中国「米政府関係者のビザ申請あった」 外交ボイコットは「茶番」

中国外務省の趙立堅副報道局長は 27 日の定例会見で、来年 2 月の北京冬季五輪に関連して、米政府関係者からビザ申請があったことを明らかにした。 ビザを発給するかどうかは「国際慣例の関連規定と対等の原則に基づき処理する」と明言を避ける一方、米国側が「外交ボイコット」を表明していることを挙げ、米政府の姿勢を「茶番劇」と批判した。

バイデン米政権は中国の人権問題を理由に、北京冬季五輪に外交官や政府当局者の代表を送らない外交ボイコットを表明している。 香港紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、ビザを申請したのは高官以外の国務省や国防総省の関係者ら 18 人で、五輪大会の安全支援が目的という。 外交ボイコットとは切り離した対応とみられる。

趙氏は会見で「米側はこれまで政治的目的から、政府代表を送らないという茶番劇を自作自演してきた」と批判。「五輪精神を実行し、スポーツの政治化をやめ、北京冬季五輪を妨害・破壊するいかなる言動もやめるよう、米側に改めて求める」と述べた。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 12-27-21)

◇ ◇ ◇

カナダも北京五輪「外交的ボイコット」米英豪に続き

(カナダのトルドー首相は、来年 2 月の北京オリンピックについて、外交的にボイコットすることを表明しました。 アメリカ、イギリス。オーストラリアに続き 4 カ国目の表明です。

|カナダ、トルドー首相 : 「我々は、中国政府が繰り返す人権侵害に強い懸念を抱いている。 よって我々は、本日、北京オリンピック・パラリンピックに外交代表団を送らないことを表明する。」

|トルドー首相は今月 8 日、北京オリンピックに外交団を派遣しないと表明しました。 アメリカが 6 日に外交的ボイコットを決めたのに続いて、オーストラリアとイギリスもボイコットを明らかにしていました。 カナダは 2018 年、中国の企業「ファーウェイ」の幹部を逮捕し、その直後に、中国がカナダ人 2 人を逮捕して以降、外交関係が悪化しています。 (テレ朝 = 12-9-21)


米中首脳、台湾めぐり応酬 = 衝突防止模索も - 初のオンライン会談

【ワシントン、北京】 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は 15 日夜(日本時間 16 日午前)、初めてオンライン形式で会談した。 「新冷戦」とも形容される米中の対立が熱戦に転じるのを避けたい思惑では一致した格好だ。 ただ、台湾情勢などでは応酬、気候変動など協調可能な分野も模索したが、具体的進展はなかった。

ホワイトハウスによると、バイデン氏は、覇権争いの様相を呈する米中間の競争が衝突に変わるのを防ぎ、意思疎通を維持するための「ガードレール」構築の必要性を訴えた。 新華社によると、習氏も「建設的な方法で相違点や敏感な問題を管理し、中米関係が脱線してコントロールを失うのを防ぐこと」を優先事項に挙げた。 ただ、台湾情勢をめぐっては、立場の違いが改めて露呈。 バイデン氏は、歴代政権が踏襲してきた「一つの中国」政策の維持を明確にしたが、台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な行動に反対すると表明した。 新疆ウイグル自治区やチベット、香港での中国の行動にも懸念を示した。

中国外務省によれば、習氏は「『台湾独立』派がレッドライン(譲れない一線)を突破すれば、断固たる措置を取らざるを得ない」とけん制。 関係を強化している米台双方に対し「火遊びする者は焼け死ぬ」と強い調子で警告した。 さらに、習氏は「陣営に分かれグループで対立すれば世界に災いとなる」と述べ、日・米・オーストラリア・インド 4 カ国の連携枠組み(クアッド)などを念頭に、米国による対中包囲網形成に反対した。 (jiji = 11-16-21)


米当局、ズームの企業買収を調査 中国との関係、安保上懸念

【ニューヨーク】 ビデオ会議システムを運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズによるコールセンター企業の買収について、米当局が安全保障上のリスクを懸念し調査していることが 21 日、分かった。 ズームが中国と関係が深いことが背景にあるとみられる。 ズームは 7 月に約 1 兆 6 千億円で米ファイブ 9 を買収すると発表した。 ファイブ 9 は、顧客からの問い合わせに電話やチャット、メールで答えるクラウドサービスを企業に提供している。 電気通信サービスに対する外国人の関与を審査する省庁間委員会が、米連邦通信委員会 (FCC) に対し、買収のリスクについて検討するよう求めた。 (kyodo = 9-22-21)


米、中国ハイテク企業 5 社 製品認証せず 国内通信網から徹底排除

アメリカの通信当局は、中国の通信機器大手「ファーウェイ」などハイテク企業 5 社の機器について、いっさい製品認証しないとする新たな方針を決め、国内の通信網からの締め出しを徹底するねらいです。 アメリカの通信当局、FCC = 連邦通信委員会は 17 日、いずれも中国のハイテク企業で通信機器大手の「ファーウェイ」と「ZTE」や監視カメラ大手の「ハイクビジョン」など 5 社について安全保障上の脅威になるとして、いっさい製品認証しないとする新たな方針を決めました。

また、すでに出されている認証を取り消すことも検討していくとしています。 FCC は、これまでも政府の補助金を受け取っている国内の通信会社に対しては中国のハイテク企業の製品の購入を禁じてきましたが、今回の決定によって補助金を受け取っていない会社も使用できなくなり国内の通信網からの中国製品の締め出しを徹底するねらいです。 バイデン政権は中国のハイテク企業に対してアメリカ人による株式投資の禁止措置を拡大しているほか、同盟国などとも協力してサプライチェーンからの排除を進めるなど、締めつけを強めていますが、中国は反発し、両国の対立が深まっています。 (NHK = 6-18-21)

◇ ◇ ◇

バイデン政権、中国 59 社に投資規制 対象を拡大

バイデン米大統領は 3 日、中国人民解放軍と関係が深かったり、人権侵害につながる監視技術を開発したりしていると認定した 59 の中国企業に対し、株式などの購入を通じて投資することを禁じる大統領令に署名した。 トランプ前政権は昨年 11 月、中国の有力企業 30 社超への投資を禁止する大統領令を出しており、対象を拡大する。 バイデン政権は「中国の軍産複合体への投資を禁じるため、従来の大統領令をさらに確固たるものにする」と表明。 規制の法的枠組みをより明確にした。 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などに引き続き規制をかけ、対象企業の数を増やした。 8 月 2 日から実施する。

前政権が比重を置かなかった人権や民主主義の重視を打ち出し、違いも示した。 「米国と同盟国の価値観や安全を損なう企業」への危機感を強調。 新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧への関与が疑われ、制裁対象とされている監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)も引き続き対象とした。 米国防総省も 3 日、「中国軍需企業」と認定する企業のリストを示し、ファーウェイやハイクビジョン、半導体受託メーカー、中芯国際集成電路製造 (SMIC) など約 50 社を指定した。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 6-4-21)


日米首脳、中国を強くけん制 共同声明に台湾やウイグル明記

[ワシントン/東京] 日米両首脳は 16 日午後(日本時間 17 日未明)にワシントンのホワイトハウスで会談し、中国を強くけん制した。 共同文書には、中国が軍事的な圧力を強める台湾について、海峡の安定が重要と明記。 香港と新疆ウイグル自治区の人権状況に対する懸念も盛り込んだ。 日本と経済的に関係の深い中国の今後の反応が焦点となる。 1 月に就任したバイデン大統領が、外国の首脳と対面で会談したのは初めて。 菅義偉首相と通訳を入れて 2 人だけで会談、さらに関係閣僚や補佐官を交え、計 2 時間半にわたって議論した。

最も重要なテーマとなったのが中国。 不安定化する台湾情勢のほか、国際社会がイスラム系少数民族の人権状況を懸念する新彊ウイグル自治区の問題も協議した。 両国は共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」、「香港及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有」などと明記した。 3 月に東京で開いた外務・防衛閣僚会合(2 プラス 2)の声明に続き、中国を明確にけん制した。

バイデン大統領は会談後の共同会見で、「自由で開かれたインド太平洋の未来を確かなものにするため、東シナ海や南シナ海、そして北朝鮮など、中国による挑戦に対抗するために協力していくことを確認した」と語った。 その上で「日米同盟とわれわれが共有する安全保障を断固として支持することを確認した」と述べた。 菅首相は「台湾海峡の平和と安定の重要性は日米間で一致しており、今回改めて確認した」と説明。 「新疆ウイグルの状況についても日本の立場や取り組みを説明し理解を得られた」と語った。 議論の具体的な中身は明らかにしなかった。

共同声明には、日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名 : 釣魚島)に対して米国の防衛義務が適用されることも盛り込んだ。 「尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも引き続き反対」するとした。 日米は、中国が南シナ海で人工島を建設したり、東シナ海で軍事的な動きを強めることに懸念を示してきた。 米国はトランプ前政権時代から通商などを通じて中国をけん制してきたが、バイデン政権になってからは一段と圧力を強めている。 中国を包囲するように、九州から沖縄、台湾、ボルネオを結ぶ「第一列島線」にミサイルを配備する計画も打ち出した。

菅首相は「東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試みと、地域の他者に対する威圧に、反対することでも(バイデン大統領と)一致した」と述べた。 その上で、日本が防衛力を強化していく決意も伝えたことを明らかにした。 会談は北朝鮮問題も取り上げた。 共同声明は「バイデン大統領は拉致問題の即時解決へのコミットメントを改めて確認」と明記。 同時に「日米は安全と繁栄の共有のため日米韓の協力が重要である点でも同意」との表現も盛り込んだ。 米国は対中けん制のためには日米韓の結束が必要と考えており、今回の会談を通じて日韓の関係改善を促した格好だ。 さらに両国は声明で、ミャンマーの軍・警察による一般市民に対する暴力行為を強く非難した。

5G 開発で米 25 億・日 20 億ドル投入

両首脳は、技術や経済分野でも協力する方針も確認した。 高速通信網 5G 技術、経済活動で欠かせなくなった半導体の供給網構築、人工知能 (AI) の分野で連携する。 共同声明は中国の華為技術(ファーウェイ)を念頭に、 「第 5 世代 (5G) 無線通信が安全で開かれたものであるためには、信頼できる通信機器メーカーに依存することが重要」と強調した。 高速通信網 5G や、その先の通信技術を開発するため、米国は 25 億ドル、日本は 20 億ドルを投じるとの目標も明記した。 通信技術に巨額の投資をする中国に対し、日米で連携する。

また、知的財産権の侵害や強制的な技術移転、産業補助金などについて対処するとの表現も声明に盛り込んだ。 バイデン氏は会見で、「日本と米国は技術革新に深く注力しており、未来を見据えている」とし、「われわれの競争力を維持、強化する技術の投資や保護を確実にする」と述べた。

五輪開催努力を大統領支持

このほか、日米が温暖化ガスの排出削減を主導し、脱炭素化やクリーンエネルギーに関する「日米気候パートナーシップ」を立ち上げることでも合意した。 今夏の東京五輪・パラリンピックについては、「菅首相による安全安心な五輪を開催するための努力をバイデン大統領は支持した」との一文を共同声明に入れた。 米側は選手団の派遣を確約したかと会見で問われた菅首相は、明言を避けた。

菅首相は会談後、ワシントンにあるシンクタンク、戦略国際問題研究所 (CSIS) 主催のイベントでオンライン形式で講演した。 国軍が市民を弾圧するミャンマー、新疆ウイグル自治区、民主化が後退する香港などについて、具体的行動を取ると語った。 その一方で、中国とは安定して建設的な関係を築きたいとも述べた。 ((竹本能文、David Brunnstrom、Trevor Hunnicutt、Reuters = 4-17-21)

◇ ◇ ◇

「北京当局は海峡の安全に貢献を」 台湾総統府コメント

台湾総統府の張報道官は午後 2 時(現地時間 13 時)ごろ、フェイスブックで、日米首脳会談の共同声明が台湾海峡の平和と安定に言及したことについて、感謝するコメントを発表した。 張氏は「台湾海峡の平和と安定はすでに台中関係の範囲を超え、インド太平洋地域、さらには全世界の問題になっている」と指摘。 「北京当局が台湾海峡や地域の安全のために、前向きな貢献をすることを望む」とした。

張氏はまた、「蔡英文(ツァイインウェン)総統が何度も強調してきたように、台湾は圧力には屈しないが、無謀な行動はしない」と説明。 「日米など民主主義や人権の理念を共有する国々との関係をさらに深め、地域の安定と発展に協力していく」とした。 (台北 = 石田耕一郎、asahi = 4-17-21)

◇ ◇ ◇

中国、共同声明に「強烈な不満と断固たる反対」 … 日本に対しては「忠告」も

中国の在日本大使館報道官は 17 日、台湾問題を明記した共同声明について「強烈な不満と断固たる反対」を表明する談話を発表した。 日米両国に「厳正な申し入れ」を行ったとしている。 日本に対しては、「大国間の対立に巻き込まれないように忠告する」と警告した。 (yomiuri = 4-17-21)


米議会 超党派で中国対抗措置法案 尖閣諸島の防衛義務も明記

「新冷戦」と呼ばれるほどアメリカと中国の対立が深まる中、アメリカ議会上院の外交委員会は、超党派で、政府がとるべき中国への対抗措置をまとめた法案を明らかにし、この中で沖縄県の尖閣諸島の防衛義務を明記するなど、議会としても中国への対抗姿勢を鮮明にしています。 アメリカ議会上院の外交委員会は、8 日、「戦略的競争法」と呼ばれる、超党派の新たな法案を明らかにしました。 法案は、280 ページにおよび、アメリカ政府が取るべき中国への対抗措置を幅広く挙げています。

このうち、同盟国については、日本を、韓国などとともに「極めて重要な同盟国」と位置づけて安全保障面や経済面での協力を深めるとする一方で、同盟国には、共通の利益を守るため防衛能力の向上などを促すとしています。 また、沖縄県の尖閣諸島について「アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第 5 条の適用対象だと再確認する」と明記しています。

さらに、法案は、台湾との関係も強化し、高官どうしの交流に制限を設けないとしているほか、「米中関係において基本的な自由と人権の保護を優先する」として、新疆ウイグル自治区での強制労働に関わった中国の当局者などに制裁を科すとしています。 法案について、上院外交委員会のメネンデス委員長は「かつてない超党派の試みで、中国による挑戦に対抗するためあらゆる手段を動員するものだ」という声明を出し、議会としても中国への対抗姿勢を鮮明にしています。

中国外務省「断固として反対する」

アメリカ議会上院の外交委員会が超党派で中国への対抗措置をまとめた法案を明らかにしたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、9 日の記者会見で「法案に断固として反対する。 中国はアメリカと衝突したり対抗したりするのではなく、ウィンウィンの関係を築こうとしているが、主権や安全保障、発展の利益はしっかりと守っていく。」と述べて、強く反発しました。 (NHK = 4-9-21)


米政権、中国スパコン 7 企業・団体を輸出規制対象に指定

バイデン米政権は 8 日、安全保障上の懸念から輸出を規制する企業を指定する「エンティティー・リスト」に、スーパーコンピューター開発に携わる「天津飛騰信息技術」など中国の 7 企業・団体を加えたと発表した。 中国による「極超音速(ハイパーソニック)兵器」などの開発に関与したと米商務省が認定した。 トランプ米政権は 2020 年、中国の軍事開発や人権侵害などに関与していると米側が認定した100 超の中国企業や団体を「リスト」に入れた。 バイデン政権が中国企業のリスト追加を公表するのは初めてで、前政権に続き、輸出規制の厳格化を進める方向だ。

コンピューターの CPU (中央演算処理装置)を手がける「飛騰」を巡っては、米紙ワシントン・ポストが 7 日、米企業のソフトウェアを使った飛騰の製品が極超音速ミサイルの開発に使われている、と報道。 同紙によると、飛騰は自社設計の半導体の製造を台湾の台湾積体電路製造 (TSMC) に発注していた。 レモンド米商務長官は声明で「スーパーコンピューターの技術力は、核兵器や極超音速兵器などあらゆる近代兵器の開発に欠かせない。 米国の技術が中国に使われないよう全力で対応する。」と述べた。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 4-9-21)


ウイグル弾圧は「ジェノサイド」 韓国のビラ散布禁止も言及 米人権報告

【ワシントン】 米国務省は 30 日、各国の人権状況をまとめた 2020 年版の報告書を発表し、中国・新疆ウイグル自治区について「ウイグル族らに対するジェノサイド(集団虐殺)や人道に対する罪があった」と断じた。 ピーターソン国務次官補代行(民主主義・人権・労働担当)は記者会見で、自治区での人権侵害に対する「深刻な結果」を中国に警告した。 ブリンケン国務長官は記者会見で「専制国家は、新型コロナウイルス感染拡大を、批判者を標的にしたり、人権を抑圧したりするための口実に利用している」と非難。 新型コロナは、少数民族など虐待や差別の対象になってきた人々に過度に悪い影響を及ぼしているとも指摘した。

報告書は、中国に関し、新型コロナが最初に確認された中国湖北省武漢市の状況について報道した市民記者 4 人が行方不明になったことを取り上げた。 香港国家安全維持法施行なども挙げ「中国は、市民の自由や民主的な制度を侵害し、香港の自治を損なった」と批判した。 韓国については、北朝鮮を非難するビラ散布を禁止する法律が成立したことなどを「表現の自由の制限」として言及した。 (jiji = 3-31-21)


米中高官が直接協議、バイデン政権下で初 冒頭から激論

[アンカレジ(米アラスカ州)/北京] 米中高官による直接会談が 18 日、アラスカ州アンカレジで始まった。 会談の冒頭から報道陣の前で激しい非難の応酬が繰り広げられる異例の展開となり、対立の深刻さを浮き彫りにした。 19 日も協議が行われる予定だが、合意が見込める分野はほとんどないとみられている。

メディアの前で異例の応酬

米中の高官級対面会談はバイデン政権下で初めて。 通常は数分で打ち切られる報道陣を前にした冒頭のやりとりは、1 時間を超える異例の長さとなった。 ブリンケン米国務長官は「新疆、香港、台湾などの問題、米国へのサイバー攻撃、同盟国への経済的な強要行為を含む中国の行動に対する米国の深い懸念を取り上げる」と表明。 「これらの行動は全て、世界の安定を維持しているルールに基づく秩序を脅かしている」と指摘した。

中国外交トップの楊潔チ・共産党政治局員はこれに 15 分かけて応答。 米民主主義が苦境に立たされているとしたほか、米国のマイノリティー(少数派)の扱いや外交・通商政策を非難した。 「米国は軍事力と金融における覇権を用いて影響力を広げ、他国を抑圧している」とし、「国家安全保障の概念を悪用し、通常の貿易取引を妨害し、一部の国々が中国を攻撃するよう仕向けている」と続けた。

「米国には強い立場で中国との対話に臨むと言う資格はない」とし、「20 年あるいは 30 年前でもそのように言う資格はなかった。 これは中国人との向き合い方ではないからだ。」と訴えた。 ブリンケン氏は楊氏の発言に意表を突かれたようで、返答するまで記者団を部屋に残した。 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「われわれは衝突を求めていないが、厳しい競合関係は歓迎する。 原理原則や自国民、友好国を守るために常に行動する」と強調した。

米は「パフォーマンス」、中国「外交儀礼違反」

双方は報道陣を退出させるタイミングについても対立。 冒頭のやりとりの後で米政府高官は、中国側は冒頭発言を 2 分間にするという事前の約束に背いたと批判。 「中国代表団は、大げさに行動することを狙ったようで、中身よりも一般に向けた芝居やドラマのような振る舞いを重視していた」という見方を示した。 中国国営メディアは、米国側の冒頭発言は「非友好的」な上、決められた時間を超過しており、外交儀礼に反すると指摘した。 中国外務省の趙立堅報道官は 19 日午後の定例会見で、協議では、中国が望んでいない対立が多々あったと述べた。

すれ違う思惑

協議の位置づけそのものも争点となってきた。 中国は過去の 2 国間の枠組みを想起させる「戦略対話」だと主張してきたが、米側は枠組みの設定に否定的な立場を示してきた。  米国は 17 日、中国国有通信会社の事業免許取り消しに向けた手続き開始や、米国で情報通信関連サービスを提供する中国企業に対して召喚状を送ったことを発表するなどしている。 米政権高官は会談前に記者団に対し「協議の大部分は厳しいものになると予想している」と語った。

楊氏は、中国企業に対する措置を協議の直前に発表したのは意図的かどうかをブリンケン氏に問い、「われわれは米国のことを評価し過ぎていたようだ。 米国側が必要な外交儀礼に従うとわれわれは考えていた。」と皮肉を述べた。 楊氏は新疆、香港、台湾は全て分離不可能な中国の領土と主張し、米国による内政干渉に断固として反対すると表明。 「習近平国家主席が述べてきたように、米国との関係について衝突や対立は望まず、相互尊重とウィンウィンの協力を希望する」と強調した。

米下院外交委員会の共和党委員であるマイケル・マコール議員は楊氏の言動について、中国に態度を変える気がないことを示していると指摘。 「中国側の好戦的な態度とうその主張によって、バイデン政権は対峙する相手の真の姿に気付くはずだ」と述べた。 (Reuters = 3-19-21)