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NY 州の感染者、実際は 10 倍超? 抗体検査、暫定推計 米ニューヨーク (NY) 州のクオモ知事は 23 日、新型コロナウイルスの抗体検査を州内で 3 千人に実施した結果、13.9% が陽性だったという暫定結果を公表した。 感染が深刻な NY 市の陽性率は特に高く、21.2% だった。 単純計算すると州内では約 270 万人、市内では約 180 万人が感染を経験したことになり、これまで確認された感染者の 10 倍超にあたる可能性がある。 抗体検査は、感染後の免疫反応によって体内にできるたんぱく質を調べる。 抗体ができるまで時間がかかって治療には向かないが、地域にウイルスがどれだけ広がったかが分かる。 ただ、新型コロナの抗体検査はまだ確立しておらず、正確性を疑問視する声がある。 また、抗体があっても新型コロナへの免疫がどこまであるか、分かっていない。 クオモ氏は検査が経済を再開させるための指標の一つになるとの考えを示しつつ、今回の結果は「暫定値だ」と強調した。 検査は 20 日から、州内 62 郡のうち 19 郡にある食料品店などを訪れた人を対象に血液採取をして行い、NY 州の施設で解析した。 黒人やヒスパニック系の陽性率はともに約 22% で、白人やアジア系の約 2 倍だった。 NY 州では 23 日までに 1 万 5,740 人が新型コロナで死亡。 クオモ氏は感染者が 270 万人だった場合、「致死率は 0.5% 程度になる」とした。 一方、死者数を十分に把握できていないという指摘もあり、クオモ氏も「集計し直さなければならない」と述べた。 米科学誌サイエンスによると、抗体検査はマサチューセッツ州やカリフォルニア州、ドイツの一部などで試験的に行われており、感染率は人口の 2 - 30% に上るとの各推計が出ている。 日本では加藤勝信厚生労働相が 24 日、検査に向けてキットの性能評価を始めた、と発表した。 (ニューヨーク = 藤原学思、ワシントン = 香取啓介) カリフォルニアでは妥当性で論争も 新型コロナウイルスの抗体検査は米カリフォルニア州でも実施されているが、検査方法などをめぐって論争もある。 ロサンゼルス郡は 20 日、南カリフォルニア大などが 863 人を対象に行った抗体検査で約 4.1% の抗体が確認されたと発表した。 郡内の成人の 2.8 - 5.6% が抗体を持っていると推計されるという。 スタンフォード大の研究者らも 4 月中旬に公表した査読前論文で、サンタクララ郡の 3,330 人を対象に抗体検査を行った結果、郡内の 2.49 - 4.16% が抗体を持っていると推計されると発表。 郡内の感染者数は、確認されている数の 50 - 85 倍に上る可能性があると試算した。 ただ、スタンフォード大の調査は、被験者をフェイスブックで募っていた。 研究者の間では、症状がある人が感染の有無を知ろうと参加し、抗体の検出割合が高くなっていた可能性がある、と指摘が出ている。 カリフォルニア州のニューサム知事は 22 日の会見でも、抗体検査の妥当性を巡って議論が続いていることに言及しながら、「我々が診断のために使うのは、抗体検査ではなく、PCR 検査だ」と説明。 経済の再開に向けた準備として、4 月末までに州内の PCR 検査の能力を 1 日 2 万 5 千件まで引き上げ、その後数カ月で 1 日 6 万 - 8 万件に引き上げる考えを強調した。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 4-24-20)
◇ ◇ ◇ 「既存の新型コロナウイルス抗体検査は信頼できない」ロシュ CEO スイス製薬大手ロシュのセベリン・シュワン最高経営責任者 (CEO) は 22 日、市販されている一部の新型コロナウイルス感染の抗体を調べる血液検査キットについて「あてにならない」と酷評した。 同社は来月、独自の抗体検査キットを発売する準備を整えている。 抗体検査によって新型コロナへの免疫を獲得した人を特定し、移動制限などの対象から除外できれば、経済活動の再開や医療関係者の安全を保つことにつながる。 ロシュは一部の既存検査製品の信頼性を精査した。 その結果に基づき、シュワン氏は偽陽性の結果が示される血液検査キットについて「ひどい。 こうした検査には何の価値もないか、ほとんど役に立たない。 こうした検査を売り出す一部の企業は倫理的に非常に問題がある。」と述べた。 シュワン氏によると、針で指を刺してすぐに結果が判明するタイプなど、現在約 100 種の検査キットが販売されている。 ロシュは調査した具体的な検査製品については明らかにしなかったが、大手検査薬企業のものではないという。 ロシュが発売を計画している血液検査キットは、医師か看護士が採取した静脈内の血液に基づいて判断する。 シュワン氏は予想される偽陽性の確率については言及しなかったが、ロシュは新型コロナに感染した身体が作り出した抗体の発見に成功しているので信頼できると説明した。 ロシュの中で目立たなかった診断薬事業部門が、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で活躍している。 検査需要が高まる中、同社は今年の売上高と 1 株当たりコア利益の伸び率見通しについて、1 桁台前半から半ばという従来見通しを維持した。 第 1・四半期の売上高は前年同期比 7% 増の 151 億スイスフラン(155 億 7,000 万ドル)だった。 ロシュはこれとは別に、綿棒で鼻腔からサンプルを採取して新型コロナ感染の有無を調べる検査キットも手掛けている。 これらの検査製品はロシュの分子診断薬事業の第 1・四半期の売上高を前年同期比 29% 押し上げた。 ロシュの新型コロナ関連の活動の重点は検査に置かれている。 しかし関節リウマチ治療薬「アクテムラ」が、重症患者のサイトカインストーム(過剰な免疫反応)に効果があるかどうかについても試験を行っている。 (asahi = 4-23-20) ◇ ◇ ◇ 感染者数、実際は 55 倍も 新型コロナ抗体検査で推計 - 米ロサンゼルス 【ロサンゼルス】 米西部カリフォルニア州ロサンゼルス郡は 20 日、新型コロナウイルスの実際の感染者が、確認されている人数の 28 - 55 倍に及ぶという調査結果を発表した。 郡と南カリフォルニア大学は、住民の抗体検査を継続的に約 1,000 人ずつ実施しており、第 1 陣となる今月 10、11 両日の検査結果から推計した。 それによると、郡内の成人の 4.1% が抗体を持っており、既に 221,000 - 442,000 人が感染していた可能性があるという。 当時、確認されていた感染者は約 8,000 人だった。 郡は「従来考えられていたよりも、感染がはるかに広がっており、致死率は大幅に低いことを示唆している」と指摘した。 (jiji = 4-21-20) ◇ ◇ ◇ 新型コロナの抗体検査急ぐ中国 - 感染拡大の実態把握目指す
中国湖北省武漢市の学生、葉虎さんが 1 月に新型コロナウイルスに感染した際、看病していた母親と祖母もその後発熱した。 だが、武漢市の病院は患者であふれかえり、自宅での療養を余儀なくされた。 それから数カ月がたち、中国の新型コロナ感染拡大が制御されつつあるように見える中で、母親と祖母は血液検査を受け、コロナに感染し克服していたことが確認された。 しかし、本土の公式感染者数にカウントされることはなかった。 葉さんは「自力回復できたのは幸運だった」と振り返る。 新型コロナの感染データを過少報告しているとの批判が広がる中で、中国は感染拡大の実態把握が期待される血清検査に着手しつつある。 この検査は代表的な群の血液を採取し、感染していたことを示す抗体があるかどうかを調べる。 そこからより幅広い人口での病原体の広がり具合を推計する。 新型コロナが人から人にどのように感染したのかに光が当たる可能性もあり、子どもなど比較的感染者が少ないとされるグループのウイルス拡散における役割に関して手掛かりが得られるかもしれない。 ニューヨーク市も先日、3,700 人余りを新型コロナの死者数に加えるなど過少報告は世界的な問題だ。 感染報告が実際よりも少なくなる一因として、無症状感染者の存在がある。 自覚症状がなければ検査を受ける公算は小さく、無症状感染が新型コロナ拡大で主要な役割を果たしているとの指摘もある。 抗体検査を実施すれば、感染をコントロールしながら経済活動を正常化する方法など、各国の政策当局が再流行への備えを改善する上で一助となり得る。 中国疾病予防コントロールセンターのフェン・ルーチャオ研究員は今月 2 日、北京で記者団に対し、多くの地域で抗体検査を行っていると明らかにした。 新型コロナ拡大の起点となり、検証に着手するのに十分な段階にある唯一の主要国として、中国の血清学上の取り組みは世界の科学者も注視する。 武漢では 1 - 3 月に 2 週間以上滞在していた無作為の 1 万 1,000 人を対象に抗体検査を始めた。 血清検査は急を要するとはいえ、中国ほどの人口を抱えると適正な実施で課題も出てくる。 世界保健機関 (WHO) で新型コロナ感染症の事態管理チームに所属する疫学者のジェフリー・ギルバート氏は、検査の精度を左右する大きな決定要因は選ばれた人のサンプルが人口全体をしっかり代表しているかどうかだと指摘する。 「中国では規模が欧州の国に匹敵する省と非常に異なる人口密度が混在する」と同氏は説明。 「全土で膨大な数の検査を行わなければ全体像を把握するのは極めて困難だ」と語る。 また、平均的な人の血液にはインフルエンザなど一般的なウイルスの抗体も含まれている可能性があり、抗体の識別も難しく、韓国などは血清検査に踏み切れないでいる。 公式の感染者は年齢が高めの傾向にあるが、血清検査では子どもも同じく感染しているものの、免疫システムがより迅速に働いて深刻な症状の発現を防いでいることが分かる可能性があると WHO のギルバート氏は話す。 新型コロナの感染拡大を食い止めるために学校の休校が必要なのかなど、盛んに議論されている問題にも、検査結果からはっきりと回答が得られるかもしれない。 ギルバート氏は「多くの人々は解明が進むとの期待を持って待っている。 打撃がそれほど大きくなっていない他の国々に対する指針の策定や見直しでわれわれの助けになってくれるだろう。」と述べた。 (Bloomberg = 4-20-20) 新型コロナ、第 2 波がインフル流行と重なる恐れも CDC 所長が警告 米疾病対策センター (CDC) のレッドフィールド所長は、米国でこの冬、新型コロナウイルス感染拡大の第 2 波とインフルエンザの流行が重なり、医療現場はさらに深刻な危機に陥る恐れがあるとの警告を発した。 21 日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。 インフルエンザには新型コロナウイルスと違って予防接種や治療薬があるとはいえ、毎年多くの死者が報告されている。 CDC によると昨年は米国内の患者が 3,550 万人、死者は少なくとも 3 万 4,200 人に達した。 インフルエンザへの対応に追われる医療現場に新型コロナウイルス感染症の流行が重なれば、負担は今回よりさらに大きくなる恐れがあると、レッドフィールド氏は指摘する。 ホワイトハウスで新型コロナウイルス対策を統括するバークス対策調整官は 21 日の記者会見でレッドフィールド氏の発言について問われ、第 2 波のほうがひどくなるかどうかは「分からない」とコメント。 そのうえで、感染拡大の兆候を早期に察知するために高リスク層の監視体制を維持するとの方針を示した。 トランプ大統領は先週、経済活動再開に向けた規制緩和の指針を各州に提示したが、レッドフィールド氏は州当局者らに対し、今後 2 - 3 カ月は次の段階に備えて、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)の徹底とともに検査や感染経路追跡の体制強化を図るよう呼び掛けている。 同氏はまた、インフルエンザで入院する患者を減らすため、予防接種の普及啓発を進める必要があると強調。 インフルエンザの予防接種を受けることで病院のベッドが空けば、自分の親や祖父母が新型コロナウイルスに感染した時にそのベッドが使えるかもしれないと訴えた。 (CNN = 4-22-20) 韓国で「再陽性」 163 人 隔離解除から平均 13.5 日 韓国の中央防疫対策本部は 17 日、新型コロナウイルスの感染者のうち、ウイルスが体内からなくなる陰性と判定されてから、再び陽性となる「再陽性」が 163 人で確認されたと発表した。 感染者が隔離を解除されてから再陽性と判定されるまでは平均 13.5 日かかっているという。 同本部は原因として、@ 免疫力が弱まって抗体が完全に体内でつくられず、ウイルスが再活性化、A 検査そのもののミス、B 体内にウイルスはなくなったが、その断片を検知、などの可能性を調べている。 完治後の「再感染」ではないとし、再陽性と判断された人からの感染拡大も確認されていないという。 (ソウル = 神谷毅、asahi = 4-17-20) 新型コロナ 回復者の免疫有無に疑問、抗体検査に課題も 新型コロナウイルスの感染者が回復した後に免疫がついているかどうかを巡って疑問の声が出ている。 回復後に再び陽性と診断される例が相次いでいるためだ。 専門家は免疫がつかないことは考えにくいとし、体内にできた抗体の検査などに課題があるとしている。 欧州の一部の国が検討する外出制限の解除などに影響するだけに、慎重な検証が求められる。 世界保健機関 (WHO) は 13 日、新型コロナ感染者が回復後に再び陽性になる例が出ていることについて、免疫がついているかは不明だとの見解を明らかにした。 WHO が注目したのは中国・復旦大学による調査。 感染して回復した人のうち、3 割で血中の抗体量が十分でなかったという。 韓国や日本でも回復後に再び陽性になった人が報告され、抗体が体内にできたかどうか疑われている。 通常、ウイルスなどの病原体に感染した場合、体内で免疫が働いてウイルスを攻撃する。 免疫の元となる抗体などが体内で作られ、再び感染しても抗体が攻撃して陽性にはなりにくいとされる。 東京農工大学の水谷哲也教授は「通常は抗体が増えて回復するため、免疫がつかないとは考えにくい」と指摘。 「抗体が少ないまま回復した理由や再感染するかどうかなどを見極めるデータが必要だ」としている。 検査の限界を理由として挙げる意見もある。 長崎大学の森内浩幸教授は「呼吸器に感染するウイルスでは血中の抗体が上がらないケースはある」と話す。 インフルエンザの感染者などでも見られる症状だという。 千里金蘭大学の白木公康副学長も「回復後も体内に残ったウイルスに抗体がくっつき、血中の量が少ない時期がある可能性がある」と分析。 B 型肝炎の感染者などでみられ、検査で見つからないこともある。 感染拡大がピークを迎えつつある欧州の一部の国では規制解除のタイミングを見極めつつある。 一定の人に免疫ができれば感染拡大を抑えられ、経済活動を再開できるからだ。 東京慈恵会医科大学の越智小枝講師は「どんなウイルスでも再感染のリスクはある。 新型コロナに再感染する例が多いなら戦略も見直さざるを得なくなる。」としている。 慢性化するウイルスでは抗体ができても有効でないケースが多く、ワクチン開発は難しくなる。 現時点ではデータが少なく、新型コロナウイルスは不明な点が多い。 多面的に解析した調査が求められている。 (nikkei = 4-14-20) ◇ ◇ ◇ セルトリオン、新型コロナ抗体医薬品候補 38 種を確保 … 「7 月中の臨床試験が目標」 セルトリオンが新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 抗体医薬品の最終候補群を確定した。 抗体医薬品とは、私たちの体がウイルスに対抗して作った抗体の中から、效果の良いものを選んで作った医薬品だ。 セルトリオンは 13 日、COVID-19 抗体を開発するために行った中和能力検証で、38 の最終候補群を確保したと発表した。 セルトリオンは今月 2 日から疾病管理本部と協業し、106 の抗体を対象に 2 回にわたって中和能力を検証してきた。 これを通じて選ばれた最終候補群のうち、14 種が特に強力な中和能力を示したというのがセルトリオンの説明だ。 中和能力とは抗体がウイルスを無力化するか、消滅させる能力を指す。 セルトリオンは、今回選定された最終抗体候補群を対象に、細胞株の開発段階に入る。 その後、人体臨床物質の大量生産に着手すると同時に、疾病管理本部は実験用ラットを対象にした効力試験と霊長類を対象にした毒性試験を並行する計画だ。 セルトリオンの関係者は「開発期間を最大限短縮する方針」だとし、「今年 7 月中に人体を対象にした臨床試験を進めるのが目標」だと述べた。 (イ・ジェヨン、韓国ハンギョレ = 4-14-20) 50 施設拒否の感染者も 忽那医師「崩壊始まっている」 感染の拡大が止まらない新型コロナウイルス。 7 都府県に緊急事態宣言がでて外出自粛が呼びかけられているが、患者の増加は抑えられるのか。 発生当初から多くの患者を診てきた国立国際医療研究センター(東京都)の忽那(くつな)賢志医師に 9 日、オンライン会議システムを使い、現状を聞いた。 - - 感染者が日ごとに増えています。 うちの帰国者・接触者外来で PCR 検査を受けて陽性だった人の割合は 3 月末は 5% 前後でしたが、いまは約 20%。 陽性率は高まっています。 診断されていないものの、新型コロナに感染している人は都内には相当いるといえます。 感染者、50 カ所たらい回し - - 患者の受け入れはできていますか。 つい先日、50 施設から受け入れを断られたという患者がうちに来ました。 この方は軽症でしたが、その少し前には 25 施設から断られたという重症患者も受けました。 どこもベッドがいっぱいと言われたそうです。 うちも結核患者むけの病棟をまるごと新型コロナ患者に充てていますが、お断りせざるをえない時もあります。 医療崩壊は始まっています。 - - どんな時に新型コロナを疑えばいいでしょう。 たとえば感染者が現在、ごくわずかな県に住み、のどが痛いといった場合は、きっとかぜでしょう。 都内の人ならば、コロナの可能性はあります。 症状が持続するかどうかが一つのポイントです。 ただし数日たたないとわかりません。 - - かぜやインフルエンザとどう違いますか? 発熱やせき、のどの痛み、鼻水といったかぜのような症状で始まるのは同じです。 インフルは数日でよくなることが多いが、だらだら症状が続くのが新型コロナの特徴。 1 月のころは気にしていなかったが、3 月中旬ごろから味覚・嗅覚の異常がある患者さんもいると気づくようになった。 3 割ほどにみられます。 7 - 10 日目に悪化 - - 悪化する人はどんな経過をたどりますか。 発症から 7 - 10 日目に悪くなる人が多い。 肺炎になり呼吸状態が悪くなる。 実際にうちの病院でも、人工呼吸器を着けた後に、残念なことに亡くなった方も数人いる。 高齢で基礎疾患のある方でした。 - - 軽症者は宿泊施設や自宅での療養ができるようになりました。 新型コロナを発症して陰性になるまで 20 日程度、症状がない人でも 9 日ほど。PCR 検査で 2 度陰性でないと退院できないこともあり、入院が長引き、ベッドがなかなかあきませんでした。 特定の病院がパンクしないよう、国に要望してきました。 実現したことは評価しますが、ウイルスの拡大するスピードに追いついているとは思えません。 - - PCR 検査数が日本は少ないという批判がありました。 3 月時点では、少なすぎるとは思っておらず、適切に検査されていると感じていた。 だが今、東京のように流行している地域では、もっと検査を増やさねばならないでしょう。 感染者を確定し、さらなる広がりを防がねばならない。 検査する病院が限られていることが問題なので、検査をする施設を増やす必要がある。 - - 国や都に求めたいことは。 医療現場に防護服が足らないことも大きな問題です。 丸腰で我々は患者さんを診ることができない。 最優先して供給してほしい。 緊迫感ない - - 緊急事態宣言の後、収束に向かうでしょうか。 少なくともこれから 2 週間は患者数の増加は続くでしょう。 このウイルスの拡大は、人と人の接触を断てば抑えられるとわかっています。 ですが宣言が出てもみんな、意外と外に出ている。 どこか他人事とみている人がいて、緊迫感がない。 2 週間後に効果が本当に見えるのか結構不安です。 感染が収まらなければ、オーバーシュート(爆発的な感染拡大)します。 イタリアのように人工呼吸器を使えば助かる人を助けることができず、多くの方が亡くなる事態につながりかねません。 不要不急の外出を控えて、家にいてください。 (聞き手・野口憲太、編集委員・辻外記子、asahi = 4-13-20)
エボラ治療薬で 68% が改善 コロナで重い肺炎の 53 人 新型コロナウイルスに感染して重い肺炎になった患者 53 人に、エボラ出血熱の治療薬として開発された「レムデシビル」を使ったところ、68% で症状が改善したことがわかった。 日米などの研究チームが米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン (NEJM) に発表した。 対象としたのは、通常の呼吸では肺から十分に酸素を取り込めなくなった患者。 日本の医療機関で治療を受ける 9 人と、アメリカ、ヨーロッパ、カナダの計 53 人に 10 日間、レムデシビルを使った。 開始から 28 日目までの治療成績では 68% にあたる 36 人で呼吸状態が改善した。 25 人が退院した一方、7 人が死亡、6 人は依然重症だという。 レムデシビルはエボラ出血熱の治療を目的に開発された。 試験管レベルの実験で新型コロナウイルスの増殖を抑える効果がわかっている。 ただヒトでの効果を判断するには、薬を使う患者と使わない患者を無作為に分けて治療結果を比較する試験 (RCT) が必要だ。 今回の報告とは別に、米日韓などが約 400 人を対象にこうした試験を進めている。 今回は患者全員にレムデシビルを使っており、チームは「効果の測定には RCT が必要」としている。 論文は、https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007016?query=RP で読める。 (三上元、asahi = 4-12-20) <新型コロナ> 「大村智氏開発薬がコロナ抑制」 イベルメクチン 豪州の大学発表 【シドニー】 オーストラリアにあるモナシュ大の研究チームは 6 日までに、2015 年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智(おおむらさとし)・北里大特別栄誉教授が開発した抗寄生虫薬「イベルメクチン」が新型コロナウイルスの抑制に効果があったと発表した。 チームは、試験管内のウイルスにイベルメクチンを投与したところ、48 時間以内にウイルスが増殖しなくなったとしている。 イベルメクチンは寄生虫の感染によってアフリカやアジアなどで広がる熱帯病の特効薬の一つ。 大村氏が静岡県のゴルフ場で見つけた土壌の細菌が作り出す物質を基に、米製薬会社メルクと共同研究で開発した。 チームは、新型コロナの治療薬としても安全であることを確認するため臨床試験を急ぐ方針。 (kyodo = 4-7-20) WHO、若年層の危険を指摘 「30 - 50 代、死亡も」 世界保健機関 (WHO) が 3 日に開いた新型コロナウイルスについての記者会見で、WHO の感染症専門家マリア・ファンケルクホーフェ氏は「30 代、40 代、50 代で集中治療室 (ICU) に入り、死亡する人もいる」と述べ、比較的若い年齢層にも危険があると強調した。 ファンケルクホーフェ氏は、重症者の主流は高齢者と基礎疾患がある人だとしながらも、イタリアや欧州各国などからの最近の報告例も踏まえて「若年層でますます多くの人が重症化している」と指摘。 比較的若い層の死者の中には、基礎疾患のない人もいると報告した。 年齢層別の傾向などは未解明な点が多く、重症化してから軽症に戻る人がなぜそうなるのかもよくわかっていないという。 一方、各国で大きく違う感染者の致死率については、社会の年齢構成や患者が押し寄せて医療にかかった負荷や、検査の範囲などによって違うとして「比べることは難しい。 誤解を招く恐れがある。」と述べた。 (ジュネーブ = 吉武祐、asahi = 4-4-20) J & J、コロナワクチン開発加速 来年初めの使用目指す 米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンは 30 日、新型コロナウイルス対策のために米政府と協力し、ワクチン開発を加速させ、来年初めにも使用可能にすると発表した。 10 億ドル(約 1,080 億円)以上を投資し、10 億回分接種できる量のワクチンを生産できる態勢を作るとしている。 通常ワクチンが利用可能になるには、12 - 18 カ月かかるとされる。 同社によると、1 月から研究を始め、すでにワクチンの候補を見つけているという。 少人数を対象に安全性や効果を確認する「第 1 相試験」を 9 月に始め、緊急使用の承認を得れば来年初めにも生産が可能になるとしている。 米政府が補助し、国内に生産拠点を作る。 新型コロナウイルスのワクチンは各国で開発が進んでいる。 米国立保健研究所 (NIH) は 3 月半ば、バイオテック企業モデルナが開発したワクチンの最初の人への臨床試験を米ワシントン州で始めている。 また、中国や韓国でも臨床試験が計画されている。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 3-31-20) 空気感染しないコロナ、換気なぜ必要? 漂う粒子を見ると 新型コロナウイルスの感染が広がっている。 ライブハウスのような場所など換気の悪い密閉空間での集団感染を防ぐために、屋外から空気を取り入れる換気が大切だとされている。 新型コロナウイルスは「空気感染」はしないといわれているが、換気の勧めに科学的な根拠はあるのだろうか。 せきの 20 分後、ウイルスは? そもそも新型ウイルスの主な感染経路は、くしゃみやせきのしぶきを直接あびる「飛沫感染」と、ウイルスがついた手すりやドアノブなどをさわった手で目や口、鼻をさわる「接触感染」だとされてきた。 麻疹(はしか)ウイルスのように、空気中を漂うウイルスによる空気感染はしないとされている。 ただし、世界保健機関 (WHO) は新型コロナウイルスについて、締め切った室内などでは、比較的長い時間空気中を漂うウイルスを含む微粒子エーロゾル(エアロゾル)によって感染が起きる可能性を指摘している。 そこで、京都工芸繊維大学の山川勝史准教授(計算流体工学)は、ほぼ閉めきった空間で新型コロナウイルスに感染した患者がせきをしたと想定。 ウイルスを含むせきのしぶきがどのように広がるのか、大きさ 0.004 - 2 ミリの微粒子の動きをコンピューターでシミュレーションしてみた。 すると、2 ミリまでの比較的大きな微粒子は最初の 1 分間でほぼ床に落下し、広がらなかった。 ただ、さらに細かく軽い微粒子の動きは違った。0.004 - 0.008 ミリの微粒子は、患者がせきをした 20 分後まで計算しても、多くが落下せず、空気中を漂う結果になった。 政府の専門家会議は、新型コロナウイルス感染対策の一つとして換気を呼びかけている。 どの程度の換気をするべきかの科学的根拠については「まだ十分にありません」というが、「可能であれば 2 方向の窓を同時に開け、換気を」としている。 「換気だけで十分」と思わないで 山川さんは換気の効果について「きれいに空気を流すため、2 方向の窓を開けることは理にかなっている。 屋内外の気圧の差などによって空気の流れは変わるので、『1 時間に何分換気するべきだ』とは言えない。 少しでも長い間、細かく換気することが感染の防止につながる。」と話す。 空気調和・衛生工学会と日本建築学会は 3 月 23 日、新型コロナウイルス対策に関して、換気についての問い合わせが会員に寄せられているとして、緊急会長談話を発表した。 せきやくしゃみで飛ぶしぶき(飛沫)のうち、0.005 ミリ前後の小さなものは比較的長く空気中をただようことがわかっているため、感染リスクを下げるのに換気は有効と紹介している。 「窓がある建物や乗り物では積極的に窓を開けて外の空気を取り込むことが有効」、「車などでは内気循環モードではなく外気を取り入れるモードに」、「換気を適切に行うには給気口や排気口が塞がれていないことが大切」などと説明している。 寒い日は、別のリスクも オフィスビルなどにある換気ができる空調設備については「外気を多く取り入れると冷暖房効率は悪くなりますが、業務に支障がない範囲で、外気取入量を増やすなどの対策を講じることは可能」としている。 ただし、「換気をするだけで感染リスクを十分に低減できるという考えは避けて頂くことが望ましい」とした。 WHO などが、新型コロナウイルスの主な感染経路は、換気でとりのぞける空気中の微粒子による感染ではなく、せきなどのしぶきを直接あびる飛沫感染と、ウイルスがついたドアノブや手すりなどをさわった手で口や目などをさわる接触感染としていることを理由に挙げている。 近畿大学の東賢一准教授(衛生学)は「くしゃみなどの大きなしぶきはすぐに落ちるが、細かい微粒子はしばらく空気中を漂うと考えられる。 体内に入るウイルスを減らすために、人と人が詰まりすぎる環境はできるだけ避けてほしい。」と話す。 東さんは、一般の住宅で換気による大きな効果を期待するためには、外の風がしっかりと通り抜けるよう、窓を開ける必要があるという。 ただ、窓を開け続けると、寒い日は部屋の中が冷えて、高齢者らにとっては心筋梗塞(こうそく)や狭心症の発作などを起こすリスクもある。 「人が多くいない家の中では神経質になってずっと窓を開けて感染を防ごうとせず、暖かくしておいた方がいい。」 東さんは「大切なことは家の中にできるだけウイルスを持ち込まないことだ」と指摘する。 付着したウイルスを取り除くため、帰宅後すぐに手洗いをしたり、帽子や、手袋、上着を外に干したりすることを勧めている。 明確な根拠、得られる前でも 政府の専門家会議は、多くの人が感染していたと考えられる条件として、「換気の悪い密閉空間」、「多くの人が密集」、「互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声」という三つが同時に重なった場合と説明している。 3 月 9 日の発表では、換気などの対策でどれくらい感染リスクを下げられるかについて「今のところ十分な科学的根拠はありません」としたうえで、「明確な基準に関する科学的根拠が得られる前であっても、事前の警戒として対策をとっていただきたい」と呼びかけた。 (鈴木智之、asahi = 3-29-20) 新型コロナウイルス、まだ分かっていない数々のこと もうはるか大昔のことのように思えるが、世界が新型コロナウイルスの存在に初めて気づいたのは、昨年 12 月のことだ。 世界中の科学者がウイルスの仕組み解明に精力的に取り組んではいるものの、まだ分からないことはたくさんある。 そのため私たちは誰もが、惑星規模の実験に参加して、真相究明に参加しているのだ。 まだ答えが得られていない大きな疑問をいくつか、挙げてみる - -。
「BCG ワクチン」が新型コロナ予防に効果? 海外で治験開始も 新型コロナウイルスのワクチン開発に世界各国がしのぎを削るなか、結核を予防する「BCG ワクチン」の新型コロナウイルスへの予防効果を見る治験が始まることが「サイエンス(電子版)」のニュース記事に登場し、注目されている。 別にオーストラリアの研究所も臨床治験の開始を発表した。 日本では BCG の定期接種が行われているが、これは人類の希望となるのか? 京都大大学院医学研究科の医師でジャーナリストの村中璃子氏が緊急寄稿した。 ☆ 一般にワクチンは、麻疹ワクチンであれば麻疹を、インフルエンザワクチンであればインフルエンザをというように、特定の病原体に対する 1 対 1 の予防効果を示す。 しかし、あるデンマーク人の研究者グループが 2015 年、「BCG ワクチンは細菌の感染症である結核を予防するだけでなく、免疫システム全体を強化し、ウイルス一般への感染や重症化を予防する効果がある」とする論文を発表した。 BCG は 20 世紀初頭に開発され、今日まで世界で使われてきた古典的ワクチンだ。 ただ、結核の感染や重症化の予防効果は 60% 程度と決して高くはない。 そのため、日本では生後 1 歳までの間に接種が推奨されているが、米国をはじめ BCG を定期接種としていない国も多い。 前出の論文には科学界から賛否両論の声が上がり、評価は定まっていないが、オランダでは今週中にも、この BCG の効果に注目している研究者たちが新型コロナウイルス感染のリスクグループである医師や看護師 1,000 人を対象とした BCG ワクチンの新型コロナウイルス予防効果を評価する治験に着手する。 ギリシャでは、新型コロナウイルスが出現する以前から、感染症が重症化するリスクの高い高齢者を対象とした BCG ワクチンの治験が始まっており、オランダの治験と合わせて効果を見ていくことになるという。 「人と人との距離を取る」、「手を洗う」など、世界はまだ、ごく基本的な対策でしか新型コロナウイルスと闘うことができないという現状のなか、すでに安全性が確認され、安価に大量生産できる BCG ワクチンに寄せる期待は大きい。 しかし、BCG には、新型コロナウイルスはおろかウイルス全般の活動を抑える、確たる証拠もまだ得られていない。 期待し過ぎは禁物だ。 (ZakZak = 3-29-20) |