中国、不動産バブル懸念 民間債務かつての日本超す
マンション価格、年収の 57 倍

【北京 = 川手伊織】 中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけに、中国の不動産バブルへの懸念が高まっている。 格差是正を掲げる習近平(シー・ジンピン)指導部にとって不動産価格の高騰を容認しにくくなっているためだ。 経済規模に対する民間債務比率などの指標はバブル期の日本を超えており、軟着陸は容易ではない。 対応次第では、中国経済が低迷期に入る可能性がある。

中国で不動産は拡大する格差の象徴だ。 如是金融研究院によると広東省深セン市ではマンション価格が平均年収の 57 倍、北京市も 55 倍に達する。 バブルだった 1990 年の東京都でも 18 倍で、中国の大都市圏は庶民に手が届く水準ではない。 中国人民銀行(中央銀行)は 2020 年夏に、大手不動産会社が財務面で守るべき「3 つのレッドライン」を設けた。 自己資本に対する負債比率を一定水準以下に保つことなどを求め、借金を増やしにくくした。 不動産へのマネー流入が細ることになる。

今年 8 月には習指導部が「共同富裕(共に豊かになる)」のため、格差是正を打ち出した。 マンション価格の高騰の裏には富裕層の投機もあり、締め付けは避けられないとの見方が広がった。 影響は不動産価格にも出始め、販売総額を総面積で割った単価は 8 月に前年同月比 2.7% 下落した。 価格上昇が鈍ったことで、負債総額が 30 兆円超える恒大の経営が苦しくなるとの懸念が強まり、9 月には日米などの株式相場が急落した。

恒大は保有資産や事業の売却を急ぐ。 突発的な倒産のような事態を避けたとしても、中国の不動産を巡る先行きの不透明感を払拭するハードルは高い。 不動産に偏った成長が逆回転し、バブル経済が崩壊した 1990 年前後の日本を上回るサインがともっているためだ。 2008 年のリーマン・ショックをはじめ、景気減速のたびに財政出動や、企業に積極的な投資を促して政府が掲げた高い成長目標を達成してきた。

国際決済銀行 (BIS) によると、金融機関以外の民間債務は最近 5 年間、年 1 割超のペースで増え、直近で 35 兆ドル(約 3,850 兆円)を超える。 特に不動産は銀行の関連融資残高が 5 年で 2.1 倍に膨らんだ。 この結果、中国の民間債務残高の国内総生産 (GDP) 比は 220% に達し、日本がバブル崩壊直後につけたピーク (218%) を上回る。 融資残高全体に占める不動産向けの割合も今の中国が 3 割弱と、21 - 22% 台だった日本のバブル期より高い。

日本のバブル期は不動産だけではなく株式にもお金が向かった。 1989 年末に日経平均株価が最高値を付けるまでの 10 年間で、上昇率は 5.9 倍に達した。 一方、足元の中国の上海総合指数の水準は 10 年前比で 1.5 倍程度にとどまり、不動産への集中ぶりが透ける。 上昇が続くことが前提だった住宅価格が下がり始めれば、借金で購入した富裕層や在庫を抱える不動産会社による売却が急増しかねない。 価格の下落は債務を抱える不動産会社の資金繰りをさらに悪化させ、住宅着工などが細ることになる。

中国の住宅の新規着工面積は 1 - 8 月に前年同期比で 1.7% 減少した。 米ゴールドマン・サックスの試算では、2022 年の住宅着工が前年比 3 割減少するなどの深刻シナリオになると、22 年の実質国内総生産を 4.1% 押し下げる。 日本の場合、土地と住宅の時価合計は 1990 年の 2,685 兆円から、2005 年までに GDP の約 2 倍にあたる 1,000 兆円以上が失われた。

日本政府は積み上がった金融機関の不良債権を時間をかけて処理する道を探ったが、不良債権の増加が収まらず貸し渋りや資金回収が広がった。 経済の収縮を招いて「負の遺産」の処理に 10 年以上を要した。 中国共産党は 7 月末の中央政治局会議で 21 年後半の経済運営方針に「不動産価格の安定」を盛った。 過度な値下がりに対し直接介入を辞さない姿勢だが、不動産市況の調整は金融機関の不良債権増を通じて中国経済が長く低迷する要因になりかねない。 (nikkei = 9-27-21)


恒大 EV 子会社、一部事業停止 = 資金不足が拡大 - 中国

|【香港】 経営危機に陥った中国不動産開発大手、中国恒大集団の子会社で、電気自動車 (EV) 事業などを手掛ける中国恒大新能源汽車集団(恒大汽車)は 24 日深夜、資金繰り悪化を理由に、一部事業の停止を発表した。 巨額債務が足かせとなり、恒大グループ内部で資金不足が広がっているもようだ。

恒大汽車によると、停止を決定したのは高齢者向けリゾート施設の関連プロジェクトなど。 関係会社への建設費の支払いに遅れが生じている。 今後、保有資産を売却するなどして資金を調達する考え。 ただ、買い手が見つかるかは不透明で、恒大汽車は、このままでは従業員への給与支払いが滞ったり、EV 生産に「重大な影響」が及んだりする恐れがあると警告を発した。 (jiji = 9-25-21)

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中国当局、中国恒大にドル建て債で目先のデフォルト回避を指示

→ ドル建て債は 23 日がクーポン支払い期日 - 30 日間の猶予期間
→ 当局は中国恒大債の保有者について情報を集めている - 関係者

中国の金融規制当局は、深刻な資金難が続く不動産開発会社、中国恒大集団に対して幅広い指示を発した。 建設中の物件を完成させることと個人投資家への債務を返済することに集中的に取り組むとともに、ドル建て社債で目先のデフォルト(債務不履行)を回避するよう求めた。 当局は中国恒大の担当者との最近の会合で、デフォルト回避のため先を見越して社債保有者と連絡を取るよう指示したが、具体的な助言は与えなかったと、事情に詳しい関係者 1 人が述べた。 中国恒大はドル建て社債で 8,350 万ドル(約 92 億円)のクーポン支払いが 23 日に期限を迎えるが、30 日間の猶予期間がある。

当局が支払いに関する資金支援を提案したのか、またオフショア債権者に最終的に損失を負わせるべきだと考えているかどうかは不明だ。  当局は中国恒大債の保有者について情報を集めていると、慎重に扱うべき情報だとして関係者が匿名を条件に述べた。 この当局指導は中国恒大問題の結末がどのような形になるのか手掛かりにはなりにくいが、金融市場を揺るがし成長の足かせとなり得る同社の破綻を政府が当面は回避したい考えであることはうかがわれる。 中国恒大に債務危機解決の時間を政府が与える兆候が見られれば、中国内外の投資家の不安は和らぐ可能性がある。 (Bloomberg = 9-23-21)

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中国恒大、23 日期日の社債利払いを一部実施へ

中国不動産大手の中国恒大集団は 22 日、期日が 23 日の人民元建て社債の一部の利払いを実施すると発表した。 利息は 2 億 3,200 万元(約 39 億円)。負債総額 1 兆 9,665 億元(約 33 兆円)を抱える同社が社債の利払いを実施できなければ、債務不履行に陥るとの警戒感が広がっていた。 利払いを実施するのは、深セン証券取引所で取引されている、発行額 40 億元の人民元建て社債。 一方、同日に別途期限がくる米ドル建て社債の利払い 8,353 万ドル(約 91 億円)については、依然として対応を明らかにしていない。

また中国恒大は、29 日にも 4,750 万ドル(約 52 億円)分の利払いが必要になるなど今後も立て続けに利払い期日を迎えるため、債務不履行に陥る懸念はぬぐい去れていない。 上海株式市場は 22 日、代表的な指数である上海総合指数が小幅に下落して始まった。 恒大が上場している香港市場は 22 日、休場している。 (北京 = 西山明宏、asahi = 9-22-21)

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中国不動産大手が巨額負債、投資家ら殺到 破綻すれば経済リスク

中国の不動産大手・中国恒大集団が経営危機に陥っている。 中国の不動産バブルを背景に成長してきたが、強気な投資と事業の多角化が裏目に出て巨額の負債を抱える。 事業の売却などで資金繰り改善を急ぐが先行きは厳しく、破綻すれば中国経済に与える影響は避けられない見通しだ。 「破産による再建手続きに入るというネット上の言論は事実ではない」、「会社は未曽有の苦境に直面しているが、考えつくすべての手段で正常な経営を回復する」。 恒大集団は 13 日夜、緊急声明を出した。 経営が急速に悪化しているとの見方が強まる中、再建していく姿勢を強調した。

ロイター通信によると、同日に深セン市の本社に同社の理財商品の償還を求め投資家約 100 人が押しかけた。 恒大集団は国が所有する土地を仕入れてマンション開発を進め、中国の不動産バブルを追い風に急成長。 2020 年に物件販売面積で 2 位になった。 不動産以外にも、映画制作や自動車製造、ヘルスケアなど幅広く事業を展開。 傘下のサッカーチーム、広州 FC (旧広州恒大)は 2 度のアジア王者に輝く強豪で、元イタリア代表 DF のカンナバロ氏が監督を務める。

ただ、右肩上がりの不動産市場での利益を見込んで土地の仕入れなど強気の投資を続けたほか、事業拡大で借り入れが増加。 21 年 6 月末時点で有利子負債は 5,700 億元(約 9 兆 7 千億円)に上り、銀行からの融資の返済が難しくなり、資金繰りが厳しくなった。 傘下企業の株式を売却するなどして資金集めに奔走してきたが、信用不安は急速に広がっている。 7 月には銀行から口座の資産を凍結されたり、下請けの工事会社から代金の未払いで提訴されたりするなど、トラブルが続発。

さらに習近平(シーチンピン)指導部が過熱する不動産への投機を制限するなか、資金を回収しようと主力の不動産開発で物件を値引きして販売。 今年上半期の不動産事業は 40 億元(約 680 億円)の純損失に陥ったほか、8 月は販売の平均単価が前年比で 3 割落ち込むなど、悪循環に陥っている。 日本の金融関係者は「恒大集団が破綻すれば、債権者や銀行、工事会社などに与える影響はかなり大きい」と警戒する。 中国政府も同社の経営危機が金融システムのリスクになることを懸念。 中国人民銀行などは 8 月、恒大集団の幹部に対し、債務リスクを解消して不動産市場と金融の安定を維持するよう異例の指示を出した。 (北京 = 西山明宏、asahi = 9-15-21)

中国恒大集団〉 1996 年に広州市で創業。 280 以上の都市に 1,300 件以上の不動産を開発。 サッカーの強豪チーム・広州 FC (旧広州恒大)を所有する。 2020 年 12 月期決算の売上高は 5,072 億元(約 8 兆 7 千億円)。 創業者の許家印氏は米フォーブス誌の長者番付で 19 年に世界 22 位、中国 3 位となった。

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中国恒大、2 兆円のドル建て債が国際金融市場揺らす

【上海 = 土居倫之】 中国の不動産大手、中国恒大集団の 2 兆円を超える米ドル債が国際金融市場を揺らしている。 リゾート開発など無謀な投資で資金繰りが厳しくなり、社債利回りが 9 日時点で 50 - 470% まで上昇(価格は下落)しているためだ。 仏アムンディやスイスの UBS グループなど世界の運用会社が恒大債を保有しており、破綻すれば投資家は損失を免れない。 中国政府が救済するかどうかは不透明で投資家は売却を急いでいる。

リフィニティブによると、恒大の債券残高は 266 億ドル(約 2 兆 9,000 億円)。 このうち主に外国人向けに販売された米ドル建てが 195 億ドルと約 7 割を占める。 残りは人民元建てが 70 億ドル相当と香港ドル建てが 1,000 万ドル相当だ。 通貨や年限、担保の有無などによって流通市場で売買される社債の利回りは大きく異なる。 例えば、2025 年満期のドル建て債は 10 日時点で 60% だが、22 年満期では 400% を超える債券もある。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティングスは相次ぎ恒大を格下げした。 Caa1 (トリプル C プラスに相当)から Ca (同ダブル C)としたムーディーズは「今後 6 - 12 カ月に大量の債務償還期限が到来し、デフォルトリスクが上昇しているため(黎錦雄アナリスト)」と説明している。 8 日は一部メディアが「ローンの利払い停止を銀行 2 行に通知した」と報道。 この報道を受けて、深セン証券取引所に上場する人民元建て債の価格が 9 日、20% 安と急落した。 深セン証取は一時売買を停止し、投資家に理性的な取引を求めた。

恒大の経営が窮地に陥った背景には、過去の無謀な投資で積み上げた巨額の負債がある。 1996 年に従業員 10 人弱で誕生した恒大は、地方政府から開発用地を仕入れ、各地でマンションを建設し急成長。 20 年の住宅販売面積で中国 2 位だった。 江蘇省にイタリアのベネチアを模した別荘地リゾートを開発したほか、サッカークラブ運営や電気自動車 (EV) 開発、ミネラルウオーターの販売にまで手を広げるなどした結果、6 月末の有利子負債は 5,717 億元(約 9 兆 7,000 億円)に達した。

リフィニティブによると、ドル建て債は仏アムンディやスイスの UBS グループ、米ブラックロックなど世界の幅広い運用機関が保有する。1 ハイイールド(高利回り)債で運用するファンドなどで投資しているとみられ、債務不履行(デフォルト)に陥れば、投資家の損失は避けられない。 焦点は中国政府の対応だ。 8 月 19 日には中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会が「経営安定の維持と債務リスクの解消が不可欠だ」と監督対象ではないはずの恒大に直接経営を指導する異例の事態となった。

恒大は中国東北部を中心に支店を展開する地方銀行、盛京銀行の筆頭株主で 3 割を超す株式を保有する。盛京銀行の総資産は約 1 兆元(約 17 兆円)。 万一、恒大が破綻すると盛京銀行を通じて中国の金融システムを動揺させかねない。 経営難に陥っていた中国国有の不良債権受け皿会社、中国華融資産管理は、中国中信集団 (CITIC) などが資本参加を決め、破綻を免れた。 ただ中国政府は住宅価格上昇の元凶として不動産会社に規制の矛先を向けており、恒大を救済するかどうかは不透明だ。

過剰債務問題は中国の不動産会社に共通する課題となっている。 住宅価格の先行きに対する強気な見方から各社は借入金を膨らませて開発用地を取得してきた。 香港取引所に上場する不動産開発会社、広州富力地産の債券利回りは 9 日時点で 13 - 200% の水準となっている。 (nikkei = 9-10-21)

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マンション半値で投げ売り 企業債務、中国経済の火種に

「一括払いできる人、連絡求む。 超お値打ち。」 6 月、SNS (交流サイト)上で不動産開発大手、中国恒大集団のマンションが 10 軒あまり売りに出た。 南部の広東省仏山市の物件で価格は 1 平方メートルあたり約 6,000 元(約 10 万円)と昨年の半値。 近隣の清遠市の物件も約 4,000 元と半値以下で売られた。1 人で 6 - 7 軒買う人も出た。 施工業者が工事代金の代わりに恒大側から受け取り、そのまま横流しした「訳あり物件」とみられる。 恒大の販社に勤める男性はささやく。 「昔からある慣習だが、昨年から明らかに増えた。 それだけ財務は苦しい。」

恒大は販売総額で業界 2 位と中国を代表する不動産開発業者。 創業者で経営トップの許家印は、かつて資産ランキングで中国首位になった富豪だ。 設計や資材調達の社内規定をいち早く整えてコストを抑え、中国の不動産ブームの波に乗って 2000 年代に急成長した。 開発用地の調達のほか、食品や電気自動車にも手を広げたことで借り入れは 33 兆円まで膨らんだ。 民間企業としては異例の水準で、インターネット上では「宇宙系」とも皮肉られた。 負債の資産に対する比率は 8 割を超え、中国人民銀行(中央銀行)が「危険水準」とする 7 割を上回る。 広東省の地方銀行、広発銀行が恒大の預金を差し押さえるなど経営は綱渡りだ。

「ファンを無視した行為。 理由の説明もない。」 中国のプロサッカー 1 部リーグに所属する、江蘇足球倶楽部のファンだった程は憤る。 江蘇足球が 20 年にリーグ王者に輝きながら今年 2 月、突如として活動を休止したからだ。 休止はグループ中核会社の小売大手、蘇寧易購集団の経営悪化が原因とみられる。 蘇寧は祖業の家電量販のほか日用品の小売店を毎年数千店開き、19 年には仏大手スーパー、カルフールの中国事業も傘下に収めた。 不採算店を放置する中で新型コロナウイルスが直撃して業績は急激に悪化。 7 月には地元政府やアリババ集団によるファンドが約 1,500 億円を支援すると決まり、創業者で董事長の張近東の辞任も決まった。

ドイツ銀行や米ヒルトン・ワールドワイドに出資して世界に名をとどろかせた海航集団も 2 月、会社更生手続きに入った。 中国企業の負債は過去 10 年で急拡大し、習経済学(シーノミクス)のアキレスけんだ。 新型コロナウイルスで企業の優勝劣敗が鮮明になり、借金のツケを払うときがきた。 (nikkei = 8-4-21)


中国海航集団、債権者が総額 20 兆円請求か ロイター報道

【広州 = 比奈田悠佑】 経営再建中の中国の複合企業、海航集団に対して債権者が総額 1 兆 2 千億元(約 20 兆 4 千億円)を請求していることが分かった。 ロイター通信が 4 日報じた。 同社は再建に向けたスポンサーの募集も始めているが、引き受け手は決まっていない。 主力の航空事業は市場が低迷しており、同グループの再建は見通しがついていない。

海航集団は 4 月以降、航空や小売りなど事業分野ごとに債権者会議を順次開催している。 ロイター通信によると、4 日オンラインで開いた会議では約 6 万 7,400 にのぼる債権者が総額 1 兆 2 千億元を請求していることが明らかになった。 会社側はそのうち 4,057 億元の請求を有効とし、3,535 億元を拒否したという。 まだ審査中や審査していない請求もある。 同集団は 2010 年代、欧州の大手銀行や米ホテル大手に出資し、規模を急拡大した。 ただ 17 年に中国当局が金融システムへの悪影響を懸念、海外で出資や買収を積極展開してきた企業の締め付けを強化するとビジネスモデルは行き詰まった。

その後は海外資産の売却処分を進めてきたが、香港デモや新型コロナウイルス流行で主力の航空事業までもが大きな打撃を受けた。 20 年 2 月に地方政府が経営に関与する体制が決まり、今年 2 月には再建型の倒産手続き「破産重整」の申し立てが裁判所に受理された。 破産重整は会社を清算せず、企業活動を続けながら債務を返す手法だ。 ただ過去にはこの手法を検討しながら、自力更生や外部による救済の道筋が見えず、結局一般的な破産手続きをとった事例もある。 (nikkei =6-4-21)

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中国 航空大手傘下に持つ「海航グループ」 破産手続き申し立て

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経営が悪化していた中国の大手航空会社を傘下に持つ「海航グループ」は、債権者が裁判所に経営再建に向けた破産の手続きを申し立てたことを明らかにしました。 中国の航空大手「海南航空」を傘下に持つ海航グループは 29 日、債権者が裁判所に対して経営再建に向けた破産の手続きを申し立てたと発表しました。 今後、グループとして裁判所の手続きに協力し、債務処理を進めて企業活動を維持していくとしています。

1993 年に設立された海航グループは、航空事業を中核に海外の不動産や金融事業などへの投資で積極的に事業を拡大させましたが、4 年前、中国政府が海外への投資の引き締めを図る中で撤退を余儀なくされ、多額の債務を抱えて厳しい経営が続いていました。 さらに、去年 2 月からは新型コロナウイルスの感染拡大による航空便の減少で資金繰りが一層悪化し、地元政府が立て直しにあたる事態になっていました。 (NHK = 1-30-21)


中国資産バブルか失業増か、人民元高が孕むリスク

「海外の金融資産バブルがいつか崩壊するのではないかと非常に心配している。」
「副作用がすでに少しずつ明らかになってきた。」
「不動産バブルの傾向はなお強い。」

3 月 2 日の記者会見での中国人民銀行(中央銀行)の副総裁、郭樹清氏の発言だ。 同氏は金融保険業界では泣く子も黙るといわれる中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)のトップも兼務する実力者である。 中国人民銀行内でも共産党の序列は易綱総裁より高い。それゆえ発言も重い。

同氏は、海外資産バブルの中国国内への転移を危惧していた。 その懸念が最近の人民元高加速で現実味を増し、当局は、バブル退治に追われている。 対ドルの人民元レートはおよそ 3 年ぶりの高値をつけている。新型コロナウイルス危機から、いち早く回復を見せた中国経済が欧米市場では好感されたのだ。 人民元高は中国への資本流入を加速させる。 グローバルな視点では、先進諸国のコロナ有事対応経済政策の副作用として発生した過剰流動性が、世界を回遊して、今年は中国にも殺到した。

最新の事例では、高騰する鉄鉱石など国際商品の国内先物市場に乱入。 商品の買い占め、退蔵、転売なども目立つ。 そこで、商品取引所の証拠金引き上げなど緊急規制強化により、力づくで暴れる過剰流動性マネーを抑え込んでいる。 さらに、世界で投機化する暗号資産(仮想通貨)についても、マイニング(採掘)の取引規制強化に動いた。 それでも中国人民銀行が介入を控え人民元高を容認せねばならない理由もある。

まず、人民元を米ドル、ユーロ、円、ポンドに並ぶ国際通貨としての座を確立することが、習近平政権の長期通貨戦略だ。 既に、国際通貨基金 (IMF) の SDR (特別引き出し権)の構成通貨としては認められている。 次に、国内の特に債券市場育成のためには、海外機関投資家の参入が必須である。 特にコロナ対応のばらまき政策の結果、負債をさらに増やす結果になった地方自治体は、今後、特殊な「融資平台」経由ではなく、地方債発行による資金調達へ移行せねばならない。そのためには債券市場のインフラ整備が不可欠なのだ。

国家戦略としても、国内の「大循環」と「国際循環」の「双循環」を掲げる。 海外からのマネーと技術を呼び込むためには、国内市場の構造改革が必須である。 更に、人民元高には、輸入に頼る国際商品の国内価格を引き下げる効果もある。 これは国内生産者には打撃となるが、川上の製造業部門の企業決算は既に好転している。 いっぽう、川下の消費型産業は、消費マインド回復遅れで、苦戦を強いられている。 そこに、生産者物価高が消費者物価へ転嫁される事態は避けねばならない。 中国経済回復も K 字型なのだ。

一方、人民元高は輸出産業の国際競争力をそぐ。 これも避けねばならない。 中国経済は 2021 年 1 - 3 月期の実質国内総生産 (GDP) が前年同期比で 18.3% 増えた。 しかし、前期比で見ると年率 2.4% 程度となる。 当局が春節の帰省自粛を呼びかけるなどの行動制限で消費回復の重荷となったからだ。 ここで輸出部門を痛めるような政策はマクロ的に打ち出しにくい。 更に、シンセンなど輸出基地での失業増は社会不安を醸成する。 これは中国共産党が最も警戒するところだ。

高過ぎず安過ぎず適度の人民元相場を模索する中国人民銀行の危うい綱渡りは続く。 (豊島逸夫、nikkei = 5-28-21)

豊島逸夫 (としま・いつお) : 豊島 & アソシエイツ代表。 一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。 三菱銀行(現・三菱 UFJ 銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。 チューリヒ、NY での豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。 株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。 日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。


中国企業、重い債務返済 迫る社債償還 230 兆円

【上海 = 張勇祥】 中国企業に大量の債務償還が迫っている。 2023 年までの 3 年間に満期を迎える社債は総額 2 兆 1,400 億ドル(230 兆円超)に達し、18 - 20 年の 1.6 倍に膨らむ。 景気対策の公共事業を手掛けてきた土木や建築で債務が膨らんでいる。 1 割弱を占める外貨建て債では上乗せ金利の上昇が顕著だ。 国有企業は政府が支援するとの従来の見方が揺らいでおり、海外投資家が中国企業の信用低下への懸念を強めている。

中国国有の不良債権受け皿会社、中国華融資産管理が存続をかけた資金繰り対策に追われている。 傘下企業が融資 1 億ドルの返済を 8 月末まで延長することで銀行と合意。 南京熊猫電子など保有株の売却も急ぐ。 華融はグループで 3,300 億元近い社債の発行残高を抱えるが、6 割近くが 23 年までに満期を迎える。 償還がピークを迎えるのは華融だけではない。 金融情報会社リフィニティブのデータによると 21 年の償還額が 7,480 億ドルと最も多く、22 年が 6,690 億ドル、23 年が 7,270 億ドルと続く。 中国企業が発行する社債は満期までの期間が 1 - 3 年と比較的短いものが多い。 社債発行が続くのに伴い、最終的な償還額はさらに増える見込み。

債務を多く抱えるのは大手国有企業だ。 政府直轄の中国国家鉄路集団は 23 年末までに 900 億ドル弱、配送電を担う国家電網は約 140 億ドルが償還を迎える。 両社とも未上場で、コスト意識の希薄さが債務膨張につながっている。 公共事業の受け皿となってきた土木、建設業に国家鉄路、国家電網の 2 社を加えた償還額は 6,000 億ドルと全体の 3 割を占める。 国有企業の過剰債務が政府の信用に悪影響を及ぼすのを避けるため、習近平指導部は「暗黙の政府保証」を縮小させたいとの意向を持つ。 元建て債の債務不履行は 1 - 4 月で 950 億元と、過去最高を更新するペースで推移する。 社債の償還が累増するなかで政府主導の支援が細れば、不履行の一段の増加は避けられない。

外貨建てでも不履行増加

国務院発展研究センターの副研究員は「中国企業は投資効率が低下するなかでも資産取得を増やしてきた」と指摘する。 元建て債の償還増は中国の債務膨張の象徴となっている。 銀行融資の変形という側面があり、投資は国内勢が中心だ。 海外投資家にとって重要なのは外貨建て債の動向で、償還額は 23 年までに 1,720 億ドルにのぼる。 加えて、気がかりなのは外貨建て債でも債務不履行が増えていることだ。 リフィニティブなどによると 20 年以降に少なくとも 10 本以上のドル債が債務不履行を起こしている。 北京大学系の IT (情報技術)大手、北大方正集団は 20 年 2 月に会社更生手続きに相当する「重整」に入り、複数のドル建て債で元利払いができなくなった。

北大方正は傘下企業が発行したドル債の一部に「キープウェル条項」を付与していた。 同条項は一般に、親会社が子会社の財務を良好な状態に保つことを約束する内容だ。 だが北大方正は同条項が償還を保証するものではないとして弁済の対象から外し、一部の海外投資家が法的な手続きに入っているとされる。 国有半導体の紫光集団もドル債の債務不履行を繰り返しており、2 月には米シティグループの香港法人が利払いや償還を求めて訴訟を起こした。 「中国企業が債務不履行を決断するハードルが低くなっており、国債や政策銀行債しか安心して投資できない(外国銀行)」といった声が漏れ始めている。

上乗せ金利拡大

投資家の離散はデータにも表れている。 英 FTSE ラッセルによると、中国企業などの投資適格債の米国債に対する上乗せ金利は 4 月に 0.4% 上昇した。 世界的な過剰流動性を背景に韓国や香港、インドネシアなどが縮小しているのと対照的だ。 中国はいち早くコロナウイルスの封じ込めに成功、米国などに比べ金利も高く海外投資家の資金を集めてきた。 だが外債でも債務不履行が増加するにつれ、潮目は変わり始めている。 (nikkei = 5-12-21)


中国は米国に学べ、金融監督体制の改革必須 - 華融資産巡る混乱で

→ 中国には統一した金融安定法が必要 - 人民銀の劉副総裁
→ 寄せ集めの法規制を整理し強化するために、より大胆な戦略求められる

中国最大級の不良債権受け皿会社を巡る混乱は、屋上屋を架した金融監督体制の簡素化を早急に進める必要性を浮き彫りにしている。 決算発表が遅れている中国華融資産管理について、投資家が再編の可能性も含めはっきりしてほしいと願う中で、関与する政府機関の多さが問題を一層複雑にしている。 華融資産の筆頭株主である財政省が持ち株を政府系ファンドに売却する可能性があるとブルームバーグ・ニュースは先に報道。 中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は銀行に対し同社への融資を少なくとも半年間延長するよう求めたとも伝えられた。

全体的な金融の安定維持を責務とする中国人民銀行(中央銀行)は、華融資産の一部資産を引き受けることを検討している。 人民銀の劉桂平副総裁は 3 月の論文で改革を主張。 中国の金融ルールは「分散」しており、「ドッド・フランク法」を持つ米国の仕組みや、金融規制をここ数十年で抜本的に変えた他の主要国・地域に学べることがあるのではないかと指摘した。 中国には統一した金融安定法が必要だというのが結論だ。

中国銀河証券の劉鋒チーフエコノミストは「中国は以前、閉じられていた。 だが今は外国から資本が流れ込む一方で、中国の資本が国外に出ていっている。 つまり、中国の法規制は他国の法規制との調和が求められる。」と述べた。 世界の金融システムとの統合が急速に進む中国が今採用すべきは、寄せ集めの法規制を整理し強化する一段と大胆な戦略ということになる。 (Bloomberg = 4-28-21)


中国の転換社債が急落、規制やデフォルトへの懸念で

[上海] 投機取引の対象となってきた中国の転換社債が規制強化の動きや国内の資金需給逼迫を背景に足元で価格急落を演じている。 CSI 転換社債指数は過去 2 週間程度で 7% 近く下落し、7 カ月ぶりの安値で推移している。 転換社債の多くは、発行体企業の株価下落や社債需要ならびに債務不履行(デフォルト)への懸念を反映して額面(100 元 = 15.51 ドル)割れとなっている。

転換社債は行使価格で株式に転換する権利が付いた社債で、通常は普通社債よりも利回りが低い。 株式に似た性質を持ち、中国ではこれまで規制がなかったことから、個人投資家を中心に投機取引の対象としてきた。 株式には 1 日当たりの値幅制限や価格制限があるが、転換社債にはない。 自動車ディーラーの広匯汽車服務の上場転換社債は株式市場が急上昇した昨年第 3・四半期の大半の期間額面を上回って取引されたが、足元では株価下落に追随して過去 2 週間で 7% 値を下げ、70.59 元となっている。

相場下落の一因となっているのは規制強化の動きだ。 上海と深センの証券取引所は先週末に、転換社債のプログラム取引に対する規制を発表しており、当局による他の規制も発効した。 証取のデータによると、上場転換社債 342 銘柄の約半分に相当する 155 銘柄前後が 9 日時点で 100 元を下回る価格で取引された。 投資家の間にはデフォルトの懸念も浮上している。 これまで中国の転換社債がデフォルトに陥ったことはない。 (Reuters = 2-10-21)


中国社債デフォルト、さらに膨らむ公算大 - 昨年は過去最悪の 3 兆円超

→ 人民銀の金融政策引き締めが借り手を圧迫する
→ 本土とオフショアのデフォルト、前年比で最大 30% 増へ - 招商証券

中国企業のデフォルト(債務不履行)は今年、過去最悪だった昨年を上回る規模になる公算が大きいと招商証券はみている。 金融政策の引き締めが借り手を圧迫するためだ。 2020 年には中国本土およびオフショアで中国企業約 39 社が 300 億ドル(約 3 兆 1,300 億円)相当近い債券の不履行に陥り、金額ベースで 19 年を 14% 上回った。 本土では 1,370 億元(約 2 兆 2,100 億円)と、前年の 1,420 億元から減ったが、オフショアでは 39 億ドルから 86 億ドルに急増した。

招商証券の李豫沢クレジットアナリストは「中国人民銀行(中央銀行)が今年、一段と慎重な金融政策を実施する」と指摘。 「借り換え圧力に直面する企業が増えるだろう」とした上で、償還期限の到来が急増し本土とオフショアのデフォルトが前年比で推計 10 - 30% 増えるとの見方を示した。 昨年、中国ドル建て債デフォルト全体の約 43% を占めたのが金融セクターで、テクノロジーとエネルギーがそれに続いた。 本土債市場では政府との関係を持つ企業 5 社が初めてデフォルトした。 地方別では、青海省のデフォルト率が過去 3 年間で 19.5% と最も高い。 海南省、遼寧省、寧夏回族自治区と続き、いずれも 7% を超え、経済が低迷し、財務管理もうまくいっていない地域の実態を浮き彫りにしている。 (Bloomberg = 1-12-21)


中国の半導体工場、相次ぐ破綻 投資過熱でずさんさ露呈

中国で半導体企業の立ち上げが頓挫するケースが相次いでいる。 米国による制裁強化で、中国国内の半導体投資が過熱するなか、ずさんな計画も多いからだ。 習近平(シーチンピン)政権は半導体の「内製化」の号令をかけるが、技術力や人材に懸念もあり、前途多難だ。 新型コロナウイルスの感染者が最初に見つかり、世界にその名が知れ渡った湖北省武漢市。 市中心部から北西に車を 1 時間ほど走らせると、工業地帯の一角に原っぱに囲まれた巨大な廃虚のような建物が現れた。 広大な敷地にコンクリートでできた骨組みがそのままにされ、周囲には工事会社の色あせた看板だけが目立つ。 ここには「武漢弘芯半導体製造」の工場ができるはずだった。

静まりかえった工事現場からは作業音は聞こえてこず、出入りも数人程度だった。 男性作業員の一人は「我々も最近現場に投入されたが、工事は特に進んでいない。」 近くを通りかかった清掃員の女性は「1 年前からこの状況が続いている」と話す。 2017 年 11 月に設立された武漢弘芯は、スマートフォンなどに使われる高性能半導体を開発する計画だった。 総額約 2 兆円という巨大プロジェクトは資金が集まらず停止。 そもそも、18 億元(約 284 億円)を出資するはずだった北京市の企業が半導体製造の経験がない投資会社だったことが発覚した。 計画を主導した武漢市政府の責任を問う声も出ている。

半導体をめぐる投資の失敗はこれだけではない。 昨年ごろから南京市政府が市内に産業誘致した半導体メーカーは、従業員の給料が払えずに裁判沙汰となり、今年 6 月に破産を申請した。 他にも広州、成都など各地で、半導体工場の建設停止や、休業、破産が続いている。 トランプ米政権が半導体分野で中国企業への制裁を強めるなか、中国は半導体の国産化を加速させている。 習政権が旗を振る中、地方政府は我先に成果を出そうと投資を過熱させている。 半導体工場の立ち上げには「1 千億円以上の資金がかかる(中国の半導体企業関係者)」とされるが、今年だけで半導体関連の会社は 6 万社以上も増えた。

だが、資金繰りや人材確保などがずさんな計画のまま、地方政府が企業を誘致したり補助金を出したりして、失敗に終わる例が目立つ。 工業情報化省の王志軍次官は「分別のない投資が増えており、巨大な損失を生んでいる。 管理が必要だ。」とし、中央政府側も問題を認める。 中国企業は技術力の低さから高性能半導体を作れず、外国からの輸入に頼ってきた。 米 IC インサイツによると、昨年の中国の半導体の自給率は約 16% しかない。 昨年の半導体の輸入額は 3 千億ドル(約 31 兆円)超と世界最大だ。 米国の制裁から逃れたい中国は、半導体の国産化を急ぐしかなくなった。

中国中央テレビによると、今年 6 月までの半年で、中国全土で 140 件、総額 3,070 億元(約 5 兆円)の半導体工場の計画がつくられた。 だが資金が集まったとしても、「技術力がないため、日本や台湾、韓国から半導体企業の技術者を引き抜くしかない(中国企業の半導体技術者)」といい、習氏が描く半導体の国産化計画が順調に進むかは不透明だ。 (北京 = 西山明宏、asahi = 12-27-20)


中国・山東如意が債務不履行 2010 年レナウンに出資

【上海 = 張勇祥】 中国の繊維大手、山東如意科技集団が 14 日に期限を迎えた社債の元利払いができず、債務不履行になった。 社債発行時に主幹事を務めた交通銀行が同日、発表した。 一時は「中国の LVMH モエヘネシー・ルイヴィトン」とはやされた名門の苦境が一段と鮮明になった。 2017 年に発行した社債 10 億元(160 億円弱)と、その利息の返済が滞った。 総額 40 億ドル(約 4,160 億円)に達するとされる海外買収や傘下企業の不振で経営が悪化。 20 年に入り他の社債で利息の支払いを延期するなど資金繰り難が鮮明になっていた。

山東如意は 10 年にレナウンに出資した。 レナウンが経営破綻に追い込まれた一因には、山東如意のグループ会社とされる香港企業からの売掛金回収が滞ったことがある。 レナウン破綻は中国国内では山東如意の経営不振の象徴として取り上げられることが多い。 中国では社債の債務不履行が続発している。 20 年はすでに 1,800 億元を超え、19 年通年の 1,670 億元を上回った。 山東如意が債務不履行に陥ったことで、中国企業の過剰債務と信用低下が改めて意識されることになりそうだ。 (nikkei = 12-14-20)


中国の紫光集団、ドル建て債でクロスデフォルトへ - 元本返済不能

→ 4.5 億ドルの 10 日償還債で元本支払いができないと通知
→ 別の 3 種類のドル建て債計 20 億ドルがクロスデフォルトへ

中国半導体メーカーの紫光集団は、10 日満期のドル建て債 4 億 5,000 万ドル(約 470 億円)相当で元本返済ができないことを明らかにした。 別の 20 億ドル相当の債務も不履行と見なされるクロスデフォルトを引き起こすとしている。 同社が 9 日遅くに香港取引所に届け出た資料によると、クロスデフォルトとなる 20 億ドル相当の内訳は、2021 年償還債 10 億 5,000 万ドル相当、23 年償還の 7 億 5,000 万ドル相当、28 年償還の 2 億ドル相当。 紫光集団は 11 月半ば、人民元建て債 13 億元(約 207 億円)相当で債務不履行となったが、ドル建て債でのデフォルトは初めて。 届け出によれば、4 億 5,000 万ドル相当のドル建て債は新たな通知があるまで取引停止となる。

紫光集団のドル建て債のデフォルトは、中国当局が関与する企業の健全性への懸念を一段と高めそうだ。 本土のクレジット市場は既に先月の相次ぐデフォルトで混乱している。 中国当局はいわゆる「ゾンビ」企業の債務問題を解決するため、デフォルトや破綻を容認する姿勢をこれまで示していた。 これは市場の規律を強化し、経済の効率を高める幅広い取り組みの一環だ。 このところ相次ぐ企業デフォルトは、新型コロナウイルス感染拡大が引き起こした落ち込みから中国経済が回復する中で、当局が取り組みを再び強化している状況を示唆する。

ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、アンドルー・チャン氏は「中国はゾンビ化した政府関連企業について、システミックリスクにつながらない限りは減らして再編・統合する方針なので、これら企業を救済する可能性は小さいとみている」と指摘した。 紫光集団の 23 年償還のドル建て債は香港時間 10 日午前 11 時 42 分(日本時間午後 0 時 42 分)現在、額面 1 ドル当たり約 2.5 セント下げて 22.5 セントと、11 月 12 日以来の大幅値下がり。 21 年償還債は 1.7 セント安の 28.2 セントと、11 月 30 日以降で最も下げた。 (Shen Hong、Rebecca Choong Wilkins、Bloomberg = 12-10-20)