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モデルナ接種後 38 度以上 6 割 専門家「ちょっと驚き」

米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンを 2 回接種した国内の人の 61.9% が 38 度以上の発熱 - -。 こんな中間報告が厚生労働省の部会で 4 日に報告された。 海外での約 1 万 5 千人を対象とした治験では、38 度以上の発熱は 15.5% のはずだった。 ワクチンは高い有効性が報告され、接種のメリットは大きいが、予想以上に発熱している人が多いのはなぜなのか。

接種後翌日に熱が出る人が多い

国内では主に米ファイザー製とモデルナ製の二つのワクチンが使われている。 ファイザー製は主に医療従事者への先行接種や自治体を通じた接種に、モデルナ製は主に大規模接種会場や職域接種、大学での拠点接種で使われている。 厚労省の部会で報告されたのは、厚労省研究班が調査しているワクチン接種後の副反応だ。

ファイザー製を打った主に医療従事者の調査だと、2 回目接種後に 37.5 度以上出たのが 38.1%、38 度以上は21.3% だった。 一方、モデルナ製のワクチンを打った自衛隊職員らを調べると、2 回目接種後に 37.5 度以上の発熱が出たのは 78.4%、38 度以上も 61.9% だった。 発熱した多くの人は 2 回目接種の翌日に熱が出て、4 日目には熱がおさまっている。

治験と大きく違う結果、「驚き」

モデルナ製ワクチンの添付文書に書かれている治験のデータでは、海外の 18 歳以上の約 1 万 5 千人で 38 度以上の発熱は 15.5% だった。 国内約 150 人の治験では 40.1% と確かに国内は高い傾向ではあった。 60% 以上が発熱していることについて、日本感染症学会のワクチン委員会の委員長で、鹿児島大の西順一郎教授は「正直、ちょっと驚いた」と話す。

接種後に発熱するのは、異物に自然免疫が反応したために起こる。 一般的には、若い人ほど出やすい。 自衛隊の職員の調査は男性の自衛官がほとんどだったため、西さんは「一定の偏りがある集団だから高いのかとも思ったがそういうわけでもなさそうだ」と話す。 西さんによると、ほかの大学の職域接種の調査でも、38 度以上の発熱が半数で起きていたという。 岡山大も 11 日、大学の拠点接種で受けた 1 回目接種後の症状について公表し、1 回目の接種後でも 23.0% が 37.5 度以上発熱している。

季節性インフルエンザウイルスのワクチンだと、接種後に発熱する人は 3% ほど。 一方、いまの新型コロナのワクチンはファイザー製でも 20% 以上が発熱する。 「一般的には、ワクチンは健康な人が打つもの。 ワクチンとしては発熱の頻度が高すぎる。 企業も一時的な副反応を下げる努力はするべきだ。」と西さんは指摘する。

初めてわかった「mRNA ワクチン」の特徴

治験のデータも含め、ファイザー製とモデルナ製はいずれも m(メッセンジャー)RNA ワクチンというこれまでにないタイプのワクチンで、その特徴が初めてわかってきた、とも言える。 では、なぜこんなに多くの人が発熱するのか。 ファイザー製とモデルナ製は成分の量が違う。 有効とされる成分は、ファイザー製は 1 回 0.3 ミリリットルの中に 30 マイクログラムが入っている。 モデルナ製は 0.5 ミリリットルの中に 100 マイクログラムが入っている。

ワクチンに詳しい川崎医科大の中野貴司教授は「濃いワクチンほど効果は高まるが、副反応も出やすくなる。 有効性と副反応とのバランスで量が決まっている。 異なるワクチンを異なる臨床試験で比べたとはいえ、モデルナの発熱の頻度は高いと言える。」と話す。 ほかにも、各企業は注射後に mRNA が分解されないよう、mRNA 自体を加工して効果を高める工夫をしていたり、mRNA を包む脂質を変えたりするなど、製品ごとに成分も違う。 モデルナ製のほうがより自然免疫が反応しているのかもしれない。

人種間の差もあるかもしれない。 モデルナ製ワクチンの治験はアジア系の人も参加しているが、そう多くはない。欧米よりアジア系の人のほうがワクチンにより反応している可能性も考えられる。体質や成育環境により、病原体に対する免疫反応が違うことは起こりうるという。

米国でも発熱する人が出ている

ただ、実際にモデルナ製が多く使われている米国で発熱が少ないかというと、実は結構出ているようだ。 米国医師会の雑誌に 4 月に出た論文によると、2 回接種が終わった 95 万人の調査で、発熱があったのは 37.6% と治験のデータよりもずいぶん高い。 ただ、それでも日本の 60% よりは少ない。 中野さんは「正しい情報を提供するためにも、実際にどのくらいの人で副反応が出て、どのくらいの効果が出ているのかを、継続的に調べる必要がある。 まだ情報が少ないが、心筋炎などまれに起こる副反応の情報も知りたい。」と話す。

また、「モデルナアーム」と呼ばれるワクチン接種から数日後に腕に赤みがみられる症状が出ることもある。 厚労省の研究班の調査では、モデルナ製ワクチンの 1 回目の接種後に約 1.8% で確認された。 ただ、いまのところは、打つメリットのほうが大きいと考えられている。 鹿児島大の西さんは「これまでのワクチンより副反応が強いことは明らかだが、副反応自体は長く続かないことがほとんど。 病気の度合い、流行の状況をふまえると、ワクチンの効果のほうが大きく、打ったほうが良い。」と話す。

海外では「3 回目の接種」に向けた動きもある。 2 回目の接種翌日に、高熱で動けなかった人の中には、3 回目に対する不安もあるかもしれない。 西さんは「接種後にしばらく経つと抗体の量は落ちるかもしれないが、免疫は記憶している。 抗体が少なくなったから 3 回目を打つというのは少し短絡的で、もうしばらく接種後にどれだけの人が感染したか観察する必要がある。」と話す。

副反応の中でも、怖い症状ももちろんある。 多くの人は高熱は 1 - 2 日でおさまる。 3 - 4 日続くなら、注意が必要だ。 また、ワクチンによってせきなどの呼吸器症状は出ない。 この場合、新型コロナに感染している可能性がある。 また、数日後に胸が痛くなる心筋炎は見逃さない方がよい。 胸部の違和感、動悸があれば、早めに医療機関を受診したほうがよい。 (後藤一也、asahi = 8-18-21)

新型コロナウイルスワクチンの 2 回目の接種後に起きた症状の例

(厚生労働省の部会で示された
厚労省研究班の資料より)
ファイザー製モデルナ製
発熱37.5度以上38.1%78.4%
38度以上21.3%61.9%
頭痛53.1%67.6%
鼻水14.4%12.2%

「デルタ株」の感染予防、ファイザー製よりもモデルナ製が有効か … 米研究チーム

|米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンは、米ファイザー製よりもインド由来の変異ウイルス「デルタ株」に対する感染予防効果が高い可能性があると、米国の研究チームがまとめた。 米国の医療機関メイヨー・クリニックなどのチームは、ミネソタ州のワクチン接種者と非接種者計約 5 万人のデータを解析した。 デルタ株の感染割合が 70% に達した 7 月時点で、感染予防効果はファイザー製で 42% だったのに対し、モデルナ製は 76% と高かった。

デルタ株がほとんど確認されなかった今年初め時点での感染予防効果はファイザー製 76%、モデルナ製 86%。 いずれもデルタ株の出現で効果が低下したが、モデルナ製の方が低下の幅が小さかったとみられる。 一方、重症化などによる入院を防ぐ効果は、デルタ株に対してもいずれも小幅の低下にとどまった。 森田公一・長崎大熱帯医学研究所長(ウイルス学)の話では「様々な要因が考えられるため、今回の結果だけで 2 社のワクチンの比較は難しいが、ワクチンの有効性を追跡したデータは今後、3 回目の接種などを検討する上で重要だ。」 (yomiuri = 8-11-21)


ワクチン効かない変異株の出現は「ほぼ確実」、英科学者が予測

ロンドン : 新型コロナウイルスのワクチンが効かない変異株は「ほぼ確実に」出現するだろうと予測した英学会の研究論文が、英政府の緊急時科学助言グループ (SAGE) の公式サイトに掲載された。 この論文は査読を受けておらず、まだ初期段階の理論的な研究に基づくもので、そうした変異株が出回っていることを裏付けるものではない。 論文は 7 月 26 日付で、SAGE のサイトには同月 30 日に掲載された。

学術チームは、新型コロナウイルスの根絶が見込めない以上、今後も変異種は出現し続けるだろうと「高い確信」を持って予測。 「最終的に現在のワクチンの機能不全につながる抗原変異が、徐々にあるいは断続的に蓄積する」のは「ほぼ確実」とした。 その上で、ワクチンが効かない新たな変異株が出現する可能性を減らすため、当局はできる限りウイルス感染を減らす対策を続けなければならないと提言している。

さらに、入院や感染を防ぐだけでなく、「高い持続的なレベルの粘膜免疫」を獲得させる新ワクチンの研究に力を入れるよう勧告。 その研究は、「ワクチンを接種した人への感染や、接種した人からの感染を減らす」ことを目標とすべきだとした。 新型コロナウイルスのワクチンを製造する複数の企業では既に、新しい変異株に対応するための研究が進められている。

論文では、過去数カ月の間に出現した変異株は、ワクチンによって獲得された免疫の影響を受けにくくなってはいるが、完全には免れていないと指摘する。 しかしそうした変異株は、ワクチンが広く普及する前に出現したと述べ、「ワクチンがもっと広く普及すれば、ワクチンで獲得した免疫を回避できるウイルスにとって感染の優位性が高まる」と警告している。 (CNN = 8-2-21)


国産ワクチン開発支援へ 閣僚会議発足 工程表まとめる

新型コロナウイルス対応で出遅れた国産ワクチンの開発支援に向け、政府は 30 日、関係閣僚会議を立ち上げた。 薬事承認制度の見直しや、研究機関や企業への支援などを省庁横断で進める。 今夏にも新たな臨床試験(治験)の方法を各国とまとめ、参加者を減らして開発速度を早められるようにすることなどを盛り込んだ工程表を決めた。

議長に就いた加藤勝信官房長官は会合で「国内における開発生産体制を強化することは、他国の需要に左右されることなくワクチン供給を確保し、新たな変異株に対応したワクチンを迅速に開発、生産するためにも大変重要だ」と述べた。 ワクチン行政は安全性を確認することを主眼とし、普段は厚生労働省が担当している。 産業振興や安全保障の観点を加えるため、関係閣僚会議には経済産業相や外相、防衛相らも加わる。

関係閣僚会議の役割は、政府が今年 6 月に閣議決定したワクチン開発への支援を強化する長期戦略を実現させることだ。 ワクチン開発に特化して研究費をつける組織の新設や、臨床現場や産業界が連携した世界トップレベルの研究開発拠点の形成、アジア各国と協力する国際共同治験の態勢整備などを目指す。 工程表には、各国の医薬品規制当局の間で今夏にもまとめる予定である、治験の規模を小さくする方向性を明記。 いまの治験は多くの参加者が必要で時間がかかったり、人口が少ないと集めにくかったりして、国産ワクチン開発の壁になっている。 接種後に体内に生じてウイルス感染を防ぐ「中和抗体」の値を測って評価することで参加者を減らす予定だ。

開発中のワクチンに一定の有効性を示すデータがあれば、緊急時の使用を認める「緊急使用許可 )EUA)」を創設するかどうかについては、今年中に方向性をまとめるとした。 発動の要件や、健康被害が起きた時の補償、免責なども含めて検証する。 (市野塊、asahi = 7-30-21)


接種 70% でも集団免疫は困難との見通し 尾身氏が発言

免疫をもっていない人にも予防効果が及ぶ「集団免疫」について、政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は 29 日、衆院内閣委員会の閉会中審査で、「仮に国民の 70% に(ワクチン接種を)したとしても、残りの 30% の人がプロテクトされることでは残念ながらないと思う」との見解を示した。 理由として、尾身氏は「直面しているデルタ株(インドで確認された変異株)の感染力が強いので、30% の人々の中で伝播が継続する」と話した。 さらに、ワクチン接種後の免疫の持続期間については「数カ月後ぐらいになると、だんだん減少してきて、また感染するということがある」とも述べた。

新型コロナの場合、初期の分析から試算すると、少なくとも人口の 6 - 7 割の接種率が必要と考えられている。 菅義偉政権はワクチン接種を「切り札」と位置づけるが、尾身氏の発言は、感染力の強い変異株が広がるなかでは不十分だとの認識を示したものだ。 実際、国民への接種が進む英国でも、感染者数が再び増えている。 (asahi = 7-29-21)


塩野義、コロナ治療薬の国内第 I 相臨床試験を開始

[東京] 塩野義製薬は 26 日、新型コロナウイルス感染症治療薬について、経口投与の抗ウイルス薬として国内第 I 相臨床試験を開始したと発表した。 22 日に初回投与を行っており、現状、初回投与後の安全性上の懸念は確認されていないという。 (Reuters = 7-26-21)


ファイザー製ワクチン感染予防効果 39% に低下 重症予防は 91%

イスラエル保健省は、ファイザー製の新型コロナワクチンについて、感染予防効果が 64% から 39% に低下したと発表しました。 一方、重症化の予防効果は 91% とし、依然として高い水準を保っています。 イスラエル保健省は 22 日、ファイザー製の新型コロナワクチンについて、感染予防効果が 64% から 39% に低下したと発表しました。 重症化を防ぐ効果については、93% から 91% と僅かに減ったものの、これまでと同水準だとしています。 イスラエルでは 22 日、新規感染者が 1,100 人を記録。 感染者数の増加と、予防効果の低下はデルタ株拡大によるものと見られています。

一方、ブルームバーグによりますと、今回の調査では、ワクチン接種済みグループと未接種グループを検査した際、異なる方法が使用されたため、調査の一貫性に疑問が生じる可能性もあるということです。 また、ロイター通信によりますと、医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メデシン」に掲載された研究結果では、デルタ株に対するファイザー製ワクチンの発症予防効果は 88% です。 一連の報告をめぐっては、「感染予防効果」、「重症化予防効果」、「発症予防効果」が混在し、検査方法なども各国で統一された基準が策定されておらず、混乱を招いているとの指摘も出ています。 (TBS = 7-24-21)


ファイザー製ワクチン、間隔を 4 週以上空けると抗体増える = 英研究

新型コロナウイルスに対する米ファイザー/独ビオンテック製のワクチンは 1 回目と 2 回目の接種の間隔を 4 週以上空けた方が抗体が増えると、英研究者たちが発表した。 1 回目と 2 回目の間を 8 週間空けることが、デルタ変異株に対して最適かもしれないという。 医療従事者を対象にしたオックスフォード大学などによる調査は政府予算によるもので、まだ査読を受けていない。

ファイザー/ビオンテックはワクチンについて、3週か4週の間隔をあけて2回接種するよう推奨している。

しかし英政府は2020年末に、接種間隔は最大12週間と方針を示した。これは英政府が当初、なるべく多くの国民に少なくとも1回目の接種を急ぎ行き渡らせようとしていたため。イギリスは当時、感染の第 2波に襲われており、限られたワクチン供給量での感染抑制を優先していた。 7 月になると、インドで最初に特定されたデルタ株の感染が国内で急拡大している事態を受け、英政府は 40 歳未満に対するワクチン接種の 1 回目と 2 回目の間隔を、12 週間から 8 週間に短縮するとした。

新型コロナウイルス感染症 COVID-19 に対する医療従事者の免疫状態を調べる政府調査(PITCH 調査)をオックスフォード大で主導するスサンナ・ドゥアンシー教授らが、今回発表した調査結果は、国民保健サービス (NHS) のスタッフ 503 人を対象にしたもの。 503 人は昨年後半から今年初めにかけて、英南東部ケント州で特定されたアルファ変異株がイギリスで拡大している最中に、2 回のワクチン接種を受けた人たち。 2 回目の接種から 1 カ月後に、血中の抗体量を調べた。

その結果、次のことがうかがえるという - -。

  • ファイザーワクチンの 1 回目接種と 2 回目接種の間隔は長くても短くても、全般的に強力な免疫反応につながった。
  • ただし、ウイルスによる細胞感染を抑制する中和抗体(特定のタンパク質の活性を中和する抗体、ウイルスのタンパク質に結合して感染を防ぐ)の産生は、間隔が 3 週間の場合、間隔が 10 週間の場合より少なかった。
  • 1 回目の接種後に抗体量が一時的に減るものの、免疫にかかわる「T 細胞」の量は高い状態で維持されていた。
  • 接種間隔が長い方が全体的な T 細胞量は少なかったものの、「ヘルパー T 細胞」と呼ばれる細胞の割合が高くなった。 このヘルパー T 細胞は、免疫記憶を支えるという。

ドゥアンシー教授は、ワクチンは 1 回しか受けないよりも 2 回受けた方が良いとした上で、2 回目を受けるタイミングの良し悪しは状況によって異なると話す。 現在のイギリスの状況では、「8 週間がベストなタイミングのように思える。 大勢が 2 回目を希望しているし、デルタ変異株がたくさん出回っているので。」と、教授は話した。

「残念ながらこのウイルスが早々に消えるとは思えないので、その中で自分にとって最善な防御をどう身につけるのが良いか、考えてもらいたい。」

研究共著者の 1 人、英ニューカッスル大学のレベッカ・ペイン博士は、「どちらの間隔でも 2 回の接種後に、新型コロナウイルスに対する旺盛な免疫反応が得られると安心できる証拠が得られた」と話した。 「今後さらに追跡調査を重ねて、今回の知見が臨床でどのような意味を持つのか全容を解明したい。」 イングランド公衆衛生庁 (PHE) のデータによると、ファイザー製ワクチンは 1 回の接種だけでも、重症化や入院、死亡のリスクを効果的に減らしているという。

英政府のナディム・ザハウィ・ワクチン担当相は、「最新の PITCH 調査の結果は、COVID-19 への免疫反応の仕組みの理解を助け、2 回接種の重要性を示しており、イギリスだけでなく世界にとってもきわめて重要だ」と述べた。 「全成人へのワクチン提供を急ぐ中、政府は『予防接種と免疫に関する合同委員会 (JCVI)』の助言を受け、デルタ株からより大勢を守るため、接種間隔を 12 週から 8 週に短縮した。

今回の調査から、この(8 週間の)感覚が強力な免疫反応につながると、あらためて証拠が得られ、私たちの判断を裏付けてくれた。」とザハウィ氏は話し、成人は自分や周りの人たちを守るため、ワクチンを受けるよう呼びかけた。 ザハウィ氏はさらに、「この免疫の防御を維持するため、特に感染リスクの高い数百万人には 9 月から追加接種を提供する方針」だと述べた。 (BBC = 7-23-21)


モデルナワクチンも 12 歳以上対象に 厚労省部会が決定

厚生労働省の専門部会は 19 日、米モデルナ社製のワクチンについて、接種対象をこれまでの「18 歳以上」から「12 歳以上」に引き下げることを決めた。 厚労省は近く、公的接種で使えるようにする。 米ファイザー社製については既に 12 歳以上としている。 モデルナ社によると、12 - 17 歳の約 3,700 人が参加した米国での臨床試験(治験)で、ワクチンを接種したグループでは感染者は確認されず、偽薬のグループからは 4 人の感染者が出たという。 部会はこうしたデータをもとに対象年齢の引き下げに問題がないと判断した。 (asahi =7-19-21)


トランプ氏も使った抗体カクテル療法、月内にも承認へ

新型コロナウイルスの治療薬候補の「抗体カクテル療法」について、厚生労働省は近く部会を開いて製造販売について審議し、月内にも承認する方向で最終調整に入った。 中外製薬が 6 月に特例承認を求めて申請していた。 国内で新型コロナの治療薬として承認されるのは 4 つ目となり、主に軽症や中等症を対象とする初めての薬になる見通し。 ウイルスに作用する二つの中和抗体「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を組み合わせた点滴薬。 海外の臨床試験(治験)では、入院していない高リスクの新型コロナ患者の入院や死亡のリスクを 7 割減らすことができたとされる。

米製薬企業リジェネロンがつくり、米国では昨年、緊急使用許可が出た。 トランプ前大統領が新型コロナに感染した際に投与されたことでも知られる。 国内の販売などを担う中外製薬は今年 3 月から国内治験も実施し、政府と 2021 年分の供給契約を結んでいる。 国内で新型コロナの治療薬として承認されているのは「レムデシビル」、「デキサメタゾン」、「バリシチニブ」の 3 製品。 いずれも主に中等症や重症の患者が対象となっている。 (asahi = 7-12-21)


3 回接種で抗体増「確認」 コロナワクチン

新型コロナウイルスのワクチンを開発した米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックは 8 日、3 回目の追加接種によって通常の新型コロナや変異ウイルスに対する抗体が 2 回接種よりも 5 - 10 倍多くなることを確認したと公表した。 数週間以内に米国や欧州などの規制当局にデータを提出する予定という。 発表によると、ファイザー製のワクチンを 2 回接種して半年経過した人に、3 回目のワクチンを接種したところ、従来株や南アフリカで見つかったベータ株に対する抗体が多くなることが確認された。 詳細なデータは近く論文として公開するという。 (ワシントン、asahi = 7-9-21)

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ファイザーワクチン「2 回目は 6 週間後も OK」 厚労相

米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの接種間隔について、田村憲久厚生労働相は 7 日の衆院厚労委員会で、これまで標準としてきた 3 週間でなくても、6 週間以内であれば「効果を維持できる」と語った。 自治体が「ワクチン不足」を訴えて接種計画に遅れが出るなか、2 回目の接種が遅れても問題ないことを強調した形だ。 立憲民主党の長妻昭議員の質問に答えた。 田村氏は「ファイザーが 6 週間以内ならば効果を維持できるということなので、3 週間でうてない方々は、なるべく早くうっていただけるように、ワクチン供給をしっかりしてまいりたい」と述べた。

首相官邸も公式ツイッターで同じ趣旨の発信を開始。 「WHO (世界保健機関)、米国や EU (欧州連合)の一部の国では 1 回目から 6 週間後までに 2 回目を接種することを目安として示している」としている。 厚労省が自治体向けに出している「予防接種の実施に関する手引き」は、接種間隔について「18 日以上の間隔をおいて、標準的には 20 日の間隔をおいて 2 回接種すること」と明記。 1 回目の接種から 20 日を超えた場合は「できるだけ速やかに 2 回目の接種を実施すること」としている。

ファイザー製のワクチンは自治体の接種で使われてきたが、7 月以降、供給量が減少。 予約キャンセルや新規受け付け停止に踏み切る自治体もある。 政府は接種間隔を延ばすことを認めることで、混乱を回避したい考えだ。 (下司佳代子、asahi = 7-7-21)

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異種のコロナワクチンの交互接種を強く勧告、ドイツ

ドイツ政府は 3 日までに、新型コロナウイルスのワクチン接種で有効性の見地から異なる種類の交互使用を強く勧める方針を示した。 ワクチン接種に関する常任委員会 (STIKO) は、最初に英アストラゼネカ社と英オックスフォード大学が共同開発したものを使った場合、年齢に関係なく、2 回目に mRNA ワクチンを打つべきだと主張した。 ドイツはこの種の勧告を強く打ち出した世界で最初の国の 1 つとなった。

米ファイザー社や米モデルナ社は、「メッセンジャー RNA (mRNA)」という遺伝物質を利用する新しい技術を使ったワクチンを開発した。 ドイツのメルケル首相は、1 回目にアストラゼネカのワクチン投与を受け、今年 6 月の 2 回目には米モデルナ社製を打っていた。 STIKO は「現在の研究結果」に依拠しながら、1 回目と 2 回目に異種のワクチンを使った後に生じた免疫反応は「明らかに優れていた」と報告した。

欧州連合 (EU) の専門機関、欧州医薬品庁 (EMA) が現在使用を承認している mRNA ワクチンは、ファイザー社と独ビオンテックが共同開発した製品とモデルナ製のものとなっている。 カナダのワクチン接種に関する国立諮問委員会は先月 17 日、異種のワクチン使用についてより弱い表現で勧めてもいた。 オックスフォード大学の研究者たちは先月 28 日、アストラゼネカ社とファイザー社のワクチンを交互に使った場合、新型コロナに対し強い免疫反応が生じることを把握したとの研究結果を公表してもいた。 (CNN = 7-3-21)

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世界で動き出す追加接種ブースター 「最強の保護策」

世界では新型コロナウイルスのワクチン接種を 1 回も終えていない人が多いが、2 回目や 3 回目となる追加接種「ブースター」に向けた動きも目立ってきた。 効果の持続や未知の変異株への対応などが期待されており、追加接種を念頭にしたワクチン確保の機運も出てきている。(ロンドン = 金成隆一、ワシントン = 合田禄)

英政府は 6 月、新型コロナのワクチンを 3 回接種したときの効果を調べる臨床試験を始めた。 30 歳以上の 3 千人近くが参加し、「3 回目」として英製薬大手アストラゼネカ製や米製薬大手ファイザー製、米バイオ企業モデルナ製など 7 種類を試している。 副反応の有無に加え、接種後、定期的に血液を採取して免疫反応の変化を調べる。 世界で使われる新型コロナのワクチンは、大半が 2 回接種で完了となる。 英国では、成人の約 85% が 1 回目、約 62% が 2 回目を完了。 英政府はどのワクチンも 2 回接種で少なくとも 6 カ月間ほど効果を維持できるとしている。

ただ、昨年 12 月から接種が始まり、新規感染者が増えやすくなる冬には半年を超える人も少なくない。 そのため「最も強力な保護策」を準備する狙いだ。 政府の委員会も 30 日、臨床試験のデータも見ながら、9 月にも高齢者や医療従事者らを対象に 3 回目の接種を始める準備をするべきだと政府に助言した。 ジャビド保健相は「私たちはウイルスとの共存を学ぶ必要がある。 この国は、最初のワクチンで自由を取り戻し、追加接種でその自由を維持できる」と歓迎した。

すでに追加接種を始めた国も

すでに製薬企業も追加接種を念頭に動き始めた。 モデルナは 5 月、3 回目の追加接種をした 40 人の臨床試験の初期の結果を公表。 モデルナ製を 2 回接種し、6 - 8 カ月が経過した人たちの約半数は、ブラジルで見つかった変異株(ガンマ株)と南アフリカで見つかったベータ株に対する抗体が検出できなかったが、3 回目の接種後は抗体が確認できたという。 一部には新開発の変異株に対応したワクチンも試したという。

インドで見つかったデルタ株についても、英医学誌ランセットに発表された論文によると、スコットランドでのデータから、ファイザー製のワクチンを 2 回打てば、感染予防の効果が 79% あったという。 ただ、ファイザーも 2 回接種してから半年以上たった人を対象に、3 回目の接種をする臨床試験を始めている。

こうした動きを受け、欧州連合 (EU) は 5 月 20 日、ファイザー製のワクチンについて、最大で 18 億回分の追加供給を受ける契約を結んだ。 担当の欧州委員は「この契約で、変異株の脅威から我々を守るワクチンや、追加接種のためのワクチンを確保できる」と語る。 すでに追加接種を始めた国もある。 自国製ワクチンの接種を進めるロシアでは今月、接種完了から半年経過した人を対象に追加接種が始まった。 中東のアラブ首長国連邦 (UAE) でも、中国のシノファーム製を 2 回接種を終えた高齢者らに、ファイザー製を接種できるようにした。

ワクチンの効果、どれだけ持続するかは不明

ワクチンをどれくらいの頻度で接種する必要があるかは、病原体やワクチンの種類によって変わる。 例えば黄熱病の予防接種は、1 回打てば生涯有効だが、インフルエンザだと毎年打つ必要がある。 新型コロナはまだ開発されたばかりで、どれくらい効果が持続するかは分かっていない。 米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は 6 月中旬の会見で、「いまブースター接種の臨床試験が行われており、接種がいつ必要になるかは予測できない。 1 年、1 年半、もっと先かもしれない。」と話した。

ただ、ファイザーのブーラ最高経営責任者 (CEO) は 4 月のオンラインイベントで「新型コロナのワクチンは(2 回接種してから) 6 - 12 カ月の間のどこかで 3 回目の接種が必要になる可能性が高い」と発言している。 ワクチンを開発した企業はそれぞれ、来年には年間数億回分を生産できるように準備しており、今後は世界のワクチン供給量は大幅に増える見通しだ。 しかし、先進国を中心に追加接種が本格化すれば、1 回も接種していない人が多数いる途上国などでの接種計画に影響する可能性もある。 (asahi = 7-2-21)

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1 回目にアストラ製接種の独伊首相、2 回目に異なるワクチン接種

【ベルリン】ドイツのアンゲラ・メルケル首相 (66) が新型コロナウイルスワクチンの 2 回目の接種で、1 回目と異なるワクチンを使用した。 1 回目は英アストラゼネカ製だったが、2 回目は米モデルナ製だった。 首相報道官が 22 日、明らかにした。 メルケル氏は、4 月に 1 回目の接種を終えていた。

22 日のイタリア首相府の発表によると、同国のマリオ・ドラギ首相 (73) も、1 回目はアストラゼネカ製だったが、2 回目は米ファイザーと独ビオンテックの共同開発ワクチンを接種した。 イタリア政府は今月、ワクチンに関する勧告を変更し、まれに血栓が生じる恐れがあるとして、アストラゼネカ製ワクチンの 60 歳未満への使用を禁止していた。 これを受けて同国では、1 回目と 2 回目で異なるワクチンを接種することの安全性をめぐり、激しい議論が起きていた。 (AFP = 6-23-21)


感染より効率よく抗体 見えてきたコロナワクチン効果

新型コロナウイルスに感染すると、ワクチンを打ったのと同じ免疫がつくのだろうか。 最近の研究によれば、国内で接種が進む mRNA ワクチンを打つと、実際にウイルスに感染するより、感染を抑える「抗体」を効率よく作れることがわかってきた。 感染すると、体内でウイルスが分解される。 分解されたウイルスは「樹状細胞」に取り込まれ、様々な免疫細胞にウイルスの情報が伝えられる。 この情報をもとに免疫細胞の一種「B 細胞」が、ウイルスを認識してくっつく多様な抗体を作り出す。

ただ、樹状細胞が免疫細胞に伝えるウイルスの情報には様々な種類があり、中には、感染防御に役立たない情報もある。 こうした情報をもとに作られた抗体は、たとえウイルスにくっついても感染を防げない。 米ニューヨーク大のチームが新型コロナ感染から回復した 101 人の血液を調べたところ、感染を抑える効果が高い抗体を十分持つ人は 6%、中程度持つ人は 20% にすぎず、大部分の人は少なかった。 

感染を抑える効果が高い抗体は「中和抗体」と呼ばれる。 ウイルスが細胞に侵入する時に使う「スパイクたんぱく質」を認識してくっつき、侵入をじゃまする抗体だ。 mRNA ワクチンは、効率よく中和抗体を作るために開発された。 ウイルスに感染するときとは違って、スパイクたんぱく質の情報だけを免疫細胞に伝える仕組みだ。 国内で接種が進むファイザーやモデルナ製のワクチンの臨床試験では、実際に感染した人と同等か、上回る中和抗体ができたと報告された。

また、長崎大などのチームが、新型コロナの感染者と、感染せずにファイザーのワクチンを 2 回接種した人の血液の抗体を比べたところ、ワクチン接種者のほうが中和抗体が多くできたと推定された。 チームの柳原克紀教授は「感染しても感染予防に十分な抗体を獲得できていないことがあり、油断しないほうがいい」と話す。 ただ感染者は 1 回の接種で、感染せずに 2 回接種した人と同等の抗体の量になったという。

まれに接種後感染は起きる

米フレッドハッチンソンがん研究センターは、感染者と、モデルナのワクチンを 2 回接種した人の血液を詳しく比べた。 すると、ワクチン接種でできた抗体は、スパイクたんぱく質の中でも、特に細胞に侵入する時に使われる「RBD」と呼ばれる部分にくっつくものが多かった。 一方、感染でできた抗体は、RBD 以外にくっつくものが多かった。 RBD にくっつく抗体がたくさんあれば、変異ウイルスに対しても感染を抑えられる可能性が高まるという。 

この結果については、新型コロナに感染して回復した人にも、再感染予防のためにワクチン接種を勧める根拠の一つになると、米国立保健研究所 (NIH) のフランシス・コリンズ所長はブログで紹介している。 病気や受けている治療によって、ワクチンの効果がどうなるのかについても研究が進められている。 米ニューヨーク大のチームは、血液のがんである悪性リンパ腫の患者 53 人について、ワクチンを受けた後の血液を調べた。 受けている治療によって、38 - 100% と、抗体のできかたに差があった。

チームの小出昌平教授は「免疫細胞の働きを抑える治療中の患者でもワクチンの効果が出る可能性を示した。 ただ、効果が低い場合もあるため、ワクチン接種後も、マスク着用や人との距離をとるなどの感染対策は必要だ。 周囲の人が全員ワクチンを接種することで、がん患者を守ることができる。」と話す。  

ワクチンで、効率よく免疫を働かせられるといっても、ワクチンの効果はすぐに出るものではない。 抗体ができるまで一定の時間がかかる。 またファイザーもモデルナのワクチンもうまく免疫を働かせるには 2 回の接種が必要だ。 米疾病対策センター (CDC) はワクチンの感染予防効果が出るまで接種後、2 週間程度必要だとしている。 また、CDC によると米国で 4 月末までにワクチン接種を終えた 1 億 100 万人のうち、1 万 262 人の感染が報告された。 接種後の感染は「ブレークスルー感染」と呼ばれ、ごくまれに起きることがある。 発症や重症化を防ぐ高い効果は確認されているが、流行が続くうちは、マスクや手洗いなどの感染予防対策を続ける必要がありそうだ。 (瀬川茂子、asahi = 7-4-21)


ファイザー製とモデルナ製どう違う? 年齢や接種間隔に差

いま国内で使われている新型コロナウイルスのワクチンは、米ファイザー製と米モデルナ製だ。 いずれもほぼ同等のレベルで高い有効性が報告され、安全面でも大きな問題は指摘されていない。 どんな違いがあるのか。 ともに新型コロナウイルスの遺伝情報の一部を使う「m(メッセンジャー)RNA ワクチン」と呼ばれるタイプで、主な違いは対象年齢と接種間隔だ。 対象年齢はファイザー製は 12 歳以上、モデルナ製は 18 歳以上だ。 このため、12 - 17 歳の人が接種できるのは、現状ではファイザー製のみとなる。

接種間隔はファイザー製は 3 週間、モデルナ製は 4 週間だ。 大規模治験では、発症予防効果について、ファイザー製は 2 回目の接種から 1 週間目以降、モデルナ製は同 2 週間目以降で評価し、いずれも 95% ほどの効果が確認された。 効果の持続期間は明らかではないが、2 回目の接種後の観察期間を半年まで延ばしても 90% ほどの効果だった。 二つのワクチンの効果を大きく下げてしまうような変異株は、いまのところ見つかっていない。

接種後の副反応としては、いずれも接種した部位の痛みや腫れ、発熱や倦怠感、頭痛、筋肉痛などが報告されている。 1 回目より 2 回目の接種後や、年齢が若い人の方が症状が出る頻度が高くなる傾向がある。

副反応は接種後数日で現れる場合が多いが、接種から 1 週間ほどたってからでも接種した場所が腫れたり赤くなったりする反応も報告されている。 米国などでは、新型コロナ感染症の英語名「COID-19」にちなんで「コビッド・アーム」などと呼ばれる。 モデルナ製の場合、1 回目の後、1% ほどの人にみられ、直径 10 センチ以上の範囲に出ることもあるという。 米疾病対策センター (CDC) は 1 回目でこの反応が出ても、2 回目を受けることはできるとしている。

二つのワクチンとも、頻度はまれだが重大な副反応として、呼吸困難になることもある重いアレルギー反応「アナフィラキシー」も報告されている。 症状が出ても、アドレナリン製剤で治療できる。 (野口憲太、asahi = 6-30-21)


アストラ製接種を容認へ 60 歳以上対象、厚労省

|厚生労働省は 22 日、英アストラゼネカ製の新型コロナワクチンについて無料で打てる公費接種の対象とし、60 歳以上に接種するのを認める方向で調整に入った。 30 日に開かれる同省の専門分科会で可否を議論する。 現状ではファイザー製とモデルナ製で供給量は足りており、すぐに使う予定はないが、予期せぬ事態に備えておく狙いがある。

厚労省はアストラ社製を 5 月に特例承認。 だが血小板の減少を伴う血栓症の副反応が海外で報告されていたことから、当面使用を見送る方針を示していた。 関連学会が 2 日、血栓症の診断や治療に関する手引を公表したことを受けて、改めて使用を検討することにした。 (kyodo = 6-23-21)


変異ウイルスにも効く薬候補 阪大などのグループが開発

新型コロナウイルスの治療薬の候補を京都府立医科大や大阪大などのグループが開発した。 ウイルスが細胞に侵入する時にくっつく、細胞のたんぱく質を改変して薬にする。 ウイルスを薬にくっつかせて本物の細胞への侵入を防ぎ、重症化を抑えるのが狙いだ。 動物実験で効果を確認した。 英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに 21 日発表した。 新型コロナウイルスは、細胞表面にある「ACE2」と呼ばれるたんぱく質を「入り口」として細胞に侵入する。 グループは ACE2 を作る遺伝子に変異を入れ、ウイルスに約 100 倍強力にくっつく改変 ACE2 たんぱく質を作った。

この改変たんぱく質は、細胞を使った実験でウイルスの侵入を防ぐ効果があることを確認した。 さらに、改変たんぱく質を、新型コロナウイルスを感染させたハムスターに使うと、体重減少や肺炎の重症化を抑えられることも確認した。 英国で報告された変異ウイルス(アルファ株)や南アフリカ型変異ウイルス(ベータ株)、インド型変異ウイルス(デルタ株)に対しても効果があった。

グループの大阪大蛋白質研究所の高木淳一教授は、「ウイルスが変異しても、細胞に感染する際に ACE2 を使う限りは、この薬が有効になるはずだ。 企業と協力して実用化に向けた研究を続けていく。」という。 論文を英科学誌 ネイチャーコミュニケーションズ に発表した。 (瀬川茂子、asahi = 6-21-21)


変異株にも有効「スーパー中和抗体」 富山大など作製

富山大と富山県衛生研究所の研究グループが、新型コロナウイルスの変異株にも有効な「スーパー中和抗体」を取り出し、人工的に作ることに成功した。 軽症や中等症の患者に投与することでウイルスの増殖を抑えて重症化を防ぐことが期待できるという。 斎藤滋学長らが 16 日、同大で会見し、発表した。 研究グループによると、中和抗体は新型コロナの感染から回復した患者の血液にでき、ウイルスが細胞に入るのを防ぐ。 人工的に作ることができれば治療薬に使えるため、国内外で研究・開発が進んでいる。

同大は昨年末に研究に着手。 重症から回復後 2 週間以上経った患者のうち、強い抗体を持っている人を選び、血液から遺伝子を取り出して人工的な抗体をつくった。 その後、最初に感染が広がった武漢型に加え、第 4 波で猛威を振るった英国型、現在懸念されているインド型などの変異株にも有効な抗体を特定したという。

確認段階だが、ブラジル型にも効くと考えられるという。 スーパー中和抗体はウイルスと結びつく際、変異した部位ではなく、感染にとって重要な共通の部位を標的にすると推定され、今後生じる新しい変異株に対しても効果を発揮できる可能性があるという。 斎藤学長は「いかに早く製品化できるか。 残念ながらワクチンでは、日本は大きく後れを取った。 この分野では何とか世界のトップについていって、日本から世の中に出したい。」と述べた。 (竹田和博、asahi = 6-18-21)

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