、州内を中心に大規模な停電や断水が起きた。 12 日にかけ復旧作業が続いたもようだ。

ウクライナ軍は、ロシア軍を州内の要衝イジュームから撤退させるなど反転攻勢を強めている。 ハルキウ市のテレホウ市長は SNS に「ハルキウ州での我が軍の成功に対する、ロシアの侵略者の卑劣で恥知らずな報復だ」とつづった。 ゼレンスキー大統領もツイッターで「テロリストはテロリストのままで、重要なインフラを攻撃する。 軍事施設はなく、目的は人々から光と熱を奪うことだ」と非難した。

ロシア軍は南部でも苦戦を強いられているようだ。 英国防省は 12 日、ウクライナ軍がヘルソンと対岸を隔てるドニプロ川にかかる橋を破壊し、周辺への攻撃を続けていることで、ロシア軍の補給を困難にしているとの分析を公表した。 英国防省は「ウクライナの急速な成功はロシアの全体的な作戦設計に大きな影響を及ぼしている」と指摘。 ウクライナにおけるロシアの戦力の大半が防戦にまわっている可能性が極めて高いとの見方を示した。 (野島淳 = ベルリン、根本晃、asahi = 9-12-22)

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ウクライナ、東部ハリコフ(ハルキウ)州のロシア制圧地域ほぼ奪還か

米シンクタンクの戦争研究所は 11 日、ウクライナ軍が東部ハリコフ州のロシア軍制圧地域のほぼ全域を奪還したとの戦況分析を発表した。 同州第 3 の都市で、要衝のイジュームを奪還したことで、ロシアが目標としていた、同州に隣接する東部ドネツク州全域の制圧は困難となったと指摘した。

ドネツク州に幹線道路がつながり侵攻に欠かせない拠点であるイジュームの奪還を許したことで、「ロシアの当初の作戦計画は破綻した」という。 ウクライナ軍が米国から供与された高機動ロケット砲システム「ハイマース」などの米欧製兵器を効果的に活用し、作戦の成功につなげたと分析した。 一方で、戦争研究所はロシア軍が今後局地的な反撃に出る可能性もあるとみる。 ウクライナが 2 月の侵攻開始後に、ロシアが占領した地域の奪還を完了させるためには数回の大規模な軍事作戦が必要で、戦争は 2023 年まで続きそうだとの見方を示した。 (nikkei = 9-12-22)

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ゼレンスキー大統領、露の軍事拠点イジュームなどの奪還を宣言 … 東部ハルキウ州反転攻勢で

【キーウ = 梁田真樹子】 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 11 日のビデオ演説で、ウクライナ軍が東部ハルキウ州の反転攻勢で、露軍が占領下で軍事拠点にしていたイジュームなどを奪還したと宣言した。 ウクライナの大統領府顧問は 11 日、露軍が報復としてハルキウ州の火力発電所など重要施設を攻撃し、大規模停電を起こしたと非難した。 (yomiuri = 9-12-22)


ウクライナ、東部要衝奪還か ロシアが事実上の撤退表明

【パリ = 白石透冴】 複数の米欧メディアは 10 日、ウクライナ軍が東部ハリコフ州の要衝イジュームを奪還したと報じた。 6 日に始まった同軍の東部での反転攻勢を象徴する節目となった。 タス通信によると、ロシア国防省はイジュームの部隊を隣のドネツク州に移動させるなどと表明し、事実上の撤退宣言をした。 イジューム市長が米ニューヨーク・タイムズの取材に「今日解放された」と答えた。 SNS (交流サイト)ではウクライナ軍がイジュームの入り口で国旗を掲げる動画などが出回っている。

ウクライナ保安局によると、イジュームの北にある鉄道拠点クピャンスクにも特殊部隊が進軍した。 ロシア軍が前線に物資を運ぶ補給路の重要地点で「クピャンスクを奪還されればロシアに大打撃となる。(英国防省)」 ロシア軍が制圧した隣のルガンスク州のガイダイ知事は 10 日、SNS で同州にもウクライナ軍が到着したと表明した。 同軍は南部で奪還作戦を進めていたが、6日に電撃的に東部へ進軍した。

英国防省は 10 日「ロシア軍は不意をつかれた可能性がある」との見方を示した。 ウクライナ軍はロシアの占領地側に約50キロメートル前進したとみられるという。 米シンクタンクの戦争研究所は 9 日、ウクライナ軍が約 2,500 平方キロメートルをロシアから奪還したと分析した。 ロイター通信によると、ハリコフ州駐在のロシア当局者は 9 日「ロシア軍の防衛線が突破された」として、ウクライナ軍が「実質的な勝利」を収めたと述べた。

米 CNN によると、ウクライナ軍は 9 日「甚大な損害でロシア軍の士気は下がっており、脱走兵が増えている」と発表した。 SNS では親ロシアのアカウントがロシア軍の失敗を相次いで批判している。 ウクライナ政府は南部奪還作戦に何度も言及して住民に避難を呼びかけていたが、東部については沈黙を保っていた。 ロシア軍も南部が主戦場になるとみて兵数を増やし、反撃の構えを整えようとしていた。 南部は「おとり」だった可能性がある。

南部ヘルソン州でも攻防が激化している。 ウクライナ軍は 10 日、ロシア南部チェチェンから来たロシア兵 1,300 人が現地に援軍として入ったとの情報を公表した。 北大西洋条約機構 (NATO) のストルテンベルグ事務総長は 9 日の記者会見で「我々は弾薬だけでなく衣服やテント、発電機など冬に必要な装備を提供しなければいけない」と冬季のウクライナ軍支援を訴えた。

欧州連合 (EU) は 9 日、ロシア人観光客の受け入れを事実上制限することを正式に決めた。 ビザ申請料金を 35 ユーロ(約 5 千円)から 80 ユーロに引き上げ、発給数を絞る。 侵攻のさなかにロシア人が欧州に来て観光するのはおかしいなどとして、制限を求める声が東欧諸国などから上がっていた。 (nikkei = 9-11-22)


ザポリージャ原発が完全に停止 「より安全な状態にするため冷却」

ロシア軍の占領下にあるウクライナ中南部のザポリージャ原発について、ウクライナの原子力企業「エネルゴアトム」は 11 日、「完全に停止している」と SNS などで発表した。 6 つある原子炉のうち唯一稼働していた 6 号機をより安全な状態にするため停止させ、冷却して安定させる作業を進めているという。

発表によると、同原発では原子炉と外部とをつなぐ送電網がロシア軍の砲撃で損傷を受け、6 号機は原発内で必要な電力を供給するために発電していた。 外部とつなぐ送電網は 10 日に復旧し、6 号機の停止が可能になったという。 同原発をめぐっては、国際原子力機関 (IAEA) のグロッシ事務局長が 9 日、声明を発表。 相次ぐ攻撃で復旧が困難になり、最悪の場合、現在稼働している唯一の原子炉の停止をウクライナ側が検討していると明らかにしていた。 (asahi = 9-11-22)


反攻の南部ヘルソンでロシア軍脱走兵が増加、ウクライナ軍

ウクライナ軍参謀本部は 9 日、同軍が反転攻勢を進める南部ヘルソン州でロシア軍の脱走兵が増えていると主張した。 最新の戦況報告で述べたもので、背景にはロシア軍が被った相当な規模の損害や戦う意欲の喪失などがあると指摘。 「占領軍のモラルや精神状態は大きく悪化しており、脱走兵の人数も増えている」と続けた。 脱走兵の増加を示す特定の証拠には触れなかった。

ただ、ロシアが一方的に併合したウクライナ・クリミア半島近くにある町でロシア軍が複数のヘリコプターを動員して脱走兵を探し、戦場への連れ戻しを試みた事例に言及した。 参謀本部はまた、ウクライナ軍の戦闘機が東部ドネツク州や南部で 10 回以上の空爆などを実施したとも報告。 ウクライナ空軍の出撃はここ数週間、活発化の兆しがあり、ロシア軍の防空部隊を探索し、攻撃出来る米国製ミサイルの駆使を反映しているともみられる。

さらに、ウクライナ軍の南部作戦管区はロシア軍の兵力や戦闘装備品の集積拠点をたたく作戦は続行しているとも指摘。  ヘルソン州内を流れるドニプロ川西岸に展開する部隊への補給路としてロシア軍が設けた、ノバカホウカ地区にある臨時の橋梁(きょうりょう)とダリウカ地区の浮橋も攻撃しているとした。 (CNN = 9-10-22)


ロシアがハルキウ州に援軍 ウクライナ、30 集落の奪還発表

ロシアは 9 日、ウクライナ北東部ハルキウ州に援軍を派遣すると発表した。 ウクライナ軍は同国に侵攻したロシア軍に対する大規模な反攻を続けており、同州でこれまでに 30 以上の集落を奪還したとしている。 ロシア国営メディアは、ウクライナ侵攻の象徴である「Z」の文字が描かれた戦車や支援車両、大砲の列が舗装道路や未舗装路を走行する映像を流した。

ロシア政府が任命した地元当局幹部ビタリー・ガンチェフ氏はテレビ放送で、ウクライナが 8 日に奪還したと発表したハルキウ州バラクリヤ周辺で「激しい戦闘」が繰り広げられていると述べた。 バラクリヤは半年前の侵攻開始初期にロシア軍により制圧されていた。 一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 9 日、同国軍がハルキウ州でこれまでに「30 以上の集落を解放・掌握した」と述べた。 米国のアントニー・ブリンケン国務長官はロシアの援軍派遣について、同国がウクライナ領土の占領・維持に「多大な代償」を払っていることを示すものだと指摘した。 (AFP/時事 = 9-10-22)


ウクライナ軍、北東部要衝バラクリヤを奪還 ゼレンスキー氏が主張

ウクライナのゼレンスキー大統領は 8 日、SNS に動画を投稿し、軍の兵士たちが北東部ハルキウ州の要衝バラクリヤを奪還したと主張した。 動画にはバラクリヤの建物の上に立つウクライナ兵の姿が映っている。 そのそばにはウクライナ国旗が掲げられている。 兵士の 1 人はゼレンスキー氏に向け、「バラクリヤの街が我々の支配下に入った」、「命令を完遂した。 ロシア占領軍は撤退した。」と述べている。 兵士の前の地面にロシア国旗が置かれているのも確認できる。 ゼレンスキー氏は動画に添えたコメントで、「すべてがあるべき場所におさまった」、「自由なウクライナの空の下、自由なウクライナの街にウクライナ国旗が掲げられている」としている。 (CNN = 9-9-22)


ウクライナが大きな戦果主張 米長官、電撃訪問で巨額支援表明

ウクライナは 8 日、同国に侵攻したロシア軍から多数の町や村を奪還する大きな戦果を収めたと主張した。 米国のアントニー・ブリンケン国務長官は同日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、同国や周辺国に対する 28 億ドル(約 4,000 億円)規模の追加軍事支援を表明した。 ウクライナ側の発表によると、同国軍は北部、南部、東部で攻勢に成功し、ロシア軍に占領されていた領土を奪還。 ウクライナ軍幹部のオレクシー・フロモウ氏は、同国軍が国内第 2 の都市ハルキウ周辺でロシア軍の陣地に 50 キロ攻め入り、20 以上の町や村を「解放」したと説明した。

ブリンケン国務長官はこの日、ウクライナ側の機運を高めるべく、侵攻が始まって以来 2 回目となるキーウ訪問を事前予告なしに実施。 同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、軍事支援について協議した。 ブリンケン氏に国家勲章を授与したゼレンスキー氏は、米国からの「多大な支援」に感謝し「わが国の領土を奪還できるという保証」になると評価した。 ブリンケン氏は「侵略が終わり、ウクライナが完全に主権を回復するまで」米国は支援を続けると約束した。

今回の支援には、近く供与される 6 億 7,500 万ドル(約 970 億円)分の武器・弾薬・物資のほか、ウクライナが米国から装備を追加購入するための長期融資や助成金として拠出する 10 億ドル(約 1,400 億円)が含まれる。 米国務省はまた、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト 3 国や、独立を目指す親ロシア派地域を持つモルドバとジョージアなど、ロシアの脅威に直面しているとされる 18 か国に対する 12 億ドル(約 1,700 億円)規模の支援も承認した。 (AFP/時事 = 9-9-22)


ウクライナ軍、北東部バラクレヤで反攻 = ロシアの作戦に打撃も

【イスタンブール】 ウクライナ軍が北東部ハリコフ州の町バラクレヤで反攻の動きを見せている。 ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」幹部は 7 日、通信アプリ「テレグラム」で、「バラクレヤがウクライナ軍部隊の攻撃を受けている」と認めた。 バラクレヤはロシア部隊が補給拠点とする交通の要衝イジュームの北西に位置し、ロシア軍が 3 月から占拠していた。 親ロ派幹部は、ウクライナ側が以前から砲撃の準備を進めていたと指摘。 ウクライナが奪還すれば、ロシア軍がハリコフ州で作戦を展開する上で打撃となる。

ウクライナ当局は反攻について明言を避けているが、現地の記者もテレグラムなどにバラクレヤで交戦が起きていると相次いで投稿した。 ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は 7 日、テレグラムへの投稿で「ハリコフ州で電光石火の変化が起き、ロシア軍は東方へ退いている」と主張。 ウクライナ軍は南部ヘルソン州でも攻勢を強めているとされ、アレストビッチ氏は作戦を「同時並行で進めている」と強調した。 ウクライナのメディアによると、ハリコフ州の別の町クピャンスクの当局者は 6 日、ビデオメッセージで「ウクライナ部隊が近くクピャンスクを解放する」と訴えた。 (jiji = 9-8-22)


ザポリージャ原発、バックアップ用送電線も損傷 … 周辺住民に避難呼びかけ

【ベルリン = 中西賢司、キーウ = 梁田真樹子】 国際原子力機関 (IAEA) は 7 日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部ザポリージャ原子力発電所で、緊急時の原子炉の安定維持に必要となるバックアップ用の外部送電線の一部が、砲撃で損傷したと発表した。

砲撃があったのは 6 日で、バックアップ用の送電線 3 系統のうち 1 系統と送電施設が損傷したという。 同原発は、外部からの電力供給源として近隣の火力発電所との間で通常用とバックアップ用の送電線で結ばれている。 通常用の送電線はこれまでの砲撃で全て損傷している。 外部送電線とは別途、非常用自家発電機が機能しており、IAEA は「原子炉に直ちに影響するものではない」としている。 ただ、自家発電は大量の燃料を必要とする。 ウクライナ政府は、燃料が不足する事態となれば危機的な状況だとして原発周辺の住民に避難を呼びかけている。

一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 7 日のビデオ演説で、東部ハルキウ州の一部地域を奪還したと述べた。 また、南部クリミアで 8 月以降、露軍の軍用飛行場や弾薬庫などで相次いだ爆発について、ウクライナ軍は、7 日に同国営通信に発表した論文で関与を認めた。 一連の爆発は、南部奪還作戦を本格化させるための準備だったとみられる。 タス通信によると、露プーチン政権与党「統一ロシア」は 7 日、ウクライナの占領地域でのロシアへの併合に向けた住民投票について「民族統一の日」にあたる 11 月 4 日の実施を提案した。 ウクライナ軍の反攻を受け、9 月にも実施するとしていた予定を延期していた。 (yomiuri = 9-8-22)


EU、ロシア産天然ガス価格に上限案 … プーチン大統領は発動なら供給完全停止を示唆

欧州連合 (EU) の執行機関・欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は 7 日、EU 域内に輸入されるロシア産天然ガスの価格に上限を設置する案を明らかにした。 ガス価格の高騰に歯止めをかけるとともに、ロシアのエネルギー収入に打撃を与えるのが狙いの制裁の一環となる。 上限設置案は、9 日に開かれる EU 各国のエネルギー相会合で協議される。 フォンデアライエン氏は記者団に「ウクライナでの非道な戦争の資金源であるロシアの収入を削り取らなければならない」と述べた。

AFP 通信によると、ロシアのプーチン大統領は 7 日、EU の発表に先立って「(上限設置案は)極めて愚かな決断だ」と述べた。 発動させた場合には、欧州へのガス供給を完全に停止する考えも示唆している。 上限設置がガスの供給不足につながり、さらなる価格高騰を招く恐れがある。 欧州委は、再生可能エネルギーや原発などの発電関連事業者について、一定以上の利益に対して追加課税する案も明らかにした。 ガス価格高騰が電気料金全般の値上げにつながり、業者が恩恵を受けているためだ。 課税で得た収入は各国の企業や世帯に還元する。 (ブリュッセル・酒井圭吾、yomiuri =9-8-22)


ウクライナ軍、ロシアの巡航ミサイル 5 発を撃墜 = 大統領

[キーウ] ウクライナのゼレンスキー大統領は 6 日夜の定例演説で、ウクライナ軍が同日午前にロシア側の巡航ミサイル 5 発を撃ち落としたと発表した。 だが、先に当局者が示唆していた東部での作戦進展には言及しなかった。

ゼレンスキー氏は、ウクライナ軍がロシアの X-101 ミサイル 6 発のうち 5 発を撃ち落とし、うち 4 発は南部で撃墜したと明らかにした。 これに先立ち、東部のハリコフとロシア支配下のイジュームの間にあるバラクリア周辺での戦闘状況がソーシャルメディア上で投稿されていた。 イジュームはロシアが兵力の補充に使う鉄道の要衝とされる。 また、ウクライナ大統領顧問は、ハリコフ州での作戦について大統領から「素晴らしいニュース」がもたらされるとツイートしていた。 ロイターはこれらの事実を独自に確認できておらず、ロシアからの回答もない。

一方、南部ヘルソン州でのウクライナ軍の戦果については、ウクライナ政府が前線に記者を入れず、軍の発表も制限しているため、ほとんど情報は出てきていない。 (Reuters = 9-7-22)


ウクライナ反転攻勢意気込む 「ヘルソン州だけでなく全方面に」

ウクライナのゼレンスキー大統領は 5 日に放映された番組で、ロシアに占拠された地域の奪還作戦について「(南部)ヘルソン州だけではなく、全ての方面で展開している」と述べた。 ロシアは今月 11 日に占領地域での自国への併合の是非を問う住民投票の実施を模索してきたが、ウクライナの反転攻勢を受けて延期に追い込まれた。 ウクライナの反撃とロシアの苦戦が顕著になっている。

ゼレンスキー氏は 5 日放映された米 ABC ニュースとのインタビューで、被占領地域の奪還について「非常に難しい任務だが、(達成するのは)時間の問題に過ぎない」と発言。 ウクライナ軍は 8 月末に南部の奪還作戦に着手したことを宣言していた。 この日の発言は、進行中の作戦が東部やロシアに強制編入されている南部クリミアにも及ぶことをにじませたとみられる。

ロシアは今月 11 日に予定する自国の統一地方選に合わせ、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツク両州や南部ヘルソン、ザポロジエ両州の占領地域で、ロシアへの併合の是非を問う住民投票を計画したとみられてきた。 しかし 5 日になり、ヘルソン州に設置された「軍民行政府」幹部のストレモウソフ氏が治安上の理由を挙げ、延期する意向を表明。 他州の占領地域でも住民投票が延期されるとみられる。

ヘルソン州では情報機関の州幹部が裏切ったこともあり、今年 2 月にロシアが侵攻を開始すると、早い段階で大部分の地域が占領下に置かれた。 その後は社会保障費がロシアの通貨ルーブルで支払われてきたほか、ロシアのパスポートが供与されるなど、プーチン政権が支配地域を自国へ組み込むための施策を進めてきた模様だ。

しかし、高機動ロケット砲システム (HIMARS) など米国製兵器の供与が進んだこともあり、ウクライナ軍はロシアが利用してきた州内のインフラへの攻撃を激化し、一部集落の奪還に成功。 米シンクタンク「戦争研究所」は今月 4 日、「ウクライナ軍がロシアの兵たんや指揮系統を混乱させようとする中、反転攻勢のペースは日々、劇的に変わる可能性が大きい」との分析を明かしている。

ヘルソン州では、ロシア側に寝返った要人を暗殺しようとする事例も相次ぐ。 8 月 30 日には、与党所属議員でありながらもロシア側に転じたアレクセイ・コバレフ氏が射殺された。 ロシアの英字紙モスクワ・タイムズによると、ロシアの占領地域では同月にロシア側要人の暗殺を試みた事案が 9 件起こり、3 件だった 7 月から急増。 占領下でレジスタンスが起こっているほか、ウクライナ軍が関与している可能性も取り上げられている。 隣接するクリミアでも 8 月に入ってから、ロシアの軍施設で爆発が相次いで発生しており、ウクライナ軍による計画的な攻撃ではないかと推測されている。

苦戦が伝えられるロシア軍では、給与支払いや装備品配備などが恒常的に遅れている模様だ。 英国防省が 4 日に明かした情勢分析では、ロシア軍内部での士気や規律の低下を取り上げている。 兵力不足も顕著になっており、国内の愛国主義的勢力などは、総動員令の発令を求めている。 ただしロシア軍は 8 月下旬、兵員の定数を 13 万 7,000 人増員すると発表し、立て直しを図る構えを示した。(大前仁、mainichi = 9-6-22)

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