1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10
「王はいらない」全米で抗議集会を開催 トランプ氏復権後で最大規模 トランプ米政権が軍事パレードを開いた 14 日、トランプ大統領への抗議の意を込めて「ノー・キングス(王はいらない)」と題した集会が全米各地で開かれた。 第 2 次トランプ政権が発足して以降、最大の街頭での抗議活動となり、大都市では数万人規模の参加者が集まった。 14 日の集会やデモは全米 2 千カ所以上で見込まれていた。 ただ、州議会議員らが殺害される事件が当日に起きたミネソタ州では、安全への配慮から州内での開催が中止される事態になった。 西部ロサンゼルスでは治安当局が催涙ガスを使う局面もあったが、全体としては「小競り合いは散発的(AP 通信)」なものにとどまった。 AP は主催者発表として、全米で「数百万人規模の参加があった」と伝えた。 「異議を唱えることこそ愛国的だ」 主催団体が全米デモの中核と位置づけた東部フィラデルフィアでは、地元テレビ局によると 8 万人ほどが集まった。 小雨が降る中、中心部の公園から美術館まで大群衆が 30 分ほど、おおむね整然と行進し、大きな混乱は見られなかった。 地元ペンシルベニア州で環境保護の指導員をしているケーティー・フィスクさんは、トランプ政権の政策により「多くの米国人の自由が奪われつつある」と強い危機感を示し、「移民であれ LGBTQ (など性的少数者)であれ女性であれ、政策による被害者への連帯を示すために来た」と話した。 今回の「ノー・キングス」運動は党派色を前面に出していない。 ただ、昨年の大統領選で敗れて以来、トランプ氏に対抗できる指導者を見いだせずにいる民主党にとっては党勢回復の好機でもある。 民主党員のクリスティーナ・ワトソンさんは米国旗を携えて参加した。 「こういうイベントに来るのは愛国的でない、と言ってくる人もこの国にはいる。 でも、望まないことをする政権に対し、こうして異議を唱えることこそ最も愛国的なことだ。」と語った。 集会で登壇したジェイミー・ラスキン下院議員(民主、メリーランド州)は朝日新聞の取材に「人々が決起していることに非常に勇気づけられる」と語った。 緊張続くロサンゼルスでも「ノー・キングス」 移民摘発に対する抗議デモが続き、トランプ氏による軍の派遣で全米の注目を集めてきたロサンゼルスでも、数カ所で大規模なデモがあった。 従来のデモ参加者の多くが、14 日の「ノー・キングス」にも合流したようだ。 馬に乗った警察官が道いっぱいに並んで参加者の通行を阻止するような場面はあったが、深刻な衝突や暴動に発展することはなかった。 参加者は「ノー・キングス」とかけ声を繰り返しながらロサンゼルスの中心部を歩いた。 移民を取り締まる連邦政府の移民税関捜査局 (ICE) に対し「いなくなれ」、「ICE (アイス)は溶けてしまえ」などと書かれたプラカードを掲げる参加者が目立った。 30 年以上前に父親が中米グアテマラから移り住んだというドミンゴ・マルコスさん (29) は、兄弟 3 人で参加。 「本当に声を上げたい人は、拘束されて送還されるのではないかと恐れてここに来られない。 父が希望を胸にやってきた社会ではもうない」と話し、「声を上げない限り、事態の悪化は止まらない」と訴えた。 デモ参加者には、マスクで顔を覆う人が多く見られた。 両親がメキシコ出身だという女性 (32) は、「トランプ政権は肌の色や国籍で排除する人を選ぶ。 参加者を特定して嫌がらせをしてこないかが不安。」と話し、黒いマスクとサングラスで顔を隠していた。 「本当は声を上げたいのに、デモに参加した後に嫌な目にあうことを恐れて来ない人もいる。 私も怖かったけど、それでも来た。 米国に言論の自由は、もうないかもしれない。」とも語った。 デモ隊の進入 トランプ氏とのゆかりがある最大都市ニューヨークでも、目抜き通りの 5 番街などを多くの人が練り歩いた。 地元警察によると、市内で計約 5 万人が参加した。 トランプ氏が描かれた T シャツを着た支持者とみられる男性がデモの先頭集団に悪態をついて口論になり、緊張が走る場面もあったが、警察官が間に入って収めていた。 「ノー・キングス」の主催団体は、14 日の全米での活動に先立ち、政権による強硬な移民政策や、ロサンゼルスのデモに対する軍の動員を批判。 「権威主義、億万長者優先の政治、我々の民主主義の軍事化を拒否する」、「全米で平和的に、力強い運動を展開する」と表明していた。 (フィラデルフィア・青山直篤、ロサンゼルス・奈良部健、ニューヨーク・田中恭太、asahi = 6-15-25) ◇ ◇ ◇ 「王様はいらない」 トランプ氏に抗議、全米 2,000 カ所で 14 日開催 【ニューヨーク = 竹内弘文】 米国のリベラル派団体は 14 日、全米約 2,000 カ所でトランプ米大統領に抗議する大規模な集会を開催する。 トランプ氏の誕生日である同日にワシントンで軍事パレードを実施するのに対抗し、大統領令の多用や強硬な移民排除の政策、司法判断を軽視する姿勢などに反対の声を上げる狙いだ。 200 以上のリベラル派団体が集い「No Kings (王様はいらない)」と題した抗議デモを全米 50 州で開く。 ニューヨークやシカゴなどリベラル層の多い都市部だけでなく、保守層の多い地域でも開催予定だ。 米メディアによると数百万人規模の動員が見込まれるという。 14 日には米陸軍創設 250 周年を記念してワシントンで軍事パレードが開かれる。 同日はトランプ氏の誕生日にもあたり、79 歳になる。 デモ主催者は「大統領は自身の誕生日を祝うために街中に戦車を配置し、テレビ向けの威嚇的な演出を計画している」と批判する。 強権的な政権運営や軍事パレード実施は「独裁主義」と断じ、王のような振る舞いをするトランプ氏に反発する。 トランプ氏は軍事パレードに反対する者は「愛国者ではない」と述べ「厳しい対応に直面するだろう」と語った。 ワシントンでの抗議デモ開催は見送られた。 「No Kings」デモへの参加を呼びかける米紙ニューヨーク・タイムズ掲載の全面広告も話題になった。 米小売り最大手ウォルマート創業家のクリスティ・ウォルトン氏が広告のスポンサーの一人となり、トランプ支持者の間ではウォルマートでの不買を呼びかける声も上がっている。 (nikkei = 6-14-25) トランプ大統領が 25% 自動車追加関税のさらなる引き上げ示唆 アメリカのトランプ大統領は 12 日、輸入自動車に課している 25% の追加関税をさらに引き上げる可能性を示唆しました。 「そう遠くない将来に(自動車への)関税をさらに引き上げるかもしれない。 関税を高くすればするほど、アメリカ国内で工場を建てる可能性は高まる。 (トランプ大統領)」 トランプ大統領は、輸入自動車に課している 25% の追加関税について「自動車メーカーによるアメリカ国内への投資が加速する」として、さらに引き上げる可能性を示唆しました。 トランプ政権は 4 月に自動車への 25% の追加関税を発動し、日本から輸入される自動車への関税は、それまでの関税と合わせて 27.5% となっています。 自動車関税は、一連の関税措置の見直しを求める日米貿易交渉でも最重要議題となっていて、交渉に影響を与える可能性があります。 (FNN = 6-13-25) トランプ氏復帰後、米国の好感度が急落 世界調査 ドナルド・トランプ大統領の復帰以来、米国のイメージは世界の多くの地域で急激に悪化しており、トランプ氏の人格と政策の両方に低い評価が下されている、と米調査機関ピュー・リサーチ・センターが 11 日に発表した。 24 か国の成人 2 万 8,333 人を対象とした調査では、24 か国のうち 15 カ国で米国の好感度が低下したことが明らかになった。 トランプ氏は、長年にわたり軽蔑し移民問題で圧力をかけてきた隣国メキシコで最低の評価を受けた。 メキシコの回答者の 91% が、トランプ氏が世界情勢に関して正しいことをするとは信じていないと答えた。 「米国の 51 番目の州になるべきだ」とのトランプ氏の挑発を受ける隣国カナダでもメキシコと同様、大多数の人がジョー・バイデン氏が大統領だった昨年は米国に好意的だったが、現在は否定的に見ている。 米国に対する見方は欧州の大部分でも悪化し、特にウクライナの前線同盟国であるポーランドでの急激な低下が目立つ。 これは、トランプ氏がウクライナへの支援を減らし、ロシアとの交渉による解決を模索しているためだ。 調査では、対象となったすべての国で平均して大多数が、ウクライナ、ガザ、移民、気候変動などを含むトランプ氏の主要な国際政策のすべてに反対していることがわかった。 回答者の 80% がトランプ氏を「傲慢」と呼び、誠実だと評価したのはわずか 28% だった。 ガザ戦争で同盟国から強力な支援を受けているイスラエルは、米国に対して好意的な意見が最も多く、83% だった。 (AFP/時事 = 6-12-25) 米財務長官「相互関税の一部停止期限、延長の可能性高い」 トランプ米政権のベッセント財務長官は 11 日、連邦議会下院の公聴会で、米国との貿易交渉に誠実に取り組んでいる貿易相手国については、「相互関税」の上乗せ部分の停止期限を 7 月 9 日以降に延長する可能性が高いと述べた。 トランプ政権高官が期限延長に言及するのは初めて。 ベッセント氏は 18 カ国・地域の「重要な貿易相手があり、私たちはこれらの国々とのディール(取引)に取り組んでいる」と説明。 「誠実に交渉している国や貿易圏については、交渉を続けるため期限を先送りする可能性が高い。 交渉しない国については、そうはしない。」と述べた。 誠実に交渉している貿易圏の具体例として、欧州連合 (EU) を挙げた。 18 カ国・地域には日本も含まれているとみられ、今後の日米交渉に影響しそうだ。 トランプ政権は 4 月 2 日、全ての貿易相手国に対する 10% の一律分と、米国の貿易赤字が大きい約 60 カ国・地域に対する上乗せ分で構成される相互関税を発表。 一律分は同月 5 日に発動したが、上乗せ分は同月 9 日に発動してから約半日で 90 日間の停止を決めた。 トランプ政権は上乗せ分が再発動する 7 月 9 日までを関税交渉の猶予期間と位置づけ、ベッセント氏ら経済閣僚が各国と協議を進めてきた。 ただ、米国は相互関税の一律分や自動車、鉄鋼・アルミニウムなどに対する関税引き下げを拒んでいる模様で、各国との交渉は難航している。 これまで関税交渉で合意に達したのは米国が貿易黒字を記録し、そもそも上乗せ分を課していない英国のみ。 貿易赤字の大きい日本、韓国、インドなどと交渉を重ねているが、再発動まで 1 カ月を切った現在も合意には至っていない。 (ワシントン・大久保渉、mainichi = 6-12-25) LA の一部に夜間外出禁止令 抗議デモにトランプ氏「外国の敵」 米西部カリフォルニア州ロサンゼルスでの移民摘発に対する抗議デモをめぐり、トランプ大統領は 10 日、参加者らを「侵略者」などと呼び、州兵や軍の配備の必要性を改めて強調した。 現地では混乱に乗じた略奪行為が発生したことなどから、中心部の一部地域で夜間外出禁止令が出された。 トランプ氏はこの日、ノースカロライナ州の米軍基地での演説で、「米国の都市が、外国の敵に侵略・占領されるのは許さない」と主張。 「警察にれんがやコンクリートを投げつけている」などとデモ参加者の暴力行為を強調し、「彼らは動物だ」、「侵略者だ」と、強い言葉で非難した。 また、トランプ氏は「彼らは外国の敵だ。 その多くはバイデン政権下で、入国を許された。」とも述べて、前政権で不法移民の入国が増えたことを問題視した。 取り締まりにあたる移民当局を称賛し、「(職員らを)凶暴な暴徒や、一部の過激左派から守るために、州兵や海兵隊を配備した」と語った。 トランプ氏は演説後、米軍の活動見通しについて「平和になれば、我々は撤収する。 だが、少しでも平和が損なわれる可能性があれば、平和になるまで我々はそこにとどまる」と記者団の取材に答えた。 海兵隊 700 人も到着、州知事は差し止め求める ロイター通信によると、トランプ氏の命令を受けて約 700 人の海兵隊員がロサンゼルスに到着し、現場に配備されるために待機している。 トランプ氏は 4 千人の州兵派遣も命じており、すでに約 2,100 人がロサンゼルス周辺に展開している。 一方、トランプ氏は、必要と判断すれば「反乱法」を適用する考えも示した。 同法は、通常は海外で任務を遂行する米軍に例外的に国内の暴動などに対応させることを認めるもの。 今回派遣された海兵隊員らの任務は連邦政府の職員や施設の警護などに限定されているが、同法によって逮捕権限を与えられる。 実際に発動されれば、1992 年のロサンゼルス暴動以来だという。 カリフォルニア州のニューサム知事は 10 日、連邦地裁に対して、トランプ政権による兵士派遣について、緊急の一時差し止め命令を出すよう申し立てた。 これを受け、地裁は政権側に反論を求めたうえで、12 日に審理を開くことを決めた。 ニューサム氏は 10 日夕、テレビ演説を行い、「恥知らずの権力乱用」と改めてトランプ氏を非難。 「大統領は市民の安全よりも演出を選んだことで状況の悪化を招いた」と語った。 広がる連帯のデモ こうしたなか、ロサンゼルスの商店などで 9 日夜に略奪が相次いだことから市中心部の一部地域で発令された夜間外出禁止令は、数日間続く見通しだという。 対象区域内には、日本人街のリトル・トーキョーや日本総領事館などが含まれている。 CNN によると、6 日に始まった抗議デモをめぐっては少なくとも 378 人が拘束されたという。 連邦政府の移民税関捜査局 (ICE) による不法移民の摘発は続いていて、ICE への抗議は、他の都市にも広がっている。 ニューヨークやワシントン、サンフランシスコ、シカゴなどでは、ロサンゼルスでの抗議に連帯を示すデモが行われ、警察との衝突も起きた。 (ワシントン・高野遼、ロサンゼルス・市野塊、asahi = 6-11-15) 「これがトランプの全てを物語っている」 カリフォルニア州知事、逮捕をほのめかす大統領の問題を指摘 アメリカ・カリフォルニア州のニューサム知事は 6 月 9 日、「自分ならニューサム氏を逮捕する」とトランプ大統領が発言したことについて「それこそがトランプ氏のすべてを物語っている」と述べた。 トランプ氏は 9 日、ロサンゼルスで続いている移民・税関捜査局 (ICE) への抗議活動に関連して、自分が国境対策責任者のトム・ホーマン氏なら、「(州知事のニューサム氏を)逮捕するだろう。 素晴らしいことになると思う。」と述べた。 ニューサム氏は 9 日に出演したポッドキャスト「ポッド・セーブ・アメリカ」で「逮捕への備えをしているか」と尋ねられ、「その質問があまりにもばかげているのは、私が実際に考えたことがあるという点です」と答えた。 「私たちがそのような会話を実際に関係者と交わしているという事実、それが 2025 年のアメリカで起きているということこそが、今ホワイトハウスにいる人物がどういう人間かについてのすべてを物語っていると思います。」 ニューサム氏はトランプ氏が自身の逮捕を支持したことについて「アメリカで決して起きてほしくなかった日だ」と 9 日にXに投稿している。 「民主党であろうと共和党であろうと関係ありません。 これは国家として絶対に越えてはならない一線です。 明らかに権威主義へと向かう一歩です。」 「すべての州に対して起こりうる」と警告 国境対策責任者のホーマン氏は 7 日、ICE の強制捜査を妨害すれば、ニューサム氏やロサンゼルスのカレン・バス市長であっても逮捕される可能性があると NBC の取材に述べた。 「これは一線を越えれば、誰に対しても言えることです。 不法移民を意図的にかくまい、当局の職務を妨害することは重罪です。」 ホーマン氏はその後、現時点で逮捕の計画はないと CBS の番組で語っている。 「あの発言は文脈を外れて伝わっています。 今のところ一線は越えていません。 しかしすべてのアメリカ市民と同じように、一線を越えた場合は相手が誰であろうと関係ありません。 州知事だろうが市長だろうが、ICE 職員に対して罪を犯した場合は起訴します。」 ICE の移民摘発に対する抗議活動がロサンゼルスで起きた後、トランプ氏はニューサム氏の意向に反してカリフォルニア州に州兵を派遣した。 ニューサム氏とカリフォルニア州のボンタ司法長官は 9 日、連邦政府の州兵派遣は違法だとしてトランプ氏とヘグセス国防長官を提訴した。 ニューサム知事は、カリフォルニアに対するトランプ氏の行動は今後アメリカの他の州でも起こりうると「ポッド・セーブ・アメリカ」で警告している。 (Huffpost = 6-11-25) 米 LA、トランプ政権の州兵派遣で抗議激化 不法移民の摘発きっかけ 米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで 6 日以降、滞在資格のない不法移民の一斉摘発に反発した抗議デモが続いている。 トランプ大統領は 7 日、州兵 2 千人の派遣を指示。 翌 8 日に州兵約 300 人が現地に展開した。 州知事の要請なしに派遣を決めたトランプ氏の対応に、現地では反発が強まっている。 「ルビコン川を渡った」 60 年ぶり同意なき州兵派遣、米 LA でなぜ AP 通信によると、州兵が州知事の要請なしに配置されるのは全米でも 1965 年以来で、60 年ぶりの異例の措置。 トランプ氏は派遣の理由について、地元の民主党系の州知事や市長が対応できていない、などと主張した。 ニューサム州知事やロサンゼルス市のバス市長は「扇動的で緊張をエスカレートさせるだけだ」などと反発している。 米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ロサンゼルスでは 6 日、連邦政府の移民税関捜査局 (ICE) が不法移民の一斉摘発を実施し、100 人以上を拘束。 これに抗議する人たちが、ICE による摘発現場や、連邦政府系のビル周辺に集まった。 7 日には、中心部から約 30 キロ離れたパラマウント市のホームセンターで摘発が行われるとの情報が広まり、抗議デモの参加者の一部が当局の車両に物を投げ、当局側が催涙弾を発射するなどした。 夜にかけて隣町のコンプトン市にも騒動は広がり、ロサンゼルス中心部でも抗議者が集まった。 トランプ氏は同日夜、州兵派遣を指示する大統領覚書に署名。 8 日朝には、約 300 人の州兵が 3 カ所に展開し、州兵や国土安全保障省の部隊などと、数百人のデモ参加者がロサンゼルス中心部で対峙した。 州兵派遣で抗議もエスカレート 催涙弾が使われたほか、自動運転タクシーの「ウェイモ」が数台燃やされたり、一部の抗議者が近くの国道に入り込んで一時通行が止まったりしたという。 市内の警備会社で働くエバン・ロドリゲスさん (26) は昼間、デモ参加者たちが州兵に「出て行け」と何度も叫んでいる現場に居合わせたという。 催涙弾が使われた際、逃げ惑う人に巻き込まれて顔をぶつけるけがをした。 「暴動は反対だが、抗議は賛成だ。 暴れていたのは一部だけ。 ほとんどの人はただ抗議していただけだ。」と話し、トランプ氏の対応を非難した。 8 日夜にはデモ参加者の多くは撤収。 多数の警察車両が道路を封鎖し、ヘリコプターが上空を旋回して警戒していた。 路上では燃え跡から煙が上がり、ごみが散乱していた。 米紙ロサンゼルス・タイムズによると、8 日午後 8 時時点で、デモ参加者 27 人が逮捕されたという。 トランプ氏は 8 日の SNS への投稿で、ロサンゼルスが「不法移民と犯罪者によって占拠された」と主張。 国土安全保障長官や国防長官らに対して「移民による侵略からロサンゼルスを解放し、暴動を止めるのに必要な行動を取るよう指示する」と記した。 (ニューヨーク・田中恭太、ロサンゼルス・市野塊、asahi = 6-9-25) ◇ ◇ ◇ 米カリフォルニアに 2 千人の州兵派遣へ 不法移民摘発契機に衝突 米西部カリフォルニア州で不法移民の一斉摘発に反発した抗議活動の参加者らと当局が衝突し、ホワイトハウスは 7 日、トランプ大統領が 2 千人の州兵を派遣する大統領覚書に署名したと発表した。 派兵は緊張を高めるだけだとして、地元では反発も起きている。 AP 通信によると、ロサンゼルス周辺では 6 日に移民税関捜査局 (ICE) による一斉摘発があった。 逮捕者は 1 週間で 100 人を超え、緊張が高まっていた。 翌 7 日にロサンゼルス南郊で抗議活動の一部の参加者と当局が衝突し、当局側は催涙ガスや閃光(せんこう)弾で対応したという。 ホワイトハウスは 7 日のレビット報道官の声明で、「カリフォルニア州の無責任な民主党指導者たちは、市民を守る責任を完全に放棄した」と主張し、州兵派遣を表明。 トランプ大統領も SNS に「州知事と市長が彼らの仕事をできないなら、連邦政府が介入して問題を解決する」と投稿した。 一方、カリフォルニア州のニューサム知事は X (旧ツイッター)への投稿で、州兵派遣を「扇動的で緊張をエスカレートさせるだけだ」と政権の対応を批判。 州が市や郡と緊密に連携して十分に対応していると主張した。 (松山尚幹、asahi = 6-8-25) 米、鉄鋼・アルミ関税を 50% に引き上げ 保護するより失われる雇用が多い可能性も 米国が輸入する鉄鋼とアルミニウムに対する関税を引き上げる措置が 4 日午前 0 時 1 分に発効した。 苦境に立たされている米国の鉄鋼業界にとっては歓迎すべき動きだが、自動車メーカーから缶詰メーカーまで、こうした金属を扱う業界にとっては懸念材料となっている。 輸入税の急騰は、トランプ米大統領による貿易戦争における新たな一撃だ。 トランプ氏は 2 月以降、広い分野で関税措置を導入している。 鉄鋼に対する関税はトランプ氏とその支持基盤にとって特に重要な意味を持つ。 鉄鋼はかつて、米国を代表する製造業だったが、今は苦境に陥っている。 関税の引き上げがすぐに米国人の財布に打撃を与えることはなさそうだ。 しかし、専門家によれば、建設や自動車、家電製品などの価格の上昇は関税の引き上げによってほぼ避けられない。 関税は鉄鋼業の雇用を守る可能性がある一方、はるかに規模の大きい業界に対して悪影響を及ぼすかもしれない。 政権はこれらの関税は国家安全保障と経済にとって極めて重要だとの見方を示す。 ホワイトハウスの報道官は「国内の鉄鋼とアルミの生産は米国の防衛産業基盤にとって不可欠だ。 トランプ政権は国家と経済の安全保障にとって極めて重要な製造業の国内回帰に尽力する。 同時に、迅速な規制緩和や減税、米国産エネルギーの解放など供給側の改革を全面的に実行し、米国民に対して経済的な救済を提供し続ける」と述べた。 米国鉄鋼協会 (AISI) は、鉄鋼業界の保護が重要だと述べた。 AISI トップは、関税を 50% に引き上げても自動車の製造費用は 300 ドル(約 4 万 2,000 円)しか上がらず自動車全体の費用からみれば、ごくわずかな金額だと指摘した。 米アルミニウム協会(AA)は、広範で一律の関税の導入によって、米国の多くの仕上げ工場が依存しているカナダからの原料アルミの供給が途絶え、利益よりも損失のほうが大きくなる可能性があると懸念している。 これらの仕上げ工場は米国のアルミ業界の雇用の大部分を占めている。 鉄鋼やアルミを使う業界からも懸念の声があがる。 缶詰メーカーは価格の上昇が店頭の棚にまで及ぶ可能性があると警告する。 缶詰の業界団体によれば、米国内の缶詰メーカーは、ブリキなどの生産の減少を受けて薄鋼板の約 80% を輸入している。 関税の引き上げは、食品や飲料などの缶詰製品の価格をさらに上昇させるという。 しかし、缶詰ひとつあたり数セントの値上げが消費者に転嫁されるのか、あるいは、いつ転嫁されるのかは分からない。 専門家は、鉄鋼やアルミを使用する製造業では関税で保護されるよりも多くの雇用が危険にさらされていると警告している。 オバマ政権時代に国家経済会議委員長を務めたローレンス・サマーズ氏は 2 日、CNN の取材に対し、「これはまさに本質的に悪影響をおよぼす政策だと思う。 自動車など鉄鋼を使用する産業の労働者は鉄鋼業の労働者の(少なくとも) 50 倍に上る。 そのため、この政策の最終的な結果は、製造業の雇用を奪うことになる。 そして、消費者物価の上昇につながるだろう」と語った。 (CNN = 6-5-25) 「過去最高の税収増」の皮肉 トランプ関税が米雇用を減らし低所得者をさいなむ現実
トランプ米大統領の関税政策は、米国内の物価上昇や貿易相手国による報復措置など、数々の経済的混乱をもたらしている。 しかし、ある目を見張る結果も生んでいる。 アメリカの関税収入が急増しているのだ。 5 月の関税収入は、昨年 5 月の約 3 倍に相当する 230 億ドル近くに達し、1 カ月当たりの過去最高額を更新した見通しだ。 ペンシルベニア大学経営大学院が米財務省のデータを分析した結果によると、今年の関税収入はこれまでの合計で 682 億 3,000 万ドル。 前年同期間の 78% 増となっている。 トランプに言わせれば、同政権の関税政策はアメリカの製造業を再建すると同時に、所得税に頼らずに政府が予算を確保する手だてでもあるという。 関税収入により、将来は連邦所得税を廃止できると、トランプ政権は主張している。 もっとも、話は単純ではない。 関税は輸入品に対して課される税金だ。 従って、まずアメリカ企業が輸入時に税を負担する。 しかし、経済学の研究によると、そのコストは最終的に国内の消費者に転嫁される。 商品価格が押し上げられるからだ。 税収増と引き換えに起こる事態とは エール大学予算研究所の予測によると、今年導入された関税全てが維持された場合、米政府の税収は向こう 10 年間で 2 兆 7,000 億ドルに上る。 しかし、経済生産に悪影響が及び、関税以外の税収が 3,940 億ドル減るという。 同研究所は、関税の逆進性にも警告を発している。 米国内の低所得世帯ほど大きな打撃を被るのだ。 同研究所の推計によると、アメリカの世帯を所得額別に10 階層に分けた場合、下から 2 番目の層は物価上昇の影響により年間約 1,300 ドルの損失を被るのに対し、最上位の層が被る損失は約 6,100 ドルにすぎない。 全体として見ると、消費者物価は短期的に 1.7% 上昇する。 世帯当たりでは、おおよそ 2,800 ドルの打撃になる計算だ。 政策シンクタンク「税財団」も、同様の懸念を示している。 トランプ関税により 2034 年までに 2 兆 1,000 億ドルの税収が予測されるのと引き換えに、アメリカ経済は大きな代償を払わされるというのだ。 具体的には、長期的に見て経済生産は 0.8% 下落し、フルタイムの雇用は 68万5000人減るとのことだ。 この分析から見えてくるのは、関税収入によりほかの政府支出、特に現政権が掲げる大規模減税の財源を賄おうという発想の危うさだ。トランプの「1 つの大きな美しい法案」は、今後 10 年間で 4 兆 5,000 億ドル規模の減税を打ち出している。 トランプ関税はそもそも法律上問題がある? 「アメリカの産業構造は、昔とはすっかり変わった。 重工業はほとんど国外に流出し、それとともに、中流層向けの、高給で労働組合に守られた職も大幅に減った。 それが大きな怒りを生んでいる。」と、ジョージ・ワシントン大学のトッド・ベルト教授は言う。 「トランプはそうした雇用を取り戻すと約束していて、そのための手段が関税だという。 私は現実的でないと思うが。」 トランプ関税には法律上の問題もある。 米国際貿易裁判所は 5 月 28 日、トランプが国際緊急経済権限法 (IEEPA) を根拠に導入した関税を無効と判断した。 ただしその翌日、ワシントンの連邦巡回控訴裁判所(高裁)は、高裁審理が終わるまで、国際貿易裁判所の判決を一時停止するものとした。 この問題の決着は、連邦最高裁判所の判断を待つことになるのかもしれない。 (ヘスス・メサ、News Week = 6-2-25) トランプ氏、鉄鋼関税を 50% に倍増へ US スチールの工場で「重大発表」 トランプ米大統領は 30 日、米国に輸入される鉄鋼への関税を現在の 2 倍の 50% に設定すると発表した。 トランプ氏はペンシルベニア州ウェストミフリンにある US スチールの工場で、「重大発表がある」と言及。 拍手喝采を送る US スチールの従業員に対し、米国の鉄鋼労働者を守るために関税を引き上げると表明した。 さらに「25% 増にするつもりだ」、「米国に輸入される鉄鋼への関税を 25% から 50% に引き上げる。 米国の鉄鋼業界は一段と強固に保護されるだろう。 誰にも抜け道はない。」と説明した。 トランプ氏は当初 40% の関税を検討していたものの、業界幹部から 50% が望ましいと告げられたという。 トランプ氏は 3 月 12 日、米国に輸入される全ての鉄鋼とアルミニウムに 25% の関税を課した。 これに対してカナダは即座に報復措置を取り、米国の自動車業界からは失望の声が噴出。 欧州連合 (EU) も反発し、報復関税を発表したが、最終的に撤回された。 トランプ氏は今回、関税が米国の鉄鋼産業を救ったと自賛し、自身が関税発動に動かなければ米国の製鉄業は消滅していただろうと主張。 全ての鉄鋼が外国製となり、工場は閉鎖されていたはずだと指摘した。 関税は斜陽の一途をたどる米国の鉄鋼業にとって待望の追い風になったかもしれないが、米国の建設業と製造業にとっては、主要素材の価格上昇につながる可能性をはらむ。 トランプ氏はこの二つの業界を支援したいとの意向も示している。 トランプ氏が 1 期目の 2018 年に鉄鋼関税を発動した際、米国の鉄鋼生産はやや拡大したものの、自動車や工具、機械にとってはコスト上昇を招き、これらの業界の生産量は 21 年の時点で 30 億ドルあまり減少した。 国際貿易委員会の 23 年の分析で明らかになった。 コストが恩恵を上回った可能性もある。 (CNN = 5-31-25) |