... - 7 - 8 - 9 - 10 - 11 - 12 - 13 - 14 - 15 - 16 - 17 - ...

ファイザー製ワクチン、1 回でも効果 一般冷蔵も可能に

【ニューヨーク = 野村優子】米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発する新型コロナウイルスワクチンについて、1 回の接種でも高い予防効果が得られたとするイスラエルの研究結果が発表された。 同ワクチンは 2 回の接種が求められている。 世界的な需要急増によりワクチン不足が懸念されるなか、1 回の接種でも予防効果があればより多くの人が接種しやすくなる。

イスラエルのシェバ医療研究センターの研究結果が 18 日、英医学誌ランセットに掲載された。 ファイザー製ワクチンを接種した医療従事者を調べたところ、1 回の接種から 15 - 28 日後に症状を伴う新型コロナの感染に対して 85%、無症状も含めた感染に対しては 75% の予防効果が得られたという。 同ワクチンは 21 日間の間隔を空けて 2 回の接種が求められており、2 回接種後の予防効果は 95% となる。 ワクチン不足がくすぶるなか、1 回接種を推奨する動きは出ていた。

英国では多くの人に 1 回目の接種を急ぐことが感染抑制につながるとして、1 回接種した人の 2 回目までの間隔を最大 12 週間に延ばした。フランスは、過去に新型コロナに感染した人は 1 回の接種で十分な予防効果が得られるとの見解を発表している。

またファイザーとビオンテックは 19 日、従来のセ氏マイナス 60 度 - 同 80 度ではなく、マイナス 15 度から同 25 度での保管が可能とするデータを米食品医薬品局 (FDA) に提出したと発表した。 これまでは専用の超低温冷凍庫での保管が求められていたが、薬局などで一般に使われる冷凍庫で保管できるようになる。 FDA に対し、緊急使用に関するファクトシートの変更を申請した。 変更が認められれば、約 2 週間までマイナス 15 度から同25度で保管が可能となる。現在は、マイナス60度〜同80度で最大6カ月、接種直前は2〜8度の冷蔵庫で5日間まで保管可能としている。

ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「承認されればワクチンの取り扱いが容易になり、薬局や接種所でより柔軟な供給・管理が可能になるだろう」と述べた。米国では2月中旬から、大手薬局チェーンなどでのワクチン接種が始まっている。 (nikkei = 2-20-21)


アストラゼネカ製コロナワクチン、独仏で使用回避広がる - 副反応懸念

→ ドイツは使用が当初供給の 1 割未満 - フランスは予約に多数の空き
→ アストラ製ワクチンを接種した 300 人の 25% に副反応と現地報道

欧州連合 (EU) は英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを数週間前には声高に要求していたが、ドイツに当初供給されたうち実際に使用されたのは 1 割にも満たない。 一部の医療関係者は副反応への懸念を口にする。 ドイツだけではない。 フランスの医療関係者の一部もアストラ製を避け、米モデルナ製や米ファイザー・独ビオンテック製のワクチン接種を望んでいる。 EU はアストラと、供給を巡り不当な扱いを受けているとして衝突していた。

EU のワクチン接種は米国や英国に大きく遅れており、アストラに発注した 3 億回分が積極的に接種されない限り、近い将来に追い付くことは不可能だ。 だが、複数のメディアが予想外に強い副反応が生じた事例を報道。 ドイツのシュパーン保健相は 17 日、アストラ製ワクチンは「安全かつ有効」で、自分なら接種をためらわないと述べるなど、火消しに追われた。

ドイツの地方紙が消防当局の内部文書として報じたところによると、同国北西部のドルトムントでは、先週後半にアストラ製ワクチンを接種した 300 人のうち 4 分の 1 が体調を崩し欠勤した。 ドルトムントのあるノルトライン・ウェストファーレン州の保健当局は、医療機関のスタッフが不足する事態を避けるため一度に接種する医療従事者の人数を少なくするよう勧告したと、DPA 通信は伝えた。 アストラの広報担当者は、臨床試験で得られたデータに一致しない反応は報告されていないと言明し、深刻な副反応は今のところないと繰り返した。 これまでに知られている同社製ワクチンの副反応では、頭痛や倦怠感、悪寒、発熱、筋肉の痛みなどがある。

独医薬品規制当局パウル・エールリヒ研究所は承認済みの 3 つのワクチンについて、予期しない副反応を「ほぼ全く」検知していないとシュパーン氏は語った。 欧州の多くの国がアストラ製ワクチンの使用を 65 歳未満に限定しているため、優先度の高い接種対象のうち高齢者をモデルナやファイザー・ビオンテック製に回し、医師や看護師、福祉施設従事者はアストラ製に振り向けられることが多い。 だがフランスのワクチン予約プラットフォームでは、アストラ製接種の予約に数百の空きがあるのに対し、その他 2 つのワクチンではほぼ空きがない状況となっている。 (Naomi Kresge、Tim Loh、Iain Rogers、Bloomberg = 2-18-21)

◇ ◇ ◇

仏アストラゼネカのワクチン、1.5% に副反応

日本にも供給されるイギリス・アストラゼネカの新型コロナワクチンについて、フランスの保健当局は接種した人のうち 1.5% に高熱などの副反応が出たと発表しました。 フランスでは、6 日から 65 歳以下の医療従事者に対し、アストラゼネカ製ワクチンの接種が始まっていますが、10 日までに接種した 1 万人のうち 1.5% にあたる 149 人に、高熱や倦怠感などの副反応が出たと保健当局が発表しました。 24 時間近く副反応が続くケースもあったということです。

また、2 回の接種が必要なワクチンについて、フランス高等保健機構は 12 日、1 度感染した人は感染後の免疫反応が、1 回目のワクチン接種に代わり得るとして、接種は 1 回のみを推奨すると発表しました。 感染者に 1 回だけの接種を推奨するのは世界で初めてとみられています。

一方、WHO = 世界保健機関は 10 日、ユニセフ = 国連児童基金との共同声明を発表し、これまでに世界全体で投与されたワクチン 1 億 2,800 万回分のうち、4 分の 3 以上をわずか 10 か国が占めていると明らかにしました。 国名は明かされていませんが、この 10 か国は世界の GDP = 国内総生産の 60% を占める国々だとしています。 およそ 130 か国、25 億人が接種を受けられていないということで、WHO は「この自滅的戦略は多くの命と生活を犠牲にするとともに、ウイルスに変異する機会を与えてしまう」などと警告。 公平なワクチン接種の実現を改めて呼びかけています。 (TBS = 2-13-21)


ワクチン効果薄れる? 新たな変異株、国内で 90 例以上

ワクチンの効果に影響する可能性がある変異を持つ新型コロナウイルスが、国内で相次いで見つかっていることがわかった。 国立感染症研究所の分析では、国内で 90 例以上が確認されていて、「国内での蔓延は中長期的に感染制御上のリスクとなりうる」としている。 今回見つかったのは、ウイルス表面のたんぱく質の一部が変わった「E484K」という変異を持つウイルスだ。 感染研が 15 日に公表した報告によると、2 日までに関東全域で 91 件、空港検疫で 2 件検出されていた。

また東京医科歯科大も 18 日、3 例の E484K 変異を確認したと発表した。 昨年 12 月下旬から 1 月中旬に、同大病院に入院したり、通院したりした 11 人から、海外から持ち込まれたと考えられる複数の系統のウイルスを検出し、この中の 3 例という。 3 例は、主にカナダで検出されている系統で、感染研が報告したものとは異なる。 同じく E484K 変異を持つウイルスは、南アフリカ、ブラジルから報告されたものが知られる。

世界的に警戒される変異株は、英国、南アフリカ、ブラジルから報告される 3 種類で、いずれもウイルス表面のたんぱく質に「N501Y」という変異がある。 この変異で感染力が強まると懸念されている。 各国では実際にこれらの変異株による感染拡大が起きていることもあり、国内では N501Y がある変異株の監視を強め、空港検疫や国内で確認され次第発表してきた。 一方、今回の変異株は E484K 変異はあるが、N501Y 変異はなく、いまのところ、検出数も限られている。 厚生労働省は「公衆衛生に与える影響は定まっていない」としている。 感染研は「海外から移入したとみられるが起源不明」とし、今回見つかったものも含めた E484K 変異を持つウイルスについて、「国内の蔓延状況は過小評価されている可能性がある」と指摘する。

免疫から逃れる「E484K」

E484K 変異が注目されるのは、「免疫逃避」と呼ばれる性質があると考えられているからだ。 この変異がないウイルスに感染したり、既存のワクチンを接種したりして得た免疫の効果の一部が、E484K 変異をもつウイルスに対しては十分に効かない可能性が複数の実験で指摘されている。 英製薬大手アストラゼネカなどのワクチンについては、E484K 変異がある南アフリカの変異株に対し、「軽 - 中度の症状を予防する効果が限定的」とする中間的な分析結果を、ワクチンを共同開発したオックスフォード大が発表。 南アフリカ政府は接種開始を見合わせた。

ただ、世界保健機関 (WHO) は「間接的な証拠から、重症化を防げると考えることに矛盾はない」とし、変異株が存在する国でもこのワクチンの接種を勧めている。 国内でも 17 日に接種が始まった米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチンについては、同社などが「変異の影響は小さい」とする論文を米医学誌に発表している。 実際に、これらの変異株がどの程度ワクチンの効果に影響を与えるのかについて、はっきりしたことはわかっていない。

国内で確認された今回の変異株も、実際にどのような特徴があるかは未解明だ。 感染研は E484K 変異を持つウイルスについて、一度感染して得た免疫やワクチンの効果が低下する可能性があるものの、無効になるものではないとみている。 ウイルスのゲノム分析に詳しい東海大学の中川草講師は、「E484K 変異は注目しておくべき変異だが、一般の人の対応を変えるほどのものではない」と指摘する。

日本では、ほとんどの人が新型コロナに感染しておらず免疫をもっていない。 「免疫から逃れるような変異よりも、感染しやすさが上がるような変異の方が、社会に与える影響は大きいだろう」とした上で、「日本でもワクチンの普及に伴って、このような変異株が増加する可能性は否定できない。 今後もこの変異の広がり方に注意を払う必要はある」と指摘する。 また、「ワクチンによる免疫効果から一部逃れるようなその他の変異が生じる可能性も十分考えられるので、しっかり感染者数を減らすことが重要だ」と強調した。 (野口憲太、姫野直行、阿部彰芳、asahi = 2-18-21)


どこまで心配すれば? コロナワクチンとアナフィラキシー

新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でも 17 日、始まる。 健康への影響として心配されているもののひとつが、重いアレルギー反応の「アナフィラキシー」だ。 どんな症状なのか。 どんな人が注意する必要があるのか。 接種が始まるのは、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチン。 米国では昨年 12 月から、接種が始まった。 米疾病対策センター (CDC) のチームが米医学誌で発表した論文によると、1 月 18 日までに接種された約 990 万回のうち、アナフィラキシーが 47 件報告された。 接種 100 万回あたり 4.7 件の頻度になる。 同じ RNA ワクチンである米バイオ企業モデルナのワクチンでも、100 万回あたり 2.5 件の頻度だった。

体を「防御」するはずが …

本来、ウイルスなどの有害な異物から体を守る免疫のしくみが、食べものなど体の害にならないものにまで過剰に反応してしまうのが「アレルギー」だ。 「アナフィラキシー」も、言葉としては同じような意味をもつ。 ギリシャ語で「逆方向」を表す接頭辞「ana」と、「防御」を表す「phylaxis」を合体させたもので、体を守るはずのものが、逆に体を傷つけることを表している。 この現象を発見した科学者には、1913 年のノーベル医学生理学賞が贈られた。

アレルギーとアナフィラキシーは何が違うのか

横浜市立みなと赤十字病院の中村陽一・アレルギーセンター長は「いくつかの臓器で同時に重いアレルギー反応が起きるのがアナフィラキシーです」と説明する。 アレルギー反応の多くは、原因となる物質を体にとりこんだとき、皮膚にじんましんが出る、鼻の粘膜で鼻炎が起きる、 目の粘膜で結膜炎が起きるなど、一カ所に起きて、通常は大事には至らない。 一方、アナフィラキシーでは、皮膚や粘膜だけでなく、とくに腹痛や下痢などの消化器症状や、呼吸困難(気管支の収縮など)、血圧の低下など循環器にアレルギー症状が同時に起きる。 臓器に血液が行き渡らないショック状態になると、命にもかかわる。

ハチ刺されや薬でも 「早く治療」が重要

原因となる物質はさまざまで、中村さんは「ワクチン接種でも起こるが、一般的な頻度は 10 万人に 1 人ほど。抗生物質の注射によるもの(5 千人に 1 人ほど)などと比べると頻度は少ない」という。 人口動態調査によると、国内では年間 50 - 70 人がアナフィラキシーで亡くなっている。 原因がわかっているもので多いのはスズメバチなどに刺されることや、治療で使われた薬によるもので、それぞれ 3 - 4 割ほどを占める。 食べものが原因による死亡も年間数件の報告がある。 ただし、「アナフィラキシーが起きたときに重要なのは早く治療すること」と中村さんは指摘する。

症状が出ても、すぐに血圧を下げたり、気管を広げたりする作用があるアドレナリンを注射すれば、応急処置ができる。 中村さんも「アナフィラキシーが起こっても時間的には処置する余裕があることが一般的。 ワクチン接種は医療機関で実施されるはずで、すぐに対処できる体制が必要」と話す。 アドレナリンを簡単に注射できる「エピペン」と呼ばれる機器もある。 川崎市で 1 月 27 日、大規模接種を見据えた模擬訓練があった。 このときも、救護室にはこのエピペンが用意されていた。

原因物質が食べものの場合は、消化に時間がかかり、アナフィラキシーが出るまでに数時間かかることも考えられる。 一方、「ワクチンの場合は注射なので、症状が出るまでにそんなに時間はかからないだろう」と中村さんは話す。 CDC の論文では、アナフィラキシーが起きた事例の約 9 割は、接種後 30 分以内に症状があらわれている。 今回の接種では、接種後に 15 - 30 分ほど、体調が急変しないかを確認する時間をとる予定だ。 中村さんは「一般的にぜんそくの持病がある人は、アナフィラキシーを起こしやすいわけではないが、起きたときに重症化しやすいことは知っておいた方がいいだろう」という。

原因はワクチンの成分?

今回のワクチンでは、何がアナフィラキシーの原因になるのか。 アレルギーに詳しい国立病院機構三重病院の長尾みづほ医師は「ワクチンに含まれる『ポリエチレングリコール (PEG)』という成分が疑われています」と話す。 ファイザーなどのワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝物質の一部を、こわれないように脂質の膜で包んでいる。 PEG は、この脂質の膜を安定した状態に保つために使われているという。 PEG は比較的ありふれた物質で、はみがきや化粧品、医薬品などに使われている。 PEG が原因のアレルギーも、珍しいが知られているという。

国内でも 14 日にファイザー社などのワクチンが特例承認されたが、含まれる成分に対してアナフィラキシーのような症状が出たことがある人は、接種を受けられない。 長尾さんは、PEG が原因のアレルギーがあると診断されている人や、過去に PEG にかぎらず何らかのアナフィラキシーを起こした経験のある人は、今回のワクチン接種を控えたほうがいいかもしれないという。 「場合によっては、PEGを含まない、別のタイプのワクチンが使えるようになるのを待つほうがいいかもしれません。」

では、卵やそばなどの食物アレルギーや、花粉症がある人はどうか

「あくまでもワクチンの成分に対してアレルギー反応を示すかどうかが問題で、食物アレルギーや花粉症の人でも過剰に心配する必要はない」と長尾さんは話す。 CDC は、ほかのワクチンや食べ物にアレルギーのある人も接種できるとしている。 そのうえで、念のため接種後 30 分と一般的な人よりも長めに、症状に変化がないか確認する時間をとることをすすめている。 ワクチン接種にかかわるアナフィラキシーは、頻度はまれだが、毎年のように報告されている。 厚生労働省によると、インフルエンザワクチンの接種後には、1 シーズンで約 20 件の報告があるという。

長尾さんも「医療機関ではつねに一定の注意をはらってワクチン接種が行われている」とし、接種後に様子をみる「経過観察」を重視する。 症状を訴える人が出たときに備えて、「接種会場で速やかに初期対応手順の確認は必要でしょう」という。 長尾さんは、「針先を見るのが苦手など、注射そのものに抵抗感がある人はいて、アナフィラキシーと関係なくても、接種後に気分が悪くなる人は出てくる」と指摘。 「事前にワクチンに関する情報を十分に集めたり心配な点は確認しておいたりすることが、当日の現場の混乱や思わぬ事故を防ぐことにつながると思います」と語る。 (野口憲太、asahi = 2-17-21)


コロナ感染者は 1 回接種すれば効果 仏公的機関が見解

フランスで医療政策の提言を担う高等保健機構 (HAS) は 12 日、新型コロナウイルスに一度感染した人は、接種は 1 回だけで十分な効果が得られるとの見解を公表した。 HAS によると、こうした見解を出すのは世界で初めて。 政府には回復した人には接種を 1 回にするよう勧告しており、ワクチンの供給不足が起きているフランスで「節約」の効果があると期待されている。

AFP 通信などによると、HAS は医療従事者から提供されたデータのほか、米国やイタリアで行われた研究を分析。 感染した人に 1 回だけ接種した場合、感染したことのない人に 2 回接種するよりも同じか、より多くの免疫が獲得できることがわかったという。 感染したことのある人への接種では、接種時に痛みを感じやすいほか、倦怠感や熱が出る傾向も報告されているという。

感染して半年ほどは抗体が残り、再感染を防げる可能性があるとの研究結果も出ており、HAS は感染から 3 - 6 カ月後に 1 回接種するのが効果的だとしている。 現在フランスで認可されているワクチンはいずれも 2 回の接種が必要。 同国では 340 万人以上が感染した一方、接種者は 222 万人にとどまる。 勧告に従えば 340 万回分以上が「節約」できることになる。 (パリ = 疋田多揚、asahi = 2-13^21)


WHO、変異ウイルスで「逃避変異」確認 ワクチン効果に影響も

WHO = 世界保健機関は日本でも感染が確認されている 3 種類の新型コロナの変異ウイルスについて、抗体から逃れることができる「逃避変異」が起きていると警告しました。 WHO は 9 日付の報告書の中で、南アフリカ、ブラジルに続いてイギリスの変異ウイルスでも、ウイルスを攻撃する抗体から逃れる、いわゆる「逃避変異」と呼ばれる変異が確認されたとしています。 「逃避変異」したウイルスは抗体の働きを弱めるため、ワクチンの効果にも影響を与えるおそれがあると指摘しています。

WHO によりますと、9 日時点で、イギリスの変異ウイルスは先週に比べ 8 か国多い 83 の国と地域で、南アフリカの変異ウイルスは 3 か国増えて 37 の国と地域で、ブラジルで見つかった変異ウイルスは 4 か国増えて 14 の国と地域で確認されているということです。 (TBS = 2-11-21)

◇ ◇ ◇

WHO、アストラゼネカ製ワクチン推奨 65 歳以上にも

世界保健機関 (WHO) は 10 日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大が開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を推奨する見解を示した。 専門家グループの助言を踏まえ、接種の対象を高齢者も含めた 18 歳以上の全年齢とし、8 - 12 週間の間隔を空けて 2 回接種することを勧めている。 このワクチンをめぐっては、高齢者を対象にした臨床試験(治験)のデータが限られるため、各国の判断が割れている。 フランスやドイツなど、欧州では、効果が確認されていないとして 65 歳以上は接種の対象から外す国が相次いでいる。

WHO は、高齢者の接種について治験のデータが少ないことを認めつつ、「ワクチンで誘発される免疫反応は高齢者の間でも十分に立証されており、高齢者にも有効である可能性が高い」と判断。 65 歳以上にも接種を推奨した。 また、南アフリカで最初に確認された感染が広がりやすい変異ウイルスに対しては、オックスフォード大が「軽 - 中度の症状を予防する効果は限定的」とする分析結果を発表。 南ア政府はこのワクチンの接種開始を見合わせた。

WHO は、南ア型の変異ウイルスへの効果については継続中の治験の結果を待たなければ断定できないとしつつ、「間接的な証拠から、重症化を防げると考えることに矛盾はない」とし、「変異ウイルスが存在する国でも接種を勧める」とした。 また、開発元は 2 回行う接種の間隔を 4 - 12 週間としているが、WHO は間隔は長くした方が効果が上がるとして 8 - 12 週間を推奨した。 勧告は暫定的なもので、治験などで新たなデータが出てくれば見直される可能性がある。

WHO の主任科学者のスーミャ・スワミナサン氏は 10 日の記者会見で、「もっといいワクチンが出てくるまで待とうとしないでほしい。 いまワクチンを打つことに勝るものはない。」と呼びかけた。 アストラゼネカは 5 日に日本でも、製造販売の承認を厚生労働省に申請した。 日本政府と 1 億 2 千万回分の供給契約を結んでいる。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 2-11-21)

◇ ◇ ◇

日本でも … 独自の "変異ウイルス" ゲノム解析で判明

慶応大学などの研究チームは、ウイルスの遺伝情報を調べる『ゲノム解析』を使って、日本国内でも去年夏に、新型コロナウイルスが独自に変異していたことを突き止めました。 研究チームが解析したところ、国内の新型コロナウイルスには、2 種類あることが分かりました。 1 つは去年の春、武漢からヨーロッパを経て入ってきた『欧米型』。 もう 1 つは、その欧米型が日本で変異した『国内変異型』です。 去年 5 月ごろに発生したと推定される、この「国内変異型」には重症化しにくいという特徴がありました。

慶応大学医学部・小崎健次郎教授 : 「もちろん年齢や性別などによって重症化に差がありますので、その部分を考慮に入れても、変異のある人の方が重症化しにくかった。」

理由は、ウイルスが体内に入った後の動きが違うためだといいます。 ウイルスが体内で増殖するためには、ヒトの細胞内で、自らの遺伝子から作られるタンパク質を解き放つ必要があります。 変異型は、この解き放つ役割をするメインプロテアーゼという酵素の働きが弱いことが分かりました。

慶応大学医学部・小崎健次郎教授 : 「メインプロテアーゼを弱めるような薬を使えば、患者さん(の症状)が少し軽くなるかもしれないということは推論できる。 強い、弱いの情報以外に、薬を作ることにも重要な情報が得られるし、そういったことを日本中の研究者が早い段階で共有できていれば、色んなことが前に進みやすいだろうという気持ちは振り返ってみてある。」

一方、イギリス型など世界で感染が拡大している変異ウイルスすべてに、共通の変異が確認されました。 WHO (世界保健機関)が公表した報告書によりますと、ウイルスを攻撃する抗体から逃れる『逃避変異』が確認されたということです。 つまり、ワクチンの効き目が弱まる可能性があります。 そして、慶応大学などの研究チームが突き止めた、重症化しにくい国内の変異ウイルス。 世界に公開されている日本のデータで、感染者における変異型の占める比率を調べると、第 2 波だった去年 7 月をピークに減り初め、その後、変異前の『欧米型』が占めるようになっていました。

慶応大学医学部・小崎健次郎教授 : 「(Q. 今の主流は弱いものではない?) 弱いものが、ほとんどなくなっている。 今回の公表にあたって、気を緩めていいということにはならないのは強調したい。」

なぜ、重症化しにくい変異型が減ったのか、理由は分かっていません。

慶応大学医学部・小崎健次郎教授 : 「幸い日本では、国内で変異によって強くなったウイルスは、外から来たものを除いては発生していないことが分かって、今回逆に、今のところ数は減っているが弱くなる変異が見つかったことになる。 裏を返せば、日本国内においても強くなる変異が自然に発生する可能性はあるので、それは見張っておく必要がある。」 (テレ朝 = 2-11-21)


「2 重マスク」は効果倍増 機能を最大限に生かすには

サージカルマスクの上に布マスクを重ねて着用することで、せきなどの飛沫の拡散を阻止する効果が劇的に上がるという研究結果を米疾病対策センター (CDC) が 10 日、発表した。 マスクのフィット感を高め、隙間をなくすことで、機能を最大に生かすことができるという。 新型コロナウイルスの感染拡大防止に有効としている。 実験では、頭部の模型にマスクを着けて、口から新型コロナの主要感染源である飛沫を模した 0.1 - 7 マイクロメートルの粒子を出した場合、どれぐらい通過するかを調べた。 3 層のサージカルマスク、3 層の綿製の布マスクを着けた場合はそれぞれ、粒子を 42.0%、44.3% 阻止したが、2 重マスクでは阻止率が 92.5% に倍増した。

また、マスクを 2 重にすることで、同じ空間にいる他人が飛沫を吸い込む量だけでなく、自身が他人の飛沫を吸い込む量も同等に減っていた。 サージカルマスクの耳にかけるひもを縁で結んで、ひだを作ることで隙間を減らすことも、有効だという。 CDC のワレンスキー所長は「鼻と口を隙間なく覆ってほしい。 きちんとフィットしたマスクは、自身や他人を守るためにとても重要だ。」と話した。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 2-11-21)


ファイザーワクチンの効果「変異ウイルスの影響小さい」

米製薬大手ファイザーやドイツのバイオ企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、英国や南アフリカなどで報告されているウイルスの変異がワクチンの効果に与える影響は小さいとする研究結果を、同社などのチームがまとめた。 米医学誌「ネイチャーメディシン」に 8 日、発表した。 チームは、英国の変異ウイルスに似せたウイルスと、南アフリカの変異ウイルスに似せたウイルス、両方に共通する変異を入れたウイルスの三つのウイルスを人工的に作製。 ワクチンの有効性を確認する臨床試験に参加し、すでに接種を受けた 20 人の血液成分を使って、それぞれのウイルスの増殖を抑えるのに必要な濃度を調べた。

その結果、変異前のウイルスに比べ、三つのウイルスの増殖を抑えるのに必要な血液成分の濃度は平均で 0.81 - 1.46 倍の違いがあった。 インフルエンザのウイルスでは、4 倍以上の違いがあるとワクチンを変える指標になることから、チームは「(ワクチンの効果に対する)変異の影響は小さいと示唆される」と説明。 一方、あくまで血液成分で調べた結果であることなどから、「変異ウイルスに対するワクチンの有効性についてしっかりした結論を出すには、(実際に人に接種して確かめる)臨床データが必要」としている。  論文は ウェブサイト で読める。 (野口憲太、asahi = 2-9-21)


「中国製ワクチンは変異加速させる恐れ」 仏マクロン大統領が警告
科学的情報少なく効果不透明、専門家「可能性は理論上ある」 政治的背景を指摘する声も

コロナ収束の切り札と期待されるワクチンの開発・確保競争が熾烈さを増すなか、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、中国製ワクチンを疑問視する発言を繰り出した。 ワクチンに関する情報の不透明さをあげつらい、新たな変異株の発生を促す可能性にまで言及した。 発言の裏に何があるのか。

マクロン氏は 4 日、米シンクタンク、大西洋評議会のイベントで、中国のワクチンに関し、「(科学的な)情報が全くない」と批判した。 さらに「もしワクチンが不適切なものであれば、新たな変異株の発生を促し、状況改善につながらない」と続けた。 マクロン氏の発言は事実に即したものなのか。 「中国製ワクチンについては、データが少なく、効果もばらつきがある」と指摘するのは、東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)だ。 「米ファイザー社やモデルナ社のワクチンについては有効性や治験対象者などの情報について論文で公開されている。 中国製については一部で被験例の論文も出ているが圧倒的に少なく、まだ信頼性は低い。」と語る。

ファイザーやモデルナなど「mRNA ワクチン」と、中国製の「抗原(不活化)ワクチン」では性能に違いもあるという。 児玉氏は、「mRNA ワクチンが、ウイルスを攻撃する細胞性免疫と、細胞へのウイルス侵入を抑える抗体の両方を誘導するのに対し、抗原ワクチンは抗体しか誘導しない」と解説する。 ワクチンが変異株の発生を促す可能性はあるのか。 児玉氏は「変異はウイルスの表面にあるスパイク (S) タンパク質遺伝子の変化で起きる。 本来ワクチンは S タンパク質のほとんどの部分に対応できるよう製造されるが、コストをかけずタンパク質の一部にしか対応できないワクチンの場合、淘汰されるべき変異株の生存を助長し、流行させる契機になる可能性は理論上ある」という。

マクロン氏は前述のイベントで、中国のワクチン外交について、「指導者として少し屈辱的でもある」とした上で、世界保健機関 (WHO) など多国間の支援枠組みの方が長期的により効果的となり得ると訴えた。 マクロン氏の中国ワクチン批判について「効果が分からないまま安価なワクチンが流通することで、『悪貨が良貨を駆逐する』ことへの懸念もあるのではないか」と児玉氏はみる。

政治的な背景もある。 中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏はこんな見方を示した。 「中国が覇権を強める南太平洋にはタヒチやニューカレドニアなどフランス領もあり、利害関係は小さくない。 マクロン氏は日本と米国、オーストラリア、インドによる中国包囲網『QUAD (クアッド)』も積極的に評価している。 ワクチンは別問題と思われていたが、ここで中国批判に用いたのではないか。」 (ZakZak = 2-7-21)


インド製薬会社が 11 億回分ワクチン提供へ 世界分配枠組みに

新型コロナウイルスのワクチンを世界に公平に分配する枠組み「COVAX ファシリティ」で、ワクチンの供給に向けて運営に関わるユニセフ = 国連児童基金は、インドの大手製薬会社から 11 億回分のワクチンの提供を受けることで合意したと発表しました。 「COVAX ファシリティ」は、新型コロナウイルスのワクチンを世界に公平に分配するため、WHO = 世界保健機関などが主導して立ち上げた枠組みで、途上国を含めた世界190の国や地域が参加し、ワクチンの供給に向けて、ユニセフなどが国際的な団体とともに運営に関わっています。

これについてユニセフのフォア事務局長は 3 日、記者会見し、インドの大手製薬会社「セラム・インスティチュート・オブ・インディア」からアストラゼネカとノババックスのそれぞれが開発するワクチンの提供を、長期的に合わせて 11 億回分、受けることで合意したと発表しました。 インドはワクチンの製造が盛んで、この製薬会社はアストラゼネカとノババックスのワクチンを大量生産する契約を結んでいます。

COVAX としては、世界各地の医療従事者のほか、高齢者などリスクの高い人たちに優先的に接種すべきだとして、年末までに世界に 20 億回分余りのワクチンを供給することを目指していて、ことしの上半期には、途上国などを中心に 145 の国と地域に分配を始める計画です。 (NHK = 2-4-21)


露ワクチン「有効性 91.6% 確認、重篤な副反応もなし」 … 独首相が導入に関心

【モスクワ = 工藤武人】 英医学誌ランセット(電子版)は 2 日、ロシアが開発した新型コロナウイルスワクチン「スプートニク V」について、最終段階の臨床試験(治験)で 91.6% の有効性が確認されたとする結果の中間分析を掲載した。 ランセットによると、ワクチンを開発したガマレヤ国立疫学・微生物学研究所などが実施した臨床試験には 1 万 9,866 人が参加した。 重篤な副反応もみられなかったという。

ドイツのメルケル首相は 2 日、独公共放送 ARD のインタビューで、「ロシアのワクチンについて良いデータを目にした」と述べ、導入に関心を示した。 ロシア政府は昨年 8 月、スプートニク V を臨床試験の最終段階が完了しないまま承認し、安全性に懸念が出ていた。 権威ある医学誌が有効性を評価したことで、ワクチン外交を精力的に展開するプーチン政権にとっては追い風となる。 (yomiuri = 2-3-21)


65 歳以上の接種推奨せず 英アストラゼネカのコロナワクチン - 独当局

【フランクフルト】 英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、ドイツの政府関係機関が、65 歳以上の高齢者への接種を推奨しないとの見解をまとめた。 欧米メディアが 28 日報じた。 アストラゼネカのワクチンについては、日本政府も昨年 12 月に 6,000 万人分の供給を受ける契約を締結。うち 1,500 万人分は 3 月までに提供されることになっており、同社はそれまでに日本での薬事承認を申請する方針。 また、4,500 万人分が兵庫県の製薬会社によって国内でも生産される予定。

報道によると、独政府に予防接種政策について助言する予防接種常任委員会 (STIKO) は、同社のコロナワクチンについて接種対象年齢を 18 歳から 64 歳に限定するよう勧告した。 「65 歳以上の高齢者に対するワクチンの有効性を評価するためのデータが不十分」と指摘したという。 欧州連合 (EU) の欧州医薬品庁 (EMA) は 29 日にもアストラゼネカ製ワクチンの承認を判断する見通しだが、同社は EU 向けのワクチン供給が大幅に遅れると先週通告し、ドイツを含む加盟国から批判の声が上がっていた。 (jiji = 1-29-21)

◇ ◇ ◇

英アストラゼネカ 日本国内でワクチン生産を近く開始へ

新型コロナウイルスのワクチンを供給する契約を政府と結んでいるイギリスの製薬大手「アストラゼネカ」は、日本国内でワクチンを製造する体制を整え、近く生産を始める方針です。 「アストラゼネカ」は、去年 12 月に 1 億 2,000 万回分の新型コロナウイルスのワクチンを国内に供給する契約を政府と結び、このうち、3 月までに 3,000 万回分を輸入する見通しです。

会社によりますと日本に速やかにワクチンを供給するため、兵庫県にある医薬品メーカーなどにワクチンの製造を委託し、近く、生産を始める方針です。 アストラゼネカのワクチンは、現在、臨床試験が行われ、厚生労働省の承認が得られれば日本の製造拠点から最大で 9,000 万回分が供給されるとみられます。 ワクチンの供給はヨーロッパなどで予定より遅れていて、会社では、日本国内でワクチンを製造する体制を整えて安定供給に努めたい考えです。 (NHK = 1-28-21)

◇ ◇ ◇

アストラゼネカ製ワクチン、独は 65 歳以上への効果疑問視 = 報道

[フランクフルト] 英製薬大手・アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを巡って、ドイツ当局は、65 歳以上の人への予防効果があまり高くないことから、欧州連合 (EU) による承認が得られないのではないかと危惧している。 ビルト紙などが報じた。 (Reuters = 1-26-21)

◇ ◇ ◇

英国、アストラゼネカのワクチン承認 日本にも供給予定

英国政府は 30 日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大が開発した新型コロナウイルスのワクチンを承認したと発表した。 このワクチンの承認は世界で初めて。 来月 4 日から接種が始まる。 このワクチンは、日本政府が 1 億 2 千万回分(6 千万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。 今回の承認で、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテック、米バイオ企業モデルナに続き、日本に供給予定の三つのワクチンはいずれも海外で使用が認められる形になった。

アストラゼネカのワクチンは、「RNA」と呼ばれるウイルスの遺伝物質を使ったほかの二つとはタイプが異なり、遺伝子組み換え技術を使っている。 弱毒化したチンパンジーの風邪のウイルスに、新型コロナウイルスの遺伝情報を組み込んでつくる。 2 回接種で、大規模な臨床試験(治験)では、発症を防ぐ効果は平均 70% と報告された。 ファイザーやモデルナのワクチンは零下 20 - 70 度での保存が必要とされる。 一方、アストラゼネカのワクチンは普通の冷蔵庫と同じ 2 - 8 度で保存できるため扱いやすく、接種を大規模に広めやすいとされている。 英国ではファイザーのワクチンが 2 日に承認され、8 日から接種が始まった。 英国政府によると、20 日までに 60 万人以上が接種を受けた。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 12-30-20)

◇ ◇ ◇

WHO も「追加試験が必要」 アストラゼネカのワクチン

英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大が開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、世界保健機関 (WHO) の主任科学者スーミャ・スワミナサン氏は 27 日の記者会見で「追加の臨床試験(治験)が必要になる」との認識を示した。

アストラゼネカが 23 日に発表した最終段階の治験の暫定結果によると、通常の半分の量を投与され、1 カ月以上間隔をあけて通常の量を投与された 2,741 人では有効性は 90% だった。 さらに、2 回とも通常の量を投与された 8,895 人では有効性は 62% だった。 平均すると有効性は 70% だった。 スワミナサン氏は、より高い効果が確認された「半量 + 通常量」の投与を受けた人たちは全員が 55 歳以下と比較的若く、通常量を 2 回投与されたグループにはより幅広い年齢層が含まれていたとして、「この二つのグループを比べるのはとても難しい。 明確な結論を出すには人数が少なすぎる」と指摘。 「少ない用量の方がよりよい効果があるという仮説を探究するなら、試験が必要になるだろう」と語った。

アストラゼネカのソリオ最高経営責任者 (CEO) は米ブルームバーグが 26 日に報じたインタビューで、追加試験を実施する意向を明らかにしている。 英国では 27 日、政府が規制当局に承認審査の開始を正式に要請したと発表したが、ソリオ氏は、追加試験によって英国や欧州連合 (EU) による承認審査の手続きが遅れることはないという見方を示した。 アストラゼネカのワクチンは、開発が成功した場合、日本政府は 1 億 2 千万回分の供給を受けることで基本合意している。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 11-28-20)

◇ ◇ ◇

英アストラゼネカのワクチン「有効性 70%」 暫定結果

新型コロナウイルスのワクチンを開発している英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大は 23 日、「有効性は 70%」とする最終の臨床試験(治験)の暫定結果を発表した。 データは英国、欧州、ブラジルの規制当局に提出し、早期の承認を目指すという。

同大によると、通常の量を 2 回投与したグループだと病気の予防効果は 62% だったが、1 回目に半分の量を、2 回目に通常の量を投与したグループだと 90% で効果があった。 ワクチンに関連した重症例は確認されなかった、としている。 ワクチンは 2 - 8 度という通常の冷蔵施設の温度で保管できるメリットがある。 開発に成功した場合、日本政府は 1 億 2 千万回分の供給を受けることで基本合意している。 今回の治験には英国、ブラジル、南アフリカで 2 万 4 千人以上が参加している。 (ロンドン = 下司佳代子、asahi = 11-23-20)

... - 7 - 8 - 9 - 10 - 11 - 12 - 13 - 14 - 15 - 16 - 17 - ...