トランプ大統領の支持率 42% に急落、就任から 80 日で歴代最低を記録 ドナルド・トランプ米大統領の就任から約 80 日が経過し、支持率が 42% と歴代最低を記録した。 これは 2016 年の第 1 期トランプ政権の同時期の支持率を下回る数字だ。 最近の関税政策による経済的影響で有権者が離反したとの見方が示されている。 英国の週刊誌エコノミストは 16日(現地時間)、世論調査に参加した米国人の 42% がトランプ大統領の国政運営を肯定的に評価していると報じた。 エコノミストと世論調査会社ユーガブは、13 - 15 日にかけて米国の成人 1,512 人を対象に世論調査を実施した。 この数字は、トランプ大統領が就任直後に同じ世論調査で記録した支持率から 14% 下落したものだ。 就任後最低の記録であり、否定的評価は 52% にも達した。 エコノミストは、この支持率の下落傾向が 2016 年の第 1 期トランプ政権よりも急激だと指摘した。 ユーガブの定期世論調査によると、第 1 期の支持率は就任後同期間で約 5% しか下落していなかったという。 今回のトランプ政権第 2 期では、発足時には肯定的評価が否定的評価を上回っていたが、就任約 50 日目頃から逆転した。 これは、近年米国で就任した歴代大統領と比較しても芳しくない結果だ。 2009 年と 2021 年にそれぞれ就任したバラク・オバマ前大統領とジョー・バイデン前大統領は、就任初期の約 100 日間は肯定的評価が否定的評価を上回っていたが、今回のトランプ政権ではすでにその比率が逆転している。 この世論調査結果についてエコノミストは、トランプ政権の最近の関税政策により株価が急落し、経済回復に対する有権者の信頼が失われたことを示唆していると分析した。 (竹内智子、江南タイムズ = 4-21-25) 米国防総省は「完全な崩壊状態」、ヘグセス長官は更迭も - 元報道官 米国防総省は第 2 次トランプ政権発足後の数カ月に職員を巡るトラブルや相次ぐ人事異動に見舞われ、「完全な崩壊状態」に陥っており、ヘグセス長官は更迭される可能性がある。 同省の報道官を最近辞任したジョン・ウリオット氏がこう警告した。 これに先立ち情報漏えい調査の過程で解雇されたと報じられた国防省高官 3 人が声明を発表。 自分たちが調査対象となっている理由や、調査が進行中であることさえ知らされていなかったと表明した。 ヘグセス米国防長官 (44) 氏は、親イラン武装組織フーシ派を攻撃する機密情報を通信アプリ「シグナル」で共有したとして既に調査を受けた。 チャットグループにはトランプ政権高官のほか、米誌アトランティックのジェフリー・ゴールドバーグ編集長も誤って招待されていた。 ゴールドバーグ氏はその後、この件を同誌で報じた。 ウリオット氏はニュースサイトのポリティコに 20 日掲載されたコラムで「トランプ大統領は、側近に責任を取らせるという点で高い実績がある」とした上で、「これを踏まえると、ヘグセス国防長官が現在の職にとどまるのは難しいだろう」と指摘した。 トランプ氏はこの件を巡りヘグセス長官や問題のグループチャットを立ち上げたウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任しなかった。 国防総省の監察総監は、上院の有力議員 2 人の要請を受けて、この件を調査中だ。 米紙ニューヨーク・タイムズ (NYT) は 20 日、ヘグセス長官がイエメンでの軍事攻撃に関する機密情報を、妻と兄弟を含むグループとシグナルの別のチャットで共有していたと報じた。 国防総省のパーネル報道官は X (旧ツイッター)に投稿した声明で、「シグナルのチャットに機密情報は一切含まれていなかった。 彼らが何通りもの切り口で報じようとも、それは変わらない」と表明。 NYT 紙などの情報源は同省を解雇された元職員に限られているとも指摘した。 ホワイトハウスに対し 20 日夜にコメントを求めたが、すぐに回答はなかった。 (Bloomberg = 4-21-25) トランプ政権、キャリア職員 5 万人の解雇を容易に 人事改革に波紋 トランプ米政権で、政策形成にかかわるキャリア官僚の解雇を容易にするための改革が本格的に動き出した。 業績の悪い職員を解雇して「実力主義」に変えるというのが政権の主張だが、トランプ大統領の意に沿わない職員が排除されるとの懸念も出ている。 米政府は 18 日、連邦政府の人事に「政策・キャリア職」という新たな分類を設ける方針を発表した。 これらの職員は「随意雇用」となり、職務怠慢などを理由にした解雇が容易になる。 職員全体の約 2% にあたる 5 万人ほどが対象になる見通しだ。 米国では通常、政権交代があれば政治任用された 4 千人ほどの職員が入れ替わる。 だがトランプ氏の改革案は、政権政党にかかわらず勤務してきた 5 万人規模のキャリア職員の交代を可能にする点で、これまでの慣例とは大きく異なる。 ホワイトハウスは「政策に影響を与える職員について、職務怠慢や不正、汚職、大統領の指示への反逆などの理由で迅速に解雇できるようになる」と説明した。 「腐敗した官僚一掃」の公約実現へ トランプ氏にとって、今回の改革は 1 期目の頃から目指してきた政策の一つだ。 「ディープステート(影の政府)」などと主張してそれらの解体を掲げ、「腐敗した官僚から政府を取り戻す」ことは選挙公約の柱でもあった。 背景にあるのは、解雇や懲戒処分の恐れが少ないことで、キャリア官僚の一部が大統領の方針に反する行動をしてきたという現状への不満だ。 トランプ氏はこの日の発表にあたり「連邦政府を『ビジネスのように』運営することが可能になる」と SNSに投稿した。 新たな人事区分はかつて「スケジュール F」と呼ばれ、2020 年にも第 1 次トランプ政権で示され反発を招いた経緯がある。 翌年にはバイデン政権によって撤回されたが、これを復活させるのが今回の改革案だ。 「異論封じ」につながるとの懸念も 改革案に対しては、政府内での異論封じにつながるとの懸念が出ている。 米連邦政府職員連盟はこの日、「有能な公務員を、政治的な取り巻きに置き換えようとするものだ」と反対する声明を出した。 すでに政府に対しては、人事改革を阻止するための訴訟も起こされている。 トランプ政権は、キャリア官僚について「大統領を個人的または政治的に支持する義務はない」とする一方で、「政権の政策を忠実に実行する義務がある」と説明している。 新たな人事改革は今後、正式に大統領令を出して実施に移されることになるという。 (ワシントン・高野遼、asahi = 4-19-25) トランプ大統領、日本との関税協議に出席へ 自らの SNS に投稿 トランプ米大統領は 16 日、関税措置をめぐって同日開かれる日米間の閣僚級協議に「出席する」と自らの SNS に投稿した。 「日本は関税や軍事支援の費用、『貿易の公平性』について交渉するためにやってくる」とも投稿した。 在日米軍の駐留費用の日本側の負担増や、日本の防衛費の増額などを要求してくる可能性がある。 (asahi = 4-16-25) 遅きに失した関税一時停止、米国離れが既に進行中 - MLIV 調査
トランプ米大統領が広範な関税措置の一時停止を発表したにもかかわらず、投資家は引き続き米国資産を敬遠し、欧州やその他の先進国市場を選好している。 最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ (MLIV) パルス」調査で明らかになった。 トランプ氏は 9 日、米国に報復措置を講じていない国・地域を対象に上乗せ関税を 90 日間停止すると発表。 今回の MLIV 調査はこの発表後である 9 日から 11 日にかけて実施された。 それによると、回答者 203 人のうち 81% が米国資産へのエクスポージャーを「維持」または「減らす」と答えた。 4 分の 1 余りが、今月初めに大統領が最大 50% の世界的な関税を発表する前の想定よりも、投資を抑制する計画だと回答した。 (Kristine Aquino、Bloomerg = 4-13-25) ◇ ◇ ◇ トランプ関税で米国債売り、10 年物金利 04.49% に 9.11 以来の上昇幅 11 日のニューヨーク (NY) 債券市場で米国債が売られ、長期金利の指標となる 10 年物の金利が 4.49% に上昇した。 米ブルームバーグ通信によると、週間ベースでの金利上昇幅は 0.5 ポイントを超え、米同時多発テロで米国債が売られた 2001 年以来 24 年ぶりの大きさ。 トランプ関税を受け、投資家の「米国売り」が進む展開となっている。 前週末の 10 年物国債の金利は 4% を下回る水準だった。 だが、5 日にトランプ政権が全ての貿易相手国に対する一律 10% の関税を発動すると、NY 市場では米国債の売り注文が増加し、長期金利が上昇(価格は下落)した。 トランプ政権が 9 日に約 60 カ国・地域に対する「相互関税」の上乗せを発動したことで、長期金利は更に上昇。 トランプ大統領は半日後に中国を除く国に対し上乗せの一時停止を発表したが、米国債売りは収まらなかった。 トランプ関税で世界経済の先行き不安が強まっており、通常であれば「安全資産」の代表格である米国債は買われる。 だが、今回は投資家の強い反対にもかかわらず関税引き上げを強行するトランプ政権に対し市場の不信感が強まっており、従来とは逆に、米国から資金が逃げ出す異例の展開となっている。 ホワイトハウスのレビット大統領報道官は 11 日の記者会見で、「ベッセント財務長官が債券市場を注視し続けている」と述べた。 外国為替市場でもドルは主要通貨に対し下落し、円やスイスフランなどに資金が集まっている。 (ワシントン・大久保渉、mainichi = 4-12-25) ◇ ◇ ◇ NY ダウ終値、4 万ドル台回復 … 関税巡る米中協議への警戒感和らぎ FRB 利下げへの期待も 【ニューヨーク = 小林泰裕】 11 日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30 種)の終値は前日比 619.05 ドル高の 4 万 0,212.71 ドルだった。 2 日ぶりに4 万ドル台を回復した。 関税を巡る米中協議が進展するとの期待や好決算株を買う動きが出て、800 ドル超値上がりする場面もあった。 米国のトランプ政権が 11 日、中国との合意成立に向けて「楽観的だ」との認識を表明したと報じられ、米中の貿易摩擦激化への警戒感がやや和らいだ。 また、米景気の下支えのため、米連邦準備制度理事会 (FRB) が利下げに踏み切るとの期待感も相場を支えた。 金融大手 JP モルガン・チェースなど、11 日に発表された決算の内容が市場予想を上回った銘柄が買われたほか、IT 大手アップルなどのハイテク株も値上がりした。 ダウ平均は、9 日に過去最大の上昇幅(2,962 ドル高)を記録したものの、10 日には一転して 1,014 ドル下落するなど、荒い値動きが続いている。 IT 企業の銘柄が多いナスダック総合指数の終値は 337.15 ポイント高の 1 万 6,724.46 だった。 株式市場では米株を買い戻す動きが出たものの、トランプ政権が打ち出す政策への不信感が募っており、金融市場での「米国売り」は続いている。 11 日の外国為替市場で、円相場は一時、1 ドル = 142 円 00 銭台に上昇した。 昨年 9 月下旬以来、約半年ぶりの円高・ドル安水準となった。 トランプ政権は「相互関税」の発動直後に、一部について 90 日間停止すると表明するなど、政策が二転三転している。 先行きの不透明感が強まり、米景気が後退するとの見方が増えている。 安全資産とされる米国債も売られている。 11 日の米国債市場で米長期金利は一時、4.5% 超まで上昇した。 (yomiuri = 4-12-25) ◇ ◇ ◇ NY ダウ続落、349 ドル安 3 営業日続落、乱高下する場面も 7 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業で作るダウ工業株平均は、前週末の終値より 349.26 ドル (0.91%) 安い 3 万 7,965.60 ドルで取引を終えた。 トランプ米大統領が相互関税を発表して以降、3 営業日続落となった。 一時、関税発動を巡る情報が錯綜し、乱高下する場面もあった。 ダウ平均は、取引開始直後に大幅に下落し、一時は前週末の終値より 1,700 ドル以上下がり、取引時間中としては約 1 年 4 カ月ぶりに 3 万 7,000 ドルを割った。 7 日は、一時 800 ドル超上昇する場面もあった。 きっかけとなったのは、「トランプ氏が中国以外の全ての国に、関税発動の 90 日間猶予を検討する」との一部報道だった。 しかし、ホワイトハウスが「フェイクニュースだ」と否定して再び下落するなど、株価は乱高下した。 株価の下落は続くが、トランプ氏は強気の発言を繰り返している。 6 日には、「私は何も下がってほしくない。 だが、何かを治すためには薬を飲まねばならないこともある。」と関税政策の意義を強調。 7 日には、34% の報復関税を発表した中国に対し「撤回しない場合、50% の追加関税を課す」と SNS に投稿した。 ただ、市場の懸念は根強い。 米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)は、7日付の株主への手紙で、関税の引き上げがインフレ(物価高)につながる可能性を指摘し、「景気後退を引き起こすかどうかはまだ分からないが、成長は鈍化するだろう」と記した。 ロイター通信によると、米金融大手ゴールドマン・サックスは、今後 12 カ月以内に景気後退が起きる確率を、従来の 35% から 45% に引き上げた。 20% から 35% に引き上げたばかりで、1 週間で 2 度目の引き下げになるという。 (杉山歩、asahi = 4-8-25) ◇ ◇ ◇ NY 株 2,200 ドル安、史上 3 番目の大幅下落 中国報復で先行き悲観 4 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が、前日終値よりも、2,231.07 ドル (5.50%) 安い 3 万 8,314.86 ドルで取引を終えた。 トランプ米政権が発表した相互関税に動揺した前日を上回り、下げ幅は史上 3 番目の大きさとなった。 トランプ大統領が 2 日に発表した相互関税への報復措置として、中国が 4 日、34% の追加関税をかけると発表し、関税の掛け合いによる景気の悪化への懸念が強まった。 米大企業を幅広く網羅する S & P500 指数も 5.97%、ハイテク株中心のナスダック総合指数も 5.82% 下落した。 幅広い銘柄に売りが広がり、半導体大手のエヌビディアが 7.36%、アップルが 7.29% などハイテク株の下落が大きいほか、ゴールドマン・サックスが 7.91%、JP モルガン・チェースが 7.48% など、景気に敏感な金融株でも下落が目立った。 ダウが 2,000 ドル以上下落するのは、コロナ禍だった 2020 年以来、約 5 年ぶり。 3万 9,000 ドル台を割るのは、昨年 8 月に世界同時株安になった直後以来、約 8 カ月ぶりとなる。 ダウは昨年 12 月初めに過去最高値を更新し、史上初めて 4 万 5,000 ドル台に乗せた。 トランプ氏が大統領選で勝利し、規制緩和や減税などの景気刺激策への期待が高まっていた。 関税政策については、実行しないとの楽観論もあった。 しかし、トランプ氏は就任後は自動車関税や相互関税などを次々と発動し、株価は大きく下落した。 過去最高値を記録した 12 月 4 日からちょうど 4 カ月で、6699.18 ドル (14.86%) の下落となった。 (ニューヨーク・杉山歩、asahi = 4-5-25) ◇ ◇ ◇ NY ダウ、700 ドル超下落 インフレ再燃や景気悪化の懸念広がる 28 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業で作るダウ工業株平均が前日より 700 ドル超値下がりした。 トランプ米大統領が次々と高関税政策を打ち出す中で、米国内のインフレ(物価高)の再燃や景気の悪化を示す指標が出たことで、警戒感が高まっている。 28 日の終値は、前日より 715.80 ドル (1.69%) 安い 4 万 1,583.90 ドルだった。 28 日に米商務省が発表した 2 月の個人消費支出 (PCE) の物価指数は、エネルギーと食品を除いた項目が市場予想を上回る前月比 0.4% の上昇となり、インフレ再燃への懸念が広がった。 一方で、個人消費支出の伸びは市場予想に届かなかった。 同日ミシガン大学が発表した消費者の景況感を示す指数も、下方修正されて、約 2 年ぶりの低水準となった。 さらに、トランプ氏が進める高関税政策が、先行きの不透明感を強めている。 トランプ氏は、4 月 3 日から輸入自動車に 25% の関税を上乗せすると発表。 ダウ平均は 26 日から 3 日続落し、1,000 ドル超の値下がりとなった。 4 月 2 日にも、相手国と同程度の関税をかける「相互関税」を発表すると宣言している。 関税の引き上げは物価上昇にもつながり、インフレと景気悪化が同時に起きる可能性も意識され、株価の重しとなっている。 (ニューヨーク・杉山歩、asahi = 3-29-25) ◇ ◇ ◇ NY ダウ、478 ドル下落 6 カ月ぶり安値 高関税政策に懸念 11 日のニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が 478 ドル値下がりし、約 6 カ月ぶりの安値で取引を終えた。 カナダ産の鉄鋼・アルミニウム製品への関税引き上げをめぐって米国の高関税政策への懸念が高まり、株式が売られた。 ダウの終値は、前日より 478.23 ドル (1.14%) 安い 4 万 1433.48 ドル。 取引時間中には 700 ドル超下落する場面もあった。 トランプ米大統領は 11 日朝、カナダのオンタリオ州が米国向け電力に追加料金を課すことの報復として、カナダ産の鉄鋼とアルミに対して「追加関税 25% を課し、合計 50% の関税を課すよう商務長官に指示した」と自身の SNS に投稿した。 関税による鉄鋼・アルミ製品の値上がりが経営の打撃となる米自動車大手を中心に株式が売られた。 午後にはカナダ側が電力への追加料金を取り下げる方針を示し、米国による追加関税も見送られるとの見方が強まった。 しかし、今後のトランプ氏の高関税政策への懸念は残り、株価の戻りは鈍かった。 ダウは前日の 890 ドル安に続き、2 日連続で大きく値下がりして取引を終えた。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 3-12-25) ◇ ◇ ◇ 日米で大幅株安 「トランプ不況?」 米政権への期待が一転懸念に トランプ米大統領の発言を引き金に、日米で大幅な株安が進んだ。 10 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が今年最大の下げ幅を記録。 11 日の東京市場でも日経平均株価が一時、1,000 円超値を下げた。 高関税政策の乱発に市場では「トランプセッション(トランプ不況)」という言葉も出ている。 10 日のダウの終値は、前週末より 890.01 ドル (2.08%) 安い 4 万 1,911.71 ドルだった。 米大統領選の投開票日前日にあたる昨年 11 月 4 日以来、約 4 カ月ぶりの安値となった。 景気に敏感な米金融機関や米 IT 大手の下落が目立った。 きっかけはトランプ氏の発言だった。 9 日の FOX ニュースのインタビューで高関税政策や景気後退について問われ、「非常に大きなことをやっているので、移行期間がある」、「米国に富を取り戻そうとしている。 少し時間はかかるが、素晴らしいものになる。」などと語った。 これが景気後退の可能性を明確に否定しなかったと受け止められ、投資家に不安が広がった。 11 日の東京市場でもこの流れは続き、取引開始からほぼ全面安の展開に。 日経平均は一時、昨年 9 月以来、約 6 カ月ぶりに 3 万 6,000 円台を割り込んだ。 その後は買い戻す動きも出て、前日終値より 235 円 16 銭 (0.64%) 安い 3 万 6,793 円 11 銭で取引を終えた。 トランプ氏の大統領就任前、その政策をめぐって市場では期待感の方が強かった。 法人減税や金融分野などでの規制緩和への期待から、昨年 12 月にダウは史上初めて 4 万 5,000 ドルを突破。 投開票日から 1 カ月で 3 千ドル近くと急ピッチで上昇した。 当時もトランプ氏は高関税政策をたびたび口にしていた。 だが、市場では関税は「ディール(取引)」の手段とみなされ、実際には発動されないとの見方が多かった。 ところが今年 1 月の就任後、トランプ氏は高関税政策を乱発している。 カナダとメキシコには 25% 関税を課すと宣言し、発動直前での延期や発動直後に猶予するなど先の読みにくい展開が続く。 中国へは実際に追加関税を発動した。 4 月 2 日にはより広範な「相互関税」の発動も迫る。 本格的に導入されれば各国は報復関税に乗り出すことが予想され、貿易摩擦が強まることは必至だ。 経済指標でも、高関税政策を背景にインフレ再燃への懸念が高まり、個人や企業の景況感も市場予想を下回るものが増えた。 企業経営者からは先の読めない不確実性や高関税が発動された場合の業績への悪影響を懸念する声が相次ぐ。 証券アナリストは相次いで経済成長率の予想を引き下げている。 市場ではトランプ氏の政策がリセッション(景気後退)を招く「トランプセッション」という言葉も注目を集め始めた。 こうした状況下で、9 日にトランプ氏が景気後退を覚悟しているような発言をしたことで、景気や株価の動向をそれほど重視しないとの見方が拡大した。 大幅な株安の背景について、米金融大手トゥルイスト・フィナンシャルのキース・ラーナー氏は「減税や規制緩和を実行するのは時間がかかる。 一方で、現実には高関税政策をめぐる不確実性が生じている。 トランプ政権の良い面だけ見ていた市場が、そうではない面に注目し始めている。」と話した。 (ニューヨーク・真海喬生、柴田秀並、asahi = 3-11-25) 米政権、相互関税からスマホ除外 iPhone 値上がり懸念で回避か トランプ米政権の相互関税に関する姿勢が揺れ動いている。 ほぼ全ての国・地域に一律にかけた関税の対象から、スマートフォンなどを外すことを決めた。 米アップルのスマホ「iPhone」の値上がりの可能性に注目が集まるなど、消費者に広がっていた懸念を払拭する狙いがあるとみられる。 対象から外すことは、米税関・国境警備局 (CBP) が、11 日夜に通達した。 除外されるのは、スマホやノートパソコンなどの電子機器のほか、半導体製造装置や電子集積回路などで、相互関税が最初に発動された 5 日以降の輸入分にさかのぼって適用されるという。 トランプ政権は相互関税について、全面発動したその日に税率の一部の適用を 90 日間にわたって停止すると表明した。 現在はほぼ全ての国・地域にかけている税率は一律 10%。 一方、関税のかけあいとなった中国に対する、相互関税の税率は 125% となっている。 (asahi = 4-13-25) 相互関税 13 時間後の大転換 トランプ氏が無視できなかった「警告」 トランプ米大統領は 9 日、「相互関税」として導入した新関税について、国・地域別に上乗せした税率を 90 日間にわたり「一時停止」すると発表した。 13 時間ほど前に全面発動させたばかりだった根幹部分の大転換。 いったい、何が起きたのか。 ほぼ全世界に対して一律 10% をかけた「相互関税」の第 1 弾に続き、第 2 弾となる国・地域別の関税上乗せの発動を数時間後に控えた 8 日夜。 トランプ氏は共和党議員を前にした演説で「どうか、どうか、取引を成立させてください。 何でもしますから。」とふざけて言うと、会場から笑いが起きた。 関税措置の軽減を米政権に懇願する各国首脳の様子の物まねをしたのだった。 「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている」などと下品な言い回しも使った。 巨大な米国市場を抱える優位性をテコに、関税という道具を使って、各国を思うように屈服させる - -。 トランプ氏が自らの「取引の芸術」(レビット報道官)に酔っていたようにも見える瞬間だった。 だが、そんなトランプ氏の陶酔は長くは続かなかった。 真夜中に第 2 弾の関税を発効させ、一夜明けた 9 日朝。 ホワイトハウスでトランプ氏はベッセント財務長官やラトニック商務長官らと向き合っていた。 その場で、発動したばかりの上乗せ税率を 90 日間、一時停止する案が固まった。 トランプ氏が自身の SNS に投稿する新方針の文章を書いているのを、2 人の閣僚が見守った。 午後 1 時 18 分、投稿が配信されると、ニューヨーク株式市場では株価が高騰した。 同じころ、米議会下院の公聴会に出席していた米通商代表部 (USTR) のグリア代表は、いつこの決定を知ったかと問われ、「数分前」と認めた。 トランプ氏と極めて限られた閣僚らだけで決まった方針だった。 「債券市場が、あなたにこの決定をさせたのですか。」 この日午後、記者団からこう問われたトランプ氏は、「ノー。 債券市場は素晴らしい。」と答えた。 だが、この回答は正しくなかったもようだ。 米 CNN は関係者 3 人の話として、ベッセント氏がこの日、債券市場で米国債売りが続いていることへの懸念をトランプ氏に直接伝えたという。 相互関税の発表後、景気の先行きへの懸念から、株価は 4 営業日続落していた。 こうした環境下では、より安全な資産とされる債券が買われ、利回りは低下することが多い。 ところが現実には、米国債の利回りの上昇や高止まりが続いていた。 市場では「世界一安全な資産」とされる米国債の地位に、かげりが出ているのではとの懸念が強まった。 米国債への信用は、基軸通貨ドルを含む米国の国力そのものへの信用の反映だ。 更に、債券価格の低下が金融機関の財務を傷つけ、「金融危機」の芽となるおそれも強く意識されていた。 株安については強気の発言を続けていたトランプ氏も、債券市場が発する「警告」には耳を傾けざるを得なかったとみられる。 看板政策である相互関税の「一部停止」を引き出した形のベッセント氏は、通商政策の強硬派が居並ぶ政権内にあって、ウォール街とも近く市場を重視する穏健派とされる。 この日午後、ホワイトハウスの外で記者団に対応したベッセント氏は、「トランプ大統領が 1 週間前に始めた交渉作戦の成功が今日、明らかになった」と強調。 今回の方針転換が、あたかも当初からの戦略であったかのような発言をして、忠臣ぶりをさりげなくアピールした。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 4-10-25) トランプ氏の関税方針転換、景気後退を防ぎきれない可能性 エコノミストが警鐘 米コンサルティング会社 RSM.US のチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏はトランプ大統領による唐突な関税方針の転換について、投資家にとっては歓迎すべきニュースかもしれないが、景気後退(リセッション)を回避するには至らない可能性があるとの見方を示した。 ブルスエラス氏は CNN の取材に対し、「米国経済が同時多発的に受けた衝撃の大きさを考えると、私の見立てでは(米国)経済は依然として景気後退に陥る可能性が高い」と説明。 「今回の措置はもっぱら、米国の貿易相手国に科される見込みの懲罰的な輸入税を一時先延ばしするだけに過ぎない」とも指摘した。 RSM.US はこれに先立ち、景気後退の確率を 20% から 55% へ引き上げていた。 ブルスエラス氏によれば、景気後退は今四半期中に起きる可能性が高い。 中国からの輸入品にかかる関税がますます引き上げられ、米国の国内経済に影響を及ぼす可能性も高いという。 「顧客との個人的なやり取りを基に判断すると、多くの企業は関税の支払いに充てる現金の準備がなく、商品をそのまま港に滞留させておくことを選ぶとみられる」、「この結果、有害な供給ショックによる経済全体の混乱が生じるだろう。(ブルスエラス氏)」 90 日間の猶予措置に加え、トランプ氏は一律 10% の関税を維持する考えも示した。 ブルスエラス氏は、企業は様子見せず「直ちに価格引き上げに動いている」と指摘する。 (CNN = 4-10-25) 「みんな怖がりすぎ」 トランプ関税「90 日間停止」一夜にして方針転換 アメリカのトランプ大統領は、9 日に世界各国を対象に発動したばかりの相互関税の一部について、90 日間、一時停止することを認めると発表しました。 一方で、中国に対してはさらに関税を上乗せします。 アメリカのトランプ大統領は 9 日、「相互関税を 90 日間停止し、税率を 10% に引き下げることを承認した」と SNS に投稿しました。 9 日に 60 の国と地域を対象に発動した相互関税の「上乗せ分」について一時停止する一方、全世界を対象にした 10% の一律関税については維持します。 トランプ氏は「75 か国以上が貿易障壁や関税、通貨操作などに関して問題の解決策を交渉するよう求めてきている」とし、自身の関税政策が各国の譲歩という成果につながりそうだとアピールしました。 そのうえで、アメリカに対して報復措置をとっていない国について、相互関税の一時停止を認めると説明しました。 ただ、アメリカの輸入品に 84% の対抗関税を課すと表明した中国に対しては、「関税を 125% に引き上げ、ただちに発効させる」とさらなる税率の上乗せを宣言しました。 トランプ大統領は、これまで相互関税について見直さない考えを繰り返し表明してきましたが、関税の発動からわずか 13 時間あまりで一時停止を表明しました。 「私はみんなちょっと過剰に反応しているなと思ったんだよ。 みんなちょっと神経質になりすぎ、怖がりすぎだ。(アメリカ・トランプ大統領)」 トランプ大統領は、一時停止を決めた理由について、このように述べました。 また、「中国は取引を望んでいる」と話し、これ以上の報復の応酬を避けたい考えをにじませました。 9 日のニューヨーク株式市場では、相互関税の一時停止が伝わると、朝方、値下がりしていたダウ平均株価が急反発し、一時、3,100 ドルあまり上昇。 結局、2,962 ドルの値上がりで取引を終え、4 万ドル台を回復しました。 値上がりの幅は史上最大です。 (TBS = 4-10-25) トランプ大統領 x スミソニアン協会、彫刻展を攻撃する大統領令 トランプ米大統領は 3 月 27 日に、(首都ワシントンで多くの博物館、美術館を運営する)スミソニアン協会を批判する大統領令を出した。 協会が「社会を分断する人種中心のイデオロギーの影響下にある」としている。 大統領令で特に名指しされたのが、スミソニアン・アメリカ美術館で開催中の彫刻展だった。 「権力の形 : 人種とアメリカの彫刻の物語」と題されたこの展示は、過去 200 年以上にわたり、彫刻がアメリカにおける人種に対する考え方をどのように形づくり、それを反映してきたかを探るものだ。 大統領令はとりわけ、この彫刻展が「人種とは生物学的上の事実ではなく、社会的な概念だという見方を助長し、『人種は人間が作り出したものだ』と述べている」と指摘している。 何人かの学者にインタビューしたところ、大統領令は学界の通説に異議を唱えていると思われる、と疑問を呈した。 マサチューセッツ大学アマースト校で歴史学を教えているサムエル・J・レッドマン教授は、スミソニアンの展示の中で科学的人種差別主義を担当したが、「この大統領令には問題があり、現在のコンセンサスからずれている」と言う。 教授はまた、白人を頂点とする人種のヒエラルキーを作ろうとする疑似科学の試みは、ナチスドイツや優生学運動(訳注 : 19 世紀末から 20 世紀半ばにかけて先進国で広がった、人種を改良しようとする運動)で見られたものだ、と付け加えた。 (Zachary Small/New York Times、asahi = 4-10-25) トランプ「相互」関税が全面発動 中国は計 104%、日本は 24% に トランプ米大統領は米東部時間 9 日午前 0 時 1 分(日本時間午後 1 時 1 分)、「相互関税」として導入した新関税の第 2 弾を全面発動した。 対象となる約 60 の国・地域ごとに税率を算出し、日本に対しては 24% を適用し始めた。 各国はトランプ政権との関税協議を急いでいる。 対抗姿勢を強める中国には 84% もの異例の高税率をかける。 これまでに発動済みの関税を合わせると、トランプ第 2 次政権による対中追加関税は計 104% に達する。 「相互関税」の第 1 弾は、ほぼ全ての国・地域に一律 10% をかけるもので、5 日に発動済み。 さらに第 2 弾は米国が多く貿易赤字を抱える国・地域を中心に、国ごとに異なる税率を適用した。 ベトナム 46%、台湾 32%、インド 26%、韓国 25%、欧州連合 (EU) 20% など。 異次元の高関税、短期間でなぜ可能 米国の対中国関税 104% の衝撃 中国に対しては、トランプ第 1 次政権が複数回にわたって中国の広範な輸入品に関税をかけていた。 ピーターソン国際経済研究所によると、第 2 次政権の開始直前に対中関税は平均 20.8% だった。 今回新たに追加された 104% を合わせると、総計は 125% に近づくとの見方もある。 米政権は中国に対し「相互関税」としてもともと 34% をかける予定だった。 だが、中国が米国製品に同率の 34% をかける報復措置を決めると、トランプ氏が反発した。 報復関税を取り下げない限り、税率を 50% 追加するとトランプ氏は脅したが、中国は報復措置を維持。 これを受けトランプ氏は 8 日、税率を修正する大統領令に署名した。 トランプ氏は 8 日夜、「中国が我々とディール(取引)をするまでは、(関税率は)そうあり続けるだろう」と語った。 中国が協議を申し入れてこない限り、税率を引き下げるつもりがないことを強調した。 対する中国側は、「もし米国側が己のやり方に固執するなら、中国も最後までお付き合いする」と表明し、抵抗を続ける構えだ。 中国にとって米国は、全体に占める比率は減ってきているとはいえ、なお重要な輸出先だ。 不動産不況の痛手を負うなか、高関税は輸出に打撃で、経済全体への悪影響は必至だ。 米国にとっても、中国はメキシコに次ぐ巨大輸入相手国だ。 繊維製品や日用品など安価な製品を大量に輸入しているため、高関税で販売価格が上昇すれば、低所得層などに打撃となる。 ホワイトハウスのレビット報道官は 8 日、70 カ国近くから関税をめぐる協議の申し入れがあったと説明。 「米大統領のメッセージは初めからシンプルで一貫している。 米国の労働者の利益になり、貿易赤字に対処する場合にのみ、取引は成立する。」と述べた。 相互関税を軽減・除外してもらうには、米国に対する関税の削減はもちろん、非関税障壁の撤廃など踏み込んだ対応が必要であることを示唆した。 日本からは石破茂首相が 7 日、トランプ氏と電話協議し、閣僚級で関税問題を話し合うことで一致した。 首相は赤沢亮正経済再生相を交渉役に指名した。 米側責任者にはベッセント財務長官らが選ばれた。 ベッセント氏は 7 日、日本が米国の重要な軍事・経済的同盟国であると指摘したうえで「彼らは優先交渉権を得るだろう。 とても迅速に(交渉に)名乗り出たからだ」と述べた。 ただ、トランプ氏は石破氏との電話協議後、自動車や農業分野で日米間に貿易不均衡があるとの不満を SNS に投稿。 今後も厳しい交渉が続くことが予想される。 トランプ氏は 8 日、韓国の大統領権限代行を務める韓悳洙(ハンドクス)首相と電話協議。 韓国が抱える対米貿易黒字に加えて、在韓米軍の駐留経費も議題となったという。 トランプ氏はかねて駐留経費の増額を主張してきた。 安全保障分野にまでトランプ氏の要求がわたっている可能性がある。 協議後、トランプ氏は「素晴らしい取引ができる可能性がある」と述べた。 日本との協議でも、安全保障をめぐる議題が浮上する可能性も考えうる。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 4-9-25) イーロン・マスク氏、トランプ大統領に関税撤廃を直訴か 米メディア報道 アメリカのトランプ政権で「政府効率化省」を率いるイーロン・マスク氏が、トランプ大統領に関税の撤廃を直訴したと報道されました。 アメリカのワシントン・ポストは 7 日、イーロン・マスク氏が、トランプ大統領が打ち出した新たな関税政策を撤回するよう直訴したと伝えました。 事情を知る関係者の話だとしていて、マスク氏の訴えを受けてもトランプ氏は考えを変えるには至っていないと伝えています。 マスク氏は 5 日にはイタリアの極右政党の集会にオンラインで出席し、アメリカとヨーロッパの間の関税について、「将来的にゼロになることを期待する」と発言するなど、関税政策をめぐってはトランプ大統領と異なる考えを示しています。 (TBS = 4-9-25) トランプ米政権に「手を引け」 政権発足以降最大規模のデモ、各地で 米国各地で 5 日、トランプ大統領や側近のイーロン・マスク氏に対する抗議デモが行われ、多数の人たちが参加した。 昨年 11 月の大統領選で敗れて以降、民主党側はトランプ氏に対抗するメッセージをなかなか打ち出せていないが、政権の不人気が高まるなか、この日は政権発足以降最大規模の抗議となった。 首都ワシントンでは、中心部のナショナルモールに何千もの人々が集まった。「Hands Off (手を引け)」と書かれたプラカードなどを持つ人が多く、トランプ政権による強引な政府改革や人員削減などに反対する考えをアピール。 「誰もマスク氏に投票していない」などと、マスク氏や「政府効率化省 (DOGE)」の動きに抗議する人も多かった。 ワシントンでは 1 月のトランプ政権発足直前にも抗議デモが行われたが、今回の方がはるかに人が多く、熱気もあった。 ノースカロライナ州から 5 時間かけて来たという、ペニー・ソルニエさん (67) は「政権発足以降、とにかく全てがひどい。 特に、国立公園の人員削減に憤っている」と語り、「今日はこれほど多くの人が集まり、自分が一人ではないと感じた」と意気込んだ。 米紙ニューヨーク・タイムズによると、この日は 50 州全てで抗議デモが予定され、主催者によると事前に 60 万人超が参加登録した。 ニューヨークやシカゴ、アトランタなどの都市でも大規模デモがあったが、大きな混乱は報告されていない。 (ワシントン・中井大助、asahi = 4-6-25) 中米に追放した男性を「連れ戻せ」 米連邦地裁がトランプ政権に命令 トランプ米政権によって 3 月、中米エルサルバドルに追放された米メリーランド州の男性 (29) について、同州の連邦地裁は 4 日、政権側に「7 日までに米国に戻さなければならない」との命令を出した。 同地裁は、男性には強制送還を禁じる保護資格が与えられており「追放は違法だった」と認定した。 不法移民対策を公約に掲げる政権は 3 月、ギャングのメンバーなどとされる 250 人以上の外国人をエルサルバドルに追放した。 男性はその一人だった。 トランプ政権は裁判で、男性の追放を「行政上の誤りだった」と認めており、ずさんな対応として波紋を広げている。 米紙ニューヨーク・タイムズ (NYT) などによると、男性はエルサルバドルからの移民。 同国に戻ると危害を加えられる恐れがあるとして、2019 年に裁判所から保護資格が与えられていた。 だが、今年 3 月 12 日に当局に拘束され、出身国であるエルサルバドルに送られた。 その後、男性側が提訴していた。 政権側は今月 1 日に地裁に出した書面で、男性を追放したのは誤りだったと認め、米メディアで大きく報じられた。 一方、命令には上訴し、米国に連れ戻す措置は取らない構えだ。 政府のちぐはぐ対応、弁護士は批判 ホワイトハウスのレビット報道官も誤りは認める一方で「ギャングのリーダーだった」などと根拠を示さずに主張。 4 日に出した声明では「(地裁の)裁判官にエルサルバドルについての法的管轄権はない」とした。 男性の身柄がすでに同国にある以上、米国政府としてはもう対応できないとの考えがあるとみられる。 男性の代理人弁護士は、男性はギャングのメンバーではないとし、「政府が追放したのだから、連れ戻すこともできるはずだ」とちぐはぐな対応を批判している。 (ニューヨーク・田中恭太、asahi = 4-6-25) トランプ大統領、相互関税を発表 日本は「24%」 国ごとに税率 トランプ米大統領は 2 日、導入を予告していた「相互関税」の詳細を発表した。 まず、全ての国や地域に一律で 10% の関税を 5 日からかける。 そのうえで、高い貿易障壁を持つ相手に対しては、より高い税率を 9 日から適用する。 日本に適用される相互関税の税率は「24%」としている。 3 日には自動車への 25% 追加関税も発動予定で、トランプ第 2 次政権の高関税政策は大きな山場を迎えた。 トランプ氏は 2 日、ホワイトハウスの庭園「ローズガーデン」での演説で、「4 月 2 日は米国の産業が再生した日、米国が再び豊かになりだした日として、永遠に記憶されるだろう」と述べ、「米国史上最も重要な日の一つだ」と位置づけた。 日本に対しては、「コメに 700% の関税を課している」、「トヨタは米国で海外製の自動車を 100 万台売っている」などと不満を述べた。 各国・地域の首脳らに対して、相互関税を免れたいならば「自らの関税をやめて、障壁を下げ、通貨の操作をやめろと言う」と話した。 別の追加関税かける自動車や鉄鋼は対象外 ホワイトハウスが公表した文書によると、今回の措置は自動車や鉄鋼など、すでに別の追加関税をかけている品目については、対象外とする。 貿易赤字による危機や「非相互的な扱い」が解消されたなどとトランプ氏が判断するまで続くという。 また、相手が米国に報復関税を課した場合は、税率をさらに上乗せするとしている。 米国の貿易統計によると、2024 年の米国の貿易赤字は約 1 兆 2 千億ドル(約 180 兆円)に上り、過去最大となった。 米政府高官は「持続不可能で、緊急事態だ」と述べ、巨額の貿易赤字が米国の安全保障を脅かしていると認定。 高関税で貿易赤字を削減する必要性を強調した。 関税引き上げの法的根拠には、緊急事態の宣言により、関税に関する広範な権限を大統領に与える「国際緊急経済権限法 (IEEPA)」を挙げた。 10% の一律関税は、トランプ氏が昨年の大統領選で公約として挙げていた。 加えて、非関税障壁も加味した関税率を相手ごとに算定し、その「半分」を相互関税として課す仕組みとした。 米政権高官は、上乗せの対象を「最悪の違反者」と表現し、約 60 の貿易相手国・地域に適用されるとした。 自動車分野の非関税障壁などを批判されている日本も対象になる。 関税は「ディール(取引)」の交渉ツール? 主な国・地域の適用税率は、中国 34%、欧州連合 (EU) 20%、ベトナム 46%、台湾 32%、インド 26%、韓国 25%、タイ 36% など。 トランプ氏は輸入品に高関税をかけることで、米国内産品の売り上げを伸ばすほか、生産を米国内に回帰させ、雇用を増やす狙いがある。 今回の関税をてこに貿易相手の非関税障壁を崩し、米国製品の輸出を増やす狙いもある。 トランプ氏はこれまで、貿易相手が高い関税を課して自国製品を保護しながら、米国には多くの製品を輸出していると主張し、これが「不公平」だと不満を訴えてきた。 日本を含む同盟国に対しても不満を示し、相互関税を発表する 4 月 2 日は「米国にとっての『解放の日』となる」などと発言してきた。 一方で、ホワイトハウスのレビット報道官は 1 日の記者会見で、「大統領はいつでも電話に出られる」と述べた。 関税の発動後、税率などをめぐってトランプ氏が貿易相手との「ディール(取引)」に応じる余地があることを示唆した。 トランプ氏はこれまで、相手側が関税を引き下げることは歓迎する姿勢をみせてきた。 米国製品の輸出増につながるためで、相互関税をそのための交渉ツールに使う狙いもありそうだ。 ただ、関税の引き上げは、報復関税など相手側の対抗措置を招きかねないほか、米国内の物価上昇や景気の悪化につながる恐れもある。 米国株式市場では株価が大幅な下落傾向にあるなど、不安が広がっている。 2 日の発表を受け、景気減速や企業の利益減につながるとの懸念が一段と強まり、主要企業でつくる米国を代表する株価指数「ダウ工業株平均」の先物価格は一時、約 1,000 ドル下落した。 関税とは? 1930 年代の保護主義は大戦の一因に 外国から輸入する原材料や製品に対し、各国の当局がかける税。 特定の輸入品に関税がかけられると、その分コストが増えて価格上昇や輸出企業の利益減につながる。 国産品に対する輸入品の競争力が下がるため、国内産業保護の手段として主に使われる。 関税は輸入する企業などが支払い、政府の税収となる。 一方、輸入品が値上がりすれば消費者にとって負担が増す。 世界恐慌下の 1930 年代、米国などで農産品や工業製品に幅広い関税をかける保護主義が広がり、第 2 次世界大戦の一因になったとされる。 そうした反省から、戦後は GATT (関税貿易一般協定)や世界貿易機関 (WTO) などの多国間協調の枠組みのもと、関税を下げてより自由な貿易をめざす取り組みが進んだ。 2015 年に大筋合意した環太平洋経済連携協定 (TPP) も、関税などの貿易障壁を減らすねらいがあった。 1990 年代以降、先進国の多国籍企業は、賃金が安い新興国に製造拠点を移し、世界的な分業体制をつくりあげた。 米アップルの iPhone (アイフォーン)などの製品は、こうして世界に張り巡らされた供給網の恩恵を受けた象徴的な存在といえる。 だが、17 年に就任したトランプ米大統領(1 期目)は、自由貿易の進展で米国の製造業が空洞化し、労働者に打撃を与えたなどとして、TPP からの離脱を表明。 鉄鋼やアルミなどに対する高関税政策にかじを切った。 その後のバイデン前政権も、通商政策についてはトランプ氏の路線を大筋で踏襲していた。 (ニューヨーク・杉山歩、ワシントン・榊原謙、asahi = 4-3-25) |