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ゼレンスキー氏「正直でなければ …」 会談後、米テレビに トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が 28 日、ホワイトハウスで会談した。 開始から 40 分ほど経ったところで激しい言い合いになり、トランプ氏が「米国への感謝が足りない」と声を荒らげるなど協議は決裂。 予定されていたウクライナの希少資源に関する協定への署名も共同記者会見も中止された。 トランプ氏は会談後、自身の SNS に「ゼレンスキー大統領は米国が関与する和平の準備ができていないと判断した」と投稿。 「私が欲しいのは平和だ。 彼は米国が大切にしている大統領執務室で、米国を軽んじた。和平の準備ができたら戻ってくればいい」と主張した。週末をすごすフロリダ州への出発前には記者団に「彼の立場からすると、うまくいかなかったと言えるだろう。 彼は強気に出すぎた。」、「彼は我々が求めていないものを求めている。 彼は戦い続けることを望み、我々は死を終わらせることを望んでいる。」と述べた。 ゼレンスキー氏「何か悪いことしたか」 一方、会談後も米国に滞在しているゼレンスキー氏は、米 FOX のインタビューに応じた。 トランプ氏への謝罪が必要だと思うかと問われると、「ノー」と答え、「私は(トランプ)大統領と米国民を尊敬している」としながら、「我々はオープンで、正直でなければならない。 私たちが何か悪いことをしたのか、よくわからない。」と述べた。 トランプ氏との関係を修復できるかとの質問には、「もちろんだ」と答えた。 またゼレンスキー氏は SNS に短い文章を投稿。 米国の支援と自身の訪米の実現に謝意を示し、「ウクライナが必要としているのは、公正で永続的な平和だ。 まさにそのために、私たちは働いている。」と訴えた。 ゼレンスキー氏は会談に、いつものカーキ色のスウェット姿ではなく黒色の服でいつもよりはフォーマルな装いで到着した。 記者団には会談の冒頭約 50 分が公開され、初めはなごやかに進んでいた。 トランプ氏はウクライナに今後も武器を提供するかと記者団に問われると「もちろんイエスだ」と答え、「あまり送る必要がなくなるといい。 早く(戦争を)終わらせたいからだ」などと語っていた。 バンス氏が口火「失礼だ」 ところが、40 分ほど経過したところで協議は暗転。 同席していたバンス米副大統領が、ロシアのプーチン大統領に厳しい態度をとったバイデン前大統領と違い、トランプ氏は積極的な外交に乗り出していると語ったのに対し、ゼレンスキー氏は 2014 年に南部クリミア半島をロシアに違法に併合され、トランプ 1 次政権を含む歴代米政権がプーチン氏を止められなかった経緯を話し出した。 「いったいどんな外交をするのか」と問われたバンス氏は、そこで「米メディアの前でそう主張するのは失礼だ」と口火を切った。 バンス氏は昨秋の訪米時にゼレンスキー氏が激戦州ペンシルベニアの陸軍砲弾工場を民主党議員と訪れたことを持ち出して「相手側の選挙運動をした」とやり玉にあげた。 「この会談を通して一度でも(米国の支援に)ありがとうと言ったか?」などとまくし立て、「何度も感謝を述べている」と反論するゼレンスキー氏と応酬に。 さらに、ウクライナの安全保障は欧州と大西洋を隔てた米国の問題でもあり、「いずれそう感じるだろう」と主張したゼレンスキー氏を、トランプ氏が「我々がどう感じるかは、あなたが決めることではない」と強い口調で遮り、「あなたは今、本当に良い立場にいない」、「あなたは第 3 次世界大戦をけしかけているようなものだ」、「あなたの兵士は不足している。 それなのに停戦は望んでいないと言うのか。」などとたたみかけた。 トランプ氏は「もっと我々に感謝すべきだ。 我々なしであなたに(交渉の)カードはない」とも語り、ゼレンスキー氏の「態度が変わらなければ取引は難しいだろう」と述べた。 会談はその後非公開に移ったが、決裂は明らかだった。 予定された協定の署名も共同会見もないまま、ゼレンスキー氏はホワイトハウスを去った。 米 FOX ニュースによると、最後は協議継続を懇願するウクライナ側を、同席したルビオ米国務長官が「蹴り出す」形になったという。 停戦協議の行方は ゼレンスキー氏にとっては今回、自国への侵攻を続けるロシアに融和的な姿勢を示すトランプ氏をどこまで引き寄せられるかが焦点だったが、最大の後援者と激しく衝突し、今後の継戦や米ロ間の停戦協議への関与は見通しが厳しくなった。 米紙ワシントン・ポストによると、米政権はウクライナへの軍事支援の停止も検討。 数十億ドル相当のミサイルや砲弾などの送付が差し止めの対象になる可能性があるという。 トランプ氏の 2 期目就任後、両首脳の対面での会談は初めて。 両首脳の関係は、トランプ氏がロシアのプーチン大統領と電話協議をし、ウクライナの頭越しに停戦に向けた協議を進めようとしたことでぎくしゃくした。 その後回復の兆しを見せていたが、会談決裂によりこれまで以上の亀裂が入った形だ。 今回の会談では、ウクライナの希少資源について両者が協定に署名する予定だった。 協定案では、ウクライナ側がかねて求めてきた同国の「安全の保証」をめぐる米国の関与は明確でなく、ゼレンスキー氏は会談でこの点を強く主張するとみられていた。 トランプ氏に近く、親ウクライナ派として何度もキーウに足を運んできたグラハム上院議員(共和)は記者団に、ゼレンスキー氏の対応は「度を越していた」と批判し、「(ウクライナは)良い投資先だと米国民に売り込むのはほとんど不可能になった」と語った。 「辞任して、我々がビジネスができる別の誰かを送り込むか、彼自身が変わる必要がある」と述べた。 【ロシアからは】 ゼレンスキー氏は「恩知らず」、「歴史的」、「大敗」と歓迎 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の 2 月 28 日の会談が決裂したことを受け、ロシアのプーチン政権幹部はすぐに、「歴史的だ」などと歓迎するコメントを SNS に投稿した。 「歴史的だ。 意味のある対話だけが、世界的な問題を効率的に解決できる。」 政府系ファンド「ロシア直接投資基金」のドミトリエフ総裁は X (旧ツイッター)で、口論する場面の動画をリツイートし、「歴史的だ」と投稿した。 ドミトリエフ氏は 2 月 18 日にサウジアラビアで開かれた米ロ外相らの協議にも参加し、経済分野の交渉で、ロシア側の代表を務める。 ロシア下院のコサチョフ副議長も「今日、ゼレンスキーは大統領執務室でウソをつき続けたが、今回のラウンドは大敗した。 次は、はい回るしかない」と指摘。 ロシア外務省のザハロワ報道官も「米欧の資金支援だけでなく、ナチスから救った祖先に対しても恩知らずだ」と批判した。 国家安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は「トランプ氏は初めて、コカインのピエロ(ゼレンスキー氏)に面と向かって真実を話した。 『ウクライナ政府は第 3 次世界大戦で遊んでいる』」と SNS に投稿。 「まだ足りない。 ナチスマシンへの軍事支援を止める必要がある。」と主張した。 【米国内からは】 共和党議員ら称賛 民主党は「ロシアを利する」 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領のホワイトハウスでの会談が 2 月 28 日、決裂したことをめぐり、共和党議員らからはトランプ氏の対応を称賛する声が上がった。 一方、民主党側からは「ロシアを利する」といった懸念が相次いでいる。 ゼレンスキー氏はトランプ氏との会談に先立ち、超党派の連邦議員と会談した。 会談に参加した 1 人で、共和党のなかでも親ウクライナ派として知られるグラハム上院議員は記者団に対し、首脳会談でのゼレンスキー氏の対応が「度を越していた」と批判した。 この日、報道陣に公開された大統領執務室での首脳会談のなかで、トランプ氏とバンス副大統領が、ゼレンスキー氏との間で口論となった。 トランプ氏らはゼレンスキー氏に対し「失礼だ」「米国への感謝が足りない」などと非難した。 グラハム氏は「ゼレンスキー氏と再びともに仕事をできるかわからない。」と述べ、ゼレンスキー氏が辞任するか、態度を改める必要があるとまで主張した。 かねてウクライナへの支援継続に反対してきたハガティ上院議員(共和)は X (旧ツイッター)で、「米国は(対ウクライナ支援において)もう当然視されることはない」と述べ、トランプ氏の対応を擁護した。 一方、民主党のバンホーレン上院議員は X で、ウクライナに侵攻するロシアを利するものだとして「不名誉きわまりない」としてトランプ氏らを非難。 「米国の恥だ。 (ロシアのプーチン大統領らは)シャンパンを開けている」とした。 リード上院議員(民主)も声明で、「米国のリーダーシップの恥ずべき失敗だ。 トランプ氏とバンス氏は世界に対し、米国は信頼できないと伝えている。」と懸念を示した。 ゼレンスキー氏はこの日、トランプ氏との会談や共同会見の後、米保守系シンクタンク・ハドソン研究所で講演する予定だった。 だが会談の決裂を受けて共同会見は中止され、講演も急きょ取りやめになった。 【欧州からは】 ウクライナ支持の声 トランプ米大統領が「米国への感謝が足りない」と声を荒らげるなどして協議が決裂した 2 月 28 日のトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の会談。 欧州の首脳からは、ウクライナへの連帯を示す声が相次いだ。 会談の直後、ポーランドのトゥスク首相は「親愛なるゼレンスキー大統領、親愛なるウクライナの友人たちよ。 あなたたちは 1 人じゃない」と X (旧ツイッター)に投稿した。 北欧スウェーデンの首相府も「ウクライナは自らの自由だけでなく、欧州全体の自由のために戦っている。スウェーデンはウクライナとともにある」との声明をXに投稿した。 欧州連合 (EU) の高官によると、EU の大統領にあたるコスタ首脳会議常任議長は会談直後のゼレンスキー氏に電話をし、さらなる支援を表明。 「公平で永続的な平和のために協力し続ける」とXに投稿した。 ドイツのショルツ首相も「ウクライナの人ほど平和を望んでいる人たちはいない。 だからこそ我々は、永続的で公平な平和への道を模索している。 ウクライナはドイツを、そして欧州を頼ればいい。」とコメントした。 EU の外相にあたるカラス外交安全保障上級代表は会談でのトランプ氏の対応を受け、「今日、自由世界が新たなリーダーを必要としていることが明らかになった。 この課題に取り組むのは、私たち欧州の人たち次第だ。」と X に投稿した。 ( ワシントン・下司佳代子 キーウ・藤原学思、asahi = 3-1-25) トランプ大統領 ロシア掌握のウクライナ領土返還を交渉する考え示す アメリカのトランプ大統領は、ウクライナとロシアの戦闘終結に向けた交渉の中でロシアが掌握したウクライナの領土の返還についても交渉する考えを示しました。 「多くの領土が奪われたが、それについて話をしている。 海岸線も多く失った。 それについて協議していく。 ウクライナのために多くを取り戻せるか見ていく。」 トランプ大統領は 27 日、このように話し、戦闘終結に向けた協議の中でロシアが掌握する領土の返還について交渉する考えを示しました。 ロシアは軍事侵攻でウクライナ東部と南部の広い地域を占領し、2014年に一方的に併合したクリミアを含めると、ウクライナの国土のおよそ5分の1を掌握しています。 また、トランプ氏は今後、交渉が合意に至った場合、プーチン大統領が合意内容を守ると思うかと記者に問われ、「彼は約束を守ると思う」と答え、再び侵攻する恐れについては「しないと思う」と答えています。 (TBS = 2-28-25) 「トランプ氏、同志にあらず」 = ウクライナ巡り亀裂深刻 - 前仏大統領 【パリ】 フランスのオランド前大統領は、ウクライナでの早期停戦を目指してロシアへの融和姿勢を強めるトランプ米大統領について「もはや同志ではない。われわれの敵対者と手を組んでいる」と非難し、米欧間の亀裂の深刻さを訴えた。仏紙ルモンド(電子版)が28日伝えたインタビューで語った。 米国は 24 日の国連総会で、欧州各国が提案したウクライナ支援決議にロシア、北朝鮮と共に反対した。 オランド氏は、米欧間には過去も意見対立が存在したが、現在の溝は「同じ性質ではない」と強調。 トランプ氏にとって重要なのは中国とロシアで、欧州は眼中にないとの認識を示した。 「米国が北大西洋条約機構 (NATO) を脱退するとは思わないが、約 8 万人の欧州駐留部隊を早期撤収する可能性は高い」とも指摘。 ウクライナに不利な条件で停戦が成立した場合、プーチン・ロシア大統領は侵攻の射程を欧州にまで広げる「タイミングをうかがうだろう」と警告した。 その上で「独立した民主主義国であり続けたいなら、代償を払わなければならない」と主張。 欧州は英仏独が核となり、新たな防衛戦略を構築する必要があると述べた。 (jiji = 2-28-25) ウクライナ侵攻めぐる安保理の亀裂鮮明 米提出決議、欧州各国は棄権 ロシアによるウクライナ侵攻開始から 3 年となる 24 日、国連安全保障理事会は、米国が提出した「ロシアとウクライナの紛争の迅速な終結」を求める決議を 10 カ国の賛成多数で採択した。 だが、ロシア批判の文言はなく、英仏など欧州 5 カ国は棄権。 トランプ米政権のロシアへの融和姿勢と、欧米の間の亀裂が鮮明となった。 2022 年 2 月の全面侵攻の開始以降、安保理でウクライナ情勢をめぐる決議が通るのは初めて。 一貫してウクライナ支持を打ち出してきたバイデン前政権からの姿勢を転換したことで、安保理の場でも激しくぶつかってきた米ロがともに賛成する事態につながった。 決議は「永続的な平和を求める」とした 3 段落の短い内容で、「侵略」や「全面侵攻」といったロシアを非難する言葉や、国際的に認められたウクライナの主権や領土保全の支持に言及する項目はなかった。 15 の理事国のうちロシアや中国など 10 カ国が賛成。英仏など欧州 5 カ国は棄権した。 米国のシェイ国連臨時代理大使は歓迎し「この決議は平和への道筋をつける第一歩で重要な一歩だ。 これを活用し、ウクライナ、ロシア、そして国際社会の平和な未来を築いていかなければならない」と述べた。 193 カ国が加盟する国連総会の決議と異なり、安保理決議には法的拘束力が発生する。これまでウクライナ問題では常任理事国であるロシアが拒否権を行使するなどして採択を阻んできた。侵攻直後の22年2月にバイデン政権だった米国と当時理事国だったアルバニアが、ロシアに攻撃をやめるよう求める内容で提出した決議案は、ロシアの拒否権で否決されている。 こうしたなか、ウクライナ侵攻をめぐって「機能不全」となった安保理を動かしたのは、トランプ政権の強攻策だった。 米国が決議の提出を決めたのは 21 日。 国連外交筋によると、一般的には早くから草案を各理事国に回覧して意見を求め内容を詰めていくが、ほとんど交渉する時間が設けられなかったという。 フランスや英国などは「ロシアによる全面侵攻」などの言葉を入れ込む修正案の提案をするなど最後まで打開策を探ったが、実を結ばなかった。 フランスのドリビエール国連大使は「侵略が報われ、弱肉強食がまかり通れば、平和も安全もどこにも存在しない」とし、ロシアとウクライナを同列で扱ってはならないと断じた。 安保理とは別に開催された、国連総会(193 カ国)の緊急特別会合でも、ウクライナ侵攻をめぐる欧米の亀裂が露呈した。 「今年中の戦争終結の必要性」をうたい、過去に採択された決議同様、ウクライナの領土保全を支持してロシア軍の即時撤退などを求める、ウクライナと欧州連合 (EU) が提出した決議案に対し、米国は反対票を投じた。 決議は賛成多数で採択されたが、賛成は日本を含む 93 カ国で、23 年の 141 カ国から 50 近くも減った。 トランプ政権との関係を重視して、棄権や反対に回った国が多かったとみられている。 一方、米国は総会で、「侵略」という言葉を使わない、独自の案を提出。 これについてはフランスが修正案を出し、「ロシアとウクライナの紛争」という表現が、「ロシアによるウクライナへの全面侵攻」に置き換えられるなどしたうえで、日本などの賛成多数で採択された。 だが、シェイ氏は「修正案は戦争を終わらせるのではなく、戦争について追及する言葉になり、我々の狙いから遠ざかってしまう」と指摘。 提出国の米国自身が棄権するという事態になった。 (ニューヨーク・遠田寛生、asahi = 2-25-25)
ゼレンスキー氏、米に強気姿勢崩さず 「トランプ氏は永遠ではない」 ウクライナのゼレンスキー大統領は 23 日、首都キーウで会見し、希少資源に関する米国との協定について「10 世代にわたるウクライナ人に支払いを強いるものには署名しない」と語った。 協定の締結を急ぐ米国に対し、強気の姿勢を崩さなかった。 ロシアによる全面侵攻は 24 日で 4 年目に入る。 ゼレンスキー氏によると、ロシア軍は 23 日朝までの一晩で、過去最多となる 267 機のドローン(無人機)を発射。 戦いがやむ気配はない。 ロシアによるウクライナ侵攻から 3 年。 戦争で引き裂かれ、交わる機会を失った二つの国で、同じ問いにそれぞれの立場から答えてもらった。 一方、トランプ米大統領はロシアと急接近し、ウクライナにはこれまでの支援の見返りに希少資源の権利を求めている。 だが、ゼレンスキー氏は「支援は負債にはならない」と指摘。 協定について、ともに利益がある「ウィンウィン」なものである必要性を訴えた。 また、米国側は戦争の早期終結に自信を見せ、ホワイトハウス報道官は 22 日に「(トランプ)大統領は今週中にも終わらせると自信を持っている」と語っていた。 これに対し、ゼレンスキー氏は「ウクライナへの(安全の)保証とともに戦争を終わらせることは、今週は不可能だ」と反論。 「正直に言って、我々と会うこともなくどうやって実現するのかわからない」と話した。 停戦に関する質問については「米国と欧州が我々に与えうる安全の保証がどのようなものか、それを理解する必要があり、それが 1 段階目だ」と主張。 また、「彼(トランプ氏)は永遠ではないし、我々は今後、何年も何年も平和を必要とする」と述べ、将来にわたってウクライナが攻められないようにする「安全の保証」の重要性をくり返し強調した。 質問はゼレンスキー氏の進退や選挙にも及び、「それがウクライナの平和を意味するなら、大統領職を諦めるか」と聞かれる場面もあった。 ゼレンスキー氏は「ウクライナに平和があり、本当に私の辞職が必要なら、その用意はある」と答え、ウクライナが切望する北大西洋条約機構 (NATO)への加盟と引き換えであれば、「すぐにでも」と語った。 (キーウ・藤原学思、asahi = 2-24-25) 停戦協議の現在地 「力による平和」に呼応する米ロ 焦るウクライナ ウクライナの自由と独立を真っ向から脅かすロシアの全面侵攻が始まって、24 日で 3 年。 ウクライナ軍は領土の奪還をめざすものの、戦況は厳しい。 急接近する米国とロシア ウクライナは危機感 トランプ米大統領の就任後、ウクライナでの停戦に向けた駆け引きが活発化している。 急接近する米ロに対し、ウクライナの危機感は深まる。 トランプ氏は、ロシアを外交的、経済的に国際社会から孤立させようとしたバイデン前政権から一転、ロシアにすり寄り、停戦へと走り出した。 戦争で引き裂かれ、交わる機会を失った二つの国で、同じ問いにそれぞれの立場から答えてもらった。 今月 12 日、ロシアのプーチン大統領との電話協議で停戦交渉の開始に合意。 18 日には高官を含む米ロの外相らがサウジアラビアで協議し、停戦協議の作業チーム設置を決め、停戦後の経済協力に向けた基盤づくりにも踏み込んだ。 一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領との溝は深まっている。 戦時体制のため任期を延ばしているゼレンスキー氏を「選挙を経ていない独裁者」だと批判。 「プーチン氏とは非常に良い話し合いができたが、ウクライナは(交渉の)カードがないくせに強硬な態度を取っている」などと見下す発言を繰り返している。 米国には、ロシアの侵攻を抑え込むことは、米国の安全保障にも重要だという考え方はある。 ただ、大統領選でトランプ氏は、世界各地の戦争を早く終わらせて平和をもたらす、と強調しており、公約実現のため、一方的な侵攻を続けるロシアの言い分を聞いた方が手っ取り早いという算段が透けて見える。 これに対し、ロシアはトランプ氏の意欲に呼応しつつ、交渉の主導権を握る構えだ。 ウクライナとの亀裂が広がる米国に、自らの和平条件をのませる狙いがある。 プーチン氏は 19 日、「ロシアと米国の信頼を高めないと、ウクライナ危機を含む深刻な問題は解決できない」と強調。 首脳会談については、「結果が出るように準備する必要がある」と述べ、まずは制裁緩和などの「成果」を米側に求める考えをにじませた。 自らが主張する交渉開始の条件も変える姿勢は見せない。 一方的に併合宣言したウクライナ 4 州の領有権については議論を拒否し、同国の北大西洋条約機構 (NATO) 加盟断念を要求。 欧州各国が停戦後、平和維持部隊を派遣する案も認めず、ウクライナ側が折れるのを待つ構えだ。 ロシア国民には「戦争疲れ」が広がり、早期の和平を望む声が強まっているが、トランプ氏が唱える「力による平和」は、プーチン氏の姿勢とも通じる。 「二つの超大国」で交渉を進め、侵攻の「勝利」をつかみたい考えだ。 一方、ウクライナは、最大の支援国である米国が、頭越しにプーチン政権との協議を急ぐ今の展開に焦りを募らせる。 これまで、ブラジルなど新興国の一部が求めた即時停戦を拒んできた。 ロシア軍が撤退しないままの停戦は、領土の占領を既成事実化させるほか、ロシアに軍再強化の機会を与え、再び侵攻を許しかねない。 だが、3 年間の消耗戦で軍は疲弊し、外交交渉による領土奪還に戦略を切り替えざるを得なくなっているのが実情だ。 ただ、ウクライナは、米前政権の「ウクライナの関与なしにウクライナの運命を決めることはない」という基本線の維持が、停戦交渉に入る絶対条件だとしてきた。 ゼレンスキー氏は、ロシアとの交渉に前のめりなトランプ政権に対し、「まずは米国とウクライナ、欧州が共通の計画を持つことが重要だ」と訴える。 米大統領選前から希少資源をめぐる特別協定を提案するなど、米国の利益を優先するトランプ氏をつなぎとめるための努力も続けてきた。 しかし、トランプ氏は支援の見返りに要求した希少資源の権益の 50% を米国に与えるという案をウクライナ側が拒否した、として態度を硬化させた。 トランプ氏は「かなり失礼な扱いを受けた」と憤慨した。 原案は、国際秩序より米国の利益を優先するトランプ政権に向け、ゼレンスキー氏が提案した。 支援継続の道を開くため、ゼレンスキー氏は 20 日、新たな案を米国のケロッグ特使と協議。 トランプ氏は 22 日、合意は「かなり近い」と演説で語った。 合意すれば、死活問題だった弾薬や防空兵器の入手継続が期待できるようになる。 ゼレンスキー氏は協議後に SNS で、「我々は、ロシアが二度と戦争をしかけないように、安定的で長期にわたる平和を求めている」と強調した。 米欧同盟にも亀裂 欧州はつなぎとめに懸命 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の確執が深まるなか、欧州は米国をウクライナ支援や米欧同盟の枠組みにつなぎとめようと懸命になっている。 停戦後の平和維持部隊の派遣を主導するとみられているマクロン仏大統領とスターマー英首相は 24 日以降にそれぞれ米国を訪れ、トランプ氏と意見を直接交わす。 「中国に台湾を侵略する権利がないのに、ロシアにはウクライナを侵略する権利があるのか。」 マクロン氏は 20 日の SNS での有権者との対話の際に、ワシントンで 24 日に会談するトランプ氏にこう訴えて、ウクライナ情勢をめぐる米欧の利害が一致していると説得する考えを強調した。 ロシアとの停戦交渉でウクライナと欧州を置き去りにしようとする米国の動きを受けて、マクロン氏は欧州やカナダなど約 30 カ国の首脳らと 2 度の緊急会合を開催。 27 日にトランプ氏と会談するスターマー氏とともに、停戦後の平和維持部隊の派遣や欧州各国の防衛費の増額案を示して、トランプ氏の理解を得ることに望みをつなぐ。 欧州が 3 年にわたってウクライナを支援してきたのは、ロシアの侵略を許せば欧州が次の標的になるとの危機感からだ。 米ロの急接近で、ウクライナ支援や北大西洋条約機構 (NATO) への米国の関与が減ることは、欧州の安全保障にとって致命的な問題になる。 欧州連合 (EU) も、「聖域」とも言える加盟国への財政規律を一時的に緩め、財政赤字が拡大しても防衛費を増額できるようにする方向で検討に入った。 EU による共同債の発行で欧州全体の防衛費を底上げする案も検討されている。 ポーランドのトゥスク首相は「議論はもう十分。 行動する時だ。」と訴える。 しかし、トランプ氏は自身の SNS でゼレンスキー氏を「独裁者」と非難するなど、欧州主要国の首脳との価値観の違いを見せ始めている。 ショルツ独首相が X で「ゼレンスキー大統領の正統性を否定するのは間違っている」と応戦するなど、亀裂は決定的になりつつある。 (キーウ・藤原学思、喜田尚、ワシントン・下司佳代子、パリ・宋光祐、ブリュッセル・牛尾梓、asahi = 2-23-25) 米とウクライナ、支援の見返りに希少資源の取引で合意か 米紙報道 米トランプ政権が、ウクライナ支援の見返りとして希少資源の権利を求めているとされる問題で、米紙ウォールストリート・ジャーナルは 21 日、「両国が合意に近づきつつある」と報じた。 関係者の話として伝えた。早ければ、22 日にも合意する可能性があるという。 複数の米欧メディアによると、米国側はウクライナに対し、希少資源の権利の 5 割を要求。 ウクライナのゼレンスキー大統領は今月、この内容が盛り込まれた文書案の提示を受けたが、「安全の保証が含まれるべきだ」として署名しなかった。 その後、ゼレンスキー氏とトランプ米大統領の間で非難の応酬が続いていた。 トランプ氏は 21 日、ホワイトハウスで記者団から「合意が近いのか」と問われ、「彼らは求めていると思う。 それによって、我々はあの国にとどまり、彼らも喜ぶ」と答えた。 また、ホワイトハウスのウォルツ国家安全保障担当補佐官もこの日、保守系の政治団体への演説で「ゼレンスキー氏はこの合意に署名し、すぐにその結果を見ることができる」と述べた。 ネットメディア・アクシオスによると、米側が 20 日夜に修正案をウクライナ側に提示したという。 ウクライナ側、安全の保証求める ゼレンスキー氏も 21 日夜のビデオ演説で、「きょうは、両国のチームが合意案の作成に取り組んでいる。 両国の関係を強化しうるものだ。」と主張した。 一方、「カギとなるのは、その有効性を確実にする詳細を練ることだ。 公正な成果物を期待している」とも語り、あくまでウクライナの安全が将来にわたって確実に保証されることが重要だと示唆した。 (ワシントン・中井大助、キーウ・藤原学思、asahi = 2-22-25) ウクライナ議長「大統領選は不可能」 トランプ氏の「独裁者」批判に ウクライナ議会のルスラン・ステファンチュク議長 (49) が 21 日、首都キーウの議会で朝日新聞の取材に応じた。 米国から求められている大統領選の実施について、ロシアによる全面侵攻を受ける間は不可能だとの考えを示した。 ウクライナでは法律の規定により、戦時体制下では大統領選や議会選を実施することができない。 また、憲法で、現職大統領は選挙を経て新大統領が就任するまで権限を持つと定められている。 トランプ米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領について「選挙を経ていない独裁者」と批判した。 ステファンチュク氏は「彼は民主的な選挙で選ばれており、独裁者ではない」と強調。 戦時下に選挙をすべきではない理由として、▽ 戦場にいる兵士たちが参加できない、▽ 難民になった在外有権者が数百万人にも及ぶ、▽ 国外から来る選挙監視団の目が行き届かない可能性がある - - と語った。 (キーウ・藤原学思、asahi = 2-22-25) トランプ氏、ゼレンスキー氏を「独裁者」呼ばわり 亀裂深まる トランプ米大統領は 19 日、自身の SNS でウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙をしていない独裁者」だと批判した。 ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、米ロ間で停戦協議が進むことに不満を示すゼレンスキー氏に、トランプ氏は批判のトーンを強めている。 トランプ氏はゼレンスキー氏を「さしたる成功も収めていないコメディアン」と呼び、「勝てる見込みのない、始める必要もなかった戦争に、米国を説き伏せて 3,500 億ドル(約 50 兆円)もの費用を投じさせた」と主張した。 戦争はロシアの違法な侵攻を受けて始まったが、トランプ氏はウクライナ側にも非があると示唆してきた。 米外交問題評議会によると、予算権限を握る米議会が 2022 年 2 月のロシアのウクライナ侵攻開始を受けて確保した予算は 1,750 億ドルで、3,500 億ドルの根拠は不明だ。 さらにトランプ氏は、ゼレンスキー氏が米国の支援の半分は「使途不明」だと認めていると主張し、「彼は選挙を拒否し、ウクライナの世論調査では(支持率は)非常に低く、得意なのはバイデン(前大統領)を操ることだけだった」とこき下ろした。 トランプ氏は 18 日にも、ゼレンスキー氏の支持率は 4% だと根拠を示さず主張していた。 戦時体制のウクライナでは、昨年予定された大統領選は延期されている。 戦争は「美しい海」を隔てた欧州側で起きており、「この戦争は我々よりも欧州にとって重要な問題だ」とも強調。投稿は「私はウクライナを愛しているが、ゼレンスキーはひどい仕事をした。彼の国は粉々になり、何百万人もが命を落とした。それは今も続いている」と結ばれている。 (ワシントン・下司佳代子、asahi = 2-20-25) プーチン氏「ドナルドに会いたい」 米ロ首脳会談に前向きポーズ ロシアのプーチン大統領は 19 日、トランプ米大統領が意欲を示す両国の首脳会談に前向きな姿勢を示した。 前日にサウジアラビアで行われた米ロ外相会談を高く評価し、「ドナルドに会いたい」とトランプ氏をファーストネームで呼んだ。 ただ、「結果が出るよう準備する必要がある」とも述べ、会談には制裁緩和など米側の歩み寄りが必要との考えを示唆した。 訪問先のロシア北西部サンクトペテルブルクで報道陣の取材に答えた。 プーチン氏は「ウクライナ危機も含め、ロシアと米国の信頼関係を高めないと解決は不可能だ」と強調。 中東や宇宙など様々なテーマが米ロの議論になるとし、特にエネルギー分野での協力が重要だと指摘した。 「ドナルドと久しぶりに会いたい。 親密な関係ではないが、彼が(前回の)大統領だったときは両国の関係について議論した」と述べたが、「お茶やコーヒーを飲み、将来を話すために会うのは不十分だ」とし、会談には何らかの成果が必要だとの考えを示した。 米国のルビオ国務長官とロシアのラブロフ外相らは 18 日、サウジアラビアで会談。 ロシア側は、北極圏でのエネルギー開発などを話したとしており、米国に対ロシア制裁の緩和を求めたとみられる。 (asahi = 2-20-25) 「ウクライナ抜き、危険だ」 米ロの停戦交渉にゼレンスキー氏が訴え ウクライナのゼレンスキー大統領は 15 日、ドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議で演説し、トランプ米政権が急ぐロシアのウクライナ侵攻をめぐる停戦交渉について「ウクライナ抜きの決定は受け入れられない」と述べた。 また、欧州に対して自力での防衛努力を求め、「欧州統一軍を形成すべきだ」と訴えた。 米国のトランプ大統領は今月 12 日、ロシアのプーチン大統領との電話協議で戦争終結に向けて米ロの交渉を始めることで合意。 ウクライナや欧州では、ロシアの占領地の扱いなどをめぐり、協議が当事者の頭越しに進められることへ警戒感が広がっている。 ゼレンスキー氏は演説後の質疑でも「(米ロ首脳が直接協議で) 2 人で何を話すかは自由だが、ウクライナ抜きの交渉は危険だ」と訴えた。 ウクライナは米国に、ロシアとの交渉前にウクライナ、欧州と共通の戦略を持つよう求めている。 ゼレンスキー氏は演説で、欧州からのウクライナへの武器支援に感謝しながらも、実際に戦っているのはウクライナ軍だと指摘。 ロシアの攻撃を受けても「もはやウクライナ軍抜きでは戦えないのが欧州の現実だ」と述べた。 トランプ政権は欧州側に防衛費の負担増を要求。 米欧関係がきしむ中で、「欧州統一軍」の提唱は、双方の支援を受けるウクライナが欧州に対して米国の主張への配慮を呼びかけ、両者の結束を促す狙いもあるとみられる。 大きな軍が必要な理由として、停戦後に必要になるとされる欧米からの平和維持部隊にも言及。 ウクライナが北大西洋条約機構 (NATO) に加盟しない間、完全な平和が保証されるために「130 万から 150 万規模のロシア軍に匹敵する軍が必要だ」とし、その年間費用は 400 億ドル(約 6 兆 1 千億円)に及ぶとの見方を示した。 ゼレンスキー氏は 14 日、ミュンヘンでバンス米副大統領と初会談した。 バンス氏は冒頭、ロシアの侵攻を受けた戦争を終わらせて「数年のうちに東欧が再び紛争に陥るのではなく、永続的な平和を実現したい」と述べたが、停戦について米国の考える前提や条件は明確にしなかった。 会談には米側から、ルビオ国務長官やロシア・ウクライナ担当のケロッグ特使も参加した。 ウクライナ大統領府によると、両者は、トランプ米大統領が支援継続の見返りとして要求するレアアースの取引など、「経済連携」に関する文書の作成を続けることにした。 会談後、ゼレンスキー氏は X (旧ツイッター)に、「戦争を阻止し、ウクライナに正義と安全をもたらす助けになるものとして、トランプ大統領の決意を高く評価している」と投稿した。 ゼレンスキー氏は会談前、安保会議のパネルディスカッションで「プーチン(ロシア大統領)が恐れているのは、米国と欧州、ウクライナの団結だ」と述べた。 (ミュンヘン・下司佳代子、キーウ・喜田尚、asahi = 2-15-25) 「米国第一」で急ぐ停戦 ウクライナや欧州置き去り 議論かみ合わず ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、「戦争を終わらせる」ことを急ぐ米国のトランプ政権と、ウクライナや同国を支援する欧州との議論がかみ合わない。 14 日から各国の首脳、閣僚が参加するミュンヘン安全保障会議が始まったが、米国がどのような停戦交渉を描くのかが見えない。 ウクライナ、欧州側は置き去りにされる危機に焦りを募らせている。 1 月 20 日に発足したトランプ政権の閣僚が国際会議で初めて登壇する機会となった 14 日のバンス副大統領の演説。 始まって間もなく、会場は凍り付いた。 バンス氏がいきなり激しい欧州批判を展開したからだ。 米副大統領、欧州を痛烈批判 「言論の自由後退」、「脅威は内側から」 新政権の外交政策披露が期待された場で、バンス氏が時間の大半を割いたのはフェイクニュースや選挙干渉を防ぐため欧州が行う SNS 規制への批判だった。 一方的な演説に拍手もまばら。 会場ではあぜんとした表情をみせる出席者もいた。 バンス氏はその後のウクライナのゼレンスキー大統領との会談の冒頭で「永続的な平和を達成したい」と話した。 しかし、その道筋について「交渉のために選択の余地を残したい」と具体的に語ることはしなかった。 トランプ政権は対外援助全般に消極的だ。 中でも、バイデン前政権が巨額を費やしてきたウクライナへの支援を特に厳しい批判の標的にしてきた。 米国の金は、遠い地の民主主義を守る戦いに使うより、移民や薬物の流入を止めるための国境強化と、国民の暮らしを守るために使うべきだという考え方は、トランプ氏の「米国第一」主義を信奉する支持者に広く浸透している。 選挙戦中に「24 時間以内に戦争を終わらせる」と豪語してきた手前、複雑な交渉に長い時間はかけられない。 「偽の平和では何も得られない」 一方の欧州では、トランプ氏がミュンヘン安保会議直前の 12 日にロシアのプーチン大統領との突然の電話協議でウクライナ侵攻をめぐる米ロの停戦交渉を決めたことに衝撃が走った。 ロイター通信によると、安保会議でバンス氏と会談したドイツのベアボック外相は「ウクライナと欧州の頭越しにもたらされる偽の平和では何も得られない」と語った。 トランプ政権高官は、ウクライナ全面支援を掲げたバイデン前政権の方針をことごとく覆す。 一方で、それぞれの発言がどこまで政権の意思として決められたことなのか明確でない面もある。<\/p> ヘグセス国防長官は 12 日、ウクライナの北大西洋条約機構 (NATO) 加盟は明確に否定した。 停戦が成立した場合も、平和維持部隊など NATO 以外の枠組みで欧州の軍がウクライナに駐留する場合も、米軍は派遣しない考えを示した。 しかし、翌日にブリュッセルで開かれた NATO 国防相会議での記者会見であらためて問われると、「交渉はトランプ大統領が主導している。 あらゆる可能性がテーブルの上にある。 何がよくて何がだめかを決めるのは、自由世界のリーダーであるトランプ大統領の権限だ」と混ぜ返した。 14 日、バンス氏との会談前にウクライナの安全保障をめぐるパネルディスカッションに出席したゼレンスキー氏は、「ウクライナについてウクライナ抜きの協議は、絶対受け入れられない」と強い口調で語った。 「米国がウクライナを支援し、欧州とともにいることがプーチンへのメッセージになる」とも発言し、米国に欧州、ウクライナとの共同行動を訴えた。 米国はロシアとの交渉の前にまずウクライナや欧州とともに共通の戦略を練るべきだと繰り返す。 そのゼレンスキー氏も、一方では、自国の命運を握る最大の支援国、米国のつなぎとめに必死だ。 パネルディスカッションでも、トランプ氏が支援継続の見返りに求めるウクライナのレアアースに自ら言及。 「これらの資源がロシアの占領や、北朝鮮の手に落ちてはならない」と語った。 ゼレンスキー氏は、会議前のロイター通信のインタビューでウクライナのレアアースの半分がロシアの占領地に埋蔵されているとの見方を示している。 発言は、ウクライナの領地奪還を「非現実的だ」とするトランプ政権に、領土問題が米国にとっても重要な意味を持つことをアピールする狙いがあったとみられる。 (ミュンヘン・下司佳代子、キーウ・喜田尚、asahi = 2-15-25) チェルノブイリ原発で火災 ゼレンスキー氏「ロシアのドローン攻撃」 ウクライナ北部のチェルノブイリ原発で 14 日未明、爆発音が聞こえ、火災が発生した。 国際原子力機関 (IAEA) によると、廃炉となっている 4 号炉を覆うシェルターの屋根にドローン(無人機)が当たったが、死傷者はおらず、放射線量にも異常はないという。 チェルノブイリ原発は首都キーウから北 100 キロ、ロシア国境からは南西に 140 キロに位置する。 ウクライナのゼレンスキー大統領は SNS で、ロシアによる攻撃だと指摘。 「初期調査ではシェルターの損傷は大きい」と訴えた。 ゼレンスキー氏はまた、このシェルターが 1986 年の事故後に欧米とともに協力して建設したものだとし、「結果を顧みずに戦争を仕掛ける国はロシアだけだ。 これは全世界に対するテロの脅威だ。」と語った。 ロシアによるウクライナへの全面侵攻は、今月 24 日で開始から 3 年を迎える。 トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と和平交渉の可能性を模索しているが、ゼレンスキー氏は「プーチンは交渉ではなく、今後も世界をだまし続けるための準備をしている」と主張。 ロシアに対して「圧力」をかける必要性を訴えた。 (キーウ・藤原学思、asahi = 2-14-25) |
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