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不動産不況続く中国、北京や上海で売れ残りマンション 34 万戸にも - 韓国紙報道 中国国家統計局の統計によれば、大都市の住宅価格は昨年 10 月から下落傾向にある。 調査対象の全国主要 70 都市のうち 67 都市で中古住宅価格が下がった。 昨年 11 月に北京、上海、広州、深センの 4 大都市の中古住宅価格は前月に比べ 1.0 - 1.5% 下落。 市場では実際の不動産価格がさらに大幅に下落しているとみている。 中国経営報によると、上海で富裕層が多い古北地区の高級マンションが 10 - 17% 下落した。 時事週刊誌の三聯生活周刊は「売却希望価格は依然として高いが、実際に取引が成立しない状況だ。 大幅に値引きしないと取引できない。」と指摘した。 海外メディアの見方も同様だ。英フィナンシャルタイムズは昨年12月21日、「中国政府は北京の住宅市場が堅調だとしているが、現地の仲介業者によると、マンションを売ろうとする人々が攻撃的に価格を下げている」と報道。同紙が北京の不動産仲介業者20社余りを調査した結果、マンション売買価格は場所によって、2021年のピーク時に比べ10〜30%下落したことが分かった。 中国政府は大都市でのマンション価格下落を防ぐため、昨年9月に大規模な規制緩和に踏み切った。住宅担保ローンを利用する際、頭金の支払額を時に購入価格の60〜80%から30〜40%へと大幅に引き下げたほか、過去にマンションを購入した履歴があっても、現在保有していなければ、初めて住宅を購入するケースと同様に優遇することとした。不動産市場の過熱を防ぐために導入したさまざまな規制を解除したわけだが、それでも状況は好転する気配はない。 不動産市場は売却物件であふれている。北京市の売れ残りマンション物件は昨年末時点で16万戸。22年末に比べ2倍以上に増えた。上海では18万戸を超えた。買い手がつかないため、マンションを処分するには上海で10カ月、北京では2年かかるという。 昨年11月初めに上海・浦東地区の中心街で分譲された複合開発物件「世紀前灘天?」は258戸が発売されたのに対し、成約したのは150戸で、成約率は58%にとどまった。 (日向、Record China = 1-27-24) 中国資産への悲観的見方、株式以外にも拡大−他の新興国に見劣り 中国の資産に対する懐疑的な見方が株式以外にも広がっている。 今年は米金融当局のハト派転換が新興国市場の追い風になると見込まれているにもかかわらず、投資家は中国人民元と国債がアンダーパフォームすると予想している。 中国経済が依然停滞していることが最新の指標で確認されたため、同国に対する弱気なセンチメントが強まっている。 こうした悲観的な見方が中国人民銀行(中央銀行)の利下げに弾みをつける一方で、金利が数年ぶりの高水準にある他の主要国と比べると、中国の利下げ余地は小さいと投資家は指摘する。 みずほ証券のアジア為替担当チーフストラテジスト、張建泰氏は「今年の中国の成長を巡る弱気な見通しを踏まえると、人民元は引き続き短期的に圧迫されると予想している」とし、「人民銀は緩和バイアスを維持する方針のため、債券は引き続き下支えされる見通しだ。 しかし、元安圧力の再燃や、中国の銀行の低い純金利マージン(NIM、利ざや)によって、利下げ余地は限られるだろう」と指摘した。 中国が敬遠される一方で、トレーダーは他の新興国市場に対してよりポジティブになる多くの理由があるとみている。 より利回りが高い市場は、予想される米利下げから恩恵を得られる余地が一段と大きくなることが見込まれる。 また、韓国とインドが世界の主要債券指数に組み入れられる可能性があることは、両国の資産のさらなる押し上げ材料になるだろう。 新年に入ってからの中国資産売りは主に株式に集中しているが、海外勢の資金流出が続けば、人民元に対する下落圧力が強まるだろう。 オフショア人民元は年初来で 1% 余り下落。 2023 年には 3% 近く下げていた。 エコノミストの予想によれば、人民元は今年、下げ幅を若干縮小するものの、再び他のアジア通貨のパフォーマンスを下回ると見込まれている。 (Marcus Wong、Bloomberg = 1-22-24) ムーディーズ、中国華融をジャンク級に−他の資産管理 3 社も格下げ ムーディーズ・インベスターズ・サービスは中国最大級の国有不良債権処理会社である中国華融資産管理をジャンク級に格下げした。 長期格付けは「Ba1」と従来の「Baa3」から 1 段階引き下げられた。 見通しも「安定的」か「ネガティブ(弱含み)」に変更。 ムーディーズ中国の不動産市場の持続的なひずみと経済成長の鈍化による華融の収益性、資産の質、資本ポジションへの圧力を指摘した。 華融は、中国政府が銀行の抱える不良債権を処理するため 1999 年に設立した 4 社の中の 1 社。 ムーディーズは他の 3 社も格下げし、中国長城資産管理を「Baa3」、中国東方資産管理と中国信達資産管理はそれぞれ「Baa2」と「Baa1」とした。 (Dorothy Ma、Bloomberg = 1-19-24) 中国シャドーバンク大手、中植が破産申請 - 不動産危機で急転落 中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手、中植企業集団が破産申請を行った。 ピーク時の運用資産が 1,400 億ドル(現在の為替レートで約 20 兆 2,600 億円)を超える巨大企業だったが、深刻化する不動産危機にのまれ、急激に転落し破綻した。 申請を受理した北京市第一中級人民法院は 5 日、中植は「明らかに」債務返済能力を欠いていると文書で指摘した。 昨年 11 月の投資家向け書簡によれば、監査の結果、中植の債務は最大 4,600 億元(現在の為替レートで約 9 兆 3,100 億円)で、資産は 2,000 億元だった。 中植の破産申請は中国史上最大の破綻劇の一つで、既に不 安定な消費者心理や投資家のセンチメントに一層の負荷をかける。 不動産市場の落ち込みや内需の弱さ、貿易不振が中国経済の重しとなっている。 中国の主要株価指数は 2023 年、通年ベースで 3 年連続下落した。 中植が金融市場を最初に懸念させたのは昨年 8 月。 傘下の信託会社、中融国際信託が複数の高利回り投資商品に関して顧客への支払いができず、北京市内で抗議活動が起きた。 中国当局は昨年 11 月、中植系の資金管理事業について刑事捜査に着手したと発表。 中植はその数日前、バランスシート上で 364 億ドルの資金不足に陥っており、「深刻な支払い不能状態」にあると投資家に説明していた。 1 月 5 日の営業時間外に同社にコメントを求める電子メールを送ったが、返答はなかった。 中植のような影の銀行は、一般世帯から集めた資金で融資を提供したり、不動産や株式、債券、商品に投資したりなどしている。 こうした企業への規制は緩く、競合する信託会社がここ数年リスクを縮小する中でも、中植とその関連会社、特に中融国際信託は経営難に陥った不動産開発会社への融資を拡大。 中国恒大集団などの企業から資産を買い取っていた。 (Bloomberg = 1-6-24) 中国の住宅販売、政府対策でも減少に歯止めかからず - 23 年は 16.5% 減 中国の住宅販売の落ち込みは 2023 年 12 月に加速し、国内不動産市場の低迷を食い止めるための課題を浮き彫りにした。 12 月 31 日に公表された中国房産信息集団 (CRIC = 克而瑞) の暫定集計によれば、不動産大手 100 社の 12 月の新築住宅販売額は前年同月比 34.6% 減の 4,513 億元(約 8 兆 9,650 億円)。 11 月の 29.6% 減よりも落ち込み幅が大きかった。 この結果、大手デベロッパーの通年の販売額は前年比 16.5% 減となり、CRIC が先に予想した 15% 減より悪かった。 12 月の販売額は前月比では 15.7% 増加した。 長引く住宅不況は、債務返済やプロジェクト完了に苦戦するデベロッパーに打撃を与え、中国経済を弱体化させている。 需要回復に向けた最新の動きとして、当局は北京と上海の2大都市で住宅購入規制を緩和。 中央政府は 8 月下旬、地方当局に対し頭金要件の緩和を促していた。 政策変更にもかかわらず、市場の低迷は続いており、過去 24 カ月のうち 20 カ月で住宅販売は減少。 価格下落や建設の遅延、企業の債務不履行などに対する懸念から買い控えが続いている。 (Bloomberg = 1-1-24) 中国の不動産危機、消費や雇用に波及 - 国民の痛み広がるばかり 世界 2 位の経済大国、中国の政策当局は 3 年前、住宅価格の高騰を抑え、金融リスクを排除するため、借金漬けの不動産セクターを徐々に減速させようとした。 だが、実際に起きたのは家計資産の破壊とオフショア債市場の荒廃、地方政府から歳入を奪う不動産のメルトダウンだった。 以下のチャート 10 枚からは、中国経済全体における不動産危機の広範な影響が見て取れる。
中国で不良債権 ABS 発行が急拡大、銀行個人ローンで不履行増加 [上海/シンガポール] 中国の銀行が記録的なペースで不良債権を売りに出している。 コロナ禍後の景気回復が不振で個人の債務不履行が増加する中、規制当局が不良債権の早期処理を求めているためだ。 格付け会社のデータによると、住宅ローンやクレジットカードなどに関連した不良債権を裏付けとする証券の今年の発行額は前年比約 40% 増となり、過去最高を記録する見込み。 ロイターが確認した目論見書によると、今週だけでも中国光大銀行や江蘇銀行など 6 行が、不良債権に基づく 15 億元(2 億 1,049 万ドル)相当の資産担保証券 (ABS) の発行を計画している。 主な買い手はファンドマネジャー、ウェルスマネジメント会社、不良債権専門の投資家、一部ヘッジファンドなどだ。 S & P グローバル(中国)レーティングスのストラクチャードファイナンス格付け担当責任者、周侃氏は「証券化は中国の銀行が不良債権を処理するための常套手段となっている。 効率的で柔軟性があり、規制当局の承認も比較的早い」と指摘。 景気低迷時には不良資産が増加するとして、来年はさらに市場が拡大すると予想した。 裁判所のデータによると、中国当局は住宅ローンからビジネスローンまで滞納した 857 万人をブラックリストに載せている。 この数字は 2020 年初頭の 570 万人から 50% 増加、コロナ禍の影響を浮き彫りにしている。 格付け会社・中誠信国際信用評級 (CCXI) の傘下部門のデータによると、中国の銀行は 17 日時点で、不良債権を裏付けとする証券類を今年に入ってから 425 億元(59 億 6,000 万ドル)発行。 22 年通年と比べて 37% 増加し、16 年にデータを取り始めてから最高となっている。 さらに 1 - 9 月には、600 億元相当の不良債権がクレジット資産として公的市場で取引されており、昨年全体と比べ 61% 増加したことが、銀行規制当局に属する機関のデータで示されている。 銀行規制当局によると、中国の銀行の不良債権残高は 9 月末時点で 3 兆 2,000 億元に達し、19 年末時点の 2 兆 4,000 億元から 3 分の 1 増えている。 <利回りは魅力的> 当局はシステミックな金融リスクを回避するため、銀行に不良資産の処理を加速するよう促している。 S & P の周氏は「不良債権を証券化して投資家に売却することは、銀行の帳簿上の不良債権を減らし、休眠資産の活性化に役立つ」と述べた。 償却や不良債権処理のため設立された管理会社への売却といった他の処理方法と比べ、ABS 発行は不良債権化した個人ローンで多く利用されている。 中国の低金利環境では、不良債権を裏付けとするシニア ABS の利回りは 2 - 3.5% と魅力的だが、経済状況が悪化した場合に回収率が低下するリスクがあると周氏は指摘する。 (Reuters = 12-20-23) 中国の「隠れ債務」問題が日本のバブル崩壊より危うい理由、中国格付け見通し "ネガティブ" に 12 月 5 日に信用格付け大手ムーディーズが中国の国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落し、外国為替市場では人民元が売られた。 当面、中国からの資金流出が加速しそうだ。 今後は地方政府の財政破綻リスクが上昇し、雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。 企業の業績悪化やデフレ経済も懸念されるが、それだけではない。 中国は、わが国すらバブル崩壊後に経験しなかった事態に直面する恐れを抱える。 中国地方政府の "隠れ債務" が深刻 12 月 5 日、大手信用格付けの米ムーディーズは、中国国債の信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。 中国の不動産バブルが崩壊し公的債務の増加が懸念されることに加えて、地方政府の財政が悪化していることは見逃せない。 特に、地方政府の資金調達の組織である融資平台の "隠れ債務" の問題は深刻さを増している。 振り返れば 2020 年 8 月、中国政府は不動産バブルの拡大を止めるため、不動産関連企業に対する融資規制を強化した。 その措置によって、多くの不動産関連企業の資金繰りが悪化し、不動産バブルはもろくも崩れた。 それに伴い地方政府の歳入は減少し、融資平台の業績および財務内容は悪化しデフォルト懸念も上昇した。 これが、いわゆる地方政府の隠れ債務問題だ。 直近の話に戻ると 23 年 12 月 6 日、ムーディーズは地方融資平台 26 社を「格下げ方向で見直す」と発表。 「問題解決に中央政府の財政出動は不可避」とも指摘している。 中国全体で地方融資平台や不動産企業の不良債権処理が遅れると、財政破綻に陥る地方政府が増えることが懸念される。 中国経済全体に信用不安が広がり、海外への資金流出は増大する可能性もある。 中国経済の先行き懸念の高まりは避けられそうにない。 高まる中国地方政府の信用不安 ムーディーズは中国経済全体で下振れのリスクが高まったと判断し、国債の格付け見通しを引き下げた。 さらに近い将来、中国の格付けを A1 (シングル A+ に相当)から引き下げる可能性もある。 懸念されるのは、中央政府よりも、むしろ地方政府の財政状態だろう。 リーマンショック後、中国政府は 4 兆元(当時の邦貨換算額で約 57 兆円)の経済対策を打ち出したが、財源の確保を担ったのは主に地方政府だった。 地方政府は、税収に加え土地を碧桂園(カントリー・ガーデン)や恒大集団(エバーグランデ・グループ)など不動産デベロッパーに売却してきた。 政府が投資促進を呼びかけマンション建設などを支援する中、デベロッパーは需要を上回る勢いで住宅を建設した。 政府の支援や、高い成長期待を背景に、住宅価格の上昇は間違いないといった過度な楽観がまん延した。 価格上昇により、地方政府の土地譲渡益は増えていた。 そして、道路の建設や鉄道の延伸などインフラ投資に資金を再配分することによって、雇用を生み出した。 また、半導体や EV などの産業補助金政策も強化した。 銀行からの借り入れが規制された地方政府は、より多くの投資資金を獲得するために、融資平台と呼ばれる企業を増やした。 地方融資平台は、債券発行や投資ファンドから資金を調達することで、不動産やインフラ投資を増やした。 こうして不動産バブルの熱狂に浸り、中国経済は投資に依存した経済成長メカニズムを確立した。 しかし 20 年 8 月、事態は一変。 中国政府は不動産融資規制を強化した。 不動産デベロッパーの資金繰りは枯渇し、建設が停止し、未完成のまま放置される物件も急増した。 新築・中古の住宅価格は下落。 土地需要は減少し、地方政府の主要財源である土地譲渡益も落ち込んだ。 不動産バブルは崩壊し、地方融資平台の信用不安が顕在化した。 不良債権増加 "負の連鎖" が鮮明 地方融資平台の債務は、地方政府の予算に含まれない。 公式統計にも計上されないため、隠れ債務と呼ばれている。 国際通貨基金 (IMF) によると 23 年、地方融資平台の債務残高は中国の GDP 比 53%、66 兆元(約 1,320 兆円)に達する見込みだ。 地方政府の手に負えない水準に隠れ債務が膨張している。 中国では、地方融資平台の債務に "暗黙の政府保証" が付く、との見方が多い。 元利金の返済の遅延、不履行が起きた場合、政府が返済を保証するはず、と国民は妄信しているのだ。 23 年夏、中国政府は隠れ債務問題への懸念を抑えるために、地方政府の債券発行枠を拡大した。 報道では 1.5 兆元(30 兆円)程度の債券発行が指示された。 中国政府は地方政府に目先の元利金返済の一部を肩代わりさせようとしているが、財政悪化により地方政府が隠れ債務問題を解決するのは難しい。 懸念されるのは、地方政府の隠れ債務問題が、家計のバランスシート調整を激化させる恐れだ。 地方融資平台は、いわゆる "シャドーバンク(預金を受け入れずに資金調達を行う投資ファンド)" から資金を借り入れた。 それは高利回りの投資商品である信託商品に組み入れられ、中国の個人にとって重要な資金運用手段になった。 ところが 11 月、シャドーバンク大手である中植企業集団の債務超過が判明した。 不動産バブル崩壊による地方政府の隠れ債務問題は、不動産分野の不良債権増加とともにシャドーバンク業界を侵食し始めた。 シャドーバンクのバランスシートの劣化によって、信託商品のデフォルトリスクは上昇している。 不動産バブル膨張に伴う先行きの楽観、暗黙の政府保証の思い込みに浸り、信託商品を購入した個人の一部は、中国の金融当局に事態解決に向け介入するよう要請した。 不動産市況の悪化に端を発する地方政府の財政悪化、隠れ債務問題の深刻化、経済全体での不良債権増加という負の連鎖が鮮明だ。 中国からの資金流出は増加の恐れ 経済環境の悪化を食い止めるために、中国政府は公的資金を用いて不動産や地方融資平台の不良債権処理を進めなければならない。 しかし、中国政府はその考えを示していない。 むしろ、新規の融資増加など銀行の負担で不動産や地方融資平台の不良債権問題を解決するよう圧力を強めた。 わが国の教訓に基づくと、その政策では景気が底打ちに向かうことは難しい。 約 30 年前、日本では住専問題が表面化した。 政府は公的資金を用いた金融機関への資本注入に消極的だった。 不良債権処理は遅れ、デフレ圧力は高まり景気は長期停滞に陥った。 今後の中国もそうした状況に直面する可能性は高い。 地方政府の財政破綻リスクが上昇し、経済対策としてのインフラ投資の実行も難しくなるはずだ。 若年層を中心に雇用・所得環境の厳しさは高まり、個人消費も伸び悩むだろう。 需要が減少することで企業の業績懸念も高まり、経済のデフレ傾向も鮮明となるだろう。 それだけではない。 中国は、わが国が経験しなかった事態に直面する恐れもある。 社会保障制度への不安上昇だ。 中国では、農村戸籍と都市戸籍によって、市民が享受できる社会保障制度(医療や年金など)に差がある。 財政悪化によって、年金支給額の削減などを行う地方政府は増える可能性が高い。 相対的に経済基盤が健全な都市と地方の経済格差は拡大し、住民の不満は増大するだろう。 12 月 5 日にムーディーズが国債格付けの引き下げを発表すると、中国本土株市場は下落した。 外国為替市場ではドルが軟調であるにもかかわらず、人民元が売られた。 中国の不動産市況は下げ止まりの兆しが出ていない。 地方融資平台や不動産デベロッパー、過剰生産能力を抱える鉄鋼メーカーなどの連鎖的なデフォルトや経営破綻が増加するだろう。 そうした懸念から、中国関連の株や債券を売り、人民元を手放す投資家は増えた。 当面、中国からの資金流出が加速し、景気下押し圧力が強まる展開は避けられないだろう。 (真壁昭夫・多摩大学特別招聘教授、Diamond = 12-19-23) 「空き家は 30 億人分」 中国、地方で過剰開発 暗すぎるマンション群 「不動産は供給過剰で、空き家は 30 億人分あるとの推計もある。 14 億人では住みきれない。」 中国政府の統計担当の元幹部が 9 月、国内での討論会でそんな衝撃的な発言をして注目を集めた。 中国では不動産大手が次々と経営危機に陥っている。 要因の一つが地方での過剰開発だ。 住人「3 分の 1 も住んでいない」 遼寧省の省都・瀋陽市から高速鉄道で 1 時間弱の阜新市には、ネット上などで「鬼城」と呼ばれる一帯がある。 人が少ないゴーストタウン、といった意味だ。 主に 20 年ほど前に建てられた約 140 棟のマンションが立ち並ぶ。 だが夜 8 時ごろに訪れると、多くの部屋は電気がついていなかった。 住人の 40 代女性は「人が住む部屋は 3 分の 1 もないと思う」と話す。 住人らによると、完成時の価格は約 60 平方メートルの部屋で 14 万元(約 300 万円)ほどだったが、今は 5 万元(約 100 万円)ほどまで値下がりしているという。 「完成当時から人は少なかった。」 60 代の女性住人はそう話す。 元々この地に住んでいたが、地方政府が開発のために土地を接収し、代わりにマンションの一室を与えられた。 当時、市内の 1 人あたり可処分所得は年 5 千元(約 10 万円)ほどで、マンションは地元の人には手が出ない価格だった。 女性は「政府はなんでこんなところを開発しようと思ったのだろうか」といぶかる。 阜新市の人口は 2020 年で164 万人と、20 年前から 13% 減った。 少子化や都市部への若者の流出が原因だ。 こうした住宅需要がそれほど多くない各地の都市でも、地方政府が開発計画をつくって土地の使用権を不動産大手に販売し、次々と住宅が建った。 だが家は売れず、価格も下がった。 厳しい地方都市、大都市も変化が 調査会社 Wind によると、中規模の地方都市を指す「3 級都市」の新築住宅価格は、前年同月比での下落が 1 年半以上続く。 直近の 9 月は 1.4% 下がった。 阜新市などより小さな 4、5 級都市の価格は統計がないが、下げ幅は 3 級都市より大きいとみられている。 経営難の不動産会社の中で、特に「近年、地方都市に入れ込んでいた(日系不動産大手幹部)」というのが最大手の碧桂園だ。 22 年に同社が販売した住宅の 6 割は 3、4 級都市の物件だった。 その売れ行きの悪化や利幅の縮小が損失につながったとみられる。 一方、大都市は地方都市に比べると住宅需要が根強く、特に北京市や上海市では価格の上昇が続く。 それでも、販売の勢いは落ちている。 昨年の住宅販売面積は北京市で前年比 23%、上海市で 15% 減った。 中国政府は不動産需要を喚起するため、9 月から住宅ローンを組む際に必要な頭金の割合を下げるなどの対策を始めた。 だが、住宅が最も売れる時期の一つである国慶節(10 月 1 日)前後の大型連休で、北京市における住宅契約数は前年の同期間に比べて半減した。 業界関係者は「大都市でも、かつてのように作れば売れる状況ではなくなった。」と話す。 (遼寧省阜新 = 西山明宏、asahi = 12-6-23) |