... - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10 - 11 - 12 - 13 - 14 - ...

(9)

巨大台風の高潮浸水、23 区の 3 分の 1 東京都が想定図

東京都は 30 日、東京湾周辺が巨大台風に襲われた場合の高潮による浸水想定図を初めて公表した。 都内 23 区のうち 17 区で浸水が発生し、深さは最大で約 10 メートルに達すると想定。浸水区域内の昼間人口は約 395 万人(夜間人口 325 万人)に上る。 都や区は想定を基に避難対策を充実させる。 高潮の浸水想定はこれまで国の中央防災会議が公表。 2010 年の試算で、東京湾全体の浸水区域内人口は約 140 万人とされた。 2015 年改正の水防法は高潮による浸水地域の指定を自治体に義務づけた。 近年、海外で大規模な高潮災害が発生しているため、最大規模の台風を想定するよう求めている。

都は 1934 年の室戸台風級の規模(910 ヘクトパスカル)で、59 年の伊勢湾台風並の速さ(時速 73 キロ)で進む「1 千年 - 5 千年に 1 度」の台風が東京湾周辺を通ると想定。 その場合、東京湾につながる河川の水面が上昇し、23 区の 3 分の 1 に相当する約 212 平方キロが浸水し、水が 1 週間以上引かない地域もある。 東部地域の被害が目立ち、墨田区の 99%、葛飾区の 98% が浸水。 江東区では 68% が浸水し、区役所周辺の浸水深が 2 階建て建物に相当する 6 メートル近くに達する。 葛飾、江東、中央の 3 区の一部で浸水深が最大 10 メートルになる場所もあるという。

今回の想定では、死傷者や建物、インフラの被害を試算していない。 都港湾局によると、東京湾の地形は台風で海面が上昇しやすい。 東京は高潮の方が津波より浸水が広がる可能性が高いという。 担当者は「防災意識を高めてほしい」としている。 浸水想定図は都港湾局のホームページで見ることができる。 (石井潤一郎、asahi = 3-31-18)


渋谷の跡地に再び東急プラザ 来年秋 高感度な大人向け

東急不動産は 7 日、東京都渋谷区の渋谷駅西口にかつてあった商業ビル「東急プラザ渋谷」の跡地に、再び東急プラザをつくると発表した。 2019 年秋の開業予定で「高感度な大人向け」の店を集めた施設にするという。

跡地や周辺の計 3,330 平方メートルに建設中の地下 4 階、地上 18 階のビルの 2 - 8 階と 17 - 18 階に入る。 「都会派の感度が成熟した大人たち(同社)」に合わせてテナントを選ぶという。 1 階は空港リムジンバスも乗り入れるバスターミナルにし、訪日外国人客も取り込む。 旧東急プラザ渋谷には書店やレストランが入り、15 年まで 49 年間にわたって営業していた。 同社の担当者は「渋谷というと若い人のイメージが強いが、高齢化社会を見据え、大人が楽しめる施設にする」と話している。 (森田岳穂、asahi = 3-8-18)

前 報 (8-1-15)


「回遊性高まる」は本当? 迷宮消える下北沢、埋没懸念

演劇やファッションの街として知られる東京・下北沢。 下北沢駅に新しい地下ホームができ、京王電鉄の井の頭線と交わる新駅舎や駅前広場も建設が進む。 独特の雑多さが魅力の街は、どう変わるのか。 「地上の小田急の線路がなくなり、駅舎が駅前広場と直結することで、街の回遊性も高まる」と、小田急、京王両社の広報担当者は口をそろえる。

下北沢駅のホームは 2013 年、小田急の一部複々線化で地下約 22 メートルの地下 2 階に潜った。 複々線化の完成で、3 日からは主に東京メトロ千代田線への直通電車や各駅停車が地下 1 階の新ホームを使う 2 層構造になる。 新駅舎の工事も進んでいる。 地上の線路跡地の整備と合わせ、世田谷区が進める駅前広場の整備も本格化。 戦後の闇市の面影を残し、数坪の居酒屋や食料品店などが密集していた「下北沢駅前食品市場」も大部分が撤去され、1 月に最後の店が営業を終えた。

「地下深く潜って駅自体が不便になると、気軽に立ち寄る人が少なくなって、やがて街自体が敬遠されるんじゃないか。」 地元でバーを営む下平憲治さん (56) は、駅周辺に立ち並ぶ巨大なクレーンの前で腕を組んだ。 下北沢で幅 26 メートルの都道建設を伴う再開発計画が浮上した 2006 年、「高層ビルが建ち、どこにでもある街になる」と商店主らと反対運動を起こした。 道路計画は大部分は凍結されたが、駅前広場にあたる部分など一部は着工された。 「大規模商業施設やオフィスがない下北沢は、個人店の個性が魅力。 気軽に立ち寄る人を引きつける魅力が、駅前にないと厳しい。」と、気をもむ。

改札分離、消えゆく「カオス」

来年 3 月までに完成予定の新駅舎では、小田急と京王の改札口が分離され、乗り換えは双方の改札口を計 2 回通ることになる。これまでは乗り換え口に改札がなく、鉄道会社は別でも駅は事実上一体だった。 「どの入り口から入っても何線にも乗れる。 自由でカオスなシモキタの街を象徴する駅の構造だった。」 駅北側にあった鮮魚店の 3 代目、柏雅康さん (56) は愛着を込めて話す。

いつからそうだったのか。小田急、京王の両社にも正式な記録はない。 小田急線の下北沢駅は 1927 年、井の頭線は 33 年に開業。 京王井の頭線の前身の旧帝都電鉄社長は小田急の前身の小田原急行鉄道社長が兼務しており、戦時中の 40 年には小田原急行鉄道と合併するなど関係が深かったことが理由とみられる。 両社は「これまで切符の買い間違いや乗り間違いが発生していた。 改札の分離で、より分かりやすい駅になる。」と強調する。

鉄道会社にとっては「運賃計算が複雑になることを防ぐ(小田急)」という狙いもある。 例えば北千住駅(足立区)で乗って改札を通らずに明大前駅(世田谷区)で降りた場合、地下鉄との相互直通運転などの関係で、現状では複数のルートが存在する。 IC カード乗車券で利用者から徴収するのは、そのうち最も安い運賃だ。 関東運輸局によると、首都圏で同様の構造を持つのは京急・JR 東日本の八丁畷駅(川崎市)、相鉄・小田急の大和駅(神奈川県大和市)、都営地下鉄・東京メトロの九段下駅(千代田区)など。 大和駅は 19 年度にも相鉄が東急への直通運転を開始するため、3 月に連絡改札が設置される。

下北沢で生まれ育ち、街の変化を見続けてきた元商店会長の吉田圀吉さん (82) は、「店の代替わりでチェーン店が増えた。 駅の地下化や改札の新設で降りるのが不便になり、人の流れが変わると、お客さんはそのまま新宿や渋谷に流れてしまう。 『どこにでもある街』ではない新しい魅力を、若い人を中心に作り出してほしい。」と話す。 (吉野太一郎、asahi = 3-3-18)

◇ ◇ ◇

小田急、複々線の運行開始 代々木上原 - 登戸で工事完了

通勤ラッシュの緩和のため、小田急電鉄が 29 年かけて進めてきた複々線化工事が完了し、代々木上原(東京都渋谷区) - 登戸(川崎市)間の 11.7 キロで 3 日に運転が始まった。 17 日から複々線を生かした新しいダイヤで運行し、混雑率の大幅な緩和などを見込む。 この日早朝、複々線化に合わせて地下化された下北沢駅(東京都世田谷区)の地下 1 階ホームでは、小田急関係者ら約 40 人が出席し、開通式が開かれた。 初めてこのホームに入った上り電車の出発に合わせてテープカットした同社の星野晃司社長は「大工事が完了し感無量。 新たな小田急のスタートです。」と話した。

東京・多摩や神奈川から都心へのアクセスを担う小田急線は、長年「混む上に遅い」と言われてきた。 世田谷代田 - 下北沢間のラッシュ時の混雑率はここ 10 年ほど 190% 前後で推移。 2016 年度は 192% で首都圏の主要 31 区間でワースト 3 だった。 複々線化で、各駅停車と急行などが別の線路を走れるようになる。 新ダイヤでのラッシュ時の輸送力は約 40% 増。 混雑率は 150% 程度まで緩和すると見込む。 通勤時間帯の快速急行の増発などで、新宿までの所要時間は町田から最大 12 分、小田急多摩センターから最大 14 分短縮される。(千葉雄高、asahi = 3-3-17)

小田急複々線化 : 通勤ラッシュの緩和などを目的に、小田急電鉄は代々木上原 - 登戸の 11.7 キロで上下の線路を各 2 本計 4 本にする複々線化を進めてきた。 1989 年に、東京都が進める連続立体交差事業と一体で、東北沢 - 和泉多摩川の 10.4 キロに着工。 今回、残っていた東北沢 - 梅ケ丘の地下区間 1.6 キロの工事が完成した。


アルマーニ導入の小学校長、保護者に謝罪 不満特になし

イタリアの高級ブランド「アルマーニ」がデザインを監修した新標準服を新 1 年生から導入する東京・銀座の中央区立泰明小学校は 27 日夕、保護者説明会を開いた。 和田利次校長が、混乱が生じたことや児童の安全・安心に不安を招いたことを保護者らに謝罪した。 区が 28 日、ホームページで公表した。 同校では、新標準服の導入が注目された後、児童が通行人に服をつままれたり、心ない言葉をかけられたりする事案が発生。 保護者らの不安が高まっていた。 区によると、アルマーニ側からも児童の安全確保や、保護者への経緯説明を区教委に求められていたこともあり、対応を検討したうえで説明会を開いた。

区によると、説明会は在校生 336 人の保護者らが対象で、98 人が出席。和田校長は会の冒頭で謝罪した。 保護者らからは「子どもたちが安全・安心に教育を受けられるか」、「不審者が校内に侵入するのでは」といった不安の声があがったという。 学校側は、教職員や区教委職員による通学路の見守りや地元警察の見回りに加え、26 日から民間警備会社が通学路や学校の警備をしていると説明。 警備員は登校時と帰宅時に 4 人ずつで、区が費用を負担するという。

学校や区によると、安全な通学方法などを確認するため、校長らが新 1 年生 60 人の保護者と個別面談を進めている。 区の説明では、すでにほとんどの保護者との面談を終えたが、新標準服への不満の声は特に上がっていないという。 同校の新標準服導入について、27 日時点で全国から計 659 件の意見が区に寄せられており、大半は「高価で公立小にふさわしくない」、「児童の安全は確保できるのか」といった否定的な内容という。 (西本ゆか、asahi = 2-28-18)

◇ ◇ ◇

公立小「アルマーニデザインの標準服」を導入 校長の独断、全部で 9 万円、親から批判も

「大人の思惑ばかりが先立ち、子どもが置き去りにされている」

2 月は、春に入学を控えた子供の制服の注文や支払いが本格化するシーズンだ。 東京都中央区に住む女性も、子どもの制服を買いに、デパートへ出向いた。 子どもが入学を予定している区立泰明小学校(和田利次校長)では、今春入学する 1 年生から、新しい標準服(制服)に切り替える。 イタリアの高級ブランド「アルマーニ」に依頼してデザインを監修してもらったものだ。

洗い替えのシャツまでそろえると、全部で 9 万円だった。 学校の説明によると、いまの標準服は、上着、長袖シャツ、ズボン、帽子をそろえて男子で 1 万 7,755 円、女子で 1 万 9,277 円。 夏服が加わったこともあり、洗替えの価格を加えても、3 倍以上の値上がりとみられる。 子どもは身長 120 センチに満たないが、上着は 130 センチ、下は 140センチのサイズを買った。 「大きすぎてかわいそうだと思ったけれど、高いので少しでも買い替えの回数を減らしたい。 いまの制服と同じくらいの値段なら、本人のサイズにあったものを買ってあげられたのだけれど。」

同小学校は、中央区の「特認校」の一つだ。 銀座 5 丁目という繁華街の一角に校舎があり、今年で 140 周年を迎える。 本来なら、公立学校は指定された通学区域に住む子どもが通うが、商業地域で住んでいる子どもが少ないなどの事情がある「特認校」は、区内全域から児童を受け入れている。 女性が、新標準服がアルマーニのデザインになるようだと耳にしたのは、2017 年夏、同じ小学校に入る予定の保護者たちからだ。

「驚きました。 公立小学校の制服なのに、なぜそんな高級ブランドのデザインを選んだのかって。」 他の保護者たちと「制服なのに高いよね」と言い合った。 それ以来、女性は「ずっともやもやしている」という。 「価格だけがおかしいのではない。 高いブランドの標準服を子どもに着せること自体、よいことだと思いません。 この服を着て、校庭で遊ぶこともあるでしょう。 高いものを着せて、子どもらしい生活に制限が生まれないでしょうか。 大人の思惑ばかりが先立ち、子どもが置き去りにされていると思います。」

「わざわざブランドを選ばずに、素材の良さで選ぶこともできたはず。 高いからいいもの、安いのはダメ、という間違った刷り込みが子どもの中に生まれないか心配しています。」 「この制服に決まるまでの経緯や理由がまったく見えず、唐突でした。 保護者向けの校長の文書も読みましたが、何がやりたいのか分かりませんでした。」

9 月に公表

学校や区教委に、新しい標準服に決まるまでの経緯を取材した。 泰明小学校が、新標準服の検討を始めたのは 2015 年ごろからだったという。 だが、入学希望者の保護者に初めて新標準服に切り替えると公表したのは、入学まで半年を控えた、2017 年 9 月 22 日。 在校生に伝えたのも 9 月 4 日だった。

新しい標準服について、校長はこう説明する。 「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環。」 「これまでの歴史や伝統を守りつつ、小学校での『英語教育の導入』や、『地域との密接な連携』という新しい教育プログラムの導入と並行して行われていく泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある。」 「学校とは、学問だけでなく、倫理的な考え方や、集団生活でのあり方も同時に学ぶ場であると考えている。 『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい。」

校長がひとりで決めた

学校制服の決め方に、特段のルールはない。 だが、近年は、学校関係者、保護者、地域住民などを交えた協議の組織を立ち上げ、保護者や生徒に素材や値段、デザインについての希望を聞くアンケートをとり、結果なども踏まえて、製造業者が複数集まったコンペでの提案から選ぶのが一般的だ。 だが、同校では、協議の組織や事前調査はなかった。 和田校長がほぼ単独で働きかけ、決めたのだという。

なぜ校長一人で決めたのか。 和田校長はハフポスト日本版の取材にメールでこう説明した。 「新標準服の導入は、泰明小学校の現在の教育状況を見つめ直し、泰明のよさを残しながらも、これからの時代に対応できる教育の具現化を目指し、教職員、児童の意識改変のために、学校の方針として必要であると判断して決めた。 従って、校務をつかさどる校長が決定した。 PTA の関わりは、おおよそのことが決まってから、PTA 会長や役員の方々にご報告をいたしましたので、選定過程で関わることはなかった。」

なぜアルマーニ社なのか。

「銀座に本社を構える海外ブランドの一つ。 実際に、銀座にある百貨店にも、店舗内の服飾事業者と提携できないものか、また、数社の服飾事業者にも相談したが、『服育』という教育方針に賛同し、本社の協力体制が得られそうだという意思表示をしてくださったのがアルマーニ社だったので、デザインの監修をお願いした。 アルマーニ社は子供服も手掛けており、実用性と機能性を重視した標準服を制作するにあたりふさわしい事業者だと思っている。」

なぜ、新標準服への切り替えを 2017 年秋まで公表しなかったのか。

「公表できなかったという表現が合っているかと思う。 アルマーニ社は最初、検討をしてみますということだった。 社の決済システムは詳らかには分からないが、検討を始めて、デザインや縫製、販売ルートの確保など、それぞれに時間がかかったのではないかと推察している。 とにかく、販売も合わせてできそうだと報告いただくまで、確かなお話となるまで公表できなかった。」

保護者からの意見は。

「平成 30 年度入学の保護者からは、新標準服の導入を進めていただきたいという意見はいただいているが、それ以外のご意見はいただいてない。 また、在校生の保護者からは、価格等について批判の意見もあったが、新標準服導入について肯定的なご意見もいただいている。」

教育委員会の判断は?

中央区教育委員会は、泰明小の決定にどう関わったのか。 伊藤孝志・庶務課長によると、小学校の和田校長から新標準服について「アルマーニ社がデザインする」と区教委に直接説明があったのは、2017 年夏前だったという。 伊藤課長はこう説明する。 「標準服は、各校の教員や PTA、保護者など、いろんな人が関わり、決めていくべきもの。卒業生などが幅広くデザインや価格についてよく話し合って決めるように、と伝えた。」 「標準服は、地域で決めるものだと考え、その後は特段関与しなかった。」

寄せられた苦情

ところが、新しい服が公表された後の 10 月になると、何件かの苦情が保護者から区教委に寄せられた。 「価格が高い。」 「きょうだいがいるので負担がかかる。」 「これまでの決定に至るまでの説明が不足している。」 「そもそも変更の理由が理解できない。」 - - といった意見だった。

こうしたことを踏まえ、伊藤課長は「校長を中心に説明や意見をかわしながら決定のプロセスをすすめてきたと思っていた。 だが、数件とはいえ、(苦情が)出てきたのはそこまでのプロセスでは、十分に意見を交わしていなかったのだと認識した。 教育委員会としてとった(学校との)距離感に反省点がある。」と話す。 10 月になっても、価格ははっきり決まっていなかった。 教育委員会は 10 月、和田校長に保護者に事情を改めて説明し、不安を払拭するよう伝えた。 和田校長も標準服についての思いを保護者に宛てて文書にまとめると教育委員会に答えた。

そして 11 月、「平成 30 年度からの標準服の変更にあたって」と題した長い文書が在校生の保護者に配られた。 ハフポストの取材に対し、校長は経緯を振り返り、次のように答えている。 「校長としては学校経営方針のもと、適切に進めてきたと考えておりましたが、教育委員会から、標準服の変更に関する情報提供が不十分であり、保護者を始め関係の方々へ十分説明をするよう指導を受けました。 振り返ってみると必ずしも十分とはいえなかったと考えています。」

制服の負担感

泰明小学校が、価格の高いブランドの標準服を選んだことは、特殊な事例だからと簡単に片付けられない。 日本の公教育が本腰で改善してこなかった「保護者負担(私費負担)」の課題が浮き彫りになっているからだ。

1 つ目は、合意形成、説明責任のプロセスの欠如だ。 「標準服」は、絶対にそれを着なければいけない、という位置づけのものではない。 しかし、子どもを通わせる親にとっては、事実上買わなければいけないと思わせる点で、「制服」とほとんど同じ意味を持っている。 今回も、保護者がお金を出して買わなければならない物品でありながら、業者からデザイン、価格などの選考・決定に、保護者がまったく関わることができないまま、校長の一存で決められてしまった。 議論の場すら与えられていない。

2 つ目は、多様な子どもを受け入れている公立の学校で、高価格のものを標準服に決めたことの妥当性だ。 高額な標準服は、それがハードルになって入学を阻む、「逆選抜」を引き起こす危険性もある。 仮にこれが、税金を元手に購入する物品だったら、こんなプロセスはいまどき許されない。 当然、議会のチェックを受け、金額の妥当性、高級ブランドの標準服を公立学校の子どもに着せるべきかどうか、教育上の妥当性が問われただろう。

公立学校の事務職員を長く務めた経験を持つ、「教育行財政研究所」主宰の中村文夫さんは、泰明小学校のケースについてこうみる。

「校長が服装による教育効果を強調していることは、標準服も『教材』の一つとして見なしていることがうかがえる。 文部科学省は『学校における補助教材の適切な取扱について』という教育委員会向けの通知で、『補助教材の購入に関して保護者等に経済的負担が生じる場合は、その負担が過剰なものとならないように留意すること』と求めています。 同様のことは『中央区立学校の管理運営に関する規則』第 33 条第 2 項にも記されている。 また、校長は教材の選定に当っては教育委員会に承認または届け出を要すると記されている。」

「この趣旨をふまえるなら、普通教育を税金で実施している義務教育の区立小学校で、高額の標準服で『服育』をするという校長の判断はバランスを欠いた試みと言えます。 貧富の差なく誰でもが学べることが本筋の公立学校にあって、価格の高い標準服は、中間層の保護者も含め、特認校を選ぶ際の壁になるのではないでしょうか。 中央区には、就学援助費の支給対象となる「要保護、準要保護児童」は、13.19% にあたる 577 人(2014 年度文部科学省調査)いる。 誰一人として『服育』によって排除することは許されません。」

海外では ...

日本では、制服選びが、基本的に学校の判断に任せられてきた。 文科省は、制服の選び方や決め方について、特に通知や案内をしていない。 一方、海外では、制服の取り扱いについて、政府が指針を示している国もある。 多くの学校に制服があるイギリスでは、2013 年 9 月、自治体や政府関係者、教職員に向けた「制服ガイダンス」をまとめた。 その中で、「制服を大幅に変える際には、保護者や生徒の見解を取り入れる」などと強く薦めている。

また、「価格考慮の重要性」という章では以下のように明記している。 「価格ゆえに、生徒やその家族が入学を申し込めない、通えないと感じてしまわないよう、高すぎてはいけない。 従って学校運営組織は、価格について最優先に考慮するべきだ。」 「ブランドアイテムの強制は最小限にとどめ、高額なコートなど、高価なアイテムの指定は避けるべきだ」などとしている。 また、2015 年には「学校の制服価格」についての調査レポートもまとめている。

つまり、学校が制服を選ぶ際の基本的な考え方を、政府が「ガイダンス」として示しているのだ。 保護者の関わりや価格の考慮は、「踏まえておくべき点」として、そのなかで明記されている。 かたや日本はどうか。

文部科学省に尋ねると、過去に同様の通知などはないという。 学校が選んだ制服を、一方的に買わされる。 そこに異論が差し挟めないというのは、消費者問題の構図に近い。 そのため、2017 年 11 月、公正取引委員会が、公立中学の制服の取引実態に関する報告書をまとめている。 報告書は、全国約 450 の公立中の制服の価格や販売状況を分析し、制服価格はこの 10 年で 5,000 円ほど値上がりしていることを指摘。 さらに一歩踏み込んで、「制服を安くする方法」も提案した。

制服という「保護者負担」は、古くて新しい問題だ。 「子どもの貧困」に立ち向かう最前線として、学校の重要性は増すばかり。 なのに、もっとも重い「保護者負担」の一つ、制服についての議論は不足している。 学校制服の負担額は、いくらぐらいが妥当なのか。 そして、制服はそもそも何のために必要なのか。 こうした問題に正面から向き合う時期に来ている。

ハフポストでは、制服の価格が妥当なのか、制服は何のために必要なのか、決定までのプロセスの透明性について考えます。 Twitter のハッシュタグ #制服を考える か masako.kinkozan@huffpost.com に声をお寄せ下さい。 (錦光山雅子、M田理央、Huffpost = 2-8-18)


都、都立病院の独法化検討開始 医療維持と効率化並立狙う

東京都は 26 日、都立病院の次期中期計画の素案をまとめ、直営から独立行政法人への移行の検討を始める。 救急や感染症など政策的に必要な医療を維持するため、経営効率を高めるのが狙いだ。 「都立病院新改革実行プラン(仮称)」は 2018 - 23 年度の 6 カ年の計画。 地域医療への貢献などの機能向上を掲げ、柔軟に病院を運営できるよう経営形態の見直しに着手する。 (nikkei = 2-26-18)


大地震で火災の危険性、東京 4 割減 都がマップ公表

東京都は 15 日、大規模地震で被災する危険度を町・丁目別に 5 段階で示した地図を公表した。 都によると、耐震性の高い建物が増えたことなどで、前回の 2013 年の分析時より危険度は下がったものの、木造住宅や狭い道路の多い 23 区東部など危険度の高い地域はまだ少なくない。 1975 年から原則 5 年おきに実施する地域危険度測定調査で、都内の市街化区域内の 5,177 地域について、最大で震度 6 強の揺れによる建物倒壊や火災の危険度を相対評価した。 地盤の強さ、建物の構造、建物の密集度、道路の広さ、石油ストーブの保有数などをもとに危険性を数値化して分析した。

その結果、都全体では、前回より建物倒壊の危険性は平均約 2 割、火災は同約 4 割減った。 住宅密集地で再開発が進み、道幅が広がったり、耐火性能の高い住宅が増えたりした影響という。 危険度は最も高い「5」が 85 地域 (1.6%) で、23 区東部の荒川、足立、墨田の 3 区が約半数。 地盤が軟弱なほか、建築基準法改正で耐震性が義務化された 1981 年以前の木造住宅が多い。

「4」は 287 地域 (5.6%) で、23 区東部のほかに大田区や中野区など。 「3」は 820 地域 (15.8%) だった。 都内の地価上昇を背景に、新しい住宅が多い地域でも密集化が進んで前回より危険度が高まった場合もあるという。 調査結果は、都都市整備局のウェブサイトで 15 日から見られる。 (石井潤一郎、asahi = 2-15-18)


首都高通行止め、全面解除はあす昼か 雪対応、社長謝罪

首都高速道路の宮田年耕(としたか)社長は 25 日会見し、22 日の降雪で広範囲での通行止めや長時間の立ち往生が生じたことについて、「見通しが甘く、多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。 原因を検証し、2 週間程度で暫定的な再発防止策をまとめるという。 中央環状線の西新宿ジャンクション(東京都渋谷区)の山手トンネル出口の上り坂では 22 日、午後 7 時半ごろから 2 台のトレーラーが相次いで立ち往生し、最大で 12 キロにわたって車が滞留。 解消に約 10 時間かかった。 他にも 2 カ所で 10 時間を超える滞留があった。

同社は過去の経験から雪による立ち往生のおそれがある場所に職員を派遣して監視していたが、この場所は対象外。 午後 8 時半まで事態を把握していなかった。 通行止めは全長 320 キロのうち、最大で 230 キロに及び、25 日午後 5 時時点でも 5 号池袋線などが不通のまま。 26 日昼までに全面開通を目指すという。 宮田社長は「過去の積雪対応の経験でかえって対応を誤った部分もあった。 改めて課題を抽出したい。」と述べた。 (千葉雄高、asahi = 1-25-18)

◇ ◇ ◇

山手トンネルの渋滞、10 時間立ち往生 雪で首都圏混乱

大雪に見舞われた首都圏では、多くの人が帰宅を足止めされた。 一夜明けても雪は残り、慎重に歩く人の姿が目立った。 22 日夜から約 10 時間にわたり、多くの車が立ち往生した首都高速の山手トンネル。 車列は一時約 10 キロにわたった。 川崎市高津区の会社員西裕一郎さん (36) は 22 日午後 5 時半ごろ、スタッドレスタイヤを装着した車で都心から帰宅中に山手トンネル内で渋滞に巻き込まれた。

1 時間あたり 2 - 3 台分しか進まない。 トイレが心配だったため、持っていた水を少しずつ飲んでしのいだ。 トンネルを出たのは 23 日午前 1 時過ぎ。自宅に帰っても休む時間がないと思い、都心の勤務先に戻って仮眠を取ったという。 西さんは「スタッドレスタイヤなら大丈夫だと思ったが、こんなことになるとは」と疲れた様子で話した。 (asahi = 1-23-18)

◇ ◇ ◇

成田空港で 9,900 人が一夜明かす 機内で 10 時間も

成田空港では、滑走路が断続的に閉鎖されて 22 日の欠航は計 187 便(国際線は 140 便)にのぼった。 空港のターミナル内で約 9,900 人が一夜を明かし、成田国際空港会社 (NAA) は 23 日午前 0 時過ぎ、夜を明かす人たちを対象に、水や軽食、寝袋などを配った。

バンコクに家族 3 人で出かける予定だったという千葉県の女性は「成田は雪にならない予報だったので大丈夫と思ったのだけど。 結局、機内に 10 時間缶詰めになり、その後は夜明かしです。」と話した。 米ラスベガスに友人と旅行する予定だったというさいたま市の会社員、中村友美さん (47) は、経由地であるバンクーバー行きのエアカナダ便が欠航。 「疲れて眠いです。 でも(欠航は)しょうがない。」と話していた。 (asahi = 1-23-18)

◇ ◇ ◇

ゆりかもめ、雪で一時立ち往生 100 人が歩いて避難

都心に降った雪の影響で、東京臨海新交通臨海線ゆりかもめでは 22 日夕、上り坂で車輪がスリップして進めなくなり、2 本の列車が一時立ち往生した。 この影響などで午後 9 時現在、全線で運転を見合わせている。

国際展示場正門 - 有明間では午後 5 時 35 分ごろ、6 両編成の列車が前に進めなくなった。 自動運転から手動運転に切り替えても進めず、乗客約 100 人は列車から降りて線路間の点検用通路を歩き、同 6 時 50 分ごろまでに有明駅に避難した。 船の科学館 - 台場間でも同 5 時 15 分ごろ、列車が立ち往生したが、手動運転に切り替えて約 1 時間後に台場駅に到着した。 (asahi = 1-22-18)


銀座にハイアットが「セントリック」開業 アジア初上陸

米ホテル大手ハイアットグループの高級ホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京」が 22 日、東京銀座朝日ビルディング(東京都中央区銀座 6 丁目)に開業した。 「セントリック」は 2015 年に立ち上げられた「ライフスタイルホテル」のブランドで、アジア初進出となる。

ビルは地上 12 階建てで、高級ブランド店が並ぶ銀座・並木通り沿いにある。 5 - 12 階が客室で、35 - 127 平方メートルの 5 種類の 164 室がある。 料金は平均で 1 泊 4 万円台。 最上級で 1 室のみの「ナミキ スイート」には、並木通りに面した 45 平方メートルのテラスやキッチンダイニングなどもあり、パーティーなどにも使える。

3 階にはダイニング & バー「NAMIKI667」が入る。 1 階正面入り口には、銀座の町並みを撮影したフィルムを使ったアート作品が飾られている。 ハイアットグループのアジア太平洋地区責任者を務めるデビッド・ユデル氏は「銀座・並木通りは、文化、エンターテインメント、ショッピングなどの情報発信地だ。 この地でホテルを運営できるのは大変意義深く喜ばしい。」と話す。 (石山英明、asahi = 1-22-18)

日本のホテル市場「訪日観光客、五輪後も」 ハイアットアジア太平洋責任者

ハイアットグループのアジア太平洋地区責任者のデビッド・ユデル氏に、日本のホテル市場の将来性などについて聞いた。

- - 日本のホテル市場をどう見ていますか。

「右肩上がりの、世界の中で最も重要な地域の一つだ。 バブル崩壊後、日本のホテル市場は休眠状態が続いたが、今まさに花開いた盛りの、一番美しいエキサイティングな時期だ。」

- - なぜエキサイティングになったのですか。

「経済環境が変化し、訪日客も急増している。 ホテルは投資適格な資産になってきた。 それは東京や大阪だけではない。 名古屋、金沢、広島なども潜在力があり、宝石のような都市だ。」

- - 今後もホテルの大量供給が続き、競争が激しくなるのでは。

「勝ち組と負け組は出てくるだろう。 単なる並のホテルでは、この市場で成功できない。 我々はパークハイアット、グランドハイアット、ハイアットリージェンシーなど様々なブランドで展開している。 宿泊客に異なる体験をしていただくことや、地域の人ときちんと関係をつくることが重要だ。」

- - 消費増税、東京五輪終了などで、経済環境も変わる可能性があります。

「私は楽観している。 五輪終了後、開催都市はどこも盛り上がったホテル需要が縮小しているとの見方があるのは知っている。 だが、日本を訪れたい人は多く、特に成長著しいアジアからの観光客が五輪後も引き続き訪れるだろう。」

- - 花開いた美しい時期は五輪後も続くということですか。

「日本は安全、衛生的で、空気はきれいで、空も青い。 有機栽培の野菜に汚染されていない魚などの食事、日本人のおもてなし、東西南北に広い地形、そして、政府の強力なバックアップ。 それらをあわせれば大きな力になる。 五輪後の衰退は防げる。」


井の頭池、水抜いて … 魚みっけ! 市民ら 3 度目かいぼり

池の水を抜く「かいぼり」が 13 日、東京都立井の頭恩賜公園(武蔵野市、三鷹市)の井の頭池で行われ、大勢の市民ボランティアが池に入って魚などを捕獲した。 14 日にも捕獲を行った後、今月下旬から三月初旬にかけて池の底を天日干しにする。 「かいぼり」は水質改善と生態系の回復が目的。 井の頭公園では 2017 年の開園 100 周年に合わせ、都などが 13、15 年度に実施し、今回が 3 度目。 ブルーギルなど外来種が駆逐されるとともに、池の透明度が増したことで、絶滅危惧種の水草イノカシラフラスコモが復活するなど、成果を挙げてきた。

昨年末から排水が始まり、現在はひざ下ぐらいの深さに。 市民ボランティア「かいぼり隊」と「おさかなレスキュー隊」のメンバーら約 100 人が池に入り、網やタライで魚を追い込みながら、モツゴやナマズ、カメなどを捕獲した。 岸辺ではスタッフが在来種と外来種に分け、一匹ずつ種類や大きさなどを記録した。 父親と参加した三鷹市の小学 4 年生、橋爪怜央(れお)君 (10) は「たくさん外来魚を駆除して、池の環境をもっとよくしたい」と話していた。 都は今後も数年おきに「かいぼり」を行う予定。 (鈴木貴彦、東京新聞 = 1-13-18)


渋谷の年越し、今年も「逆転の発想」 人混み分散に期待

年越しに多くの若者らが集まる東京・渋谷。 渋谷区は昨年、カウントダウンのイベントを開くことでトラブルを減らす試みを始めた。 今年も、あえてイベント数を増やして混乱回避を狙う。

カウントダウンイベントは、区や地元商店街の主催。 31 日午後 9 時から 1 日午前 2 時まで渋谷駅周辺を車両通行止めにし、歩行者専用とする。 今年は「SHIBUYA 109」や「渋谷モディ」の前にもステージを設けてイベントを開く。

区が主体的に関わることで、秩序を保つことが狙いだ。 一昨年までは歩行者を規制していたが、1 日午前 0 時にスクランブル交差点に人が集中し、酔っ払いや痴漢などのトラブルが相次いだ。 「逆転の発想で車道を開放することにした」と区の担当者。 交通規制や雑踏警備を担う警視庁も「何カ所かあるイベントに人が流れてくれれば」と人混みの分散に期待する。

同庁によると、一昨年は機動隊員を突き飛ばしたり、機動隊の車両の上に乗ったりした 10 - 20 代の男 5 人が公務執行妨害の疑いで逮捕された。 昨年は 6 万 7 千人(主催者発表)が集まったが、大きな混乱はなかったという。

今年は車両を使ったテロを防ぐため、周辺の 6 カ所を機動隊の大型車両で塞ぐほか、東京五輪・パラリンピックに向けて新たに指定した「外国語警備広報要員」が広報車で英語を使った案内をする。 同庁の岩瀬聡・警備 1 課長は「マナーを守って楽しく新年を迎えてほしい」と呼びかけている。 (小早川遥平、asahi = 12-29-17)


東京駅周辺、LED イルミで祝祭感 「東京ミチテラス」

東京駅周辺を光で彩るイベント「東京ミチテラス」がクリスマスイブの 24 日に始まった。 丸の内駅前広場の完成や新丸ビル開業 10 年を記念して、LED のイルミネーションと花による作品が並び、祝祭感を盛り上げた。 駅前の行幸通りの路面は花とイルミネーションが組み合わさった「ひかりの花」で飾られた。 丸の内駅舎の壁面に花柄のろうそくの映像が映し出され、ライトアップで火がともる演出があった。 来場者はスマートフォンのカメラで撮影するなど、ロマンチックな雰囲気を楽しんだ。 28 日までの午後 5 - 9 時に点灯される。 (asahi = 12-24-17)

... - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10 - 11 - 12 - 13 - 14 - ...