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米政府、1 億回分のワクチン供給でモデルナと合意 15 億ドル規模 米厚生省はバイオ企業モデルナが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、承認が得られ次第、モデルナが 1 億回分の製造と供給を行うことで合意したと明らかにした。 トランプ大統領も 11 日の記者会見で合意を発表した。 モデルナは当局の承認前からワクチンの製造を進めている企業のひとつ。 新型コロナワクチンは現在、安全性と有効性を確認する臨床試験が進められている。 モデルナとの契約は総額 15 億 2,500 万ドル(約 1,600 億円)規模。 1 億回分は米政府が所有し、新型コロナワクチン開発計画の一環で配布および使用する方針。 実際に使用する場合、米国民に無料で投与される。 政府は追加で 4 億回分を入手することも可能だという。 このワクチンは「mRNA-1273」と呼ばれ、モデルナが米政府と共同で開発した。 開発に当たっては国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) から支援を受け、生物医学先端研究開発局 (BARDA) も後期臨床試験や増産について支援している。 モデルナの後期臨床試験は 7 月 27 日から始まった。 米国で政府の資金支援を受ける第 3 相の臨床試験が行われるのは初めて。 米政府は 7 月、米ファイザーと 1 億回分のワクチン供給で合意し、8 月には米ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン開発部門であるヤンセンとも同様の合意にこぎ着けた。 このほか英グラクソ・スミスクライン、仏サノフィパスツール、米ノババックス、英アストラゼネカとも合意を結んでいる。 世界保健機関 (WHO) によると、現時点では 28 種類の新型コロナワクチンの臨床試験が進行中だという。 (CNN = 8-12-20) ワクチン 1 億 2 千万回分を供給へ アストラゼネカと合意 新型コロナウイルスによる感染症の予防ワクチンについて、加藤勝信・厚生労働相は 7 日、英製薬大手アストラゼネカ社から日本国内向けに 1 億 2 千万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した。 開発が成功すれば、来年 1 - 3 月にまず 3 千万回分が供給されるという。 厚労省によると、ワクチンは原液を輸入するほか、国内メーカーに原液の製造を委託し、国内で供給するという。 接種回数はまだ決まっていないが、1 回か 2 回とみられ、仮に 2 回接種であれば 6 千万人分となる。 ワクチンは同社と英オックスフォード大が開発を進めており、7 月に初期の臨床試験(治験)で安全性と免疫反応を起こす効果が確認されたと発表された。 世界的にワクチンの開発競争が激しくなるなか、最も開発が先行しているワクチンのひとつとして注目されている。 同社によると、現在、ブラジルや英国で最終段階の大規模治験が行われており、今後、米国でも始まる予定。 早ければ 9 月の実用化をめざしている。 また、日本人に接種した場合の安全性や有効性を評価するため、18 歳以上の 250 人を対象にした治験を今月から始めるという。 新型コロナのワクチンをめぐっては先月末、米ファイザー社から 6 千万人分の供給を受けることで基本合意している。 加藤厚労相は「ほかのワクチンメーカーとも引き続き交渉し、できるだけ早く、希望する人に接種できるように努力していきたい」と述べた。 (土肥修一、asahi = 8-7-20) 日本にワクチン 6 千万人分供給 米ファイザー社と合意 新型コロナウイルスによる感染症の予防ワクチンについて加藤勝信・厚生労働相は 31 日、米ファイザー社から国内向けに 6 千万人分の供給を受けることで基本合意したと発表した。 開発に成功し、承認された場合、来年 6 月末までに日本に供給されるという。 同社によると、ワクチンは 1 人につき 2 回接種する方法で開発されている。 動物実験を終え、人に対する臨床試験(治験)が始まっている。 米国やブラジルなどで 18 - 85 歳の最大約 3 万人に接種し、用法や用量を評価するという。 治験が成功した場合、早ければ今年 10 月に米食品医薬品局 (FDA) などの規制当局に承認申請をするという。 日本国内での治験については決まっていない。 加藤厚労相は「日本でも承認が必要になるため、ファイザー社と調整をしていきたい」と語った。 (富田洸平、asahi = 7-31-20) コロナワクチン 1 人 40 ドル、米政府の契約が世界の指標に 新型コロナワクチンの価格にこのほど 1 つの指標が示された。 米政府は 22 日、製薬大手のファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業ビオンテックから、1 億回分のワクチンを約 20 億ドル(約 2,100 億円)で取得する契約を結んだ。 1 人当たり約 40 ドル(約 4,200 円)。 製薬業界のアナリストの間では、他のメーカーもこれに近い価格設定を求められる可能性が高いとの見方が広がっている。 今回の契約は、ワクチンが承認されればというのが前提。 1 億回分のワクチンを 1 回あたり 19.50 ドルで調達することで合意した。 投与は 1 人につき 2 回行われる可能性が高く、1 人当たり 39 ドルという計算になる。 年 1 回のインフルエンザワクチン接種のコストとほぼ同じだ。 有効な新型コロナワクチンの想定価格について、初めて具体的な目安を提供した。 製薬会社にとっては、新型コロナから人々の命を守る使命から利益を得られる可能性に道が開けた。 新型コロナの犠牲者は世界全体で約 62 万人、その約 4 分の 1 が米国だ。 ファイザーとビオンテックは、今月開始予定の重要な大規模な臨床試験で安全性と有効性が証明されるまで、米政府から支払いを受けられない。 米国を含めた各国政府は、コロナワクチンの開発を支援するため製薬会社と契約を結んでおり、なかには一定量の提供を保証するものもある。 今回の契約は、ワクチンが完成した場合の価格の大枠を初めて示すものとなった。 公益医薬品センターのピーター・ピッツ会長は、インフルエンザワクチンの平均価格が約 40 ドルとした上で、「これと比較すると悪くない。 合理的な範囲に十分収まっている。」と話す。 みずほのバイオテクノロジーアナリスト、バミル・ディバン氏は、有力なワクチン候補は安全性・有効性という点でどれも似通ったデータを示していると指摘。 どこか 1 社が他社より大幅に高く値付けすることはできないだろうと予想する。 世界経済に深刻な打撃を与えている感染症の大流行を克服するには、有効なワクチンが必須だと多くの専門家はみている。 ワクチンは数十億人分が必要であり、製薬各社には巨額の利益を上げることは控えるべきというプレッシャーが相当かかっている。 SVB リーリンクのアナリスト、ジェフリー・ポージェス氏は、「(1 人分で 40 ドルなら)製薬各社は確実に利益をあげられるだろう」と話す。 地域によっては粗利益率 60 - 80% になる可能性があるという。 だが、粗利益率には研究開発コストは反映されておらず、ファイザーによれば、同社のワクチンには最大 10 億ドルの研究開発コストがかかる可能性がある。 アナリストや薬価に詳しい専門家によれば、今回の価格は他の一般的なワクチンと同等であり、ニーズの切実さを考えれば、各国政府にとっては悪くない条件だという。 ポージェス氏は、「(米政府の契約は)新型コロナワクチンの価格設定という点で重要な指標になる」とした上で、ワクチンを開発する企業は世界中で同一の価格設定をめざすことになる可能性が高いと説明する。 ファイザー、モデルナ、メルクは、いずれも利益の出る価格でワクチンを供給する予定だと明らかにしている。 各国政府や財団、基金などは有望なワクチンを確保しようと躍起になっているが、最終的に開発に成功すると保証はない。 ジョンソン & ジョンソン (J & J) は先ごろ、ロイターの取材に対し、欧州連合 (EU)、日本、ビル & メリンダ・ゲイツ財団とワクチン供給契約の交渉に入っていると答えている。 J & J など一部の製薬会社は、流行が広がっている間は利益の出ない価格でワクチンを販売する予定だと発表している。 J & J は価格の詳細については明らかにしていない。 アストラゼネカは、オックスフォード大学の研究者らと開発中のワクチンについて、12 億ドルの先払いで 3 億回分を米国に提供することで合意している。 1 回分のコストは約 4 ドルと、ファイザーとビオンテックとの契約よりはるかに安い。 しかし、アストラゼネカは開発が失敗に終わった場合でも、この契約金で研究開発コストを埋め合わせることができる。 (Carl O'Donnell、Reuters = 7-26-20) 中国シノバック、コロナワクチンで最終治験を開始 【大連 = 渡辺伸】 中国製薬会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック、北京市)は 21 日、開発中の新型コロナウイルス向けワクチンで、最終となる第 3 段階の臨床試験(治験)をブラジルで始めた。 まず 890 人に接種し、初歩的な試験結果は 90 日以内に確認できる見通し。 世界で開発競争が激化するなか、中国勢は実用化を急ぐ。 シノバック関係者が日本経済新聞に明らかにした。 同社は 7 月 3 日、ブラジルの衛生当局から第 3 期治験の承認を得ていた。 同国の研究所と組み、被験者は合計で約 9 千人を募集する計画だ。 シノバックは現在、1 億回分の年間生産能力を目指して北京市に工場を建設中。 ブラジル側の研究所は 1 億 2 千万回分を生産する見通しだ。 中国で進行中の第 2 期治験では 6 月、途中段階の結果として、被験者の約 90% でウイルスを中和させる抗体が確認できたと発表した。 第 2 期治験は 2020 年末の終了を見込む。 実用化の目標時期は明らかにしていない。 国有製薬大手、中国医薬集団(シノファーム、北京市)も 15 日、アラブ首長国連邦 (UAE) で、最大で 1 万 5 千人を対象に第 3 期の治験を始めた。 ロイター通信が同国政府の話として報じた。 世界保健機関 (WHO) によると、治験中のコロナワクチンは世界で 24 種類に上る。 このうち中国が関わるのは最多の 9 種類となっている。 (nikkei = 7-22-20) オックスフォード大のワクチン、初期の治験で効果確認 新型コロナウイルスのワクチンを開発しているオックスフォード大のチームが 20 日、人に投与する初期の臨床試験(治験)で安全性と免疫反応を起こす効果が確認されたと、英医学誌ランセットで発表した。 病気から身を守る効果が十分かどうかを調べるには、より大規模な治験が必要だが、グループは「有望な結果だ」と期待している。 今回の結果は 3 段階ある治験の初期のもので、英国で 4 - 5 月、新型コロナにかかったことのない健康な 18 - 55 歳を対象にし、1,077 人が参加。 ワクチン候補の投与を受けた 28 日後には、9 割でウイルス感染を防ぐ中和抗体反応が確認された。 ウイルスに感染した細胞を攻撃する T 細胞による免疫反応も、投与の 14 日後をピークに著しく高まることが確認された。 7 割が疲労感や頭痛を経験したが、深刻な副作用は確認されなかったという。 チームは早ければ 9 月にも実用化するとの見通しを示してきたが、サラ・ギルバート教授(ワクチン学)はこの日の会見で、「画期的成果だが、やるべきことはまだ多い」、「(実用化の時期の)予測は難しい」と語った。 世界保健機関 (WHO) によると、世界では 166 種類のワクチン開発が進み、うち 24 種類は人に投与する治験が行われている。 オックスフォード大が英製薬大手アストラゼネカと開発するワクチン候補は先行例の一つとされ、日本を含む各国が競って自国分の確保に乗り出している。 米国や中国のチームが開発するワクチン候補でも、初期の治験では安全性や免疫反応が確認されている。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 7-21-20) 富士フイルム、クウェートでアビガンの大規模治験 富士フイルムホールディングスなどは、新型コロナウイルスの治療薬として承認を目指す「アビガン」の臨床試験(治験)を月内にもクウェートで始める。 最大 1 千人程度の参加者を集める大規模な治験で、新型コロナ薬としての効果や副作用を確かめる。 有効なデータが得られれば日本での承認申請に利用することも検討。 国産の治療薬としての量産を急ぐ。 アビガンは新型インフルエンザの治療薬として国内で承認されている。 政府は当初、5 月までに新型コロナの治療薬として承認する構えだったが、富士フイルムが 3 月末に 96 人の参加を目標に国内で始めた治験の参加者集めが難航。 治験が終わらず承認申請できていない。 7 月 10 日には藤田医科大学が別の研究結果を公表。 有効性が確認できるような有意差はなかったと結論づけたため、この研究結果での申請は難しいとの見方がある。 クウェートでは海外でアビガンの製造・販売権を持つインド後発薬大手ドクター・レディーズ・ラボラトリーズが主体となって治験を実施する。 富士フイルムは治験薬の提供、アラブ首長国連邦 (UAE) の医療物資販売会社グローバル・レスポンス・エイド (GRA) は治験施設の準備などで協力する。 症状が中程度の患者を中心に、承認申請前の最終段階にあたる第 3 段階の治験を実施する。 日本の治験と同程度の厳格な基準にし、日本での申請でデータを活用できるようにする。 米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、クウェートでは 1 日に新規感染者が 700 人前後出ている。 国内では新型コロナ薬として、米製薬大手ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」が 5 月に承認を受けた。 アビガンの後発薬は中国やロシア、インドなどでは新型コロナ薬として承認されているが、日本では承認申請ができていない。 富士フイルムの国内の治験を巡っては、足元では再び新規感染者が増えているが、無症状者が多く、6 月末を目標としていた治験完了がずれ込んでいる。 米国でも治験を実施しているが、治験を実施する大病院には治験の対象となる軽症・中等症の肺炎患者が少なく、参加者数の目標に達していない。 (nikkei = 7-18-20) 治っても後遺症? 新型コロナの恐ろしさ、新たな闘い 新型コロナウイルスに感染後、治ったはずなのに、疲れや息苦しさなどの症状が続く人がいる。 新しいウイルスのため、長期間の影響についてはわからないことが多いが、国内外で「後遺症ではないか」との報告が相次ぐ。 厚生労働省は実態調査を、8 月から始めることにした。 新型コロナウイルスの怖さは、知らない間に感染が広がるだけではなさそうです。 治ったはずなのに、多くの人の体と心に症状が出ています。 退院後もだるい 4 月上旬に新型コロナウイルスに感染した千葉県の 10 代の男子学生は、発症から 3 カ月以上が過ぎたいまも、熱や頭痛、だるさ、胸の痛みが残り、湿疹が不定期に出る。 陽性とわかった後、病院のベッドに空きがなく、自宅で待機した。 20 日後に入院でき、約 2 週間後に退院した後はホテルや自宅で療養したが不調が続き、6 月に再入院した。 今は退院して自宅にいるが、症状がつらくなると受診する。 「陰性になったら 2 週間ぐらいで治るのかと思っていた。 この状態がずっと続くのか不安になる。」 秋に復学を目指すが、十分に体調が戻っているか、自信はないという。 中国・武漢で原因不明のウイルス性肺炎が広がっていると報告されてから約 7 カ月。 まだ新しい感染症のため長期的な影響は明らかではないが、後遺症の報告が少しずつあがっている。 #コロナ後遺症 ツイッターでは「#コロナ後遺症」とハッシュタグを付け、断続的な熱の上昇やめまい、疲労、味覚や嗅覚の障害などを訴える投稿が複数ある。 イタリアの病院の医師らは 7 月、新型コロナのため入院し、その後、回復して退院した 143 人の 9 割近くに何らかの症状が続いていることを、米国医師会雑誌に報告した。 初めに症状が出てから平均 2 カ月後の状況を聞いたところ、87% は疲れや呼吸困難など一つ以上の症状があった。 最も多い症状は疲労で 53%、呼吸困難が 43%、関節痛が 27%、胸痛が 22% と続いた。 せきや嗅覚障害を訴える人もいて、55% は三つ以上の症状があったという。 医師は「一つの病院での少人数の結果だが、退院後の長期的な影響はモニタリングしていかないといけない」と指摘している。 肺に長期間の影響 イタリアの呼吸器学会も 5 月、新型コロナからの回復者の 3 割に後遺症が生じる可能性があると報告し、地元メディアが報じた。 別のコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群 (SARS) のデータや国内の新型コロナの症例などを踏まえたもので、少なくとも 6 カ月間は肺にリスクがあるという。 回復した患者の肺に異常が残ることは早くから指摘されていた。 中国・武漢の病院の医師たちは、1 - 2 月に入院し、その後退院した患者の肺の CT スキャンで、すりガラスのような影が多く見つかることを報告していた。 中国・広州の病院の医師たちは 6 月、欧州呼吸器学会誌に集中治療室に入るほどの重症患者を除く退院患者 110 人の肺機能を調べた結果をまとめた。 退院するときの血中酸素濃度は正常だったが、約 47% に肺の機能の異常が見つかり、約 25% は肺に入る空気の量が少なかった。 症状が重い人ほど、肺の障害は深刻だったという。 研究チームは「回復してから短い期間しかみていないため、退院後の肺機能をもっと長期的に調べていく必要がある」と指摘する。 英テレグラフ紙によると、英国で無料で医療を提供する国民保健サービス (NHS) の手引書では、SARS や中東呼吸器症候群 (MERS) と同じような経過をたどるなら、新型コロナから回復した患者のうち 3 割は、長期的な肺の損傷に苦しむかもしれないと記載されているという。 キーワードは「線維化」 東京医科歯科大の瀬戸口靖弘特任教授(呼吸器内科)は、回復した重症患者から「階段を上ると息が切れ、社会復帰に支障が出ている」という声が出ていると話す。 原因として考えられるのが、肺の線維化だ。 ウイルス感染により免疫が暴走するサイトカインストームが起きると、「肺胞」という空気の入った小さな袋の壁が傷つく。 肺胞は回復しようとするが、完全にはもとに戻らず線維質が多い状態になるという。 肺胞は膨らんだり縮んだりして空気を出し入れする。 瀬戸口さんは「線維化した肺胞が多いと、厚いゴム風船に空気を入れるように肺が膨らみにくくなる。」と説明する。 一度、肺胞が線維化すると元には戻らず、新しく増えることもない。 ただ現状では呼吸筋トレーニングで横隔膜や腹直筋を鍛えることはできる。 固くなった肺をより強い力で膨らませることで呼吸機能の回復につながる可能性はあるという。 うつや PTSD も ただ後遺症は、肺への影響にとどまらない。 自治医科大付属さいたま医療センターの讃井将満(さぬいまさみつ)集中治療部長によると、肺炎が重症化して集中治療室に入院したことがある患者は一般的に、肺の機能が落ちるだけでなく、記憶力や注意力などの認知機能が落ちたり、うつや PTSD (心的外傷後ストレス障害)になったりすることがあるという。 肺炎が重症化するなどして起きる ARDS (急性呼吸窮迫症候群)から回復した患者は、1 - 2 年後に約 2 割の人がうつ症状になったという論文もあるという。 ARDS は新型コロナによる肺炎が重症化することでも起きる。 サイトカインストームや「せん妄」と呼ばれる意識障害、低酸素状態などが複合的に関係するとみられ、讃井さんは「新型コロナの場合も類似した後遺症が出る可能性がある。 集中治療室に入る期間が長くなる傾向があり、より注意が必要だ。」と話す。 こうした報告を受け、厚生労働省は 8 月から、新型コロナから回復した患者計 2 千人を対象に後遺症の実態を調べる研究を始める。 酸素投与が必要だった中等症 - 重症の患者 1 千人については、退院から 3 カ月後と半年後の自覚症状や肺の機能などを調べる。 軽症 - 中等症の患者 1 千人についても、退院後にどんな症状が続いたかなどをアンケートし、血液検査などもする。 研究班を立ち上げ来年 3 月まで実施し、予防や治療につなげたい考えだ。 (熊井洋美、三上元、合田禄、asahi = 7-18-20) コロナ論文撤回、相次ぐ 緊急時に揺らいだ科学への信頼 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の社会・経済に大きな打撃を与えた。 だが影響はそれだけではない。 未知のウイルスと戦うために必要な科学への信頼を揺るがす不祥事も相次いだ。 英ランセット、米ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン (NEJM) という世界のトップ医学誌 2 誌が 6 月上旬、同時に論文を撤回した。 いずれも新型コロナ治療薬の候補を探す研究で、共通点は、米シカゴ拠点の「サージスフィア」という無名の会社によるデータを使っていたことだった。 ランセットの論文は、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの新型コロナに対する効果を調べたもの。 効果は確認できず、むしろ不整脈などの副作用を起こすと結論づける内容だったが、世界中の研究者から疑問の声が噴出した。 論文の結論の根拠は、各国の 671 病院で集めたという約 9 万 6 千人の患者データだが、どの国のどの病院が関わったのか明らかにされないなど不審点が次々と指摘された。 ランセットが調査を始めようとしたが、サージスフィアは「顧客との契約」を理由にデータ提供を拒否。 「一次情報源が真正なのか保証できない」として論文は 6 月 4 日に撤回された。 NEJM の論文は、心臓病の治療薬の新型コロナの患者に対する影響を評価したものだが、同様の疑義が出て同日に撤回された。 両誌はいずれも 19 世紀前半創刊の伝統誌で影響力は大きい。 ランセットの論文は掲載直後、世界保健機関 (WHO) がこの薬の有効性・安全性を確かめる臨床試験の一時停止を決めたほどだ。 豪シドニー大のイアン・ケリッジ教授は「関わった学術誌、科学の誠実さ、医学、臨床試験と証拠の積み重ね、いずれにとっても大問題で、全てが破滅的な出来事だ」と英ネイチャーに語った。 また米サイエンス誌のニュースサイトは「今回の感染拡大で最初の研究スキャンダルが起きた」との見出しの記事を配信した。 原因はいくつか指摘されるが、大きいのは査読の問題。 分野の近い複数の専門家によるチェックだが、性善説に基づいていて意図的不正は見抜けにくい。 ランセットのホートン編集長は米紙ニューヨーク・タイムズの取材に「著者がミスリードしようと思えば驚くほど簡単にできる」と話す。 また撤回された 2 本の論文の筆頭著者となっていたハーバード大のマンディープ・メフラ教授は、200 本以上の論文を執筆している著名な研究者だった。 査読者や学術誌側にとって、著者が信頼できる研究者であれば、査読が好意的になった可能性は否めない。 研究倫理に詳しい田中智之・京都薬科大教授(薬理学)は、「いずれのケースも一流誌なら十分チェックすれば防げたはず。 研究で得られた知識を共有するのは原則だが、研究者側にも緊急時で何とか社会にアピールしようという意識が背景にある。 論文発表のスピードは異常だと感じる。」と話す。 査読前の論文にも問題 問題は査読誌だけではない。 10 年ほど前からプレプリント・サーバーと呼ばれる査読前の論文を公開できる仕組みが一般的になっており、新型コロナ関連の論文も多数投稿されている。 無料で素早く研究結果を共有できる「速報」に当たり、もともとは科学コミュニティーの意見を聴いて正式な論文に仕上げていく趣旨のものだ。 研究者にとっては、研究の先取権の主張や共同研究につながる利点がある。 新型コロナのような未知のウイルスの場合、知見をいち早く提供することで、多くの人を救える可能性もある。 だが外部の専門家のチェックが入らず、データの信頼性や科学的根拠が十分確認されているとは言いがたい。 メディアが、これらの論文を元にした記事を報じることも少なくなかった。 耳目を集めた未査読論文の一つが、寄生虫薬イベルメクチンの新型コロナへの効果を示すものだった。 イベルメクチンは、2015 年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が発見した細菌が生成する物質を基に作られているが、この論文にもサージスフィアが関わっており、4 月初めにプレプリント・サーバーに掲載された後、削除された。 南米ではこの研究を根拠に、新型コロナ患者へのイベルメクチンの臨床研究が進められてしまった。 米ジョンズ・ホプキンス大のトム・イングレスビー教授は科学コミュニティーの自浄作用を期待する。 「過去数カ月、世界中のオンライン上で、正しくない研究結果が出てきた場合に迅速に修正するよう多くの圧力がかけられるのを見てきた。 これは、新たなウイルスで我々は学んでいる途中だ。」 実際、米マサチューセッツ工科大の出版部門はプレプリント・サーバーに投稿された注目論文を、ざっと評価する試みを始めた。 「科学的に誤ったニュースが広がらないようにするため」としている。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 7-15-20) 抗体検査で見えた無症状感染 病院職員「意識強まった」 発熱などの症状が出ず、感染しても気づかない人もいるとみられる新型コロナウイルス。 そうした中、抗体検査を活用して職員の感染状況を探り、対策にいかす病院や介護施設がある。 PCR 検査なども使い、院内感染への対策づくりを進めている。 ひらた中央病院(福島県平田村)などの誠励会(せいれいかい)グループでは 5 月、職員らの感染状況を調べるため、病院や介護施設などで働く 680 人に抗体検査をした。 新型コロナに感染すると体内でたんぱく質(抗体)ができる。 抗体検査は精度の課題が指摘され、国内では国が診断用として承認した試薬などはなく、海外製の簡易キットを使った。 感染後早めに作られ、短期間で消えていく抗体 (IgM) と、遅れて作られ、長く残る抗体 (IgG) を調べるものだ。 それまでに職員や患者、利用者らで感染者は確認されていなかったが、検査の結果、感染中の可能性を意味する「IgM 陽性」と判定された職員が 52 人いた。 グループの事務長、二瓶正彦さんは「これはまずい」と慌てた。 陽性の人は自宅に待機し、PCR 検査を受けさせた。 幸い、52 人全員が PCR は陰性だった。 一方、簡易キットでは、感染歴を意味する「IgG 陽性」と判定された職員も 58 人いた。 「このままでは職員の不安をぬぐいきれない(二瓶さん)」と、東京大先端科学技術研究センターの研究者に依頼し、機械による抗体検査を実施。 その結果、58 人のうち「陽性」と判定されたのは 6 人だった。 今回の結果について、ひらた中央病院の坪倉正治医師はどちらの検査法も精度が十分に検証されていないため、「感染歴のある人が何 % とは言えない」と指摘する。 一方、機械での抗体検査で高い抗体の値を示す人もいたため、感染して症状が出ない「不顕性感染」の人がいたことは、ほぼ間違いないと分析する。 検査を通して、職員は感染対策の意識が高まった。 同院の大沼好子・看護部長は「知らないままに感染し、抗体を持った人がいたことで、自分たちが院内感染を起こしてはいけないという意識が強まった。 それが一番の収穫。」と言う。 誠励会グループは 6 月から、病院や各施設の対策の現状や課題についての対策会議を開いている。 平田村を含む石川郡や国内の流行状況に応じた対策づくりや、職員や利用者のなかで感染の疑いのある人が出た時の対応について検討を進めている。 (福地慶太郎、asahi = 7-8-20)
◇ ◇ ◇ 新型コロナ 感染後の抗体 数か月後に減少 中国研究グループ 新型コロナウイルスに感染したあとに体内で作られる抗体が、感染から数か月後には減り始めたとする研究結果を中国の研究グループが発表しました。 感染を経験した人は再び感染しにくいという考えに基づいた対応を取ることには、リスクがある可能性があるとしています。 中国の重慶医科大学などの研究グループは、ことし 4 月上旬までに重慶で新型コロナウイルスに感染して症状が出なかった 8 歳から 75 歳までの男女の患者 37 人と、症状が出た 37 人について、抗体の量の変化などを比較した研究結果を医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。 それによりますと、感染後しばらくして作られる「IgG」抗体は当初、80% 以上の人で検出されましたが、退院からおよそ 2 か月後に調べると、この抗体が検出された人のうち、無症状の人の 93.3%、症状があった人の 96.8% で減少したことがわかりました。 減少した割合は、半数の人で 70% を超えていたということです。 また、ウイルスの働きを抑える「中和抗体」の量は無症状の人の 81.1%、症状があった人では、62.2% で減っていました。 研究グループは、無症状の人のほうが免疫の反応が弱いとしています。 抗体は感染から 2 か月から 3 か月ほどで減り始めているとしていて、感染を経験した人は再び感染しにくいという考えに基づいて、感染した人に「免疫パスポート」を出して活動範囲を広げる欧米での動きについて、研究グループはリスクがある可能性があるとしています。 (NHK = 6-19-20) ◇ ◇ ◇ 唾液使える抗原検査の試薬承認 30 分で感染の有無判定 新型コロナウイルスの感染を調べる抗原検査について、加藤勝信・厚生労働相は 19 日の閣議後会見で、検体として唾液(だえき)が使える検査試薬を承認したと発表した。 鼻の奥をぬぐい検体を採る方法に比べ、痛みがなく、医療従事者の感染リスクも少ない。 約 30 分で感染の有無を判定出来るという。 ただ、すでに承認されている簡易検査キットと違い、専用の機器が必要で、利用が広がるかは不透明だ。 抗原検査は、体内にウイルスに特有のたんぱく質「抗原」があるかどうかを調べる。 PCR 検査と同様に診断に使える。 承認されたのは、今月 5 日に申請があった国内メーカー「富士レビオ」の検査試薬。 専用の機器に検体と試薬をセットすると、モニターに結果が表示される。 厚労省によると、この検査は簡易検査キットより精度が高く、発症 2 - 9 日なら唾液を使える。 症状のない人に対して使えるかどうかは研究中という。 加藤厚労相は「我が国の検査能力の向上に寄与する」と期待感を示した。 (富田洸平、asahi = 6-19-20) ◇ ◇ ◇ 都医師会「厚生労働省が行った抗体検査妥当な結果」 厚生労働省が行った、新型コロナウイルスに感染したことがあるかを調べる抗体検査で、抗体を保有している人の割合が東京都で 0.1% となったことについて、東京都医師会の角田徹副会長は、「今回の検査は、相当精密で信用できると考えている。 0.1 パーセントという結果は人口に対する、これまでに確認された感染者数などから判断すると妥当な結果だと言える」と述べました。 その上で、今回の結果からわかったことについては、「新型コロナウイルスの感染の形態は、インフルエンザウイルスのように普通の生活の中で、たとえば満員電車に乗っているだけで次々にうつるものではないと考えられる。 感染の形態はある程度、限定されるので、過度に恐れる必要はなく、3 密を避けるなどすれば予防できるとみている。」と説明しました。 一方で、「今回の結果はほとんどの人はウイルスに感染していなかったことを示すもので、ワクチンができるまでは多くの人に感染する可能性が残っているとも言える。 第 2 波は、普通の生活に戻ると必ずくるので、1 人 1 人が引き続き、感染しないための行動をとることが重要だ。」と話しました。 (NHK = 6-16-20) ◇ ◇ ◇ 新型コロナ抗体検査、東京で始まる 今月中に 3 都府県で 1 万人規模 新型コロナウイルスに感染したことがあるかどうかを調べる厚生労働省の「抗体検査」が 1 日から東京都内で始まりました。 「抗体検査」は、ウイルスなどに感染したあとにできる抗体と呼ばれるたんぱく質が血液中にあるかを調べる検査で、感染したことがあるかどうかがわかります。 厚生労働省は、今月中に東京と大阪、宮城の 3 都府県で合わせて 1 万人規模の検査を実施することにしていて、都内では 1 日から始まりました。 都内での検査は板橋区、豊島区、練馬区で行われ 20 歳以上の男女から無作為に抽出されたそれぞれ 1,000 人程度が対象です。 会場では、検温したあと採血するということで、1 日はその手順が報道陣に公開されました。 検査は、今月 6 日まで行われ、結果は今月下旬以降に通知されるということです。 東京都福祉保健局の田中愛子体制支援担当部長は「今後の対策に生かすためにも重要なので、検査の案内が届いている方はぜひ来ていただきたい」と話していました。 (NHK = 6-1-20) ワクチン、治験と並行し量産準備 世界で培養タンク争奪 新型コロナウイルスの感染や重症化を予防するワクチンの治験が月内にも、国内で始まる。 開発メーカーは治験と並行し、早くも量産体制の準備を始め、政府も支援に乗り出した。 実用化の見通しが立つ前から量産体制を確立しようとする動きは、世界的な流れになっている。 治験を始めるのは、大阪大発の創薬ベンチャー「アンジェス」。 治験を予定する大阪市立大学病院での審査が承認され、治験を受ける人の最初の登録が 30 日にも始まる見通しだ。 阪大などと共同でウイルスの遺伝情報を使う「DNA ワクチン」というタイプのワクチン開発をめざす。 安全性と有効性が確認されれば、多くの人が使えるワクチンとして認められる。 だが、治験が始まる前から、開発成功を見越し、量産に向けた動きが加速している。 年度内に約 20 万人分を製造することを見込む。 アンジェスの創業者、森下竜一・阪大教授は 6 月上旬、公明党の国会議員が集まった東京都内の会合で「大型のタンクさえ見つかれば、1 千万人分でもつくることができる」と力説した。 参照記事 (6-3-20) 培養タンク、世界で取り合いに ワクチンは新しい技術を使う。 量産には大腸菌を使って培養する特殊なタンクが必要になる。 同社は製造工場を持っておらず、ワクチン製造は、試薬大手「タカラバイオ(滋賀県)」が担う。 だが、それでも量産するには十分ではなく、製造過程の一部を、ガラス大手「AGC (東京)」の子会社で、薬の原材料の製造を手がける「AGC バイオロジクス(米国)」に委託することにした。 世界各地にタンクを備えた工場を持つ同社は、アンジェスだけでなく、欧米の 2 社からも委託を受けたという。 バイオ医薬品の開発支援をするファーマトリエ(大津市)の岡村元義社長は「製薬関連の企業にとって新型コロナのワクチン開発に大きなビジネスチャンスがあるのは間違いない」と話す。ただ、設備や人材、ノウハウなどの面から国内でたくさんつくれるところはほとんどないという。 大きなタンクがある工場は世界でも限られる。 近年は「バイオ医薬品」と呼ばれる高度な技術を使った抗がん剤などの製造も盛んで、工場のタンクはほぼフル稼働の状態にある。 そこに新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が襲った。 バイオ医薬品の製造技術に詳しい阪大の大政健史教授は「世界中でタンクを持つ工場やタンクそのものの取り合い合戦になっている」と指摘する。 量産には蓄積した技術や人材が必要で、こうしたタンクや工場を急につくるのは難しいといい、長期的なサポートの重要性も指摘する。 大政さんは「新型コロナだけでなく、将来も見据えて研究開発したり製造したりできる企業を一定以上、国内で確保しておくのが望ましい」と話す。 (戸田政考、瀬川茂子、合田禄) 日本でも量産支援へ 「ふつうは開発が終わってから生産整備をするが、並行して実施していく。」 加藤勝信厚生労働相は 5 日の記者会見で、ワクチン開発に成功すれば、2021 年前半に接種を始められるようにすると述べた。 厚労省はワクチン開発とともに、量産体制の整備を支援するために第 2 次補正予算に 1,377 億円を計上した。 こうした支援をするのは、ワクチンが開発された後に生産体制を整備すると、その分、国民の接種開始時期が遅れるからだ。 「製品化が見込めない段階で、多額投資するリスクを民間企業に負わせられない」と厚労省幹部は言う。 ただし、開発に成功しなければ、投じた公費がむだになるおそれもある。 一般的にワクチンの開発には年単位の時間が必要とされ、先行きは見通せない。 期待が先行し、異例なスピードで準備が進むが、ワクチンは健康な人にも接種するため、安全性と有効性を確認する過程をおろそかにすることはできず、慎重さが求められる。 (姫野直行、富田洸平) 世界中で何 10 億のワクチンが必要に 量産体制を整備する動きは、各国で始まっている。 米トランプ政権は約 100 億ドルをつぎ込み、ワクチン開発を加速させる「ワープ・スピード作戦」を実施。 絞り込んだワクチン候補については、薬事承認前の段階から製造ラインの整備を進める。 米保健福祉省は、米バイオ医薬品メーカー「エマージェント・バイオソリューションズ (EBS)」と約 6 億 3 千万ドルで新型コロナのワクチンや医薬品の大量製造を委託する契約を結んだ。 EBS は米政府が2012年、新型インフルなどのパンデミックへの備えのために指定したワクチン製造 3 拠点の一つだ。 英製薬大手アストラゼネカはオックスフォード大と開発中のワクチンを EBS で製造する契約を交わした。 ほかの製造拠点とも合わせ、最大で 20 億人分を生産可能という。 アストラゼネカは 26 日、日本政府ともワクチン供給に向けた協議を始めたことを発表した。 EBS とは米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンも契約。 米バイオ企業モデルナはスイスの医薬品受託製造大手ロンザなどと提携し、年間 10 億人分を世界中に供給したい考えだ。 複数のワクチン候補を開発する中国でも製造設備の建設が北京や武漢で始まっている。 中国カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)は、カナダの国立研究機構 (NRC) と提携。 カナダ国内で治験をし、モントリオールで大量製造する予定という。 一方、こうした開発や量産が難しい途上国に、ワクチンを行き渡らせることも今後の大きな課題だ。 世界保健機関 (WHO) によると、新型コロナのワクチン候補は140以上研究され、16 種類が人への臨床試験の段階だ。 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「(新型コロナの)ワクチンの分野で勝者になるのは一つだけではない。 世界中で何十億ものワクチンが必要になるからだ。」と語る。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 6-26-20) |