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東京都庁で巨大プロジェクションマッピング 「世界最大」ギネス認定

東京の新たな観光スポットにしようと、都庁の壁一面を使ったプロジェクションマッピングが 25 日に始まった。 荒天時以外は毎夜続く。 開始イベントのあった同日には、常設展示としては最も大きな建築物へのプロジェクションマッピングとしてギネス世界記録に認定された。

映像は、都内の観光名所をモチーフにしたものなどで 1 回 10 - 15 分程度。 高さ 243 メートルの第 1 本庁舎の壁面約 1 万 4 千平方メートルに投影された。 4 月末までは午後 7 時から 1 日 5 回映される。 その後は日没時刻によって投影時間を変え、内容も平日と土日祝日で違うものになるという。 都は、使用電力を再生可能エネルギーで賄うとしている。

小池百合子知事は 2 日の定例記者会見で「東京ならではの『ナイトタイム』を満喫できる新たな観光スポットとして、国内外の旅行者が訪れる名所に育て上げたい」とアピールした。 (松田果穂、asahi = 2-25-24)


小池百合子都知事、全国初の「カスハラ条例検討」 都議会で施政方針

東京都議会第 1 回定例会は 20 日開会し、都は、過去最大となる 8 兆 4,530 億円の一般会計予算案を含む計 148 件の議案を提出した。 小池百合子知事は施政方針演説で、客が理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関する条例策定の検討を表明した。 実現すれば、全国初となる。

小池知事は、都内企業でもカスハラが深刻化していると言及。 専門家らの検討部会が「条例化が望ましい」との意見をまとめたことを受け、「東京ならではのルールづくりが強く求められている。 現場でよりどころを持って対応できるよう、独自に条例化の検討を進める」と述べた。 また、新年度に着手する都内初の「グリーン水素」の製造拠点について、場所を大田区京浜島にすることを明かした。 グリーン水素は再生可能エネルギー由来で、環境負荷が小さいとされる。 計 3 基の整備を検討しており、新年度予算案に関連事業費 30 億円を計上した。

本会議後、小池知事はカスハラ条例について、「ヒアリングをして、条例の中身はこれから詰める。 早い時期の条例化を期待している。」と報道陣に語った。 都議会第 1 回定例会の会期は 3 月 28 日までの 38 日間。 代表質問は 2 月 27 日、一般質問は同 28 - 29 日。 (土舘聡一、asahi = 2-20-24)


東京 BRT、ハルミフラッグ - 新橋間が来月 1 日開通 … 小池知事「銀座・東京方面延伸も検討」

東京都心と臨海部をつなぐバス高速輸送システム「東京 BRT 」について、小池知事は 19 日、東京五輪・パラリンピックの選手村を転用したマンション「HARUMI FLAG (ハルミフラッグ、中央区)」と新橋(港区)を結ぶルートの運行が 2 月 1 日に始まると発表した。 マンションへの入居は 19 日に始まり、今後、一帯は交通需要の拡大が見込まれる。 知事は東京 BRT の銀座、東京駅方面への延伸も検討するとした。

ハルミフラッグは、マンション計 23 棟などからなり、総戸数は 5,632 戸。 住民は約 1 万 2,000 人に達する見通しだが、最寄り駅の大江戸線勝どき駅まで徒歩で約 20 分かかり、交通アクセスが課題とされていた。 新ルートは、平日上下計 104 便が運行予定。 新橋のほか、ハルミフラッグ周辺の 3 か所に停車する。 新橋 - ハルミフラッグ間の所要時間は 11 分という。

東京 BRT は、従来のバス 1.5 台分の人員を運べる連節バスを採用。 虎ノ門ヒルズ(港区) - 東京テレポート(江東区)など 3 ルートが運行を始めている。 小池知事は 19 日の定例記者会見で、「新橋まで行ったんだから、銀座、東京駅までどうだ、ということだと思う。 延伸について、利用状況も含めて検討していく。」と述べた。 (yomiuri = 1-23-24)


食料配布に 700 人超列、都庁前 物価高で「生活苦身近に」

歴史的な物価高の中で年末を迎え、東京都内では 30 日、支援団体による食料品配布を求め、700 人超が長い列を作った。 昨年末より 100 人ほど多く、女性や仕事を持っている人の姿も。 団体幹部は多数の失業者が出たリーマン・ショック時よりも状況は深刻とし「生活苦が身近なものになっている」と訴えた。 NPO 法人「自立生活サポートセンター・もやい」などは新宿区の都庁前で、果物やレトルト食品を 719 人に配った。 1 人暮らしの友人数人と訪れた同区の無職女性 (75) は、食品価格も光熱費も上がり、貯金が底を突きそうな毎日という。 「1 日分の食事を 2 日かけて食べるようにしている。 誰か助けて。」とつぶやいた。 (kyodo = 12-30-23)


太宰も愛した跨線橋、記憶つなぐ取り組み始動 渡り納め終了、撤去へ

撤去工事が始まった JR 三鷹駅(東京都三鷹市)近くの跨線橋を、人々の記憶と記録に残すプロジェクトが動き始めている。 作家の太宰治も愛したことで知られる跨線橋。 3 日間に渡る「渡り納め」最終日の 17 日も、多くの人でにぎわうなか、「思い出を共有しませんか」と呼びかけた。 中心になっているのは、跨線橋の近くで出版・印刷業を営む「文伸」社長の川井伸夫さん (51)。 同社は、井の頭公園の 100 周年記念の書籍など、地域に根ざした出版物を多く手がけてきた。 撤去工事の日程が公表されると、川井さんは、「三鷹跨線橋の記憶と記録を残そうプロジェクト」を立ち上げた。

「渡り納め」が行われた 15 日から 17 日には、隣接する広場で特製の写真パネルを展示。 社員が 2 年前から毎日のように撮影してきた跨線橋の写真や、フェイスブックグループ「跨線橋の思い出」に投稿された写真を、「一人ひとりの胸の中にある跨線橋の思い出を共有できるように」と大きく引き伸ばした。 「渡り納め」に先立ち、3 日と 10 日にも同じ場所でイベントを開いた。

夕立がやみ、階段を駆け上がると …

いろいろな人たちの跨線橋をめぐる思い出や、建築や鉄道、文学などの専門家の解説を編纂した書籍の出版も目指しており、年明けにもクラウドファンディングを始める予定だ。 川井さんは家業を継ぐため、20 年ほど前に三鷹で働き始めてから、しばしば跨線橋を渡るようになった。 川井さんが忘れられないのは、3 年前、跨線橋から見た虹だ。 夕立がやみ、階段を駆け上がると、空に美しい虹がかかっていた。 当時、コロナ禍で実現できなくなった企画があり、落ち込んでいたが、「雨が降らなければ虹はかからない」と元気づけられたという。 15 日に「渡り納め」をした川井さんは「さびた鉄などがいとおしく、感慨深かった」と振り返った。 (平山亜理、asahi = 12-17-23)


ミシュラン東京、3 年ぶりに新三つ星店「今日は素直に喜びたい」

日本ミシュランタイヤは 5 日、東京都内の飲食店を星の数で評価する「ミシュランガイド 東京 2024」を発表した。 最高ランクの三つ星は昨年と同数の 12 軒で、昨年と同じ顔ぶれの 11 軒に加え、すし店「青空(はるたか、中央区)」が新たに加わった。 新三つ星店が出たのは 3 年ぶり。 二つ星は 33 軒、一つ星は 138 軒。 今年から、星には届かないが調査員が薦めたい店を紹介する「セレクテッドレストラン」クラスを新設、194 軒を選んだ。 このほか、価格以上の満足感を得られる店「ビブグルマン」 127 軒と合わせ、掲載店総数は 504 軒と、過去最多になった。

食品ロスの削減など持続可能な美食に貢献する店を評価する「グリーンスター」は 11 軒。 昨年より 1 軒減ったが、世界の都市で最も多い。 新たに三つ星に選ばれた「青空」の高橋青空さん (50) はこの日の式典で「ぶれないように、普段は何の評価も気にしないできましたが、今日だけは素直に喜びたい」とスピーチした。

他の三つ星店は以下の通り。

カンテサンス(フランス料理・品川区) / まき村(日本料理・品川区) / 神楽坂石かわ(日本料理・新宿区) / 虎白(日本料理・新宿区) / ロオジエ(フランス料理・中央区) / 龍吟(日本料理・千代田区) / 麻布かどわき(日本料理・港区) / かんだ(日本料理・港区) / 茶禅華(中国料理・港区) / レフェルヴェソンス(フランス料理・港区) / ジョエル・ロブション(フランス料理・目黒区)。 (大村美香、asahi = 12-5-23)


皇居内の乾通り、一般公開始まる 紅葉楽しむ人らでにぎわう

皇居内を南北に走る「乾(いぬい)通り」の一般公開が 25 日午前、始まった。 訪れた人たちは、色づき始めた紅葉を楽しみ、カメラやスマートフォンで撮影するなどしていた。 公開は 12 月 3 日まで。

今年は昨年とは異なり、マスクの着用は個人の判断に委ねられた。 両親と訪れた東京都江戸川区の小学 5 年の大島優志さん (10) は、カエデやモミジなどの落ち葉を拾い、皇居の紅葉は「赤とか黄色とかグラデーションがきれい」と笑顔を見せた。 大阪府豊中市の主婦中村桂子さん (65) は「紅葉にはちょっと早かったけど、石垣や立派な松も見られて良かった」と話した。 開門前から並んでいた東京都江戸川区の星秀之さん (61) は紅葉や石垣などの写真を 76 枚撮影したといい、「お天気が良ければ来週も来たい」と話した。

乾通りには、イロハモミジやトウカエデなどのモミジ類計 70 本などが植えられている。 入場無料。 入場時間は午前 9 時 - 午後 3 時(退出は午後 3 時半まで)。 (多田晃子、asahi = 11-25-23)


山手線、18、19 日に区間運休 JR 渋谷駅で線路切り替え工事

JR 山手線の大崎 - 渋谷 - 池袋駅間は、18 日に外回りが、19日に内回りがそれぞれ終日運休する。 渋谷駅構内に自由通路を設けられるように線路とホームをかさ上げする工事のため。 JR 東日本は東京メトロなど他社線への振り替え輸送の利用を呼びかけている。 JR 東によると、運休しない 18 日の内回り、19 日の外回りは運転本数を通常の約 7 割に減らす。 また、運休区間ではない池袋 - 東京 - 大崎駅間の運転本数は通常の 3 - 4 割に減らして大崎駅と池袋駅で折り返し運転をする。 2 日間で約 64 万人に影響する見込みという。 (細沢礼輝、asahi = 11-16-23)


中野サンプラザ跡地に地上 250m のビル、事業費 250 億円増額へ

東京都中野区で今年 7 月に閉館した「中野サンプラザ」跡地の再開発事業をめぐり、新たに建設を予定する複合施設などの事業費が当初の想定より 1 割増額する見通しであることが 8 日、分かった。 建築資材や人件費の高騰などが要因で、事業費は総額約 2,500 億円となる。 区によると、跡地に建設が予定されているのは高層棟と低層棟からなる複合施設「NAKANO サンプラザシティ(仮称)」。 地上約 250m の高層棟には事務所や住宅、展望施設が設けられる。 隣接する低層棟には収容人員 7 千人規模の大ホールやホテルなどが入る予定だ。 公募で選ばれた野村不動産など民間事業者 5 社が施工する。 28 年度中の完成をめざしている。

区は昨年 12 月時点で、跡地一帯の再開発にかかる事業費を計約 2,250 億円と試算。 物価上昇分も加味したものだったが、さらに建築資材や人件費が高騰したことなどにより、事業費の 1 割にあたる約 250 億円増額する見通しとなった。 先月の区議会で報告していた。 これを受け、区と事業者は、当初の計画よりも収益が見込める分譲住宅やオフィスを増やし、工事の施工を工夫するなど収支改善策を協議。さらに約 430 億円の補助金を出す予定だった区は、事業費の増額に伴い、歩行者デッキなど別の補助制度の活用も検討するとしている。 (本多由佳、asahi = 11-9-23)

前 報 (7-11-23)


派手な広告で低速周回 東京都は都外ナンバーの宣伝車も規制へ

派手な色や発光を伴った大型広告を車体につけて走る宣伝車(アドトラック)について、東京都が規制の強化を検討している。 現在は都内ナンバーの車に審査基準を設けるなどしているが、来年 5 月に都屋外広告物条例の施行規則を改正し、規制の対象を都外ナンバーにも広げる方針だ。 都は有識者でつくる都広告物審議会がまとめた規制強化の方針を公表し、6 日からパブリックコメントを募集している。 今後、審議会の答申を経て条例の施行規則を改正する。

アドトラックは、低速で周回することから景観や交通環境の悪化になるとして問題視されている。 都内では派手な電飾をつけ、大音量を流す行為が日常的に横行しており、多くが過度なデザインを規制する都条例の及ばない都外ナンバーだ。 7 日は新宿区の歌舞伎町周辺で都、同区、警視庁が合同で実態調査をした。 野田、横浜、野田、横浜 …。 同日午後 7 時過ぎ、西武新宿駅近くの道路では、ホストクラブのデジタルサイネージや女性向け求人広告をつけたアドトラックを警視庁や都職員らが次々と止めた。 運転手に屋外広告の規定に関するチラシを配った。

この日は 1 時間に 8 台を確認し、いずれも都外ナンバー。 今年 2 月の調査でも 74 台全てが都外だった。 現在の条例の施行規則(2011 年改正)では、都内を走るには公益社団法人「東京屋外広告協会」のデザイン審査を受けた上で、都の許可が必要とされている。 審査基準は、▽ 公衆に不安・不快の念を与えない、▽ 他の運転手の注意力を散漫にさせない、▽ 彩度の高い色、原色、金銀色を広範囲に使用しない - - など。 無許可での走行には 30 万円以下の罰金も規定されている。

アドトラックをめぐっては、神奈川、埼玉、千葉の首都圏 3 県と 3 県内の 5 政令指定市のトップとでつくる「九都県市首脳会議」でも統一的な対応の検討会設置を合意。 来年 4 月に向けて最終報告をとりまとめるという。 (土舘聡一、asahi = 11-7-23)


アニメ東京ステーション、あす開業 最初の企画は「NARUTO」

東京・池袋で 31 日にオープンする新施設「アニメ東京ステーション」の内覧会が 30 日、豊島区内であった。 アニメ東京は、世界中にファンがいる日本のアニメコンテンツを活用して新たな観光施設にしようと、東京都がつくった。 都が保管してきた数万点に上るセル画や背景画などを展示にいかす。

オープン記念の企画展示は、忍者マンガ「NARUTO - ナルト -」。 2 階にフィギュアやゲームが展示されている。人気投票や忍術の体験コーナーもあり、都の担当者は「世界観を体感してほしい。」 1 階はアニメキャラクターの絵を天井からつるしたモニュメントなどを置き、地下 1 階には「鉄腕アトム」のアニメ素材を展示した。 内容は随時変えるという。 小池百合子知事は「アニメは日本のキラーコンテンツ。 アニメの魅力と出会う出発点ということで、ぜひ多くの方にお越しいただきたい。」と話している。 (asahi = 10-30-23)


「渋谷はハロウィーン会場ではありません」 ハチ公の周りも封鎖

「ハチ公像周辺は封鎖となります。」 31 日のハロウィーンを控え、渋谷区は 28 日午前、渋谷駅前のハチ公像を白い布で覆い、周りもシートで囲って近づけないようにした。 渋谷区内は毎年、ハロウィーンに大勢の人が集まる。 路上飲酒や大量のゴミ放置に加えて、今年は外国人観光客の増加もあり、雑踏事故の危険が高まったと区はみている。 このため、9 月上旬から「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」とメッセージを発し、31 日や直前の週末などにハロウィーン目的で渋谷に来ないよう呼びかけていた。 ただ、囲いができた後、ハチ公像を一目見ようと、シートの隙間からのぞき込む外国人観光客も見られた。 (座小田英史、asahi = 10-28-23)


「クマが生息している首都」世界で珍しい? 東京、目撃情報 112 件

クマに襲われる被害が、過去最悪のペースで増えている。 クマは東京都内でも出没しており、4 月以降の目撃情報が 112 件に上ることが、都への取材でわかった。 今月は町田市内でも目撃され、都の担当者は「今まで聞いたことがない」と話す。 都は「目撃マップ」を公開するなど、注意を呼びかけている。 環境省によると、今年 4 - 9 月の人身被害は全国で 109 人。 過去最多だった 2020 年同期の 86 人を上回っている。

4 月以降、都内の被害は報告されていないが、昨年度は 2 件の被害があった。 いずれも、奥多摩町の山中で鹿狩りをしていた猟友会の男性がクマに出くわし、引っかかれたという。 都環境局によると、都西部の多摩地域にツキノワグマが生息しており、「クマが生息している首都」は世界的にも珍しいという。 近年の目撃情報は奥多摩町や檜原村などが多数。 ただ、今月 18 日には、町田市相原町の青少年施設「ネイチャーファクトリー東京町田」近くで、体長 90 センチ程度のクマ 1 頭が目撃された。

都は、自治体や住民から寄せられた情報をもとに「目撃マップ」を作成し、ホームページで公開している。 山に入る時には鈴をつけるなど「ツキノワグマに出会わないような対策」も呼びかけている。 小池百合子知事は 27 日の定例会見で「(都内の目撃情報は)昨年の同時期と比較すると少なく、人的被害が幸いにしてない」とした上で、「クマも人に会うとびっくりしているので、冷静に行動していただきたい。 自然が荒れているということも大きな問題だ。」と話した。 (太田原奈都乃、asahi = 10-27-23)


アナ雪エリア「ファンタジースプリングス」、シーに 6 月 6 日オープン

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは 26 日、ディズニーシー (TDS) の新テーマポート「ファンタジースプリングス」を来年 6 月 6 日にオープンすると発表した。 入場したりアトラクションに乗ったりするためには無料の「スタンバイパス」か有料の「ディズニー・プレミアアクセス」が必要になる。

ファンタジースプリングスはディズニー映画「アナと雪の女王」、「塔の上のラプンツェル」、「ピーター・パン」が題材の 3 エリアとホテルで構成。 「真実の愛」が凍った心を溶かすアナ雪の世界をボートで体験できる「アナとエルサのフローズンジャーニー」をはじめ 4 アトラクションを楽しめる。 2001年の TDS 開業以来、最大の開発で、面積は約2 割広がる。 (末崎毅、asahi = 10-26-23)


路線バス維持へ「戦後最大の危機」 東京でも運転手足りない 廃止・減便・値上げ相次ぐ

全国的にバス業界の苦境が深まる中で、人口が集まる東京でも運転手不足から減便や路線廃止の動きが相次いでいる。 ドライバーの時間外労働の規制が強化されることに伴い、さらなる人手不足が懸念される「2024 年問題」を控え、身近な住民の足をどう守っていくのか。自治体などの対応が問われている。

2024 年問題 : 働き方改革関連法により 24 年 4 月から、バスやトラックなどの運転手の残業時間について、年 960 時間を上限とする罰則付き規制が適用される。 厚生労働省は、バス運転手の労働時間について、1 日の拘束時間は原則 13 時間以内、退勤から出勤まで基本 11 時間以上の休息時間を設けるよう基準を示している。 バス業界では、慢性的な人手不足に拍車がかかると懸念されている。

足立区では 3 路線が廃止に

東京 23 区で 4 番目の人口 69 万人を抱える足立区では鉄道空白地域をカバーするため、120 系統のバス路線が運行する。 このうち 3 系統を来年 3 月に廃止する意向が、事業者から区に伝えられた。 このうち廃止が決まったのは、国際興業が区内で運行するコミュニティーバス「はるかぜ 3 号」。 東武鉄道西新井駅と日暮里・舎人ライナー見沼代親水公園駅間の約 9 キロを結び、1 日 24 便が運行する。

1 日あたりの利用者は 230 人に上る。 「週に 4 日は、買い物やスーパー銭湯に行くのを楽しみで使っていた。 なくならないでほしい。」と矢野あや子さん (81) は嘆く。 通院に利用している女性 (63) も「本数を多くしてほしいくらいなのに、廃止なんて」と落胆する。 京成バスが、北千住駅と南千住駅を結ぶ「北千 01・02 系統」(約 4 - 4.8 キロ、11 便)も来春廃止の見通し。 日立自動車交通が区内で運行するコミュバス路線も 9 月から 4 路線で計 28 便を減便した。 日立自動車交通は、晴海と JR 東京駅を結ぶ「晴海ライナー」を 9 月から減便したほか、台東区や文京区のコミュバスも今月、一部減便する。

足立区によると、事業者は「もともとが赤字路線の上、運転手不足のため、運行経費の補助があっても解決できない」などと説明している。 近藤弥生区長は、9 月の記者会見で「大変苦慮している。 事業者にどのような支援があれば継続が可能なのか、今までと違った対策を含めて必要な区民の足を確保していくために努力したい。」と話した。 また、運転手の待遇改善が求められる 24 年をにらみ運賃値上げもラッシュを迎えている。 今年に入ってから都内では、京王バス、東武バスセントラル、京浜急行バスなどが値上げを行ったほか、国際興業は、埼玉県をまたぐ区間を含む東京都内の計 140 系統で、11 月から普通運賃を 26 年ぶりに 10 円値上げすることにしている。

運転手不足 23 年は 1 万人、30 年は 3 万 6,000 人にも

都市部の路線バスも赤字路線は少なくないが、赤字幅は地方より小さいとされ最大の課題は運転手確保となっている。 国土交通省の統計によると、路線バスやコミュニティーバスなど「乗り合いバス」の 2022 年度の輸送人員は、全国平均は 00 年度を 100 とすると 74 まで落ち込んだが、東京都は 95 にとどまった。 日本バス協会などのまとめでは、バスの運転手は 23 年には全国で 1 万人不足し、30 年には 3 万 6,000 人になると試算されている。 協会の担当者は「人員不足は、戦後最大の危機」と話す。

要因には、低賃金や長時間労働が敬遠されていることが挙げられる。 運転手の年間所得(22 年)は約 399 万円で、全産業平均より約 100 万円少ない。 2024 年問題では、今よりも多くの運転手が必要になるが「採用を常にしていても人が集まらない(国際興業の担当者)」のが実態という。 国交省は本年度、人手不足対策としてバスの運転に必要な大型 2 種免許の取得や求人広告費の一部補助を始めた。 外国人労働者の在留資格の「特定技能」の対象にバス運転手を追加することも検討している。 担当者は「交通弱者の移動手段の確保は重要課題」と話した。 (井上真典、東京新聞 = 10-15-23)


東京の銭湯、15 年で半減 背景に「施設老朽化」、「経営者の高齢化」

10 月 10 日は「1010 = 千十(せんとお)」で、日本記念日協会が認定した「銭湯の日」。 東京都内にある公衆浴場(銭湯)は年々減っており、都が公表しているデータによれば、15 年前から、ほぼ半減。 2022 年末時点で 462 施設となった。 人口 1 万人あたりの銭湯の数が「1」を超えるのは、都内でも台東区だけになっている。 年間の延べ利用者数も 08 年の 3,381 万人から、22 年には2,002 万人に減少。 一方で、1 施設の 1 日あたりの利用者数は 15 年前の約 120 人から、約 140 人に増えている。 最近のサウナブームで大勢の客が集まるサウナ付き銭湯もある。

この 15 年で廃業した 464 施設のうち、理由(複数回答)として最も多かったのは「施設の老朽化(84 施設)」で、「経営者の高齢化(69 施設)」、「後継者難(39 施設)」と続いた。 「営業不振」を理由として挙げたのは 20 施設だった。 (中井なつみ、asahi = 10-10-23)

〈編者注〉 今ではステュディオタイプの小さなお部屋でもお風呂だけはちゃんと付いているのが一般的ですが、私が知る限り、昭和 30 年代まで、東京のとりわけ下町ではお家にお風呂がないのが当たり前でした。 火事に悩まされた江戸時代からの伝統 (?) が脈々と続いていたのです。 それもあり、台東区周辺は家から 2 - 3 分も歩けば長い煙突のある銭湯がありました。 銭湯にはいろいろな思い出がありますが、筆者の知る中で、一番、江戸時代の名残を残すのは、上野松坂屋の裏の "燕湯" でした。


「乗り換えなし」の船通勤、25 日開始 日本橋と豊洲 20 分で結ぶ

通勤は船でゆったりと - -。 日常の移動手段として船を活用する「舟運」について、初の本格導入となる日本橋(中央区) - 豊洲(江東区)間の運航が 25 日から始まる。 週 3 日夕方 - 夜にかけて運航し、両区間を約 20 分でつなぐ。 乗船予約は 7 日正午から受け付ける。 東京都が 6 日、発表した。 運航は観光汽船興業と三井不動産が担い、都が運航経費の一部を補助する。 運賃は片道 500 円で、所要時間は電車と同じく 20 分程度。 船の方が運賃はかかるが、都の担当者は「乗り換えもなく駅の混雑を避けられるうえ、景色や風も楽しめる。」と話す。

毎週火、水、木曜日に往復計 10 本を運航する。 都によると、今後も事業者が需要などを見極めて、運航時間の拡大なども検討するという。 小池百合子知事は 6 日の定例会見で、「皆さんが有効活用することで定着していく。 快適に通勤としても使えると思ってもらうことが次の段階に進む一つの鍵になる。」と呼びかけた。 予約は「東京舟旅」のホームページから。 来春には、別の事業者が晴海(中央区) - 日の出(港区)航路も開業を予定している。 (本多由佳、asahi = 10-6-23)


にぎやかなサンバ、浅草に帰ってきた 4年ぶりにカーニバル開催

新型コロナウイルス感染症の影響で 4 年ぶりとなる「浅草サンバカーニバル」が 17 日、東京都台東区で開かれた。 18 団体約 3 千人の老若男女が軽快な音楽と踊りを披露しながら、雷門前の大通りを練り歩いた。 1981 年に始まったカーニバルは約 50 万人が訪れる一大イベントだったが、2020 - 22 年は開催できず、代替イベントを開くなどしてきた。 4 年ぶりとなる今年も「縮小版」として、パレードの距離を半分にしたりコンテストを取りやめたりした。 それでも大通り沿いは大勢の立ち見客でごった返し、警察が雑踏事故や熱中症への警戒を呼びかけた。

参加チーム「G.R.E.S. FESTANCA (C にセディーユ付き)」は今年で結成 30 周年。代表の上坂泰史さん (55) は、「コロナ禍で活動が制限され、メンバーも減って存続の危機だった。 チームの記念すべき年に雷門前にようやく帰ってこられて、最高に楽しいです」と話した。 千葉県柏市から初めて訪れた病院職員の女性 (39) は、パレードの参加者たちに向けて、沿道の最前列から大きな手拍子と歓声を送った。 「にぎやかなお祭りで楽しい。 盛り上がって帰りたいです。」と話した。 (狩野浩平、asahi = 9-17-23)


製鉄の火は消えるけど 生き残りかけた再編節目、意欲的な跡地計画も

鉄鋼大手が近年進めてきた製鉄所の再編が今月、節目を迎える。 JFE ホールディングス (HD) は 16 日、傘下の JFE スチール東日本製鉄所京浜地区(川崎市)に残る高炉を休止。 月末には、日本製鉄が瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)を閉鎖する。 国内需要が減るなかで「過剰設備」を削り、生き残りを図る。(宮崎健、松田史朗)

「100 年以上にわたり京浜工業地帯の発展を担ってきた。 高炉は休止するが、土地利用の転換で全国の『モデル地区』になればいい。」 JFEHD の岩山眞士・専務執行役員は 7 日、報道陣に語った。 製鉄所のシンボルで、鉄鉱石から銑鉄(せんてつ)をつくる高炉を 16 日に休止する。 JFE の粗鋼生産量は年 400 万トン(全体の 13%)減るが、2024 年度末までに約 450 億円のコスト削減効果があるという。 東京ドーム約 47 個分もの 222 ヘクタールの跡地は、脱炭素社会の新たなエネルギーとして注目される水素の供給拠点として整備する。 川崎市などと連携し、2050 年には「空飛ぶクルマ」などの次世代モビリティーを体験できる場所もつくる計画だ。 (asahi = 9-15-23)


「品川駅」はどうなる? 未来が見えてきた

「品川駅」改良の全体像が見えてきた

2023 年 8 月 29 日、京急電鉄と JR 東日本は連名で「品川駅街区地区における開発計画」を発表した。 京急電鉄の地平プラットホーム化によって生まれる上部空間を活用する。 構築物は北側から南側へ向かって地上 28 階建てのビル 2 棟、屋上庭園付き低層デッキ、地上 9 階建てのビル 1 棟だ。 現在、京急電鉄の品川駅は高架構造となっている。 プラットホームが 2 階、駅事務室や改札口が 1 階だ。 この計画によって京急電鉄の出改札機能が 2 階になる。 JR 品川駅の 2 階部分の改札外通路、京急電鉄の改札外通路、国道 15 号上に新たにつくられるデッキ空間を水平に結べる。 これで歩行者と自動車の動線が分離されて、歩きやすく安全な街になる。

京急品川駅の構造を逆転させる計画は公表済みだ。 駅の改良といえば線路部分の高架化だけれども、京急品川駅はその逆で高架駅を地平に降ろすという珍しい事例となった。 この段階では、京急電鉄の上部空間を含めて、品川駅前にデッキ構造の大広場ができるだろうと思っていた。 しかし実際の計画はビル 3 棟だ。 驚きつつも、確かに上部空間を広場だけにするなんて、もったいないと納得した。 品川駅は交通結節点としてますます便利になるからだ。 現在は東海道本線、山手線など JR 東日本の路線が集結するほか、東海道新幹線の駅もある。 京急電鉄という羽田空港直結路線もある。 今後はリニア中央新幹線の起点として工事が始まり、東京メトロ南北線分岐線もやってくる。 この計画の公開で品川駅周辺のまちづくりプランがそろった。

交通結節点としての品川駅

品川駅は日本の鉄道駅としては最も古い。 なにしろ 1872 年(明治 5 年)の日本の鉄道開業に先駆けて、新橋 - 品川間で仮開業していたからだ。 それから 151 年経って、現在も東海道本線にとっては主要駅のひとつだ。 品川駅から乗り換えなしで行ける範囲は広い。 高速バスは千葉県、山梨県、静岡県へ発着している。 かつては京急バスなどが鳥取方面、京都方面、盛岡・宮古方面、弘前方面、徳島方面ほか各地へ運行していた。 しかし品川駅の北側にあった高速バス品川ターミナルが高輪ゲートウェイ関連の再開発によって営業終了し、品川駅の南西側、プリンスホテル付近に移転した。 また、ほぼ同時期にコロナ禍となったため、新バスターミナル使用路線は全便運休している。 運行を継続している千葉、富士山方面のバスは港南口のバスのりばを使っている。

国土交通省が事業主体となる品川駅西口開発計画によると、品川プリンスホテルがある高輪 4 丁目区画に、新しいバスターミナルを設置する予定になっている。 タクシーや次世代モビリティの「デポ」と連携する施設となる。 次世代モビリティはひとり用の歩行支援電動車両や超小型電気自動車で、「デポ」はモビリティを施設ごとに分散配置する乗降場だ。 品川バスターミナルはもともと駅から離れて不便な場所であり、バスタ新宿など新しい長距離バスターミナルの開業で人気がなかった。 新バスターミナル完成後は高速バスが戻ってくるかもしれない。

京急品川駅は地平化、そして北側に移動

京急品川駅の地平化は 18 年 12 月に決定した。 この計画は品川駅の改良にとどまらない。 実はもっと広い範囲に及び、北品川駅を含む高架連続立体交差事業のひとつになっている。 北品川駅の前後にある踏切と、開かずの踏切として不評の八ツ山橋踏切を除却する。 駅と線路を高架化するため、北品川駅の南側から線路の標高を上げていく。 しかし品川駅は地平だから線路の標高は今より下がる。 そこで八ツ山橋踏切の北側から長い勾配で線路を下げていく。 したがって、京急品川駅は現在位置より北側に移動するわけだ。 泉岳寺駅にちょっとだけ近くなる。

京急品川駅を地上に降ろす手順として、まず JR 山手線の留置線があった部分に同じ高さで仮のプラットホームを建設する。 次に、現在の複線とプラットホームを維持しつつ、構造物を撤去して仮設構造に切り替えていく。 この状態で地平プラットホーム 2 本とその両脇に線路を敷設する。 地平設備が完成したところで線路を切り替えて地平プラットホームの使用を開始。 引き続き旧プラットホーム部分にコンコース(連絡通路)をつくる。

高架駅に比べて、地平駅では線路の数が増えている。 現在の京急品川駅は JR 駅側に複線の線路があり、向かい合うようにプラットホームがあった。 その外側にもうひとつ行き止まり式のプラットホームがあって、品川駅折返しの普通列車や有料座席列車「ウイング号」が使っている。 地平化によって、プラットホームは 2 面、プラットホームの両側に線路が配置される。 現在の駅構造だと、折返し線路から横浜方面に向かう下り列車が、上り列車の線路を塞いでしまう。その結果、ダイヤが少しでも乱れると、分岐レール付近で列車が渋滞しやすかった。 これが解消されるだけでも利点が大きい。

新しい地平プラットホームによって、都営浅草線直通列車は外側の線路、品川駅折返し列車は内側の線路という使い分けが可能だ。 都営浅草線内で通過運転を実施する「エアポート快特」と、都営浅草線内で各駅に停まる特急、エアポート急行を品川駅で乗り換えできるようになる。 さらに、8 両編成の都営浅草線直通列車を京急線内で 12 両編成にすべく、4 両の増結、切り離しを実施する作業を内側線で実施し、その間に外側の線路で列車を発着できる。

泉岳寺駅はプラットホーム拡幅、引き上げ線増設

高輪ゲートウェイ駅周辺開発に合わせて、泉岳寺駅もホームの拡幅が行われる。 泉岳寺駅は京急本線と都営地下鉄浅草線の境界駅だ。 浅草方向に引き上げ線が 1 本あり、京急線内折返し列車が使っている。 この引き上げ線も増設されるため、京急のエアポート快特、快特の泉岳寺始発の増便が期待できる。

東京メトロ南北線分岐線は国道 15 号線直下、乗り換え動線も見えた

8 月 25 日に公開された、内閣府・地方創生推進事務局の「第 26 回 東京都都市再生分科会 配布資料」によって、東京メトロ南北線分岐線の位置と乗り換え動線も明らかになった。 東京メトロ南北線分岐線は、16 年の交通政策審議会答申第 198 号において「都心部・品川地下鉄構想」として記載された路線だ。 東京都が計画し、東京メトロが第一種鉄道事業として建設、運行する。 東京メトロ南北線は、目黒 - 白金高輪 - 赤羽岩淵間を運行し、目黒駅側で東急目黒線 - 新横浜線 - 相鉄線、赤羽岩淵側で埼玉高速鉄道に直通する。

分岐線は白金高輪駅の引き上げ線を延長する形で南へ分岐し、品川駅に到達する。 列車はすべて南北線の赤羽岩淵方面へ直通する予定だ。 これで品川駅と訪日・在日外国人に人気の六本木、政治関係機関が多い永田町が結ばれる。 地下鉄南北線は国道直下地下 2 階に改札階、地下 3 階にプラットホームが建設される予定だ。 地上などほかの階層はエレベーターとエスカレーターで結ばれる。 北側自由通路、中央自由通路、南側自由通路に対応した 3 カ所に対応する。

品川駅周辺は魅力あるターミナルシティになれるか

品川駅は日本の鉄道発祥からの歴史を持つ駅だ。 しかし、大手私鉄が手がけた渋谷、新宿、池袋に比べると、ターミナルシティとしての魅力は薄かった。 渋谷、新宿、池袋は高度経済成長期からデパートや映画館などが林立し、1970 年代後半からはファッションビルや家電量販店が街の顔となっていく。 大型書店、レコード店などのメディアショップも多く、若者やファミリー層の遊び場としてにぎわってきた。

一方で品川駅はオフィスビルとプリンスホテルに代表される「静かな街」で、高輪口のパチンコ屋が異質な存在に見えるほどだ。 京急百貨店は小規模だし、映画館はなかった。 1970 年代にボーリングとアイススケートが人気だったとはいえ、遊び場としては五反田、新橋、大井町の陰に隠れた街といえた。 02 年にやっと「品川プリンスシネマ(現 T・ジョイ PRINCE 品川)」というシネコンができた。 続いて 05 年に水族館「エプソン品川アクアスタジアム(現マクセルアクアパーク品川)」ができる。 ここは元ボーリング場だったところで、移設後のボーリング場は 80 レーンの大規模な施設になっている。

例えば、東急電鉄沿線の人々は渋谷に行きたがる。 小田急電鉄や京王電鉄沿線の人々は新宿へ。 東武東上線や西武鉄道沿線の人々は池袋へ行く。 しかし、私が大森に住んでいた 00 - 15 年頃、大田区の京浜東北線や京急電鉄沿線の人々が遊びに行くところは川崎だった。 確かに川崎には「なんでもある感」があった。 シネコンも複数、家電量販店も Lサイズ専門店もある。 大森に住み始めた頃は、都内に住んで神奈川県へ遊びに行くのかと意外だった。 しかし品川にはにぎわいがなかったし、だからといって品川乗り換えで渋谷へ行くのもおっくうだ。 川崎なら電車 1 本である。 品川を通り越して有楽町へ行くよりも、川崎のほうが近くて庶民的だと感じた。

品川駅の高輪口はプリンス系の高級感、港南口は食肉市場もあって飲食店も多く、労働者の街だった。 国鉄分割民営化で貨物ヤードが売却され、品川インターシティという高層オフィス街になった。 これで港南口のイメージが変わり、ビジネスパーソンの街になった。 飲食店などテナントも洗練されている。 こうしたキリッとしたビジネス街が品川駅周辺の特徴かもしれない。 京急品川駅上空に建設予定のビル 3 棟もオフィスやホテルだ。品川らしい開発といえる。 都市計画はハコモノと街路しか示さない。 街はテナントがつくる。 品川で働く、遊ぶことがひとつのステータスかもしれない。 だから品川駅周辺が渋谷や新宿のような街である必要はない。 しかし、もっとにぎやかで幅広い人々に好かれる街であってほしいとも思う。 (杉山淳一、ITmeida = 9-9-23)

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