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台湾、日本の追加供与に「感謝」 コロナワクチン 100 万回分

【台北】 茂木敏充外相が 25 日、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチン約 100 万回分を台湾に追加供与すると表明したことを受け、台湾外交部(外務省)は同日、「政府と国民を代表し、日本に心から感謝する」との報道文を発表した。 日本政府は今月 4 日、124 万回分のアストラ製ワクチンを台湾に無償供与している。 新型コロナ対策の陣頭指揮を執る陳時中・衛生福利部長(厚労相)も 25 日の記者会見で、「とてもうれしい。 ワクチン接種率の向上につながる。」と述べ、日本の支援に謝意を表した。 (jiji = 6-25-21)

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台湾へのワクチン提供、3 倍以上に拡大 米

米政府は 19 日、台湾に向けて新型コロナウイルスワクチン 250 万回分を出荷したと発表した。 これは当初表明していた供給量の 3 倍以上にあたる。 米国務省の報道官がツイートした。 台湾外交部(外務省)は、米モデルナ製ワクチンが現地時間の 20 日夜に到着するとの見通しを示した。 台湾は当初、感染拡大の抑制に成功したケースとして注目を集めたが、最近になって初の大規模な流行に見舞われ、ワクチンの調達を急いでいる。 台湾の人口は約 2,400 万人だが、これまでに接種されたワクチンは 10 万人当たり 6 回分にすぎない。

台湾を領土の一部とみなす中国からは、これまでに何度もワクチン提供の申し出があった。 しかし台湾政府は中国製ワクチンの安全性に疑問を呈し、他国からのワクチン調達を中国が妨害していると主張してきた。 米国は今月 6 日にワクチン 75 万回の提供を約束し、蔡英文(ツァイインウェン)総統が歓迎の意を表した。 この時に米上院議員の一行が米空軍の輸送機で訪台したことに対し、中国が反発を示していた。

蔡氏は 19 日の発表を受け、バイデン米政権と議会からの超党派の支援に感謝するとツイートした。 バイデン大統領は今月、世界の舞台で米国の指導力を発揮するため、米ファイザー製のワクチン 5 億回分を途上国などに寄付すると表明している。 (CNN = 6-20-21)

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米上院議員が台湾訪問 「ワクチン 75 万回分提供」表明

米国の超党派の上院議員 3 人が 6 日、台湾を訪れ、空港で出迎えた蔡英文総統らと会談した。 タミー・ダックワース議員は、米政府が新型コロナウイルスのワクチン 75 万回分を台湾に提供する予定だと説明した。 世界保健機関 (WHO) などが主導する国際的な枠組み「COVAX (コバックス)ファシリティー」を通じた供与になるとみられる。

蔡氏は「米国や日本の支持のもと、台湾がより多くのワクチンを得られることは流行抑止で大きな助けになる」と謝意を表明。 「台湾は米国と協力してインド太平洋の自由と平和を守っている」と話した。 米国在台湾協会(大使館に相当)によると、3 人は台湾側と地域の安全保障についても意見交換したという。 台湾では 5 月以降、新型コロナの流行が拡大し、域内感染者は 4 月末の 87 人から 6 日時点で 1 万 100 人まで急増している。 ワクチン不足も深刻で、日本政府は 4 日、英アストラゼネカ製ワクチン 124 万回分を提供している。 (台北 = 石田耕一郎、asahi = 6-6-21)

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交流協会に花束続々 ワクチン供与「ありがとう日本」 台湾

【台北】 日本から台湾に 4 日、緊急支援の新型コロナウイルスワクチンが届いたことを受け、台北の日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)には、市民からたくさんの花が贈られた。 台湾ではワクチンの無償提供に歓迎ムードが広がっており、花には「ありがとう日本」などと、お礼のメッセージが添えられている。

同事務所によると、4 日夜時点で 16 組から花束やランの鉢植えが届いた。 市議会議員らからの一部を除き、ほとんどが一般市民からで、匿名のものもあった。 同事務所は「花が届くとは全く予想していなかった。 スタッフ一同、感動している。(広報担当者)」と歓迎。 同事務所には、日本への謝礼のメールも多数寄せられた。 地元メディアによると、台北の超高層ビル「台北 101」は、「台日の絆と感謝」と日本語でライトアップし、支援への謝意を発信した。 (jiji = 6-5-21)

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台湾にワクチン、月内提供へ調整 外相「緊急ニーズある」

茂木敏充外相は 3 日の参院外交防衛委員会で、台湾への新型コロナウイルスワクチンの提供について、6 月中の実施を目指して調整していると明らかにした。 「台湾では 7 月以降、生産体制がかなり整ってくる。当面、緊急のニーズがあると認識している」と述べた。 途上国へのワクチン普及を巡る 2 日の首脳級会合で、菅義偉首相が表明した 3 千万回分の現物提供の一部を、台湾に届ける可能性に言及。 「台湾は東日本大震災の際、いち早く義援金を送ってくれた。 困った時は助け合うことが必要だ。」と強調した。 立憲民主党の白真勲氏への答弁。 (kyodo = 6-3-21)

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台湾にワクチン提供、自民部会が要請 政府検討へ アストラゼネカ製

自民党の外交部会などは 28 日の会合で、日本政府が新型コロナウイルスのワクチンを台湾に提供するよう求めた。 英製薬大手アストラゼネカが開発したワクチンの調達分の一部を充てるよう要請した。 台湾はワクチンの調達が進んでいない。 政府は緊急支援策として検討を始める。 佐藤正久外交部会長は会合で外交的な取り組みとして政府に対応を促した。 政府は接種後に健康被害が起きた場合の賠償責任などの課題を整理し、調整を進める。

日本政府は米ファイザーと米モデルナのワクチンで約 2.4 億回分(約 1.2 億人分)を確保している。 アストラゼネカとは 1.2 億回分の供給契約を結んだ。 アストラゼネカのワクチンは 21 日に薬事承認したが、当面は日本国内の公的接種の対象から外す方針だ。 欧州でごくまれに血栓が生じている事例などを勘案した。

自民党外交部会などは 28 日、台湾政策全般をめぐる提言案をとりまとめた。 台湾政策プロジェクトチーム (PT) が作成し、台湾が環太平洋経済連携協定 (TPP) に参加するよう日本政府の働きかけを要求した。 海上交通路(シーレーン)の安定確保や抑止力の向上へ防災や海難救助での日台間の海上保安連携の強化も取り上げた。 台湾との議員外交を促進するため、外交部会長と国防部会長同士の会談の実現にも取り組む。

4 月の日米首脳会談や 5 月の主要 7 カ国 (G7) 外相会合の共同声明は中国が威嚇行動を続ける台湾問題に言及した。 台湾有事があれば半導体の供給が一層滞り、自動車などの主要産業へ甚大な影響を及ぼす恐れがある。 (yomiuri = 5-28-21)


ブラジルで新型コロナウイルスの死者 50 万人に

ブラジルで 19 日、新型コロナウイルスによる死者の数が 50 万人を超えた。 アメリカに次ぐ世界 2 番目の死者数。 ブラジルの感染拡大はワクチン接種の遅れと冬の到来で、さらに悪化するおそれがあると複数の専門家が警告している。 一方、同国のジャイル・ボルソナロ大統領は、社会的距離など感染対策の推進を拒否している。

ブラジルの感染状況は、アマゾン川流域で最初に特定された「ガンマ株」と呼ばれる変異株など、従来株より感染力が高い変異株によって悪化してきた。 先週には、1 日に確認される新規感染者が平均 7 万人だった。 集中治療病床の使用率はほとんどの州で 8 割以上。 一方、国内でワクチン接種を終えている成人は 15% にとどまる。 7 月となり南半球に冬が訪れると、さらに感染状況は悪化すると懸念されている。

ブラジルの研究機関フィオクルス財団は、「市中感染が危機的な状況になる事態に直面している、(中略)冬の到来と共に今後数週間の内にさらに状況が悪化する可能性がる」と指摘している。 ツイッターでは、マルセロ・ケイロガ保健相が、「ブラジルと世界全体に影響するパンデミックで、50 万人の命が失われた」として、亡くなった人たちの「父親、母親、友人、そして親類」と思いは一緒だと書いた。

ブラジルでは死者数の 7 日間平均が今年 3 月以来、1,500 人以上で推移している。 ブラジルの保健規制当局アンビサの元トップ、ゴンザロ・ベシナ氏は、ワクチン接種事業の遅れが多くの死者につながっており、今後もその影響は続くと話した。 「50 万人が亡くなった。 残念ながら、ワクチン接種率を上げるまでまだ時間がかかるので、死者は増え続ける。 今年もまた厳しい 1 年になるかもしれない。 ワクチンがいつ届くか次第だが、そもそもワクチンの購入が非常に遅れた。」と、ベシナ氏は指摘した。

ボルソナロ政権への批判

19 日にはブラジル各地で大勢が抗議集会に参加し、ボルソナロ政権を批判すると共に、ワクチン接種事業の展開を速めるよう要求した。 ブラジルでは多くの自治体が、ワクチン不足に苦労している。 ボルソナロ大統領は、感染対策のためロックダウンなど厳しい行動制限を実施すれば、経済への打撃はウイルス被害よりひどくなると主張している。 その一方で、複数の国からワクチンを調達するためできる限りのことはしてきたとも繰り返している。

ブラジルの議会は今年 4 月、政府の新型コロナウイルス対策について調査を開始した。 野党は、大統領が政治的な理由からワクチン購入を遅らせたと批判している。 ボルソナロ氏はパンデミック当初から、新型コロナウイルスによる感染症 COVID-19 を「ただの風邪」などとして軽視。 自分が感染した後も、社会的距離の維持やマスク着用の効果に懐疑的な態度を続けている。 (BBC = 6-20-21)


英でコロナ死者ゼロに 昨年 3 月以降初 感染者は再び増

英政府は 1 日、新型コロナウイルスによる 1 日当たりの死者数を「ゼロ」と発表した。 昨年 3 月 8 日以降で初めて。 今年 1 月には死者 1 千人超の日が 3 週間ほど続いたが、ワクチン接種が順調に進む中で大きく改善した。 英政府の死者統計は検査で最初に陽性判定を受けてから 28 日以内に死亡した人が対象。 1 月 9 - 29 日の死者は連日 1 千人を超えていた。

英国では、昨年 12 月からワクチン接種を進めてきたことで、1 回目の接種を終えた人の割合は成人の 74% を、2 回目は 48% を超えている。 ハンコック保健相は 1 日、死者ゼロについて「ワクチンが明らかに効いている」とツイッターに投稿した。 一方、1 日当たりの新規感染者の報告数は、しばらく 1 千 - 2 千人台に下がっていたが、5 月 26 日以降は 7 日連続で 3 千 - 4 千人台。 感染力が強いとみられるインド型の変異株の感染も広がっており、ロックダウン(都市封鎖)の規制を計画通り今月 21 日に撤廃できるか不安視する見方も広がっている。 (ロンドン = 金成隆一、asahi = 6-2-21)


台湾やシンガポールも … コロナ対策の「優等生」に異変

新型コロナウイルス対策の「優等生」とされてきた台湾などで、感染者数が増え始めている。 変異株の広がりが背景にあるとみられ、絶対数は低いものの、食料品などの買いだめ騒ぎも起きている。 政府は規制強化に踏み切ったが、封じ込めの難しさが改めて浮き彫りになった。

台湾では 16 日、域内感染が新たに 206 人確認され、累計で計 550 人になった。 空港など入境時の確認を合わせた総感染者 1,682 人(死者 12 人)の約 3 分の 1 を占める。 先月までは約 9 割が空港などで見つかっていたが、この 5 日間で域内感染が急増した。 今回の流行の引き金は、国際線パイロットが感染した英国型の変異株だ。 パイロットは入境後の隔離期間(14 日間)が特例で 3 日間とされ、同僚やホテル関係者への感染が急拡大。 その後、ゲームセンターや女性が接待する飲食店などでも集団感染が起きた。

蔡英文(ツァイインウェン)政権は、感染源がわからない人数などをもとに定めた社会活動の制限レベルを、11 日に下から 2 番目に上げ、15 日には台北市と近郊の新北市でさらに一つ引き上げた。 両市では、外出時にマスク着用が義務づけられ、勧告に従わない場合は最高 1 万 5 千台湾ドル(約 5 万 7 千円)が科される。 また、不急の外出自粛も求め、室外で 10 人以上、室内でも 5 人以上の集いを禁止。 飲食店やコンビニには来店者の名前や電話番号を記録するよう求めた。

多くの人が自宅で過ごしているとみられ、台北の主要駅や観光地は 16 日、閑散としていた。 タクシー運転手の男性 (64) は 16 日昼、「15 日午後 7 時から勤務しているが、稼げたのはたった 500 元(約 1,900 円)。 感染拡大で商売あがったりだ。」と嘆いた。 一方で、ここ数日は、一部の人々による食料やトイレットペーパー、ゴミ袋などの買いだめが起きている。 台北の理髪店員の女性 (42) は「小麦粉と缶詰を買った。 台湾は重症急性呼吸器症候群 (SARS) に襲われた経験があり、万一に備えた。」と話した。

当局によるワクチン調達が遅れていることも社会の警戒感が強まる一因だ。 接種数は 15 日時点で人口約 2,350 万人のうち約 18 万 6 千人にとどまる。 蔡総統は 12 日以降、相次いで記者会見やフェイスブックで声明を発表。 生活物資が不足していないと訴え、7 月末には台湾が開発中のワクチンを供給できるとの見通しを説明。 人々に冷静になるよう呼びかけている。 (台北 = 石田耕一郎)

厳しい管理のシンガポール、それでも

シンガポールでは、昨年 10 月 - 今年 4 月中旬、1 日の国内での新規感染はゼロから数件だった。 ところが 4 月末から数十人規模の集団感染が発生。 特にチャンギ空港では、南アジアなど感染拡大地域からの旅客を受け入れる場所を中心に職員や警備員、清掃員らが感染し、その家族や、空港内の食堂を訪ねていた学生などにも広がり、50 人を超える規模となった。 16 日の新規感染も 38 人。 変異株による感染が多いとみられ、保健当局は「昨年のウイルスとは性質が違う」とみる。

当局が警戒するのが、多人数が食事をともにするような「高リスク環境」。 ウイルスが入りこめば感染が急拡大するとみる。 空港や病院などで、ワクチン接種済みの職員や医師らが感染したことも懸念材料だ。 そこで今月 8 日から個人の集まりの規制が上限 8 人から上限 5 人に強化され、16 日から約 1 カ月は上限 2 人に。 この間は、外食も全面的に禁止された。

「感染が広がるよりはいい。 海外の状況を見ると、仕方がない。」 15 日夜、中心部の飲食店に友人と集まっていた配車サービスの運転手の男性 (52) は肩をすくめた。 シンガポールの感染者数は累計 6 万人余りで、死者は 31 人。 政府の厳しい管理態勢が評価されてきた。 ホテルの部屋から出さない入国後の隔離のほか、集団検査、接触者の追跡なども徹底。 ワクチン接種も 12 月に始め、今月 10 日時点で人口の 2 割強が米ファイザー製か米モデルナ製の 2 回の接種を終えている。

昨年、外国人労働者が集まる集合住宅で感染が急拡大し、住宅を封鎖してウイルスを封じ込めた経験から、いまも労働者らには自由な外出を認めていない。 それでも広がる感染に、国内には「入国規制が後手に回った」との批判もある。 とはいえ、外国から来る建設労働者やメイドが経済を下支えしているシンガポールでは、国境を閉鎖するのは厳しい選択だ。

保健省は 15 日、13 日までの 28 日間に報告された南アジアからの入国者の感染は 271 人で、うち 50.2% が国民や永住者だと発表。 「ウイルスは国民や永住者、労働ビザ保持者、短期滞在者から持ち込まれた可能性がある。 どんな国も国境を完全には閉じられないので、すべての国が直面している課題だ。」との声明を出した。 )シンガポール = 西村宏治、asahi = 5-16-21)


新型コロナの感染急拡大 = 政府、対策レベル引き上げ - 台湾

|【台北】 台湾政府は 15 日、新型コロナウイルスの新規感染者が海外渡航歴のない人だけで 180 人に急増したと発表した。 感染者は台北市と、隣接する新北市に集中しており、政府は両市を対象に感染防止対策のレベルを現行の「2」から「3」に引き上げた。 台湾はこれまで感染拡大を効果的に抑制してきたが、コロナ禍で最大の難局に直面している。 蘇貞昌行政院長(首相)は記者会見で、「国民を守るため、一段と強い対策を打ち出す必要があった」と述べ、感染拡大阻止へ協力を訴えた。

台湾では、接客を伴う台北・万華区の飲食店でクラスターが発生。 15 日の新規感染者のうち、2 割超に当たる 43 人が同区に集中した。 感染者急増の背景には、感染力の強い英国変異株の広がりや、PCR 検査数の増加がある。 対策レベルの強化により、今月 28 日まで屋内では 5 人以上、屋外では 10 人以上の集まりが台北と新北で禁止される。 台湾全土で娯楽施設や映画館などの営業も禁じられる。 市民生活や経済活動が大幅に制限されそうだ。 (jiji = 5-15-21)


ワクチン済めば、屋内もマスクなし OK 米でさらに緩和

米疾病対策センター (CDC) は 13 日、新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人は、屋内でも原則マスクを着用しなくてよいとするようガイドラインを改定した。 これまでは接種を終えても屋内の商業施設などではマスクを着けるよう求めていたが、大幅に緩和した。 対象は米ファイザー製、米モデルナ製なら 2 回、米ジョンソン・エンド・ジョンソン製なら 1 回の接種を終えて 2 週間過ぎた人。 これまでも混雑していない屋外や少人数での屋内の集まりではマスクを着用しなくてよいとしていたが、今回の改定では、基本的に屋内外でマスク着用や人と人との距離をとる必要はないと変更した。

飛行機やバス、列車での移動の際や、病院などでは引き続きマスク着用を求めるという。 米議会や米メディアからはマスク着用のガイドラインを緩和するのが遅いという批判があがっていた。 CDC は緩和の理由について、ワクチンのウイルス感染を防ぐ効果や、変異株に対する効果が、実際に接種した人のデータでより多く確認できるようになってきたためと説明している。 CDC のワレンスキー所長は「誰もがこの瞬間を待ち望んでいた」と語った。 (ワシントン = 合田禄、asahi = 5-14-21)

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米国ワクチン特典ラッシュ 抽選で 1 億円、1 週間乗り放題

「野球観戦チケット贈呈」、「抽選で 100 万ドルが当たる」、「狩猟免許交付します」 - -。 新型コロナワクチンの大量の在庫を確保している米国で、官民挙げて接種率を押し上げようと、あの手この手をくりだしている。 これまでに全米市民の 5 割弱が接種を完了したが、接種数は 4 月中旬をピークに減少傾向が続き、頭打ちになっているためだ。 政府が 7 月までに成人の 7 割接種を目標にするなか、ワクチンはあるのに打たない人への対策が課題になっている。

有給時間休、抽選で 100 万ドル

《無料ワクチン、無料乗車》。 12 日朝、ニューヨーク (NY) 中心部のグランドセントラル駅構内に、そんな横断幕が掲げられた。 コロナ禍以前は 1 日平均 75 万人が利用していた巨大ターミナル駅にこの日、ワクチンの接種会場がオープンした。 16 歳以上の米市民であれば誰でも、1 回の接種で済む米ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを受けることができる。 しかも、同駅など NY の 8 カ所に設けられた駅構内の会場でワクチンを受けると、地下鉄やバスが 1 週間乗り放題になる券(33 ドル = 約 3,600 円)までもらえる。

会社員のミホ・キトさん (45) は通勤前に立ち寄った。 「予約もいらないし、すごく気軽。 周りもどんどん打ってるから、私もそろそろ受けようかなと。」 NY 州では上限 4 時間の「ワクチン有給時間休」が認められており、それも接種の後押しになったという。 NY ではほかにも、動物園や水族館、植物園の入場が無料になったり、大リーグのヤンキースやメッツの観戦チケットがもらえたりと、ワクチン接種の推進策は多岐にわたる。

他の州にも、多様な「ワクチン特典」がある。 オハイオ州は 18 歳以上の接種者 5 人に対し、抽選でそれぞれ 100 万ドル(約 1 億 1 千万円)を贈呈する。 17 歳以下も 5 人を抽選で選び、州立大の学費や寮費をまかなう奨学金を出す。 ウェストバージニア州は若年層の接種率を上げようと、16 - 35 歳の接種者に、100 ドル(約 1 万 1 千円)相当を配布すると知事が発表。 この対象者の 8 割にワクチンを受けてもらい、州全体では接種対象者の 7 割に到達することを目標としているという。

自然豊かなメーン州は、接種者に狩猟や釣りの免許を交付するほか、州内に拠点を置くアウトドアメーカー「LL ビーン」のギフト券 20 ドル分を提供。 ニュージャージー州では醸造所でビール 1 杯、コネティカット州ではレストランでドリンク 1 杯が、それぞれ無料になる。 こうした政策には、外出した市民が地域の経済を潤す狙いもある。 カリフォルニア大ロサンゼルス校 (UCLA) の 3 - 4 月の調査によると、ワクチン未接種者は、お金をもらえるか、マスクの義務化がなくなるという条件があれば、ワクチンを受ける意思が強くなるという傾向がみられたという。 (ニューヨーク = 藤原学思)

ドーナツやビール 企業も動く

企業も顧客に対してさまざまな特典を用意し、接種を促している。 ドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は、ワクチン接種の記録カードを持参すれば、ドーナツ 1 個を無料でプレゼントする取り組みを全米の店舗で始めた。 毎日もらうこともでき、他の商品を買わなくても良い。 年内いっぱい続ける予定だという。 ビールメーカーのサミュエル・アダムスは、接種したことを示す写真をインスタグラムやツイッターに投稿して応募すれば、先着 1 万人にビール 1 杯分にあたる 7 ドルがアプリでもらえるキャンペーンを実施。 マクドナルドも今後、飲み物のカップなどに政府のワクチン情報サイトの案内を載せる取り組みを始める。

顧客だけでなく、従業員に接種を促す取り組みもある。 スーパーなどを展開するクローガーは、接種が完了した従業員に 100 ドルを渡している。 時間給の従業員に対しても、店舗で使える 100 ドル相当の金券を渡して接種を促しているという。 対象は全米で約 50 万人にのぼり、総額 55 億円をかけるという。

小売り大手のターゲットは、現場で働く従業員を対象に 1 回の接種に つき 2 時間、2 回接種をした場合は 4 時間分の給与を支給する。 ペット用品のペトコも、接種が完了した従業員に 75 ドルを支払う。 対象は 2 万 6 千人という。 こうした従業員の接種を促す取り組みは、小売りや飲食など対人サービスの仕事が多い企業で目立つ。 米国では景気が急回復する中でサービス業を中心に人手不足が起きており、感染への恐怖感が理由だと指摘されている。

法律事務所スクワイヤ・パットン・ボグズのメリッサ・リゴー弁護士は従業員の接種を促す取り組みについて、「会社側は生産性を考え、なるべく従業員を現場に戻したいと考える場合が多く、接種促進策を導入している」と背景を指摘する。 そのうえで、「接種はあくまで自主的なもので、接種の有無で差別しないことを明確にしなければならない。 例えば金額があまりに高いと、従業員が強制的な指示だと感じてしまう可能性がある。 注意が必要だ。」と話す。 (ニューヨーク = 真海喬生)

在庫あるのに受ける人減少

米政府がさかんにワクチン接種を促すのは、独立記念日の 7 月 4 日までに成人の 7 割が少なくとも 1 回接種する目標を掲げ、国内を平常に戻すことを目指しているためだ。 米国内ではすでに 2 億 6 千万回以上の新型コロナワクチンが接種された。 65 歳以上の 8 割以上が少なくとも 1 回ワクチンを打ち、すでにすべての 16 歳以上が接種対象になっている。 今年 1 月初めは、多い日でも全米で 1 日 100 万回強の接種回数だったが、どんどん増えて 4 月には 400 万回を超える日も出てきた。 ただ、その後は接種回数が減少し、現在は 1 日 200 万回ほどのペースになっている。

接種回数が減った主な原因は、供給不足ではなく、受ける人の減少だ。 すでに分配されたワクチンは合計で 3 億 3 千万回分を超えているが、2 割強はまだ接種されていない。 米食品医薬品局 (FDA) は 10 日、米製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンの緊急使用許可を 12 歳以上に拡大した。 バイデン氏は 12 日、共和党員の方がワクチン接種に消極的な傾向も踏まえ、「これは民主党か共和党かという問題ではない。 生と死の問題で、できるだけ平常に戻すための問題だ。 12 - 15 歳もワクチンを打ってほしい。」と呼びかけた。

ただ、「成人の 7 割が少なくとも 1 回」を達成しても、免疫をもっていない人にも予防効果が及ぶ「集団免疫」が得られるとは限らない。 ホワイトハウス高官は「集団免疫の問題からはいったん離れたい。 感染して回復した人と接種した人が 70 - 85% になれば到達すると多くの人は言うが、正確な数字は分からない。 だからこそ、できるだけ早く、多くの人に接種することに集中したい。」と話している。 (ワシントン = 合田禄、asahi = 5-13-21)


伊、日本人観光客を隔離なし入国へ ワクチン接種が条件

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外国人観光客の入国を制限していたイタリアは、ワクチンを接種した日本人観光客らに対し、隔離なしに入国を認める方針を固めた。 ドラギ首相が 12 日、国会の答弁で明らかにした。 ANSA 通信によると、ドラギ首相は、日本や米国、カナダからの観光客はワクチンを接種した証明証があれば入国を認めると答弁した。 具体的な受け入れ開始時期については明言しなかった。

イタリアは夏の観光シーズンを前に外国から観光客を呼び込もうと、欧州連合 (EU) 域内国や英国、イスラエルからの来訪客については、ワクチンを接種したり、感染から回復したり、48 時間以内の検査で陰性だったりしたことが証明できる場合、15 日から隔離なしで入国を認める予定だ。 イタリアでは 3 月に新規感染者数が 2 万人を超える日が相次ぎ、政府は 3 月中旬から「イースター(復活祭)」が終わる 4 月上旬まで、多くの州や地域でロックダウン(都市封鎖)を実施した。 ワクチン接種も進み、感染者数は減少傾向にある。 12 日の新規感染者数は 7,852 人。

政府は 4 月 26 日から感染防止策の段階的緩和を始め、観光名所なども相次いで営業を再開した。 北部ミラノにある世界 3 大劇場の一つスカラ座は 10 日から再び開館している。 11 日にはイタリアを代表する世界的指揮者のリッカルド・ムーティ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が出演し、ファンらを魅了した。 (ローマ = 大室一也、asahi = 5-13-21)


インド、コロナ感染が累計 2 千万人超に 初の邦人死者も

新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドで 4 日、新たに 35 万 7,229 人の感染者が確認された。 1 日当たりの新規感染者が 30 万人を超えるのは 13 日連続となり、感染者の累計は米国に次いで 2 千万人を超えた。 在インド日本大使館などによると、首都ニューデリー在住の 40 代の日本人女性が新型コロナに感染し、3 日に亡くなった。 インドで新型コロナによる日本人の死亡が確認されたのは、初めてとみられる。

インドでは、感染者の急拡大で病床や医療用酸素が不足しており、適切な治療を受けられずに亡くなる人が相次いでいる。 各国がインドに医療機器などを送る支援策を発表しているが、厳しい状況は続いている。 今月 1 日には、世界で初めて新規感染者数が 40万人を超えていた。 (ニューデリー = 奈良部健、asahi = 5-4-21)

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インドから帰国後、療養中に男性死亡

厚生労働省は 3 日、インドに滞在歴があり、新型コロナウイルス感染が確認された 50 代男性が、成田空港の検疫所が指定する療養施設で死亡したと発表した。 (kyodo = 5-3-21)

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インド、1 日で 40 万人超が感染 世界最多を更新

インド政府は 1 日、直近の 24 時間の新型コロナウイルスの新規感染者が 40 万 1,993 人になった、と発表した。 40 万人を超えたのは初めてで、1 日の感染者数としては世界最多を更新した。 死者は 3,500 人を超えた。 各地では生活必需品の買い出し以外の外出が禁止されているが、感染拡大が止まらない。 インド政府はこの日、新型コロナのワクチン接種対象を、これまでの 45 歳以上から 18 歳以上に拡大した。 だが、各地でワクチンが不足している。

デリー首都圏政府のケジリワル首相は 4 月 30 日、「まだワクチンが届いていない。 ワクチンのために列をつくって並ばないでほしい。」と訴えた。 接種希望者が大挙して押し寄せて混乱し、感染がさらに拡大する可能性を懸念している。 各地では病床や医療用酸素が不足している。 1 日には、ニューデリーの病院に入院中の新型コロナ患者 12 人が酸素の供給が間に合わず、死亡した。 救急搬送されても治療を受けられず、病院の敷地外で亡くなる患者も相次いで報道されている。 インド西部グジャラート州では同日、新型コロナの専門病院で火災が発生し、入院していた患者 18 人が死亡した。 火災の原因はわかっていない。 (ニューデリー = 奈良部健、asahi = 5-1-21)

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スズキ、インド生産を一時停止へ コロナ急増で酸素不足

【ムンバイ = 花田亮輔】 スズキは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、インドでの四輪生産を一時停止する。 インドでは過去最多のペースで感染が増えており、治療に使う酸素不足が深刻な問題になっている。 インド政府からは工業用の酸素を医療用に回す指示も出ており、取引先からの部品供給などに懸念が出ていた。 スズキ子会社でインド自動車最大手のマルチ・スズキが 28 日、北部ハリヤナ州のグルガオン工場とマネサール工場での生産を 5 月 1 日から 9 日にかけて停止すると発表した。 「現在の状況において酸素は命を救うために使われるべきだと考える(マルチ・スズキ)」として、6 月に予定していた設備のメンテナンスを前倒しするかたちで生産を止める。

同社が 27 日に開いた決算説明会で同社のバルガバ会長は「フル稼働で生産している」と説明したが、先行きについては「何が起こるか誰にも分からない」と明言を避けていた。 同じくスズキの四輪子会社であるスズキ・モーター・グジャラートも、西部グジャラート州の工場を同様に停止するという。 インドにあるスズキの四輪生産が全て止まる。 インドでは足元で新型コロナの感染が急増している。 4 月に入ってからは 1 日あたりの新規感染者数が 30 万人を超え、20 年のピーク時と比べても 3 倍以上の水準となっている。 各地で外出制限が出ているほか、病床や酸素が不足するといった医療体制の危機に直面している。

トヨタ自動車もインドの TKM (トヨタ・キルロスカ・モーター)が南部カルナタカ州の工場について、メンテナンスを理由に 4 月 26 日から 5 月 14 日までの操業停止を発表している。 (nikkei = 4-29-21)

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水と油の核保有国が「敵に塩」 コロナ対策で融和の思惑

パキスタン外務省は 24 日夜、新型コロナウイルスの感染者が急増している隣国インドに対し、人工呼吸器や防護服などの支援を申し出たと発表した。 係争地カシミールの領有をめぐる両国の対立は根深いが、コロナ対策で融和を演出し、将来の外交や貿易の正常化につなげる狙いがある。 パキスタン外務省の発表に先立ち、同国のカーン首相は同日、ツイッターで「感染と闘うインドの人たちに連帯を示したい」と表明した。 インドが受け入れを決めれば、パキスタンは国境検問所を通じて物資を送る予定だという。

感染第 2 波に見舞われているインドでは、1 日の新規感染者が約 35 万人に膨らみ、医療機器の不足が深刻だ。 累積感染者は 1,700 万人を超えて世界 2 番目。 一方、パキスタンの累積感染者は約 80 万人で、人口比で見るとインドの約 3 分の 1 となっている。 過去に 3 度戦争を起こし、核保有国となった両国の歩み寄りは珍しい。 2019 年 2 月にはインドがパキスタン領内を空爆し、報復でパキスタン軍機がインド軍機を撃ち落とす軍事衝突が起きた。

また同年 8 月には係争地カシミールをめぐり、インド政府がインド側カシミールの自治権を剥奪して実効支配を強化。 両国は大使を呼び戻し、貿易を止めた。 ところが、コロナが猛威を振るうなか両国経済が停滞。 混乱の拡大を避けたい両国は今年 2 月、カシミールでの停戦順守で合意し、対話を再開した。 3 月にパキスタンのカーン首相がコロナに感染すると、インドのモディ首相がツイッターで「早い回復を」とお見舞いの言葉を贈った。 延期続きの南アジア地域の首脳会合の再開に向けた交渉も始まった。

ただ、対立の根っこにあるカシミール問題の解決は容易でない。 過度な歩み寄りは国内で弱腰と受け止められ、政権の命取りになりかねない。 パキスタン政府としては、費用がかさむ国境地帯の軍備を最小限に抑えつつ、外交や貿易の正常化を図ることで、コロナ収束と経済の立て直しを優先したい考えだ。 一方、インドは国民感情の観点から、パキスタンからの支援を受け入れるかは不明だ。 酸素や酸素濃縮器などの関税を免除するなど、外国からの支援受け入れのための対策を進めている。 (バンコク = 乗京真知、ニューデリー = 奈良部健、asahi = 4-26-21)

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1 日 33 万人超の感染者急増 … 追い詰められるインドの病院

インド政府によると、新型コロナウイルスの新規感染者が 24 時間で 33 万人以上に達し、世界的に過去最多となった。 感染拡大の深刻な第 2 波のため、各地の病院で病床や医療用酸素の不足が深刻化し、医療体制は逼迫している。 インド政府は 23 日、24 時間で 33 万 2,730 人の新規感染が確認されたと発表した。 2 日連続で、世界最多となった。 死者は 24 時間の間に 2,263 人に上った。 病床と医療用酸素の不足から、病院に搬送されても受け入れ不能で帰されたり、何時間も治療を受けられない患者が相次いでいる。 ベッドが使えるだけでも幸運とさえ言われるようになった。 各地の火葬場では、集団火葬が行われている。

酸素危機

首都デリーにあるサー・ガンガ・ラム病院のアトゥル・ゴジア医師は BBC に対して、患者急増のため救急外来は満員だと話した。 「酸素供給口がそんなにたくさんない。 どこにあっても、常に使われている。 次々とやってくる患者さんの中は、自分の酸素ボンベを持ってくる人もいる。 持っていない人もいる。 助けてあげたいけれども、ベッドが足りないし、たとえ酸素があったとしても供給口が足りないので、酸素吸入ができない。」

「電話回線はパンクしている。 ひっきりなしにヘルプラインにかかってくる。 病院の外もラッシュ状態で、救急車が何台も停まって患者は降りたがっているが、受け入れる場所がない。」 「総動員で取り掛かって、容体の安定した患者さんをできるだけ早く退院させて次の患者さんをもっと受け入れたいが、今は厳しい状態だ。」 医療用酸素は、空気を圧縮と冷却することで酸素、窒素、アルゴンに分離し、採取した酸素を液化ガスとして保存する。 液化酸素は気化設備を使って気体に戻し、患者に供給する。

空軍が酸素運搬に協力

インドで特に被害が深刻なマハラシュトラ州では 23 日、州都ムンバイの病院で新型コロナウイルス感染症 COVID-19 の集中治療病棟で出火し、少なくとも 13 人が死亡した。 その 2 日前には同州の別の病院で、人工呼吸器への酸素供給が酸素漏れのため絶たれて、感染患者 24 人が死亡した。 首都デリー周辺で民営病院 10 カ所を運営する医療法人マックス・ヘルスケアは、2 カ所の病院で 1 時間以内に酸素が枯渇するという「SOS」メッセージを発信。 この不足は後に解消された。 ほかにも、グジャラート、ウッタルプラデシュ、ハリヤナの 3 州で、酸素不足が深刻となり、インド空軍が協力して酸素を国内各地へ輸送している。

なぜ感染者が急増

インドでは、ウイルスの二重変異が確認されたほか、マスク着用が徹底されないなど感染対策の緩みなど、複数の要因が重なり合い今回の深刻な感染第 2 波につながったといわれている。 13 日には北部ウッタルプラデシュ州アラハバード、ヒンドゥー教の祭典「クンブメーラ」に数百万人が参加し、ガンジス川で沐浴した。 クンブメーラが行われたハリドワル市を訪れていた 66 歳の映画作曲家シュラヴァン・ラソド氏は、地元に帰宅後に感染が確認され、22 日に亡くなった。

3 月には、新型コロナウイルスの「二重変異株」が確認されている。 1 つの新型ウイルス変異株の別々の部分で、2 つの大きな変異が見つかったことを意味する。 インド国立疾病管理センターのスジート・クマル・シン所長によると、二重変異株のほか、パンジャブ州ではイギリス型の変異株が主流となっている。 またマハラシュトラ州と首都デリーでも、イギリス型の感染が目立っているという。 東部コルカタ市の救命救急専門医、サスワティ・シンハ医師は救急外来も病棟も満員だと話した。

「患者や知り合いや隣近所の人たちが、私たちに直接電話してくる。 お願いだから、自分の家族や親類を入院させてくれと。 しかし残念ながら現状では、私たちがどれだけ最善を尽くしても、受け入れられない患者さんがとんでもなく大勢いる。」 「救急医療に関わって 20 年だが、こんな事態は見たことがない」と、シンハ医師は強調した。 インドのナレンドラ・モディ首相は 23 日、特に感染被害が甚大な地域の首脳や医療用酸素メーカー各社と対応を協議。 各州政府に協力し合い、酸素をためこんだり、「闇市」での非正規売買にかかわらないよう要請し、政府として産業用酸素を医療用に転用できるか検討していると話した。 (BBC = 4-24-21)

<解説> 制度そのものの崩壊 - - スティク・ビスワス、BBC オンライン・インド特派員

ここ数日というもの毎朝、助けてほしいというメッセージで目が覚める。 私のスマートフォンを鳴らす人たちは、病院のベッドや助かるための治療薬を求めている。 感染した友人や親類のために。酸素や血漿を求めている。 往々にしてしばらく連絡が途絶えた後、その同じ人たちは自分の「患者」が死んだと連絡してくる。 私のツイッターのタイムラインは、まるでインドの COVID-19 作戦司令室だ。 国家はほとんど打ちしおれて姿を消してしまった。

患者の命を救うために必要なあらゆる必需品が不足しているか、闇市場で手に入る。 加えて、文字通り「玄関先」までウイルスが迫ってくるという恐怖もある。 過去 3 週間の内に、私が住むゲート付き住宅地の中で 3 棟の建物が「感染封じ込めゾーン」になった。 感染者が増えすぎた高層住宅がいくつも丸ごと封鎖されているのだ。 私たちの毎日は日夜、無力感と不安感と恐怖にあふれている。 悪い知らせは容赦なく相次ぐ。

インドの最高裁は現状を「国家的緊急事態」と呼んだ。 しかしこれは緊急事態どころではない。 国内有数の免疫学の専門家は「制度そのものが完全に崩壊」していると呼んだ。 デリーやムンバイなどのホットスポットでは、今や生きているだけでも恵まれている。 生はいまや特権なのだ。

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