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優等生シンガポールの感染者数が「東南アジア最悪」に転じた理由

<大規模な濃厚接触者の追跡など、新型コロナ対策の手本とされてきたシンガポールの感染者数が東南アジア最多に。 新規感染者の多くは、当局が無視してきた外国人出稼ぎ労働者だ。>

東アジアと東南アジアの一部の国は 3 月まで、新型コロナウイルス対策の手本と見なされていた。 特にシンガポールと台湾は、パンデミック(世界的な大流行)の震源地だった中国と経済的・地理的・文化的に深いつながりがありながら、新型コロナの感染爆発をうまく防いでいた。 いくつかの国はその後も健闘中だ。 台湾で確認された感染者数は 4 月 25 日時点で、わずか 429 人。 ロックダウン(都市封鎖)も回避している。 3 月初旬に感染率が危険なレベルに達していた韓国でも、ウイルスの抑え込みに成功した。

だがシンガポールでは、3 月 23 日には 510 人未満だった感染者数が現在は 1 万 2,000 人を突破。 東南アジアで最悪の数字を記録している。 当局は大規模な濃厚接触者の追跡など、早くから新型コロナ対策を打ち出していたが、盲点が 1 つあった。 人口 580 万の都市国家シンガポールに 100 万人以上いる外国人の出稼ぎ労働者だ。

南アジアの出身者が大半を占める低賃金の外国人労働者は、郊外の宿舎に密集して暮らしている場合が多い。 人権活動家は早くから、彼らの存在を無視する当局の姿勢を懸念していた。 NPO の「出稼ぎ労働者にも権利を (TWC2)」は 3 月の時点で、「社会的距離」を保てない宿舎で爆発的な感染拡大が起きかねないと警告を発していた。

多くの外国人労働者は 1 部屋につき 12 - 20 人が 2 段ベッドで眠り、毎日トラックの荷台に詰め込まれて仕事場へ向かう。 共用の浴室に石鹸がなかったり、シャワーやトイレに十分な水がなかったりすることが多いと、彼らは英ガーディアン紙に語っている。 さらに TWC2 は、外国人労働者は病気を訴えたり、医療の助けを求めたりしづらい環境に置かれているとも指摘する。

ここ数週間、新型コロナが外国人労働者の宿舎に次々と広がり、当局は感染拡大を制御できなくなった。 保健省は 4 月 22 日、新規感染者 1,037 人のうち 982 人が外国人労働者だったと発表した。 全症例の約 80% は外国人宿舎が発生源とされる。 「外国人労働者を意図的に『不可視化』してきた結果だ。 国家全体が、まるで彼らは存在しないかのように扱っている。」と、TWC2 のアレックス・アウはワシントン・ポスト紙に語った。

シンガポールは少なくとも 6 月 1 日までロックダウン措置を延長。 ほとんどの職場を閉鎖させ、スーパーマーケットでの買い物を制限している。 ガーディアンによれば、当局は必要不可欠な職種の労働者など 7,000 人を外国人宿舎から移動させたが、まだ約 29 万 3,000 人が残っている。 当局は 21 日、外国人宿舎の隔離を発表。 労働者が適切なケアを受けられるように医療施設と専門クリニックの設置を進めていると述べた。 「結果が出るまで多少時間がかかる。 宿舎での感染拡大がもうしばらく続くことを覚悟しなければならない。」と、リー・シェンロン首相はフェイスブックで述べた。

シンガポールの現状は、パンデミックの際に疎外された人々を無視したらどうなるかを示唆している。 積極的な濃厚接触者の追跡、広範な検査、しっかりした医療制度、厳格な隔離措置を実行できる効率的な政府 - - この国の新型コロナ対策は、他国から見たら羨ましくて仕方がない。 それでも社会的弱者への目配りを欠いた状態では、十分な効果を発揮できない。 (クロエ・ハダバス、NewsWeek = 4-27-20)


NY 市、消毒液の事故急増 トランプ氏の発言誘発か

トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染症の治療法として「消毒液の体内注射」を唱えた直後、ニューヨーク市の窓口に消毒液を含めた化学物質による家庭内事故の相談が急増したことが分かった。 市当局が 25 日発表した。 大統領の主張を受け、住民が消毒液を体内に取り込むなどしたとみられる。 地元メディアによると、大統領発言があった 23 日から翌日の計 18 時間に、市当局に 30 件の相談があった。 前年同期比で倍以上だった。 消毒液のメーカーは、消毒液を注射したり飲んだりしないよう呼び掛けている。 (kyodo = 4-26-20)

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トランプ大統領、コロナウイルス対策に光の体内照射や消毒液の注射を提案 (* ダメです)

米国のトランプ大統領は 23 日、記者会見のなかで、新型コロナウイルス対策として(漂白剤やイソプロパノールなどの)消毒液の注射と、「紫外線または強力な光」を人体に照射し肺など体内のウイルスを破壊する案について発言しました。 この発言は連邦政府による新型コロナウイルス対策への取り組みとして、国土安全保障省 (DHS) の科学技術担当官が日光や気温・湿度などの環境が及ぼす影響と、家庭用の漂白剤や消毒用アルコールなどの効果について説明した際、大統領が補足あるいは提案としてコメントしたもの。

DHS は 3 月より、新型コロナウイルスはどのような環境で不活性化するのか、感染を抑止できるのかについて実証実験を進めており、23 日の会見ではビル・ブライアン次官がこの結果について発表しました。 そちらの内容は、唾液中の新型コロナウイルスを様々な温度・湿度や太陽光あり・なしの環境に置いたところ、たとえば摂氏 21 度から 24 度で湿度 20%、日光なしでは半減期が 18 時間だったのに対し、同じ温度で高湿度 (80%) の場合は 6 時間、さらに夏の日光(に相当する紫外線)ありでは 2 分間だったなど。

また一般的に家庭で使われる漂白剤や消毒用アルコール(イソプロパノール)でも、短時間でモノの表面についたウイルスを不活性化できたことを示し、米国民が日常の中でできる対策について説明しました。

トランプ大統領の発言はこの発表のあと。 用意された原稿ではなく、おそらくいつものようにその場で思いついたか思い出したことを口にしたらしく、口語的に不明瞭な部分もありますが、流れと大意としては「紫外線や、あるいはただの強烈な光を体内に当てる、皮膚の上からか、何か他の方法かはわからないが、そうしたことはまだ未確認だそうだが、テストしてみるべきだと(担当者に)伝えた。 どうなるか興味深い。」

また「消毒液 (disinfectant) は、わずか 1 分でそれ(ウイルス)をやっつける。 注射か何かで体内に入れるやり方がないだろうか。 クリーニングのような。肺に入ってすごい数になるからだ。 なので、(消毒液の注入は)検討に値するだろう。 (試験には)医者が必要になるだろうが、試す価値があると思っている。」 この会見には、米政府の新型コロナウイルス対策チームに所属する調整官で、従来から米国の状況や対策について表に立って説明してきたデボラ・バークス医師も同席しています。 大統領が「強烈な光の照射で体内のウイルスを破壊」、「消毒液を注射」案を発言中のバークス医師の反応はこちら。

バークス医師はこの後、大統領に「熱や光を使ったコロナウイルスの治療について聞いたことはあるか」と問われ、人体が発熱するのは感染症に対応するためだが、治療法として熱や光を使った例は知らないと回答しています。 DHS のブライアン次官はこの後の記者の質問に対して、紫外線の体内照射実験等は予定していないと答えました。 この大統領発言を受けて、政府機関を含む医療関係者や公衆衛生関係者からは、「漂白剤や消毒液を飲んだり、吸引したり、体内に注入するのは危険なので決してやらないように」、「主に自殺に使われる方法」といった反応や呼びかけが続いています。

米国 CDC (疾病管理予防センター)が 4 月 20 日に発表した報告書によれば、2020 年 1 - 3月には、洗剤や消毒液関連の健康被害報告が前年同期比で 20% から 16% 増加しました。 こちらはおそらく新型コロナウイルスのニュースで予防意識が高まりそうした製品が多く使われるようになったためと推測されています。 トランプ大統領の発言はあくまで専門家に対して自分のアイデアを試してみるよう伝えたとの内容であって、国民に対する自家療法アドバイスではありませんが、不安のあまり消毒液を直飲みしたり吸い込んで病院に運ばれるかたが増えないことを祈るばかりです。 (Ittousai、engadget = 4-24-20)


新型コロナ死者、米で 5 万人超 全世界で 20 万人に迫る

【ニューヨーク = 野村優子】 米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、米東部時間 22 日午後 2 時 30 分(日本時間 23 日午前 3 時 30 分)時点の新型コロナウイルスの感染者数は世界で 278 万人に達した。 もっとも感染者が多い米国では死者が 5 万人を超え、全世界の死者数も 20 万人に迫っている。

米カリフォルニア州ロサンゼルス郡は 24 日までに、新型コロナウイルス感染症が郡内で最も多い死因になったことを明らかにした。 直近 2 週間は 1 日あたり 44 人が亡くなっており、インフルエンザや心臓病による死者を上回るという。 保健当局のバーバラ・フェレール氏は「ウイルスの拡散を抑える必要がある」と話し、家にとどまるよう呼びかけた。 一方、感染者数は米国が最多で 88 万人、スペインが 21 万人、イタリアが 19 万人と続いた。

米国で最も感染者数が多いニューヨーク州では、感染のピークを越える兆しが出ている。 23 日の死者数は 422 人となり、3 日連続で減少した。 入院者数もここ 1 週間にわたり減少傾向が続いている。 ニューヨーク州のクオモ知事は 24 日の記者会見で「いま事を急いで(経済活動を)再開すれば、経験してきた以上の急激な感染者数の増加につながる」と述べ、経済活動の再開は慎重に進めていく考えを明らかにした。 また、11 月の米大統領選については州の住民が投票所に行かなくて済むように、不在投票の申請書を送るように事務当局に指示した。

欧州ではスペインでも死者数の増加ペースが鈍っている。 スペインでは 24 日、1 日あたりの死者数が367人と約1カ月ぶりの低水準となった。スペイン政府の報道官は「社会全体の努力により、新型コロナにおける最も困難な局面を克服した」と語った。 (nikkei = 4-25-20)


米国人の 7 割「経済より安全を優先すべき」と回答、世論調査

米国人の大半は、経済活動の再開が時期尚早だと考えていることが CBS ニュースと調査企業 YouGov が実施した世論調査で明らかになった。 ジョージア州やテネシー州、サウスキャロライナ州の州知事らは間もなく、新型コロナウイルスの感染拡大により発令した外出制限を緩和しようとしているが、これに反発する声のほうが多い模様だ。 4 月 23 日に公開されたデータで、「米国政府は経済活動の再開を優先すべきだ」と答えたのは回答者全体の 30% にとどまっていた。 一方で、全体の 70% は「政府は感染拡大を抑えることを優先すべきだ」と回答した。

人々の意見は支持政党によって異なっている。 民主党支持者の 91% が公衆衛生に注力すべきだと答えた一方で、共和党支持者の 52% が経済を優先すべきだと答えた。 ジョージア州知事の Brian Kemp (共和党)は、4 月 27 日から外出制限を緩和し、レストランでの食事の提供を許可しようとしている。 仕事のために外出するのを好ましいと考えているのは、全体の半数以下の 44% だった。 大規模なイベントに出かけたいと答えた人々はさらに少数派の 13% %だった。 しかし、友人に会うために外出したいと答えた人々は、全体の 54% に及んでいた。

カリフォルニア州やミシガン州では、外出禁止令に反発するデモも起きている。 しかし、これらのデモは注目度が高い割に、さほど支持されていない模様だ。 今回の調査に答えた人々で、デモを支持すると答えたのは全体の 25% 以下だった。 トランプは当初、ジョージア州の経済活動再開への動きを支持していたが、その姿勢を改め、4 月 22 日の記者会見ではケンプ知事の計画を批判した。 フロリダ州知事のロン・デサンティスも、隣接する州に歩調を合わせていくと発言したが、現在でも態度を決めかねている。 フロリダ州では 2 万 8,000 人以上の新型コロナウイルスの感染者が報告されており、南部では最多の州となっている。

4 月 22 日に公開されたキニピアック大学の調査で、月末までにフロリダ州が外出制限を緩和すべきだと回答したのは、全体のわずか 22% にとどまっていた。 デサンティスは先週、フロリダ州の外出制限を緩和したが、その結果ビーチには多数の人々が詰めかけ、強い非難を浴びていた。 (Forbes = 4-25-20)


「まるで警察国家」豪州、アジア、コロナで強権化に拍車

新型コロナウイルスの感染拡大は、権力側が強硬な姿勢に拍車をかけ、国民への干渉を強める格好の口実となりつつある。 その舞台の一つがアジアで、国際的な人権団体がカンボジアやフィリピンなどの状況に懸念を示した。 一方、オーストラリア国内で出ているのは厳しい規制に伴う「警察国家化」を懸念する声だ。

不安つぶやいた 14 歳少女を逮捕

「非常事態が宣言される可能性は、0.1% しかない。」 カンボジアのフン・セン首相は 7 日の記者会見でそう述べた後、付け加えた。 「それでも、我々はこの法律を手にしておく必要がある。」 新型コロナの感染拡大を受け、カンボジア政府は非常事態宣言に向けた法整備を進め、法案は 10 日に下院を全会一致で通過した。 17 日には上院でも承認された。 内容は多岐にわたるが、メディアに対する規制強化や無制限の通信傍受など、表現の自由や人権に関わる条項が含まれている。

宣言の対象は、新型コロナのような公衆衛生上の事態に限らない。 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ (HRW) のフィル・ロバートソン氏は「カンボジア政府は危機を利用して、フン・セン首相の権力を絶対的なものにしようとしている」と指摘する。 兆しはもう現れている。 HRW によると、カンボジアでは 1 月下旬から今月 9 日までに、新型コロナについて SNS に投稿した 23 人が「フェイクニュース」などを理由に逮捕された。 14 歳の少女もいて、学校で感染者が出たとのうわさへの不安をつぶやいたことが理由だった。

7 日には、フン・セン首相の「バイクタクシーの運転手はお金がなければバイクを売れ。 政府に助ける力はない。」という発言をフェイスブックで引用したニュースサイトの記者が逮捕された。 カンボジアでは 2017 年、最高裁が当時の最大野党の解党を命令。 背後にはフン・セン首相の意向があったとされ、翌年の総選挙では首相の与党が下院の全議席を独占した。 コロナ関連の逮捕者にはこの野党の元メンバーや支持者らもおり、「コロナの政治利用」との批判が出ている。

外出禁止を破った若者、犬のオリに

フィリピンでは、ドゥテルテ大統領の 1 日の発言が波紋を呼んだ。 「警察と軍への指示は、もしトラブルが起き、彼らが反撃してきて命の危険があるなら、射殺しても構わないということだ。」 この日、マニラ首都圏で生活困窮者らが食料援助などを求めて抗議集会を開催。 21 人が逮捕されており、この件が念頭にあったとみられている。 フィリピンではマニラ首都圏を含むルソン島全域で自宅待機などを求める「封鎖」が続き、全土に非常事態も宣言された。 その中で低所得層を中心に、政府の支援が不十分との不満が高まっているという。

政権は様々な動きを力で封じ込めようとしているとみられ、2 日には検問所で「酔って役人を刃物で脅した」とされる男性が、警察官に射殺される事件も起きた。 外出禁止を破った若者らが犬のオリに入れられたケースも報告され、人権団体からは強権的な対応への批判が上がっている。 ドゥテルテ氏は強硬な麻薬犯罪の取り締まりでも多くの死者を出し、国際社会から非難されてきた。

このほかの国でも、新型コロナに関連したメディアへの圧力や規制への懸念が指摘されている。 国際 NGO 「国境なき記者団(本部・パリ)」によると、ミャンマー政府は新型コロナに関する「フェイクニュースを流した」として、221 のウェブサイトを一方的に遮断。 インドでは、外出が禁止されているインドの貧困層の暮らしを報じた記事に対し、地方政府が検閲を試みたという。 「コロナ危機」は、非常事態の下における人権や自由のあり方を、改めて問いかけている。(ハノイ = 宋光祐、バンコク = 貝瀬秋彦)

豪州も「まるで警察国家」

豪州では、外出への厳しい取り締まりが続いている。 警察官の巡回や市民からの通報がもとになっており、「まるで警察国家」と嘆く声も聞かれる。 政府は感染拡大を防ぐため「不要な外出」をしないよう求め、「他人と集まる場合は自分も含めて 2 人まで」との規定もある。 違反があれば、各州が州法に基づいて罰則を科す。 「家にいるのに飽きたから。」 シドニーのあるニューサウスウェールズ (NSW) 州では 5 日、車で外出した理由を警察官から問われ、こう答えた男女が罰金を科せられた。

同州では悪質な場合は逮捕、起訴され、最大で 1 万 1 千豪ドル(約 73 万円)の罰金と禁錮 6 年に。 州警察長官は「ルールを守らない人にはあらゆる権限を行使する」と警告し、15 日までに逮捕、起訴が 66 件、その場で罰金を取ったケースは 560 件にのぼる。 NSW 州の次に感染者が多いビクトリア州(州都メルボルン)では、州警察が 15 日までに 2 万 1,700 件以上をチェックし、約 1,300 件で罰金を科した。 両州の摘発例には、通常なら生活の一部とも言える「7 人がある家でパーティーをしていた」、「同居していない 3 人が居間でビデオゲームをしていた」といったケースまである。

人の行動に過剰に目を光らせる状況に、普段は当局に肯定的な保守系のオーストラリアン紙も、コラムで「警察国家のような傾向を深く懸念する」とした。 (シドニー = 小暮哲夫、asahi = 4-24-20)


新型コロナ感染、世界で 250 万人超え 米が最多 81 万人

【ニューヨーク = 大島有美子】 米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、米東部時間 21 日午後 5 時(日本時間 22 日午前 6 時)時点の新型コロナウイルスの感染者数は世界で 250 万人を超えた。 米国が最多で 81 万人、スペインが 20 万人、イタリアが 18 万人と続いた。 世界の死者数は 17 万 5 千人超となった。 国別の感染者数ではイラン(8 万 5 千人)が中国(8 万 4 千人)を抜き、8 カ国が中国を上回っている。

米国の中で感染が最も深刻な東部ニューヨーク州の感染者数は 25 万人超となった。 同州のクオモ知事は 21 日の記者会見で、新規の入院患者数や人工呼吸器を挿管される件数が減少する傾向は続いていると明らかにした。

経済の再開については州の地域ごとに「感染拡大の動向が全く異なる」として、地域ごとに細かく判断していく方針を示した。 病院についてもコロナ患者が減少し余力の出た地域などで、部分的に急ぎでない治療や手術を認めていくと明らかにした。 ニューヨーク市など感染が深刻な地域は対象に含めない。 ニューヨーク市のデブラシオ市長は「まだ経済を再開できるような状況ではなく、気を緩めてはいけない」と述べた。

米国では州と市で経済再開に向けた温度差が生じ始めている。 カリフォルニア州では 20 日、南部リバーサイド郡がゴルフ場の営業再開を認めるなど地域ごとに外出規制の緩和に向けた動きが始まっている。 同州のニューサム知事は 21 日の記者会見で緩和を求める一部市民の動きに理解を示す一方、「規制が効果を上げて入院患者数などの増加を抑えられているが、緩和を急ぎすぎると数値が跳ね上がる恐れがある」と述べ、自治体などに慎重な対応を促した。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、ジョージア州でもケンプ知事がジムや美容院など一部の業種の営業を再開させたい意向を示していた。 だが州内の市長は再開に反対し、市の権限で外出制限を続けている。 クオモ氏は 21 日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談し、検査体制の充実や資金面での協力を求めたとみられる。 クオモ氏は会談後、米メディアに、「(会談は)とても意味あるものだった」と振り返った。 トランプ氏も記者会見で「生産的な会合だった」と語った。 (nikkei = 4-22-20)


イタリアの感染者数、初の減少 集団感染確認以降

イタリア政府は 20 日、国内の新型コロナウイルスの同日現在の感染者が 10 万 8,237 人となり、前日より 20 人減った、と発表した。 同国の「日ごとの感染者数」が前日より減るのは、集団感染が確認された 2 月下旬以降、初めて。

発表によると、20 日に新たに国内で確認された新規感染者は 2,256 人。 これに対し、回復した人は 1,822 人、死者は 454 人で、計 2,276 人だった。 回復者と死者の増加の合計が新規の感染者数を初めて上回ったため、日ごとの感染者数が減少する形となった。 累計では感染者が 18 万 1,228 人、回復者が 4 万 8,877 人、死者が 2 万 4,114 人という。 集中治療室にいる人は 2,573 人で、今月 4 日以来、減り続けている。 感染拡大のピークを過ぎたことを受け、政府は外出禁止令の期限となっている 5 月 3 日以降について、規制の段階的な緩和を検討している。 (ローマ = 河原田慎一、asahi = 4-21-20)


ドイツのオクトーバーフェストも中止 「リスク高すぎ」

ドイツで毎年秋に開かれる世界最大規模のビール祭り「オクトーバーフェスト(10 月祭)」が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中止となった。 南部バイエルン州のゼーダー州首相は 21 日の記者会見で、「参加者の距離を保つことができず、リスクが高すぎる。 信じられないほど残念だ。」と述べた。

1810 年に始まったオクトーバーフェストは、約 2 週間で世界中から約 600 万人の集客がある。 ミュンヘンにある 42 ヘクタールの広大な敷地に巨大テントを建て、民族衣装で着飾った人たちがビールを飲み、歌ったり踊ったりして楽しむ。 今年は 9 月 19 日 - 10 月 4 日の予定だった。 関連消費で地元経済には約 12 億ユーロ(約 1,395 億円)の経済効果が期待されていた。

過去には 2 度の世界大戦や1854 年と 73 年のコレラの流行などで中止された。 ドイツでの新型コロナウイルスの感染者は 21 日時点で約 14 万 7 千人、死者数は約 4,800 人。 バイエルン州は感染者数と死者数が最も多い。 1 カ月以上の行動制限を経て感染ペースは落ちているが、店舗再開など規制の緩和は慎重に進められている。 (ベルリン = 野島淳、asahi = 4-21-20)


新型コロナ、世界の感染者 240 万人弱 欧州の死者 10 万人

【ニューヨーク = 中山修志】 米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、新型コロナウイルスの世界の感染者数は米東部時間 19 日午後 4 時(日本時間 20 日午前 5 時)時点で 238 万人を超えた。 死者数は約 16 万 5 千人と前日から約 7 千人増加した。 欧州では死者数の合計が 10 万人を超えた。 欧州の死者数はイタリアが 2 万 3 千人超と最も多く、スペイン、フランス、英国が続く。 イタリアやスペインでは外出制限の緩和や経済活動の再開に向けた議論が進むが、感染者数と死者数は高止まりしている。 英国の死者数の増加も目立つ。

感染者数が約 74 万 6 千人に達した米国では、ニューヨーク市のデブラシオ市長が「市や州を救うにはもっと検査キットが必要だ」とトランプ政権の支援不足に不満を示し、「大統領はニューヨーク市に野垂れ死ねと言うのか」と突き上げた。 感染経路のひとつとされる地下鉄の閉鎖については「必要不可欠な従業員には代替の交通手段がない」と慎重な考えを示し、「最終的には州が判断する」と述べた。 (nikkei = 4-20-20)


世界の死者 15 万人に 1 週間で 5 万人増 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染による世界の死者が日本時間の 18 日、15 万人を超えた。 米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターが集計した。 1 週間で 5 万人増えており、増加のペースが速まっている。 感染者数は累計で 223 万人を超えた。 同センターによると、世界の死者は同日午前 8 時時点で 15 万 3,379 人に上っている。 死者が 5 万人を超えたのは今月 3 日。 8 日後の 11 日に 10 万人に達し、それから 7 日間で 15 万人を超えた。 死者が最も多いのは米国(3 万 6,727 人)で、次いでイタリア(2 万 2,745 人)、スペイン(1 万 9,631 人)、フランス(1 万 8,703 人)が続いている。

ロイター通信などによると、フランスは直近 24 時間で死者が 761 人増えたが、増加ペースは 2 日間連続で鈍化。 イタリアも 575 人増えたが、3 月末ごろのピーク時に比べるとペースは落ちており、欧州の複数の国で安定の兆しもある。 一方、アフリカでは死者の合計が千人に達し、アルジェリアやエジプトを中心に広がりを見せている。 感染者数は米国が 69 万 9 千人超で、世界全体の約 3 割を占める。 AFP 通信の集計では、欧州の合計は約 110 万人で、世界の半数近くに上っている。 (大部俊哉、asahi = 4-18-20)


帰れない日本人なお 400 人 国境が封鎖、直行便もなく

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、海外からの帰国を希望しながら実現していない日本人がいる。 日本への直行便がなかったり、国境が封鎖されたりして帰国のメドがたたない人は 400 人。 外務省は現地政府や航空会社に働きかけているが、容易ではない。 成田空港に 13 日夜、日本人 110 人を乗せた民間チャーター機がパキスタンから到着した。 機体整備で出発が遅れ、天候不良も重なり、予定の倍近い 20 時間かかった。 乗客によると、寝不足と揺れで具合が悪くなる人も出た。 乗務員は防護服姿で、機内感染の不安もよぎり、声を掛け合える雰囲気でもなかったという。

この便を利用した高垣絵里さん (45) は、開発援助コンサルタントとして 10 年近くパキスタンの農村や女性を支援してきた。 貫いてきた現場主義と医療態勢への不安との間で悩んだ。 これを逃すと当面帰国できなくなるリスクが待っていた。 「空港で母の顔を見た途端、緊張の糸が切れたように脱力しました。 これから 2 週間、自宅にこもります。」 パキスタン政府が国際線の定期便の運航を止めたのは 3 月中旬。 国外からの感染拡大を防ぐためだったが、感染者は 6 千人を超え、医療従事者の感染も相次ぐ。

日系の駐在員や旅行者が出国手段を失うなか、現地の日本人会や大使館が地元のパキスタン国際航空に直談判し、離着陸の許可を取った。 運賃は普段より割高の 1 人約 2,900 ドル(約 31 万円)だった。 医療態勢が脆弱な国が多いアフリカでは、各国に滞在している日本人に対して日本の外務省が 3 月 31 日、帰国を促した。 欧米などに比べて感染者数は少ないものの、「今後、感染が急速に拡大する可能性も否定できない」という理由だ。 しかし、アフリカ連合によると、5 日の時点で約 50 カ国が国境の封鎖や国際線の運航を停止し、日本に帰りそびれた旅行者や駐在員も少なくない。

ケニアの日本大使館は、18 日に首都ナイロビから成田へ向かうチャーター便の運航を調整中だ。 運賃は 3 千ドル前後を想定している。 国内は新型コロナウイルスの治療で使える集中治療室 (ICU) のベッド数が限られる一方、外出制限が長引くと、暴動が発生する恐れもあると懸念する。 医療体制が比較的整っている南アフリカでも、今月 22 - 23 日ごろに運航するチャーター便で約 100 人が帰国する予定だ。 成田行きの運賃は 1 人当たり 5 千ドル(約 54 万円)前後になる。 駐在員の一人は「運賃や南アと日本の感染状況を見ながら、現時点では残る判断をした」と打ち明けた。

在セネガル日本大使館が管轄する周辺国には、滞在している邦人数が少なく、チャーター便の調整が難しい国もある。 このため米国やフランスに協力を依頼しているという。 (バンコク = 乗京真知、ヨハネスブルク = 石原孝)

「難しいのは、数人しかいない国」

海外にいる日本人の帰国は外務省が支援している。 外務省設置法では「海外における邦人の生命および身体の保護」を任務と定められており、中国・武漢が新型コロナウイルスの感染拡大で「封鎖」された際は、1 - 2 月にかけて 5 回にわたってチャーター機を派遣。 中国籍の配偶者らも含め計 828 人を帰国させた。 茂木敏充外相は 14 日の記者会見で、同日午前 0 時現在、海外から帰国を希望する日本人は約 60 カ国に 2 千人いると明らかにした。 このうち 1,600 人は帰国するメドがたったが、400 人は帰国する手段が見いだせていない。

外務省はこれまで邦人が滞在する国の政府や航空会社に臨時便や民間チャーター機を働きかけた。 その結果、ペルーやウズベキスタン、インド、バングラデシュ、ラオス、ポーランドなど出国が難しかった国々から計 6,400 人の邦人が帰国したという。 費用は自己負担で、搭乗者で頭割りにしているという。 ラオスの場合は日本との直行便がないため、現地の日本大使館がラオス航空に協力を求め、6 日に首都ビエンチャンからチャーター機で 113 人が帰国した。 外務省幹部は「ゼロからの調整で手間と時間がかかった」と明かす。

第三国のチャーター機に乗せてもらったケースもある。 ケニアからは韓国政府が手配したチャーター機に約 50 人の日本人を同乗させてもらった。 その後、カタールを経由し、日本に戻ることができた。 ポーランド政府は日本にいる自国民を帰国させるため、チャーター機を用意。 現地の日本大使館が掛け合い、このチャーター機が日本に向かう際、同国に滞在していた日本人 147 人を乗せることに成功した。

外務省幹部は「難しいのは、邦人が数人しかいないような国だ」と明かす。 民間航空会社に臨時便を求める際には、それに見合う乗客数が必要となる。 近くの国に陸路で移動して集合してもらったり、チャーター機で何カ国かを回って乗せたりするなどの手法を検討している。 感染が世界的に拡大するなかで帰国希望者は後を絶たない。 すべての邦人を確認することも至難の業だ。 在留届や外務省の海外安全情報サービス「たびレジ」に登録していない旅行者もいるとされる。 連絡先が分からず、大使館のホームページで呼びかけるぐらいしか手がない。

外務省幹部は「後から『やっぱり帰りたい』と希望する邦人が出てくる。 もちろんゼロを目指しているが、増減を繰り返すことになるだろう」と話す。 (北見英城、asahi = 4-16-20)


新型コロナウイルスでメガクラスターの米空母、乗組員で初の死者

新型コロナウイルス感染者が続出した米原子力空母セオドア・ルーズベルトで感染した乗組員 1 人が 13 日、死亡した。 同空母の艦長は、海軍上層部に緊急支援を求めて送った文書が外部に漏洩したことを受けて解任されている。 現役の米軍人が新型コロナ感染症で死亡する初めてのケースとなった。 海軍によると、乗組員は 3 月 30 日に新型コロナ検査で陽性反応が出ており、症状が悪化したことから今月 9 日に集中治療室 (ICU) に移されていた。

マクファーソン海軍長官代行は声明で「戦時と平時、そして新型コロナウイルス感染症という異例の時期に国に奉仕する海兵隊員の献身をはっきりと認識している」と表明し、海軍兵士の努力と安全を支えると述べた。 同空母の乗組員 4,800 人のうち約 12% が新型コロナの陽性反応が出ている。 ある米政府当局者によると、新たに 4 人の乗組員が入院したが、容体は安定している。 また、感染した 585 人のうち、428 人は無症状で、他は症状が出ているという。

同空母のクロージャー艦長は前月末に海軍上層部に宛てた書簡で、空母から大半の兵士らを下船させ、空母を消毒するよう求めた。 書簡の内容がメディアにリークされたことから、艦長は解任され、解任を巡り批判を浴びたモドリー海軍長官代行も前週、辞任した。 海軍は今週、書簡を巡る一連の出来事について調査結果を発表する見通しで、当局者らは、空母の乗組員に英雄視されているクロージャー氏を復帰させる可能性を否定していない。 海軍は艦長の要請に概ね従い、乗組員約 4,000 人を上陸させ、グアムの施設に隔離している。 (Reuters =4-14-20)


英の新型コロナ死者 1 万人超す ジョンソン首相は退院

【ロンドン】 英首相官邸は 12 日、新型コロナウイルスに感染し、ロンドン市内の病院に入院していたジョンソン首相が退院したと発表した。 一時の深刻な状況を脱し、回復した。 ただ医療チームの助言があり、すぐには公務に戻らないという。 一方、英政府は 12 日、新型コロナによる死者が 1 万 612 人に達したと発表した。 感染者は 8 万 4,279 人。 死者が 1 万人を超えたのはイタリア、スペイン、米国、フランスに続いて 5 カ国目。 英国は厳しい外出制限を続けているが、拡大の勢いは止まっていない。

英国では 1 月末に初めて感染者が確認された後、3 月中旬以降に急増。 死者は 3 月 5 日に初めて確認され、同月下旬には千人を超えた。 4 月以降は 1 日に 400 - 900 人規模で増え続けている。 首相官邸によると、退院したジョンソン氏はロンドン郊外の首相別荘にとどまる。 同氏はツイッターで、医療スタッフに対し「命を救ってくれたことへの恩義を表す言葉を探すのが難しい」と謝意を表明した。

ジョンソン氏は 3 月 27 日に感染を公表し、その後も症状が続いたため入院。 一時は病状悪化で集中治療室 (ICU) に移された。 チャールズ皇太子も感染し、その後回復した。 英政府は外出制限を継続するかどうかを近く判断するが、解除は時期尚早との見方が強い。 (kyodo = 4-13-20)


韓国で新型コロナ患者 91 人が再陽性、WHO が調査へ

[ジュネーブ] 世界保健機関 (WHO) は 11 日、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の治療後に陰性となった韓国の患者が、退院前の検査で再び陽性反応を示したとの報告について調査していると明らかにした。 韓国の疾病予防対策センター (KCDC) は 10 日、退院を予定していた 91 人の患者が再び陽性となったと報告。 患者らは再度感染したのではなく、新型ウイルスが「再活性化」した可能性があるとの見方を示した。

WHO はロイターの取材に応じ、新型コロナウイルスへの感染の有無を調べる PCR 検査で「陰性となった数日後、再び陽性となった患者に関する報告があったことを認識している」と回答。 「医療専門家と緊密に連絡を取り合い、個々の症例についてより多くの情報を得るために努力している。 感染の疑いのある患者の検査でサンプルを採取する際には、適切な手順を踏むことが重要だ」と述べた。 さらに「COVID-19 は新しい病気であり、新型コロナウイルスが収まったと判断するには、より多くの疫学的データが必要だ。」とした。 (Reuters = 4-13-20)

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