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文科相、大阪市長に「耳を傾けて」 現職校長からの提言 大阪市が緊急事態宣言中の市立小中学校の学習を「オンラインが基本」としたことに対し、市立小学校の校長が実名で「学校現場は混乱を極めた」などとする提言を松井一郎市長や市教育長に送った。 このことについて萩生田光一文部科学相は 21 日の閣議後会見で、「(校長から)不具合があったという報告であれば、耳を傾けて改善したらどうか」と市側に促した。 松井市長と市教育長に 17 日に「提言書」を送ったのは、大阪市淀川区の市立木川南(きかわみなみ)小学校の久保敬校長。 オンライン学習を基本とした松井市長の判断を「子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出している」と批判。 市の教育行政の問題にも言及した。 一方、松井市長は 20日、報道陣の取材に「言いたいことは言ってもいい」としつつ、「(市教育委員会の教育振興基本計画の)ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」と発言した。 萩生田氏は大阪市の対応について「自治体の判断を尊重する。 ただオンラインで子供たちが納得する授業が十分できなかったという実態があれば、しっかりフォローして欲しい。」と述べた。 久保校長と松井市長のやりとりについては「現場の先生が首長に意見をおっしゃることは決して悪いことだと思いません。 ただ、大阪市は考えた上での結果だと思う。 やってみて不具合があったという報告だとすれば、耳を傾けて改善したらどうですかね」と話した。 (伊藤和行、asahi = 5-21-21) ◇ ◇ ◇ 大阪市立木川南小学校・久保校長の「提言」全文 大阪市淀川区の市立木川南小学校(児童数 140 人)の久保敬校長が、市の教育行政への「提言書」を松井一郎市長(57)に実名で送った。全文は以下の通り(原文ママ)。 (asahi = 5-20-21) ☆ 大阪市長 松井一郎様 大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために 子どもたちが豊かな未来を幸せに生きていくために、公教育はどうあるべきか真剣に考える時が来ている。 学校は、グローバル経済を支える人材という「商品」を作り出す工場と化している。 そこでは、子どもたちは、テストの点によって選別される「競争」に晒される。 そして、教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく。 さらには、やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある。 今、価値の転換を図らなければ、教育の世界に未来はないのではないかとの思いが胸をよぎる。 持続可能な学校にするために、本当に大切なことだけを行う必要がある。 特別な事業は要らない。 学校の規模や状況に応じて均等に予算と人を分配すればよい。 特別なことをやめれば、評価のための評価や、効果検証のための報告書やアンケートも必要なくなるはずだ。 全国学力・学習状況調査も学力経年調査もその結果を分析した膨大な資料も要らない。 それぞれの子どもたちが自ら「学び」に向かうためにどのような支援をすればいいかは、毎日、一緒に学習していればわかる話である。 現在の「運営に関する計画」も、学校協議会も手続き的なことに時間と労力がかかるばかりで、学校教育をよりよくしていくために、大きな効果をもたらすものではない。 地域や保護者と共に教育を進めていくもっとよりよい形があるはずだ。 目標管理シートによる人事評価制度も、教職員のやる気を喚起し、教育を活性化するものとしては機能していない。 また、コロナ禍により前倒しになった GIGA スクール構想に伴う一人一台端末の配備についても、通信環境の整備等十分に練られることないまま場当たり的な計画で進められており、学校現場では今後の進展に危惧していた。 3 回目の緊急事態宣言発出に伴って、大阪市長が全小中学校でオンライン授業を行うとしたことを発端に、そのお粗末な状況が露呈したわけだが、その結果、学校現場は混乱を極め、何より保護者や児童生徒に大きな負担がかかっている。 結局、子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出していることに、胸をかきむしられる思いである。 つまり、本当に子どもの幸せな成長を願って、子どもの人権を尊重し「最善の利益」を考えた社会ではないことが、コロナ禍になってはっきりと可視化されてきたと言えるのではないだろうか。 社会の課題のしわ寄せが、どんどん子どもや学校に襲いかかっている。 虐待も不登校もいじめも増えるばかりである。 10 代の自殺も増えており、コロナ禍の現在、中高生の女子の自殺は急増している。 これほどまでに、子どもたちを生き辛)くさせているものは、何であるのか。 私たち大人は、そのことに真剣に向き合わなければならない。 グローバル化により激変する予測困難な社会を生き抜く力をつけなければならないと言うが、そんな社会自体が間違っているのではないのか。 過度な競争を強いて、競争に打ち勝った者だけが「がんばった人間」として評価される、そんな理不尽な社会であっていいのか。 誰もが幸せに生きる権利を持っており、社会は自由で公正・公平でなければならないはずだ。 「生き抜く」世の中ではなく、「生き合う」世の中でなくてはならない。 そうでなければ、このコロナ禍にも、地球温暖化にも対応することができないにちがいない。 世界の人々が連帯して、この地球規模の危機を乗り越えるために必要な力は、学力経年調査の平均点を 1 点あげることとは無関係である。 全市共通目標が、いかに虚しく、わたしたちの教育への情熱を萎えさせるものか、想像していただきたい。 子どもたちと一緒に学んだり、遊んだりする時間を楽しみたい。 子どもたちに直接かかわる仕事がしたいのだ。 子どもたちに働きかけた結果は、数値による効果検証などではなく、子どもの反応として、直接肌で感じたいのだ。 1 点・2 点を追い求めるのではなく、子どもたちの 5 年先、10 年先を見据えて、今という時間を共に過ごしたいのだ。 テストの点数というエビデンスはそれほど正しいものなのか。 あらゆるものを数値化して評価することで、人と人との信頼や信用をズタズタにし、温かなつながりを奪っただけではないのか。 間違いなく、教職員、学校は疲弊しているし、教育の質は低下している。 誰もそんなことを望んではいないはずだ。 誰もが一生懸命働き、人の役に立って、幸せな人生を送りたいと願っている。 その当たり前の願いを育み、自己実現できるよう支援していくのが学校でなければならない。 「競争」ではなく「協働」の社会でなければ、持続可能な社会にはならない。 コロナ禍の今、本当に子どもたちの安心・安全と学びをどのように保障していくかは、難しい問題である。 オンライン学習など ICT 機器を使った学習も教育の手段としては有効なものであるだろう。 しかし、それが子どもの「いのち(人権)」に光が当たっていなければ、結局は子どもたちをさらに追い詰め、苦しめることになるのではないだろうか。 今回のオンライン授業に関する現場の混乱は、大人の都合による勝手な判断によるものである。 根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願うものである。 これは、子どもの問題ではなく、まさしく大人の問題であり、政治的権力を持つ立場にある人にはその大きな責任が課せられているのではないだろうか。 令和 3 (2021) 年 5 月 17 日 大阪市立木川南小学校 外国籍の小中生、「支援学級」頼み 日本語教育体制に穴 障害のある子ども向けの「特別支援学級」が、日本語の不得意な外国籍の子どもたちの受け皿になっている。 障害の有無を見極める適切な検査と日本語の学習環境が整っていない現状は、外国籍の子の学びを阻害する懸念も強い。 働き手不足の緩和や企業のグローバル化に向け、外国人が安心して日本で暮らせるようにする上で教育体制の見直しが不可欠だ。 日本経済新聞は 9 日までに、「外国人が多く住む」と文部科学省が位置づける群馬、長野、静岡、愛知、三重など 8 県の 25 市町の教育委員会を対象に、2020 年度に支援学級に在籍する小中学生の人数などを調査した。 25 市町の全教委が回答し、外国籍の小中学生 1 万 3,503 人のうち 6.5% に当たる 875 人が、学校教育法が発達障害や知的障害などを抱える児童生徒のための教育の場と定める特別支援学級に在籍していた。 25 市町の全小中学生 35 万 2,911 人の支援学級への在籍率 (3.2%) の 2 倍となった。 背景には日本語指導が必要な子の受け入れ態勢の不備がある。 外国籍の在籍率が 25 市町の平均を大きく上回る中部地方の教委は「日本語が身についていない子どもを人数の多い通常の学級で手厚くサポートするのは難しい」とし、検査を通じた障害の診断なしに支援学級に在籍させるケースがあると認める。 支援学級が日本語指導も担うことになるが、京都教育大の浜田麻里教授(日本語教育)は「障害がない子の語学教育に特別支援の人材を充てれば、本来の目的である障害のある子へのサポートが手薄になりかねない」と懸念する。 文科省は外国籍の子らに対する別教室での日本語指導を単位への算入とともに認めているものの、実施するかどうかの判断は校長に委ねている。 外国籍の在籍率が 2.4% と全児童生徒の割合 (2.6%) を下回った愛知県豊橋市は、入学直後の学習を支援する通訳を約 30 人確保、障害の有無も母語での検査を進めている。 ただ、こうした取り組みは一部にとどまり、18 年度の同省調査では、日本語指導が必要な小中学生の約半数が「指導者がいない」といった理由で日本語の授業を受けていないのが実情だ。 日本語の指導や能力測定が現場任せになっている国内に対し、海外では国などが積極的に公用語を母語としない子どもの語学力向上に取り組む。 米国は英語の不得手な子どもの数に応じ各州に補助金を支給し、年 1 回の試験で英語力を把握。 韓国も外国籍の子らを対象にした韓国語の能力試験を実施している。 国内の外国人労働者は 20 年 10 月末時点で 172 万人と 10 年間で 2.6 倍になった。 一部は家族帯同が認められており、経団連は外国人材向けの生活環境の整備や外国人子女の教育推進を政府に求めている。 日本国際交流センターの毛受敏浩執行理事は「外国人の受け入れに積極的な企業が増えるなか、子どもの教育も含め、安心して働ける環境が必要だとの意識が高まっている」と指摘。 「来日した子が日本語を身につければ将来の人材確保にもつながるはずだ」と話している。 (外国人共生エディター : 覧具雄人、金春喜、nikkei = 5-10-21)
別の小学校でも腐食を発見 防球ネット死亡事故うけ点検 白石第一小学校(宮城県白石市)で防球ネットの支柱が倒れて児童 2 人が死傷した事故を受け、市教育委員会は 30 日、市内にある 15 の幼稚園や小中学校で遊具や設備の緊急点検をした。 大鷹沢小学校では、市の技術職員 4 人がサッカーゴールやジャングルジムなどをハンマーでたたき、劣化の程度を音で検査。 藤棚の木製部品が腐食しているのを目にして、職員たちは「撤去を検討した方がいい」と話し合っていた。 市教委は年 1 回、学校の遊具を点検していたものの、事故があった防球ネットは設置者が不明で、点検の対象外だった。 佐藤哲生学校管理課長は「事故が起きる前に気づくべきことだった」と悔やむ。 点検で危険性があると分かれば、使用を禁止して、専門業者による詳細な点検を経て撤去するかを決めるという。(申知仁) 文科省、全国に緊急点検を要請 宮城県白石市の市立白石第一小学校で、校庭の防球ネットの木製支柱が折れて小学生 2 人が死傷した事故を受け、文部科学省は 30 日までに、都道府県・政令指定市などを通じて、すべての学校の防球ネットの安全性を緊急点検するよう要請した。 点検をした上で使用禁止や修繕などをすることも求めた。 萩生田光一文科相は 30 日の閣議後会見で「学校の点検だけで安全性が確認できない場合は、(業者などの)専門的な点検を実施することが考えられる」と述べた。 (asahi = 5-1-21) ◇ ◇ ◇ 防球ネット倒れ、児童死亡 宮城・白石の小学校で放課後 宮城県白石市半沢屋敷前の市立白石第一小学校で 27 日午後 3 時ごろ、校庭に設置された防球ネットの木製の支柱 1 本が根元から折れ、小学 6 年の男子児童 2 人に直撃した。 2 人は病院に搬送されたが、1 人は頭を強く打って死亡し、もう 1 人もあごの骨が折れる重傷を負った。 宮城県警白石署によると、亡くなったのは松野翔慎(しょうま)さん (11)。 署は 27、28 両日に実況見分をし、業務上過失致死傷の疑いも視野に教員らから事情を聴く。 市教育委員会などによると、事故があったのは放課後で、2 人を含む同小の児童 6 - 7 人がネットに寄りかかったり、揺らしたりして遊んでいたという。 ネットは、校庭に埋め込まれた 2 本の木製の柱で支えられており、折れた支柱は高さ約 6 メートル、直径約 17 センチ、重さは約 40 キロ。留め具などで固定はされていなかった。 このネットの設置記録は学校に残っていないという。 28 日午後に記者会見をした同市の半沢芳典教育長は「おそらく 20 年は経っているのではないか」との見方を示した。 市教委は学校の遊具に対しては年 1 回の点検を業者に依頼しているものの、このネットは対象外だった。 学校の教員が毎月 1 回、目視したり触ったりして点検していたが、今月 12 日の点検時に異常は確認できなかったという。 半沢教育長は「安心安全であるべき学校という場で、絶対にあってはならない人命に関わる事故が起きてしまった。 大変申し訳ない。」と謝罪した。 事故を受け、宮城県教育委員会は 28 日、県内すべての公立学校に設備の安全点検を求める通知を出した。 (申知仁、福岡龍一郎、asahi = 4-28-21) 新宿区の保育施設で園児 18 人、職員 7 人が新たに感染 職員 2 人の感染が判明している保育施設で、すべての園児及び職員を検査した結果、園児 18 人、職員 7 人の感染が分かった。 受け入れ態勢が整うまで休園する。 (東京新聞 = 5-1-21) ◇ ◇ ◇ 都内の小学校で変異ウイルスクラスター初確認 新型コロナの変異ウイルスについて、東京都内の小学校で初めてクラスターが確認されたことが分かりました。 東京都は 27 日、新型コロナの変異ウイルスのうち感染力が高いとされる「N501Y」型だけで、新たに 245 人の感染が確認されたことを発表しました。 このうち 7 人は都内の同じ小学校に通う同じ学年の児童で、最初に変異ウイルスへの感染が判明した児童も含めると、この学校で変異ウイルスに感染した児童は 8 人となります。 都内の小学校で変異ウイルスによるクラスターが発生したのは初めてです。 保健所が濃厚接触者などの特定を進めていて、さらに感染者が増える可能性もあります。 (TBS = 4-27-21)
私は一斉休校に反対する 小児科医が語る変異株の事実 新型コロナウイルスの変異株の広がりを背景にした 3 度目の緊急事態宣言を前に、「子どもの休校」が再び取りざたされた。 当面は見送られそうだが、これまでかかりにくいとされてきた子どもも感染しやすいとして、支持する声も根強い。 感染症が専門で、日本ウイルス学会理事でもある長崎大の森内浩幸教授(小児科学)は、大人の行動制限とあまりにもアンバランスな議論に警鐘を鳴らしている。 社会がロックダウンしないのに - - 感染者数の増加とともに、子どもたちの休校を求める声が聞かれるようになってきました
- - 変異ウイルス株について、子どもへの感染力の強さを不安視する声も多いです
- - そうなんですか。 変異株の出現とともに、子どもにかかりやすいというイメージがありました
学校感染は 5% - - 学校が「3 密」の状況であることを不安視する声もあります
海外では「最後の選択肢」 - - 海外では、第 2 波以降に休校している例もあります
- - 休校は、子どもの心身への影響が大きいことも発信されてきました
恐怖にかられず冷静な議論を - - 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の調査でも、新型コロナの感染が拡大して以降、うつ症状を現す子どもが増えていることが明らかになっています
ルーツ肯定的に 通名使わぬ小学校、100 年の歴史に幕 戦前から在日コリアンの人々が多く暮らす大阪市生野区にあり、児童の 3 分の 2 が朝鮮半島にルーツを持つ市立御幸森(みゆきもり)小学校が学校統合で閉校する。 誰もが自らの由来に自信を持つことを目指し、本名(ルーツにつながる名前)で呼び、名乗る「多文化共生」の取り組みで知られた。 各地で外国出身の子どもが増える中、その歩みが改めて注目されている。
韓国食材店や韓流ショップが並ぶコリアタウンに近い児童数 75 人の小規模校で、前身は 1924 (大正 13)年に開校した。 「学校配置の適正化」を進める大阪市教委の方針で隣接する中川小と統合され、3 月末で 100 年近い歴史に幕を下ろす。 「オルシグ チョッタ(日本語で「いいぞ」の意味)。」 2 月 19 日、ハングルの垂れ幕がかかる体育館に、力強い打楽器のリズムが響いた。 ケンガリと呼ばれる小さなドラが甲高い音でリズムを刻み、民族衣装に身を包んだ子どもたちが太鼓を鳴らし、軽やかにステップを踏む。 同校の「民族学級」で学ぶ子ども 48 人が成果を示す最後の発表会だ。 民族学級は、朝鮮半島にルーツを持つ子どもが、放課後に母国の言葉や文化を学ぶ課外活動。 御幸森小では在日コリアン 3 世の民族講師、洪佑恭(ホンウゴン)さん (54) が指導にあたる。 48 人は朝鮮半島の日本統治時代に渡日した子孫にあたる在日 3、4 世や、両親どちらかが朝鮮半島につながる「ミックスルーツ」らで韓国籍、日本籍と国籍は多様だ。 多くはふだんの生活で日本式の名前(通名)を使っているが、民族学級では全員、朝鮮半島とのつながりを示す本名やルーツ名を使う。 「自分は何者なのかと不安を抱える前に、共感しあえる仲間のいる場でルーツを肯定的に受け入れた経験は自尊感情を育む。 もし差別をあおるヘイトスピーチに直面しても自分らしさを失わない。」と洪さんは語る。 さらに御幸森小は、朝鮮半島に由来のない 4 年生以上の子どもも課外活動「ユネスコタイム」で朝鮮半島と日本のかかわりを学ぶ。 一人ひとりの名前をはじめ、世界のすべての国や地域が素晴らしい文化を持つことを知る。 発表会にはルーツのない子どもも応援旗を持って参加し、一緒に創作ダンスを踊った。 高尾祐彦校長は「民族学級の外でも、自然に本名やルーツ名で呼ばれる環境を作ることが目標。 日本人の子どもも自分を知る気づきになり、誰もが多様性を尊重し、違いを認めあえる学びになる。」と語る。 こうした取り組みが評価され、御幸森小は 2012 年、環境や人権尊重など地球規模の問題解決に取り組む学校を国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認定する「ユネスコスクール」に選ばれた。 コロナ禍までは多文化共生教育のモデル校として、多くの修学旅行生や大学生らが同校を訪れていた。 発表会でチャルメラのようなテピョンソを演奏した 6 年の宣弥佑(ソンミウ)君 (12) は、両親ともにルーツを持つが、父は日本籍で、母は韓国籍。 自身は生まれつき日本籍で、校外のサッカークラブでは日本名の「松田弥佑」を使う。 中学では韓国の名前を名乗ると決めている。 「幼稚園の時に名前をからかわれたことがあるが、御幸森の 6 年間で、すごくかっこいい名前と確信できたから」という。 6 年の康聖奈(カンソンナ)さん (12) の両親はともに韓国籍。 3 年の時、ネットで「韓国人は気持ち悪いから無理」という書き込みを見てショックで泣いたことがある。 「御幸森で学んで、韓国人であることは全然悪くないとわかった。 中学ではもっと韓国語を勉強する。」と目を輝かせる。 宣君の 21 歳と 17 歳の 2 人の兄姉も御幸森小で学んだ。 母で在日 3 世の鄭仁美(チョンインミ)さん (49) は 15 歳まで在日であることを知らされず、ルーツを明かすと生きづらくなると考えた時期もあった。 しかし、子どもたちがのびのび学ぶ姿を見て認識が変わったという。 「理想のまなびやがなくなっても、残してくれたものは消えません。」 統合で新たに生まれる大池小の児童数は 300 人を超えるが、民族学級は継続され、新たな体制で多文化共生の取り組みが続けられる予定だ。 コロナ禍で閉校イベントができない代わりに、地域住民らが「これからも応援する」との思いを込め、全校児童に絵本や歌を贈る計画を進めている。 その中心で、御幸森小で 10 年間教員を務めた足立須香(すが)さん (62) は「小規模校で在日の児童が多い御幸森だからできた教育と言われることもあるが、だからこそ率先して取り組まなければならなかった」と話す。 外国ルーツを持つ子どもへの教育は、外国人労働力の受け入れ拡大を背景に文部科学省も関心を持つ。 19 年には検討チームが「母語・母文化を学ぶ機会の配慮」や「多文化共生教育の充実」を提言した。 フィリピン、ブラジルなどから来日した子どもらを対象とした夜間教室「Minami こども教室」(大阪市)」の代表で、在日外国人教育に詳しいコリア NGO センター事務局長の金光敏(キムクァンミン)さん (49) は「外国ルーツの子どもの公教育の保障を考える上で、ルーツを個性として肯定的に捉える教育に全校あげて取り組んだ御幸森の歩みは参考になる」と話す。 (武田肇、asahi = 3-8-21) 非常時の自宅オンライン学習は「特例授業」 文科省通知 文部科学省は 19 日、感染症拡大時や災害時などの「非常時」に児童生徒が学校に行けない場合、自宅でのオンライン学習を特例の授業として認めることを全国の教育委員会などに通知した。 昨春からのコロナ禍でとってきた対応を恒久的な措置とする。 特例として認める授業は、同時双方向型のオンライン学習や、オンラインを活用した課題の配信・提出、教師らの質疑応答や児童生徒の意見交換ができる学習指導など。 学習した内容が十分身についていると認められれば、再度の対面授業は必要ないとした。 通知では、こうした対応を行うためには、平常時から学校や家庭に ICT (情報通信技術)環境を整備することが重要だとしている。 また新型コロナウイルス感染症対応のガイドラインも改定し、周囲で感染が拡大し同居家族への感染リスクがあるなどの合理的な理由があれば、児童生徒が登校しなくても欠席扱いにせず、「出席停止・忌引等の日数」として記録することを引き続き認めるとした。 (伊藤和行、asahi = 2-20-21) 性別問わず制服を自由選択に 「つらい」の声に学校動く あきらめず訴えてきてよかった - -。 性別に関係なく制服を選べる学校が各地に広がるなか、千葉県の県立高校が、1 人の女子生徒 (18) の声を受け、校則を変更した。 スカートをはく男子生徒が現れ、周辺校でも同様の制度を検討する動きが出ている。 学校は市川市の県立行徳高校。 女子は紺のジャケットに赤いリボンとチェックのスカートが制服だった。 この生徒は、生まれた性にずっと違和感を持ち、特にスカートが嫌だった。 中学では制服を着るのは登下校の時だけで、校内ではジャージーで過ごせたので我慢ができた。 だが、高校では体育以外で着用が義務づけられ、「毎朝つらくて …。 学校に行きたくない」と悩んだ。 1 年生の 12 月、校内のセクハラ・体罰についてのアンケートで、思い切って制服への自分の気持ちを訴えた。 生徒の声に学校は動いた。 「こんな思いをさせているのかと知り、見て見ぬふりはできないと思った」と池田浩二校長。 性的少数者の団体を招いて教員研修をするなど準備を重ね、生徒が 2 年生の 2 学期に、制服を自由に選択できる校則に変更。 同時に、利用者がいないので閉鎖していた障害者用トイレ二つを「誰でもトイレ」とし、性別を問わず、着替えでも使えるようにした。 生徒はスラックスで登校するようになり、今は 3 年生。 「友人は良かったね、と言ってくれた。 スラックスになって毎日楽しく学校に通えた。」と喜ぶ。 男子でスカート、リボンの着用を希望する生徒も現れた。 3 年生の男子生徒 (18) は「迷いはなかった。 ほぼ心も女子だったので」と話す。 周囲にからかわれるようなことはなく、逆に人気が出たと感じた。 「自分がスカートをはくことで、LGBT への理解が深まってほしい。」 この校則変更をきっかけに、周辺の公立中でも、希望する性別での制服の着用を検討するところが出ているという。 校則の変更を訴え、今春卒業する女子生徒は「私たちの学校をきっかけに、制服の選択制を導入する学校がもっと増えたらいいな」と話している。 全員がスカート・スラックス選べる市立中も 性的少数者の児童・生徒への配慮を目的とした制服の選択制は、各地の学校に広がっている。 文部科学省が 2015 年、「自認する性別の制服の着用を認める」と通知で例示したことがきっかけだ。 埼玉県吉川市に昨春開校した市立吉川中では、男女ともスカートとスラックスを自由に選べる。 開校前の検討委員会で「性別に関係なく誰でも自由に選べる制服」のコンセプトでデザインを決定した。 女子はやや細身の女子用スラックスとスカートのどちらでも可。 男子もスカートを選ぶことができ、ネクタイとリボンも選択できる。 スラックスで通う女子もいるという。 東京都中野区は 19 年から、すべての区立中で女子生徒がスカートとスラックスを自由に選べるようにした。 中学に進学する女子児童から、心に合った制服を選べるよう求める文書が区長に届いたことがきっかけだった。 東京都港区は昨年 4 月、体と自認する性が異なるトランスジェンダーなどの性的少数者が、本人の望む性に適した制服などを選択できる「性別表現」の尊重を盛り込んだ改正条例を施行した。 (重政紀元、asahi = 2-17-21) 文科相「一斉休校避けるべきだ」 中高大入試も実施要求 政府が新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を首都圏の 4 都県に出す方針を固めたことを受け、萩生田光一文部科学相は 5 日、臨時会見を開き、幼稚園や小中高校の地域一斉の休校は避けるべきだとの考えを示した。 今月の大学入学共通テストは予定通り実施するとし、各大学の個別試験や中高などの入試についても予定通りの実施を求めた。 萩生田氏は、感染者は増えているものの、現時点で子どもの発症や重症化の割合は低く、学校から地域に感染が広がった例は少ないことから、「自治体の判断となるが、地域一斉の休校は社会経済活動全体を停止する場合にとるべき措置で、学校のみを休業することは避けるべきだ」と話した。 大学にも、感染対策をした上で対面授業が必要な場合は実施するよう求めた。 一方、学校の部活動は、寮や合宿での感染が多いことから、地域や活動内容に応じて感染リスクが高い活動は制限することも必要としたが、「文科省として一律にやめるよう申し上げることはしない」と述べた。 (伊藤和行、asahi = 1-5-21) 小学校、35 人学級へ 教員の質確保に知恵を 公立小学校の 1 クラスの児童数の上限が 40 人から 35 人に引き下げられることになった。 1 年生については、既に 11 年度から 35 人学級が導入されている。 きめ細かな指導が可能になると都市部などの学校関係者は歓迎する。 だが教員の質をどうやって確保するかをはじめ、課題は少なくない。 期待どおりの効果が出るかは、今後の国や自治体の対応にかかっている。 教育界にとって少人数化は悲願だった。 少子化が進む一方、様々な事情から丁寧な指導が必要な子が増えているためだ。 コロナ禍を受けた 3 密回避の要請などを背景に、文部科学省は秋以降、公立小中での「一律 30 人化」を強力に働きかけた。 財政難を理由に財務省は抵抗し、結局「35 人、小学校だけ」で調整がついた。 来年度の 2 年生から順次実施し、25 年度に 6 学年全てが 35 人学級になる。 新たに必要となる教員は 5 年間で約 1 万 3 千人。 ふさわしい人材を集めなければ、せっかくの取り組みも看板倒れになる。 これに関連して文科省から気になる調査結果が発表された。 19 年度に公立小に勤務する教職員約 41 万人のうち、1% を超す 4,729 人が、精神疾患で休職したり、1 カ月以上学校を離れたりしていたというのだ。 同じ理由で 18 年度に離職した公立小の教員は 457 人で、いずれも過去最多を記録した。 精神疾患の原因に挙げられたのは、業務量の増加による長時間労働、自らの指導力不足に対する若手教員の悩み、保護者からの過度な要求などだ。 きつい職場とのイメージが浸透し、小学校の教員採用試験の受験者は減り続け、00 年前後に全国平均で 10 倍を超えていた競争率は、3 倍を割り込んでいる。 文科省も危機感を抱き、残業の上限を月 45 時間とするなどの指針を昨年打ち出した。 だがコロナ対応に追われ、それどころではない地域も多い。 国や自治体は、業務の削減、外部人材や IT 機器の活用などを通じて、一人ひとりが意欲と余裕を持って働ける環境を早急に整える必要がある。 35 人学級の導入は、能力を持ちながら非正規の立場で日々指導にあたっている中堅・若手を正規教員として処遇したり、いまは別の仕事についているが、免許を持ち、教育に熱い思いを抱いている人たちを中途採用したりする好機でもある。 ベテランが大量退職し、教員の年齢構成が崩れている現状を改善し、また外の風を入れることで、学校現場に良い刺激をもたらすことが期待できるのではないか。 研修プログラムを充実させるなどして、教員の質と量の確保に知恵を絞ってほしい。 (【社説】 asahi = 12-25-20) デジタル教科書、21 年 4 月から利用制限撤廃へ 政府方針
政府はデジタル教科書の普及に向け、授業で使える時間の制限をなくす方針を固めた。 有識者の意見を踏まえて各教科の授業時間数の 2 分の 1 未満とする文部科学省令などを改正し、2021 年 4 月からの適用を目指す。 紙の教科書と同様に購入費を国が負担する検討も進め、25 年度にも全ての小中学校などでの導入につなげる。 文科省が設けた有識者会議が 22 日に方針をまとめる見通し。 目の疲れなど健康面に配慮し、同省は使用時の望ましい姿勢や教員の指導方法などの指針をつくる。 規制撤廃は小学校高学年以上からとするなど段階的な実施も視野に入れる。 紙の教科書は残す方針。 政府は 20 年度末までに小中学生全員に学習用端末を配備する計画を進めている。 24 年度から小中高で順次改訂される次の教科書は動画や音声のコンテンツを盛り込むなどデジタル対応を強化する。 利用規制の撤廃でまず教員らに慣れてもらい、多様な授業の実現につなげる。 紙と同一の内容を学習用端末で見られるデジタル教科書は 19 年度から導入可能になった。 利用規制に加えて有償のため、小中高校などでの導入率は今年 3 月時点(確定値)で 7.9% にとどまる。 政府は社会の情報化に対応するためデジタル教科書の活用は欠かせないとみており、紙と同様に無償化の対象とすることを検討する。 萩生田光一文科相は 21 日の記者会見で、利用規制について「実証・検証を進めながら緩和していくのが望ましい」と述べた。 政府は 21 年度予算案で小学 5、6 年と中学校全学年のデジタル教科書の購入補助費として 22 億円を盛り込んでいる。 利用規制は政府の規制改革推進会議などで撤廃を求める意見があった。 文科省の有識者会議でも「2 分の 1 という基準に根拠はない」との指摘が相次いだ。 19 年度に同省がモデル校で実施した調査によると、学校現場では「制約がなく自由に使える方がよい」、「制限がなくなれば必要に応じて多様な授業が可能になる」との声が出たという。 (nikkei = 12-21-20) 緊急事態宣言でも一斉休校求めず 共通テストも実施方針 萩生田光一文部科学相は 27 日の閣議後会見で、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が出た場合でも、学校に対する全国一斉の臨時休校は要請せず、来年 1 月の大学入学共通テストについても実施する考えを示した。 萩生田氏は、児童生徒が発症したり重症になったりする割合は低く、学校を中心に感染が広がる状況ではないとした上で、「春先のような全国一斉休業を要請することは考えていない」と発言。 自治体などの学校設置者に対し、「地域一斉の臨時休校も慎重に判断すべきだ」と述べた。 共通テストについては、政府の感染症対策分科会が入試は他のイベントと比べて感染リスクが低いと判断していることを挙げ、「予定通り実施する方向で準備している」と話した。 その後の衆院文部科学委員会では、仮に予定通り実施できない事態になっても「日程を変更してでもやる準備をしている」と答弁した。 (伊藤和行、asahi = 11-27-20) |