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ロシア産石油の緩やかな「終焉」 ロシアは石油生産を続けることにより、ウクライナでの戦争を下支えしてきた。 だが戦争開始から 3 年半余りを経た今、石油の噴き出す勢いが徐々に衰え始めている。 戦争負担と西側の経済制裁がのしかかり、既に縮小しているロシアの貯留層から石油を採取するのはさらに困難になっている。 一部の予測では、2020 年代末には産油量が少なくとも約 1 割減少する見通しで、ロシア経済とその基盤となるオイルマネーが危機にさらされている。 ウクライナで戦争を始めて以降、ロシア政府は新たな油田に向けた探鉱よりも既存油田の継続に軸足を置くことで、石油の生産・輸出を比較的安定した状態に保ってきた。 だが長期的な見通しは厳しい。 ロシアの歳入のうちエネルギー分野の利益が最大 3 分の 1 を占めており、石油生産が減速すればこの割合は低下する見込みが高い。 開戦前でさえ、ロシアの主に西シベリアとボルガ・ウラル地域にある旧ソ連時代の油田の多くは底を突きかけており、石油会社はより回収が困難な北極圏やシベリアの油田での原油採取に頼らざるを得なくなっていた。 状況を改善するため、ロシアの石油メジャーは、米テキサス州やノースダコタ州で開発されたフラッキング(水圧破砕法)技術を利用してシベリアのシェール層を開発する予定だったが、戦争がその計画に立ちはだかった。 経済制裁によって必要な抽出技術へのアクセスが禁止され、ロシア政府は戦争遂行のために石油会社への課税水準を引き上げた。 労働者は高額報酬につられて兵士として前線に向かい、戦闘年齢にある他の労働者は戦死したか、または国外に移動しており、そうした全ての要因の影響で、石油業界には熟練した専門家が不足している。 ドナルド・トランプ米大統領はロシア政府に対し、ウクライナ侵攻をやめるよう圧力を強めている。 だが、たとえ戦争と経済制裁が即座に終わるという、ありそうもないシナリオが実現しても、アナリストは石油産業が既に何年分も後退したとみており、ロシアの問題が何もかも解決されるわけではない。 「地下からの石油採取はいっそう困難かつ高コストになっている。 だが資源基盤の悪化を考えると、現状維持だけのために毎年走るスピードを上げなければならない。」 S & P グローバル・コモディティー・インサイトのロシア専門家、マシュー・セイガーズ氏はこう述べた。 「基本的にこれはロシア産石油との長い、緩やかなお別れだ。」 枯渇する資源 ロシアのエネルギー省によると、同国の石油埋蔵量のうち回収困難とされるものの割合は、現在の 59% から 2030 年には 80% に上昇する。 エネルギー次官を務めるパベル・ソロキン氏は「つまり、石油を地中から取り出すための資本コストも運営コストも増えるということだ」と、昨年の会議で指摘した。 「ロシアの巨大な在来型油田(訳注 : 非在来型はシェールオイルなど)の黄金時代は過ぎ去った。」 コンサルティング会社ライスタッド・エナジーの上流調査担当バイスプレジデント、ダリア・メルニク氏はこう述べた。 不足する設備 採掘場所を開発し、原油の抽出と輸送を行うには、多岐にわたる高度に専門化された設備が必要になるが、経済制裁のためロシアではその多くが不足している。 ロシアには、岩盤や油井からのデータを分析し、石油がどこにどれだけ存在するかや、抽出方法を見極めるための最新ソフトウエアがない。 たとえロシアの石油会社がそうしたコンピュータープログラムを持っていたとしても、2022 年以降はアップデートを禁止されており、使用不能になっているものが多いとアナリストらは指摘する。 ロシアの事業者はさらに掘削装置に内蔵された特定のセンサーも入手できない。 それを使って岩盤層や流体、掘削装置の状況に関してリアルタイムの情報を送信するものだ。 昨年、ロシアの石油大手ガスプロムネフチのアレクサンドル・デューコフ最高経営責任者 (CEO) は、石油の採取と精製に必要な約 200 品目が不足していると述べた。 同社は 2027 年までに不足を解消する目標を掲げている。 また西側の輸出規制のため、ロシアは外国製船舶や主要部品、技術へのアクセスを遮断されており、北極圏の石油・ガスを運搬できる耐氷型タンカーも十分に持ち合わせていない。 造船業界の世界的リーダーである韓国などアジアの一部造船所は、ロシアからのそうした船舶の受注をキャンセルした。 ロシア国内の造船所は今のところ直ちにその造船能力に取って代わることができない。 上昇するコスト ロシアの原油埋蔵量が減るのに伴い、1 バレル当たりの採掘コストは上昇する。 貯留層に残ったものが重質化し、地下からのくみ上げが難しくなるからだ。 だがそれは地質学上の問題に過ぎない。 ウクライナとの戦争が各種コストを悪化させている。 西側の経済制裁で、大抵は第三国を経由する設備の調達コストが上昇。 一方、労働力不足のため、例えば石油労働者の賃金が押し上げられ、またフラッキングで作られた坑井から石油やガスが流出し続けるよう、シェール層の亀裂を維持するために注入する砂などの固体材料も価格が上昇している。 「全ての費用が以前より高くなっている」と前出のセイガーズ氏は述べた。 「国内のこうした圧力が影響し、ロシアが産油量を増やすことはたとえ短期的にでも非常に困難だ。」 (Georgi Kantchev、The wall street Journal = 10-1-25) モルドバ議会選、親欧米派が過半数 親ロシアの野党反発、仏独は歓迎 ウクライナと国境を接する東欧モルドバで 28 日、議会選(定数 101)が行われ、親欧米派のサンドゥ大統領の与党「行動と連帯(PAS)」が当初危ぶまれていた過半数の確保を確実にした。 目標とする 2030 年までの欧州連合 (EU) 加盟に向けて改革を進める意向だが、親ロシア派の野党勢力は「不正があった」として支持者に抗議を呼びかけた。 不安定な政情は今後も続く可能性がある。 中央選管によると、国外での投票を含めすべての開票を終えた段階で PAS の得票率は 50.20%.。 親ロ派野党の社会党、共産党が組んだ選挙連合「愛国ブロック」は 24.18% で、ほかに親ロ勢力に近いとみられる中道派政党やポピュリスト政党などが議席を得るとみられる。 投票率は52%。 フランスのマクロン大統領とドイツのメルツ首相、ポーランドのトゥスク首相は結果を受けて共同声明を発表し、「票の買収や偽情報などのロシアによる前例のない干渉」があったとして、ロシアを非難。 「モルドバはきわめて重要な分岐点において民主主義への献身を示した」とたたえた。 「ロシアの選挙介入」に危機感呼び起こす 21 年の前回選挙で PAS が議席の 6 割を獲得。 モルドバはロシアによるウクライナ侵攻が始まった 22 年にウクライナとともに EU 加盟候補国となり、昨年から加盟交渉が始まった。 しかし、侵攻後のエネルギー高騰やインフレなどでロシアとの関係改善を訴える野党勢力の追い上げを受け、昨年 10 月の EU 加盟の是非を問う国民投票では賛成票が 50・35% と事前の予想を大きく下回った。 国民投票や大統領選では票の買収や組織的な偽情報の拡散が報じられた。 EU 加盟をめざす PAS は今回の議会選をソ連から独立した 91 年以降「最も重大な選挙」と位置づけ、ロシアの選挙介入に対抗する必要性を強調して、支持層の危機感に訴えた。 警察当局は今月 22 日、議会選で抗議行動を起こすため犯罪組織が国外で参加者の訓練を行っていたとして全土 250 カ所で強制捜査を行い、74 人を拘束。 ロシアの関与を主張した。 サンドゥ氏は「私たちの国を外国の利益のために譲り渡してはいけない。」と訴えていた。 モルドバは人口約 260 万。 歴史的にルーマニアとの結びつきが強いが、1940 年ソ連に併合され、91 年のソ連崩壊で独立した。 当時から分離独立を主張するウクライナ国境沿いの東部沿ドニエストル地域には現在も中央政府の支配が及ばず、ロシア軍が駐留している。 サンドゥ氏はロシアのウクライナ侵攻を強く非難し、ウクライナとの共同歩調を強めている。 (asahi = 9-29-25) ロシアが無人機とミサイルで大規模空爆、キーウでは少なくとも 3 人死亡 [キーウ] ウクライナの首都キーウは 28 日未明、無人機とミサイルによる激しい空爆にさらされた。 独立系の監視団によれば、本格的な戦争開始以来キーウとその周辺地域に対するロシア軍の攻撃としては最大規模となる。 キーウの軍事関係部門当局者のテレグラムへの投稿によると、少なくとも 3 人が死亡し約 10 人が負傷した。 死者には 12 歳の少女が含まれるとされているが、公式には確認されていない。 ウクライナのシビハ外相は、ロシアが数百発のミサイルと無人機(ドローン)を使った「大規模な」空爆を行ったと述べた。 シビハ氏は、この攻撃はロシアに対する制裁強化の必要性を示していると強調。 「プーチンは、自身にとって、彼の仲間の懐にとって、ロシア経済にとって、そして政権にとっての戦争継続の危険性を感じなければならない。 それこそが彼にこの無意味な戦争を止めさせることができる。」と非難した。 ロイターの記者はキーウでドローンが上空を飛び交う様子を目撃。 対空砲火が数時間続き、大きな爆発音も聞こえた。 攻撃はその後も続いている。 (Pavel Polityuk、Mike Collett-White、Reuters = 9-28-25) ザポリージャ原発が送電網から外れる、ロシアとウクライナは非難の応酬 ロシアが占拠するウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所が、4 日連続で電力網から切断されているとウクライナとロシアの双方が 27 日に発表し、互いに送電線への攻撃を非難し合った。 欧州最大の原発での停電は前線に近いため頻発しているが、今回の停電はこれまでで最長となっており、専門家は事故のリスクが高まると警告している。 ウクライナのアンドリー・シビハ外相は X (旧ツイッター)で「ロシアの行動の結果、ザポリージャ原発は 4 日間電力を失っている」と述べた。 2022 年の侵攻初期に同原発を掌握したロシア側は、23 日から予備電源で稼働していると明かし、ウクライナが送電網を攻撃したと主張している。 ロシアの支援を受ける原発運営者はテレグラムに、23 日以降「ザポリージャ原発の必要電力は予備のディーゼル発電機によって供給されている」と述べている。 国際環境 NGO グリーンピース・ウクライナは、「非常用ディーゼル発電機は、極限状況でのみ使用される最終防衛ラインと見なされている」とし、ロシア側がこの危機を利用して、「一時的にロシアが占領したウクライナの送電網への再接続を試み」、後日原子炉の 1 基を再稼働させる可能性があると主張している。 紛争開始前、ウクライナの電力の約 5 分の 1 を生産していた同原発の 6 基の原子炉は、ロシアの占拠以降、停止されたままとなっている。 しかし、原発は冷却や安全システムを維持するために電力を必要としており、これらが機能しないと原子炉が融解し、核事故を引き起こす危険がある。 両国は互いに原発への攻撃によって壊滅的な核災害を引き起こす危険を生じさせていると、繰り返し非難し合っている。 (AFP/時事 = 9-28-25) トランプ氏、ウクライナ軍に長距離兵器の使用制限解除か ロシア国内攻撃も ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に対し、ウクライナ軍によるアメリカ製長距離兵器の使用制限を解除する用意があると伝えたと報じました。 これに先立ち、ゼレンスキー大統領がプーチン大統領に停戦を受け入れさせるため、トランプ大統領に巡航ミサイル「トマホーク」の供与を要請したということです。 このトマホークの射程は約 1,000 キロを超えるとも言われていて、供与されればロシア国内への攻撃が増える可能性があります。 (テレ朝 = 9-28-25) 無人機がウクライナの領空侵犯、「ハンガリー製」の疑い ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 26 日、複数の偵察無人機が自国の領空を侵犯したと発表した。 無人機は「ハンガリー製である可能性が高い」とし、同国が国境地域を偵察しようとしていると非難した。 ゼレンスキー氏は X (旧ツイッター)に、「ウクライナ軍は、偵察無人機による領空侵犯を記録した。 これらはハンガリー製である可能性が高い。」と投稿した。 ウクライナ軍参謀本部によると、無人機は 26 日朝、ハンガリーと国境を接する西部ザカルパッチャ州で確認され、ハンガリー側から 2 度にわたり国境を越えて飛来したという。 これに対しハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は、「ゼレンスキー氏は反ハンガリー的な妄想に取りつかれて正気を失っている」と述べ、「彼は今や存在しないものまで見始めている」と SNS に投稿した。 この数時間前、ウクライナはハンガリーが自国の高官 3 人の入国を禁止したことへの対抗措置として、ハンガリーの軍関係者 3 人のウクライナ入国を禁止すると発表していた。 両国の関係は 2022 年 2 月のロシアによるウクライナ侵攻以降、悪化している。 ハンガリー政府は、対ロ制裁の強化を妨げたり、ウクライナの欧州連合加盟申請を阻止したりして、ロシア寄りの政策を取っているとして非難されている。 また、ハンガリーは EU によるウクライナ支援資金の一部を阻止し、ロシア産の石油やガスを購入しており、ウクライナ側はこれがロシアの戦費につながっていると批判している。 (AFP/時事 = 9-27-25) デンマークとノルウェーに不審な無人機、空港閉鎖相次ぐ「プロの組織的な作戦」 … ロシアは関与否定 【ロンドン = 蒔田一彦】 北欧のデンマークとノルウェーの空港や空軍基地周辺で、不審な無人機の飛行が相次いで目撃されている。 ロシアの無人機や戦闘機による北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国への領空侵犯が相次いだ直後で、各国は警戒を強めている。 ロシアは関与を否定している。 ロイター通信などによると、デンマーク各地の計 6 つの空港や軍事施設周辺で、24 - 25 日に無人機の飛行が確認された。 このうち北部オールボーにある軍民共用空港は 3 時間閉鎖された。 デンマークでは 22 日にも、無人機の飛来で首都コペンハーゲンの空港を一時閉鎖している。 デンマークの国防相は 25 日の記者会見で、「プロによる組織的な作戦」との見方を示した。 ノルウェーでも 22 - 23 日、首都オスロで無人機の飛行が目撃され、空港が一時閉鎖された。 タス通信によると、ロシアの大統領報道官は 23 日、一連の事案への関与について、「根拠のない非難だ」と述べていた。 (yomiuri = 9-27-25) クリミアのスタンドに給油待ちの行列、ロシアでガソリン不足続く ウクライナの攻撃影響 ロシアが支配するクリミア半島セバストポリのガソリンスタンドで26日、給油を待つ長い車列が撮影された。 ウクライナがロシアの製油所や輸出施設へのドローン攻撃を強化する中、ドライバーたちは影響を実感している。 イズベスチヤ紙が燃料生産者組合の話として報じたところによれば、ロシアでは 10 以上の地域でガソリン不足が発生している。 ある住民は、まだパニックにはなっていないとしながらも、給油のために 40 分並ばなければならなかったと語った。 ロシアが設置したクリミア当局の首長は、テレグラムへの投稿で問題があることを認めたが、ガソリンスタンドへの供給は 2 週間以内に完全に回復するとの見通しを示した。 ロシア極東とクリミアは、ロシアおよび支配地域で最初にガソリン不足が発生。 8 月からこうした状況が続いている。 ウクライナの攻撃により、ロシアの石油精製量は日によっては 2 割近く減少し、主要港からの輸出も削減されている。 ロシアはディーゼル燃料の大幅な余剰を抱えているが、ガソリン生産は国内需要に見合う程度である。 そのため、精製量が減ると国内市場でガソリン不足が起こる可能性がある。 (Reuters = 9-27-25) ロシア国内で燃料不足が深刻化 ウクライナの大規模ドローン攻撃が原因か ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア国内の多くの地域で燃料不足が深刻化するなど、国民生活に影響が出ている。 その理由はウクライナによる大規模なドローン攻撃だった。 産油国ロシアでガソリン不足 世界有数の産油国であるロシアに異変が起きている。 ウクライナのシンクタンク「ウクライナ安全保障・協力センター」のクザン会長によると、ロシア国内の燃料価格が約 25% 上昇しているということだ。 また米誌「フォーブス」によると、闇市場でしかガソリンを入手できない地区も多発しているといい、そうした闇市場では 1 リットルあたり日本円で約 350 円(= 日本の約 2 倍の価格)で取引されており、平均月収が約 18 万円のロシア国民にとっては重い出費となっているという。 ウクライナのドローン攻撃が原因か ではなぜ燃料不足に陥っているのか? その原因はウクライナによるドローン攻撃にあるという。 ロシア国防省は、13 日夜から 14 日にかけて、ウクライナからドローンによる大規模攻撃が行われたと発表した。 「ロイター通信」は当局者の話として、この攻撃の標的には「キリシ製油所」というロシア北西部に位置する、ウクライナ国境から 1,300 キロ以上離れた製油所も含まれていると伝えている。 ここはロシア 2 大製油所の一つで、ロシア全体の 6.4% に相当する年間約 1,770 万トンの原油を精製している施設だといい、ウクライナ軍は製油所への攻撃が成功したと主張している。 こうした石油施設への攻撃は増えており、ロシアのインターネットメディアによると、今年の初めから少なくとも 25 の製油所が空襲の被害を受け、ここ 1 カ月半でロシアの製油能力の 43%を占める施設がドローンの攻撃を受けたという。 なぜウクライナはロシアの石油施設を攻撃するのか? 「フォーブス」によると、製油所を狙うのはロシアの軍事費の財源を締め上げ、既に逼迫しているロシア経済にさらなる圧力を加えるためだという。 そして、こうした攻撃は実際にロシア経済にダメージを与えているという。 国際エネルギー機関の発表では、先月のロシアの石油・燃料輸出量は日量で約 730 万バレルで、これは前の月と比べて 7 万バレルの減少で、ロシアの原油・石油製品の販売収入はウクライナ侵攻が始まって以来最低クラスの水準となったという。 国民生活に影響 停戦を求める声も ロシア経済の悪化は国民生活に影響をもたらしているという。 ロシアメディア「イズベスチヤ」によると、ロシアの個人ローン延滞額が総額で約 2 兆 8,000 億円に上り、統計を取り始めてからの 6 年間で最も高い額になったという。 ウクライナのドローン攻撃による燃料不足や生活苦が深刻になるなか、ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」の先月の調査では「和平交渉に移行すべき」と回答した人が66%と過去最高だった。 その一方で「軍事行動の継続を支持する」と回答した人は 27% で過去最低で、停戦を望む声が広がっている。 プーチン氏が側近解任 コザク氏とは? そんななか、クレムリン内でも大きな動きがあった。 プーチン大統領の最側近とも言われる人物が突如、解任されたという。 「ロイター通信」によると、プーチン大統領がコザク大統領府副長官を解任したことが 18 日に出された大統領令で分かったという。 ロシアメディア「RBK」などによると、コザク副長官は対外地域・文化交流局と対外協力局の 2 つの部署を監督していたが、先月末にプーチン大統領は、この 2 つの部署を廃止する大統領令に署名していて、政権内で居場所を失いつつあるとも報じられていた。 ではこのコザク副長官とはどういった人物なのか? 「ニューヨーク・タイムズ」などによると、プーチン氏の最側近とされており、1999 年にプーチン氏が首相に就任した際、コザク氏を首席補佐官に指名したという。 これまでにチェチェン共和国対策やソチオリンピックの準備、ウクライナ対策など、ロシアにとって難しいとされる課題を率先して担当し、プーチン氏の懐刀とされてきたという。 では解任の理由は何だったのか? 「ニューヨーク・タイムズ」は、コザク副長官がプーチン大統領にウクライナ全面侵攻が始まる前から開戦には反対していたといい、こうした態度がプーチン大統領に謀反と受け取られたのではないかとも報じられている。 また拓殖大学・客員教授の名越健郎さんによると、コザク副長官は、去年と今年も個別にプーチン大統領と会い戦闘の停止や和平交渉の開始などを直訴していたという。 異例発言 後継者問題に言及 そんななか、プーチン大統領が公の場で「後継者」に言及した。 さらには、年末に退陣表明するのではとの見方も出ている。 18 日、プーチン大統領は議会の各派幹部との会談で「祖国に奉仕し生命と健康を危険にさらす覚悟のある人物を発掘し、指導的地位に登用すべきだ。 こうした人物が後継者になる。」と異例ともいえる発言を行った。 同じく 18 日、西側諸国も注目しているというクレムリンの内情に詳しい SNS アカウント「SVR 将軍」がこのプーチン大統領の発言を解説している。 「(年末恒例の)大規模な記者会見とプーチン氏との『直接対話』の準備が着々と進められている。 プーチン政権の成果が特に称賛されると同時に、若い世代に道を譲るべきだと表明するだろう。 つまり時が来たというわけだ。 その後、政権の全面的な刷新を伴う移行の最終段階に関する声明が発表される予定だ」としている。 さらに、プーチン大統領の今後について「プーチン氏は、憲法裁判所の長官として、引き続きすべてを見守り、監視していくことも強調するだろう。」 そして「同日プーチン政権は総辞職し、その後、後継者が発表される予定だ」と発信している。 トランプ氏 x ゼレンスキー氏 首脳会談 内容は? トランプ大統領とゼレンスキー大統領が首脳会談を行った。 約 1 時間にわたる会談だったという。 アメリカのトランプ大統領は 23 日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談を行った。 「ロイター通信」によると、ゼレンスキー大統領は会談冒頭、記者団に「アメリカそしてヨーロッパ各国による(ロシアに対する)さらなる圧力と制裁が必要だ」と語ったという。 またトランプ大統領は会談の終了後、自身の SNS に「EU や NATO の支援があれば、ウクライナは領土を取り戻す戦いに勝ち、ロシアに侵攻される前の本来の国境を回復することは十分に可能だ」と投稿している。 (テレ朝 = 9-24-25) モスクワで 40 機以上の無人機撃墜、200 機に欠航や遅延 … ウクライナが大量の気球投入報道も ロシアの有力紙 RBC (電子版)などによると、モスクワ一帯で 22 日夜 - 23 日、ウクライナの無人機(ドローン)による攻撃があり、40 機以上が撃墜された。 負傷者はなかった模様だが、モスクワの複数の空港で計約 200 機に欠航や遅延が発生した。 露国防省は 23 日、西部クルスク州や南部ロストフ州などでもウクライナの無人機を撃墜したと発表した。 RBC は 23 日、同省関係者の話として、今回の攻撃では各地で大量の気球が投入されたと報じた。 ロシア通信によると、8 月下旬には西部リペツク州で爆薬を取り付けた気球による攻撃が確認された。 (yomiuri = 9-24-25) 「ウクライナは全領土奪還できる」 投稿したトランプ氏、記者団に「本当にそう思っている」 米国のトランプ大統領は 23 日、ニューヨークでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。 トランプ氏は会談後の SNS への投稿で、ロシアの侵略を受けるウクライナが全領土を奪還することができるとの考えを示した。 トランプ氏は投稿で「ウクライナは、欧州連合 (EU) の支援を受け、戦って元の全領土を勝ち取る状況にあると思う」と述べた。 ウクライナの勝利にも言及し、ロシアが敗北に向かっているとの見解を示した。 記者団に対しては、「本当にそのように思っている。 ウクライナに領土を取り戻させよう。」と語った。 トランプ氏は投稿で、ロシアは戦争長期化で経済が弱まっており、「まるで張り子の虎だ」と指摘した。 ウクライナが侵略前より領土を拡大させる可能性があるとし、「我々は武器を供給し続ける」と強調した。 ゼレンスキー氏はトランプ氏との会談後、「生産的だった」と SNS に投稿した。 「トランプ氏は戦争の状況を明確に理解し、十分に情報を得ている。 決意に感謝する。」と述べた。 会談冒頭、トランプ氏はロシアの航空機が北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国の領空内に侵入した場合に撃墜すべきかどうか記者団に問われ、「そうすべきだと思う」と答えた。 ロシアに近い NATO 加盟国では最近、露軍の航空機や無人機による領空侵犯が相次いでいる。 トランプ氏が強硬姿勢を前面に出したのは、和平協議に後ろ向きなロシアへの不満からとみられる。 一方、ゼレンスキー氏は 23 日、ウクライナ情勢に関する国連安全保障理事会の会合に出席した。 「もし中国が本当にこの戦争を止めたいのであれば、ロシアに侵略を終わらせるよう強制することができるはずだ。 中国がいなければ、ロシアは何もない」と語り、中国に圧力強化を求めた。 (ニューヨーク・池田慶太、金子靖志、yomiuri = 9-24-25) ウクライナ、武器輸出戦略を近く発表へ 欧米向けなど想定 ウクライナのゼレンスキー大統領は 19 日、2 週間以内に武器輸出戦略を提示する方針で、米国や欧州諸国などを潜在的な買い手と想定しているとビデオ演説で明らかにした。 この輸出計画により、3 年半以上にわたるロシアとの戦争において、最前線で必要なドローン(無人機)の生産拡大と資金調達が可能になると説明。 「特に今年からは、特定のウクライナ製兵器の管理輸出を通じてあらゆる資金不足が補填される」と述べた。 その上で、「管理輸出により、前線向けドローンの生産規模を拡大できる。 われわれの優先事項は、第一に前線旅団への装備供給、第二にウクライナの兵器備蓄の増強、第三に管理輸出だ」と指摘。 「(2 週間以内に) 3 つの新たな輸出プラットフォームの構想が提示される。 一つ目は対米輸出と相互協力、2 つ目は欧州のパートナー諸国、3 つ目はウクライナの兵器に関心を持つ世界のパートナー国だ。」と述べた。 さらに、「ロシアとその共犯者がウクライナの技術や兵器にアクセスできないよう」、効果的な輸出管理を実践していくと述べた。 (Reuters = 9-22-25) ウクライナのインフラはなぜ止まらないのか 日本の企業人とも重なる死闘、初めて描く書籍 2022 年 2 月のロシアによる侵攻以来、ウクライナが 3 年半以上も戦い続けられるのはなぜか。 その陰にある電力や通信、金融、運輸などのインフラ企業の奮闘を初めて描いた「ウクライナ企業の死闘(産経新聞出版)」が今月出版された。 著者で NTT チーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストの松原実穂子さんは「危険をかえりみず働くウクライナの名もなき企業人たちの奮闘に畏敬の念を覚える」と話す。 娘を残し殉職した技術者ら 昨年 11 月、ウクライナ南部オデーサ。 国営電力会社の変電所が攻撃を受け、電気技師の男性 2 人が死亡した。 勤務中の急襲だった。 1 人は高度な技能を持つプロフェッショナル。 もう 1 人は全面侵攻後、23 年 5 月までウクライナ軍に従軍し、復員後は電気技師として働いていた。 それぞれ、10 歳と 14 歳の娘が残された。 同社はフェイスブックの投稿にこうつづった。
本書によると、ロシアによる全面侵攻以来、ウクライナ電力網の 4 割を運営する大手電力会社「DTEK」では 6 千本以上の送電線と 1 千カ所のインフラ施設を復旧させた。 一方で開戦から 1 年だけで、ロシアの攻撃により従業員 4 人が殉職したほか、非番時に空爆で 11 人が死亡。 従軍中の 126 人が戦死した。 技術者たちは常に砲撃の危険にさらされており、空襲警報が鳴っているときは防空壕に飛び込む。 近くになければ橋の下など隠れられる場所を探す。 送電線の修理中に地雷を踏んで命を落とした技術者もいるという。 軍人ではない普通の人々が 著者の松原さんは、サイバーセキュリティーの専門家。 今回のロシアによる全面侵攻後も、重要インフラへのサイバー攻撃をめぐる両国の攻防について情報収集してきたが、やがて、そうした企業で働く人々の献身的な闘いに深く心を打たれたという。 「私も NTT というインフラ企業で働いているが、現場に踏みとどまって発電所などの運用や修理を続ける技術者たちの状況は、過酷という月並みな言葉では足りない。 途方もないプレッシャーの中で業務を続けている。」 本書では電力・エネルギーのほか、通信、金融、運輸の各インフラ業界に一章ずつを割いている。 携帯電話の基地局がミサイルやドローン攻撃で破壊されても、現場に走り修理に当たる通信会社の技術者ら。 空爆の中、悪路を通って ATM まで現金を届ける銀行員たち。 身の危険を冒して鉄道を走らせ、国民や兵士、物資を運ぶ鉄道マン …。 松原さんは「軍人ではない普通の人々が、どんなに打撃を受けても、それにあらがい、対応し、素早く立ち直るレジリエンスの能力を発揮している。 さまざまな苦境に屈せず、立ち向かい続けている」と指摘し、こう続けた。 「そのさまは、東日本大震災や能登半島地震など数々の大規模自然災害にもひるまず、インフラを復旧し経済や社会生活を支えてきた日本の企業人たちの矜持とも重なる。」 台湾有事の安全保障へ教訓 ウクライナへの軍事侵攻が始まって、すでに 3 年半以上。 この間、戦争についておびただしい数の本が出版されたが、戦時経済と安全保障を支えるインフラ企業の闘いに光を当てた本は、国内はもちろん、海外でも見当たらないという。 松原さんは、ウクライナ企業の経験が、日本が直面する台湾有事リスクなどへの備えになると指摘する。
ロシア戦闘機、エストニア領空を侵犯 NATO 配備の戦闘機が対応 バルト 3 国のエストニア外務省は 19 日、ロシアの戦闘機「ミグ 31」 3 機が、12 分間にわたってバルト海上空の自国領空を侵犯したと発表した。 北大西洋条約機構 (NATO) の任務でエストニアに配備されているイタリア軍の F35 戦闘機が緊急発進し、迎撃にあたったという。 発表によると、領空侵犯があったのはバルト海東部フィンランド湾のエストニア領空。 エストニア外務省は領空侵犯を受けて、ロシアの臨時代理大使を召喚した。 エストニアのツアフクナ外相は SNS で「前例のない露骨な侵犯で、ロシアの攻撃性が増している明白な証拠だ」と批判した。 エストニアは NATO 加盟国。ミハル首相は 19 日、SNS で北大西洋条約第 4 条に基づく加盟国の緊急協議を要請することを決定したと明らかにした。 一方、同じく NATO 加盟国のポーランドの国境警備隊は同日、ロシアの戦闘機 2 機がバルト海にある掘削施設の上空を低空飛行する危険な行為があったと SNS で明らかにした。 地元メディアによると、掘削施設はポーランドの排他的経済水域 (EEZ) 内にあり、同国のエネルギー会社が所有し、油田やガス田の開発に使われているという。 ポーランドでは 9 日深夜 - 10 日朝、ロシアの無人機 19 機が領空を侵犯し、NATO の戦闘機が一部を撃墜する事態になった。 13 日にはルーマニアにも無人機が侵入し、NATO は東部防衛の強化を進めている。 (森岡みづほ、asahi = 9-20-25) ウクライナ軍、東部で反転攻勢 「数週間で 1,300 人を殺害」主張 ウクライナのゼレンスキー大統領は 18 日、東部ドネツク州で反転攻勢を実施していると SNS で明らかにした。 ただ、戦況全体に大きな影響を与えるものではなく、停戦に向けた道のりが遠い状況にも変わりはない。 ゼレンスキー氏によると、ウクライナ軍が作戦を展開しているのは要衝ポクロウスク方面。 反転攻勢はすでに数週間に及んでおり、160 平方キロに及ぶ 7 集落を解放し、さらに 170 平方キロでロシア軍を退けたという。 また、「ロシア軍に 2,500 人以上の損失を与え、そのうち 1,300 人以上が殺害された」と成果を強調。 100 人ほどのロシア人捕虜を得たとしている。 ロシア軍はドネツク州の完全制圧を狙っており、そのための重要拠点としてポクロウスクの占領に向けた攻勢を続けている。 ウクライナ軍が反転攻勢に出ているのは、今後の和平に向けた交渉を少しでも優位に進める思惑がある。 ゼレンスキー氏は今年 3 月以降、一貫して停戦を受け入れる用意があると主張してきた。 ただ、前線で優位に立つロシア側が応じる気配はなく、民間人が犠牲になる攻撃が後を絶たない。 (asahi = 9-19-25) 侵攻「惨事になる」反対したプーチン氏側近が辞表 動向不明で 3 年半 ロシアのペスコフ大統領報道官は 18 日、プーチン大統領が出身地のサンクトペテルブルク副市長だった時代からの友人で、政権で長く危機管理を担ったドミトリー・コザク大統領府副長官 (66) が辞表を提出したと認めた。 コザク氏は 2022 年 2 月に始まったウクライナ侵攻に強く反対したと西側メディアに報じられ、国内でほとんど動向が伝えられなくなっていた。 コザク氏の辞表提出は前日、大手紙 RBC が独自情報として伝えた。 コザク氏はウクライナ生まれ。 プーチン氏が 00 年の大統領就任後、サンクトペテルブルクから登用した多数の同年代の官僚の一人だった。 「根っからの法律家」を自任し、08 年からは副首相。 14 年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合した後は同半島の「ロシア化」を担った。 (asahi = 9-19-25) 「プーチンよ、これが西側の意思だ!」 米、1,500 億円ウクライナ武器支援を初承認 16 日(現地時間)、ロイター通信は、ドナルド・トランプ米政権がウクライナに対し総額 10 億ドル(約 1,500 億円)規模の武器支援パッケージを承認したと報じた。 北大西洋条約機構 (NATO) の欧州同盟国が拠出する資金を通じて米国が武器を供与するのは初の事例であり、停戦に消極的なロシアのウラジーミル・プーチン大統領をけん制する狙いがあるとみられる。 米国防総省のエルブリッジ・コルビー政策次官は「ウクライナ優先支援要件リスト (PURL)」に基づき、5 億ドル(約 740 億円)規模の武器支援 2 件を承認したとされる。 総額は 10 億ドル(約 1,500 億円)に達する。 具体的な装備品は明らかにされていないが、ロシアによるドローンやミサイル攻撃が激化する中、防空システムが含まれている可能性が高いという。 関係筋によれば、すでに手続きは進んでおり、近く出荷が始まる見込みだ。 PURL は今年 7 月、米国と NATO 同盟国が合意した新たな調達枠組みである。 ウクライナが必要とする兵器を優先順位に従って提示し、NATO 側が米政府の口座に資金を拠出、米国が自国製の兵器を供給する仕組みだ。 合意からわずか 2 カ月で今回の制度が発動し、停滞していた和平協議の行方にも影響を及ぼす可能性がある。 欧州連合 (EU) のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は同日、トランプ大統領との電話会談で対ロ経済制裁の強化について協議したと発表した。 SNSの X (旧 Twitter) に「近く仮想通貨、銀行、エネルギー分野を対象とする第 19 次制裁パッケージを発表する」と投稿し、ロシア産化石燃料の段階的輸入停止を加速させる方針を示した。 トランプ大統領は以前から「欧州はまずロシア産石油の輸入をやめるべきだ」と求めており、今回の方針はその要求を一部反映したものとみられる。 EU はすでに 2027 年末までに全面輸入停止を決定しているが、前倒しが検討される可能性が高い。 一方、プーチン大統領は同日、軍服姿でロシアとベラルーシの合同軍事演習「ザパド(西方)2025」を視察した。 各種兵器や装備を確認し、「演習の目的は主権と領土を守り、連合国家(ロシアとベラルーシ)をいかなる侵略からも防衛するために必要な全能力を整えることだ」と強調した。 ウクライナに加え、ポーランドなど NATO 加盟国への軍事的挑発を繰り返す中での示威行動とみなされている。 (有馬侑之介、江南タイムズ = 9-18-25) 「ウクライナ防空網、崩壊の危機」 … ロシア、月 6,000 台超の "安価ドローン" 生産で攻勢加速! 最近、ポーランド、ルーマニアなど北大西洋条約機構 (NATO) の領土にまで拡大したロシアのドローン(無人機)攻勢は、いわゆる「ドローン生産革命」の結果だと、米紙ニューヨーク・タイムズ (NYT) が 14 日(現地時間)に報じた。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の指示によりロシアはドローン生産に拍車をかけ、大量攻勢が可能となったのだ。 これは、兵力と武器の保有量の不足をドローン戦での優位性で補っていたウクライナの戦略が、もはや通用しなくなったことを意味する。 戦争初期にはウクライナがドローン戦で確実に優位を占めたが、ロシアは驚異的な速さで差を縮め、追いついたのである。 NYT は同日、クレムリン(ロシア大統領府)が最前線で使用する小型戦術ドローンの生産量を大幅に増加させることに注力しており、そのため高校生まで生産ラインに投入していると報じた。 ロシアのこのような大量攻勢は、実際の戦場の状況を変えている。 ウクライナ国立戦略研究所のミコラ・ビエレスコフ氏は「戦争初期、ロシアのドローン侵入は月に数百件程度だったが、今年第 1 四半期には月に 2,000 - 3,000 件、現在は月に 5,000 - 6,000 件を超えている」と述べ、「防空網を突破するロシアドローンの数がはるかに増加した」と語った。 NYT がウクライナ空軍の資料を分析した結果、ロシアは今年 3 万 4,000 台以上のドローンをウクライナに投入したという。 これは昨年同期間の 9 倍に達する数字だ。 また、撃墜率も 88% で昨年 (93%) に比べて減少している。 NYT は「ロシアは今月初めの週末、わずか一晩で史上最多となる 810 台のドローンをウクライナ国境を越えて送った」と報じた。 ウクライナの悩みは深まっている。 既存の防空作戦の改修が避けられないためだ。 3 万 - 5 万ユーロ(約 519 万 8,841 円 - 866 万 4,735 円)程度の安価なドローンが防空網を攪乱する中、数億から数百億円に上る防空システムや戦闘機の代わり、効率的な防御手段を整える必要がある。 ドイツ国防省所属でウクライナ情勢センターを率いるクリスティアン・プロイディング将軍も 7 月、「ロシアの大規模ドローン攻勢に対抗するためには、ドローン 1 台あたり 2,000 - 4,000 ユーロ(約 34 万 6,563 円 - 69 万 3,126 円)程度の対応が望ましい」と述べた。 政府の立場からは、ウクライナ国民の士気低下が最も大きな負担になっている。 ロシアのドローンが最前線から遠く離れた都市まで投入され、実質的に戦線が拡大する効果をもたらしたためである。 かつて戦争の影響が及ばなかった地域の住民までもが、ドローンの恐怖で眠れなくなっている。 NATO 盟国も同様で、ロシアドローンの領空侵入がポーランド、ルーマニアに留まらないことへの懸念が強まっている。 ロシアのドローン生産性向上の第一功臣は、中国やイランなどの友邦国の支援である。 NYT は「ロシアはイランと中国との友好関係を背景に、ノウハウと部品を確保した」と報じた。 実際、かつてウクライナにドローン部品を輸出していた中国は、本上半期にウクライナとの取引を完全に断ち、その供給量をロシアに回した。 専門家は、ロシアがシャヘドなどイランの設計を基にしたドローンを年間 3 万台生産できると推定しており、来年までにその台数を約 2 倍に増やすと見ている。 (望月博樹、江南タイムズ = 9-17-25) |
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