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ロシア国防省、ウクライナが米供与のミサイル 6 発を発射と発表 … 5 発を撃墜・1 発を損傷させたと主張

ロシア国防省は 19 日、ウクライナ軍が同日午前 3 時 25 分(日本時間午前 9 時 25 分)、露西部ブリャンスク州に向けて米供与の地対地ミサイル「ATACMS」を 6 発発射したと発表した。 防空ミサイルが 5 発を撃墜し、1 発を損傷させたと主張している。 破片が軍事施設に落下し、火災が発生したが、すぐに消し止められたという。 死傷者や施設の損傷はなかったとしている。 ロシアは、ウクライナが米国供与の長射程ミサイルで露領内を攻撃する事態を警戒し、強く反発しており、ロシアと米国やウクライナとの軍事的緊張がさらに高まる可能性がある。 (yomiuri = 11-19-24)


ウクライナ外相、米ミサイルは「ゲームチェンジャー」 ロシアは批判

ロシアによるウクライナ侵攻開始から 19 日で 1 千日になるのを受け、国連安全保障理事会は 18 日、公開会合を開いた。 ウクライナが、米国の長射程ミサイルでロシア国内を攻撃することは永続的な平和につながると述べた一方で、ロシアはバイデン政権を批判した。 2022 年 2 月 24 日に始まった侵攻から 999 日。 終わりが見えない侵攻に理事国からはロシアを非難する声が相次いだ。

11 月の安保理議長国を務める英国からはラミー外相が出席。 「(ロシアの)プーチン(大統領)が失敗しない限り、他の国々は帝国主義的な征服戦争を起こそうとするだろう。 国際法に対する信頼は戻らないかもしれない。」と述べ、各国にウクライナを守るための団結を呼びかけた。

会合では、米メディアなどで報道された、ウクライナが米国から提供された長射程ミサイルでロシア国内を攻撃することへの承認にも言及があった。 ウクライナのシビハ外相は会合前に、米国による承認は「ゲームチェンジャーになり得る」と、記者団に語った。 会合で、同氏は「必要な対応」と主張。 ロシアのために前線に 1 万人以上の北朝鮮兵が派遣され、戦闘は新たな段階に入ったとして、「ウクライナに必要な手段を装備させ、武器使用の人為的な制限を撤廃することが、公正で永続的な平和を早めることになる」と訴えた。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、承認について明言はしなかったが、ウクライナへの支援継続を断言した。 その上で「ウクライナに対する追加的な安全保障支援については、数日中に発表する予定だ」と、含みを持たせた。 一方、ロシアのネベンジャ国連大使はロシアを非難する目的だけの会合と開催自体を批判。 従来通り、ウクライナへの攻撃は必要な軍事作戦だと主張し、北大西洋条約機構 (NATO) がウクライナの加盟をやめるなどロシアが求めている条件が達成されない限り「作戦は続く」と念を押した。

長射程ミサイルの使用承認については、報道を把握しているとし「(ウクライナの)ゼレンスキー(大統領)に自殺行為の許可を出している。 おそらくジョー・バイデン(米大統領)は様々な理由から失うものは何もないのだろう」と、ハリス副大統領が米大統領選で惨敗したバイデン民主党政権を皮肉った。 国連のグテーレス事務総長の声明を代読したディカルロ事務次長はロシアの侵攻を「国連憲章と国際法違反」とあらためて指摘した一方で、長射程ミサイルについては「すべての当事者は、その場所にかかわらず、民間人の安全と保護を確保しなければならない」とクギを刺した。(ニューヨーク・遠田寛生、asahi = 11-19-24)


ウクライナ北東部の集合住宅にミサイル 11 人死亡、89 人負傷

ウクライナ北東部スーミで 17 日夜、9 階建ての集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けた。 ウクライナ非常事態庁によると、住民 11 人が死亡し、負傷者は 89 人に達した。 スーミはロシア国境から約 40 キロ。 ロシア領内から弾道ミサイルが発射されたとみられる。 地元当局によると、死者には 9 歳と 14 歳の男女の子供が含まれている。 ミサイルはアパートに囲まれた中庭に着弾。 周囲のすべての建物が被害を受けたという。 現場では、行方不明者の捜索が 18 日朝まで続いた。 クリメンコ内相は避難した住民は 400 人以上にのぼったとしている。

ロシア軍は 17 日午前にも、ウクライナ各地へロシア領内や黒海からミサイルやドローン(無人機)を発射。 南部ミコライウで女性 2 人が死亡したのをはじめ、全国で少なくとも 7 人が死亡した。 ウクライナ空軍は、飛来したミサイル 120 発、ドローン 90 機のうち 144 の標的を撃墜したとした。 各地への攻撃は冬の到来を前に主に電力施設を狙ったとみられ、首都キーウなどで停電が広がった。 南部オデーサ州のキペル知事によると、州都オデーサでは電力のほか水道水の供給も止まったという。 (喜田尚、asahi = 11-18-24)


ロシア側「質的に新たな緊張の段階」 米の長射程ミサイル承認報道に

米紙ニューヨーク・タイムズは 17 日、バイデン米大統領が、ウクライナに提供した長射程のミサイルでロシア国内を攻撃することを承認した、と報じた。 ウクライナの再三の要請を受けても紛争拡大を恐れて難色を示してきたが、北朝鮮兵のロシアへの派遣問題を受けて方針転換に踏み切ったという。

同紙によると、射程約 300 キロの地対地ミサイル「ATACMS (アタクムス)」を使ったロシア国内への攻撃を許可した。 最初は、8 月からウクライナ軍が越境作戦を続けるロシア南西部クルスク州で、ロシア軍や北朝鮮兵との戦闘をめぐる防衛に使われる可能性が高いが、他の地域での攻撃もバイデン氏が承認しうるという。 ロシアと北朝鮮の兵士が集まる場所や、軍事装備、弾薬庫や補給路など、これまで届かなかった標的を攻撃できるようになる。 一方、国防総省と国家安全保障会議は取材に、現時点でのコメントは控えると回答した。

バイデン政権は当初から戦争が欧米とロシアの直接的な戦いに拡大することを恐れ、ウクライナ支援の強化は慎重に進めてきた。 中でもロシア領内の深部への攻撃許可は、戦闘機や戦車の供与などと比べてもロシアがより強く反応すると懸念されており、欧米への直接的な破壊工作といった反撃に出る可能性も指摘されてきた。 今年 5 月にはウクライナ北東部ハルキウ州周辺に対する攻撃への反撃に限り、米国から提供された武器を使ってロシア領内を攻撃する許可を出したが、ATACMS による長距離攻撃は認めなかった。

米国防総省内、効果を疑問視も

今回の方針転換は、戦況を劇的に変えることにはならないという見方が米国内では強く、国防総省内では効果を疑問視する声もあった。 シン副報道官は 9 月の記者会見で、「ウクライナに滑空爆弾を発射しているロシア軍機の 9 割はウクライナの勢力下の領土から 300 キロ以上離れて駐機しており ATACMS の射程外にある」と指摘。 ウクライナ都市部の攻撃に使われている滑空爆弾には十分に対処できず、ATACMS での長射程攻撃を認めた場合の効果は「ごくわずか」で「戦略上の利益はほとんどない」と語っていた。 また、省内ではウクライナに提供できるミサイルの数が限られることも懸念材料にあげられていた。

今回、バイデン政権は北朝鮮兵がロシア軍とともに、ウクライナとの戦闘に加わったことを受けて方針転換した模様だ。 米国は、北朝鮮兵 1 万人以上がすでにロシアに入り、人数はさらに増える可能性があるとみている。 同紙によると、米当局者らは、北朝鮮にさらなる兵士の派遣を思いとどまらせることが目的の一つだと語っているという。 欧州では英国とフランスが長射程ミサイルをウクライナにすでに提供しており、米国の動きに英仏両国が追随する可能性もある。

ただ、バイデン政権の残りの任期は 2 カ月で、トランプ次期大統領は戦争の早期終結を重視する。 ウクライナ支援に懐疑的でその方針は不透明な一方、側近らの間では、外交交渉の一環として、米国がウクライナに課してきた武器の使用制限を解除して、ロシアに妥協を迫る案が議論されていた。 米議会下院情報委員会のターナー委員長(共和)は X (旧ツイッター)で、この動きを「(ロシアの)プーチン(大統領)に圧力をかける第一歩」だと評価しつつ、「遅きに失した。 バイデン大統領はゼレンスキー大統領の懇願をもっと早く聞き入れるべきだった。 自衛を妨げ、戦争を終わらせないような制限をウクライナに課し続けている」と批判した。

ゼレンスキー氏「ミサイルは自ら語る」

ウクライナはこれまでに米国などに示した 5 項目の「勝利計画」の中で、長射程のミサイル攻撃能力を持つ重要性を強調していた。 ゼレンスキー氏は 17 日夜のビデオ演説で、「我々が許可を得たという多くの報道がある」と言及。 ただ、「攻撃は言葉によって表されるものではなく、発表されるものでもない」と許可を得たかは明かさなかった。 ただ、「ミサイルは自ら語るものだ。 間違いなく、そうなるだろう。」と述べ、遠くないうちに、供与を受けた長射程のミサイルをロシア領内に向けて使うことを示唆した。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は 18 日、「紛争への米国による関与という点で、質的に新たな緊張の段階だ」と述べて警告した。 プーチン大統領も今年 9 月、米欧がウクライナに供与した長距離ミサイルでのロシア攻撃を認めた場合、米欧による戦争への直接参加を意味するという見解を述べていて、今後激しく反発する可能性がある。 (下司佳代子・ワシントン、藤原学思、asahi = 11-18-24)


ウクライナ各地に大規模攻撃、死者・けが人も 発電・送電施設狙いか

ロシア軍は 17 日午前、ウクライナ各地に大規模攻撃を行った。 首都キーウでは複数回にわたって爆発音が聞こえた。 当局によると、5 階建ての集合住宅にドローン(無人機)の残骸が落ち、女性 1 人が病院に運ばれた。 ウクライナメディアによると、ほかにも複数の都市で爆発音が確認されたという。 南部ミコライウではドローン攻撃により女性 2 人が死亡し、6 人が負傷したと市長が明らかにした。 ウクライナ空軍によると、ロシア軍はドローンの他に、巡航ミサイルや弾道ミサイルを使って攻撃。 時速 1 万キロを超えるとされる極超音速ミサイル「キンジャル」も使われたという。

ハルシチェンコ・エネルギー相によると、今回の攻撃の対象は「ウクライナ全土の発電、送電施設」。 キーウのほか、複数の地域で緊急停電の措置が取られている。 2022 年 2 月に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻は、今月 19 日で開始 1 千日目となる。 国連のウクライナ人権監視団によると、確認できているだけで 8 月末までに子ども 641 人を含む 1 万 1,743 人が亡くなった。 負傷者は 2 万 4,614 人確認されている。 ただ、同監視団は死者、負傷者ともに実際にはさらに多いとしている。(キーウ・藤原学思、asahi = 11-17-24)


岩屋外相がウクライナ入り、連携強化確認へ 石破政権で閣僚初訪問

岩屋毅外相は 16 日、ロシアによる侵略が続くウクライナを訪問した。 首都キーウで外相会談に臨むほか、ロシア軍兵士による虐殺が起きたキーウ近郊のブチャも訪問する。 また、同国のゼレンスキー大統領とも会談する見通しだ。 ロシアによる侵略が今月 19 日で 1 千日を迎える中、ウクライナ支援の継続に懐疑的なトランプ氏が米大統領選で勝利するなど、同国を取り巻く情勢は先行きが見通せない状況となっている。

こうした中、岩屋氏は今回の訪問を通じ、日本政府としてウクライナ支援を継続する姿勢を示す方針だ。 来年日本で開催されるウクライナ国内の地雷除去支援に関する国際会議に向けても連携を確認する。 日ウクライナ間では、安全保障分野の情報共有に関する「情報保護協定」が実質合意されており、今回の訪問でも情報共有を強化する必要性を確認する。 2022 年 2 月のロシアによる侵攻以降、同国を訪問した日本の外相は岩屋氏で 3 人目。 石破茂政権下では初の閣僚訪問となった。 (里見稔、asahi = 11-16-23)


最前線に北朝鮮兵配置、ロシア軍の「弾よけ」に 韓国軍元将校の予測

米国務省は 12 日、北朝鮮兵がウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア南西部・クルスク州で戦闘を始めたと確認しました。 韓国陸軍第 5 砲兵旅団作戦将校を務め、北朝鮮の軍事情勢に詳しい、韓国の市民団体「自主国防ネットワーク」の李逸雨(イイルウ)事務局長は、北朝鮮兵はロシア軍部隊の「弾よけ」として前線に配置され、「多くの北朝鮮兵は現代戦を学ぶ暇もなく戦死するだろう」と予測します。 なぜでしょうか。

北朝鮮は総兵力134万とも言われます。

公式の数値はそうですが、大多数は戦闘能力を持たない兵士だとみています。 食料や装備が不足しているため、軍に所属していても訓練しない兵士が数多くいます。 脱北した元北朝鮮軍兵士は「戦車部隊に配属されたが、戦車を見たことはなかった」と証言しています。 大部分の兵士は建設現場や農作業に動員されているのです。 韓国の国防白書は、北朝鮮が 20 万人の特殊部隊を保有していると報告しています。 最低限、戦闘能力を持った兵士が 20 万人いるという意味でもあります。

「暴風軍団」 北朝鮮の特殊作戦軍

どんな部隊がロシアに派遣されたのでしょうか。その実力は?

北朝鮮は 2017 年、陸海空軍の特殊作戦部隊を統合し、「特殊作戦軍」という独立した軍種を創設しました。 特殊作戦軍の主力部隊は、陸軍の一部でもある、別名「暴風軍団」と呼ばれる第 11 軍団です。 特殊作戦軍は、任務に応じて、狙撃、軽歩兵、航空陸戦、海上狙撃、航空狙撃、上陸突撃、山岳の 7 種類に分けられています。 このうち、第 11 軍団には狙撃旅団と航空陸戦旅団が各 3 個、軽歩兵旅団が 4 個あります。

今回、ロシアに送られた部隊は狙撃旅団と軽歩兵旅団だとみています。 狙撃旅団は米グリーンベレー(陸軍特殊部隊)、軽歩兵旅団は(精鋭歩兵部隊の)米レンジャーにあたる部隊です。 重火器は持たず、主な装備は小銃と機関銃程度で徒歩で移動します。 パラシュートで敵後方に降下して攪乱作戦を行う航空陸戦旅団は派遣されていないようです。

韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は、派遣された北朝鮮兵士は 10 代後半から 20 代前半だとしています。

最低限の戦術と基本的な戦闘能力は持っているでしょうが、とても「特殊部隊」と呼べるほどの能力はないと思います。 米軍の場合、特殊部隊の兵士を養成するために 4 - 5 年をかけ、その費用は 200 万 - 300 万ドルに上ります。 兵士 1 人が毎月 5 万発の実弾を発射します。 韓国軍でも 1 年に 2 万 4 千発です。 北朝鮮にはそれだけの経済力がありません。 北朝鮮も精鋭を送れば、本国の防衛に問題が生じることを理解しているでしょう。

北朝鮮兵 強いられる囚人部隊の役割

北朝鮮兵はどのような戦闘を強いられるでしょうか。

ロシアが囚人部隊や傭兵(ようへい)に強いた役割を強いるのではないかと思います。 彼らは「ストーム Z」と呼ばれる部隊に所属し、激戦地の前方に展開。攻撃してくるウクライナ軍の位置を知らせたり、装備を消耗させたりする役割を担います。 後方に展開するロシア軍部隊の「弾よけ」です。 未確認情報ですが、ロシア軍はストーム Zの死傷率を 98% と想定しているそうです。 ストーム Z の命令が下った部隊の兵士が指揮官を殺害したり、脱走したりする事態も相次いでいるようです。

現在のクルスク州での北朝鮮兵の配置状況をどうみていますか。

軍事ブロガーたちの投稿や衛星写真、公開情報などを総合すると、現在、少なくともウクライナ軍の陣地に近い四つのロシア軍部隊に、それぞれ 1 個大隊規模の北朝鮮兵が投入されているようです。 少し後方の部隊で 1 週間ほど教育を受けた後、最前線に投入されています。 各部隊をみると、北朝鮮兵 30 人に対し、ロシア軍から将校 3 人、通訳 1 人、補給担当 1 人、重火器担当 1 人の計 6 人が対応しているようです。 この情報が間違いなければ、北朝鮮兵はウクライナ軍の弾薬を消耗させる「弾よけ」として最前線に投入されているとみるべきでしょう。

「ドローンとの戦いを学ぶ暇なく戦死」

北朝鮮軍はウクライナ軍のドローン(無人機)攻撃に無力だという予想があります。

北朝鮮軍はドローンとの戦いを体験どころか、見たこともありません。 散弾銃が有効だという指摘がありますが、ドローンが突然現れる場合もあるなど神出鬼没で、発見は簡単ではありません。 クルスク州は平野部で、北朝鮮兵士が隠れる場所も多くありません。 ロシア派遣から 2 週間しか経っていないため、地理研究も十分ではないでしょう。 北朝鮮軍兵士は「ドローンとの戦い」を学ぶ暇もなく戦死するでしょう。

金正恩総書記は兵士の追加派遣を考えるでしょうか。

通常の国家であれば、消耗することがわかっている兵士を送ることはしません。 しかし、北朝鮮には核兵器があるし、金正恩氏の思考も普通ではありません。 リトアニアの軍事専門家がウクライナ軍から聞いた情報として、北朝鮮が 8 万 8 千人まで派兵する可能性があると指摘しています。

北朝鮮で混乱が広がりませんか。

派兵された兵士の死傷者が増えれば増えるほど、北朝鮮は派遣の事実を一般市民に隠しきれなくなります。 派遣された兵士の父母を中心に反発や動揺が広がるでしょう。 ロシア軍も補給状況が悪く、食料はパンが中心で肉類が不足しています。 川の水を飲料水にしているケースもあるようです。 すでに、傭兵や一般契約兵、囚人兵などの脱走が相次いでおり、北朝鮮兵も脱走者が相次ぐと予想しています。 (聞き手・牧野愛博、asahi = 11-16-24)


車体が吹き飛び骨組みだけに … ロシア黒海艦隊の司令官が「自動車爆弾」で殺害される 現場映像が拡散

自動車爆弾によって殺害されたロシア海軍の司令官は、ウクライナ保安庁が監視を続けていた人物であり、今回の作戦も同庁が実行したとされている

ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、ロシア海軍黒海艦隊の司令官が死亡したと報じられた。 SNSには事件現場の映像が投稿されているが、そこにはウクライナ側から「戦犯」と名指しされるロシア人司令官の車が黒焦げの骨組みだけになった姿も捉えられており、爆発の強烈さを物語っている。

ロシアが任命した軍港都市セバストポリのミハイル・ラズボジャエフ知事は、11 月 13 日の朝に同市内の路上で軍当局者が乗った車が爆発したと述べた。 ロシアの情報機関とつながりがあるとされているテレグラムチャンネル「Baza」によれば、死亡したのはロシア黒海艦隊の 1 等艦長であるバレリー・トランコフスキーと確認された。 ウクライナ保安庁 (SBU) の情報筋(匿名)はウクライナのネットメディア「キーウ・インディペンデント」に対して、作戦を実行したのは SBU だと語った。 トランコフスキーは「黒海からウクライナの民間施設に向けて巡航ミサイルを発射するよう命じた戦犯」だとこの人物は語った。

本誌はこの件についてロシアとウクライナの国防省にコメントを求めたが、これまでに返答はない。

運転席の下に仕掛けられた爆弾が遠隔操作で爆発

今回の事件では、爆発が起きた 6 分後である 13 日の午前 10 時頃(現地時間)にロシアの救急隊員が現場に到着したが、トランコフスキーは重傷を負っておりまもなく死亡が確認された。 ロシアのメディア「Mash」によればトランコフスキーは約 1 週間前から監視されており、車の運転席の下に仕掛けられていた爆発物が遠隔操作で起爆された。

ソーシャルメディアには爆発後の様子を撮影したとみられる画像が投稿されており、大破した車の周りに通行人たちが集まってきている様子が映っている。 ラズボジャエフはこの爆発について、テロの疑いで刑事事件として捜査が始まっていると述べ、事件をめぐる詳しい状況については「調査中」だと説明した。 米政府が資金提供するメディア「自由欧州放送(RFE/RL)」は、トランコフスキーはウクライナへの本格侵攻に関与したロシア黒海艦隊ミサイル艇旅団の参謀長を務めていたとしている。 ロシアとウクライナの戦争が始まって以降、ロシア軍の占領地域ではほかにも複数のロシア軍幹部が死亡している。

ウクライナ軍の情報機関によれば 10 月には、ウクライナのショッピングセンターへの攻撃に携わったロシア軍のパイロットが遺体で発見された。 遺体の頭部にはハンマーのようなもので殴られた複数の傷があった。

■ ドネツク人民共和国の指揮官の死にまつわる「疑惑」

ドミトリー・ゴレンコフというこのパイロットは 2022 年 6 月 27 日にウクライナ中部クレメンチュークのショッピングセンター「アムストルアムストル」に対するミサイル攻撃に関与していたとされている。 このほかにもロシアの軍事ブロガーや独立系メディアによれば、ウクライナ東部の自称「ドネツク人民共和国」で第 5 独立自動車化狙撃旅団を指揮していたパベル・クリメンコ少将が先週死亡したということだ。 第一報によればクリメンコはドネツク州のクラスノホリフカ近郊でバイクに乗っていた際にドローン攻撃を受けて死亡した。 (NewsWeek = 11-15-24)


クルスク州にロシア軍・北朝鮮兵 5 万人 数日以内に攻撃か 米報道

米紙ニューヨーク・タイムズは 10 日、ウクライナ軍が越境作戦を展開するロシア南西部クルスク州に、ロシア軍が北朝鮮兵を含む 5 万人を集めたと報じた。 米国とウクライナの当局者の話として伝えた。 ウクライナ当局者は、北朝鮮兵を含むロシア軍側が、数日以内にクルスク州で大規模な反撃を始めるとみているという。

ウクライナ軍は 8 月にクルスク州での越境作戦を開始し、一部を占領した。 同紙によると、ロシア軍は占領された領土の約半分をすでに奪還した。 さらに大規模な作戦を行う準備を整えた模様だという。 ウクライナ当局者は同紙に、北朝鮮兵が攻撃と後方支援の二つのグループに分かれている、との見方を示した。 ウクライナのゼレンスキー大統領は今月 7 日、クルスク州で北朝鮮兵がロシア軍側で戦闘に加わり、犠牲者が出ていると述べていた。 ただ北朝鮮兵は大規模な作戦には従事していなかった。

米国はこれまで、北朝鮮がロシアに約 1 万人の兵士を派遣したと指摘。 北朝鮮兵がロシア軍から砲撃などの訓練を受けているとし、戦闘に加わる可能性を警戒してきた。 (ワシントン・清宮涼、asahi = 11-11-24)


モスクワに過去最大のドローン攻撃 34 機撃墜、空港は一時閉鎖

ロシア国防省は 10 日、ウクライナ軍の大規模なドローン(無人機)攻撃がロシア各地であり、モスクワ郊外では 34 機を撃墜したと発表した。 ロシア独立系メディアは「モスクワへの過去最大のドローン攻撃」と伝えている。 モスクワのソビャニン市長によると、ドローンが飛来したのは、モスクワ南方にあるモスクワ州のドモジェドボやラメンスコエなど。 モスクワの玄関口であるシェレメチェボ空港など複数の空港が一時閉鎖された。

独立系メディアは、中央アジアのウズベキスタンからシェレメチェボ空港に向かっていた民間機が、進路上を飛行するドローンに気づいて回避したと伝えた。 だが、有力紙イズベスチヤは、ロシア最大手アエロフロート航空が情報を否定したと伝えている。 また、モスクワ州知事は、州南東部のスタノボエにドローンが落下して住宅2棟が炎上し、女性 1 人が負傷したとしている。

モスクワへの大規模なドローン攻撃は、20 機が撃墜された今年 9 月以来。 ロシア独立系メディア「シレナ」は、モスクワへの過去最大のドローン攻撃としている。 ロシア国防省によると、モスクワのほかにロシア南西部なども攻撃を受け、計 70 機を撃墜したという。 (asahi = 11-10-24)


ウクライナ、ロシア西部の化学工場に「ドローン攻撃」

ウクライナ保安局 (SBU) は、ロシア西部トゥーラの化学工場をドローン(無人機)で攻撃したと発表した。 ロシア当局は被害を認めていない。 標的はモスクワから南へ約 200 キロ離れた化学工場。 SBU と軍の特殊部隊が攻撃を実行した。 SBU によると、8 日から 9 日にかけて少なくとも 13 機のドローンが同工場に突撃し、爆発とともに煙が立ち上った。 従業員らは避難したという。

主な標的だった火薬製造部門からは、放出された成分を示すオレンジ色の煙が出た。 情報筋によると、同じ地区の火力発電所でも、送電線が損傷する被害が確認された。 SNS には攻撃現場の映像が投稿され、CNN が真偽を確認した。 SBU によれば、この工場ではロシア軍が使う火薬や弾丸が生産されている。 攻撃を受け、ロシア各地で午後 9 時半前後に警報が鳴り響いた。

SBU の情報筋は、ロシア国内でウクライナ侵攻にかかわる施設に対する「包括的な作戦」を展開していると説明。 「武器庫や軍の飛行場、軍需産業を攻撃することにより、ロシア軍がわが国を脅かす能力を低下させることができる」と述べた。 トゥーラ州のミリャエフ知事は 9 日、ウクライナによるドローン攻撃がロシア国防省の防空部隊によって阻止されたとする声明を出したが、化学工場には言及しなかった。 落下した破片で民家 1 棟の窓ガラスが損傷したものの負傷者はなく、事態は収拾されていると主張した。

ロシア国防省も「ウクライナが昨夜、ドローンを使ってロシア領内の施設に対するテロ攻撃を試みたが、阻止された」と発表した。 (CNN = 11-10-24)


ウクライナ各地に相次ぐ攻撃 1 歳児含む 10 人死亡、学校にも被害

ウクライナ各地で 7、8 日、ロシア軍による攻撃が相次ぎ、少なくとも計 10 人が死亡した。 ゼレンスキー大統領は「国際的なレベルで団結した、断固とした対応をとることが重要だ」と訴えた。 ウクライナ空軍によると、ロシア軍は 8 日朝までの 48 時間で、ドローン 198 機と空対地ミサイル 4 発などを使って攻撃。 空軍はそのうち、ドローン 136 機とミサイル全 4 発を撃墜したという。 政府機関や各地の当局によると、7 日に攻撃を受けた中南部ザポリージャでは、1 歳の男児を含む 9 人が死亡した。 負傷者は子ども 4 人を含む 42 人に及ぶという。

南部の港湾都市オデーサも 7 日深夜に攻撃され、学校が損壊したほか、民家 20 軒以上が被害を受けた。 これまでに車を運転していた男性 1 人の死亡と、9 人の負傷が確認されたという。 北東部にあるウクライナ第 2 の都市、ハルキウでは 8 日未明に 12 階建ての集合住宅が攻撃され、生後 3 カ月の男児を含む 25 人がけがを負った。 地下鉄の出入り口4カ所も損壊した。 キーウ州ではドローンの残骸が落下したことで火災が発生。 トラック数台が燃え、運転手 4 人が負傷したという。

首都キーウでは 7 日朝まで 8 時間、8 日朝まで9時間 56 分にわたって空襲警報が出されたが、8 日昼までに人的被害は確認されていない。 (キーウ・藤原学思、asahi = 11-8-24)


「北朝鮮兵が戦闘に初参加」 4 日にロシア南西部で ウクライナ当局

ウクライナ当局者は 7 日、朝日新聞の取材に対し、ロシアに派遣された北朝鮮兵がウクライナ軍との戦闘に初めて参加したと明らかにした。 現場はウクライナ軍が越境攻撃を展開しているロシア南西部クルスク州で、4 日に参加したとしている。 北朝鮮兵に死者が出たかどうかは「確認できない」という。 北朝鮮兵とウクライナ軍との衝突に関する情報は複数、流れている。 米紙ニューヨーク・タイムズは 5 日、クルスク州でウクライナ軍と北朝鮮兵が初めて衝突し、「かなりの数の北朝鮮兵が死亡した」と米高官が語った、と報じていた。

だが、交戦は限定的な規模だったともしており、韓国大統領府の高官も 6 日、北朝鮮兵が参加した本格的な戦闘はまだ始まっていないとの認識を示した。 ただ、戦闘に参加する準備は着々と進めているようだ。 ウクライナ国家安全保障防衛会議傘下「偽情報対策センター」のコワレンコ所長は 5 日、北朝鮮兵が「近代戦の訓練」を受けていると主張した。 ロシアの軍服を着て、自爆用や偵察用などのドローン(無人機)の使い方を学んでいるという。

韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は 7 日の記者会見で、北朝鮮兵が現場で現代戦の経験を積めば、韓国の安全保障にとって致命的な問題になる可能性があると指摘。 北朝鮮兵の関与の程度に応じて段階別にウクライナへの支援を変えていくとし、武器支援も排除しない考えを改めて示した。(キーウ・藤原学思、ソウル・貝瀬秋彦、asahi = 11-7-24)

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「北朝鮮兵と小規模な交戦」 ウクライナ国防相、韓国のテレビ局に

韓国の KBS テレビは 5 日、ウクライナのウメロウ国防相とのインタビューで、ロシアに派遣されている北朝鮮兵とウクライナ軍の間で初の交戦があったことをウメロウ氏が確認したと報じた。 ただ、すべての兵力が動員された体系的な水準の交戦ではなく、小規模なものだったという。 北朝鮮兵は、ロシアのモンゴル系少数民族のブリヤート人に偽装してロシア軍に交じっているといい、交戦がいつ、どこで起きたかについては言及がなかった。 ウメロウ氏は「数週間後にはより多くの交戦があるとみており、それに応じて分析と検討を進める」と述べ、最大で 1 万 5 千人の北朝鮮兵が配置される可能性があるとの見方も示したという。

一方、米国防総省のライダー報道官は 4 日の記者会見で、ウクライナとの戦闘にすでに参加したと示唆する報道について「現時点では裏付けられない」と述べた。 ライダー氏は、ロシア国内にいる北朝鮮兵は 1 万 1 千 - 1 万 2 千人程度で、このうち少なくとも 1 万人がロシア南西部クルスク州にいるとの見方を明らかにしたが、戦闘への参加については認定しなかった。 ウクライナ国家安全保障防衛会議傘下の「偽情報対策センター」でトップを務めるコワレンコ氏は 4 日、ウクライナと隣接するクルスク州で北朝鮮兵が「すでに攻撃を受けている」と SNS に記し、これをメディアが報じていた。

ロシアのプーチン大統領は 4 日、モスクワを訪れている北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外相と会談した。 北朝鮮兵の派遣をめぐる問題や金正恩(キムジョンウン)総書記のモスクワ訪問などを協議した可能性があるが、公開された映像では言及はなかった。 崔氏は「総書記からの深く誠実な同志のあいさつを伝えることを光栄に思う」と述べ、プーチン氏も「よろしくお伝えください」と返して席に着いた。

主要7カ国 (G7) や韓国、豪州の外相らは 5 日、ロシアへの北朝鮮部隊の派遣に関して「重大な懸念を表明する」としたうえで、北朝鮮に対し「ロシアの侵略戦争に支援を提供することを止めるよう強く求める」とする共同声明を発表した。 (ソウル・貝瀬秋彦、ワシントン・下司佳代子、asahi = 11-5-24)

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「北朝鮮兵、クルスク州で攻撃受けた」ウクライナ当局者が SNS 投稿

ウクライナ国家安全保障防衛会議傘下の「偽情報対策センター」でトップを務めるコバレンコ氏は 4 日、ウクライナと国境を接するロシア南西部クルスク州で、北朝鮮兵が「すでに攻撃を受けている」とSNSに記した。 同州ではウクライナ軍が越境作戦を展開しており、米国は州内に 8 千人の北朝鮮兵が駐留していると指摘している。 コバレンコ氏は「クルスク州で、最初の北朝鮮兵がすでに攻撃を受けている」と主張。ただ、詳細については一切触れておらず、現時点で他の当局者や他国から、北朝鮮兵が戦闘に参加したとの発表はない。

一方、ウクライナ国防省情報総局は 2 日、北朝鮮兵 7 千人は 10 月の最終週に、ロシア軍の輸送機 28 機に乗ってウクライナとの国境付近に移動したと指摘した。 北朝鮮兵はロシア軍内で「特別なブリヤート人」と呼ばれ、迫 撃砲や機関銃、狙撃銃や対戦車ミサイルといった兵器のほか、照準器や双眼鏡、暗視装置が供与されたとしている。 (藤原学思、asahi = 11-4-24)


北朝鮮は 50 年前の東独 「戦死者出れば困難な事態に」独経済学者

北朝鮮がロシアに派兵しました。 約 20 年にわたり、北朝鮮に有機農法や山林復元などで協力してきたドイツのハンス・ザイデル財団韓国事務所のベルンハルト・ゼリガー代表は、「北朝鮮兵に多数の死傷者が出れば、北朝鮮は非常に困難な状況に陥る」と語ります。

北朝鮮は 15 日、南北連結道路の一部を爆破しました。

爆破を攻撃的な行動だと感じた人もいるでしょうが、北朝鮮は韓国による影響を本当に恐れています。 だから、「もう統一したくない」と主張しているのです。 「お前たちは私たちの敵だ」という主張は、1970 年代にドイツで起きたことを連想させます。 当時の東ドイツは、経済的に西ドイツを追い抜けず、政治的にも自分たちに魅力がないことを理解しました。 人々が国から逃げ出したからです。 このため、東ドイツは「私たちは今や二つの国家だ」と主張したのです。

北朝鮮も同じことを言っています。 北朝鮮の若者たちは韓国の音楽、髪形、言葉づかいなどに非常にひかれています。 北朝鮮はこの動きを阻止するために、すべての連結路を分離しようとするのです。 (南北軍事境界線付近では)宣伝戦を仕掛けています。 私も数週間前に境界線付近で鳥類の調査をしたのですが、韓国側から音楽などが流れ、北朝鮮側からは、金属をこするような音、機械音、サイレン、泣き声などが流れていました。付近に住んでいる人々をいたたまれなくする音です。 本当に完全に分離しようとしているのです。

なぜ、北朝鮮は国際支援を拒むのか

北朝鮮は、新型コロナウイルスや災害に対する国際社会の支援を受け入れません。

今年、北朝鮮が水害に見舞われました。 最大 1 万 5 千人が罹災したという情報すらあります。 でも、北朝鮮はロシアからの援助さえ公式には受け入れませんでした。 北朝鮮は「何でも自分たちでできるし、人々を守れる」と強調したいのでしょう。 それと同時に、不信感があります。 外国人が入れば、常に現場の状況を示す写真が流れます。 外国からの援助が入れば、携帯電話で写真を撮り、外に情報が流れます。 情報の流れを制御することが主な理由だったと思います。

ハンス・ザイデル財団は、北朝鮮でどのような協力をしてきたのですか。

私たちは、経済や研修分野のプロジェクトで 20 年以上の協力関係を築いてきました。 災害に関わる非常に重要な分野である森林、湿地、環境などの支援を手掛けています。 植樹は洪水を防ぐために非常に重要な事業です。 コロナ禍以降、北朝鮮内での活動は不可能になりましたが、3 年前からオンライン研修を始めました。 2 週間前にも実施したところです。 アフリカ豚熱への対応や環境保護などについて研修を行っています。

北朝鮮の人々は国際社会の支援や協力についてどのように考えているのでしょうか。

私の解釈ですが、北朝鮮の一部の人たちは、新型コロナウイルスの感染拡大の時期、「隔離されることはそれほど悪くない」と考えたようです。 北朝鮮にとって不都合なニュースや写真が国外に流出することもはるかに少なくなりました。 一方、(事業に協力した)北朝鮮の人々は私たちに(国境封鎖前の最後の訪朝の際)、「国境が再び開くのがいつになるかはわかりませんが、最初に戻ってくるのはあなたです」と言いました。 パートナーへの感謝の気持ちを示したことは、人々がパートナーと協力したいと思っている証拠だと思います。

北朝鮮はロシアに派兵しました。

北朝鮮の参戦が事実であれば、確実に紛争を悪化させるでしょう。 私は将校でも軍事戦略家でもありませんが、ロシア軍が北朝鮮兵を統合するのは、非常に難しいでしょう。 ロシアはかつて、主に極東で徴兵した兵士に十分な装備も与えず、ウクライナの拠点の位置を調べるためだけに投入し、大規模な死傷者を生みました。

もし、ウクライナで北朝鮮軍の死傷者が出始めたら、間違いなく、北朝鮮政府は非常に困難な事態に陥るでしょう。 ロシアは現在、北朝鮮に関心があります。 北朝鮮が戦争でロシアを助けているからです。 しかし、米国でトランプ政権が誕生すれば、ウクライナでの戦争を終わらせようとするかもしれません。 ロシアがもはや北朝鮮を必要としなくなることを意味するでしょう。

「北朝鮮は、ロシアが渡したカネで中国から商品を買う」

北朝鮮と中国の関係をどうみますか。

中国さえも北朝鮮との結びつきがかなり弱まっています。 ただ、北朝鮮が輸入する商品は、事実上、すべて中国から来ています。 ロシア人が文句を言っているのを聞いたことがあります。 ロシアが北朝鮮に金を渡しても、北朝鮮は中国で商品を購入するのです。

携帯電話を利用する北朝鮮市民が増えています。

非常に良いことです。 テクノロジーは人々に力を与えます。 北朝鮮の普通の人々は政治権力も経済力も持っていません。 でも、携帯があれば、一定の情報力を持ちます。 昔は災害に関するニュースはほとんどありませんでした。 今日では、この種のニュースは、もはや隠せません。 北朝鮮は今回の水害の被災者に住宅を提供するなど、オープンに対処しました。 全国の人々が情報を持っているから、政府は国民のために、何かをしなければならなくなるのです。

私は経済学者ですから、常に需要と供給の理想的なシステムについて考えます。 より良い情報があれば、人々を結び付け、困っている人々を助けるうえでも役立ちます。 非常に前向きな進展だと思います。

北朝鮮市民は自分たちの社会をどう考えているのでしょうか。

20 年前と比べると考え方が完全に変わったのかもしれません。 人々は経済的にも自立しています。 配給ではなく、市場などを通じて生き残るための他の方法を持っているからです。

ただ、経済制裁が本格的に発効した 2018 年以降、経済状況は極度に悪化しました。 世界食糧計画の電話調査に対し、「食料が足りない」と答えた人が、18 年当時は 3% 程度だったのに、21 年には 70% 以上に上りました。 通常、収穫直後はコメの価格が下がるのですが、今年は価格が上がっているようです。 特に地方の人々は非常に苦労しているようです。 (聞き手・牧野愛博、asahi = 11-3-24)

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