路線バス廃止は大阪の郊外でも 「お金では解決できない」その事情

市内から路線バスがほぼなくなる。 過疎地ではなく、大阪府内の郊外でもそんな事態に見舞われている。 京阪電鉄や JR が走り、大阪市中心部まで 20 - 30 分の交野市で 2025 年 3 月、京阪バスが路線の大部分を廃止する。 廃止されるのは京阪電鉄や JR の駅と市南部のニュータウンを結ぶ「交野南部線」を含む四つの路線だ。 残るのは寝屋川などとつながる一部の路線や京都市などとの急行バスだけになる。 「困るね、どうしようか。」 市内の高台にあるニュータウン、星田山手に住む女性 (75) は民生委員の活動の中でよくそんな声を聞いた。

市によると、南部の星田山手や妙見東、南星台といった山側のニュータウンは 1970 年ごろに開発された。 住民の多くは元サラリーマン家庭で、いま 70 代から 80 代に差し掛かる。 女性の話では、住民の多くは買い物や通勤に自家用車を使ってきたという。 ただ、現在は様相が異なる。 加齢で運転免許を返納した人や、運転を控える人が増えた。 街まで歩いていくには厳しい坂道もある。 女性は路線バスの廃止に不安を募らせる。 自身はかつて、自転車でニュータウンと市街地を往復することが多かった。 「若いときはよかったかもしれない。 でも、みんな『その時』になって初めて困ったとなってしまう。」

「交渉できる次元ではない」

京阪バスが廃止に踏み込んだのは、「そもそも運転手を確保できない」というのが理由だ。 国の残業時間規制のほか、「運転手が出て行くばかりで、新規採用がうまくいかない。(担当者)」 2016 度末時点で 990 人いた運転手は、24 度末には 829 人まで減る。 新規採用も苦戦し、運転手の平均年齢はこの 8 年間で 47.7 歳から 52.3 歳に上昇するという。

交野市都市まちづくり部の林直希次長は、24 年 8 月に京阪バスから通告を受けた際、「交渉で何とか存続できる次元ではない」と悟ったという。 廃止の話は 17 年にも持ち上がったが、行政側の働きかけや減便、コロナ禍での支援で存続してきた。 ところが今回は採算に加え、物理的に運転手を確保できない状況。 林次長も「(行政側が)お金を出せば解決する話ではなくなってしまった」と話す。 京阪バスは 25 年春、大阪府内の枚方市や守口市、門真市のほか、京都府八幡市の一部路線も廃止する。 阪急バスも 24 年 9 月で大阪府に接する京都府大山崎町で路線の大部分を廃止した。

自治体が赤字補っても「無理」

人手不足の深刻さを象徴する撤退は、大阪府寝屋川市でも起きている。 寝屋川市は京阪バスと協議し、採算が厳しい一部路線で負担金を支払うことを決めていた。 運賃収入で賄えない赤字を市が穴埋めし、バスの存続を図るという取り組みだ。 ところが、京阪バスは「人手不足」を理由に今春に撤退。 市は国の「自家用有償旅客運送」の制度に手を挙げた。 「交通空白地」として認められると、市町村や NPO 法人などが有償の旅客運送を提供できる。 市はワンボックスカーを買い上げ、運行を民間業者に業務委託した。 運転するのはタクシー運転手らだ。

交野市も同じ制度を使って、京阪バスが撤退するバス路線を維持するが、運行の担い手が寝屋川市とは異なる。 路線バスの運転手は本来、「大型二種運転免許」が必要だが、この制度では通常の「一種運転免許」でも条件付きで客を乗せて運転できるため、運転手を確保しやすくなる。 交野市は、二種免許が不要な送迎バスを運行する府外の事業者に業務委託する予定だ。 それでも、山本景市長は「将来的には(一種免許保有者の)元消防職員やごみ収集の職員に運転してもらうことも否定できない」と話す。 一種免許保有者でも全国的な取り合いが生まれると予想しているからだ。

公共交通に詳しく、交野市の公共交通の関係者会議で副会長を務める龍谷大の井上学教授は「コロナ禍と残業時間規制で打撃を受ける中、団塊ジュニア世代の定年退職で運転手の数は大きく減る。大都市周辺では遅かれ早かれ交野市と同様の問題が起きるだろう」といい、「自治体はまず路線バスの利用状況を可視化し、将来的にたたまざるを得ないであろう路線を把握する。 前もって代替手段の確保に着手すべきだ。 自治体が運転手を雇用、育成していくことも考えられる」と指摘する。 (村井隼人、asahi = 1-12-25)


京の舞妓さんにもパブリシティー権 撮影され商品に … 対価求める動き

芸舞妓(げいまいこ)の画像が無断で商用利用されないように、経済的な利益や価値を守ろう - -。 そんな動きが京都の花街で出ているという。 11 月 29 日、京都市であった撮影会を訪れた。 白塗りの化粧に日本髪、季節の花をモチーフにした花簪(かんざし)、歩くたびに揺れるだらりの帯。 「おたのもうします。」 4 人の舞妓が登場すると一気に場が華やいだ。

東山区の今熊野観音寺で開かれた「祇園の舞妓はん撮影会」。 事前に申し込んで集まった総勢約 120 人のカメラマンに、主催者の小杉豊和・全日本写真連盟関西本部事務局長が声をかけた。 「舞妓さんにはパブリシティー権があります。 くれぐれも商用利用はお控えください。」 撮影会は有料で、全日写連の会員は 5,000 円(非会員は 11,500 円)。 カメラマンに紛れ、スマホで撮影しようとする人には、主催者側が「有料の撮影会です」と呼びかけ、外国人観光客には両手を大きくクロスさせ「撮影 NG」を伝えた。

京都の花街でなじみのなかった「パブリシティー権」。 容姿や名前などがもつ、人気や名声によって生じる経済的利益を保護する権利だ。 この言葉が、花街で話題になったきっかけのひとつが、JR 京都駅の新幹線ホームに掲げられた大きな看板広告だった。  京都市に本社がある「創味食品」の広告で、同社は 2018 年から祇園甲部の芸舞妓をモデルにしてきた。 この看板を見た花街の客から「(看板広告の)対価はもらっているの?」と聞かれたお茶屋の女将(おかみ)が、パブリシティー権の存在を初めて知った。

街中を見渡すと、権利の侵害が疑われるケースが多いことが分かった。 ある土産物店では、何十年も前の舞妓の写真の絵はがきが売られていた。 これまで芸舞妓をモデルにした有志の撮影会や映画、CM の撮影では、日当にあたる「お花代」と心付けにあたる「ご祝儀」は支払われていた。 ただ、できあがった作品への報酬はなかった。 京都花街組合連合会の杉浦京子会長は「ご贔屓(ひいき)さんとのつきあいで成り立つ花街。 俗世界の秩序を持ち込んで良いものかという空気もあった」と振り返る。

「芸舞妓は、きれいな着物を着たモデルではなく、和文化の体現者そのもの。 今後のなり手のことも考え、芸舞妓の経済的利益と社会的地位を保障することが、花街文化を守ることになる。」 そんな問題意識で、京都の五つの花街「五花街(ごかがい)」の組合長たちが、2023 年春から半年以上かけて基準を話し合った。 その結果、撮影前に収録物の利用方法、公表時期と期間、範囲などを書く申請書を提出してもらうことになった。

商用利用の場合は別途「利用許諾契約書」を取り交わすことも決まった。 京都駅に看板広告を出す創味食品も、24 年 2 月に契約書を締結した際、23 年 11 月までさかのぼって契約した。 これまで支払っていたお花代などに加え、契約書に基づいて対価を支払うという。 山田佑樹社長は「時代の流れで伝統文化のルールが少しずつ変わっていく中、花街からパブリシティー権について要望を受けた。 京都に本社をおく当社としては、それに対応していくことが伝統文化を守ることになると考えている.。」と話す。

撮影依頼の窓口となる五花街のお茶屋にも周知するため、芸舞妓の権利を守るための対策をまとめた資料を配布した。 祇園甲部でお茶屋「井政」を営む角田幸子さんは、近年、花街と付き合いのない人が無断で写真を撮る機会が増えていることに不安を覚えていたという。 「どうすればいいのか分からなかったけど、対策案ができたことで、花街から注意できるようになったので良かった。 京都発の取り組みですが、全国の花街にも広がっていったらと思う。」と話す。

近年は SNS 上であっという間に画像などが拡散する例にも頭を悩ませている。 芸舞妓が普段着で歩く姿を隠し撮りに近い形で投稿するなど、看過できない例もあり、花街には、今回の動きが一定の抑止力になればという期待も広がる。 知財に詳しい「弁護士知財ネット」の元理事長の小松陽一郎弁護士は「最高裁でも認められているパブリシティー権や肖像権を、芸舞妓の権利として保護することは、当たり前の習慣として根付いていくべきだ」と話す。

被写体の承諾なく SNS に投稿する行為については、「SNS にアップしている当人は文化を発信しているつもりでも、やっていることは法律違反。 芸舞妓を保護するために目を光らせておくことは極めて重要な一歩だ。」としている。 (佐藤慈子、asahi = 1-12-25)

パブリシティ権とは

パブリシティ権 : 肖像や氏名(芸名)などから得られる経済的利益を保護する権利。 「あの人が言うなら欲しい」といった印象を与える「顧客吸引力」を使い、その恩恵だけを無断で受け取り、対価が支払われない場合は権利の侵害になる。 対象は著名人と限らない。 法律では明文化されていないが、2012 年に初めて最高裁判決の判例で明言された。 報道や伝記などはパブリシティ権の侵害にはあたらないと考えられている。


タワマン「空き部屋」所有者に課税案 神戸市の有識者会議が報告書

街の中心部でタワーマンションの新築を事実上規制している神戸市の有識者会議が 8 日、所有者はいても居住実態のない「空き部屋」の増加を抑えるための課税案を盛り込んだ報告書を市に提出した。 市によると、タワマンのみを対象とした課税が実現すれば、全国の自治体では初めてという。 「タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する有識者会議(座長 = 上村敏之・関西学院大教授)」が、久元喜造市長に報告書を手渡した。

有識者会議は昨年 5 月に発足。 大規模災害が発生した際の給水などの対応や、住民が賄い切れなくなった修繕積立金や解体費用といった、行政が負担する可能性がある課題について検討してきた。 今回の報告書では、自治体が条例で独自に課税する法定外税を念頭に、居住実態のない部屋の所有者を課税の対象とした。 空き部屋増加の抑制を目指す理由として、▽ 投資やセカンドハウス目的で所有が増えると価格が高止まりして適正価格での取得ができない、▽ 空き部屋が増えると修繕や解体の際の合意形成が困難になる、▽ 修繕や建て替えができないと廃墟化する、などとしている。

ただ、有識者会議では「住んでいないことで負担を求めることが適切なのか」などの慎重な意見もあった。 また、市が課税を実現させるためには、市議会での条例案の可決や、導入についての国からの同意が必要となり、ハードルはいくつかある。 神戸市はこれまで、市中心部への人口集中とそれに伴う周縁部の過疎化や、老朽化後の価値の下落、住民が解体費用を賄えずに廃墟化して街の魅力を損なう可能性があることなどから、タワマンの新築に慎重な姿勢を示してきた。

2020 年には条例を制定し、繁華街が広がる JR 三ノ宮駅南側の一帯 22.6 ヘクタールで新たな住宅建設を禁止。 周辺の市街地 292 ヘクタールでは容積率 400% 以上の住宅建設を規制しており、市中心部ではタワマンが事実上新築できなくなっている。 久元市長は昨年 5 月の有識者会議発足直後の会見で、「タワマンが建設されると、防災やまちづくりなどの面で将来にわたって様々な問題が顕在化、深刻化する懸念がある」と述べている。 (杉山あかり、asahi = 1-8-25)


万博中のライドシェア 大阪全域 24 時間 OK 国交省と府など合意

2025 年大阪・関西万博に向けて、国土交通省は 19 日、大阪府内での「日本版ライドシェア」の運用を大幅に緩和し、万博期間を含む来年 4 月 - 10 月に府内全域で 24 時間運行を認めることで府・大阪市と合意した。 万博に伴うタクシー不足に対応するため、府市が国に緩和を求めていた。

この日開かれた実務者協議で国交省が提案し、府市が同意した。 万博会場との行き来以外でも使える。 府によると、今回のように広範囲で長期間の緩和が認められるのは全国初という。 年内にも試行実施を始め、稼働する台数は随時見直す。 府内 7 区域に分かれているタクシーの営業区域についても、期間中は区域を越えて全域で運行を認める方針。

タクシー会社が運行主体となる日本版ライドシェアは今年 4 月に解禁。 運行できる地域や時間帯、台数が限られており、府内ではこれまで大阪市や豊中市などの「大阪市域交通圏」で土曜午前 0 時台 - 午前 3 時台(210 台)、金・土曜午後 4 時台 - 午後 7 時台(120 台)に限って運行が認められていた。 万博には約 2,800 万人の来場が見込まれており、府市はピーク時に1 日最大約 1,880 台のタクシーが不足すると試算。 移動需要が逼迫するのを防ぐため、国交省に運用の緩和を求め、実務者間での協議を続けていた。

一方、府市が当初求めていたタクシー事業者以外の参入やダイナミックプライシング(変動価格制)の導入などは認められていない。 吉村洋文知事は記者団に「大きな前進になった」と歓迎する一方、「まだまだ本格的なライドシェアではない」とも指摘。 さらなる緩和に向けて法整備を進めていく必要性があると語った。 (野平悠一、asahi = 12-19-24)


大阪・堂島川に「巨大なアヒル」登場 中之島ウエスト、冬の風物詩

大阪・中之島の堂島川に 12 日、高さ 9.5 メートルの巨大なアヒルのオブジェ「ラバー・ダック」が登場した。 25 日まで。 13 日に開幕する冬の風物詩「中之島ウエスト・冬ものがたり 2024」のメイン行事で、ほたるまち港(大阪市福島区)の会場に設置された。 日没後はライトアップされる。 朝日新聞社など周辺企業でつくる連絡会が主催。 詳細は HP。 (伊藤進之介、asahi = 12-12-24)


兵庫県知事選、斎藤元彦氏が再選 内部告発問題で不信任可決、出直し

兵庫県知事選は 17 日に投開票され、失職して出直し選に臨んだ前知事の斎藤元彦氏 (47) が、前尼崎市長の稲村和美氏 (52) らを破り再選を確実にした。 斎藤氏は自身のパワハラ疑惑などを指摘する内部告発への対応をめぐり、県議会で不信任決議を可決されて失職。 出直しとなった選挙戦では、自身の対応の正当性を主張していた。 可決され出直し選で再選した知事は、2002 年の長野県知事選の田中康夫氏以来 2 人目。 今後、一連の問題で混乱した県政を再建できるかが問われる。

知事選は、再選を目指した斎藤氏の内部告発への対応など、県政運営の是非が主要な争点となっていた。 選挙戦で斎藤氏は、「議会の対応は果たして正しかったのか、みなさんで判断してほしい」などと主張。 陣営によると、政党からの組織的な支援がないなか、約 500 人のボランティアが選挙活動を支えた。 SNS を駆使して知事としての 3 年間の実績を訴えるなどして支持を広げた。

今回の知事選は、斎藤氏の内部告発問題をめぐる対応が発端だ。 斎藤氏は内部告発された後、公益通報制度の手続きをとらず、側近に調査を指示し、告発者が県幹部の男性であると特定。 内部告発は「核心部分が事実ではない」として、男性を懲戒処分とした。 一連の対応を問題視した県議会は地方自治法 100 条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置。 県議会は全会一致で不信任決議を可決する一方、斎藤氏は出直し選に臨むとして失職した。

これに対し、立憲民主党や国民民主党、公明党の議員のほか、自民党県議の一部から自主的に支援を受けた稲村氏は、斎藤氏の対応を批判し、県政の立て直しを主張。 県内 29 市のうち 22 市の市長も支持を表明したが、及ばなかった。 内部告発問題については、百条委で調査が進められている。 (asahi = 11-17-24)

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兵庫知事選の構図ほぼ固まる 相次ぐ立候補表明、斎藤県政の是非問う

兵庫県の斎藤元彦前知事 (46) の失職に伴う知事選(31 日告示、11 月 17 日投開票)の構図が固まってきた。 再選を目指す斎藤氏に対し、県議会で不信任決議を突きつけた各党は独自に候補擁立を模索する。 告発文書への対応で知事の資質を問われた斎藤氏による県政運営の是非が争点となる。  「告発をされた側が第三者調査なども経ずに通報者探しを行うのは適切ではなかった。 見直すチャンスが何度もあった。」 8 日の記者会見で立候補を表明した同県尼崎市前市長の稲村和美氏 (51) は、斎藤氏の対応をこう批判した。

文書問題への県の対応の検証や、知事・副知事も対象にしたハラスメント防止条例制定などを公約に掲げる。 県議を 7 年、市長を 12 年務めた経験や人脈が強みで、すでに県内を回り始めた。 住民や大学生らと意見交換したり、首長らにあいさつに回ったりしている。 特定政党から推薦を受けない方針だが、一部県議が自主的に支援するほか、連合兵庫などが支援する見通しだ。

自民は「擁立見送り」を撤回

前回知事選で斎藤氏を推薦した自民党と日本維新の会は今回、独自候補の擁立を目指した。 不信任決議を主導した自民県議団は、9 月から本格的に候補者選びを始めた。 県産業労働部長も務めた元経済産業省官僚の中村稔氏 (62) を支援するかどうかも検討したが、稲村氏の支援を念頭に自主投票を求める意見なども出てまとまらず、県議団として擁立を見送る方針を決定した。

前回知事選は地元選出の国会議員が斎藤氏を支援し、県議の多くは対立候補の元副知事を支援。 分裂選挙の反省をふまえ今回は県議団の意向を尊重するはずが、また国会議員から異論が出て、1 日で見送りの方針を撤回した。 現在も候補者選定を進めている。 ただ、ある議員は「誰か出しとけば良いってものじゃない」と時間切れを示唆する。 公明党は協調を前提に自民の判断を待つが、「どうせ自民はまとまらない」という諦めの声も。 自民が自主投票になれば、公明も自主投票の方向で検討する。

公明関係者は「国会議員がまたも県議団の判断を無責任に覆した。 今回の問題の遠因は(当時の)県議団の状況を軽視した国会議員の突然の推薦。 その反省のなさには本当にあきれる。」と語った。

維新は参院議員を擁立へ

維新が白羽の矢を立てたのは、参院議員の清水貴之氏 (50)。 次期衆院選で兵庫 8 区から維新公認で立候補予定だった。 本人の意向次第で公認か推薦かを検討するという。 元朝日放送アナウンサーという知名度を生かし、衆院へのくら替えを目指して昨夏から活動していたが、相手は 4 期連続当選の公明現職で激しい戦いが想定された。 さらに「全県的な知名度でいえば清水さんしかいない(維新関係者)」という声も寄せられていた。 清水氏は 2 日、報道陣に対し、斎藤氏らを内部告発した元西播磨県民局長が 7 月に亡くなったことに触れ、「対応が違っていれば、結果は変えられたのではないか」と県の対応を批判した。

このほか、共産党が推薦する医師の大沢芳清氏 (61) や、過去 2 度の知事選に出馬した同県加西市元市長の中川暢三氏 (68) も立候補の意向を表明しており、今後も表明が相次ぐ可能性はある。

斎藤氏は街頭活動始める

一方の斎藤氏は 9 月 30 日に失職して以降、街頭活動を始めている。 10 月初旬の JR 甲子園口駅前(西宮市)。 「おはようございます。」 斎藤氏がスーツ姿で深々と頭を下げていた。 前回は自民と維新が選挙戦を支えたが、今回は組織がない。 「組織や政党の支援がないので、苦しい、厳しい道のり」と明かす。 1 人で駅前に立つ写真を SNS に投稿し、拡散されている。

斎藤氏は、告発者探しなど一連の文書問題の対応を「当時としては最善」、「知事が職を辞すべきことなのか」など、一貫して自身の正当性を主張する。 選挙の争点も「県政改革の歩みを続けるか、ストップして昔の県政に戻っていいか」と位置付ける。 候補者が増えることで、斎藤氏への批判票が分散する可能性はある。 ただ、あるベテラン県議は「文書問題への批判は根強く、厳しい戦いには変わりないだろう」とみている。 (asahi = 10-9-24)

兵庫県の内部告発文書問題とは

県幹部の元西播磨県民局長 = 7 月に死亡 = が文書を作成し、3 月に匿名で県議や報道機関に配布。 斎藤氏らをめぐる七つの疑惑が記されていた。 斎藤氏は側近らに調査を指示し、元県民局長を告発者と特定、停職 3 カ月の懲戒処分とした。 県議会は調査権限の強い調査特別委員会(百条委員会)を設置して斎藤氏も出頭したが、元県民局長を告発者として保護しなかったことや県政の混乱に指摘が続出。 県議会は不信任決議を可決し、斎藤氏は失職した。

前 報 (9-29-24)


大阪中心部、ホテル開業相次ぐ 万博・IR で外国人客見込み

大阪中心部に、外国人観光客をターゲットに据えたホテルが次々に開業している。 2025 年 4 月に開幕する大阪・関西万博や今後のカジノを含む統合型リゾート (IR) の開業もあり、当面は高い需要が続くとの見方があるからだ。 ホテル間の競争も激しくなりそうだ。

「大阪では、来年の万博を含め、様々なイベントがある。 京都など各地の観光地へも近く、日本人だけでなく外国人にも魅力的な場所だ。」

9 月下旬、JR 大阪駅北側の再開発地区「グラングリーン大阪(うめきた 2 期)」に開業した米ヒルトングループのホテル「キャノピー by ヒルトン大阪梅田」。 イベントに出席したヒルトン日本・韓国・ミクロネシア地区代表のジョセフ・カイララ氏はそう語った。 キャノピーは、同グループが「ライフスタイル」と呼ぶカテゴリーのブランド。 地域文化を踏まえたデザインや体験、ストーリー性を意識している。 日本での展開は大阪が初めてだ。 同グループは 5 月に大阪城の北西にダブルツリー by ヒルトン大阪城を開業し、これでヒルトン大阪(1986 年開業)、コンラッド大阪(2017 年開業)と合わせ大阪に 4 ブランドのホテルを抱える。

業界では人手不足も深刻化するが、カイララ氏は「我々には起きていないし、我々は日本全国のグループ内のホテルで助け合える。 むしろこれほどの需要に、ワクワクしている。」と強調する。 25 年春にはグラングリーン大阪の南側に、グループ最上級ブランドのウォルドーフ・アストリアを日本で初めて開業させる計画だ。 「大阪で運営できるホテルの数に上限があるとは思っていない。 やるべきことは、あるべき場所に、あるべきブランドのホテルを開くチャンスを追い求めることだ。」

そのウォルドーフ・アストリア大阪の入るビルのすぐ隣では、阪急阪神ホテルズのホテル阪急グランレスパイア大阪の開業準備が進む。 25 年 3 月 21 日に開業予定で、10 月 21 日に予約を受け付け始めた。 同社の担当者は「開業初日は客室稼働率 70% が目標。 想定通りに埋まってきている」と説明する。 同ホテルは、すぐ近くに 2019 年に開業したホテル阪急レスパイア大阪の上位ブランド。 上層階は「クラブフロア」として、32 - 48 平方メートルのやや広めの部屋も用意しており、現時点では、このフロアから予約が埋まる傾向にあるという。

各社がターゲットとするのは、増え続ける外国人観光客だ。 大阪のホテルの稼働率はいま、全国トップレベルにある。 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、7 月の大阪府の客室稼働率は 76.3% と全国一。 前年同月を約 9 ポイント上回った。 大阪府の同月の延べ宿泊者数のうち、外国人が占めた割合は 50.0% で、東京都 (54.7%)、京都府 (同) に次いで高い。 大阪観光局によると、1 - 8 月の来阪外国人は約 923 万人と同期間で過去最高。 今年は年間約 1,400 万人が大阪を訪れると見込む。

とはいえ、新しいホテルが続々とできれば競争は激しくなる。 各社は独自の戦略を問われることになりそうだ。 新今宮駅前で OMO7 大阪ホテルなどを営む星野リゾートの星野佳路代表は「関西は一時的に(客室の)供給過多との見方が多いと思うが、それは不健全ではない。 供給過多だと時代に追いつけないところが問題になるが、それは、よりよいものに生まれ変わるチャンスでもある。」と強調。 「私たちの強みは、どう観光需要をつくるかを地域と考えて進めていくところ。 そこで外資系ホテルとはアプローチの差別化をしていきたい」と語った。 (西村宏治、asahi = 11-9-24)


秋の夜に浮かぶ紅葉 京都・永観堂禅林寺「もみじのライトアップ」

紅葉の名所で知られる永観堂禅林寺(京都市左京区)で 6 日夜、「夜の特別拝観」に向けた試験点灯があった。 イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジなど約 3 千本が、約 700 基のライトで鮮やかに浮かび上がった。 特別拝観は 11 日から 12 月 1 日まで(受付は午後 5 時半 - 8 時半)。 拝観料は中学生以上 700 円。 問い合わせは同寺 (075・761・0007)。 (清水謙司、asahi = 11-6-24)


訪日客の「ナイトタイムエコノミー」取り込め 万博控え夜の魅力発信

来年 4 月の開幕が近づく大阪・関西万博。 関係者は、半年間の開催期間中に約 2,820 万人、うち訪日客は約 350 万人の来場を見込んでいる。 日本を楽しもうとする外国人客に関し、夜間の経済活動を意味する「ナイトタイムエコノミー」のニーズを取り込もうという試みが目立ってきた。

「この日本酒、めちゃくちゃおいしい!」

10 月上旬、大阪屈指の繁華街「ミナミ」の立ち飲み屋。 地元客らでにぎわう店内に、通訳ガイドを通じて頼んだ日本酒と漬物を楽しむ米国からの観光客の姿があった。 フロリダ州から訪れたという男性は「普通のツアーでは入れないローカルな店に行ってみたかった」と、夜間でも通訳付きで案内してくれる大阪メトロのグループ会社「大阪メトロアドエラ(大阪市)」のツアーサービスを SNS で当日予約した。 現地では店員と日本酒の銘柄について話し、ご満悦の様子。 酒を飲み干すと、「はしご酒」へと夜のミナミの街に消えていった。

大阪観光局が 2017 年に発表した調査によると、外国人観光客は日本人観光客に比べ、午後 10 時 - 午前 0 時の活動が大幅に減少していた。 「言語の壁」などが障壁となり、夜はホテルで過ごすケースが多いとみられる。 こうしたなか、アドエラ社が今年 3 月から始めたのが、外国人観光客向けの新規事業「Osaka JOINER(オオサカジョイナー)」だ。 「旅行者一人ひとりの好みに合わせたローカルな経験の提供」をコンセプトに、ガイドが案内する。 料金は 2 時間 6 千円からで、多い月には約 400 人が利用したという。

ツアーには、夕方から夜にかけて出発し、地元の人たちがいるお店で酒を楽しめるものも用意している。 担当者によると、飲食店で店員や地元客らと交流することに魅力を感じる外国人客が増えているといい、「夜間の食べ歩きや居酒屋での交流は、これからも大きな需要が期待できる」と語る。 大阪府・大阪市や経済界も、夜に焦点を当てた取り組みを始めようとしている。 冬の風物詩として定着した「御堂筋イルミネーション」について、例年 11 - 12 月だった開催期間を、来年は 4 - 12 月に延長する。 深夜帯のにぎわい創出につなげようと、点灯時間の延長も検討しているという。

また、吉村洋文知事は万博に向け、大阪メトロに終電時間を遅くできないか検討を依頼したといい、「ナイトタイムエコノミーの需要はすごくあると思う。 万博を機に少しでも夜間の大阪を楽しんでもらうことができれば。」と話している。 (岡純太郎、asahi = 11-4-24)


万博開幕まで半年、イベントで来場呼びかけ 紙チケットも発売開始

大阪・関西万博の開幕を半年後に控えた 13 日、日本国際博覧会協会が来場を呼びかけるイベントを東京と大阪で開いた。 この日から、前売り券はコンビニで紙のチケットも買えるようになり、電子チケットと併せて来場日時の予約も始まった。 東京都内でのイベントには石破茂首相がビデオメッセージを寄せ、「万博を契機に地方創生、日本創生につながることを強く期待している」と述べた。 公式キャラクターの「ミャクミャク」が、2005 年愛知万博の公式キャラの「モリゾー」と「キッコロ」からバトンを受け取る演出もあり、「大阪・関西万博に来てね」と呼びかけた。

万博の応援団として、タレントやモデルのゆうちゃみさんとゆいちゃみさん姉妹、パリ五輪の柔道に出場した阿部一二三さん、詩さん兄妹が登場。 妹同士が早口言葉「関西開催に歓声満載な大阪・関西万博が半年前! ミャクミャクの脈拍もバクバクな万博が来場日時予約スタート!」をうまく言えるか競った。 大阪・関西万博は認知度不足が課題だ。 万博協会は、比較的関心が低いとみる若年層、関西圏以外のエリアに向けて、SNS などを通じたアピールに力を入れるという。

大阪では、道頓堀のグリコの巨大看板に万博への来場を呼びかける動画を映し出したほか、アメリカ村や万博記念公園(大阪府吹田市)でもイベントがあり、前売り券の購入を呼びかけた。 (諏訪和仁、asahi = 10-13-24)

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万博、最大 98 億円の追加費用 ペット同伴は見送り「不協和音ない」

来年 4 月に始まる大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は 13 日、海外パビリオンの建設遅れやメタンガス対策で増える費用が、最大で約 98 億円になることを明らかにした。 また、10 月 13 日にも売り出す紙チケットは、一部の期間で来場日時の予約を不要とするが、その期間については決着に至らなかった。 協会は 13 日、大阪市内で運営を話し合う理事会を開き、費用が約 88 億 - 98 億円増えると説明した。 これまでに節約できた分をあてるほか、会場建設費 2,350 億円の中に確保した予備費 130 億円から出す。 予備費をいくら取り崩すかは明らかにしなかった。

今回の費用増は、海外パビリオンの建設の遅れや撤退のほか、埋め立てた地下から発生するメタンガス対策のためだ。 海外の参加国が独自に建てるパビリオン「タイプ A」の遅れが目立ったため、協会は昨年、かわりに簡易型を建てて引き渡す建て売り型の「タイプ X」を提案。 最大 25 棟と見込んだが、参加国の動向をみて 9 棟を建て、実際に引き渡したのは 5 棟だった。 このため、残り 4 棟分の建設費を負担することになった。

加えて、4 棟を複数国が共同で出展する「タイプ C」や休憩所に転用する工事費用に約 32 億円かかる。 また、タイプ A での出展をやめた 5 カ国の区画を、人工芝やテントをはって休憩スペースにするための費用を約 20 億 - 30 億円とした。 ガス対策には 36 億円を見込む。 うち 32 億円は建設費で、建物に濃度を測るセンサーを多数取り付け、数値を公開するシステム構築などに使う。 残る 4 億円は運営費から出す。

万博会場建設の追加費用

会場建設費はすでに 2 度増やしている。 十倉雅和会長(経団連会長)は「建設費、運営費とも追加措置が必要とは考えておりません。 細かい低減努力をしているので、今の時点では自信を持っています。」と答えた。

理事会では、会場へのペット同伴を多数決で見送ることに決めた。 実現すれば万博初の取り組みとなるはずだったが、同伴は小型犬に限られ、細かな条件があり、費用も割高と判断した。 これまでの理事会で多数決を取ったことはないという。 ペット同伴は、前大阪市長の松井一郎氏の発案で、吉村洋文・大阪府知事は理事会で実施を求めていた。 協会は大阪府市との間で、紙チケットの制度設計でも対立があったが、石毛博行事務総長は「大阪府市との関係で不協和音はない」と述べた。(諏訪和仁)

紙チケット、お盆や閉幕前は予約必須に

この日の理事会では、紙チケットの取り扱いも議論した。 協会は 10 月にも、コンビニなどで新たに紙チケットの販売を始める。 このうち一部は、来場予約をしなくても使える券にする計画だ。 問題は、予約なしでの入場を認める期 だ。これまで、発売前に期間を限定したい協会側と、発売後に予約状況を見たうえで期間を決めたい大阪府市側の路線の違いが際立っていた。 この日の議論では、来年 4 月 13 日から半年間の会期のうち、全期間の午前 11 時までと、ゴールデンウィーク、お盆(8 月 9 日 - 8 月 17日)、閉幕前 1 カ月間(9 月 14 日 - 10 月 13 日)は予約を必須とすることが「関係者の共通理解(石毛博行事務総長)」となった。

これに加えて、協会事務局は 6 月 1 日 - 8 月 8 日の土日祝日と、8 月 18 日 - 9 月 13 日についても予約を必須とすることを提案しており、最終的な期間は近く決める方針だ。  石毛氏は「会場の広さ、アクセスなどを考え、混雑を避けるためにも予約をしてもらうという従来の方針は変わらない」と述べた。 来場予約を前提とするのは、来場者が特定の日時に集中しないようにするためだ。 今回の万博では、スマートフォンのアプリを通じて事前に来場日時を予約し、会場ではスマホで QR コードを表示して入場するしくみを導入。 昨年 11 月に発売した前売り券を含め、チケットのほとんどはこうした来場予約の必要な電子チケットだ。

ただ、前売り券の売れ行きが伸び悩んだことで、予約なしでも入場できる紙チケットが必要だとの声が出て、6 月の理事会で導入を決めた。 電子チケットと同じ程度の価格とする方針だ。 前売り券の販売は 12 日に 500 万枚を突破したものの、まだ目標の 35% 程度にとどまっている。 しかも大半が企業によるまとめ買いとみられ、個人向けの販売は低迷している。 (西村宏治、asahi = 9-13-24)

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万博会場ぐるり 2 キロ、大屋根リングつながる 予定より 1 カ月早く

来年 4 月に開幕する大阪・関西万博のシンボルとなる世界最大級の木造建築「大屋根リング」の工事が進み、21 日にぐるりとつながり、1 周 2 キロの円になった。今後、手すりや植え込みなどを施し、来年 2 月末に完成する予定だ。 万博会場となる大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)で建設されているリングは、直径 675 メートル。 東京スカイツリー(634 メートル)を横にしたくらいの長さだ。 高さは内側が 12 メートル、外側が 20 メートル。幅が 30 メートルあり、会場内の通路となるほか、下は日よけや雨宿り、上は展望の場となる。 円の中は甲子園球場 8 個分ほどの広さで、参加国のパビリオンが並ぶ。 万博会場のデザインプロデューサーの建築家、藤本壮介さんが手がけた。 建設費は約 344 億円を見込む。

万博を主催する日本国際博覧会協会は、約 2 キロのリングを三つの工区に分け、大手ゼネコンの大林組と竹中工務店、清水建設がそれぞれ中心となる共同企業体に発注。 2023 年 4 月に工事を始めていた。 当初の計画では、つながるのは 9 月末だったが、ゼネコン各社が工法を工夫し、1 カ月ほど早まった。 リングは計画より前倒しでつながった一方、参加国が独自に建てるパビリオンには建設が遅れている所もある。 万博協会は 10 月半ばをめどに建物を完成させるよう呼びかけているが、工事がずれこむ国が出そうだ。 (諏訪和仁、asahi = 8-21-24)

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大阪万博の大屋根リング 中高生向けの見学ツアー 6 月から実施

2025 年大阪・関西万博の会場(大阪市此花区)で建設が進む大屋根リングをめぐり、大阪府・大阪市は 29 日、中高生向けに見学ツアーを開催すると発表した。 1 回目が 6 月 30 日で、10 月まで毎月実施。 計 6 日間で 1 日あたり 3 回、計 18 回となる。 定員は各回 25 人、応募者多数の場合は抽選。 ツアーでは大屋根リングに登ったり、府・市が出資して建設中の大阪ヘルスケアパビリオンをバスから見学したりする。

府内に在住、在学する中高生などが対象で、無料。 実施日は 6 月 30 日、7 月 28 日、8 月 4 日、8 月 25 日、9 月 29 日、10 月 27 日のいずれも日曜日。 初回の募集は 6 月 1 日からで、詳細は万博の 広報発信サイト で。 ツアーは府・市が万博への期待感を高めようと企画。 大屋根リングは会場のシンボルとされ、完成すれば直径 675 メートル、1 周 2 キロ、幅 30 メートルの世界最大級の木造建築物となる。 ただ建設費が 344 億円に上り、閉幕後に解体されることも批判された。 現在、万博後の活用策が検討されている。 (丘文奈、asahi = 5-29-24)

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万博、来場意向は 33.8% で前年度比 7 ポイント減 大阪府・市調査

2025 年大阪・関西万博について、大阪府と大阪市が 23 年 12 月に実施したアンケートで、来場の意向を示した人の割合は 33.8% となり前年度より 7 ポイントほど減ったことがわかった。 調査は、府・市でつくる万博推進局が全国 6 千人を対象にインターネットで実施。 21 年 9 月と 22 年 12 月にも 3 千人を対象に同様の調査をしている。

「万博へ行きたいですか」という質問に「行きたい」、「どちらかといえば行きたい」と答えた人は、21 年度が 51.9% だったのに対し、22 年度が 41.2%、23 年度が 33.8% と 3 年連続で減少。 開幕まで残り 450 日を切る中、機運の盛り上げに課題を抱える状況が浮かび上がった。 一方、万博の認知度は 21 年度が 80.8%、22 年度 82.2%、23 年度 88.6% と上昇している。

横山英幸市長は 1 日、報道陣の取材に「認知度は前回より広まったと思うが、来場意向度のところが少し厳しい結果となった。 工期や公費の上振れの議論が先行している状態でイメージを伝えきるのがしんどい」と説明。 今後について「万博のパビリオンやイベントを積極的に発信し、多くの人に行きたいと思ってもらえるようにしていく」と述べた。 (原田達矢、asahi = 2-1-24)