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昨年の一斉休校、感染抑止効果はみられず 全国 847 自治体を分析 昨年 2 月、政府が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて全国の小中高校などに出した一斉休校の要請には、感染拡大を防ぐ効果はなかったとの研究を、学習院大と静岡大、米ハーバード大のチームがまとめた。 10 月 27 日の科学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に論文が掲載された。 学習院大の福元健太郎教授(計量政治学)らは、日本全体の約半数にあたる 27 都府県の 847 自治体からデータを収集。昨年 3 - 6 月の期間を対象に、休校にした自治体としていない自治体とで人口あたりの感染者数を比べたところ、統計的にはっきりした違いはみられなかった。 感染者数の増減には、休校したかどうか以外にも、他の自治体に通勤している人の数や人口密度など、さまざまな事情が影響する。 このため福元さんらは、住民の年齢構成や収入、学校の児童・生徒数、病院や医師の数、自治体の財政状況、首長の年齢や当選回数などを含む 49 項目にわたるデータを抽出。 これらの条件が似ている自治体のなかから、休校したところとしていないところでペアを作って比較した。 調査の後、子どもが感染しやすいとされるデルタ株の流行が始まった。 福元さんは、休校による感染抑止効果は当時と今では変わっている可能性もあるとしつつ、「学校が休みになれば子どもたちが学習する機会が減るほか、心身の発達にも影響が及ぶ。 保護者が昼間、働きに出るのも難しくなる。 政府は今後、休校を要請するにあたって、慎重に検討するべきだ。」と話している。 論文は ウェブサイト で読める。 (小宮山亮磨、asahi = 11-1-21) 前 報 (6-17-21) 家庭教師のトライ、英ファンドが 1,100 億円で買収 英投資ファンドの CVC キャピタル・パートナーズは、「家庭教師のトライ」を手がけるトライグループ(東京・千代田)を 1,100 億円程度で買収する。 新型コロナウイルスの感染下でオンライン教育が浸透するなか、人工知能 (AI) 関連の投資を増やし競争力を高め、3 - 4 年後の上場を目指す。 教育ビジネスで、デジタル投資が生き残りを左右する要因になってきた。 トライは家庭教師や個別指導塾を全国で展開し、1,100 カ所の拠点を持つ。 登録する家庭教師の数は 20 万人を超える。 家庭教師でシェア約 1 割の最大手だ。 非上場だが 2021 年 5 月期の売上高は約 500 億円と、上場企業では東進ハイスクールを手がけるナガセと同規模。 トライグループはこの数年増収基調で、EBITDA (税引き、利払い、償却前利益)は 80 億円強と収益性も業界内では高い。 両社は月内にも買収契約を結ぶ。 CVC は買収のために SPC (特別目的会社)を設立し、創業者の平田修会長らからトライ株を全株取得する。 その後、平田会長と二谷友里恵社長は売却で得た資金を活用して SPC に再出資することで、経営に一定程度関与する。 CVC はトライのオンライン対応を一段と加速させる。 学力診断などに使用する AI の精度向上や新たなサービスの開発を進める。 CVC はオンライン大学 Pegaso を運営するイタリアの企業に投資するなどの投資経験を生かして、トライの企業価値を高める。 学習塾・予備校・家庭教師の市場規模はここ数年 1 兆円近く(矢野経済研究所調べ)で推移する。 少子化が進む一方で、1 人当たりにかける教育費は増えている。 新型コロナのまん延で対面授業が難しくなり、オンライン化が急速に進んでいる。 資本力のある大手は対応を進めているが、中小の学習塾は遅れが目立っており、今後再編が進む可能性がある。 CVC は 11 日、トライの買収についてコメントを控えた。 トライはコメントしていない。 (nikkei = 10-11-21) 子どものネット依存脱却へ リアルなつながり、周囲の支えが鍵 兵庫県姫路市の家島諸島で小中高校生がネット無しで 4 泊 5 日の合宿をする「人とつながるオフラインキャンプ」。 参加者には不登校などの課題を抱えながらネットに没頭する生活から一歩一歩抜け出す子どももいた。 鍵は学校の先生や大学生ら周囲の支えだ。 ◇ 「高校に行って友達と話したい」 「やっぱり高校に行って、友達と話したい。」 キャンプ最終日の目標発表会で、県内の男子中学 3 年生 (15) は力を込めた。 中 1 の夏に勉強につまずいたのがきっかけで不登校になり、オンラインゲームにのめり込んだ。 昨年からキャンプに参加し、少しずつ、リアルなつながりを築こうとしている。 オンラインゲームに手が伸びたのは、周囲と違い自分だけ学校に行けていないのが嫌だったからだ。 そこで出会ったのは、同じような不登校の子どもたち。 「親に言えない気持ちも話せて、わかり合える。 居心地がよかった。」 嫌になるとプチッと通話を切ることもできる。 勉強しようと思うのに夜通しゲームをしてしまうこともあった。 転機は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う 2020 年 3 - 5 月の一斉休校だった。 中学の先生が自宅に通って勉強を教えてくれた。 それまでの遅れを取り戻したことがステップになり、休校が終わると、週 1 回、放課後の中学校に通うようになった。 ◇ 「自分はゲーム依存なんだ」 20 年 9 月、コロナ禍を受け、家島から三田市のアウトドア施設に場所を移したオフラインキャンプに初めて参加した。 「自分はゲーム依存なんだ」と向き合うことを決め、週 3 日、不登校の生徒が学校復帰を目指す適応指導教室に通う目標を立てた。 その目標は達成したが、「同級生は受験や部活に忙しいのに、自分は …」と思うとゲームに向かってしまう。 もう一歩を踏み出そうと、今年、再びキャンプに参加した。 最初は周囲となじめなかったが、自炊で魚のおろし方を披露するとみんなが「教えて」と輪を作り、打ち解けた。 「意見を発表すると、すぐに反応が返り、時々、ぶつかりあう。 『けんかっていいな』って感じました。」とかみしめるように語った。 立てた目標はゲームを 1 日 8 時間から 6 時間に減らし、午後 11 時半には寝ること。 その先の目標は通信制の高校への進学だ。 「成長してくれたね。」 最終日に目標を発表するこの男子中学生の姿を涙を流して見つめる大学生がいた。 県立 3 年の桑鶴碧衣(あおい)さん (21)。 1 年前のキャンプでメンター(相談役)として男子中学生と向き合った。 初対面の印象は人前で発表するのを嫌がる内気な子だった。 ネットの使い方を尋ねると「ゲームが心のよりどころ」と打ち明けられた。 「否定せず、彼なりの良さをほめよう。」 当時、桑鶴さんはとにかく明るくしゃべりかけた。 男子中学生が自炊で片付けや皿洗いを率先してやる姿に気づくと「ありがとう」、グループで小さな声でも意見を言えたら「めっちゃいいやん」と声をかけた。 それから 1 年、適応指導教室に週 3 日通うようになり、今年は高校進学の目標を発表した。 桑鶴さんは「メンターの役割はリアルの楽しさや人間関係を築く魅力を伝えること。 それに気づいてくれたことがうれしい。」と話した。 (井上元宏、mainichi = 10-11-21) ◇ 具体的にほめることが大事 インターネット依存について、竹内和雄・県立大准教授に聞いた。 - - 子どもたちがインターネットを長時間利用する背景は?
- - ネット依存傾向から抜け出すには?
- - 周囲が心がけることは?
教育移住、新たな呼び水 都市との距離逆手に PR 教育に独自色を打ち出すことで移住を促し人口減にあらがう地域がある。 出生率の大幅な向上が見込みにくい中、豊かな自然の特色を生かしたり、海外の方針を導入したりと知恵は様々。 「教育移住」先進地を追った。 全国の 15 歳未満人口(年少人口)は 1,508 万人(住民基本台帳、2021 年 1 月 1 日時点)。 過去 10 年で 11% 減少した。 都道府県単位で増えたのはタワーマンションの増加などで都心部を中心に人口流入が続く東京都(3.3% 増)のみ。 残る 46 道府県は軒並み減少した。 減少率が最も低い沖縄県で 1.7% 減、最下位の秋田県は 24.5% 減と厳しい少子化に直面する。 一方、市区町村別でみると 37 都道府県の計 148 自治体が子どもを増やす。 デメリットと捉えられがちだった「都市との距離」を逆にアピールして呼び込みに成功したところが多い。 増加率トップは新潟県の離島、粟島浦村。 牧場で馬を世話しながら小中学校に通ってもらう「しおかぜ留学」制度を 13 年に設け、年少人口を 19 人から 43 人へと倍増させた。 21 年 4 月入学の募集では新型コロナウイルス禍にもかかわらず、継続を含む最大 20 人の枠に 60 人以上の応募が首都圏などから殺到した。 島生まれは 10 人のみ。 担当者は「16 人の教員を確保できるのは留学のおかげ」と断言する。 進学に伴い島を離れるケースも多いが「第 2 のふるさと」として、再移住も期待できる。 2 位の鹿児島県十島村も小中学生の「山海留学」として、粟島浦村に類似する制度を 1991 年に創設。 移り住む生徒数は毎年度 10 人前後だったが、2021 年度は 42 人と全生徒の半数近くまで拡大した。 生徒が増えれば教員の割り当て(現在 70 人)も増えるため、年少人口にとどまらない人口増につながる。 6 位の福岡県新宮町は 16 年、地元大学の協力で気象の動向や太陽光発電量などをデータ化し、モニターで公開する「スマートスクール」を開校。 効果を児童に体感してもらうことで環境教育を推進し、新たな生徒を呼び込んだ。 年少人口を増やすまでに至らなくても、ユニークな教育を打ち出す自治体は求心力を強める。 文部科学相の指定を受け独自教育に取り組む「教育課程特例校」は全国に 1,768 校。 市区町村内に所在する特例校が 10 校未満の場合、転入者が平均 3,000 人なのに対し、10 - 29 校で 5,000 人などと、比例して転入者数が増える傾向がある。 理想の教育を地方で実施しようとする取り組みは足元でさらに加速する。 19 年には異なる年齢の子どもを共に学ばせ、個性や発達度合いに応じた教育の実現をめざす欧州発の「イエナプラン」を採用した認定私立校が長野県佐久穂町に開校した。 自主性の確立や生徒同士の教え合いで自己肯定感を高められることなどが人気を集め、全校約 140 人のうち 8 割が移住して入学した。 都内から進学した生徒は 50 人を超える。 広島県福山市はイエナ認定の公立校を 22 年に開校する。 11 月の募集開始を前に「引っ越ししてでも通わせたい」とする保護者からの問い合わせが全国から殺到している。 国際教育に力をそそぐ学校の設立も相次ぐ。 英ハロウスクールは岩手県八幡平市に全寮制のインターナショナルスクールを開く予定。 長野県白馬村にも全寮制の白馬インターナショナルスクールが開校する。 (桜井佑介、塚越慎哉、伊藤敏克、橋本慎一、nikkei = 10-9-21) 「学校配布タブレットでいじめ」 小 6 女児 "自殺" で両親が訴え 小学 6 年生の娘が自殺したのは、「学校で配られたタブレットでのいじめが原因だった。」 両親が会見で訴えました。
遺族によりますと、去年 11 月、東京・町田市の市立小学校に通っていた当時小学 6 年の女子児童が、いじめが原因と示唆される遺書を残して自宅の部屋で自殺しました。 遺族らが実施した同級生らへの聞き取り調査では、女子児童に対し、4 年生のころから悪口を言われるなどのいじめがあり、学校で一人一台配られていたタブレット端末でもチャット機能で「うざい」、「きもい」、「死んで」などと書き込まれていた、との証言があったということです。 遺族らは学校へいじめに関する調査を求めましたが、学校側は「トラブルは自殺の 2 か月前には解決していた」などと説明しているということです。 学校側が教育委員会に「重大事態」として報告したのは今年 2 月に入ってからだったということで、町田市教育委員会は「自殺といじめとの因果関係は調査中」とコメントしています。 (TBS = 9-13-21) 苦渋の「簡易給食」 コロナ感染対策と栄養摂取の両立で悩む学校現場 コロナ下の学校で、メニューをパンと牛乳などに絞った簡易給食を取り入れる動きが相次いでいる。 「量が足りない」といった批判もあるが、教育現場では、感染リスクが高まる給食の時間をいかに安全なものにするか、試行錯誤が続いている。 パンや牛乳を黙って食べる 9 月上旬。神奈川県の厚木市立厚木第二小学校で給食の時間が始まると、5 年生の教室の外には、袋に入ったパン、牛乳、小袋入り小魚、ヨーグルトが載った台が用意された。 教室から子どもが 1、2 人ずつ出てきて各自のお盆に自分でパンや牛乳を載せて教室に戻り、透明な板で仕切られた各自の机で黙って食べた。 食べ終えた児童らは大田垣洋校長に、「おなかいっぱいになった」という子もいれば、「ごはんとおかずの方がいいけど、家で食べるよりはみんなと食べる方がいい」と話す子もいた。 通常の給食は調理や盛り付け、配膳の過程で、人が食品や器に触れるが、個包装の食品ならそのリスクを極力抑えられる。 文部科学省が衛生マニュアル 文部科学省が出した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」でも、爆発的な感染拡大が起きている地域で通常の学校給食実施が難しい場合、配膳の過程を省略できる品数の少ない献立や、「配膳を伴わない簡易な給食(パン、牛乳等)」の提供も考えられるとしている。 ただ、同省の学校給食摂取基準によると、通常給食のエネルギーは児童・生徒の年齢に応じて 530 - 830 キロカロリー、たんぱく質は「学校給食による摂取エネルギー全体の 13 - 20%」などとなっている。 1 - 10 日に 3、4 年生に出された同市の簡易給食の場合、エネルギーは摂取基準より約 80 - 230 キロカロリー少なく、野菜はない。 市は不足する栄養素を家庭で補ってもらうよう保護者に通知した。 13 日からは学校内での大規模な感染が見られないことから、黙食を徹底しながら通常給食に戻すという。 同市の給食センター職員は「簡易給食だとたんぱく質や野菜がとりにくい。 通常の給食を出したいのはやまやまだが、栄養摂取と感染対策のせめぎ合いだ。」 カロリー不足を補おうと、パンは通常よりも大きめのものを発注したという。 「量少ない」 批判も 簡易給食に対する批判の声もある。 埼玉県戸田市では 8 月下旬に 2 学期が始まり、午前中は授業を受け、通常の給食を食べて帰宅していた。 保護者らから感染対策の不安を訴える声が出たことから、9 月 1 日から学校での授業時間を短くし、3 日から簡易給食に変更。 この日はパンと牛乳だった。 だが、5 日にテレビ番組で同市の給食が取り上げられると、市には「量が足りない」、「虐待ではないか」といった電話やメールが 80 件ほど届いたという。 ネットにも「子どもを元気に育てていく気がある?」などの批判が相次いだ。 市教委幹部は「午前中授業のあと、何も食べないで帰るよりはパンと牛乳だけでも、と考えた。 市内で感染が特に多かった状況を受けたもので、あくまで時限的なもの。」と悩みながら対応に当たった状況を説明する。 その後、ジャムやデザートが追加され、13 日からは配膳が少なくなる工夫をした上で、通常に近い給食を出す予定だ。 状況をみながら、献立を変えている自治体もある。 福島県いわき市では、9 月 6 日からパンや牛乳などのメニューに、シチューなど調理された温かいおかず一品をつけた。 教員間の感染対策の手順の確認が済んだためという。 市教委担当者は「担任が盛り付ける運用のため配膳時間を考えると一品が限界。 できる範囲で最大限の栄養をと考えている。」と話す。 給食は「感染状況に応じて柔軟に」 日本栄養士会理事で栃木市の給食センターに勤務する栄養教諭の中田智子さんは「1 回の給食ですべての栄養を摂取することは難しいので、1 週間や 1 カ月単位でバランスをとるよう考えるのが基本」と指摘。 その上で「学校でマスクを外す給食の時間は、先生たちが一番怖い時間。 感染者が多い地域で感染を抑える目的ならば、一時的な簡易給食の実施は的確なのではないか。」とする。 簡易給食に対する批判の背景に、社会における給食の位置づけの変化があるとの意見もある。 学校給食に詳しい金田雅代・女子栄養大名誉教授は、戦後、最低限の栄養補給として始まった給食が、現在では成長期に必要な「栄養バランスのとれた食事」の目標とされていると指摘。 「給食への期待が高いだけに、簡易給食への抵抗も強いのではないか。」 また実践女子大学の大道公秀准教授(食品衛生管理)は「感染状況に応じて、献立は地域で柔軟に決めるという基本的な考え方が、社会全体で共有されていない。 給食のあり方について行政も説明を尽くす必要があるし、社会でも議論が進むといい。」と話す。 新潟県立大学の村山伸子教授(公衆栄養学)が、2020 年 4 - 10 月の学校給食の実施状況を調べたところ、回答のあった全国の公立小中学校 205 校のうち、簡易給食を 1 日以上実施したのは 55 校。 10 日が中央値で、最も長い学校は 56 日。 一斉休校明けの 6 月が多く、パンと牛乳のみから副菜を付けたものまで幅があった。 文部科学省によると、簡易給食の学校がどれくらいあるか調査していないという。(沼田千賀子、小林未来、前田朱莉亜、asahi = 9-13-21) パラ学校観戦、参加者は 9,568 人 教育委員ら「検証を」 5 日に閉幕した東京パラリンピックの「学校連携観戦」について、東京都教育委員会は 9 日の定例会で、小中高と幼稚園 120 校の 9,568 人が参加したと明らかにした。 新型コロナウイルスの感染が収まらないことを受けて辞退する学校や児童生徒が相次ぎ、8 月中旬時点で観戦予定だった約 13 万 2 千人から大幅に減った。 児童生徒・教員 5,447 人が PCR 検査を受け、陽性者は 4 人だった。 学校連携観戦は 8 月 25 日 - 9 月 5 日、都内の 8 会場で行われた。 都によると、新宿区、渋谷区、杉並区、八王子市の小中学校や幼稚園 114 校 9,337 人と、都立中高 6 校 231 人が観戦した。 このほか、都内の私立中高と幼稚園 20 校 975 人も観戦した。 観戦するかどうかは、学校を所管する自治体が決め、校長と園長が判断した。 観戦を望まない児童生徒は参加を辞退できた。 都内では、8 月 18 日時点で 8 自治体の約 13 万人と都立学校 23 校の約 2 千人が観戦を希望していたが、その後もコロナの感染拡大が続き、「感染のリスクが高い」、「保護者から反対の声が寄せられている」などの理由で自治体や学校、児童生徒の辞退が相次いだ。 定例会に出席した元日本オリンピック委員会理事の山口香委員は「後から振り返って、実施したことが良かったと判断されるかは分からない。 大切なのは今後に向けた検証。」と述べた上で、「自治体や学校が行くか行かないかを決めたプロセスも含めて、記録を残しておくべきだ」と強調した。 (池上桃子、asahi = 9-9-21) ◇ ◇ ◇ 辞退者が続出した学校連携観戦 現場は苦悶 「イメージで批判」の声も 5 日に閉幕する東京パラリンピック。 新型コロナの感染急拡大で、一般客の観戦は断念したのに実施に踏み切った学校連携観戦プログラムには「矛盾している」、「感染のリスクがある」、「テレビ観戦でも学べる」などと批判が集中した。 対象は競技会場がある 1 都 3 県の小中学生ら。 国や都などは開幕約 1 週間前の 8 月 16 日に希望者の受け入れを決めた。 都では、都教育委員会臨時会で教育委員 5 人中 4 人が反対を表明。 江東区や港区なども中止に転じ、参加を決めた自治体でも辞退者が続出した。 開幕日の 24 日時点の観戦予定者数は約 2 万 4 千人だったが、組織委によると、5 日までの入場者数は約 1 万 2 千人にとどまった。 参加を決めた区市の学校も、希望者の把握や事前の PCR 検査など対応に追われた。 千葉県では 7 市町 207 校の約 2 万 6 千人が観戦を予定していたが、8 月 29 日に観戦を引率した教員 2 人の感染が明らかになったことで、熊谷俊人知事は「保護者の不安を払拭する(事前の PCR 検査などの)施策の実施が困難」などとして途中で中止を決めた。 県によると、観戦者は同 30 日までに 6 市町 92 校の計 3,292 人だった。 国や都が実施にこだわったのは、多様性や共生社会の大切さを知る教育効果が高いと考えたからだ。 都教委によると、参加者からは「障害を乗り越えてパラの舞台で活躍する姿に感動した」、「ボランティアやコーチを見て、支え合う大切さを感じた」、「人生に一度だと思う東京でのパラリンピックを観戦できてよかった」などの感想が寄せられた。 担当者は「共助の意識につながる感想を持ってくれた」と手応えを語る。 選手からも「子どもたちの応援がうれしかった」、「(感染対策で)声は出せないが、応援する心は十分に伝わってきた」と一様に喜びの声が上がった。 参加したある学校長は相次いだ批判について、「PCR 検査を受け、定員の半分以下でバスを利用し、競技会場もほぼ貸し切り。 正直、普段の学校生活よりも感染リスクは低いと思う。 イメージで『感染を広めるのか』と批判されているようだった。」と振り返る。 別の校長は「様々な考えがあることは承知しているが、数年来行ってきたオリパラ教育の集大成。 子どもの学びを止めないことを大切にした。」と話した。 (荻原千明、真田香菜子、asahi = 9-5-21) ◇ ◇ ◇ パラ観戦中止、職員室は拍手 行政に振り回された学校 東京都のある公立校では、まだ夏休み中の今月下旬、職員室に教員が集まり、会議が行われていた。 東京パラリンピックを生徒が観戦する手順の打ち合わせだった。 東京五輪パラリンピックの競技会場がある 1 都 3 県の小中学生らに観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」。 この学校のある自治体は、7 月に一度は同プログラムの辞退を発表していた。 だが今月中旬、一転してパラリンピックでは同プログラムで生徒を観戦させることを決定。 学校側は対応に追われていた。 打ち合わせ中、職員室の電話が鳴った。 着信は自治体からだった。 電話を受けた教員が、全員に伝えた。 「たった今、観戦の中止が決まりました。」 次の瞬間、職員室は拍手に包まれたという。 元々は、五輪やパラリンピックの観戦には大賛成だったのに。 拍手の理由を教員の一人は明かす。 「同僚はみんな、安堵した雰囲気でした。 リスクの中で生徒を連れて行くことに、不安を感じていたのだと思います。」 ワクチン未接種の教員もいる。 生徒を引率し、不特定多数の人がいる競技会場と学校とを、本当に安心安全に行き来することができるのか。 この教員自身、少なからぬストレスや恐怖心を抱えていたという。 東京五輪パラリンピック開催が決まってから、学校は「オリパラ教育」に力を入れてきた。 オリンピアンらが学校を訪れ、アスリートの生き様やスポーツ文化について、理解を深めた。 「生徒もそうだし、私自身、多くの学びがありました。」 その総決算として、生徒が五輪やパラリンピックを生観戦できたら素晴らしい経験になったと思っていた。 新型コロナウイルスの感染拡大さえなければ。 「家庭によって感染リスクの感じ方は違う。 現地で観戦した生徒と、不安を感じてテレビで見た生徒の間で、ぎくしゃくしたものが生まれてしまう恐れがある。」 緊急事態宣言下で、修学旅行や野外教室の延期、中止が検討されている中で、パラリンピック観戦だけを「教育的価値」を理由に特別視することにも違和感があるという。 今回、二転三転した自治体の判断理由は、現場の教員には分からない。 「いずれも行政判断で、学校に裁量権はなかったと聞いている。」 一連の意思決定のゆがみに不信感はある。 ただ、今はホッとした気持ちが強い。 「プログラムを強行する自治体もある中で、ひとまず、中止になったことが安心材料。 これで、みんなで一緒にテレビでパラリンピックを見られる。」 東京都教育委員会は 24 日に、都内 4 区市の 2 万 94 人の児童、生徒が同プログラムに参加すると発表している。 18 日時点で 8 自治体約 13 万人としていたが、中止や辞退が相次いだという。 実施するのは新宿、渋谷、杉並の 3 区と八王子市の計 119 校。 一方で参加の意向を示していた江戸川、江東の両区は 24 日に、参加を検討していた港区は 25 日に、いずれも中止を発表した。 このほか、23 校の 2 千人が参加希望としていた都立は、6 校 489 人に減ったという。 (塩谷耕吾、asahi = 8-25-21) ◇ ◇ ◇ 子どもの感染じわり増加 愛知で中高生に早めの接種検討 新型コロナウイルスは愛知県で 19 日、1,221 人の感染が確認され、過去最多の前日(1,227 人)に次ぐ多さだった。 うち名古屋市は 277 人。 大村秀章知事は記者会見で「緊急事態宣言は時間の問題。 状況を注視し適切なタイミングで要請することになる。」と改めて強調した。 「第 5 波」では子どもの感染割合もじわりと増えている。 夏休み明けの学校再開が近づくなか、県は接種を希望する中高生に早めの接種が可能となる方策について検討を始めている。 愛知県の 7 月 21 日からの第 5 波は 18 日現在で、ワクチン接種をほぼ終えたとみられる 60 代以上の感染者が 626 人 (5.8%) で、30 代以下が 6 割を占めるのが特徴だ。 10 代は 1,334 人 (12.4%)、10 歳未満は 604 人 (5.6%) で合わせて 18.0%。 第 3 波(昨年 10 月 21 日 - 今年 3 月 30 日)は 10% ほどだった。 10 代以下とは限らないが、最近も名古屋市と常滑市の保育施設 3 カ所で計 39 人のクラスター(感染者集団)が発生するなどしている。 10 代以下の重症者はゼロだが、ワクチン接種は進んでおらず、まだ接種予約ができない自治体もある。 最も人口の多い名古屋市は、10 代の予約開始は 9 月 6 日。 年齢が高い順に予約を受ける方針のためだ。 岡崎市や豊橋市は 16 歳以上の接種券は発送したものの、12 - 15 歳の接種時期は未定。 副反応の検討などを進めていたり、ワクチンの供給量が減ったため年齢の高い人を優先したりした。 各自治体で方針は異なっており、蒲郡市はお盆の週末だった 14、15 日、希望する中学 3 年と高校 3 年の生徒たちが 2 回目の接種を終えた。 市によると、この学年は受験や就職を控えているため、通常スケジュールよりも優先した。 事前に保護者らにアンケートも実施。 かかりつけ医での接種を希望した生徒も含め、計約 1,400 人の半数超が接種したという。 市は「人生の大事な時期ということで、実施した」と説明する。 豊田市や一宮市はすでに 12 歳以上の住民に接種券を発送。 「希望するかは各自の判断」で、予約と接種はできる状況だ。 一宮市によると、今のところ 1 回目の接種を終えた 10 代は約 7% だという。 ワクチンを感染対策の切り札とする県は、大村知事が 19 日の記者会見で、夏休み明けの学校再開に向け「12 歳以上の子どもたちにできるだけ多く打ってもらいたい」と言及。 「特に受験を控えた中 3、高 3 の生徒が早く 1 回でも打てるよう仕組みを考えたい(県幹部)」としている。 別の県幹部も「無症状が圧倒的に多く、そこから親にうつすケースが目立つ」と見ており、子どもの感染抑制を同時並行で進めたい考えだ。 県担当者は「市町村それぞれの考え方もあるが、県としては年代にかかわらず接種を進めてほしい」と話している。 夏休み明けについては、県は児童・生徒に可能な限り日常の学校生活を送らせたい考えで、今のところ休校や分散登校などの新たな措置は考えていない。 ただ、「緊急事態宣言の要請は時間の問題(大村知事)」で、宣言下での学校再開となる可能性がある。 感染急拡大は感染力が強いデルタ株の影響だが、学校での対策について大村知事は、換気や手洗い、黙食など「これまで以上に徹底するよう学校で言ってもらう」と話した。 県幹部によると、宣言下となれば修学旅行は延期か中止を求める。 だが、すでに決定したものは感染防止対策を徹底した上での実施を認める方向で検討している。 部活動も対外試合や合宿は自粛を求めるものの、公式試合は認める方向だ。 (岡本智、木村俊介、asahi = 8-20-21) 小学校の教職員が『コロナ陽性 5 日後に出勤』体調改善で自ら判断 … 管理職に伝えず 兵庫・尼崎市 9 月 1 日、兵庫県尼崎市の教育委員会は、市立小学校に勤務する教職員が新型コロナウイルス陽性判明から 5 日後に出勤していたと発表しました。 尼崎市教育委員会によりますと、市立小学校の教職員 1 人は、8 月 24 日に痰がからむなどの自覚症状が出て、8 月 25 日に 38.8℃ の発熱があり、抗原検査で新型コロナウイルス陽性が判明。 しかし、この教職員は学校には伝えず、8 月 26 日 - 29 日は勤務せず、体調が改善したことから自らの判断で、始業式が行われた 8 月 30 日に出勤していたということです。 軽症で入院はしていませんでした。 8 月 30 日に管轄の保健所から尼崎市教育委員会に連絡があり、管理職が当該教職員に直接確認をして、問題が発覚したということです。 この教職員は児童 33 人のクラスの担任で、8 月 30 日は始業式の後は 4 時間目まで児童らに授業をしていたということです。 しかし尼崎市は当該学校での濃厚接触者は確認されていないとしています。 尼崎市教育委員会は 8 月 31 日から当該の学校を臨時休校として、関連施設の消毒を 31 日に実施。 この教職員の接触者(濃厚接触者ではない)児童や教職員の 38 人に対して 9 月 2 日に PCR 検査を実施するとしています。 休校は関連する全検査が完了するまで行うということで、現時点では 9 月 3 日までの予定だということです。 尼崎市教育委員会は「通達に違反する行為であり、感染拡大防止対策をないがしろにした問題行動で、事実関係を確認した上で厳正に対処する」としています。 (mbs = 9-1-21) 自治体に GIGA 支援センター設置へ 文科省概算要求 小中学校の児童生徒に 1 人 1 台の情報端末配備が進むなか、文部科学省は来年度、全国の自治体に「GIGA スクール運営支援センター(仮称)」を整備することを決めた。 端末の故障時の対応や教職員のサポートなどを担う拠点として、整備する自治体に運営費の半額を補助する。 30 日に公表した来年度予算の概算要求に 64 億円を盛り込んだ。 文科省が 7 月末までに全国の公立小中学校に行った調査によると、全学年または一部学年で端末の活用を始めていると答えた小学校は 96.1%、中学校は 96.5% だった。 一方、今年 4 月以降、端末の破損・紛失は計 1 万 8,104 台(整備台数全体の約 0.2%)あったという。 5 月に行った自治体へのアンケートでは、課題として、学校の学習指導での活用や、教員の活用指導力をあげる回答が多かった。 GIGA スクール運営支援センターは、学校現場に近い自治体に、こうした課題に即応してもらい、端末の活用を広げる狙いがある。 ICT (情報通信技術)活用にノウハウがある民間事業者に業務委託してもらい、その運営費の 2 分の 1 を文科省が補助する。 端末使用時のトラブルや紛失・故障などに対応するヘルプデスクの開設、ICT 支援員の育成・確保などを担ってもらうことを想定している。 (伊藤和行、asahi = 8-30-21) 渋谷区が夏休み 1 週間延長、再開後も 1 週間は分散登校に 東京都渋谷区は 25 日、区立の小中学校の夏休みを 1 週間延長し、9 月 5 日までとすることを決定した。 当初、同区の夏休みは 29 日までの予定だったが、新型コロナウイルスの感染状況や、夏休みを延ばす自治体が増えていることなどを考慮し延長に踏み切った。 学校が再開した後も、9 月 6 日から 11 日までは分散登校を原則とする。 各学校に対し、登校する生徒を全体の半分から 3 分の 2 程度に抑えるよう求めている。 (asahi = 8-25-21) ◇ ◇ ◇ 小中学校の夏休み、8 月末に延長も 児童生徒の感染増 新型コロナの急激な感染拡大を受け、神奈川県内の市立学校では夏休みを延長する動きが出ている。 横浜市では 24 日から順次授業が始まる予定だったが、31 日まで臨時休業となる。 対象は小中学校など市立の全 508 校。 緊急事態宣言が発令中の 9 月 12 日まで学校ごとに短縮授業やオンライン学習を実施し、中高の部活動は中止する。 市教育委員会によると、市内では児童や生徒の感染が急増。 夏休み中の 7 月 21 日 - 8 月 19 日の約 1 カ月で、昨年度 1 年間を上回る 808 人が感染した。 大和市では市立小中学校全 28 校で 25 日まで夏休みだったが、31 日まで延長された。 市教委によると、感染者が 7 月は 10 代未満が 27 人、10 代が 49 人だったが、今月は 19 日時点で 10 代未満が 60 人、10 代が 110 人と倍増。 さらに感染が拡大する恐れがあるため、延長を決めたという。 厚木市は予定通り 2 学期を始めるが、31 日までは給食のない午前日課にする。 この間、中学校の部活動は停止される。 (asahi = 8-24-21) ◇ ◇ ◇ 相模原市が小中学校を月末まで臨時休校 感染急拡大で 相模原市教育委員会は 19 日、市立小中学校と義務教育学校の夏休みは今月 24 日までの予定だったが、新型コロナウイルスの感染が急激に拡大していることを受けて、25 - 31 日を臨時休業とすると発表した。 お盆などの影響で 8 月後半に感染者が増える可能性があるとみて、臨時休業を決めた。 休業中の体調を確認し、感染者が多い学校やクラスについては 9 月 1 日以降、個別に休校や学級閉鎖を検討するという。 市内の 106 校が対象で、児童生徒数は約 5 万 1 千人。 (土居恭子、asahi = 8-19-21) |