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中国・不動産不況の象徴 … 天津市の 1 兆円 117 階建て「超高層ビルが資金難で工事頓挫」衝撃の背景 周囲を圧倒する存在感、天まで届くかと錯覚するような高さ - -。 中国東部・天津市郊外にそびえる超高層ビル『高銀金融 117』だ。 117 階建てで高さ 597m。 しかし、この高層建築は「世界一高い未完成ビル」という不名誉な異名を持つ。 今年 5 月に現地を訪れた、ジャーナリストの高口康太氏が語る。
高銀金融 117 は '08 年に着工し、ショップやオフィスの複合施設として '18 年には完成する予定だった。 だがデベロッパーの資金難により、工事は数年前に頓挫。 これまでに投入された建設費は、1 兆円以上になるという。 高口氏が続ける。 「現場は、天津市の中心部から車で 30 分程離れた陸の孤島です。 周囲に目立った施設もなく、誰がここにオフィスを構えるのだろうと疑問を持ちました。」 背景には、習近平国家主席の「失政」があるとされる。
現在も放置される高銀金融 117 は、中国が直面する不動産不況の象徴なのだ。 (Friday Digital = 7-30-23) 中国共産党が重要会議で「新たな困難に直面」 景気回復に危機感 中国共産党は 24 日、党序列上位が属する政治局会議を開き、足元の経済情勢について、「新たな困難と試練に直面している」との認識を示した。 国営新華社通信が報じた。 今年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) は前期(1 - 3 月期)と比べて 0.8% の伸びにとどまり、景気回復は鈍っている。 党として、不測の事態に危機感をあらわにした。 中国共産党は毎年夏ごろに上半期の経済情勢を分析し、下半期の政策について方針を出す。 習近平(シーチンピン)国家主席が主催した 24 日の会議では「新たな困難」として、国内需要が不足していることのほか、企業の経営環境の困難さ、中国を取り巻く外部環境の複雑さが増していることなどを挙げた。 下半期の経済運営については、「国内需要を積極的に拡大しなければならない」とした。 消費を促す分野として、自動車や電子製品、家具関連などの大型消費を挙げた。 不動産市場については、住宅などの開発も購入者も減り続ける「重大な変化が起こっている」とし、政策で対応する考えを示した。 また、政府による投資の役割を発揮しなければならないとし、地方政府の財政難が指摘される中でも、地方債の発行を加速させる。 一層の減税策の実施などで民間企業の成長を後押しする方針も掲げた。 (北京 = 西山明宏、asahi = 7-24-23) 最終赤字、2 年で 11 兆円 = 債務超過に転落 - 中国恒大 【香港】 経営再建中の中国不動産開発大手、中国恒大集団は 17 日、公表を先送りしていた 2021 年と 22 年の通期決算を発表した。 2 年間の最終損益は単純合算で約 5,800 億元(約 11 兆 2,000 億円)の赤字となり、債務超過に転落。 負債総額は 22 年末時点で 2 兆 4,374 億元と、同年の中国国内総生産 (GDP) の約 2% に達した。 最終赤字は 21 年が 4,760 億元、22 年が 1,059 億元。 経営危機になる前の 20 年は 80 億元の黒字だった。 22 年の売上高は 2,300 億元で、20 年(5,072 億元)の半分以下に落ち込んだ。 22 年の契約販売額は 317 億元と、7,000 億元を超えていた 20 年から激減しており、販売が一向に回復していない状況が裏付けられた。 (jiji = 7-18-23) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、再建難航 = 巨額債務、返済めど立たず 巨額の債務を抱えて経営危機に陥った中国不動産開発大手、中国恒大集団の再建が難航している。 3 月には外貨建て債務の再編案を公表したものの、債権者との交渉は難航。 資金繰りも悪化し、各地で建設工事が停滞している。 負債総額は 2021 年末時点で 1 兆 8,980 億元(約 37 兆円)と、国内総生産 (GDP) の 1% を超える規模で、中国経済の先行きに影を落としている。 経営危機のきっかけは、20 年に中国当局がバブル抑制のため導入した不動産企業への融資規制の強化だ。 資金繰りが行き詰まり、21 年には実質的なデフォルト(債務不履行)に陥った。 消費者の信頼も失い、中国の不動産サイトによると、20 年に 7,000 億元を超え、国内 2 位だった販売額は 21 年、約 4,600 億元に急減。 22 年には上位 200 社のランキングから姿を消した。 恒大の資料によると、22 年の販売額はわずか 300 億元強にとどまった。 今年 3 月に公表した外貨建て債務の再編案は、債務をグループ会社の株式に転換するなどの内容で、国内向け債務の再編などにも応用可能な「モデルケース」になると期待された。 ただ、恒大は 4 月、債権者との交渉期間を延長すると発表。 その後も動きはなく、難航しているもようだ。 恒大は資産売却で返済資金の確保を急ぐ一方、新規参入した電気自動車 (EV) 事業の成長に会社存続の望みをつないでいる。 だが「今、恒大の車を購入する人はほぼいない(業界筋)」のが実態だ。 EV の納入実績は 3 月時点で累計約 900 台にとどまり、4 月には資金不足を理由に生産工場が一時操業停止に陥った。 落ち込んだ物件販売の回復は難しい状況だ。 広西チワン族自治区の南寧で恒大のマンションを完成前に購入した 30 代の女性によると、昨年はほぼ半年間、工事が行われなかった。 香港メディアによると、資金不足により各地で工事が止まっており、江蘇省などではそれに反発するデモが起きた。 女性は「きちんと引き渡されるのなら、少し時期が遅れても構わない」と切実な表情で話す。 専門家は恒大の経営について、資金が足りないために新たな投資を行えず、それによりさらに消費者の関心が離れる「悪循環」に陥っていると指摘。 「政府がより関与を強める以外に再建の道はない」と提言している。 (jiji = 6-11-23) 中国不動産市場、困難を脱するのは難しい? - 独メディア 2023 年 7 月 11 日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の不動産市場が依然として厳しい状況から抜け出せないでいると報じた。 記事は、中国の不動産市場の下落傾向が続いており、中国の不動産情報サービスの克而瑞研究中心 CRIC) のデータによると、中国の不動産トップ 100 企業のうち、6 月の単月業績で前年同月比プラスを記録したのは 3 割に満たず、6 割近くは前年同月比 30% 以上減少し、同 50% 以上減少した企業が 27 社に上ったと紹介。 また、住宅市場の低迷は建設業界にも表れており、中国国家統計局が発表した今年 1 - 5 月の新築住宅建設面積が前年同期比 22.6% 減、不動産開発投資も同 7.2% 減となったことを伝えた。 そして、中国の不動産市場は 2 - 3 月に一時顕著な反発を見せたものの、4 月以降は再び急速に冷え込んでいると指摘。 特に 1 - 6 月の半期決算にとって重要な 6 月は、住宅供給がほぼ 5 年ぶりの低水準となったとした。 その上で、中国人民銀行(中央銀行)と国家金融監督管理局が 10 日、2022 年 11 月発表の「不動産市場の安定的かつ健全な発展のための金融支援政策(金融 16 カ条)」の期限を 24 年末まで延長する通知を発表し、市場ではこの政策延長が不動産企業の資本圧力をさらに緩和し、不動産市場の信頼を高めることにつながるとの見方が出ていると伝えた。 一方で、中国の市場調査会社・億翰智庫が以前に「需要を支えるマクロ経済の回復は容易ではないため、23 年に不動産市場が安定した回復を見せるのは難しい」と分析していたことを紹介するとともに、回顧録「レッド・ルーレット」を出版し、英国に亡命している元中国人民政治協商会議委員の瀋棟(デズモンド・シャム)氏が「中国の不動産業界はもう限界に来ており、回復の見込みはない。 中国では約 87% の人が持ち家に住んでおり、今不動産が下がれば財産が激減することになる。 この状況において、消費市場を活発化させることは不可能だ」と指摘したことを伝えている。 (川尻、Record China = 7-13-23) 中国の世茂、資産の強制競売で買い手つかず - 債務再編に暗雲
デフォルト(債務不履行)に陥った中国の不動産開発会社、世茂集団は、18 億ドル(約 2,600 億円)規模の同社プロジェクトが強制競売にかけられたものの、買い手がつかなかった。 中国経済低迷の中で投資需要が乏しい現状を裏付けている。 サッカー場 34 個分に相当する土地資産の入札で、査定額を 20% 下回る水準の売値が提示されたが、買い手はいなかった。 JD ドットコムのオンライン競売サイトに入札結果が掲載された。 中国の不動産セクターは回復が続かず、投資家は資産取得に慎重になっている。 世界的に見てもニューヨークから香港に至る商業用不動産市場は、弱い景気見通しと在宅勤務の一般化で苦戦を強いられている。 ブルームバーグ・インテリジェンスの不動産アナリスト、クリスティー・フン、リサ・チョウ両氏は 5 日のリポートで、資産の流動化が難しく「世茂の債務再編にとって新たなハードルになるだろう」と指摘した。 (Bloombrg = 7-5-23) 中国が東南アジアから撤退開始、経済問題に直面し 東南アジアにおける中国の経済面での存在感が縮小し始めている。 かつて中国はこの地域に最も多くの融資や援助を行っていたが、今日では他国に押され影が薄くなっている。 中国が自国の裏庭ともいえる同地域に向ける金を切り詰めると、習近平国家主席とその取り巻きが間違いなく今も夢見ている世界支配はこれまで以上に遠のくことになる。 中国の東南アジアへの政府開発融資 (ODF) は、データが入手できる直近の年である 2021 年に再び減少した。 同年の ODF は 39 億ドル(約 5,630 億円)相当で、最も多かった 2015 年の 76 億ドル(約 1 兆 970 億円)の半分強の水準だ。 2010 年以降の年平均額である 55 億 3,000 ドル(約 7,940 億円)をも下回っている。 中国に代わって他国や国際機関の存在感が増している。 2015 年以降、中国はこの地域最大の単独投資国として全体の 25% を占めていたのが、わずか 14% にまで落ち込んだ。 実際、中国の投資はピーク時から急減し、今ではアジア開発銀行と世界銀行にトップの座を譲っている。 日本は継続的に投資しており、2015 年からの累計額は中国にほぼ追いついた。 中国の累計投資額は 379 億ドル(約 5 兆 4,690 億円)で、そのほとんどが期間の前半に行われた。 地道な取り組みにより日本の累計投資額は 280 億ドル(約 4 兆 405 億円)で、韓国もそう劣らず 200 億ドル(約 2 兆 8,860 億円)強だ。 以下、ドイツ、米国、オーストラリア、フランスの順に多く、各国の累計投資額はそれぞれ 85 億ドル - 54 億ドル(約 1 兆 2,265 億 - 7,790 億円)となっている。 中国の劇的な投資減は海外における優先順位の転換を反映するものではない。 東南アジアは地理的に近く、貿易ルートそして国防の観点からしても中国にとって極めて重要であることに変わりはない。 また、マレーシアのように中国の「一帯一路」構想への関わりに消極的な国もあるが、東南アジアの国々が中国マネーから一斉に目を逸らしたわけでもないだろう。 むしろ、中国が投資を控えていることは、中国が経済と金融の問題を抱え込んでいることを改めて示している。 最近のデータが入手できるようになっても、中国の投資が戻っている可能性は極めて低い。 この分野に関心を持っている人は中国が抱える経済と金融の問題の根源をよく知っているはずだ。 ゴールドマン・サックスは分析で、中国の不動産開発部門、特にエバーグランデの破綻危機の影響が尾を引いていることを強調している。 そして、かつて中国経済の 30% を占めていた同部門は当分、低迷が続くだろうと結論づけている。 直近では、2023 年に驚くべきスピードで回復した中国経済が再び著しく減速していることが明らかになっている。 中国の 5 月の輸出は前年同月を約 7.5% 下回った。 国内経済活動を示す輸入は前年同月比 4.5% 減となった。 多くの貿易が行われている韓国からの輸入は前年同月から 20.8% 減少した。 中国が国内および世界に販売する製品の多くに欠かせない半導体の輸入は前年同期比 15.5% 減だった。 経済活動が停滞しているということをさらに如実に示しているのが原材料輸入の減少だ。 発電に不可欠な石炭の出荷量は、最も多かった昨年 3 月から急激に減少した。 欧州はすでに景気後退に転じた可能性があり、低迷している米経済もおそらく景気後退の危機に瀕している。 そして中国の重要な輸出部門がすぐに回復することは期待できない。 実際、世界経済が低迷するなか、多くの人は中国がすでに引き下げられている今年の実質成長率目標 5% を達成するのは難しいだろうと予想している。 このような経済的制約に直面している中国が、東南アジアでかつての存在感をすぐに取り戻すことはなさそうだ。 (Milton Ezrati、Forbes = 7-3-23) 中国経済にデフレ懸念 不動産投機の抑え込みで住宅需要も回復しない悪循環から脱せるか 中国経済はデフレに陥っているのではないか - -。 日本を含め多くの国において、中国は最大の輸出国となっている。 中国経済の変調はそのまま各国の景気動向を左右しかねないだけに、このデフレ懸念は気になるところだ。 6 月 9 日に発表され た 5 月の消費者物価指数は前年同月比では 0.2% 上昇とかろうじてプラスを保ったものの、前月比では 0.2% 下落、2 月以降 4 か月連続の下落となった。 昨年のピークは 9 月の 2.8% 上昇(前年同月比)。 その後 11 月には 1.6% 上昇まで鈍化し、ゼロコロナ政策廃止による効果により一旦は回復に転じたものの、それも今年1月(2.1% 上昇)にピークを打っている。 川下に比べ、川上の物価下落の方が顕著である。 5 月の生産者物価指数は前年同月比 4.6% 下落で、こちらは昨年 10 月以降、下落が続いている。 対前月比では 0.9% 下落(4 月は 0.5% 下落)と物価下落は加速している。 生産者物価に関する細目指標をみると、生産者が購入する資材価格の下落が激しく、生活資材よりも生産資材の下落が激しい。 こうしたモーメントだけから予想すれば、回復にはしばらく時間がかかりそうである。 今年の中国経済はゼロコロナ政策廃止による "経済の再スタート" で急回復すると言われていた。 物価指標が示す供給過剰、需要不足は、そうした予想を大きく裏切る結果となっている。 供給面をみると、政策支援の出ている業界では生産量が急増している。 たとえば、新エネルギー自動車は 4 月までの累計で 32.8% 増、単月では 85.4% 増、太陽電池は順に 56.7% 増、69.1% 増と急増している。 しかし、足元の状況をみると、各社値下げ競争を始めており、政府の思惑、それを反映したメーカーの強気見通しに消費者が付いてきていないといった現状が浮き彫りとなっている。 粗鋼、非鉄金属、セメントなどの生産量は 4 月までの累計で一桁の伸びにとどまっているが、4 月単月でみると、伸び率を鈍化させている。 固定資産投資需要の弱さは顕著である。 産業ごとに生産計画の強弱はあり一概には言えないが、それでも全体を俯瞰してみれば生産者がゼロコロナ政策廃止の効果を意識しすぎており、計画が強すぎるのではなかろうか。 景気への影響が大きい不動産部門の不振 需要面で特に気になるのは不動産だ。 不動産投資は固定資産投資全体の 2 - 3 割を占め、消費における波及効果も大きいだけに、不動産業の不振による景気への影響は大きい。 データで確認しておくと、4 月累計の全国不動産開発投資は 6.2% で 3 月累計と比べ 0.4 ポイント悪化している。 一方で累計の商品不動産在庫面積は 15.7% 増で前月累計よりも 0.3 ポイント拡大している。 もちろん当局は不動産部門の不振をただ傍観しているわけではない。 中国人民銀行、銀行保険業監督管理委員会は昨年 11 月、金融面から不動産業を支援するための政策を発表している。 資金繰りの窮した不動産会社に対する救済を含めて不動産会社向け融資の拡大や、住宅ローンの条件緩和などの措置を打ち出している。 中国では、公有制原則により不動産財産権は一般には 70 年、一部では 40 年に限られているが、それを延長したり、相続にかかる税金を一部免除したり、銀行借入時の頭金比率制限を 30% から 20% に引き下げたりするなど、より具体的な政策も幾つか打ち出されている。 国務院はこうした政策の効果を確認しながら、追加措置を加えていくことになるだろう。 だが、現段階で投機の拡大を許してまでも景気を重視する気配は全く感じられない。 持ち家必須、両親との同居拒否を結婚の絶対条件とする未婚女性たちの意識に大きな変化はなさそうだし、都市化の進展による一定の需要増は期待できそうだ。 とはいえ、これまで住宅需要を牽引してきた投機需要を完全に抑え込んでしまえば、不動産需要全体の回復は厳しいのではなかろうか。 必要以上に広く華美な造りの高額別荘タイプ不動産の転がしをやめさせたり、そうした物件の供給を厳しく抑え込んだりすることは社会にとって必要だろうが、一般庶民が蓄財、長期投資目的で行う数件程度の住宅取得まで抑え込む必要はないのではなかろうか。 足元では、自動車産業、家電産業、あるいは教育産業などに対する需要拡大策の発動が目立つが、市場が期待するような "下半期の回復" を確実なものとするには、さらに一歩進んだ不動産需要拡大策の発動が望まれるところだろう。 (田代尚機、マネーポスト = 6-14-23)
中国恒大、200 億ドル債務の再編案 経営不安解消は遠く 経営危機にある中国不動産大手の中国恒大集団は 22 日夜、約 200 億ドル(約 2.6 兆円)分のドル建て債務の再編案を発表した。 利率の低い社債や、利払いが不要な株式などと交換することで、債務負担を減らすねらいだ。 だが、すべての投資家から合意を得られるかは見通せず、経営の先行きは不透明だ。 再編案では、債権者は保有する社債を新たに発行する利率の低い社債と交換するか、グループ傘下の電気自動車 (EV) メーカー「中国恒大新能源汽車集団」や不動産管理会社の株式と交換できる権利を得るかなどを選べる。 恒大は再編案について、債権者の同意を得た上で 10 月 1 日に発効したいとしている。 中国政府による規制の影響などから経営危機に陥った恒大は、利払いや償還の期限が来ても支払えない社債への対応について、債権者と話し合いを進めてきた。 昨年 7 月の予定だった債務再編案の発表は 2 度延期されていた。 今回の再編案が実現したとしても、恒大の経営は前途多難だ。 本業の不動産販売は今も冷え込んでいる。 昨年 9 月に量産を始めた EV も、販売は 900 台超にとどまる。 資金繰りの悪化もあって人員削減を進めており、恒大は 22 日に「生産停止のリスクがある」と発表した。 (北京 = 西山明宏、asahi = 3-23-23) 何をやってもダメな中国 中国経済、不動産が大暴落 地方政府が背負う借金は約 930 兆円 中国経済は「悪性スパイラル」に陥没した。 何しろ、GDP (国内総生産)の約 30% を占めた不動産がさっぱりで、大手デベロッパーの倒産が続いている。 中国の地方政府が背負う借金は約 7 兆ドル(約 930 兆円)とされる。 日本の GDP の 1.7 倍! 例えば、貴州省の遵義道橋建設集団は昨年末、銀行融資の返済を 20 年間延長してもらった。 地方政府の融資平台 (LGFV) は、当該地方のインフラ建設のためのプロジェクト資金として起債され、利率は 8 - 12% である。 高い金利の魅力にひかれて相当消化されたようだ。 ところが、投資家たちは地方政府の債務保証がされていなかったことに気がついて慌てた。 高利に釣られて投資した人々は「詐欺だ」と騒ぎ出した。 5 年ほど前から、欧米の投資家は中国の地方債を避けてきた。 中国では「城投債(都市投資債)」として知られるが、「担保」のはずの土地入札も、民間デベロッパーの応札がなくなり、国有企業への押し売りが横行している。 中国不動産バブル崩壊の代表例が不動産大手「中国恒大集団」である。 社債がデフォルト(債務不履行)となって投資家のカネ返せ抗議活動が本社前を囲んだのは 2021 年からだ。 22 年 1 月には同社株が香港株式市場で取引停止となった。 22 年 7 月には夏海鈞最高経営責任者 (CEO) が辞任した。 ローンの支払い拒否運動が広がり、下請け業者への代金未払いが発生した。 恒大の負債総額は 1 社だけで 33 兆円。 あまりの巨額負債に潰そうにも潰せず、かといって救済するわけにもいかない。 次の共産党の出方を待った。 いまのところ、建築を中断したマンションの完成を急がせるために、融資再開を銀行に命じ、ローン支払いボイコット運動の沈静化を図っている。 中国全土でマンション価格の値崩れが激しく、中には半額セールもある。 世界中に展開してきた巨大経済圏構想「一帯一路」も、スリランカ、パキスタン、ザンビアなどでデフォルトが相次ぎ、貸したカネの回収が難しくなった。 輸出が好調な理由は、最終組立をベトナムやカンボジア、タイ、スリランカなどへ移転し、「MADE IN CHINA」のラベルを張り替えて高税率を回避しているからだ。 一方で中国企業がアジア各国に進出して、国内産業の空洞化も生まれてきている。 (宮崎正弘、ZakZak = 2-13-23) 中国で金融危機が深刻化、止まらない破綻の連鎖 中国の金融危機が悪化の一途をたどっている。 最近では、巨額の貸し倒れを予想している中国の銀行は、貸倒引当金を積み増すために債券市場から 2021 年より 30% ほど多い資金を調達するという大胆な措置を取った。 銀行が抱える問題は驚くにあたらない。 実際、1 年以上前に不動産開発大手の恒大集団 (Evergrande) が約 3,000 億ドル(約 43 兆円)の債務を返済できなくなったと発表したことに端を発した危機が拡大する中での新たな動きにすぎない。 当時、中国政府は明らかに何が起こるか理解しておらず、それ以来、中国金融の特徴となっている破綻の連鎖の拡大を止めるために迅速かつ完全に十分な対応を取ることを拒否した。 中国政府がもっと断固とした態度で臨まなければ、通常こうした破綻や危機は拡大し続ける。 中国が経験していることは、金融危機がどのように展開するかをイラストで示す教科書のようなものだ。 ある業界の破綻が他業界の破綻を招き、それにともなう恐怖と信頼の欠如によってシステムがうまく機能しなくなり、経済成長をまったく支えることができなくなっている。 恒大集団が破綻を発表した瞬間から問題は広がっていた。 同社の債務履行能力に頼っていた企業や金融機関は直ちに損失を被る可能性に直面した。 そして金融の性質上、そうした企業や金融機関を当てにしていた人々もまた直ちに余波を被る存在となった。 直接あるいは二次的、三次的に恒大集団の影響を受けるかは問題ではなかった。 貸し手や潜在的なビジネスパートナーは皆、恒大集団が存続できるか疑問を持ち、他の不動産開発会社が恒大集団に続いて同様の発表をすればするほど疑念はさらに深まった。 このような疑念は中国の住宅ローンの貸し手にも広がった。 これらの不動産開発会社が契約したプロジェクトを完成させることができないのではないかと懸念した借り手は住宅ローンの支払いを停止すると脅した。 ほとんどの銀行がこうした住宅ローンを扱っていたため、この脅しによって中国の預金者は資金の安全性を心配し、中国人民銀行が一方的に引き出しを制限するとその恐怖は特に深刻なものになった。 この金融問題は明らかに経済に影響をおよぼしている。 中国経済の弱体化はすでに歴然としており、政府のインフラ支出はまだ続いているにもかかわらず、2022 年の実質成長率目標はすでに引き下げられた 5.5% を大きく下回るおそれがある。 経済目標の未達を、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて中国政府が取った厳しいロックダウン(都市封鎖)と隔離政策のせいにする人は多い。 確かにこれらの措置が影響を及ぼしたのは間違いない。 しかし、中国政府と西側のメディアによって過小評価されているが、金融危機の影響も大きい。 人々は銀行預金の安全性に不安を感じると、支出を減らしたり止めたりする。 貸し手は企業や個人の借り手の返済能力を懸念し、有望なプロジェクト以外には資金を提供しなくなる。 取引に関わる人々が仲間の存続を心配すれば、プロジェクトは停止する。 こうしたことが商業と開発の足を引っ張ることがますます明白になった。 責任転嫁と行動力の欠如 中国の鉄鋼業界の状況はまさにこの典型例だ。 不動産開発企業がプロジェクトを中止し、そして信用不足のため、業界の約 29% が倒産間近だと発表した。 何十億トンも販売して利益をあげた昨年から大きな落ち込みだ。 実際、昨年中国は世界の鉄鋼生産量の約半分を占めていた。 河北敬業集団の創業者でもある李ー坡会長は「業界全体が赤字で、今のところ転機は見えない」という。 そして、こうした問題は当然ながら広がっている。 鉄鉱石の価格は 3 月以降 36% 下落している。 鉄鋼業界は一例にすぎない。 中国政府が破綻の拡大を食い止める行動を起こすまで、中国はこの種の後退に直面し続けるだろう。 中国政府が恒大集団の発表と同時に行動していれば、こうした経済的な痛みの多くを避けることができたはずだ。 不動産開発企業の破綻の脆弱性を軽減するために、破綻した不動産開発企業にではなく金融システム内の他企業に直接融資していれば、どうしようもなく広がった事態を回避できたかもしれない。 そうしていたら、信用を回復し、融資が引き続き商業の原動力となっていただろう。 中国人民銀行は民間の金融機関や国有銀行がより積極的に融資を行えるように、また預金の安全性に対する顧客の不安を解消するために、金融システムの貸付可能資金を増やすこともできたかもしれない。 しかし中国政府は行動を起こさなかった。 そのため、金融破綻とその懸念は中国の金融システム全体で教科書どおりに進行していった。 中国政府が何かしら対策を取らない限り、経済への悪影響はますます深刻になることが予想される。 しかし残念なことに、中国政府が政策実施の必要性に完全に目覚めたという兆候はほとんど見られない。 今のところ中国の最高政策決定機関である政治局は、財政難という問題の対処では地方や省政府が主導権を握っていると主張している。 このような責任転嫁は、中国の指導部がこれまで考えられていた以上に米政府を研究していることを示唆している。 と皮肉な冗談はさておき、責任転嫁と行動力の欠如は中国経済にとって良いことではない。 どう考えても、金融危機による財政難に地方政府、省政府では対応しきれない。 中国政府は長年にわたって地方政府や省政府に中央が決めたインフラプロジェクトへの融資を強要してきたため、地方の政府機関は地方の問題、ましてや国の金融システムの必要性に対処するための財源を欠いている。 その役割を果たせるのは政府だけであり、これまでのところ政府はわずかな金利引き下げ以上の行動を取ることを拒否している。 (Forbes = 10-5-22) 中国が転落しそうな「流動性のわな」、迫られる信用危機対応 [上海] 中国人民銀行(中央銀行)が 15 日に行った予想外の政策金利引き下げは、政府が抱えるジレンマを浮き彫りにしている。 それは、当局が金融システムに潤沢な資金を供給して経済再生を図ろうとしているものの、消費需要が依然として上向かないという構図だ。 15 日には 1 年物中期貸出制度 (MLF) と期間 7 日のリバースレポの金利がそれぞれ 10 ベーシスポイント (bp) 引き下げられたた。 だが、既に銀行間市場の金利がずっと低い水準で推移しているため、融資拡大の効果はほとんど期待できない。 市場関係者は、不動産危機と新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)で揺らいだ中国経済に対する信認を復活させるためには、もっと根本的な対策が必要だと主張している。 ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、人民銀行が「部分的な流動性のわな」に直面していると分析。 日本型の流動性のわなと定義されるほど金利は下がっていないとは言え、システミックリスク増大に伴って「現金が大手銀行に滞留したままになっている」と解説した。 ガルシア・エレロ氏は、たとえモラルハザード(倫理観の欠如)を引き起こすとしても、より「異端の政策」が求められており、中小企業に融資している中小銀行向けに狙いを定めて流動性を注入するといった措置を通じて、成長を押し上げる方法などが考えられると話す。 別の市場関係者からは、経済を立ち直らせるには新型コロナウイルス関連規制の緩和や、破綻の瀬戸際にある企業に対する政府による直接救済など、金融緩和にとどまらないさまざまな手段が不可欠だとの声も聞かれる。 国聯証券のエコノミスト、ロッキー・ファン氏が問題点として挙げるのは、不動産市場の落ち込みが人々の先行きに対する自信を損ない、債務危機の中で積極的な住宅購入が途絶えたり、未完成物件のローン支払いを拒否したりする現象の発生だ。 ファン氏は「経済を蘇らせるには不動産問題の解決が必須になる。 ただ、それはいばらの道だ。 政府がモラルハザードの危険を承知で経営難に陥っている全てのデベロッパーを救済しない限り、解決は見込めない。」と述べた。 <預金に流れ込むマネー> 世界の金融政策の潮流はインフレを抑えるための利上げだが、中国はこれに反して金融緩和を進めるとともに、何度も銀行に融資拡大を促している。 それでも今年 7 月の人民元建て新規融資は急減し、与信全般の伸びは鈍化しており、いかに需要が低調であるのかが分かる。 一方で、中国の銀行システムには現金があふれている。 同国で最も広義の通貨供給量である M2 (現金プラス預金)は 7 月の前年比上昇率が 12% と過去 6 年間で最高に達し、上半期の家計部門の預金は 10 兆 3,000 億元(1 兆 5,200 億ドル)も増加した。 ジェフリーズのアナリストチームは「企業と家計双方が過剰な安全志向となっているので、中国の銀行には驚くべきペースで預金が集まりつつある」と指摘。 15 日の利下げは需要不足への対応だが、実体経済へのプラス効果は見込めないと付け加えた。 インベスコのアジア太平洋(除く日本)グローバル市場ストラテジスト、デービッド・チャオ氏は、利下げは出発点としては良いと評価しつつ、特に不動産市場の底打ちや家計と企業の心理を上向かせることにつながる追加的な政策も欠かせないと注文を付けた。 チャオ氏が具体的に提言するのは、住宅ローン金利引き下げや頭金規制緩和、各役所の手続き簡素化、デベロッパーに対する借り入れ制限の緩和などだ。 <バランスシート不況> クロックタワー・グループの中国ストラテジスト、カイウェン・ワン氏は、銀行間の短期金利が過去最低近くまで下がっている中で、金融バブルを懸念している人民銀行が、現状よりずっと低い金利環境を許容できると考えるかどうかは分からない、との見方を示した。 15 日の利下げ前の段階から、銀行間金利は政策金利を大幅に下回っていたので、人民銀行の動きは余計だったとも受け止められている。 フィッチによると、中国のマネー・マーケット・ファンド (MMF) 資産は今年 5 月に過去最高の 11 兆元に膨らみ、市場規模は欧州を抜いて米国に次ぐ第 2 位になった。 一部の投資家はより高い利回りを追求しており、金融市場の一部ではフロス(小さい泡)が発生する兆しも出てきている。 最新の公式統計に基づくと、今年 6 月の国内短期金融市場の取引量は前年同月比で 44% 増加し、上場投資信託 (ETF) の 1 日当たり平均売買高は前年の 2 倍以上で、レバレッジを利かせた取引が拡大している様子が垣間見える。 株式市場では、信用取引向け融資の残高が 1 兆 6,400 億元と 4 カ月ぶりの高水準となり、投機的な取引に左右されやすい小型株主体の CS11000 指数は今年 4 月の安値から 40% 余り上昇して 5 カ月来の高値にある。 資産運用会社、銀科投資のチーフエコノミスト、シャ・チュン氏は、利下げ後に中国 10 年国債先物価格が 2 年ぶりの高値になった事態に触れて「利下げは債券市場のお祭り騒ぎをもたらすことができただけだ」と指摘。 「問題は流動性不足ではなく、家計と企業が悲観的な見通しを持ち、自信が弱まっている点にある。 典型的なバランスシート・リセッションだ」と強調した。 (Samuel Shen、Brenda Goh、Reuters = 8-17-22) 中国に複合不況の足音 不動産苦境、金融・財政に波及 【北京 = 川手伊織】 中国で不動産開発企業の経営難を起点に、金融と財政が同時に悪化している。 銀行では不動産融資の焦げ付きが増え、工事が止まった物件で住宅ローンの返済拒否が広がる。 地方政府が国有地の使用権売却で得る「土地収入」も落ち込む。 7 月のマンション販売は前年同月比 3 割減と低迷が続き、苦境の出口は遠い。 不動産の苦境は政府の規制強化が発端だ。 バブル抑制のため 2021 年に開発企業向け融資や住宅ローンを絞った。 新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気も悪化し、22 年 1 - 6 月の住宅販売面積は前年同期比 27% 減った。 調査会社の中国指数研究院によると、7 月も主要 100 都市で前年同月比 27% 減、前月比も 13% 減った。 中国恒大集団など開発企業は負債を膨らませて新規物件を開発してきた。 金融規制の強化などで不動産業の成長モデルは逆回転した。 資金繰り難で債務不履行(デフォルト)が急増した。 中国の調査会社 Wind によると、返済の先送りを含む債務不履行(国内債のみ)は 8 月 8 日までの 1 年間で 99 件あった。 その前の 1 年間の 2.2 倍に膨らんだ。 米 S & P グローバルは、格付け対象となっている開発企業の少なくとも 2 割が破産危機に直面していると警告する。 銀行融資にも影響が出始めた。 中国の不動産融資残高は全体の 26% を占める。 21 - 22% 台だった日本のバブル期より高い。 国有大手 4 行の不動産業向け不良債権比率は 21 年末時点で 3.8% と、1 年で 1 ポイント以上悪化した。 開発企業の資金繰り難で、マンション建設が中断する未完成の物件が相次いだ。 不動産シンクタンク、易居不動産研究院の厳躍進氏は、22 年 6 月までの 4 年間に販売された新築物件の 4% 近くが問題物件だと試算する。 中国では竣工前に売買や住宅ローンの契約を済ませる例が多い。 未完成物件の家主が抗議のため、住宅ローンの返済拒否という強硬手段に打って出始めた。 7 月に拡大し、全国で 300 カ所超の開発案件に広がった。 厳氏は不動産融資残高の 1.7% にあたる 9,000 億元(18 兆円弱)に影響が及ぶと試算する。 中国政府は金融不安の芽を摘もうと銀行の資本増強を急ぐ。 地方政府がインフラ債券発行で調達した資金を転用し、中小銀行に公的資金を注入させる。 22 年の新規注入額は 3,200 億元に上る。 地方政府の借金で金融を安定させる狙いだが地方政府も盤石ではない。 土地が国有の中国では、地方政府が国有地の使用権を開発企業に売る。 地方政府は減税などで税源が細り、土地収入への依存を強めてきた。 地方財政の 20 年決算をみると、土地収入は遡れる 10 年以降で初めて地方税収を上回った。 手元資金が枯渇した開発企業は、新たな住宅開発に必要な土地の確保に動けなくなった。 22 年 1 - 6 月の土地収入は前年同期より 31% 少なく、通年でも 7 年ぶりに前年割れとなる公算だ。 不動産取得税など関連の税収も減少する。 歳入の柱が崩れ、地方財政の悪化が進んだ。 S & P グローバルは最大 3 割の地方政府が 22 年末に、歳出削減など早期是正措置を求められる水準まで財政が悪化するとはじく。 ロイター通信によると、中国政府は最大 3,000 億元の不動産基金をつくる検討に入った。 開発企業の資金繰りを支援する狙いだが、共産党関係者は「あきらかに規模が小さい」とつぶやく。 中国は過去 20 年間、不動産投資で経済を押し上げてきた。 米ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏らの分析によると、不動産関連の国内総生産 (GDP) に占める比率は 29% に及ぶ。 1990 年代末の 10% 未満から存在感を高めてきた。 20% 以下の日米欧と比べて、不動産依存が際立つ。 ロゴフ氏らは広義の不動産関連の投資が 20% 減少すると、中国の GDP は 5 - 10% 減るとはじく。 都市部雇用の 15% 超を占める不動産業と建設業の不振は、雇用不安を増幅させかねない。 「チャイナ・ショック」と呼ばれた 15 年の景気減速期は、力強い個人消費がその後の景気回復をけん引した。 足元では雇用の悪化が長引いて貯蓄志向が強まり、個人消費に力強さはない。 中国は秋の共産党大会を控えて「政治の季節」に入った。 新指導部の人事が固まるまで、経済政策の大胆な変更は期待しづらい。 政策空白で不動産苦境への対応が遅れれば、金融と財政の同時悪化による「複合不況」を招く恐れもある。 (nikkei = 8-13-22) 経営危機の中国恒大集団、広州市の巨大競技場建設から撤退 … 返金 1,100 億円を負債返済に 【北京 = 山下福太郎】 経営危機に陥っている不動産大手・中国恒大集団は 4 日、広東省広州市で進めていたサッカー専用の巨大競技場の建設事業から撤退すると発表した。 予定地の土地使用権を市に返還することに伴い、55 億元(約 1,100 億円)が返金され、負債の返済に充てるとみられる。 香港証券取引所に提出された開示資料などによると、競技場の客席は 8 万席超で、予定地の面積は約 50 万平方メートル。 2022 年末に完成する見通しだったが、恒大の経営悪化に伴って工事は一時中断していた。 恒大の撤退後は、別の企業などが競技場の建設事業を引き継ぐ可能性がある。 当初、競技場は恒大傘下のプロサッカーチーム「広州 FC(旧・広州恒大)」が拠点とする予定だったとみられる。 だが、ロイター通信は昨年秋、チームも売却の検討対象に入っていると報じていた。 恒大は 2 兆元(約 40 兆円)規模の負債を抱え、7 月下旬には香港本部のビルを 1,000 億円超で売却する方針も明らかになった。 再建を巡って経営が混乱し、夏海鈞・最高経営責任者 (CEO) が財務の不正を理由に事実上解任された。 (yomiuri = 8-5-22) |