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ゼレンスキー氏、アメリカの支援失う危険あるとウクライナ国民に演説 ホワイトハウスの和平案めぐり

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 21 日、ロシアとの戦争についてアメリカ政府が示している和平案をめぐり、ウクライナがアメリカの支援を失う危険があると国民に警告した。 この案についてドナルド・トランプ米大統領は同日、ゼレンスキー氏がそれを「気に入る必要がある」と述べた。 ゼレンスキー氏は首都キーウの大統領府を背に、約 10 分間にわたり国民に向けて演説し、ウクライナが「非常に難しい選択に直面するかもしれない。 尊厳を失うか、重要なパートナーを失うかという選択だ」と、「今日は私たちの歴史の中で最も困難な瞬間の一つだ」と述べた。

ゼレンスキー氏は、「我々を弱体化させ、分断させるための多大な圧力」にウクライナは直面することになると国民に警告し、「敵は眠っていない」と付け加えた。 そのうえで、国民に団結を呼びかるとともに、ウクライナとしての「国益を考慮しなければならない」と強調した。

「私たちは大声で声明を発していない」と大統領は続け、「私たちは冷静に、アメリカやすべてのパートナーと協力していく。 主要パートナーと、解決策を建設的に探して行く。 (中略)私は主張し、説得し、代案を提示していく。」と述べた。 また、「ひとつ確かなことがある。 私たちは敵が『ウクライナは平和を望んでいない、ウクライナは交渉を妨害している、外交の用意ができていないのはウクライナの方だ』などという口実を与えない。 そんなことは起きない。」と強調した。

ゼレスキー氏はさらに、「この計画のあらゆる要点のうち、ウクライナ人の尊厳と自由というこの二つが決して無視されないよう、私は闘う。 なぜなら、私たちの主権と独立、国土、国民、そしてウクライナの将来が、この二つにかかっているからだ。」と強調した。 「私たちは、結果として戦争が終わるように全力を尽くすだろうし、そうしなければならない。 しかし、ウクライナは終わらず、ヨーロッパは終わらず、世界平和も終わらない。」

大統領は、ウクライナは「今日も土曜日も日曜日も、来週も毎日、必要なだけいつまでも」迅速に取り組むとしたほか、「来週はとても厳しいものになる。 いろいろなことが起きる。」と述べ、「今まで以上に私たちは団結する必要がある。 私たちの故郷に、尊厳ある平和が訪れるように。」と、国民に向けて強調した。 大統領はまた、「欧州各国とも話したばかりだ」と述べ、欧州諸国は「ロシアはどこか遠くにいるのではなく、EU (欧州連合)の境界のすぐ隣にいて、快適な欧州の暮らしとプーチンの計画の間にある唯一の盾が、ウクライナなのだと完全に理解している」と主張。 そうした「欧州の友人たちを、私たちは頼りにしている」と話した。

広く流出しているアメリカの和平案には、ウクライナがかつて拒否した内容が含まれている。 ウクライナが統治する東部地域の割譲、軍の規模の大幅削減、北大西洋条約機構 (NATO) に加盟しないという誓約などを、アメリカはあらためて提案に盛り込んだ。 こうした条項は、2022 年 2 月にウクライナ全面侵攻を開始したロシアにとって極めて有利な、ロシア寄りの内容と受け止められている。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカによる計画が和平合意の「基盤」になり得ると発言している。

プーチン氏は 21 日の安全保障閣僚会議で、ロシアはアメリカの提案を受け取ったものの、その詳細はクレムリン(ロシア大統領府)として協議したものではないと話した。 また、ロシアには「柔軟性を示す」用意がある一方、戦闘を続ける準備もできていると述べた。 プーチン氏は 20 日、ロシア軍の「西方」集団司令部を訪れ、戦争継続の決意を示した。 軍の迷彩服を着たプーチン氏は軍司令官を前に、「我々には任務と目標がある」、「何より重要なのは、特別軍事作戦の目的を無条件に達成することだ」と強調した。

ウクライナの戦場では、ロシア兵が多数、死傷していると言われている。 ドナルド・トランプ米大統領は同日、「和平を手にする方法があると思う」として、ゼレンスキー氏はこの計画を「承認しなくてはならない」と発言。 そうしなければ、ウクライナとロシアは戦闘を続けることになると述べた。 トランプ氏はホワイトハウスで、このままではウクライナが「短期間」で、ロシア相手にさらに領土を失うことになると警告。 アメリカの感謝祭にあたる 11 月 27 日まで、ウクライナに猶予を与えるのが「適切」だが、状況が「順調なら」その期限を延長するかもしれないとも述べた。

トランプ政権は、和平案を素早く受け入れるようウクライナに圧力をかけ続けている。 20 日はダン・ドリスコル米陸軍長官、ランディ・ジョージ参謀総長、クリス・ドナヒュー欧州司令官らがキーウを訪れ、ゼレンスキー氏と会談している。 ウクライナがロシアの空爆を迎撃するには、アメリカ製の先進兵器や防空システムのほか、アメリカ政府が提供する情報が欠かせない。

西欧諸国との協議

ゼレンスキー氏は同日、キア・スターマー英首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、フリードリヒ・メルツ独首相と電話で会談。 各国の継続的な支援を確認したと明らかにした。 これについてスターマー首相は 21 日夜、「今度こそ公正で永続的な平和を一気に確立する」ことを、ウクライナの同盟諸国は今も重視していると述べた。 南アフリカで 22 日に始まる主要 20 カ国 (G20) サミットを前に、スターマー首相は自分と各国首脳が「現在の提案について話し合い、トランプ大統領の和平推進を支持しながら、次の交渉段階に向けてこの計画をどう強化できるか、方法を検討する」と述べた。

トランプ氏は、南アフリカで白人が迫害されているという、広く否定されている言い分を理由に、G20 に欠席する見通し。 ゼレンスキー氏はこのほか、J・D・ヴァンス米副大統領やダン・ドリスコル陸軍長官と「ほぼ 1 時間」話したと述べ、ウクライナはトランプ氏の戦争終結への努力を「常に尊重してきた」と強調した。

28 項目の和平案

28 項目からなるアメリカの和平案は、ロシアがウクライナ南東部で小規模な領土を獲得したと主張する中で浮上した。 この間、ゼレンスキー氏は国内で、側近の関与が取りざたされる 1 億ドル規模の汚職スキャンダルで、閣僚 2 人が辞任するという事態に直面している。 ホワイトハウスは、和平案はスティーヴ・ウィトコフ米特使とロシア側のキリル・ドミトリエフ特使による会談を経てまとまったもので、ウクライナが提案の起草から排除されたという批判を否定している。

匿名の米高官は BBC アメリカで提携する CBS ニュースに対し、この計画はウクライナの国家安全保障責任者ルステム・ウメロフ前国防相との協議後、「直ちに」作成されたもので、ウメロフ氏はその大部分に同意していると話した。 和平案をゼレンスキー氏に提示する前に、ウメロフ氏がいくつかの修正を加えたとされる。 リークされた草案には、ウクライナ軍が現在統治している東部ドネツク州の一部から撤退し、ドネツクと隣接するルハンスク州、さらに 2014 年にロシアが併合した南部クリミア半島でのロシア支配を認めることなどが、条件として含まれる。

和平案にはさらに、ウクライナ南部のヘルソン州とザポリッジャ州の国境を現在の戦線に沿って凍結することも含まれる。 両地域は部分的にロシアに占領されている。 アメリカ案はこのほか、ウクライナ軍の人員を 60 万人に制限し、欧州の戦闘機を隣国ポーランドに配備することを定めている。 ウクライナ政府には「信頼できる安全保障の保証」が与えられるとあるものの、詳細は示されていない。 文書には、ロシアは近隣諸国に侵攻せず、NATO もこれ以上拡大しない「ものとされる」と書かれている。

和平案はさらに、制裁解除や主要国グループへの再加盟を通じてロシアが再び「世界経済に再統合」されると示す。 この場合、現在の G7 は G8 に戻ることを意味する。 ロシア占領下と自由地域に住むウクライナ人はそれぞれ、アメリカ案に反発した。 首都キーウでは、ウクライナ兵だった夫を亡くした女性が BBC に対して、「これは和平案ではなく、戦争を続けるための計画だ」と話した。 ウクライナ占領地域の一人は BBC に、「ここでは、ウクライナは私たちのことなどもう忘れているというプロパガンダが、ひっきりなしに続く。 それでも私は正気を保とうとしている。 (ウクライナ政府は)これに署名しないでほしい。」と話した。

ロシアは現在、ウクライナ領土の約 20% を支配している。 ロシア軍は、甚大な損失が報告されているにもかかわらず、長大な前線に沿ってゆっくりと前進を続けている。 (BBC = 11-22-25)


米ロが新たなウクライナ停戦案と報道 2 州譲渡などロシア有利の内容

複数の米英メディアは 19 日、米国とロシアが新たな「和平案」をまとめ、ウクライナに受け入れるよう求めたと報じた。 ウクライナは汚職事件に伴う内政の混乱も抱えており、ゼレンスキー政権はさらなる窮地に追い込まれた。 英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) によると、和平案は 28 項目で、ウクライナに対し、▽ 東部 2 州(ドネツク・ルハンスク)をロシアに割譲する、▽ 軍の規模を半減する、▽ 主要な兵器を放棄する、▽ 米国の軍事支援を縮小する、▽ ロシア語を公用語にする、ことなどを求めている。

米メディア・アクシオスによると、米国はウクライナに対して「安全の保証」を提供するが、詳細はわかっていない。 米国はまた、ロシアが 2014 年に一方的に併合したクリミア半島と東部 2 州を法的に「ロシア領」と認めるという。 この案は、ロシア寄りの姿勢が目立つ米国のウィトコフ特使と、米ロ協議の窓口を務めてきたロシアのドミトリエフ・政府系ファンド総裁が起草した。 ウィトコフ氏は 19 日にトルコでゼレンスキー大統領と会談する予定だったが、中止になったという。

ウィトコフ氏はウクライナのウメロウ国家安全保障防衛会議書記に内容を伝え、ゼレンスキー氏に受け入れるよう伝えたという。 ただ、ウクライナは東部 2 州の放棄を認めない考えを貫いており、さらにこの案ではロシアの再侵略の余地が大きく残ることから、受け入れの可能性は低い。 ウクライナでは現在、国営原子力企業を舞台にした汚職事件の捜査が進行中で、ゼレンスキー氏の旧友や複数の政権幹部の名が取りざたされている。 政権に対する国民の不満は募っており、ロシアはこれを「好機」として米国を取り込みたい意向を持つとみられる。

ウクライナが外交面でも軍事面でも状況を好転させる「ブレークスルー(突破口)」を見いだせないなか、民間人の被害は増え続けている。 ウクライナ西部テルノピリは 19 日朝に激しい攻撃を受け、非常事態庁によると、20 日午前までに子ども 3 人を含む 26 人の死亡が確認された。 負傷者は 93 人に上り、22 人が安否不明という。 テルノピリは最も近いロシア国境から 500 キロほど離れており、戦時下でも比較的安全だとされてきた。 だが、22 年 2 月の全面侵攻開始以来、西部では最悪の人的被害をうむ攻撃になった。

住民のミハイロ・クレジャニウスキーさん (62) は未明から鳴っていた空襲警報を気にしていなかったが、午前 7 時ごろに爆発音が聞こえたため、孫 2 人を連れて 100 メートルほど離れたシェルターへ急いだという。 その数分後、巡航ミサイルが自宅の隣の集合住宅に命中。警報の解除後に外へ出ると、炎と黒い煙が見え、コンクリートやガラスの破片が飛び散っていた。 職場の知人も失ったといい、「ロシアに対して、強い憎しみを覚える」と話した。

ウクライナ空軍によると、18 日夜から19日朝にかけて、ミサイル 48 発、ドローン(無人機) 476 機がロシア側から発射された。 エネルギー省によると、ウクライナの 7 州のエネルギー施設に対して攻撃があったという。 国連ウクライナ人権監視団 (HRMMU) が 12 日に発表した報告書によると、ロシア軍は先月だけで、3 回にわたってエネルギー施設への大規模攻撃を実施。 HRMMU のベル代表は「暖房や電力などの供給に長期間の混乱が生じることは、特に高齢者や障害者、幼い子どもがいる家庭などに極度の困難をもたらす」と話す。 (ワシントン・青山直篤、asahi = 11-20-25)


ウクライナ軍、アメリカ製長距離ミサイルでロシア領内を攻撃

ウクライナ軍は 18 日、アメリカ製の長距離ミサイル「ATACMS」でロシア領内を攻撃しました。 ロシア軍は大規模な報復攻撃を実施し、ウクライナで 16 人が死亡するなど、応酬が激化しています。 ロシア国防省は、ウクライナ軍が 18 日にアメリカ製の長距離ミサイル「ATACMS」 4 発をロシア南部・ボロネジに向けて発射したと発表した上で、「全て撃墜した」と主張しました。 ウクライナ軍も攻撃を認めた上で、今後も「ATACMS」などを使った長距離攻撃を続けると強調しました。

アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、トランプ政権はウクライナに対し「ATACMS」を使ったロシア領内への攻撃を数か月にわたり認めてきませんでしたが、和平交渉がこう着したため、使用を容認したものとみられます。 ロシア国防省は 19 日、「テロ攻撃への報復」だとしてウクライナ西部の軍事関連施設などに大規模な攻撃を実施したと発表しました。 ロイター通信によりますと、ウクライナ西部テルノピリでは集合住宅などが被害を受け、16 人が死亡、64 人がケガをしたということです。 (日テレ = 11-19-25)


ウクライナ軍、ロシア支配地域の発電所をドローン攻撃と発表

ウクライナ軍ドローン(無人機)部隊のロバート・ブロブディ司令官は 18 日、同国軍がロシア占領下の東部ドネツク州にある火力発電所 2 カ所を攻撃したと発表した。 施設の一つを攻撃したドローンが撮影したとみられる映像をテレグラムで公開した。 (Reuters = 11-19-25)


ウクライナ、フランス製戦闘機「ラファール」を最大 100 機取得で合意 2035 年までに完了と

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は 17 日、ウクライナが仏製戦闘機「ラファール」最大 100 機と、先進的な防空システムを取得することで合意した。 ロシアの軍事侵攻が続くウクライナは、自国の防衛能力の強化を図っている。 ゼレンスキー氏とマクロン氏はこの日、フランス・パリ近郊にあるヴィラクブレー仏空軍基地で協議した。 意向書に署名後、ゼレンスキー氏は「歴史的」な動きだと称賛した。 戦闘機「ラファール」の納入は2035 年までに完了する予定。 迎撃ドローンの共同製造は年内に開始される。

財政面についてはこれから詳細を詰めることになるが、報道によると、フランスは欧州連合 (EU) の資金調達に加え、ロシアの凍結資産にアクセスすることも計画している。 ただし、ロシアの凍結資産をウクライナの防衛資金に充てる案は、EU 加盟 27 カ国の間で意見がまとまっていない。 ゼレンスキー氏は 17 日、マクロン氏との共同記者会見で、「これは来年から 10 年間続く戦略的合意だ」と述べた。 そして、ウクライナは「非常に強力なフランス製レーダー」や防空システム 8 基、そのほか先進的な兵器を取得することになると付け加えた。

こうした先進システムの使用は「誰かの命を守ることを意味する、(中略)これは非常に重要だ」と、ゼレンスキー氏は強調した。 ロシアはこの数カ月、ドローンやミサイルを使ったウクライナへの攻撃を強化している。 エネルギー施設や鉄道インフラが標的にされ、ウクライナ全土で大規模停電が起きた。 ロシアの空爆で数十人の民間人が殺害されている。 これは戦争犯罪だと、ウクライナや西側の同盟国は訴えている。 直近のロシアの夜間攻撃では、ウクライナ北東部バラクリヤがミサイル攻撃を受けて 3 人が殺害され、15 人が負傷したと、地元当局が発表した。

ゼレンスキー氏と並んで会見に臨んだマクロン氏は、「ラファール(の供与)を計画している。 ラファール 100 機だ。 巨大な規模だ。 これがウクライナ軍の再建に必要だ。」と述べた。 マクロン氏はさらに、ウクライナが次の事態に備える手助けをしたいとも述べた。 ウクライナの空を守る上で、ラファール戦闘機は不可欠だと考えられている。 ウクライナには現在、国境の町や都市に対する長距離兵器の攻撃を阻止する防衛力がほとんどないからだ。

「ロシアはひと月に 6,000 発の滑空爆弾を使用している」と、ウクライナの防衛アナリスト、セルヒィ・クジャン氏は BBC に話した。 「射程 200 キロメートルのフランス製空対空システムを導入することが重要になる。 ロシアは射程 230 キロメートルの自国製システムを保有しているので。」

兵器供与の課題

ウクライナとフランスが発表した防衛支援は相当の規模のものだが、「その効果は、導入時期と、付随するミサイル次第だ」と、イギリスの王立防衛安全保障研究所 (RUSI) のジャスティン・ブロンク氏は言う。 両国は今回、詳細な購入契約ではなく、長期的な政治合意を結んだ。 この発表が、ロシアによる侵攻の状況を劇的に変えると期待する人はほとんどいない。

西側諸国が軍事装備の供与を約束しても、その扱い方に関する訓練や兵站なしでは効果は発揮されない。 ドイツ製「レオパルト 2」戦車であれ、アメリカ製 F-16 戦闘機であれ、いずれも集中的な訓練や、大規模な支援要員、大量の予備部品が必要になる。 そして、ラファールの場合、誰がその費用を負担するのかという点が複雑になっている。 フランスは対ウクライナ支援に政府予算から拠出し、EU の共同借入メカニズムを活用して取引費用をまかなうつもりだとみられる。 しかし、EU の権力の中枢では、資金が枯渇しつつあるという現実がささやかれている。

EU は先月、ベルギー・ブリュッセルでの首脳会議で、今後 2 年間、ウクライナの「財政的ニーズ」を支援することで合意した。 ただ、ベルギーの決済機関に保管されている約 1,400 億ユーロ(約 24 兆 3,500 億円)のロシア資産を、ウクライナの防衛資金に充てる案は見送られた。 ロシアの凍結資産を活用する案は、国際法上違法とされている。 また、一部の EU 加盟国は、ウクライナでの戦争終結後にロシアへの返済を迫られるかもしれないと神経質になっている。

ウクライナ空軍はすでに、フランス製ミラージュ戦闘機やアメリカ製 F-16 戦闘機を運用している。 ウクライナ政府は先月、スウェーデン製グリペン戦闘機の取得でも暫定的に合意している。 フランス訪問を終えたゼレンスキー氏はスペインへ移動し、軍事支援やそのほかの支援の強化を求める予定。 16 日には、ギリシャ経由でアメリカ産液化天然ガスを輸入することで合意した。 今冬にも、バルカン半島を横断するパイプラインを通じてウクライナに供給される見込み。

2022 年 2 月にウクライナへの全面侵攻を開始したロシアは、現在、ウクライナ領土の約 2 割を支配している。 ロシア軍は戦闘で多大な数の死傷者を出していると報じられているものの、長大な前線でじわじわと前進している。 (BBC = 11-19-25)


ポーランドでウクライナ支援ルートの線路爆破 首相「破壊工作だ」

ポーランドのトゥスク首相は 17 日、ロシアの侵攻を受ける隣国ウクライナへの支援物資の輸送に使われる鉄道の線路が爆破で損傷したと SNS への投稿で明らかにし、「前例のない破壊工作だ」との見方を示した。 政府はウクライナ国境付近の線路を検査するなどして警戒を強めている。 公共放送 TVP などによると、被害があったのは首都ワルシャワと東部ルブリンを結ぶ路線。 列車の運転士が 16 日にワルシャワの南東約 90 キロ付近で線路の損傷に気づいた。 付近の住民は 15 日夜に爆破音が聞こえたと話しているという。

この路線では別の場所でも 16 日に列車が緊急停止した。 送電線の損傷と関係があるとみられている。 いずれの事案もけが人は出ていない。 トゥスク氏は「ポーランド国家と国民の安全を直接狙ったものだ」と非難した。 ポーランド当局は、昨年 5 月にワルシャワのショッピングセンターで起きた火災にロシアが関与したと断定するなど、ロシア側によるポーランド国内を不安定化させようとする動きを警戒している。 (ミュンヘン・寺西和男、asahi = 11-18-25)


【黒海炎上】 ロシア石油輸出港がウクライナドローンの猛攻で火災
… 輸出中断懸念で原油価格 2% 急騰

ロシア黒海の主要石油輸出港が 14 日(現地時間)、ウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けた。 地域当局によると、これにより貯蔵庫などに火災が発生し、船員 3 人が負傷したという。 ロシアのクラスノダール地方ノヴォロシースクのアンドレイ・クラフチェンコ市長はテレグラムを通じて、ドローンの残骸が落下し原油・石油製品を輸出するゲートウェイであるシェスハリス石油ターミナルの貯蔵庫に火災が発生したが、鎮火したと述べたとインテルファクス通信などが伝えた。

ロイター通信は関係者の話を引用し、今回のドローン攻撃によりロシア国有パイプライン輸送企業「トランスネフチ」が原油供給を中断し、ノヴォロシースク港を通じた石油輸出も中断されたと報じた。 また、今回の攻撃後、石油供給への懸念が高まり、世界の原油価格が 2% 上昇したと付け加えた。 地域当局はウクライナのドローン攻撃によりコンテナターミナルや埠頭、停泊していた船舶などが損傷し、船員 3 人が負傷したと説明した。 さらに、少なくとも 4 棟のアパートがドローンの破片により窓が割れるなどの被害を受けたが、負傷者はいなかったと伝えた。

ロシア国防省は昨晩、ロシア全土でウクライナのドローン 216 機を撃墜し、そのうち 66 機はクラスノダール地方上空で破壊されたと明らかにした。 ウクライナはロシアの「特別軍事作戦」資金調達を阻止するため、石油精製所や送油管、海上ターミナルなどロシアの石油インフラに対する攻撃を強化している。 ロシアも冬を前にウクライナのエネルギー施設を狙った攻撃を続けている。 (織田昌大、江南タイムズ = 11-17-25)


「北朝鮮からの弾薬ルートを断て!」 ウクライナ、6,700 キロ離れた "シベリア鉄道" を爆破

ウクライナの情報当局は、北朝鮮からロシアへの弾薬供給を止めるため、自国から約 6,700 キロ離れたロシア極東ハバロフスク地域のシベリア鉄道を攻撃したと 15 日(現地時間)に発表した。 2022 年 2 月の戦争開始以来、ウクライナ軍がロシアの後方地域の中でも最深部を攻撃した事例になる可能性がある。

ウクライナの現地紙『キーウ・ポスト』によると、ウクライナ国防省情報総局 (GUR) は 13 日にハバロフスクで発生した大規模な鉄道爆破について、実行したことを認めた。 GUR は通信アプリ Telegram にて、ウクライナの攻撃により北朝鮮製の武器や弾薬を輸送するための鉄道路線が破壊され、軍需物資の移動が一時的に途絶えたと説明した。

北朝鮮はウクライナ戦争で、ロケット弾や弾道ミサイルなどの兵器と兵力をロシアに供与してきた。 ウクライナ対外情報庁 (FISU) は今年 7 月、北朝鮮がこれまでに 650 万発の砲弾をロシアへ供給し、事実上「ロシア軍の主要補給国」になっていると分析した。 シベリア鉄道は、モスクワからウラジオストクまで約 9,000 キロを結ぶロシア本土の大動脈で、ロシア東部からウクライナ前線へ軍需物資を移送する主要ルートでもある。

GUR は今回の攻撃について「ロシア軍の兵站能力を低下させる作戦の一環だ」と説明し、「ロシアの治安・情報機関が最も重要なインフラですら十分に統制できていないことが改めて示された」と述べた。 開戦から4度目の冬を前に、ロシアとウクライナは互いのエネルギー関連インフラへの攻撃を激しくしている。 ロシア側は最近、ウクライナの発電施設への攻撃を強め、各地で停電が続いている。 ウクライナもロシアの戦費調達を妨げる狙いで、石油貯蔵施設への攻撃を繰り返している。 (梶原圭介、江南タイムズ = 11-17-25)


ロシア軍のキーウ攻撃で 6 人死亡、アゼルバイジャン大使館にも弾道ミサイル着弾

ウクライナ空軍は 14 日、首都キーウや東部ハルキウ、南部オデーサなどウクライナ各地で 13 日夜 - 14 日朝、ロシア軍のミサイル 19 発、無人機 430 機による攻撃があったと発表した。ウクライナ国営通信によると、キーウで少なくとも 6 人が死亡し、36 人が負傷した。 この攻撃に関連して、旧ソ連構成国アゼルバイジャンの外務省は 14 日、キーウにある同国大使館の敷地内に露軍の弾道ミサイル「イスカンデル」が着弾し、建物や塀の一部が損傷したと発表した。 けが人はいなかった。 同省は、ロシアの駐アゼルバイジャン大使を呼び出し、強く抗議した。

一方、ウクライナ軍参謀本部は 14 日、ロシア南部ノボロシスクの海軍基地とサラトフ州の製油所を攻撃したと発表した。 攻撃には、ウクライナ製の新型長射程ミサイル「ロング・ネプチューン」が使用された模様だ。 (yomiuri = 11-15-25)


ウクライナ、国産長距離ミサイルでロシア領内攻撃 成功とゼレンスキー氏

[キエフ] ウクライナのゼレンスキー大統領は 14 日、夜間に国産長距離巡航ミサイル「ロング・ネプチューン」でロシア領内の目標を攻撃したと明らかにし、ロング・ネプチューンの攻撃成功率が高まっていると述べた。 「わが国の兵士たちは夜間に、ロシア領内の指定された標的に対し『ロング・ネプチューン』を使用し成功を収めた。 これはロシアの継続的なテロに対する、完全に正当な対応だ」と X に投稿。 「ウクライナのミサイルは、事実上毎月、ますます意義のある、正確な成果をもたらしている」と述べた。

標的は明らかにしなかった。 ロング・ネプチューンは、ゼレンスキー氏が 3 月にの実戦での発射に成功したと明らかにした。 射程は 1,000 キロメートルとされる。 ウクライナ軍参謀本部は今週、ネプチューン型ミサイルを含む国産長距離兵器の有効利用を増やしており「敵にかなりの困難をもたらしている」と述べている。 (Reuters = 11-14-25)


「プーチンは "第二戦線" に動く!」 ゼレンスキー氏が欧州へ緊急警告
… EU 支援には「決定的に足りない」と痛烈指摘

ウォロディミル・ゼレンスキーウクライナ大統領はドナルド・トランプ大統領を恐れていないと述べ、ウクライナとアメリカは友好国だと強調した。 ゼレンスキー大統領は 9 日(現地時間)に公開された英国紙ガーディアンとの単独インタビューで、「(ウラジーミル)プーチン(ロシア大統領)はアメリカと西側を敵とみなしている」とし、「ロシアと親密になることはアメリカの解決策ではない。 価値観の面でウクライナはロシアよりもはるかにアメリカに近い。」と語った。 さらに、ロシアを巨大で攻撃的な国家と描写し、多様な民族と地域を統合するために外部の巨大な敵を必要とする国だと強調した。

ゼレンスキー大統領はまた、プーチンの拡張野望がウクライナにとどまらないと警告した。 彼は「プーチンがヨーロッパ内でハイブリッド戦争を展開し、NATO の限界を試している」とし、ロシアがウクライナ戦争終結前に別のヨーロッパ諸国に対して「第二の戦線」を開く可能性が十分にあると主張した。

ハイブリッド戦争とは、敵を弱体化させるために虚偽情報の拡散、サイバー攻撃、軍事作戦などを組み合わせて密かに展開する複合的な戦争方式を指す。 実際、9 月 9 日にロシア製ドローンがポーランドの領空を侵犯した後、東欧や北欧はもちろん、ドイツ・ベルギーなど西ヨーロッパでも正体不明のドローンが空港や軍事基地上空を次々と飛行する姿が目撃されている。 彼は「プーチンがまずウクライナを占領した後に他の場所に向かうという一般的なヨーロッパの懐疑論は忘れるべきだ」とし、「彼は二つを同時に行うことができる」と警告した。

またゼレンスキー大統領はトランプ大統領との関係についても言及した。 「世界中の誰もがトランプを恐れている。 それは事実だ。」とし、「私はそうではない。 我々はアメリカと敵ではなく友人だからだ。」と述べた。 さらに「アメリカは我々の戦略的パートナーであり、数年、いや数世紀にわたって共に歩む関係だ」と強調した。

ゼレンスキー大統領はトランプ 2 期目の発足直後の 2 月にトランプ大統領と首脳会談を行ったが、激しい言葉の応酬の中で「外交の惨事」を経験したとの評価が出ている。 また彼は先月のトランプ大統領との会談で、トランプ大統領が地図を投げ捨ててプーチンの「最大限の要求」を受け入れるよう圧力をかけたという一部メディアの報道について「実際の会議は全く違っていた」とし、「我々の関係は正常で、業務的で、建設的だった」と反論した。

彼は当時、ウクライナ代表団がトランプ大統領とその側近たちの前に 3 つのパネルを立て、ロシアの爆撃能力を弱体化させ、交渉のテーブルに引き出すための武器支援と制裁強化策を提示したと説明した。 またゼレンスキー大統領は、ロシアのドローン攻撃に対応するためにアメリカ製のペトリオット防空システム 27 基を導入したいと明らかにした。 彼は「ヨーロッパの国々が保有しているペトリオットの一部を貸してくれる可能性もある」とも言及した。

欧州連合 (EU) と英国が十分な支援をしているかという質問には「まだ十分ではない。 戦争が終わらなければ十分とは言えない。」と答えた。 ゼレンスキー大統領はフランスと英国がウクライナに兵力を派遣することについて「当然我々はヨーロッパの兵力の早期派遣を望んでいる。 ベラルーシ国境防御のような役割が必要だ。」と述べた。 ただし彼は「指導者たちが自国民の反応を恐れている」とし、「過度な圧力をかけると逆に軍事・財政支援を失う可能性がある」と付け加えた。

彼は最近ロシア軍がドンバス地域ポクロウシクの大部分を占領したという報道についても「成功はなく、犠牲だけが大きい」とし、「ロシアが 17 万人を投入し、10 月の 1 か月だけで 2 万 5,000 人の死傷者が出た」と述べた。 (織田昌大、江南タイムズ = 11-13-25)


ウクライナ軍、南東部の集落から部隊撤退 東部ポクロフスクにロシア兵 300 人侵入

ウクライナ南東部ザポリージャ州の最前線の町フリャイポレおよび周辺の村で 11 日、警察などが住民を避難させる様子が見られた。 ウクライナ軍高官によると、ロシア軍は悪天候を利用してこの地域でさらに奥地へ浸透しているという。 避難したのは主に高齢者や移動が困難な住民らで、攻撃用ドローンの脅威にさらされながら自宅を離れた。 住民の女性は「怖い。 爆撃を受けている。 今朝外に出ると、ドローンの音がした。 立ち止まると、ドンという爆発音がした。」と証言した。

ウクライナ軍は 12 日、南東部前線の集落付近から部隊を撤退させたが、同地域でのロシア軍の前進は食い止めたとしている。 一方、ロシアのブロガーが 11 日、SNS で公開した映像では、ロシアメディアが「ドネツクへの玄関口」と呼ぶウクライナ東部のポクロフスクに、ロシア軍が侵入する様子が映っている。 ロイターは映像が真正であることを確認した。

濃い霧の中、ロシア兵たちは戦闘で傷ついた車両やバイクに乗り、ポクロフスク市内に入っていった。 ロシア国防省によると、ポクロフスクの制圧はウクライナ側の主要都市クラマトルスクとスラビャンスクに向けて北進する足がかりになるという。 ロシア軍は正面からの激しい突撃は避け、ポクロフスクの包囲と補給線の寸断を狙う戦術を 1 年以上にわたって続けている。  ウクライナのゼレンスキー大統領は、ポクロフスクの情勢を「厳しい」と述べ、ザポリージャ方面での攻撃も激化していると明らかにした。

ウクライナ軍によれば、現在ポクロフスク市内には約 300 人のロシア兵が入り込んでおり、ここ数日、部隊を増派しようと動きを強めているという。 同軍は、市内でロシア軍との戦闘が続いているとしている。 両軍の発表内容は食い違っており、ロイターはどちらの戦況報告も独自には確認できていない。 ロシア国防省は、自軍が現在ウクライナ領の 19% 以上を掌握していると主張している。 ウクライナ側の前線地図でも、ロシアの支配領域はウクライナ全土の 19.1% に達しており、ほぼ 3 年前の 18% から拡大していることが示されている。 (Reuters = 11-13-25)


ウクライナで汚職捜査、大統領が 2 閣僚に辞任要求 資金洗浄 1 億ドル

ロシアの攻撃により深刻なエネルギー不足に陥っているウクライナで、エネルギー部門を対象にした大規模な汚職捜査が進んでいる。 ゼレンスキー大統領の要求を受け、閣僚 2 人が 12 日に辞表を提出。 さらに、ゼレンスキー氏は 13 日、自らの旧友に対する制裁も発動した。

捜査主体の機関、7 月にはその独立性が危機に

ウクライナ国民は現在、1 日あたり数時間から十数時間の停電を強いられている。 そんななかで識者が「過去最大の汚職スキャンダル」と話す事件が発覚し、国民の失望は大きい。 今後、政権に対する信頼が国内外で大きく低下する可能性もある。 辞表を提出したのは、前エネルギー相で現司法相のハルシチェンコ氏と、現エネルギー相のフリンチュク氏。 ゼレンスキー氏は現在の厳しいエネルギー状況に触れ、「不正があることは絶対に受け入れられない」と非難していた。

ハルシチェンコ氏は「法廷で自らを弁護したい」、フリンチュク氏は「職務において法律違反はしていない」とそれぞれSNSに投稿し、事件への関与は認めていないとみられる。

ゼレンスキー氏の旧友が「中心人物」

国家反汚職局 (NABU) の発表によると、この事件は、エネルギー省や国営原子力企業「エネルゴアトム」の幹部らが、契約業者からキックバックとして契約料の 10 - 15% を不正に受け取っていたというもの。 ロシアの国会議員、デルカチ氏(前・ウクライナ国会議員)の家族が所有する事務所で「資金洗浄」が行われ、その額は約 1 億ドル(約 155 億円)に上る。 NABU は昨夏から 15 カ月にわたって捜査を展開。 触るもの全てを黄金に変えるギリシャ神話の王から「ミダス作戦」と名付けた。 70 件以上の家宅捜索を実施したほか、数千時間分の音声記録を入手したという。

NABU は 11 日までに 5 人の身柄を拘束し、他に 7 人に対して容疑を通知。 NABU は事件の中心人物を「ある実業家」としたが、野党議員らは、元コメディアンのゼレンスキー氏が 2019 年に大統領になるまで、共同で制作会社を所有していたティムール・ミンディッチ氏 (46) だと名指ししている。 ウクライナメディアは、ミンディッチ氏がこの数年間、大統領との人脈を生かし、政界やビジネス界で影響力を拡大させていたと指摘。 ただ、今月 10 日に関連先を捜索される前に、ウクライナから出国したという。

スビリデンコ首相は 12 日夜、臨時閣議の結果として、ミンディッチ氏らに対する制裁を国家安全保障国防会議に提案すると SNS で発表。 ゼレンスキー氏は 13 日、制裁発動のための大統領令に署名した。

識者「透明性や説明責任求められる可能性」

ウクライナでは 7 月、NABU と訴追権限を持つ「反汚職専門検察 (SAP)」の独立性を制限する法律が成立。 大規模な抗議デモが展開されたことを受け、ゼレンスキー政権は 9 日後に独立性を回復させる新法を成立させていた。 政治アナリストのアナトリー・オクティシウク氏は取材に対し、「洗浄」された資金には米国からの支援金が入っていると主張。 そのため、トランプ大統領との関係を悪化させかねないものだと述べた。 また、トランプ氏とロシアのプーチン大統領が今後終戦に向けた対話を進める場合、ゼレンスキー政権は交渉相手として不適切だと認定する理由として使われるおそれもあると語った。

さらに、「友好国から透明性や説明責任を求められる可能性がある」と指摘。 ウクライナが欧州連合 (EU) の加盟をめざす上でも極めて不利な材料になると政権を非難した。 捜査は今後も進展するとみられるが、オクティシウク氏は「これはゼレンスキー氏の終わりの始まりになる」と主張。 政権を揺るがす事態を避けるため、捜査を妨害せず、関係者を厳正に処罰し、政府全体を再編することが必要になると訴えた。 (キーウ・藤原学思、asahi = 11-13-25)

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EU、ウクライナに汚職対策の強化要求 異例の加盟交渉にブレーキ

欧州連合 (EU) の行政を担う欧州委員会は 4 日、2028 年末までに加盟交渉の完了を目標とするウクライナに、汚職対策の強化を求めた。 ウクライナでは今年 7 月、汚職捜査機関の独立性を実質的に失わせる改正法が成立。 これまで異例の速さで加盟プロセスが進められてきたが、先行きには不透明感が広がる。 欧州委はこの日、年次の加盟交渉の進捗をまとめ、発表した。 その中で、ウクライナについて「ロシアの侵略が続く中、審査プロセスを完了し、主要な改革を進めている」と評価。 その一方で、「特に法の支配に関する改革のペースが、28 年末完了という目標達成には不十分」と釘を刺した。

ウクライナでは 7 月、国家反汚職局 (NABU) と、訴追権限を持つ反汚職専門検察 (SAP) の独立性を実質的に失わせる改正法が成立。 ゼレンスキー大統領もこれに署名した。 その後、独立性は回復したものの、欧州委は「汚職対策の進展は限定的」との見方を示した。 EU は 23 年、ウクライナとの加盟交渉を開始。 侵略を続けるロシアへの対抗策として早期加盟を重視し、プロセスは異例の速さで進んできた。 しかしその優遇的な扱いに、加盟国からは慎重論も出始めている。 (asahi = 11-5-25)


記者解説 : ポクロフスクの戦い、ロシア軍に大きな代償か 陥落ならプーチン氏の「物語」に沿う結果

ロシア国防省は 6 日、自軍がウクライナ東部ドネツク州ポクロフスクで前進し、建物一戸一戸を制圧してウクライナ軍を掃討していると発表した。 ロイターのマイク・コレット・ホワイト記者によれば、同市が陥落すればロシア軍によるウクライナ主要都市の掌握は、2024 年のアブデーフカ以来となるという。 ただし、ロシア側の代償は大きなものになるとも指摘している。

ロシアはドネツク州および隣接するルガンスク州からなるドンバス地域全体を掌握しようとしている。 ウクライナは依然としてドンバス地域の約 10%、およそ5,000 平方キロを掌握している。 ホワイト記者は、ポクロフスクが陥落すれば、ロシア軍は不可避的に西に進み、勝利は確実だとするプーチン大統領が印象付けたい物語に沿う結果となると指摘する。 (Reuters = 11-10-25)


ウクライナの新兵器開発に進捗か : 誘導航空爆弾の実地テストらしき画像が流通

今年 9 月、見慣れない兵装を備えたウクライナの戦闘機 MiG-29 の写真がネット上で公開され、話題となっている。 今年 6 月に開発計画が公表された、国産誘導航空爆弾のテストではないかとされている。 (the Daily Digest = 11-10-25)


ウクライナ、ロシア軍の攻撃でエネルギーインフラに被害 4 人死亡

ウクライナ当局は 8 日、ロシアの攻撃がエネルギーインフラを直撃し、4 人が死亡したと発表した。 また複数の地域で停電が発生した。 ロシア側はここ数か月、ウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を強めており、暖房に用いられる天然ガス施設が被害を受けている。 専門家は、冬を前に暖房が使用できなくなる可能性を示唆している。 ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「ロシアの攻撃は再び人々の日常生活を標的にした。 電力、水、暖房を奪い、重要なインフラを破壊し、鉄道網にも損害を与えた。」と述べた。

ウクライナ空軍によると、ロシアは一晩で 458 機の無人機と 45 発のミサイルを発射。 うち無人機 406 機と 9 発のミサイルが撃墜されたとしている。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領によると、ドニプロペトロウシク州ドニプロで無人機が直撃した住宅の 3 人が死亡し、ハルキウ州でも 1 人が亡くなった。 また、首都キーウやハルキウでは停電が発生。 ハルキウでは水道供給も遮断された。 クレメンチュクでは水道、電気、暖房の一部が停止したと当局が報告している。 (AFP/時事 = 11-9-25)


「停戦条件は領土放棄」 … ロシア軍、たった 1 か月で "ドネツク州 81%" 掌握、戦線崩壊の危機迫る!

ロシア軍が 10 月、ウクライナ東部ドネツク州への攻撃を集中的に行い、着実に進軍を続けている。 AFP 通信が現地時間 3 日に伝えたところによると、米シンクタンク「戦争研究所 (ISW)」のデータ分析の結果、ロシアは先月ウクライナ領の約 461 平方キロメートルを新たに占領した。 これは東京 23 区のおよそ 4 分の3に相当する。 この進軍速度は、今年の月平均とほぼ同水準だが、7 月に約 634 平方キロを急速に奪取した時期に比べるとやや鈍化している。

現在、ロシアはドネツク州の 81% を掌握しており、同州の完全制圧を目指して攻撃を続けている。 特に、主要な物流拠点であるポクロウシクの占領を狙い、数か月にわたって攻勢をかけている。

ウクライナ第 7 空挺旅団はこの日、「ポクロウシクで占領軍の掃討作戦を行っている」と発表した。 週末には特殊部隊も派遣されたという。 さらに、ロシア軍が標的にしている隣接都市ミルノフラドでも防衛のため追加の兵力が投入された。 ロシアは、ドネツク州と完全制圧済みのルハンスク州をウクライナが放棄しなければ停戦には応じないと主張している。 一方、ウクライナと欧州の同盟国は、現在の前線こそが交渉の出発点だとして、ロシアによるドンバス地域放棄要求を受け入れない姿勢を明確にしている。 (織田昌大、江南タイムズ = 11-4-25)

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