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刑務所で集団感染相次ぐ 公表遅れに批判、責任者ら処分

新型コロナウイルスによる肺炎が流行する中国の司法省幹部は 21 日、感染源の湖北省など 3 省の 4 つの刑務所で、受刑者ら計 505 人の感染が確認されたと発表した。 新規の感染者の減少傾向が強調されてきたが、大規模な集団感染の公表が遅れたことに批判の声が出ている。 司法省幹部はこの日の会見で、湖北省の二つの刑務所で 271 人が感染したほか、山東省の刑務所で 200 人、浙江省の刑務所で 34 人が施設内で感染していたと明らかにした。 死者はいないという。 さらに湖北省内の別の刑務所を含め、感染の疑いのある受刑者らが 20 人いるという。

山東省では「報告が適時行われていなかった」などとして司法庁書記ら 8 人が免職処分となったほか、湖北省や浙江省の刑務所長らも免職や厳重警告の処分を受けたという。 山東省政府によると、省内の刑務所で 13 日、職員 2 人の感染が確認されたため、受刑者らを検査したところ集団感染が発覚。 受刑者は現在、いずれも個室で隔離されているという。

SNS 上では、刑務所内の感染者の多くがこれまで統計に計上されていなかったことについて、「数が増えすぎて隠しきれなくなったのではないか」などと隠蔽を疑う声も出ている。 国家衛生健康委員会の 21 日の発表によると、新型肺炎による中国本土の死者は 118 人増えて計 2,236 人。1 感染者は刑務所内の感染を含め新たに 889 人確認され、累計 7 万 5,465 人になった。 (北京 = 高田正幸、asahi = 2-21-20)


中国本土で死亡 2,236 人に … 北京の病院で集団感染も

【北京 = 比嘉清太】 新型コロナウイルスによる肺炎について、中国政府の国家衛生健康委員会は 21 日、中国本土の死者が前日より 118 人増えて 2,236 人になったと発表した。 感染者は 889 人増えて 7 万 5,465 人となった。 21 日午前 0 時(日本時間午前 1 時)時点の集計だとしている。 新たな死者のうち 115 人が湖北省だった。 中国本土の重症者は 1 万 1,633 人に上っている。 北京市当局者は 20 日の記者会見で、市中心部・西城区の病院で集団感染が起き、医療従事者 8 人を含む 36 人が感染したと発表した。 (yomiuri = 2-21-20)


新型肺炎の治療法、臨床結果は 3 週間以内に判明 WHO

世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム事務局長は 20 日の会見で、新型コロナウイルスをめぐる治療法について、エイズなどほかの感染症の治療薬を用いた二つの臨床試験の暫定結果が、3 週間以内に判明するとの見通しを明らかにした。 研究が進む治療法の一つは抗 HIV 薬の「ロピナビル」と「リトナビル」の併用で、もう一つはエボラ出血熱の治療薬として開発された「レムデシビル」という抗ウイルス薬を使うもの。 抗 HIV 薬については、タイ保健省が今月初め、これに抗インフルエンザ薬を組み合わせると、新型コロナウイルス感染者への治療に効果があると報告していた。 今回の感染症は、有効な治療法がまだ確立されていない。

一方、日本で大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客 2 人が亡くなったことについて、テドロス氏は「(船内での) 600 を超す感染者数と、致死率が 2% であることを考えると、非常に残念だが予想されたことだ」と述べた。 船内の感染対策については、WHO で緊急対策を担当するジャウアド・マジュール氏が会見で「病気を封じ込めることを目的とし、密接な接触を避け、感染の機会を避けるために、感染予防や隔離の徹底的な対策を実践していたと思う」と述べ、理解を示した。 (ジュネーブ = 下司佳代子、asahi = 2-21-20)


新型肺炎の死者 2,118 人 感染 7 万 4,500 人超 - 中国

【北京】 中国政府は 20 日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、同日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点の感染者は累計で 394 人増の 7 万 4,576 人、死者は 114 人増の 2,118 人になったと発表した。 このうち最も状況が厳しい湖北省の死者は 108 人増え、2,029 人に達した。

死者は上海市と河北、福建、山東、雲南、陝西省でも各 1 人が新たに確認された。 湖北省以外で増加した感染者は 45 人で、16 日連続減。 湖北省の 1 日当たりの感染者の増加は、前日の 1,693 人から大幅に減り、1 月 27 日発表の 371 人を下回った。 改めて精査した結果、省内 10 市で計 279 人を感染者から除外したことも要因。 増加幅は同月 30 日公表分から連日、1,000 人を上回っていた。 (jiji = 2-20-20)


抗ウイルス薬、MERS 治療に効果 サルで実験、新型にも有効な可能性

中東呼吸器症候群 (MERS) に効果が期待できる抗ウイルス薬が、感染が拡大している新型コロナウイルスにも効くかもしれない。 アカゲザルでの実験でそんな可能性が示せた、と米国立保健研究所 (NIH) などの研究チームが発表した。 MERS は 2012 年に確認された、コロナウイルスを原因とする感染症。 発熱やせき、息切れの症状がでる。 重症化することもあり、致死率は約 35% とされる。 確立された治療薬はまだない。

研究チームは「レムデシビル」という抗ウイルス薬に着目。 MERS に感染させた 18 匹のアカゲザルを使って薬が効くか調べた。 18 匹のサルを、薬をあらかじめ注射したグループと後から注射したグループ、薬を使わなかったグループにわけて 6 日間ほど観察した。 すると、ウイルスに感染する 1 日前に予防的に薬を与えられたグループは、呼吸が速くなるなどの症状がかなり抑えられた。 ウイルスに感染した半日後に薬を使ったグループは、MERS の症状が出たもののやがて改善した。 一方、薬を使わなかったグループは、症状がひどくなるなど予後が悪かったという。

研究チームはこの薬が他のコロナウイルスにも効くかもしれないとみていて、「MERS にこれだけ効きそうだと言うことは、新型コロナウイルスにも有効な可能性が高い」としている。 論文は 13 日、米科学アカデミー紀要 (PNAS) に掲載された。 (戸田政考、asahi = 2-20-20)


新型肺炎、昨年末で 100 人超発症か 患者の存在公表前

新型コロナウイルスの中国の感染状況を調べている中国疾病予防コントロールセンターは、昨年末の時点で 100 人を超える感染者が発症し、湖北省武漢市などが「封鎖」される以前の 1 月中旬までに感染は 6 千人以上に拡大していたとの分析結果を発表した。 同センターは 17 日、4 万 4 千人以上の感染者の臨床データの分析結果を公表した。 熱やせきなどの症状が出始めた時期を分類した結果、武漢市が「原因不明の肺炎」患者の存在を公表した昨年 12 月 31 日以前に発症していた人が 104 人いたという。

1 月 1 - 10 日には発症した人が 653 人に増加。 11 - 20 日には 5,417 人が発症したことも明らかになった。 中国政府は 1 月 9 日に新型ウイルスが検出されたことを発表。 20 日にヒトからヒトへの感染を確認したことを明らかにしたが、それまでに感染の拡大が進んでいたことをうかがわせる。 調査対象者の内訳は武漢市を含む湖北省が 74.7% で、その他の地域が 25.3% という。

一方、中国国家衛生健康委員会は 19 日、中国本土の死者が前日の集計から 136 人増え、2,004 人になったと発表した。 感染者は 1,749 人増え、累計は 7 万 4,185 人となった。 増加分のうち、感染が深刻な湖北省の死者は 132 人、感染者は 1,693 人といずれも 9 割以上を占める。 湖北省以外の新たな感染者は 56 人で、増加数は 15 日連続で減少している。 香港では 19 日、感染して入院していた 70 歳の男性が死亡し、香港の死者は 2 人となった。 (北京 = 平井良和、asahi = 2-19-20)


新型肺炎の致死率、40 代以下は 1% 未満 WHO が見解

新型コロナウイルスによる肺炎について、世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム事務局長は 17 日、記者会見し、致死率は2%として「重症急性呼吸器症候群 (SARS) や中東呼吸器症候群 (MERS) ほど致命的ではない」との見解を示した。 中国政府が明らかにした中国国内の感染者約 4 万 4 千人のデータの調査結果を引用して述べた。 この調査は中国の専門家チームによるもの。 致死率は年代が上がるほど高くなり、40 代以下で 1% 未満だったのに対し、50 代 1・3%、60 代 3・6%、70 代 8%、80 歳以上で 14・8% だった。

8 割は軽症だったが、呼吸困難になるなどの重症になる例が約 14%、呼吸不全や多臓器不全などのある重篤例は約 5% だったという。 流行地の武漢のある湖北省は 2.9% で、湖北省を除く地域では 0.4% だった。 専門家チームは、11 日までに報告された中国国内の症例のうち、感染が確認できた 4 万 4,672 人について分析。 7 割超は湖北省で診断されていた。 中国の国家衛生健康委員会は 18 日、中国本土の死者が前日の集計から 98 人増え、1,868 人になったと発表した。 新たに確認された死者は湖北省 93 人、河南省 3 人、河北省と湖南省で各 1 人。 感染者は本土全体で 1,886 人増え、累計で 7 万 2,436 人となった。

新たな感染者のうち、湖北省が 1,807 人と 9 割以上を占めている。 一方、同省を除く全土でみると新たな感染者は計 79 人で、増加数は 14 日連続で減少している。 増加数が 100 人を下回るのは、湖北省武漢市が交通の遮断で「封鎖」された 1 月 23 日の発表以来で、遼寧省、陝西省など 7 つの省・自治区で新たな感染者がゼロとなった。 (福地慶太郎、ジュネーブ = 下司佳代子、北京 = 平井良和、asahi = 2-18-20)


中国、新型肺炎の死者 1,868 人に 増加の 9 割が湖北省

中国の国家衛生健康委員会は 18 日、新型コロナウイルスの感染による中国本土の死者が前日の集計から 98 人増え、1,868 人になったと発表した。 感染者は 1,886 人増え、累計は 7 万 2,436 人となった。 増加分のうち、感染が深刻な湖北省の死者は 93 人、感染者が 1,807 人といずれも 9 割以上を占める。 同省以外の新たな感染者は 79 人で、14 日間連続で増加幅が下がった。 一方で退院者は増えており、18 日発表分は 1,701 人と 6 日連続で 1 千人を超えた。 退院者の累計は 1 万 2,552 人となった。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 2-18-20)


武漢市の病院長が死去 新型肺炎の患者、最初に受け入れ

湖北省武漢市の衛生健康委員会は 18 日、同市武昌病院の劉智明院長 (51) が新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなったと発表した。 武昌病院は新型肺炎患者の受け入れ機関として最初に指定された病院の一つ。 中国メディアの報道によると、劉氏は 1 月下旬に発熱などの症状が現れ、治療を続けていたという。

中国では医師や看護師ら医療従事者の感染が問題化している。 中国政府は、12 日までに 1,716 人の医療従事者が感染したことを発表したが、中国疾病予防コントロールセンターは 17 日、疑い例なども含めると計 3,019 人に上ることを明らかにした。 世界保健機関 (WHO) によると、2002 - 03 年に流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) の感染者 8,096 人のうち、約 2 割を医療従事者が占める。 武漢では感染の拡大にいち早く警鐘を鳴らした李文亮医師が 7 日に死去した際、ネット上で政府批判が噴出した。 武漢市当局が劉氏の死去を発表し、「深い哀悼の意」を表明したのも、世論対策の一環と言えそうだ。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 2-18-20)


新型肺炎、台湾で初の死亡者 渡航歴なし「市中感染か」

台湾当局は 16 日夜、新型コロナウイルスによる肺炎で治療を受けていた 60 代の男性が亡くなったと発表した。 台湾で初めての死亡者となる。 男性はタクシーの運転手で、海外への渡航歴はないという。 男性の家族である 50 代の男性も感染が確認された。 台湾の新型肺炎対策本部によると、亡くなった男性は 1 月 27 日からせきなどの症状が始まり、2 月 3 日に肺炎と診断されて入院し、15 日に亡くなった。 亡くなる直前に新型コロナウイルスの検査を行い、感染が確認されたという。 対策本部は「市中感染の可能性がある」とみている。 台湾の感染者の数は亡くなった男性を含めて計 20 人となった。 (台北 = 西本秀、asahi = 2-16-20)


新型肺炎、中国の死者 1,600 人超 感染 6 万 8,500 人

中国国家衛生健康委員会は 16 日、新型コロナウイルスの感染による中国本土の死者が前日の集計から 142 人増え、1,665 人になったと発表した。 新たな死者は、最初の発生地の武漢市がある湖北省が 139 人、四川省 2 人、湖南省 1 人。 感染者は 2,009 人増え、累計で 6 万 8,500 人になった。 湖北省の感染状況は依然厳しい一方、同省以外の全土での新たな感染者は 166 人で、増加幅は 12 日間連続で鈍化している。 (北京 = 西村大輔、asahi = 2-16-20)


新型肺炎、中国の死者 1,523 人に 感染は 6 万 6 千人超

中国国家衛生健康委員会は 15 日、新型コロナウイルスの感染による中国本土の死者が前日の集計から 143 人増え、1,523 人になったと発表した。 新たな死者は、最初の発生地の武漢市がある湖北省が 139 人を占める。 感染者は 2,641 人増えて、累計で 6 万 6,492 人になった。 事態が悪化するなか、世界保健機関 (WHO) のチームが今週末に中国での調査を始める。 テドロス・アダノム事務局長が 14 日、明らかにした。 チームは WHO や中国の専門家ら約 20 人。 中国の保健当局者に話を聞くほか、ウイルスの感染力、肺炎の症状の重さなどのデータを集めて検証し、世界での感染拡大の防止に役立てる狙いという。

一方、北京市は 14 日夜、市外から戻ったすべての人に 14 日間の自宅待機などを命じる通告を出した。 同市はこれまでも自宅待機を呼びかけてきたが、今後は待機を拒否する人には「法に基づいて責任を追及する」と厳しい姿勢を示した。 共産党や国家の中央機関、主要企業の本社がある首都での感染拡大を防ぐ政策とみられる。 対象は「北京に戻る人」としており、出張や旅行などでの訪問者が含まれるかは不明だ。 (北京 = 福田直之、ジュネーブ = 疋田多揚、asahi = 2-15-20)


中国、医療関係者 1,716 人が感染 深刻な院内感染発生

新型コロナウイルスによる肺炎が流行している問題で、中国の国家衛生健康委員会の曽益新副主任は 14 日の記者会見で、12 日までに中国本土で 1,716 人の医療従事者が感染し、6 人が死亡したことを明らかにした。 感染した医療従事者のうち 9 割近い 1,502 人は湖北省で感染し、なかでも武漢市で感染した人が 1,102 人に上る。 武漢をはじめとする湖北省で深刻な院内感染が起きていることを示すデータだ。

同委は 14 日、新型肺炎で中国本土で新たに 121 人が死亡し、計 1,380 人に達したと発表した。 13 日の発表では累計死者数を 1,367 人としていたが、湖北省に重複があり修正した。 感染者は 5,090 人増え、累計で 6 万 3 千人を超えた(湖北省分は臨床診断による判断も含む)。 (北京 = 高田正幸、asahi = 2-14-20)


新型肺炎、湖北省で新たに 116 人死亡 感染者 6 万人に

新型コロナウイルスによる感染が広がる中国の湖北省は 14 日、前日の集計からさらに 116 人が死亡したと発表した。 感染者は省内だけで 4,823 人増加し、中国全体では計 6 万人を超えた。 湖北省は診断を早めるため、13 日の発表から臨床診断のみで判断した患者も死者や感染者に数えている。 従来の基準だと湖北省の新たな死者は 108 人、感染者は 1,728 人。 依然として高い水準だ。

地元メディアによると、前任の更迭にともない新たに省トップに就いた応勇・省党委員会書記は 13 日、省幹部を集めた会議で就任後初の演説を行い、「われわれは習近平(シーチンピン)総書記の重要指示の精神を必ず実行してやり遂げ、感染症の拡大を抑え込まなくてはいけない」と語った。 (北京 = 高田正幸、asahi = 2-14-20)


中国での死者、1,300 人超 新型コロナ、新基準で拡大

新型コロナウイルスの感染が広がる中国の湖北省政府は 13 日、死者が前日の集計より 242 人、感染者が 1 万 4,840 人増えたと発表した。 同省は感染者の判定基準が改定され、この日の発表分から改定後の基準を適用したとしている。 この数字に基づけば、中国本土での死者は少なくとも 1,355 人に急増し、感染者は 6 万人に迫ることになる。 感染者や死者数の大幅な増加に影響する部分の判定基準の改定は、同省内だけで適用されている。

ほかの地域と同じ改定前の基準に照らせば、前日からの増加数は死者が 107 人、感染者が 1,508 人。 中国本土の死者の総数は 1,220 人、感染者の総数は 4 万 6 千人余りとなる計算だ。 同省の判定基準は、診断を早めて早期の治療につなげるために緩和された。 同省は従来基準であればウイルス検査による判定がそろっていない段階の「感染の疑い」とされていた人の一部を、新たな基準をふまえて「感染者」として算入することにしたと説明している。 この改定により、「疑い」の状態のままで亡くなった人の一部も死者数に算入したという。 (北京 = 平井良和、asahi = 2-13-20)


新型肺炎「ピークは今月中下旬」 中国政府の専門家

中国国家衛生健康委員会は 12 日、新型コロナウイルスへの感染による中国本土の死者が前日の集計から 97 人増え、1,113 人に達したと発表した。 新たな死者は最初の発生地の武漢市がある湖北省が 94 人、河南、湖南両省と重慶市がそれぞれ 1 人。 累計感染者は 2,015 人増えて、4 万 4,653 人になった。 前日からの新規の感染者数は 2 日連続で減少している。

政府の専門家グループを率いる鍾南山医師は 11 日、ロイター通信の取材に、ウイルスの流行は「今月の半ばか下旬に恐らくピークを迎える可能性がある」とし、「4 月ごろに終息すると望んでいる」と述べた。 10 日にほとんどの地方が企業の通勤や工場の操業を解禁したが、企業や地方政府が感染拡大を恐れて再開に慎重なうえ、操業を支える労働者が春節を過ごした郷里から勤務地に戻れておらず順調に進んでいない。

中国工業情報化省は 11 日、新型肺炎の拡大が経済に与えるマイナス要素を懸念。 「徐々に工業・通信業の生産を回復させることは重要で差し迫った任務になっている」と強調した。 経済官庁の国家発展改革委員会も同日、地方政府が企業に不必要に大量の書類の記入を求めるなどして、再開を遅らせないよう求めた。 (北京 = 福田直之、asahi = 2-12-20)


新型肺炎、中国での死者 1 千人超える 省の責任者を解任

新型コロナウイルスによる肺炎が蔓延している問題で、中国の国家衛生健康委員会は 11 日、中国本土の死者が前日から 108 人増え、計 1,016 人に達したと発表した。 最初の死者が確認されてから約 1 カ月で、死者が 1 千人を超えた。 また、新たに 2,478 人の感染が確認され、感染者は計 4 万 2,638 人になった。 このうち、重症者は 7,333 人で、ほかに 2 万人を超える人に感染の疑いがあるという。

特に感染が始まった湖北省で被害に歯止めがかかっておらず、この 1 日で 103 人が死亡、2,097 人への感染が新たに確認された。 中国国営中央テレビによると、同省共産党委は 10 日、感染症対策部門の責任者である同省衛生健康委員会の書記と主任の解任を決めた。 また同省武漢市は 10 日付で、さらなる感染拡大を防止するためとして、住民らが暮らす地域からの出入りの管理を厳格化する方針を打ち出した。 (北京 = 高田正幸、asahi = 2-11-20)


中国の新型肺炎死者、900 人超 SARS 超え、感染者 4 万人

【北京】 中国政府は 10 日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、同日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点の死者が前日より 97 人増え 908 人、感染者が 4 万 171 人になったと発表した。 死者は 9 日時点で 811 人に達し、2003 年に大流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) の全世界の死者 774 人を上回っている。 (jiji = 2-10-20)


年末すでに患者が殺到 … 武漢、会議が大事で初動に遅れ?

中国政府が新型コロナウイルスの検出を初めて発表してから 9 日で 1 カ月が経つ。 中国本土の感染者数は 3 万 4 千人を超え、拡大が止まらない。 中国では、発生源の湖北省武漢市の初動対応のつたなさが改めて指摘されている。 現場では何が起きていたのか。

武漢市衛生健康委員会が「27 人が原因不明のウイルス性肺炎にかかり、うち 7 人が重症」と発表したのは昨年 12 月 31 日のことだ。 患者の多くが市中心部にある「華南海鮮市場」の店主や出入り業者だったことから、市政府は市場の一時閉鎖を指示。 1 月 2 日には清掃や消毒に入り、感染を防ごうとした。 だが、住民の証言や報道によると、12 月下旬ごろから、すでに市内の複数の病院には、発熱などの症状を訴える市民が連日数百人詰めかけていた。

市内の病院で臨床実習を受けていた日本人男性 (27) はその頃の様子を、こう振り返る。 「院内では患者が多すぎて通路を歩けないような状況だった。 入院用ベッドも足りず、病室に臨時用を追加していた。」 一方、当局は「ヒトからヒトへの感染は確認されていない」、「医療スタッフの感染者はいない」との説明を繰り返し、患者でごった返す病院の状況は公にされなかった。 このころ、多くの市民は特段の危機感を持たず、通常の生活を送っていた。 大学職員の女性は朝日新聞の取材に「海鮮市場から患者が出たのは知っていたが、ヒトヒト感染はないというので、普通に買い物したり友人と食事したりしていた」と話す。

一方、当局は情報の流出に神経をとがらせ、厳しく取り締まった。 1 月 3 日、仲間内のチャットで「SARS (重症急性呼吸器症候群)患者を隔離している」と警鐘を鳴らした武漢中心病院の眼科医、李文亮氏(今月 7 日に死去)が、デマを流したとして警察の取り調べを受け、訓戒処分を受けた。 武漢市は、1 月 6 - 10 日に市の人民代表大会を控えていた。 李氏は生前、中国メディアの取材に「自分の書き込みがネットで拡散されているのを見た時、処分されるかもしれないと感じた。 会議があり、敏感な時期だったからだ。」と述べた。 政治的な安定が求められる時期に問題が噴出するのを当局が恐れ、情報統制を図った可能性を指摘するものだ。

人民代表大会は予定通り開かれたが、その期間中、市当局は感染状況を一切公表しなかった。 中央政府が新型ウイルスの存在を明らかにした 9 日には初の死者も出ていたが、その発表も会議終了後の 11 日にずれ込んだ。 さらに、11 - 17 日は湖北省が人民代表大会を開催。 武漢市は感染者数を発表していたものの、その数は 41 人のまま増えなかった。

危機意識が共有されないまま、18 日には春節を前に 4 万世帯以上の市民が手料理を持ち寄る伝統行事「万家宴」が開かれた。 この催しが感染を広げた可能性も指摘されている。 政府の専門家グループを率いる鍾南山医師が「ヒトからヒトへの感染が認められる」と明らかにしたのは、その 2 日後だった。 (冨名腰隆、平井良和 = 北京、山根久美子、asahi = 2-9-20)

〈編者注〉 もう現場の病院では大騒ぎになっていた 12 月、それでもグラウンド 0 と思われる武漢の海鮮市場は閉じられることがありませんでいした。 少なくとも 12 月一杯開場していたようです。 新年 1 月に入ってからも、何の根拠もなく人から人への感染はないと連日繰り返していた現地当局、あまりに杜撰な対応にあきれるばかりです。 編者がそれを否定したのは 1 月 8 日、中国が二次感染、三次感染を正式に認めたのは、実に 1 月 20 日、これでは感染の拡大を早期に止めることなど不可能でしょう。


増え続ける感染者、ピークはいつ? 中国の医師が予測

世界に脅威をもたらしている「新型コロナウイルス」の検出が発表されてから、1 カ月が経つ。 中国の感染者は今も一日に 3 千人以上のペースで増え続けている。 感染のピークはいつやってくるのだろうか。 1 月 28 日、2002 - 03 年の重症急性呼吸器症候群 (SARS) が流行した際、対策の陣頭指揮をとった医師の鍾南山(チョンナンシャン)氏はこう予測していた。 「1 週間から 10 日後くらいにピークが来て、それ以降は(感染の)大規模な増加はないだろう。」 この通りなら、ピークは「2 月 4 - 7 日ごろ」となるが、まだ中国本土の感染者数の伸びが鈍化する気配は見えていない。

8 日に中国政府が発表した全土の感染者数は 3 万 4,546 人。 前日からの増加人数は、5 日連続で 3 千人を超えた。 感染の「疑い例」も右肩上がりで伸び続けており、2 万 7 千人以上になっている。 感染者の増加分の内訳をみると、湖北省を除く地域で 4 日連続で減少した一方、最初の発生地でもある同省武漢市ではこれまでで最も多い約 2 千人増となった。 武漢市を中心に湖北省全域で敷かれる厳しい交通規制が、そのほかの地域への拡散を抑える上で一定の効果を上げている可能性がある一方、武漢市では苛烈な状況が続いていることを物語る。

呼吸器系の医師で、国の最高研究機関「中国工程院」の王辰副院長は、5 日の国営中央テレビの番組で「発表されている数字は確定できたものだけだ。 今の問題は、本当の感染の状況が把握できていないということだ」と、潜在的な感染がかなりの規模で広がっている可能性を指摘した。 新型ウイルスは感染の初期、症状がなかったり軽症だったりして発見が難しいという特徴が浮かび上がっている。 その上、湖北省内の医師や医療設備の不足は深刻で、診察を受けられない人や感染が疑われながら自宅に戻る人が続出。 王氏によると、感染拡大の主な要因は、こうした人から身近な人に広がる「家族内感染」や「団地内感染」だという。

だとすれば、交通の遮断や店舗の休止といった対策では追いつかない可能性がある。 中国政府は、各地から湖北省内へ医師を派遣したり、臨時病院、隔離施設の増設を急いだりしている。 また、湖北省内で医師らの観察対象となる「疑い例」と分類する判断基準を引き下げるなど、感染者を見逃さないための対策を強化している。 7 日、中央テレビのインタビューで「ピークは来たのか」と問われた鍾南山氏は「残念ながら、そういうのは早すぎる」と答えた。 北京 = 平井良和、asahi = 2-9-20)


中国、新型肺炎の死者 600 人超 感染者 3 万人、相互監視進む

【北京】 中国政府は 7 日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の中国本土の死者が同日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点の集計で、前日から 73 人増え 636 人になったと発表した。 感染者は 3,143 人増の 3 万 1,161 人。 感染者の増加数は 5 日をピークに 2 日連続で減ったものの、3,000 人を超える増加が 4 日継続している。 死者は湖北省で 69 人、吉林省、河南省、広東省、海南省で 1 人ずつ増えた。 感染者は広東省で 74 人増え 1,018 人、浙江省で 52 人増え 1,006 人。 両省は、湖北省以外の省・市として初めて感染者が 1,000 人を超えた。

新型肺炎が収束する見通しが見えない中、各地で人々が接触を避け互いに監視する動きがますます強まっている。 河北省遷安市は 6 日、住民に外出の「原則禁止」を通知した。 外出する場合は体温の報告を求め、各地区に 24 時間態勢で検問所を設け外部からの来訪を禁じた。 マージャンや広場でのダンス、冠婚葬祭のような多くの人が集まる行為は厳禁とされた。 一方、中国本土以外では、日本やシンガポールなど 27 カ国・地域で 310 人以上の感染が確認され、フィリピンと香港で各 1 人が死亡した。 (jiji = 2-7-20)


新型肺炎の死者、中国で 500 人超える 新生児の感染も

新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている中国の国家衛生健康委員会は 6 日、中国本土の死者が前日から 73 人増え、計 563 人になったと発表した。 感染者は 3,694 人増の 2 万 8,018 人となった。 新たな死者は湖北省で 70 人、天津市、黒竜江省、貴州省でそれぞれ 1 人ずつが確認された。

前日からの死者の増加幅はこれまでで最多となっている。 重症者も前日より 640 人増えて 3,859 人となり、感染の「疑い例」も 2 万 4 千人以上になっている。 また、中国国営中央テレビは、武漢市内で 2 日に生まれた新生児の生後 30 時間の時点での感染が確認されたと報じた。 母親が感染していたという。 新生児は呼吸が速くなるなどの症状は見られるものの、発熱やせきなどはなく容体は安定しているという。 (北京 = 平井良和、asahi = 2-6-20)


新型コロナウイルス、死者 490 人、患者 2 万 4,324 人に 中国

新型コロナウイルス流行の中心地となっている中国中部・湖北省当局は 5 日、同省で新たに 65 人が死亡したと発表した。 流行が始まって以降、1 日の死者としては最多。 同省で新たに 3,156 人の感染が確認されたことも明らかにした。 これに続き、中国の国家衛生健康委員会 (NHC) は、中国全土で患者は 3,887 人増え 2 万 4,324 人に、死者は 65 人(すべて湖北省での死者)増えて 490 人になったと発表した。 (AFP/時事 = 2-5-20)


新型肺炎、香港で初の死者 中国本土以外で 2 人目

中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、香港の医療当局は 4 日、感染が確認されていた香港人の男性 (39) が新型肺炎で死亡したことを明らかにした。 中国本土以外での死者は、フィリピンに次いで 2 人目。 香港政府などによると、男性は 1 月 21 日に高速鉄道に乗って、感染が深刻な中国湖北省武漢市に行き、23 日に香港に戻った。 31 日に発熱などの症状を訴えて入院し、その 4 日後の今月 4 日朝に死亡した。 男性は持病を抱えていたという。 同居していた母親 (72) の感染も確認されている。 香港では 4 日までに、死亡した男性を含む 15 人の感染が明らかになっている。 (香港 = 益満雄一郎、asahi = 2-4-20)


新型肺炎、死者 360 人に = SARS 上回る - 中国

【北京】 中国湖北省政府は 3 日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が前日より 56 人増えて 350 人になったと発表した。 これにより中国の死者は 360 人に達し、2002 - 03 年に大流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) による中国の死者 349 人を上回った。 (jiji = 2-3-20)


フィリピンで新型ウイルス感染者死亡 中国国外で初

フィリピンの保健当局は、新型コロナウイルスに感染した男性が死亡したと発表しました。 中国以外で死者が出るのは今回が初めてです。 フィリピンの保健省によりますと、1 日、新型コロナウイルスに感染した 44 歳の中国人男性が死亡しました。 この男性は、武漢から香港を経由してフィリピンに入国していたということです。 中国以外の国で死者が出たのは今回が初めてです。 (ANN = 2-2-20)


新型肺炎、死者 304 人 感染者 1 万 4,000 人を超える 中国

【北京】 中国政府は 2 日、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎に関し、同日午前 0 時(日本時間同 1 時)時点で感染者は前日比 2,590 人増の 1 万 4,380 人、死者は 45 人増の 304 人に上ったと発表した。 重症者は 2,110 人。 このほか約 2 万人の感染が疑われている。 中国本土以外では、26 カ国・地域で 160 人以上の感染が確認されている。

中国の死者数は、2002 - 03 年に大流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) に迫る勢い。 世界保健機関 (WHO) の 03 年 12 月時点のデータでは、中国本土で 349 人が亡くなった。 1 月 25 日の春節(旧正月)に合わせた連休は当初は同 24 - 30 日の一週間だったが、中国政府は 2 月 2 日まで 3 日間延長。 U ターンラッシュの人混みによる一層の感染拡大が懸念されている。 湖北省政府は 1 日、連休を 13 日まで再延長すると発表した。 (jiji = 2-2-20)


新型肺炎、WHO が「緊急事態」を宣言

中国で集団発生し、感染が中国国外に広がっている新型コロナウイルスについて、世界保健機関 (WHO、本部スイス・ジュネーブ)は 30 日に専門家委員会による緊急会合を開き、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。 緊急事態は、感染が国境を越えて広がり、感染拡大防止に国際的な対応が必要な場合に、専門家委の判断を踏まえ WHO の事務局長が宣言する。 緊急事態宣言は、アフリカのコンゴ民主共和国で発生したエボラ出血熱について昨年 7 月に出されて以来、6 例目。

30 日夜(日本時間 31 日未明)に記者会見したテドロス・アダノム事務局長は、中国国外での感染例や、感染が確認された国が増えていると指摘。 「中国国内ではなく、国外の状況を見て判断した」と宣言した理由について述べた。 一方、人の移動や貿易の制限は、WHO として勧告はしないとしている。

新型肺炎をめぐっては、専門家委が 22、23 日に緊急会合を開いて緊急事態にあたるか検討。 この時点では「中国国外でのヒトからヒトへの感染が確認されておらず、時期尚早だ」として、宣言を見送った。 だがその後、日本やベトナムでヒトからヒトへの感染が確認されるなど、中国国外での感染が急速に広がったため、再度緊急会合を開いた。 (ジュネーブ = 河原田慎一、asahi = 1-31-20)

これまでに出された世界保健機関 (WHO) の緊急事態宣言
2009年4月新型インフルエンザの大流行
メキシコ・米国から世界に拡大(10年8月に解除)
14年5月ポリオのアジア、中東、アフリカでの流行
主に小児が感染(継続中)
14年8月エボラ出血熱の西アフリカでの流行
コウモリからヒトに感染の可能性 致死率高い(16年3月に解除)
16年2月ジカ熱の中南米での拡大
蚊の媒介で感染 母子感染で新生児に小頭症の可能性(16年11月に解除)
19年7月エボラ出血熱のアフリカ中部での流行
コンゴ民主共和国を中心に感染拡大(継続中)
20年1月新型コロナウイルスの流行
中国から感染拡大

新型肺炎、さらに 1.2 万人に感染疑い 中国全土に拡大

新型コロナウイルスの感染が広がっている問題で、中国国家衛生健康委員会は 30 日、感染者は前日より 1,737 人増の 7,711 人、死者は 37 人増の 170 人に達したと発表した。 チベット自治区でも初の感染者が確認され、感染は全国 31 省・自治区・直轄市のすべてに広がった。 さらに 1 万 2,167 人に感染の疑いがあるという。 感染が確認された国と地域は、インドなどが加わり 22 に増えた。 中国では春節の連休後の U ターン時期に入り、さらなる感染拡大への警戒も高まる。 30 日、交通運輸省の報道官は会見で「拡大を防ぐため、交通機関を止める措置を積極的に進める」と語った。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 1-30-20)


中国、新型コロナウイルス死者 132 人・感染者 5,974 人に WHO 専門家チーム派遣受け入れ

中国国家衛生健康委員会は 29 日、湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスによる肺炎について、国内の死者は 28 日時点で 26 人増え 132 人となったと発表した。 感染者は 1,459 人増え 5,974 人となった。 政府は新型肺炎の封じ込めに自信を示しているが、感染の勢いは衰える様子がみられない。

死亡したのはほぼ全員、湖北省の患者

新型肺炎の感染は中国国外にも広がっており、10 以上の国や地域で感染が報告されている。 中国以外では死者は出ていない。 しかし、ドイツ、ベトナム、台湾、日本では人から人への感染が確認され、警戒感が強まっている。 米ホワイトハウスは 28 日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大への対応を巡り、中国と米国を結ぶ航空便の運航停止は見送ることを決めた。 事情に詳しい関係筋が明らかにした。 航空会社や政府の関係者らによると、トランプ政権は新型肺炎対策に関する会合後、航空各社にこの決定を伝えたという。

米政府は新型肺炎に関する会合を毎日開いており、幅広い選択肢を検討してきた。 当局者 2 人は、保健統計に基づき必要があると判断した場合に航空便の運航を一時禁止するという選択肢も含まれており、現時点でどの選択肢も排除していないと述べた。 共和党のトム・コットン上院議員は 27 日に政権側に中国発米国行きの商業便を即座に運航停止にするよう求めていた。 米ユナイテッド航空などの航空会社は需要の減少を踏まえ、米国と中国を結ぶ便の一部を欠航にすると発表している。

中国の習近平国家主席は 28 日、訪中した世界保健機関 (WHO) のテドロス事務局長と会談し、新型コロナウイルスによる肺炎について国際協力の強化を表明すると同時に、WHO と国際社会の冷静で客観的な判断を信じていると語り、新型肺炎の封じ込めに自信を表明した。 WHO も同日、国際的な専門家のチームを「できるだけ早期に」派遣することに中国が合意したことを明らかにした。

各国政府・企業は対応急ぐ

こうした中、各国政府による武漢からの自国民退避や企業による中国への渡航制限などの動きが広がっている。 米政府は中国からの旅行者に対するスクリーニング検査をこれまでの 5 空港から 20 空港に拡大。 アザー米厚生長官は「新型肺炎に対処するすべての選択肢が検討されている。 渡航制限も含まれる。」と語った。 米国務省は武漢にある米領事館の職員を米国に退避させると発表。 航空機の座席の一部を民間の米国民にも提供するとしている。

欧州連合 (EU) もフランスからの要請を踏まえ、武漢から EU 市民を退避させる航空機 2 機手配の資金を共同拠出する方針を表明。 1 機目は 29 日にフランスを出発し、仏国民約 250 人を出国させる。 英国政府は、香港とマカオを除く中国本土への必要以外の渡航は控える勧告した。 オーストラリアのモリソン首相は 29 日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、発生源とされる武漢市がある中国湖北省に滞在している豪州人の一部を退避させ、インド洋にある自国領クリスマス島で検疫を実施する方針を明らかにした。

大手企業では、米フェイスブックが不要不急の渡航を控えるよう従業員に指示。 韓国 LG 電子も中国への渡航を全面的に禁止し、既に中国に出張中の社員に早急に帰国するよう指示した。 外銀としては中国で最もプレゼンスの大きい英 HSBC が今後 2 週間にわたり社員の香港への渡航を禁止。 中国本土への渡航についてには、追って通知があるまで禁止した。

オーストラリアのピーター・ドハーティー感染・免疫研究所は 29 日、中国国外で初めて新型コロナウイルスの培養に成功したことを明らかにした。 WHO や各国の研究所とサンプルを共有するとしており、感染拡大の抑制につながる可能性もある。 アジアの株式市場は伸び悩む展開。 感染拡大への懸念から香港株は 7 週間ぶりの安値に下落している。 (Reuters = 1-29-20)

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