... - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10 - 11 - 12 - 13 - ...
米国の新型コロナ感染、異常に拡大し新段階に = トランプ政権コロナ対策顧問 ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策顧問を務めるデボラ・バークス氏は 2 日、米国の都市部とともに地方にも新型コロナ感染が「異常に拡大」しており、米国は流行の「新たな段階に入っている」との認識を示した。 CNN の番組で語った。 バークス氏は「現在の状況は 3 - 4 月とは異なる。 感染が異常に拡大している。」と指摘。 地方に住む人々に対し、「このウイルスへの免疫はない」と警告した。 また、感染拡大が起きている地域に複数世代で一緒に住む人々には、高齢者や基礎疾患のある同居者を守るために家の中でもマスクを着用するよう呼び掛けた。 国内の一部地域で感染者が急増し続ける中、バークス氏は、連邦政府当局者は各州の感染傾向や病院記録を調べていると説明。 「それぞれの状況に見合った対応を取る必要がある」とした。 このほか、同氏が過去 3 週間で 14 州を視察した際、多くの国民が移動しているのを見て懸念が生じたとし、「感染拡大地域に出かけなければならない場合、自分は感染していると考えて基礎疾患のある人々を守る行動をとる必要がある」と語った。 一方、厚生省のジロアー次官補は NBC の番組に出演し、マスク着用の重要性をあらためて強調した。 「マスクを着用せず、密閉・密集空間を制限しなければ、ウイルスは拡散し続ける」とし、「非常に重大な局面にある」と語った。 また、人々がマスクを着け、集団を避ける場合、完全なシャットダウンと同じ結果になるとした。 (Reuters = 8-3-20) ◇ ◇ ◇ カリフォルニア州、新型コロナ感染 40 万人突破 最多 NY 州に接近 米カリフォルニア州で 21 日、新型コロナウイルス感染者が 40 万人を突破したことがロイターの集計で分かった。 感染者が 40 万人を超えるのはニューヨーク州に次いで全米で 2 番目となる。 カリフォルニア州の感染者数は累計で 40 万 0,166 人。 ニューヨーク州は約 41 万 2,800 人と現時点で最多だが、1 日の新規感染者数を見ると、カリフォルニア州は平均 8,300 人に上るのに対し、ニューヨーク州は同 700 人にとどまっており、カリフォルニア州がニューヨーク州を抜いて最多となるのは時間の問題とみられている。 (Reuters = 7-22-20) ◇ ◇ ◇ 米の新規感染 6 万 1,300 人 フロリダ、4 月の NY 抜き最多 【シリコンバレー = 佐藤浩実】 米国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。 検査状況をまとめる「COVID トラッキングプロジェクト」によると、12 日の新規感染者数は約 6 万 1,300 人と 3 日連続で 6 万人を上回った。 傾向をみるための 7 日移動平均では 5 万 8,700 人と最多を更新した。 約 2,100 万人が暮らす東部フロリダ州では同日の新規感染者数が 1 万 5 千人を超えた。 感染拡大が深刻だった 4 月中旬のニューヨーク州(1 万 1,571 人)や、7 月上旬のカリフォルニア州(1 万 1,694 人)を上回り、州別の 1 日あたりの感染者数として最多となる。 人口や検査数の違いはあるものの、フロリダ州では検査を受けた人に占める感染者の割合を示す「陽性率」が過去 1 週間 13 - 21% で推移。 10% を下回っていた 6 月から大幅に上昇している。 症状の軽い40歳前後の感染者が目立つ。 これまでに入院した重症者は累計約 1 万 8,300 人にのぼる。 トランプ米大統領に近いとされるフロリダ州のデサンティス知事はコロナ禍でも経済活動の再開を優先してきた。 11 日には米ウォルト・ディズニーが同州の「ディズニーワールド・リゾート」を 4 カ月ぶりに再開したものの、マスク着用を義務付けて入園者数を絞るなど通常営業にはほど遠い。 それでも SNS (交流サイト)には再開に対する批判があふれ、8 月に同州で予定する学校再開への反発も強まっている。 州別ではテキサス州も 11 日の新規感染者数が 1 万人を上回り、同州として最多を更新した。 4 千万人が暮らす西部カリフォルニア州やアリゾナ州の新規感染者数も高止まりしており、米国で新型コロナの感染が収束する兆しは見えていない。 米ジョンズ・ホプキンス大によると、世界の新規感染数は 11 日集計分で約 21 万 9,400 人。 米東部時間 12 日午後 9 時(日本時間 13 日午前 10 時)時点で、累計の感染者数は 1,286 万人となった。 米国のほか、ブラジルやインドなどで増加基調が続いている。 死者数は 56 万 8 千人を超えた。 (nikkei = 7-13-20) ◇ ◇ ◇ トランプ氏、マスク姿を初披露 「素晴らしいこと」 【ワシントン = 中村亮】 トランプ米大統領は 11 日、ワシントン郊外の米軍医療施設を視察した際にマスクを着用した。 3 月に新型コロナウイルスの感染が全米で拡大してから報道陣の前で着用したのは初めて。 マスク着用で感染防止を率先する姿勢をアピールすべきだと訴える与党・共和党に配慮したとみられる。 トランプ氏は紺色のマスクを着用して医療施設を訪れた。 視察前にホワイトハウスで記者団に対し「手術を終えたばかりの兵士らと病院で話すような場合にマスクを着用することは素晴らしいことだ」と語った。 「私は着用に反対したことはない」とも主張した。 この時にはマスクを着けていなかった。 米疾病対策センター (CDC) は 4 月上旬にマスク着用を米国民に推奨したが、トランプ氏は「着けたい人が着ければよい」と指摘し、自身は着用しない意向を表明していた。 マスク着用に関する方針を転換させたことになる。 米国ではコロナ感染者が再び増えている。 トランプ政権のコロナ対応には批判が多く、11 月の大統領選に向けて共和党内でもトランプ氏がマスクを着用して感染防止の模範を示すべきだとの意見が目立っていた。 共和党の上院トップのマコネル院内総務は 6 月末に「マスクを着けることを不名誉だと思うべきではない」と語り、暗にトランプ氏に着用を促した。 同党のラマー・アレクサンダー上院議員も「大統領がたまにはマスクを着用すればトランプ支持者だからマスクを着けない、反トランプだから着けるという政治的な論争をしないで済む」と語った。 トランプ氏は 5 月下旬に中西部ミシガン州の工場を視察した際にマスクを着けたと説明したが、報道陣の前では外していた。 その理由について「着けた方が男前に見える。 記者を喜ばせたくないからだ。」と冗談を飛ばしていた。 実際には弱々しく見えたり、マスク着用が経済活動の再開を目指す政権の方針と矛盾しかねないことを嫌ったりしたからだとの見方が出ていた。 (nikkei = 7-12-20) ◇ ◇ ◇ 米、新型コロナ感染 25 日に約 4 万人で過去最多に 米テキサス州のアボット知事は 25 日、新型コロナウイルスの感染者や入院患者が急増していることを受け、州の段階的な経済再開を一時停止すると表明した。 米国ではテキサス州のほかにも、当初感染がそれほど広がらなかった州や、行動制限を早期に緩和した州でこのところ感染者が増加している。 25 日は全米で感染者が少なくとも 3 万 9,818 人増加し、1 日当たりの感染者としては過去最多を記録した。 テキサス州ではアボット知事が「州の経済再開を次の段階に安全に移行させるまで、今回の一時的な停止は感染を食い止める一助になる」と述べた。 これまでの段階で営業が許可された企業は、指定された稼働水準や従来の衛生最低基準の下で営業を継続できるとした。 テキサス州の人口は全米で 2 番目に多く、一日のコロナ感染者は過去 3 日連続で 5,000 人を超えるなど増加が目立っている。 州のコロナ検査での陽性率は 10% に上昇しており、2 桁の陽性率が見られる州の一つとなっている。 新規の入院者数も 13 日連続で最多を記録しており、アボット知事はヒューストン、ダラス、オースティン、サンアントニオで病床を確保するため不要不急の手術を停止した。 今週はアラバマ、アリゾナ、カリフォルニア、フロリダ、アイダホ、ミシシッピ、ミズーリ、ネバダ、オクラホマ、サウスカロライナ、ワイオミングの各州でも新規感染者が過去最多を記録した。 アザー米厚生長官は FOX ニュースのインタビューで「州・地方当局者と積極的に協力しているが、国民はこれが局地的な状況だと理解することが重要だ。 ホットスポットとなっているのは全米の郡の 3% だ。」と強調し、全米での懸念の払しょくに努めた。 南部・西部が流行中心地に 流行の中心は 3 万 1,000 人以上の死者が出た東部ニューヨーク州周辺から西部や南部に移っており、人口密度の比較的低い農村部でも感染が広がっている。 オレゴン州やユタ州も行動制限の緩和を一時停止するか遅らせる措置を取った。 カリフォルニア州のニューソム知事は、新型コロナの対応費用や景気低迷が財政を圧迫しているとして、財政非常事態を宣言した。 同州が 25 日に発表した新規感染者は約 5,350 人と、前日の 7,149 人を下回ったものの、集中治療室の病床利用率は前日の 29% から約 34% に上昇した。 一方、ニューヨーク州のクオモ知事は 25 日、同州の新型コロナ入院者数が 996 人と、3 月 18 日以来初めて 1,000 人を下回り、ウイルス感染拡大抑制で重要な節目を達成したと明らかにした。 (Reuters = 6-26-20) ◇ ◇ ◇ 米国を再び襲うコロナ感染拡大 ディズニーは再開延期も 米国で新型コロナウイルスの感染が再び広がり、1 日あたりの新たな感染者数が過去最多レベルに達している。 特に感染拡大が深刻なのは、営業・外出規制の緩和など「経済再開」が比較的早かった南部や西部の州だ。 経済規模が大きな州も多く、米景気回復に暗雲が立ちこめている。 米紙ワシントン・ポストの集計では、全米で 24 日に確認された新規感染者は 3 万 8 千人を超え、これまで最大だった 4 月 25 日(3 万 4,200 人)を抜いて過去最多となった。 米国内では、「秋以降に感染『第 2 波』が広がることを懸念していたが、それが目の前で起きている(米エコノミスト)」との驚きが広がっている。 米ウォルト・ディズニーは 24 日、西部カリフォルニア州にある「ディズニーランド」の営業再開を、従来予定していた 7 月 17 日から遅らせると明らかにした。 州当局からの承認が遅れる見込みだという。 労働組合などが早期再開に難色を示していた。 ディズニーは南部フロリダ州でも、「ディズニー・ワールド」を 7 月 11 日から順次再開する予定だった。 しかし、反対する従業員らの署名が 9 千以上集まった。 呼びかけ人は「州内のウイルス感染は悪化する一方で、再開は顧客や従業員、家族らを危険にさらすだけだ」と主張しており、やはり延期を迫られる可能性が出ている。 カリフォルニア、フロリダ両州や西部アリゾナ州などでは 23 - 24 日にかけて 1 日あたりの新規感染者数が史上最多を更新。 南部テキサス州では新規感染者数が 1 週間で倍増し、大都市ヒューストンで病院の集中治療室が満杯になりつつある。 米経済は、新型コロナによる経済活動停止から徐々に再開し、それまでの反動で急回復が目立っていたばかりだった。 5 月の小売り売上高は前月比で 17.7% 増と史上最大の伸びを記録した。 こうした回復を引っ張ってきたのが、米国内でも比較的感染が少なく、4 月後半以降と早い時期に経済再開を進めた南部や西部の各州だった。 しかし、こうした地域で今まさに感染が急拡大し、米企業はシナリオの修正を迫られている。 アップルは、いったん再開したフロリダやアリゾナなど一部の州の店舗を再び一時閉鎖。 24 日にはヒューストン一帯の 7 店を緊急で閉めた。 他方で、すでに爆発的な感染拡大が起きたニューヨーク市では、飲食店の屋外営業やオフィス勤務が今月 22 日に解禁され、経済再開が本格化し始めていた。 こうした地域では、新たな感染拡大地域からの人の流入を警戒。 ニューヨークを含む東部 3 州は 24 日、テキサス、フロリダなど感染が広がる 9 州からの旅行者に対し、14 日間の隔離を課すと発表した。 人の移動への制限が再び強まり、経済活動が停滞しかねない状況だ。 金融市場は米景気の再減速を織り込み始めている。 24 日のニューヨーク株式市場は、主要企業で構成するダウ工業株平均が急反落し、前日比 710.16 ドル (2.72%) 安い 2 万 5,445.94 ドルで取引を終えた。 過去最高値を連日で更新していたハイテク株中心のナスダック総合指数も 9 営業日ぶりに反落し、同 222.20 ポイント (2.19%) 低い 9,909.17 で終えた。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 6-25-20) ◇ ◇ ◇ 米 21 州で感染者増 抗議デモが影響か、株式市場も警戒 米国で、新型コロナウイルスの感染者数が増加に転じている地域が出ている。 経済活動の再開に加え、5 月末から各地で続く抗議デモなどが影響している可能性もあるが、再び外出制限を強化する動きは少ない。 感染拡大をおそれた株式市場は 11 日、急落した。 米ジョンズ・ホプキンス大によると、米国の感染者数は 200 万人を超え、死者は約 11 万 3 千人と世界最多。 感染者が最も増えていたのは 4 月半ばで、現在は減少傾向が続いている。 5 月後半には、全 50 州で外出制限の緩和や経済活動の一部再開が始まった。 しかし、米国全体の感染者が減っているのは、感染の中心地だったニューヨーク州やニュージャージー州などでの減少が主な理由で、地域によっては現在も感染が増加している。 米ニューヨーク・タイムズによると、11 日までの 2 週間でみるとカリフォルニアやテキサス、アリゾナなど計 21 州で感染者が増加傾向にある。 感染者が増えているのは、検査態勢が拡充されたからだ、との見方もある。 マクナニー大統領報道官は 10 日の会見で「急激な増加は起きていない」としたうえで、「検査が増えれば、より多くの感染者が見つかる」と述べた。 ただ、CNN によると、少なくとも 12 の州で入院患者も増えている。 アリゾナ州では 10 日、集中治療室 (ICU) の利用率が最高の 83% に到達。 ベッドの空きを確保するために新型コロナ以外の手術が延期になる「緊急対策」が取られた。 米国は 5 月の最終月曜日が「戦没者追悼記念日」の祝日で、夏の始まりとされる。 今年は各州の経済活動再開とも重なり、外出する人が増えた。 加えて、この日にはミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させる事件が発生。 直後から抗議デモが米国各地に広がった。 デモの参加者の中には、マスクをつけていない人も多い。 首都ワシントンでは警戒に当たった州兵数人の感染が確認されており、今後もデモを通じて拡大するおそれがある。 医療インフラの不足が指摘される地方でも感染が拡大している。 10 日、米 ABC に出演した国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「我々がまさに懸念していることだ。 今、それを目の当たりにしている。」と話した。 一方、経済活動の再開をストップさせる動きは鈍い。 これまでのところ、感染拡大を受けて再開プロセスを停止したのはユタ州やテネシー州ナッシュビルなどにとどまる。 ただ、株式市場では感染拡大の影響への懸念が出ている。 米ニューヨーク株式市場は 11 日、ダウ工業株平均が 1,861 ドル安と、史上 4 番目の下げ幅となった。 12 日の東京株式市場も日経平均株価は 2 日連続の値下がりとなり、前日より 167 円 43 銭安い 2 万 2,305 円 48 銭で取引を終えた。 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「市場には景気が早期に回復するとの見方があったが、楽観論の修正を一気に迫られた」と話す。 (香取啓介 = ワシントン、江渕崇 = ニューヨーク、寺西和男、asahi = 6-12-20) ◇ ◇ ◇ 見捨てられた母 … 米死者「命の格差」 高齢者施設に集中 「母は見捨てられた。」 リー・レパシュさん (55) は声を震わせる。 米ニュージャージー州アンドーバーの介護施設に住んでいた母のリリーさん(当時 84)は 3 月 23 日、新型コロナウイルス感染が疑われる症状で亡くなった。 新型コロナの感染が州内で拡大し、3 月中旬から家族も施設内に入れなくなった。 だが、職員は「感染者は出ていない」と答えるばかり。 心配を募らせた姉が建物に近づき、1 階の窓から部屋の中を見ると、母は痩せこけ、テーブルの上で突っ伏したままだった。 2 日後、容体が悪化したとの連絡を受け、間もなく息を引き取った。 この施設は以前から、「サービスが基準未満だ」と行政指導を受けていたといいます。 後半で詳しくお伝えします。 この施設は約 700 床と州内でも最大級。 職員の多くは、マスクや手袋を支給されていなかった。 4 月 13 日、地元警察が通報を受けて立ち入ると、4 人を収容する遺体安置所に 17 人の遺体が放置されていた。 6 月上旬までに入居者 78 人、職員 2 人が亡くなった。 施設は以前から、「サービスが基準未満だ」と行政指導を受けていた。 経営権が 3 年前に投資会社へ移ってからは利益追求の姿勢が強まり、ベテラン職員が解雇され、新しい職員は十分な教育を受けていなかった。 ニューヨーク・タイムズによると、看護師らは 2018 年に「一晩に一人で 75 人の入居者を見ることもある」と経営者に訴えていた。 レパシュさんは母を他の施設に移したかったが、金銭面から難しかったという。 「ここで起きたことは米国の恥だ。 世界で最も豊かな国なのに、国民を大切にしていない。」 米国の独立宣言は「人間は生まれながらにして平等」とうたい、「不可侵の権利」の最初に「生命」を挙げた。 しかし、コロナ禍は超大国における、命の格差を浮かび上がらせた。 ジョンズ・ホプキンス大の集計では、米国内の新型コロナの死者は 11 万人近い。 米メディアの分析では、このうち約 3 分の 1 が高齢者施設で亡くなっており、施設の状況も影響している。 ウォールストリート・ジャーナルは「営利会社が運営する大規模施設は被害が大きい」と指摘した。 ニューヨーク・タイムズの分析では、入居者の 25% 以上が黒人やヒスパニックの施設は、白人が多い施設の倍以上の割合で感染者が出ている。 こうした施設は感染リスクが高い都市部に多く、連邦政府の格付けも低い。 同州パラマスの退役軍人向け介護施設でも入居者 80 人、職員 1 人が死亡した。 義兄がここで感染した下院議員ビル・パスクレルさん (83) は憤る。 「犠牲者は米国のために命をかけて戦った人々だ。 悲劇ではすまされない。 ヘッジファンドが運営する施設も多く、高齢者を思いやるより、金勘定が優先されている。」 職員も、社会的弱者が多い。 米カイザー・ファミリー財団によると、米国の高齢者施設で働く人の約 6 割が年収 3 万ドル(約 330 万円)以下だ。 全体の 8 割超が女性、約 4 割が高校卒業以下の学歴で、介護スタッフの半数近くが黒人やヒスパニックという。 ハーバード大医学大学院のデービッド・グラボウスキ教授は「米国は裕福だが、高齢者を差別してきた。 経済格差も大きく、一握りのお金持ちだけが質の高い施設に入れる」と語る。 「国民皆保険はなく、低所得者向け公的医療保険の資金不足も深刻だ。 コロナ禍によって、社会のあり方が問われている。」 (ワシントン = 渡辺丘、asahi = 6-8-20) ◇ ◇ ◇ 波乱含みの米経済再開 24 州で感染拡大、第 2 波リスクも 米国が新型コロナウイルスの感染拡大で停滞していた経済活動の再開を急いでいる。 20 日には感染抑制のために導入した行動制限を一部緩和する動きが全 50 州に行き渡った。 ただ 5 割弱にあたる 24 州で制限緩和後に感染が拡大するなど、先行きは波乱含みだ。 米国は 25 日から夏休み旅行シーズンに入って人の移動が活発になる。 感染「第 2 波」のリスクとどう向き合うか。 世界最大の経済国の再開戦略の成否はグローバル経済の行方も左右する。 米国は累計感染者が 160 万人超と世界で最も多い。 4 月下旬以降、感染拡大ペースは鈍化。 1 日あたりの新規感染者数はピーク時には 3 万人超だったが、厳しい外出制限の効果もあって足元では 2 万人前後に下がった。 ただ経済再開には、感染再拡大の懸念がつきまとう。 全 50 州について、経済再開に踏み切った日と 20 日の新規感染者数(7 日移動平均)を比べると、24 州が増加していた。 20 日の値が再開日以下だったものの、足元では増加傾向に転じる州も 18 州あった。 象徴的なのが 1 日にレストランなどの営業を再開したテキサス州だ。 経済活動を一部再開した最初の週末、ようやく利用が開放されたビーチには多くの住民らが殺到。 「(人同士の距離を保つ)社会的距離の継続を」と、アボット知事は呼びかけたが「誰も規制を守っているようにみえなかった。(現地紙)」 米グーグルの公表データによると、コロナ禍前と比べて最悪期には半分超に落ち込んだ同州の主要都市ヒューストンの小売店などの人出は、16 日時点で8割弱の水準まで回復した。 それに伴い感染も拡大。 同州の 1 日あたり平均の新規感染者数は 4 月の 827 人から増え、5 月 16 日には 2 倍超に達した。 8 日から地域ごとの緩和に着手したカリフォルニア州は 20 日の人口 10 万人あたりの新規感染者数が約 4.8 人と 8 日(4.2 人)から増えた。 18 日には経済再開の対象を広げるための判断基準が「厳しすぎる」として、大半の郡が満たせる基準に緩めた。 経済再開を加速させる見通しで、感染抑止との両立が問われている。 一方、米国での感染の「震源地」となったニューヨーク州は 15 日に一部地域で緩和に着手した後も感染ペースの抑制が続いている。 1 日あたりの新規感染者はピーク時の 1 万人強から 2,100 人前後へ減少した。 同州では、小売店はオンラインで事前予約した商品を受け取る場合のみ認めるなど制限緩和が限定的だ。 ニューヨーク市のマンハッタンは食品スーパーなどを除く店舗の閉鎖や外出規制がなお続く。 感染拡大ペースが鈍化傾向を保つ一方で、市民は生活の不自由にいらだちを募らせる。 経済再開を急ぐ動きが止まらないのは、財政も企業、家計もこれ以上のコロナ制限の長期化に耐えられないとの危機感が強いためだ。 4 月の米小売売上高は前月比 16% 超減と、統計開始後で最大の落ち込みを記録。 4 月の米失業者数は 2,308 万人と前月の 3.2 倍に急増し、全米各州で同月に支払われた失業保険給付金は少なくとも 162 億ドル(約 1.7 兆円)に達した。 経済再開に踏み切るにあたり、トランプ米大統領は感染検査の能力を週 200 万件へ倍増させると表明。 それでもまだ足りないとの指摘もある。 4 月下旬の米連邦公開市場委員会 (FOMC) では「感染の第 2 波が起これば中長期的に経済を押し下げ、失業率は上昇する」との悲観シナリオも議論した。 経済再開と感染抑制を両立できるか。 世界は固唾をのんで見守ることになりそうだ。 (ニューヨーク = 後藤達也、久保田昌幸、nikkei = 5-24-20) 香港、コロナ感染拡大で規制強化 レストランでの飲食を全面禁止 [香港] 香港政府は 27 日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、29 日から行動制限を強化すると発表した。 2 人を超える集まりやレストランでの飲食を全面的に禁止、公共の場所では屋外、屋内を問わずマスクの着用を義務付ける。 実施期間は 7 日。 レストランでの飲食が全面禁止となるのは初めて。 7 月に感染の第 3 波への懸念から午後 6 時以降の店内飲食が禁止されたが、日中はレストランもカフェも通常通り営業できていた。 しかしここ 3 週間、市中感染が増加し、新規感染者は 27 日で 6 日連続の 3 桁を記録した。 27 日に新たに確認された感染者は 145 人で過去最多。 うち 142 人が市中感染だった。 張建宗(マシュー・チャン)政務司長は「非常に懸念される状況」と述べ、現在の流行はこれまでで最も深刻だと指摘した。 週末には人気の高いビーチが立ち入り禁止となり、香港に入る船や航空機の乗員の移動を制限する新たな規則を導入した。 公共放送 RTHK は、病院当局の話として、感染者数が公立病院の収容能力を超えるペースで増えていると伝えた。 中国政府の出先機関、香港連絡弁公室は 26 日、中央政府は、香港での検査能力を強化し、感染者受け入れ用を中心とした病院設置を支援する方針を明らかにしたと表明した。 (Reuters = 7-27-20) 北朝鮮でコロナ感染者発生か 開城市を完全封鎖 【ソウル = 恩地洋介】 北朝鮮の朝鮮中央通信は 26 日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が 25 日に緊急招集した朝鮮労働党政治局の会議で「悪性ウイルスが流入したとみられる危険な事態が発生した」と明らかにしたと報じた。 南北境界に近い開城(ケソン)市で新型コロナウイルス感染者が発生したとみられ、24 日午後に同市を完全封鎖したという。 北朝鮮が新型コロナ感染者の発生を認めるのは初めて。 真偽は不明だが、報道によると感染者は 3 年前に韓国へと脱北した人物で、19 日に軍事境界線を越えて北朝鮮に戻ったという。 防疫機関が患者の上気道分泌物や血液を検査した結果、感染が疑われると判断し、本人と接触者を隔離している。 金正恩氏は 25 日の会議で、該当地域で非常事態を宣言し、国家非常防疫体制の「特級警報」を発令すると表明。 「非常事態に直面した現実を厳重に受け止めなければならない。 防疫危機を打開し、人民と祖国の安全を死守しよう。」と呼びかけた。 会議では脱北事件を許した前線部隊のずさんな警戒態勢が報告され、厳重な処罰を適用することについても議論されたという。 (nikkei = 7-26-20) ブラジルの感染者、200 万人を突破 カーニバル中止も 南米ブラジルで 16 日、新型コロナウイルスの累計感染者数が 200 万人を突破した。 リオデジャネイロでは恒例のカーニバルが来年 2 月に予定されているが、感染拡大が止まらない中、主催団体の会議では「中止論」も浮上した。 保健省によると、16 日夕時点の累計感染者数は 201 万 2,151 人。死者数は 7 万 6,688 人。 初期に感染の中心だったサンパウロやリオデジャネイロ、その後広がった北部や北東部などでは感染拡大の勢いが落ち着きつつあるが、南部の州などでは新規感染者が増えている。 「傾向を知るために、感染拡大の恐れが大きい地域でのみ、PCR 検査しているのが実態だ。」 サンパウロの生物医学研究所オズワルド・クルス財団のホドリゴ・スタベリ研究員(公衆衛生)は、確認されていない感染者はさらに多いはずだという。 有力紙エスタード・デ・サンパウロは 13 日、政府が各州に配布した計 440 万セットの PCR 検査キットで一部の試薬が不足しているため、使われた検査キットは 27% にとどまっていると報じた。 スタベリ研究員によると、ブラジルは医療資材の多くを欧米や中国から輸入しているが、世界的な流行の影響で、検査に必要な試薬などを購入できていないという。 このため、新型コロナの症状を示しながら、診断できない重症呼吸器疾患が増えている地域があるという。 高速道路に沿って流行地域が移動するなど、時期をずらしながら各地でパンデミックが起きているとし、「順繰りに地方に広がるのは、この戦いに失敗している証拠だ」と指摘する。 ブラジルでは、経済優先を掲げるボルソナーロ大統領と対立した保健相 2 人が解任・辞任。 この 2 カ月間は、軍の将軍が大臣を代行しているが、省の要職に保健行政の経験のない軍人を就け、批判されている。 スタベリ氏は「保健省が政治を優先し、保健行政を後回しにしている。 調整や計画がなく、対策を自治体任せにしていることが、感染地域の移動につながっている」と批判した。 収束が見通せない中、リオデジャネイロやサンパウロでは来年 2 月に予定されるカーニバルが延期される可能性が出てきた。 リオデジャネイロでは、14 日にあったカーニバルの主催団体の会議で、サンバチームの一部から「ワクチンや薬がないなら参加できない」との声が上がった。 主催団体によると、中止するかどうか 9 月に決めることになったという。 リオのカーニバルは、国内外から 200 万人近くが集まる一大イベント。 パレードでは、一つのチームに数千人が参加する。 練習にもたくさんの人が集まる必要があり、感染の恐れがある。 サンパウロでもドリア州知事が 15 日、「パンデミックの前ではカーニバルや正月は祝えない。 今はその時ではない。」と発言。 カーニバルのほか、多くの人が路上に集まる年越しの祭りを認めない可能性を示唆した。 (サンパウロ = 岡田玄、asahi = 7-17-20) ◇ ◇ ◇ 「コロナは風邪」発言のブラジル大統領、発熱で検査 南米ブラジルのボルソナーロ大統領が 6 日、新型コロナウイルスに感染していないか検査を受けた。 38 度の発熱があるといい、検査結果は 7日昼ごろに判明する見通しという。ボルソナーロ氏は新型コロナを「ちょっとした風邪」などと軽視し、マスク着用などに反対していた。 CNN ブラジルによると、ボルソナーロ氏は新型コロナの特効薬だと主張している抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用しているという。 ボルソナーロ氏の支持者がユーチューブで配信した動画では、公邸入り口に集まった支持者を前にボルソナーロ氏はマスクを着用して登場し、「誰も近寄らない方がいい」と述べた。 肺の検査もしたが問題はなかったと語った。 ボルソナーロ氏は新型コロナの感染拡大防止対策より、経済活動を優先する姿勢を示してきた。 3 日には、公共の場所でのマスク着用を義務化する法案が国会で可決されたが、ボルソナーロ氏は一部の条文について拒否権を発動。 学校や商業施設での着用や、貧困層への配布に反対した。 ブラジル保健省の発表によると、同国の 6 日夕までの感染者は 162 万 3,284 人、死者は 6 万 5,487 人。 いずれも米国に次いで世界で 2 番目に多い。 (サンパウロ = 岡田玄、asahi = 7-7-20) ◇ ◇ ◇ ブラジルのコロナ死者 5 万人超える 世界の死者の 1 割 南米ブラジルの保健省は 21 日、新型コロナウイルスによる死者が 5 万人を超えたと発表した。 米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、日本時間 22 日午前 7 時までの世界全体の死者は 46 万 5,880 人。 ブラジルの人口は約 2 億 1 千万人で世界の人口の約 2.7% だが、新型コロナの死者数では全体の 1 割を占める。 ブラジル保健省によると、21 日夕までに確認された累計の感染者数は前日より 1 万 7,459 人増えて 108 万 5,038 人だった。 死者は 5 万 617 人で、前日から 641 人増えた。 5 月 21 日には、感染者数は 31 万 87 人、死者は 2 万 47 人だった。 1 カ月で感染者は約 3.5 倍、死者も 2.5 倍で 3 万人以上増えた。 感染の中心地は南米最大の都市サンパウロを抱えるサンパウロ州。 19 日までに感染者 21 万人、死者は 1 万 2 千人以上が確認された。 6 月から商業活動を再開しており、州によると、外出自粛率は州平均で 45% ほどという。 中には 30% 台の自治体もあり、感染がさらに拡大する恐れも指摘されている。 また、医療態勢が貧弱な北部や北東部のほか、内陸の地方都市でも感染者が急増しており、一部で集中治療室が満床となっているとも報じられている。 アマゾナス州では人口 10 万人あたり 64.1 人、パラ州でも 53.3 人が亡くなっており、26.6 人のサンパウロ以上に、死亡する割合が高くなっている。 (サンパウロ = 岡田玄、asahi = 6-22-20) ◇ ◇ ◇ ブラジル、感染者 1 日で 5 万人以上 累計で 100 万人超 新型コロナ 南米のブラジルでは、新型コロナウイルスの感染者が 1 日で 5 万人以上増え、累計で 100 万人を超えました。 専門家の間では、感染の拡大が続く中で、最大都市のサンパウロをはじめ、経済活動が次々と再開されていることに懸念の声もあがっています。 ブラジルでは貧困地区を中心に急速に感染が拡大していて、政府によりますと 19 日の時点で感染者の数が 5 万 4,771 人増えて、103 万 2,913 人と、100 万人を超え、死者の数も 1,206 人増えて、4 万 8,954 人となりました。 ブラジルの感染者と死亡者はいずれもアメリカに次いで世界で 2 番目に多く、このところ 1 日におよそ 1,000 人が亡くなり、新たな感染の確認は多い日で 5 万人以上となっています。 こうした中、最大都市のサンパウロなど多くの都市で 3 月中旬から経済活動が段階的に再開されています。 このうち最も感染の被害が深刻なサンパウロの中心部では、多くの店が、当局が営業を認めている時間を守らず長時間営業していて、買い物客が詰めかけて、店内は混み合っています。 ブラジルでは、公立病院などで集中治療室が満床になるケースも報告され始めていて、専門家の間では、感染の拡大が続く中で、経済活動が次々と再開されていることに懸念の声もあがっています。 (NHK = 6-20-20) ◇ ◇ ◇ ブラジルの死者数、英国抜き世界 2 番目に … WHO が医療体制に警鐘 【リオデジャネイロ = 淵上隆悠】 ブラジル政府は 12 日、新型コロナウイルスによる死者数が 4 万 1,828 人になったと発表した。 米ジョンズ・ホプキンス大の 12 日夜(日本時間 13 日午前)時点の集計によると、死者数は英国(4 万 1,566 人)を抜き、米国(11 万 4,643 人)に次いで世界で 2 番目の多さとなった。 ブラジルでは経済活動の再開が進んでおり、さらなる感染拡大が懸念されている。 世界保健機関 (WHO) は 12 日、「(ブラジルでは)いくつかの地域で病院の集中治療室のベッドが 90% 以上埋まっている」として、医療体制に警鐘を鳴らした。 ジョンズ・ホプキンス大によると、11 日の世界の新規感染者数は 13 万 8,000 人を超え、過去最高を更新した。 ブラジルや米国、インドなどで感染拡大が続いている。 (yomiuri = 6-13-20) ◇ ◇ ◇ ブラジル、コロナ死者 2 万人超え … 大統領「恐れる方がストレスに」と持論 【リオデジャネイロ = 淵上隆悠】 ブラジル政府は 21 日、新型コロナウイルス感染による死者数が 2 万 47 人になったと発表した。 死者が 2 万人を超えたのは、米国や英国、イタリアなどに次いで 6 か国目だ。 ブラジルでは感染者数も 30 万人を超えている。 1 日の新規感染者数が 1 万 8,000 人前後で推移しており、ロシアを抜いて世界で 2 番目に感染者が多い国となる勢いだ。 経済活動の再開に積極的なジャイル・ボルソナロ大統領は 21 日も、インターネット中継を通じ、「ウイルスを恐れる方がストレスになり、より死者が増える」と持論を展開した。 (yomiuri = 5-23-20) コロナ感染者が急増 夜間外出を再び禁止、酒の販売も 新型コロナウイルスの感染者が急増している南アフリカの政府は 12 日、夜間外出禁止令や酒の販売禁止を再開すると発表した。 累計の感染者が 12 日時点で約 27 万 6,242 人と、世界で 9 番目の多さとなり、規制を再び強めることで、逼迫する医療現場への負担を和らげたい考えだ。 政府は 3 月 26 日深夜から、厳しい外出制限や空港の閉鎖とともに、酒の販売禁止を始めた。 酒を求めて酒屋が襲われる騒ぎが起きる一方、飲酒にからんだ事件や事故は激減。 だが、6 月 1 日から多くの企業活動を認め、夜間外出禁止令を撤廃。 酒の販売も解禁すると、酒に酔った人による交通事故や暴力沙汰が増え、病院の受け入れ態勢を圧迫した。 一部の病院では、防護服や患者向けの医療用酸素、ベッドが不足し、数十人規模の院内感染が発覚するケースも出ている。 ある医療関係者は「このまま患者が急増すれば、もう対応できない」とこぼす。 ラマポーザ大統領はこの日、「我が国は民主化されてから最大の危機に直面している。 嵐が来ているのだ。」と演説。 若年層が多いため、犠牲者は 4,079 人と欧米諸国に比べると少ないが、ラマポーザ氏は「感染ピークは今月末 - 9 月末」と述べ、最大で 5 万人が年内に死亡する恐れがあるとの予測も示した。 感染判明者は 4 月末まで 1 日当たり数百人程度にとどまっていたが、7 月に入ってからは、1 日当たりの平均で 1 万人を超えている。 イランやスペインなどの感染者数を一気に超え、アフリカ全体の感染者数の 5 割弱を占めるまでになった。 最大都市ヨハネスブルクのソウェトといった人口密集地区や貧困地区でも感染者が急増し、主要都市があるハウテン州や西ケープ州などの知事も感染が確認されている。 一方、政府は 6 月末、新型コロナに伴う規制策などによって今年の経済成長率が 7.2% 減となるとの予測を発表。 国内には貧困層が多く、感染防止策と経済の悪化のはざまで、政府はジレンマに陥っている。 今月 2 日から約 3 カ月ぶりに営業を再開したばかりだったカフェ店経営、レインハルド・ポールセンさん (39) は、政府の感染防止策に理解を示したうえで、「経済と人々の健康面での安全のバランスをどう取るかが大事だ。 経済が回らなければ、私たちの安全はより脅かされてしまう。」と語った。 (ヨハネスブルク = 石原孝、asahi = 7-13-20) 新興国と途上国で凄まじいコロナ 世界の死者 50 万人に 新型コロナウイルスによる世界の死者が 29 日、米ジョンズ・ホプキンス大の集計で 50 万人を超えた。 感染者も累計で 1 千万人以上に達している。 感染者は欧米の先進国を中心に急増してきたが、6 月になって新興国と途上国の累計が上回った。 現在は毎日の新規感染者の約 75% を新興・途上国が占めており、感染拡大は新たな局面を迎えている。 同大によると、世界の累計の感染者は 28 日までの集計で 1,014 万 5,791 人。 国連の基準に基づいて、世界各国を「先進国(36 カ国)」と、その他の「新興国・途上国」とに分けると、感染者は先進国が約 429 万人、新興・途上国が約 585 万人となる。 ブラジルやペルーなど中南米諸国での増加が最も目立ち、インドなど南アジアや中東、アフリカ諸国でも徐々に感染者数が増えている。 世界保健機関 (WHO) は、貧富の差が大きく、医療態勢も脆弱な新興・途上国での感染拡大に警鐘を鳴らしてきた。 行動制限が長引き、経済活動の再開に踏み切る国も増え始めているが、このまま新興・途上国で感染が広がり続ければ世界的な収束は見通せない。 貧困層や難民の間での蔓延も現実の脅威となっている。 感染拡大の中心となっている中南米では、多くの国で大都市周辺にスラム街があり、貧困層が密集して暮らしている。 医療態勢も貧弱で、マスク着用などの予防法が十分に伝わっていない面もある。 感染者数の多いインドでは、手洗い設備が整備されていない病院が多いとされ、貧困層の家庭内感染も目立っている。 6 月に入ってからレストランなどの営業が再開され、感染者数の増加に拍車がかかっている。 WHO のテドロス・アダノム事務局長は今月 19 日、「世界は新たな、危険な局面に入っている」と警鐘を鳴らした。 中国で感染が広がり始めた今年 1 月から今月 28 日までの先進国と新興・途上国の感染者数の推移を比べると、先進国で 4 月に感染者が急増したのち、新興・途上国でも次第に感染者が増え始め、6 月 9 日に先進国を上回った。 先進国の感染拡大がおだやかになりつつある一方で、新興・途上国では増加傾向が続き、両者の差は広がっている。 1 日当たりの感染者数でも、4 月中旬にピークを迎えた先進国を、新興・途上国が 5 月上旬に上回り、その後も増え続けている。 最近は、世界全体で 1 日当たり約 17 万人前後の感染が新たに確認されており、その約 75% が新興・途上国の人たちだ。 世界全体で見ると、4 月下旬にいったん感染拡大のペースは減速したが、その後は新興・途上国での増加に伴って再び上昇に転じている。 一方、世界全体の死者は先進国が約 31 万人、新興・途上国が約 19 万人で、依然として先進国が上回る。 今のところ新興・途上国の死者数は、感染者数の伸びほどには増えていない。 ただ、最近は先進国の 3 倍超のペースで毎日の死者が出続けており、世界全体でも死者数の増加が再び加速する兆しが見られる。 (高野遼、asahi = 6-29-20) 世界のコロナ感染者、累計 1 千万人超える 最多は米国 新型コロナウイルスの世界の感染者が 28 日、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で累計 1 千万人を超えた。 死者は世界で 50 万人に迫っている。 日本時間 28 日午後 7 時時点の集計によると、感染者数は米国が最多の 251 万人超(全体の 4 分の 1)で、ブラジル約 131 万人、ロシア約 63 万人、インド約 53 万人、英国約 31 万人と続く。 世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム事務局長は 22 日の記者会見で、いったん封じ込めに成功した国で社会・経済活動の再開に伴って感染の増加が見られると指摘していた。 (asahi = 6-28-20) ◇ ◇ ◇ 中南米のコロナ死者 10 万人突破 世界全体の 2 割に相当 米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、新型コロナウイルスによる中南米の死者数が 23 日、10 万人を超えた。 世界全体の死者約 48 万人の 2 割に相当する。 人工呼吸器などが不足し、重症化した人が助からないケースが多いとみられる。 集計では、23 日時点の中南米の感染者数は 216 万 461 人、死者は 10 万 421 人。 3 週間あまりで感染者が 115 万人近く増えた。 「新たな震源地」では、感染拡大に歯止めが利いていない状況が続く。 23 日時点の国別の死者数は、ブラジル 5 万 2.645 人、メキシコ 2 万 3,377 人、ペルー 8,404 人、チリ 4,505 人、エクアドル 4,274 人など。 人口 100 万人あたりの死者数で見ると、2 週間前はエクアドルだけが 200 人を超えていた。 だが、23 日時点ではブラジル 251 人(11 日時点は 189 人)、メキシコ 185 人(同 121 人)、ペルー 262 人(同 184 人)、チリ 240 人(同 132 人)、エクアドル 250 人(同 217 人)と、増えている。 ペルーでは、外出禁止の発令から 100 日を過ぎた。 だが、経済的に追い詰められた人たちが商売を再開するなどし、事実上、外出禁止令が機能しておらず、感染が拡大。 重症者が十分な治療を受けられない地域もあり、死者の増加につながっているという。 (サンパウロ = 岡田玄、asahi = 6-25-20) 新型コロナの感染者急増、来週 1 千万人に WHO が予測 世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム事務局長は 24 日の記者会見で、WHO に報告される新型コロナウイルスの感染者数が来週には累積で 1 千万人に達するとの見通しを示した。 また、感染者が急増しているため、治療で酸素を必要とする患者のための医療用酸素濃縮器の供給が追いつかなくなっていると述べた。 米ジョンズ・ホプキンス大の集計では、日本時間 25 日午前で世界の感染者は累計 930 万人を超えている。 テドロス氏は感染者数について「最初の 1 カ月に報告されたのは 1 万以下だったが、この 1 カ月は 400 万近くに上った」と急速な拡大に触れ、ウイルスを封じ込めて人命を救うために最大限の努力を呼びかけた。 その対策の一つとなる酸素吸入を伴う治療について、週 100 万人規模で感染者が増えている現状では、世界で 1 日に大型の酸素ボンベ 8 万 8 千本分が必要だとする推定を報告。 酸素濃縮器を最も必要とする国に供給するため、他の国連機関や製造業者と協力して支援に取り組むとした。 (ウィーン = 吉武祐、asahi = 6-25-20) |