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WHO、新型コロナ「消滅しない可能性」 終息に長い道のり

[ジュネーブ] 世界保健機関 (WHO) で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は 13 日、新型コロナウイルスがヒト免疫不全ウイルス (HIV) と同様、消滅しない可能性があるという見方を示した。 同氏は「新型コロナがエンデミック(一部の地域で通常の範囲内で広がっている状態)になり、決して消滅しない可能性がある」とした上で「現実的に考えることが重要で、新型コロナの消滅時期は誰も予想できないと思う。 新型コロナは長期的な問題に発展するかもしれず、そうならないかもしれない」と語った。

新型コロナの流行で休止状態にあった経済は、再開に向けた動きが世界で広がっているものの、終息に向けた「道のりはまだ長い」との認識を示した。 ライアン氏は、新型コロナに絡むリスクは「国、地域、世界レベル」で依然高いと指摘。 「新規感染を検出する能力を持たずにロックダウン(都市封鎖)措置を緩和すれば、公共衛生と経済破綻の悪循環に陥ると懸念している」と述べた。 (Reuters = 5-14-20)


コロナ再感染は「偽陽性の公算」韓国で進む研究
再検査で陽性となった患者からの感染例はなし

[ソウル] 韓国の保健当局は今年 4 月、新型コロナウイルス感染症から回復した患者がその後の検査で再び陽性と判定された事例を多数報告し、新型コロナを巡って「再感染」という新たな懸念が浮上した。 再感染が起こり得るなら、隔離措置やワクチン開発などに厄介な問題が生じる。 しかし、その後の研究で、再陽性の判定が出たのは、感染力がなさそうなウイルスの微細な断片が患者の体内に残っていたためであり、実際には「偽陽性」だと見られることが分かってきた。 韓国疾病予防管理局 (KCDC) によると、こうした事例は 6 日までに 350 件余りが報告されている。

何が起きたのか

韓国では新型コロナの治療を終えた患者が増えるにつれて、気がかりな動向が見つかった。 治癒したと見える患者の一部が、その後の検査で再び陽性と判定されたのだ。 当局は再感染やウイルスの再活性化など、いくつかの仮説について検証。 政府の専門家委員会は前週、再検査の結果は「偽陽性」との説が最も有力だと結論づけた。 韓国は新型コロナウイルス検査に、ウイルスの遺伝物質を検出する「RT-PCR」法を採用している。 RT-PCR 法は素早い判定が可能で、新型コロナに感染したかどうかを判定する精度が最も高いと考えられている。

しかし、中央大学のワクチン開発専門家の Seol Dai-wu 氏によると、RT-PCR 法は一部の事例でウイルスの古い断片を検出している可能性がある。 こうした断片は患者にとっても他の人にとっても、もはや重大な危険はなさそうだという。 Seol 氏は「RT-PCR 法の検査機器は、感染力を持つウイルス片と、感染力を持たないウイルス片を区別することができない。 ウイルスの断片があるかどうかを判定するだけだ。」と述べた。

KCDC によると、回復後の検査で再び陽性となった事例の背後に、こうした「偽陽性」が隠れている公算が大きいという。 KCDC の鄭銀敬局長は 6 日、ウイルス片が死んだウイルス細胞の一部であるとの仮説を裏付ける証拠集めが続いていると述べた。 患者は新たな呼吸器症状を発症したか、当局から再検査の対象に選ばれた場合に再検査を受けていた。 KCDC によると、4 月半ばまでに再検査を受けた回復患者の半分弱が症候のある人だったが、こうした症状は新型コロナウイルスが引き起こしたものではなさそうだという。

まだ感染力があるのか

いったん回復した後の検査で、陽性と判定された患者が感染を広げることはなさそうだ。 鄭局長によると、KCDC の調査では回復後の再検査で陽性と判定された患者から感染が起きた事例は 1 件も見つかっていない。 KCDC は、回復後に症状を再発したように見える患者についてウイルスを培養する検査を実施しており、この作業では信頼に足る結果が判明するまでに 2 週間余りを要する。 6 日までに培養試験を完了した 29 例すべてで、判定は陰性に戻った。 少なくとも 79 例でまだ培養試験が続いている。

鄭局長は「再発事例のウイルスには、ほとんど、あるいは全く感染力がない」と述べた。 こうした事例を調べる専門家チームのリーダー、ソウル大学病院の Oh Myoung-don 医師によると、新型コロナウイルスは B 型肝炎やエイズウイルス (HIV) と異なり、宿主細胞の核には侵入しない。 このため慢性的な感染を引き起こすことはなく、再活性化の可能性は非常に低いという。 当局は新型コロナウイルスの抗体ができたかどうかについても検査を進めており、患者に接触した人々について検査や観察を行っている。 (Reuters/東洋経済 = 5-10-20)


新型コロナの抗体を発見 診断薬や検査薬への応用に期待

新型コロナウイルスを識別して無力化する抗体が見つかった。 花王(本社・東京)と埼玉大発のバイオベンチャー・EME などの研究チームが 100 億種類以上の候補の中から分離に成功し、7 日発表した。 診断薬や検査薬への応用が期待される。 抗体はウイルスなどに結合するたんぱく質。 チームは、ラクダ科動物に由来し、一般的な抗体の 10 分の 1 の大きさで構造も単純な「VHH 抗体」と呼ばれる抗体を候補にして探索。 新型コロナウイルスによく結びつくが、風邪を起こす他のコロナウイルスには結びつかないと期待できるものを見つけた。

新型を効率よく見分けるため、チームは抗体を外部の研究機関に提供するなどして、PCR 検査より早い診断・検査への応用を目指す。 VHH 抗体は改変が容易でウイルスの変異にも対応しやすいうえ、大量生産にも向いているという。 北里大の協力で、この抗体がウイルスの細胞への感染を抑えることも確認した。 治療薬への応用はすぐにはできないが、花王の安全性科学研究所の森本拓也さんは「新型コロナウイルスに対する強い武器の一つになることを祈っている」と話した。 (藤波優、asahi = 5-7-20)


コロナ感染歴ある子どもに「川崎病」症状 欧米で相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、子どもに多い原因不明の難病「川崎病」に似た症例の報告が欧米で相次いでいる。 多くが新型コロナの感染歴があり、大人でも似た症状の人がいる。 新型コロナとの関連が指摘されている。 米ニューヨーク市の保健局は 4 日、2 - 15 歳の 15 5人で「多臓器炎症型疾患」が確認されたと発表した。 川崎病に似た症状で、高熱や発疹、腹痛、吐き気、下痢などがみられたという。 そのうち 10 人が新型コロナの PCR 検査や抗体検査で陽性が判明し、感染歴があることが分かった。いずれも亡くなってはいない。

同じような症例は、英国やフランス、スペイン、イタリアなど欧州で相次いで報告されている。 免疫の過剰反応で、血管に炎症が起き、血栓ができやすくなる。 新型コロナに感染した大人からも見つかっている。 世界保健機関 (WHO) の感染症専門家マリア・ファンケルクホーフェ氏は、「新型コロナに感染した子どもの多くは症状が軽く、重症化する例は少ない。 多臓器炎症を起こす例はとてもまれだ。」と指摘。 一方、ウイルスとの関連が疑われるため、現場の医師らで遠隔会議を開いて情報交換しているという。

川崎病は 1967 年、旧日赤中央病院(東京都)に務めていた小児科医の川崎富作さんが初めて報告した。 全身の血管に炎症が起きる。 疫学的にはアジア系、とくに日本人に多いとされている。 日本での全国調査(2018 年)では、患者の割合は 0 - 4 歳の人口 10 万人のうち約 360人程度で、死亡率は 0.03% となっている。 遺伝的要因のほか、流行に地域性や季節性があるため、細菌やウイルスなどの感染が原因との説がある。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 5-6-20)


「人への感染」始まりは昨年末、遺伝子解析で確認 新研究

新型コロナウイルスの人への感染は昨年末に始まり、猛烈な速さで世界中に広がったことが、英国の研究者らによる遺伝子データの解析で確認された。 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) のフランソワ・バロー教授らが世界各地の感染者 7,600 人以上から検出されたウイルスの遺伝子データを解析し、感染遺伝学の専門誌に査読済みの論文を発表した。

それによると、チームは世界の科学者らが新型ウイルスの遺伝子データを共有している大規模なデータベースを使い、各地で異なる時期に検出されたウイルスの変異状況を調べた。 全てのウイルスの変異をさかのぼった結果、昨年末の時点に共通の起源があるとの仮説が裏付けられた。 人への感染はここで始まったことが確認され、以前から感染が広がっていたとする説は否定された。

これまでの研究によると、新型ウイルスはコウモリに由来し、さらに別の動物を介して人に感染したとみられる。 最初の感染者は昨年 12 月、中国・武漢市で報告された。 一部の医師らは、感染が何カ月も前から静かに広がり、すでに多くの人が免疫を獲得している可能性に期待を寄せてきた。 バロー氏は「私自身もそれを期待していた」としたうえで、実際の感染者は多くても世界人口の 1 割程度だろうと述べた。

バロー氏によると、新型ウイルスは猛烈な速さで世界のほぼ全ての国に拡散した。 欧米諸国でも、最初の感染例が報告された 1 - 2 月より何週間、場合によっては何カ月も前から広がっていたことがうかがえる。 同氏は一方で、新型ウイルスが変異を繰り返しているからといって、悪い方向に変化しているとは言い切れないと指摘。 ウイルスの感染力や毒性が強まっているかどうかは、今のところ断定できないと語った。 (CNN = 5-6-20)


フランス初の感染者は去年 12 月 妻が空港近くで勤務

フランスで去年 12 月に新型コロナウイルスへの感染者がいたことが分かりました。 フランスで初めて感染者が確認されたのは、これまで 1 月下旬だとされていました。 フランスメディアによりますと、パリ近郊の病院に肺炎で去年 12 月に入院した 40 代男性患者の検体を改めて検査したところ、新型コロナウイルスへの感染が確認されたということです。

検体はインフルエンザなどへの感染を調べるために 12 月 27 日に採取されて保存されていました。 男性はその後に回復して退院しています。 男性に中国への渡航歴はありませんが、男性の妻が空港近くで働いていて、中国人と接点があったということです。 妻に発熱などはありませんでしたが、子どもはインフルエンザのような症状を発症していました。 フランスではこれまで最初の感染者が確認されたのは 1 月 24 日でしたが、実際にはそれよりも早く感染が広がり始めていた可能性が指摘されています。 (テレ朝 = 5-6-20)


新型コロナ、研究所起源の可能性は「極めて低い」 5 カ国情報協定

ワシントン : 米国が英語圏 4 カ国と機密情報を共有する枠組み「ファイブアイズ」が、新型コロナウイルスの起源は中国・武漢の研究所だとするトランプ米大統領らの主張について、「可能性は極めて低い」との見解を示していることが分かった。 ファイブアイズは米国と英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの情報機関が密接に連携する多国間協定の枠組み。 共有情報に詳しい欧米外交当局者の 1 人は、研究所からの流出事故だったとは非常に考えにくく、動物から人間に偶然感染した可能性が極めて高いと述べた。

同当局者は一方で、中国側の協力姿勢や透明性が改善されない限り、確実なことは言えないと指摘した。 ファイブアイズ加盟国の別の当局者も CNN に、内部はこうした見解で一致していると語った。 同じく加盟国のもう 1 人の情報筋は CNN とのインタビューで、研究所起源説を確信するトランプ氏やポンペオ国務長官の立場はファイブアイズの見解からかけ離れていると主張。 新型ウイルスが研究所から出た可能性は残っているものの、今のところ裏付けはないと強調した。

同情報筋によると、「感染拡大が武漢の市場から始まったことは明らか」だが、新型ウイルスがどのようにして市場まで到達したかははっきりしていない。 同情報筋はまた、米国が情報を全て共有しているとは限らないとも語った。 ファイブアイズの加盟国間では大半の情報が共有されているが、中にはごく一部、各国が外へ出していない情報もある。 トランプ氏とポンペオ氏はこれまでに、新型ウイルスが研究所に由来することを示す証拠はあると公言している。 (CNN = 5-5-20)


レムデシビル、承認手続き開始 米認可受け特別適用 厚労相「申請から 1 週間で」

新型コロナウイルス感染症の治療薬候補の抗ウイルス薬「レムデシビル」を米国が認可したことを受け、厚生労働省は 2 日、海外での承認などを条件に緊急時に審査手続きを大幅に短縮できる「特例承認」を適用し、薬事承認する手続きに入った。 承認されれば国内初の新型コロナ治療薬となる。

政府は 2 日午後、閣議を持ち回りで開き、レムデシビルに特例承認が適用されるよう政令を改正した。 加藤勝信厚労相は「企業から承認申請が近日中になされると聞いている。 申請があれば 1 週間程度で承認できるよう、態勢を整えておく指示をした。」と述べた。 レムデシビルは、エボラ出血熱の治療を目的に米ギリアド・サイエンシズが開発。 同社が発表した臨床試験(治験)結果では、新型コロナ感染者に投与した場合、一定の効果が出た。 特に重症患者への効果が期待されている。

薬の承認は、国内での治験に基づき通常は 1 年ほどかけて審査される。 政府は 4 月末、レムデシビルについては緊急の使用が必要として、他国の承認に基づき販売を認める医薬品医療機器法の特例承認を適用する方針を表明していた。 厚労省はギリアド社からの申請後、薬事・食品衛生審議会を開き、レムデシビルの安全性などについて意見聴取する方針だ。 同じく新型コロナ治療薬の候補である国内メーカー開発の抗インフルエンザ薬「アビガン」については、現時点で海外での販売見通しが不透明なこともあり、特例承認の対象とせず国内での治験を進めている。 (jiji = 5-2-20)

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コロナ薬候補「レムデシビル」、米中で治験結果分かれる

新型コロナウイルス治療薬候補「レムデシビル」の臨床試験(治験)で、米国と中国で異なる結果が出た。 米国立衛生研究所 (NIH) が 29 日に公表した結果では回復を早める効果が確認されたが、中国のグループが英有力医学誌に発表した論文では「効果はみられなかった。」 2 つの結果の違いについては、NIH からの詳細な報告を待つことになりそうだ。

治療効果を判断するには、厳密に管理した大規模な人数での治験結果が必要だ。 新型コロナウイルスの重症患者にレムデシビルを投与する治験は世界各国で進んでおり、5 月後半にも結果がまとまる。 米国の治験に参加している国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「進行中の治験は他にもあり、それぞれの治験の結果を慎重に検討する必要がある」とコメントした。

NIH は米国や日本など各国の 68 の医療機関が取り組む治験の一部を分析した。 1,063 人が対象で、レムデシビルを投与した患者は平均 11 日で回復したのに対し、投与しなかった患者は 15 日かかった。 回復を早める効果が確認できたと分析した。 レムデシビルを開発する米医薬大手ギリアド・サイエンシズは 29 日、5 日程度の投与でも効果が期待できるとする治験結果を発表した。 治療効果があると確定すれば、投与期間を短くでき、多くの患者に使える可能性がある。

一方、中国の研究グループは、湖北省の 10 の病院で重症患者を対象にした治験結果を英ランセット誌に発表した。 それによると、投与した 158 人と、しなかった 79 人で、症状の改善に差はなかったという。症状が現れてから 10 日以内に投与した患者に限ると回復は早かったが、症例数が少ないため結論を避けた。 この治験は患者 452 人を目標にして進められていたが、都市封鎖などの効果で患者が激減し、予定していた患者が集まらずに途中で打ち切られた。

治験に詳しい富山大学の折笠秀樹教授は「治療の効果の評価法が異なる」と話し、単純に比較できないと分析した。 中国の治験について、投与した患者には高齢者が多く持病があったことから、効果が現れにくかった可能性も指摘した。 米中の治験はどちらも主治医も患者も偽薬か本物の薬かを知らされない「二重盲検」と呼ぶ方法で、患者は無作為に治療薬か偽薬のどちらかを割り当てられた。 医師や患者の新薬に対する期待感などの影響を排除できる。 (nikkei = 4-30-20)

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「レムデシビル」 5 月承認へ コロナ治療薬、手続き大幅短縮 - 「アビガン」治験継続

政府は 28 日、新型コロナウイルス治療薬の候補となっている抗ウイルス薬「レムデシビル」について、5 月中に薬事承認する方向で調整に入った。 厚生労働省幹部によると、ドイツや米国で近く承認されれば、緊急対応として国内での審査を簡略化し、1 週間程度で国内初めての新型コロナ治療薬として承認する方針だ。 一方、国内メーカーが開発した抗インフルエンザ薬「アビガン」は治験を当面続ける。

安倍晋三首相は 28 日の衆院予算委員会で、「レムデシビルの『特例承認』に向けて作業を進めている」と明言。 ワクチン開発なども進めば「重症者と死亡者を抑制することが可能になる」と期待を示した。 レムデシビルはエボラ出血熱の治療を目的に米ギリアド・サイエンシズが開発。 日米などが共同で新型コロナウイルスへの有効性を調べる治験を行っており、特に重症患者への効果が期待されている。

薬の承認は通常、国内での治験に基づき 1 年ほどかけて審査が行われる。 レムデシビルについては、緊急の使用が必要で、かつ外国で販売が認められている場合に審査手続きを大幅に短縮できる「特例承認」を適用する。 ただ一部海外メディアは中国でのレムデシビルの治験で効果が確認されなかったと報道。 厚労省幹部によると、ドイツや米国では 5 月中旬までに承認される見通しとされるが、作業が遅れれば日本での承認もずれ込むことになる。 同じく新型コロナ治療薬の候補であるアビガンについては、現時点で海外での販売見通しが不透明なこともあり、「特例承認」の対象とせず、国内での治験を進める。 (jiji = 4-28-20)

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新型コロナ感染者が急回復 米社の抗ウイルス薬 - 報道

【ニューヨーク】 米医療関連ニュースサイトの STAT は 16 日、米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬「レムデシビル」の臨床試験(治験)で、新型コロナウイルスに感染した患者が急速に回復していると報じた。 STAT によると、重症の 113 人を含む 125 人の新型コロナ患者を対象としたシカゴ大医学部による治験で、レムデシビルを毎日投与したところ、発熱や呼吸器症状が著しく改善し、1 週間以内にほぼ全ての患者が退院した。 死亡したのは 2 人のみだったという。

ギリアドは STAT に対し、「進行中の治験のデータが利用可能になることを楽しみにしている」と述べた。 トランプ大統領は先月、レムデシビルについて「非常に良い結果が得られたようだ」と述べ、有望な治療薬になり得るとの見方を示していた。 (jiji = 4-17-20)


「アビガン」 80 カ国近くから要請 茂木外相「ものすごく関心高い」

茂木敏充外相は 30 日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症の治療薬として効果が期待される国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」について、80 カ国近くから提供要請を受けていることを明らかにした。 政府は希望する国々に無償提供を行っており、30 日時点で 39 カ国への供与を調整済みとした。 茂木氏は「各国の外相と電話会談やテレビ会談を行っているが、率直に言ってアビガンへの関心はものすごく高い」と述べた。 また、治療薬の開発に関し、「官民の取り組み強化、国際協力を進めており、わが国の姿勢や成果についてもしっかり対外発信していきたい」と強調した。 (sankei = 4-30-20)

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アビガンの臨床試験、米国で患者投与へ 富士フイルム

新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待される「アビガン」について、富士フイルムは 9 日、少数の患者に投与する臨床試験を米国で始めると発表した。 「フェーズ 2」と呼ばれる試験で、50 人の新型コロナ患者に投与し、効果や安全性を確かめる。 フェーズ 2 で問題がなければ、多数の患者に投与する最終試験である「フェーズ 3」に進む。アビガンは、日本では 2014 年に抗インフルエンザ薬として承認を受けている。

新型コロナ感染症にはまだ治療薬がなく、世界で開発が進められている。 世界保健機関 (WHO) などは抗 HIV 薬として開発された薬などの効果を確かめる臨床研究を進めている。 日本政府は新型コロナ対策としてアビガンを 200 万人分、備蓄する方針だ。 (asahi = 4-9-20)

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ドイツが日本の「アビガン」など調達へ 新型コロナ治療薬として

ドイツ政府は新型コロナウイルスの治療薬として、日本で開発されたインフルエンザ治療薬「アビガン」を含む複数の薬を調達すると明らかにしました。 アビガンは、富士フイルム傘下の製薬会社が開発したもので、ドイツメディアによると、調達量は数百万錠になるとみられます。 アビガンについてドイツの感染症対策の第一人者は「かなり有力な薬だ」と評価していて、重症患者に投与される方針です。

一方、アメリカ・ピッツバーグ大学医学部の研究チームは開発中の新型コロナウイルスのワクチンをマウスに投与したところ 2 週間以内に、新型コロナウイルスを中和するのに十分な抗体が生成されたと学術専門誌に発表しました。 FDA = アメリカ食品医薬品局に申請し、今後、数か月以内に臨床試験を始めたいとしています。 (TBS = 4-3-20)


楽天、コロナ検査キットを一時販売停止「性能問題ない」

楽天は 30 日、新型コロナウイルスの検査キットの販売を一時停止すると発表した。 キットをめぐっては日本医師会が「結果が信用できず、混乱を招く」と批判していたが、楽天の広報担当者は「キットの性能に問題はなく、医師会の指摘は今回の決定に関係ない」と話した。

楽天などによると、販売を一時停止するのは、キットを開発した遺伝子検査会社のジェネシスヘルスケアの創業者で代表取締役の佐藤バラン伊里氏が 28 日に辞任したことが理由という。 ジェネシス社によると、当初は医療関係者向けだったキットの販売対象を法人にも広げたことで混乱を招いたとして、佐藤氏が責任をとり辞任した。 後任には、遺伝子検査に詳しい専門家を招聘するとしている。

ジェネシス社には楽天が出資し、三木谷浩史会長兼社長が社外取締役を務める。 楽天はジェネシス社の新しい経営体制を精査した上で、今後の販売再開などを判断する。 楽天は 20 日、法人向けにキットを発売。 多数の申し込みがあり一部は発送済みだが、全て回収するという。 (益田暢子、asahi = 4-30-20)


国内のコロナ、武漢ではなく欧州から伝播? 感染研調べ

国立感染症研究所(感染研)は 27 日、3 月以降に国内で広がっている新型コロナウイルスは、欧州などを経由してもたらされた可能性が高いとする研究結果を公表した。 検査で陽性と判定された国内の約 560 人の検体から、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解読した。 世界各国からデータベースに登録された患者約 4,500 人のウイルスの情報も取得。 そのうえで遺伝子の特徴を分析した。

その結果、国内で初期に発生した複数のクラスター(感染者集団)やクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の患者から検出されたウイルスは、1 月初旬に中国・武漢市で検出されたウイルスと関係が深いと推定された。 このウイルスは 3 月以降、国内で広がることはなく、終息したとみられるという。 一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近かった。 3 月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。

感染研は、こうしたウイルスの広がりなどを示した図を インターネット 上で公開している。 (野口憲太、asahi = 4-28-20)


阪大が三つのワクチン開発を手がける理由 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染が広がるなか、ワクチン開発が世界で始まっている。 世界保健機関 (WHO) によると 70 以上の開発計画が進む。 日本では三つの計画を進める大阪大が最多だ。 ウイルスの DNA の一部を接種する「DNA ワクチン」、ウイルスの殻を再現した粒子「VLP」を使う手法、ウイルスそのものを使う「不活化ワクチン」 - -。 それぞれどんな手法なのか。 今後の見通しや課題は。 VLP ワクチンと不活化ワクチンの開発を進め日本ウイルス学会の理事長でもある松浦善治・阪大微生物病研究所教授と、病院などを担当する副学長で遺伝子治療学が専門の金田安史理事に聞いた。

- - それぞれの手法の開発状況と今後の見通しは。

金田 : DNA ワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子を、細菌などがもつ「プラスミド DNA」に入れ、マウスに投与しているところ。 4 月中に、感染を防御する抗体の量や強さ(抗体価)が上がるかどうかを評価する。 治験で人に投与できるまで、半年程度と考えている。

松浦 : VLP については、新型コロナウイルスの遺伝子を組み込んだウイルスを昆虫の細胞に感染させてつくっている。 実際に VLP をマウスに投与し、抗体の活性を評価するのに 2 - 3 カ月、治験開始までに 3 年程度かかるだろう。 不活化ワクチンは、培養細胞でウイルスの感染を繰り返し、ウイルスがよく増殖する条件を探している。 このプロセスは時間がかかる。 こちらも治験開始まで 3 年は必要になる。

- - 治験開始から承認までにかかる時間は。

松浦 : 通常なら 10 年ぐらいかかる。 しかし、今回は緊急性が高い。 有効性と安全性が担保できた時点で使う「特例措置」を期待している。

並行して進める理由とは

- - 三つを同時に進める意義は。

金田 : 開発できたものからすぐ世に出していけることだ。 大阪大の微生物病研究所はワクチン研究の実績があり、医学系研究科は研究成果を治験に移す態勢が整っている。 大阪府近隣に大阪大病院の関連病院が多くあり、密接に協力しあっている。 実用化に向けたシステムができているので、一の矢、二の矢、三の矢という形で出していく。

松浦 : 大阪大微生物病研究所には、大学発ベンチャーで 85 年の歴史がある阪大微生物病研究会(BIKEN 財団)といっしょにワクチンをつくってきた実績がある。 BIKEN 財団はいま、日本有数のワクチンメーカー。 「出口」が見えているのが特徴だ。

金田 : ワクチンを注入する「インジェクター」も重要だ。 普通は注射針で筋肉か皮下に入れるが、今回は、大阪大が企業と共同開発し、火薬を使った「パイロドライブインジェクター」を DNA ワクチンの治験で使う可能性がある。 火薬による衝撃波で注入する。 「皮下だけ」、「筋肉まで」など、投与する深さを調整できる。 非常に安定的に抗体ができるという動物実験のデータがある。

- - DNA ワクチンは理論的には可能でも、実用化されたものはない。

金田 : まだ市販されていないが、学内の研究者が開発した高血圧の治療用の「高血圧遺伝子ワクチン」が豪州で臨床試験中だ。 緩やかだが有意な降圧効果が認められている。 多剤耐性の結核ワクチンも、1 例の医師主導治験が終わったところ。 免疫を活性化させる物質「インターロイキン 12」を使うもので、たんのなかの結核菌が消えるなどの効果があった。

- - VLP ワクチンはどうか。

松浦 : インフルエンザや子宮頸がんで知られるヒトパピローマ感染症の二つがすでに米国で認可されている。

ワクチン開発はいま

- - 世界の開発計画の傾向をどうみるか。

松浦 : 血中に含まれる遺伝子の一種「メッセンジャー RNA」を使ったワクチンが一番はやく、すでに米国で治験に入っている。 中国のグループはアデノウイルスを用いた、遺伝子組み換えワクチンの治験を始めた。 この二つが先行しているのは妥当だ。

- - 病原性をなくしたり、弱めたりしたウイルスを使う不活化ワクチン、生ワクチンなどが従来の手法だった。

松浦 : 不活化ワクチンや生ワクチンは生きたウイルスを実験室で扱う。 その場合、WHO が定める施設基準「BSL (バイオ・セーフティー・レベル)」で、エボラウイルスなどの「4」に次ぐ、「3」の施設が必要になる。 だが、その環境で大量にウイルスを増やすのは難しい。

生ワクチンは、開発までに時間がかかる問題もある。 ウイルスを細胞に感染させ、それを繰り返してウイルスをその細胞に順化させ、よい共存状態をつくるまで弱毒化する必要がある。 生ワクチンは接種後に、再び強毒性を持つようになったウイルスが出現するリスクもある。 小児まひ(ポリオ)の生ワクチンはこの問題が起き、各国とも不活化ワクチンに切り替えた。 生ワクチンは非常に効果が高いが、リスクがあるので使わないのが世界の傾向だ。

いつ出来る?

- - 安倍首相はワクチン開発について「通常は 1 年(必要)だ」と発言をした。

金田 : 予測は難しいが、DNA ワクチンが最もはやいだろう。 大阪大の計画では、医師主導治験を約 30 例、その後、大阪大発の創薬ベンチャー「アンジェス」が大阪府を中心に企業治験をする。 年内に結果が出て安全性と効果が確かめられれば、年明けか 1 年後ぐらいには国民に提供できる可能性はある。 そこまで待たず、医師主導治験の結果をもとに大量生産に踏み切れれば、前倒しできる。

- - 治験でネガティブな結果もありうるか。

金田 : ありうる。 抗体価が感染者と同じ水準に上がるかが、一つの指標だ。 どの薬でもそうだが、治験の結果が出ないと確実とはいえない。 100% の保証はありえないことは知っておいてほしい。 欧米でワクチン開発が成功しても日本に供給される保証はない。 死者が続出する自国にまず供給すると考えるべきで、日本は日本でワクチンを持っておくことが絶対に必要だ。

- - 中国由来と欧州由来の 2 種類のウイルスが蔓延している。 使うウイルスによってはせっかく開発したワクチンが効かない可能性はあるのか。

松浦 : 私たちが使うウイルスは日本で分離された中国型の株だ。 効かない事態は可能性としては否定しないが、ウイルスの遺伝子はそれほど変異していない。

- - コロナウイルスのワクチンはなぜいままでつくられなかったのか。

松浦 : コロナウイルスが人に引き起こす風邪は重症化せずに治るので、つくる必要がなかった。 コロナウイルスが原因の SARS や MERS が発生してワクチン開発に着手したが、騒ぎが終わるとみんな忘れてしまった。 今回は 3 回目。 世界中でワクチン開発が盛んなのは、3 回あるなら 4 回目もあると考えてのことだろう。

- - SARS や MERS のときにワクチンを製品化しておけば、今回のワクチン開発は容易になったか。

松浦 : 新型コロナウイルスの遺伝子は SARS に非常に近いので、SARS のワクチンがあればそれを使用する選択肢はありえた。 感染症は流行すると騒がれるが、すぐに忘れ去られる。 最初に新型コロナウイルスが出たとき、致死率は SARS や MERS に比べてかなり低く、大事になるとは思わなかった。 こうした感染症もきちんとコントロールしないと大変なことになる。 いい教訓だと思う。

- - 日本のウイルス研究の現状をどう見るか。

松浦 : コロナウイルスの研究者は非常に少ない。 それは研究費を獲得しにくいウイルスだからだ。 研究費を支給する文部科学省や日本医療研究開発機構 (AMED) が重点的に投資する分野に人が集まる一方で、蛇口をしめられた分野は研究者が干上がってしまう。 大きな研究費を AMED に申請すると必ず「出口は何か」と聞かれる。 何の役に立つのかといわれると困ってしまう。

私は C 型肝炎ウイルスを研究してきたが、いい薬が登場して治癒するようになったとたんに研究費がつかなくなり、C 型肝炎の研究者はみんな難治性の B 型肝炎に移っていく状況だ。 新型コロナウイルスのような事態に対処するには、「出口」ばかりを優先することなく、より広い分野の研究者を育成することが大事だ。 (聞き手・合田禄、嘉幡久敬、asahi = 4-26-20)


新型コロナのワクチン、英国で臨床実験開始 外出制限は来年まで続く可能性

ロンドン : 新型コロナウイルスの感染を予防するワクチンの臨床実験が英国で始まっている。 しかし英政府の専門家は、他人との距離を置くソーシャル・ディスタンシング対策は来年まで続ける必要があるかもしれないとの見通しを示した。 英主席医務官のクリス・ウィッティ氏は 22 日、ワクチンや治療薬が来年中に利用可能になる可能性は「極めて小さい」と予想、「我々は他の社会的対策に頼らなければならなないだろう」と話している。

英オックスフォード大学は、23 日からのワクチン臨床実験開始を確認した。 同大のワクチン学教授サラ・ギルバート氏はタイムズ紙に対し、ワクチンの有効性については「80% の確信」があると述べ、9 月までに 100 万回分の準備が整うことが期待されていると語った。 オックスフォード大のワクチン候補「ChAdOx1 nCoV-19」は、無害なチンパンジーのウイルスから作成された。

同大によると、このワクチンはこれまでに 320 人以上に投与され、安全性や耐久性が確認されているものの、一時的に発熱や頭痛、腕の痛みなどの副作用を引き起こすこともある。 英国では、どうしても必要な理由がない限り外出を制限する措置を 3 月 23 日から続けている。 新規の症例数は横ばい状態に差しかかっており、政府は次の段階として、検査を通じて感染者数や抗体を持つ人の実態を把握することを目指す。 (CNN = 4-24-20)


新型コロナ以外の患者 6% 陽性 地域の状況反映か 慶応大学病院

東京の慶応大学病院が今月、新型コロナウイルス以外の患者 67 人に対して、感染しているかどうか調べる検査を行ったところ、およそ 6% の人が陽性だったことが分かり、病院は地域での感染の状況を反映している可能性があるとしています。 慶応大学病院によりますと、今月 13 日から 19 日の間に新型コロナウイルス以外の患者、67 人に対して、手術前や入院前に感染しているかどうか調べる PCR 検査を行ったということです。

患者は全員、新型コロナウイルスに感染した際に見られる症状はありませんでしたが、およそ 6% にあたる 4 人が陽性と確認されたとしています。 この結果について、慶応大学病院は患者は病院の外で感染したものと考えられ、地域での感染状況を反映している可能性があるとしています。 慶応大学病院では、これまでに院内感染の疑いが強いとされる東京 台東区の永寿総合病院から転院してきた患者を発端に入院患者や医師などが感染し、診療に影響が出たほか、集団で会食していた研修医およそ 20 人が感染していますが、このほかに感染拡大はないとしています。 (NHK = 4-23-20)

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